JP4450146B2 - Cod成分含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、COD成分含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、焼却飛灰洗浄排水や化学工場排水など、高濃度のカルシウムイオンと有機物を含有する排水のCOD成分を、効率よく酸化分解して除去することができるCOD成分含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排水に含まれるCOD成分の除去には、生物的処理方法、活性炭吸着法、オゾン酸化法、塩素酸化法、フェントン法などが実用化されている。次亜塩素酸ナトリウム、オゾンなどの酸化剤と触媒を組み合わせた接触酸化分解法は、設備が小型で、再生頻度が少なく、汚泥も発生しないという利点を有するので、広く実用化され、さらにさまざまな改良が試みられている。例えば、物理的に温和な条件下で、廃液中のCOD成分を分解して効率よく除去する方法として、遷移金属触媒を廃液と共存させ、30kg・cm-2以上の加圧系で、廃液と過酸化水素液及び/又はオゾン水とを混合する廃液の処理方法が提案されている。また、COD成分を効率よく除去することができ、粉末触媒の流出を防止することができる有機性排水の処理方法として、有機性排水に二酸化マンガンなどの粉末触媒を添加してオゾン処理したのち、MF膜よりなる膜ろ過装置を用いて膜分離する方法が提案されいる。
排水中のCOD成分を、酸化剤の存在下に接触分解する方法は、有力な手段であるが、排水中にカルシウムなどのスケール成分が存在すると、触媒の表面にスケールが析出し、触媒の活性が短時間で低下し、触媒単位体積あたりのCOD成分の分解率が低下したり、単位酸化剤消費量あたりのCOD成分の分解率が小さくなって、触媒充填に伴うイニシャルコストや、酸化剤のランニングコストが増加する。この問題の解決のためにも、さまざまな試みがなされている。例えば、高いCODを有し、アルミニウム、カルシウム、マグネシウムなどを含有する廃水を効率よく処理して浄化する方法として、イオン交換能を有するろ過助剤を使用して廃水を固液分離処理し、そのろ液を酸素含有ガスの供給下に触媒湿式酸化処理する方法が提案されている。しかし、イオン交換能を有するろ過助剤は高価であるばかりでなく、その再生作業も煩雑である。また、アルミニウム、アルカリ土類金属などのスケール生成物質を含む排水を、装置内でのスケール生成を防止して長時間無害化処理する方法として、固体触媒及びキレート剤の存在下に排水を酸化分解する方法が提案されている。しかし、キレート剤は高価であり、排水処理に用いると処理コストが高くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、焼却飛灰洗浄排水や化学工場排水など、高濃度のカルシウムイオンと有機物を含有する排水のCOD成分を、効率よく酸化分解して除去することができるCOD成分含有水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、COD含有水のカルシウム硬度をAmgCaCO3/L、酸消費量(pH4.8)をBmgCaCO3/L、pHをC、(温度+44)をD℃としたとき、(logA+logB+C+3.26logD−17.88)の値が0〜5を有するCOD含有水に酸化剤を添加し、酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒と流動状態で接触させることにより、触媒表面にスケールが析出することなく、安定してCOD成分を酸化分解して除去し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)カルシム硬度をAmgCaCO3/L、酸消費量(pH4.8)をBmgCaCO3/L、pHをC、(温度+44)をD℃としたとき、0<logA+logB+C+3.26logD−17.88<5なる条件を満たす、高濃度のカルシウムイオンと有機物を含む焼却飛灰洗浄排水または化学工場排水のCOD成分を除去する方法であって、該排水に次亜塩素酸塩を添加したのち、イオン交換能を有する無機多孔性物質を担体とし、平均粒径が0.01〜1mmである酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒が充填された触媒充填塔にSV2〜20h-1の空間速度で、該排水を、上向流で通水して、該触媒の膨張率5〜20容量%の流動状態とすることを特徴とするCOD成分含有水の処理方法、及び、
