JP3988562B2 - 車両用空調装置の内外気切替装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置において、特にロータリ式内外気切替ドアを用いた内外気切替装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用空調装置では、低騒音に対する要望がますます強くなっている。このため、送風機の吸込損失(吸入抵抗)の低減により風量アップ、低騒音化を図っている。この送風機の吸込損失低減のためには、送風機の吸込側に配置される内外気切替装置の内外気の吸入口の開口面積を拡大する必要がある。
【0003】
また、内外気切替ドアは車両走行動圧を受ける外気流れに抗して操作する必要があるので、外気流れの動圧に対するドア操作力を低減できるドア構成が好ましい。
【0004】
そこで、上記の内外気吸入口の開口面積拡大およびドア操作力低減のための対策として、内外気切替ドアを通常の平板状の板ドアとせず、ロータリ式のドアにすることが従来、提案されている。
【0005】
図8〜図10はこのようなロータリ式内外気切替ドア23を用いた従来装置を示しており、ロータリ式の内外気切替ドア23は、ドア回転方向(円周方向)に延びる外周壁面23aを有し、この外周壁面23aの軸方向の両側端部と回転軸24との間をそれぞれ扇形の側板23bで連結した形状としている。
【0006】
そして、外周壁面23aおよび扇形の側板23bで構成されるドア基板部の大きさを内気吸入口21を閉塞するに必要な大きさに設定してある。また、外周壁面23aにより外気吸入口22を閉塞できるようになっている。
【0007】
内気吸入口21として、外周壁面23aに対向する第1開口部21aの他に、軸方向の両側の扇形の側板23bに対向する第2開口部21bが内外気切替装置20のケース20aに設けてある。この第2開口部21bは、ケース20aにおいて図8の紙面垂直方向(車両左右方向)の両側面に開口している。
【0008】
従って、内気吸入口21の形状は、ロータリ式ドア23の外周壁面23aに対向する部位から両側板23bに対向する部位まで開口する門型に屈曲した開口形状になっている。これにより、内気の吸入開口面積を増加できる。また、ロータリ式内外気切替ドア23は外気吸入口22からの略上下方向の外気流れ(図9参照)に対して略直交する方向(車両前後方向)に回転するから、外気流れの動