(2)酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒が、担体粒子をニッケル塩又はコバルト塩の水溶液に浸漬して、担体上にニッケル又はコバルトをイオン交換により吸着した担体を、アルカリ水溶液と接触させることにより活性化された担持触媒である第1項記載のCOD成分含有水の処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(3)酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒のニッケル又はコバルトの担持量が、担体に対して1〜15重量%である第1項記載のCOD成分含有水の処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のCOD成分含有水の処理方法においては、カルシウム硬度をAmgCaCO3/L、酸消費量(pH4.8)をBmgCaCO3/L、pHをC、(温度+44)をD℃としたとき、
0<logA+logB+C+3.26logD−17.88<5
なる条件を満たすCOD成分含有水に酸化剤を添加し、酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒と流動状態で接触させる。この条件を有するCOD成分含有水は、スケール化傾向の強い水であるが、本発明の方法においては、スケール生成を抑制してCODを除去できる。
(logA+logB+C+3.26logD−17.88)の値が0以下であるCOD成分含有水は、本発明方法によらず、例えば、固定層触媒反応装置などを用いて処理することができる。一方、(logA+logB+C+3.26logD−17.88)の値が5以上であるCOD成分含有水は、本発明の方法によっても触媒表面へカルシウムスケールが析出しやすく、処理が困難となるおそれがある。このような式値が5以上の排水を処理する場合には、酸添加によりpHを下げる、前処理により一部のカルシウム硬度を除去する等によって、式値を0〜5の範囲に入るように調整し、本発明の方法によって処理が可能となる。
本発明方法において、COD成分含有水に添加する酸化剤に特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩、二酸化塩素、塩素、過酸化水素、オゾン、空気などを挙げることができる。本発明方法において、酸化剤の添加量は、例えば、次亜塩素酸塩を添加する場合、COD成分含有水のCODMn1mgO/Lに対して、残留塩素として1〜15mgCl/Lとなる量であることが好ましく、2〜10mgCl/Lとなる量であることがより好ましい。
【0006】
本発明方法に用いる酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒の担体に特に制限はないが、イオン交換能を有する無機多孔性物質を好適に用いることができる。イオン交換能を有する無機多孔性物質としては、例えば、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、牛骨、マイカ、アルミナ、マグネシア、シリカ、シリカ−アルミナ、活性炭、ケイソウ土などを挙げることができる。
本発明方法に用いる酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒は、担体にニッケルイオン又はコバルトイオンを接触させたのち、必要に応じて水洗し、次いで塩素剤を含むアルカリ水溶液と接触させることにより得ることができる。
このような担体の処理は、ニッケル又はコバルトの硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの水溶液又はこれらの混合水溶液と担体を接触させることにより行うことができる。水溶液と担体の接触方法に特に制限はなく、水溶液中に担体粒子を浸漬することができ、あるいは、これらの担体粒子をカラムなどに充填し、ニッケル塩又はコバルト塩の水溶液を、一過式又は循環式で接触することもできる。この際に、圧力や熱などを加える必要はなく、常温、常圧で行うことができる。ニッケル塩又はコバルト塩の水溶液の温度や接触時間に特に制限はないが、通常は、室温、2〜30時間であることが好ましく、室温、3〜20時間であることがより好ましい。このように設定することにより、担体上に必要量のニッケル又はコバルトがイオン交換により保持される。
【0007】
ニッケル塩又はコバルト塩の水溶液で処理した担体は、これらの金属塩の水溶液と分離したのち水洗することが好ましい。水洗することにより、担体に単に物理的に付着したニッケル又はコバルトを除去し、担体にイオン交換により保持されたコバルト又はニッケルのみを残すことができる。この操作により、ニッケル又はコバルトの含有量が少なく、しかも接触効果の大きい触媒を得ることができる。水洗の目安として、ニッケルイオン又はコバルトイオンの色が洗浄水から消えるまで、洗浄を行うことが好ましい。ニッケル又はコバルトを担持させる際の水溶液中のニッケル塩又はコバルト塩の濃度に特に制限はないが、ニッケル塩又はコバルト塩の濃度が低い方が、イオン交換反応の分配係数が高く、担持の効率が向上するので好ましい。
次いで、ニッケル又はコバルトをイオン交換により吸着した担体を、塩素剤を含むアルカリ水溶液と接触させることにより、ニッケル又はコバルトが活性化された酸化物となり、本発明方法に用いる酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒を得ることができる。ニッケル又はコバルトを吸着した担体と、塩素剤を含むアルカリ水溶液との接触方法に特に制限はなく、例えば、塩素剤を含むアルカリ水溶液中に、担体粒子を浸漬することができ、あるいは、これらの担体粒子をカラムなどに充填し、塩素剤を含むアルカリ水溶液を一過式又は循環式で接触することもできる。なお、水洗後の担体をあらかじめ加熱してニッケル又はコバルトを酸化物とし、次いでアルカリ水溶液と接触させることによっても、同様な活性化された酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒を得ることができる。使用する塩素剤に特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、塩素ガス、電解により発生させた塩素など、残留塩素を発生する薬剤を挙げることができる。塩素剤と共に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液を挙げることができる。
本発明方法において、酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒の平均粒径に特に制限はないが、0.01〜1mmであることが好ましく、0.05〜0.5mmであることがより好ましい。触媒の平均粒径が0.01mm未満であると、COD成分含有水と流動状態で接触させるとき、触媒粒子が流失するおそれがある。触媒の平均粒径が1mmを超えると、触媒を流動状態にするための通水速度が大きくなりすぎるおそれがある。
【0008】
本発明方法においては、酸化剤を添加したCOD成分含有水を、酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒と流動状態で接触させる。COD成分含有水と触媒を流動状態で接触させる方法に特に制限はないが、触媒を触媒充填塔に充填し、COD成分含有水を上向流で通水することにより、COD成分含有水を触媒と流動状態で接触させることができる。触媒が流動状態を保つことにより、触媒粒子どうしが接触し、触媒表面におけるカルシウムスケールの発生を機械的に防止することができる。流動状態の触媒の膨張率に特に制限はないが、2〜50容量%であることが好ましく、5〜20容量%であることがより好ましい。触媒の膨張率が2容量%未満であっても50容量%を超えても、触媒粒子どうしの接触が不足して、触媒表面にカルシウムスケールが発生し、触媒活性が低下するおそれがある。
本発明方法において、触媒充填塔へのCOD成分含有水の通水速度に特に制限はないが、空間速度SVが2〜20h-1であることが好ましく、5〜15h-1であることがより好ましい。SVが2h-1未満であると、COD成分含有水の処理量が過小で、処理コストが高くなるおそれがある。SVが20h-1を超えると、触媒との接触時間が短く、COD成分の除去が不十分となるおそれがある。
図1は、本発明のCOD成分含有水の処理方法の実施の一態様の工程系統図である。COD成分含有水の配管に酸化剤が注入され、酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒1が充填された触媒充填塔2に上向流で通水される。通水により触媒充填塔内の触媒は膨張し、流動状態を保つ。触媒の流動状態は、図示しないポンプによるCOD成分含有水の送水量により制御することができる。触媒充填塔の塔頂から、COD成分が酸化分解により除去された処理水が流出する。
本発明方法によれば、カルシウム硬度が高く、触媒表面にカルシウムスケールが析出しやすいCOD成分含有水を処理し、触媒を流動状態に保つことにより、触媒粒子どうしの接触により触媒表面へのカルシウムスケールの析出を防止し、長時間にわたって安定してCOD成分を分解除去することができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
粒径0.08〜0.22mm、平均粒径0.12mmのクリノプチロライト系天然ゼオライト[日本ゼオライト(株)、二つ井産、イオン交換容量166〜168meq/100g、BET表面積18m2/g]1,000gをとり、洗浄水が清澄になるまで水で洗浄した。硫酸ニッケル(II)六水和物(NiSO4・6H2O)112gを超純水800mLに溶解し、この水溶液に水洗したゼオライトを浸漬し、20時間放置した。ゼオライトに対するニッケルの担持量は、2.5重量%である。上澄み液を廃棄し、1回あたり1,000mLの超純水で、ゼオライトを3回洗浄した。次いで、水酸化ナトリウム35gを超純水500mLに溶解し、10重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液400mLを添加し、この溶液にニッケルを吸着したゼオライトを浸漬して、20時間放置した。その後、洗浄水のpHが10になるまで超純水で洗浄し、酸化ニッケル担持触媒を得た。
カルシウム硬度5,000mgCaCO3/L、酸消費量(pH4.8)32mgCaCO3/L、CODMn53mgO/L、pH9.5、温度25℃の原水の処理を行った。この原水の(logA+logB+C+3.26logD−17.88)の値は、
log5000+log32+9.5+3.26log(25+44)−17.88=2.82である。この原水に残留塩素濃度が450mgCl/Lになるように次亜塩素酸ナトリウムを加え、上記の酸化ニッケル担持触媒50mLを充填した内径30mm、高さ300mLのガラス製カラムに、通水量600mL/hで上向流で通水した。通水速度は、SV=12h-1、LV=0.85m/hである。触媒は、膨張率10容量%で流動状態を保った。
カラムから流出する処理水のCODMnは、10時間後10mgO/L、50時間後14mgO/L、100時間後15mgO/L、200時間後16mgO/L、300時間後15mgO/L、500時間後13mgO/Lであった。
比較例1
粒径1.0〜2.0mm、平均粒径1.5mmのクリノプチロライト系天然ゼオライトを用いた以外は、実施例1と同様にして、酸化ニッケル担持触媒を調製し、次亜塩素酸ナトリウムを添加した原水をカラムに通水した。カラム中の触媒は、流動状態にならなかった。
カラムから流出する処理水のCODMnは、10時間後28mgO/L、50時間後37mgO/L、100時間後40mgO/L、200時間後42mgO/L、300時間後45mgO/L、500時間後48mgO/Lであった。
実施例1及び比較例1の結果を、第1表及び図2に示す。
【0010】
【表1】
Figure 0004450146
【0011】
第1表及び図2に見られるように、本発明方法により、酸化ニッケル担持触媒を流動状態に保ちながら、カルシウム硬度5,000mgCaCO3/LのCOD成分含有水を処理した実施例1では、COD成分の除去率が70%以上と高く、500時間通水後も安定してCOD成分が除去されている。これに対して、酸化ニッケル担持触媒の粒径が大きく、流動状態にならなかった比較例1では、COD成分の除去率が低く、しかも時間の経過とともにCOD成分の除去率が低下していることから、触媒の表面にカルシウムスケールが析出して、触媒の活性が低下したものと推定される。
【0012】
【発明の効果】
本発明方法によれば、カルシウム硬度が高く、触媒表面にカルシウムスケールが析出しやすいCOD成分含有水を処理し、触媒を流動状態に保つことにより、触媒粒子どうしの接触により触媒表面へのカルシウムスケールの析出を防止し、長時間にわたって安定してCOD成分を分解除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の実施の一態様の工程系統図である。
【図2】図2は、通水時間と処理水のCODMnの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 触媒
2 触媒充填塔

Claims (2)

  1. カルシム硬度をAmgCaCO3/L、酸消費量(pH4.8)をBmgCaCO3/L、pHをC、(温度+44)をD℃としたとき、0<logA+logB+C+3.26logD−17.88<5なる条件を満たす、高濃度のカルシウムイオンと有機物を含む焼却飛灰洗浄排水または化学工場排水のCOD成分を除去する方法であって、該排水に次亜塩素酸塩を添加したのち、イオン交換能を有する無機多孔性物質を担体とし、平均粒径が0.01〜1mmである酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒が充填された触媒充填塔にSV2〜20h-1の空間速度で、該排水を、上向流で通水して、該触媒の膨張率5〜20容量%の流動状態とすることを特徴とするCOD成分含有水の処理方法。
  2. 酸化ニッケル担持触媒又は酸化コバルト担持触媒が、担体粒子をニッケル塩又はコバルト塩の水溶液に浸漬して、担体上にニッケル又はコバルトをイオン交換により吸着した担体を、アルカリ水溶液と接触させることにより活性化された担持触媒である請求項1記載のCOD成分含有水の処理方法。
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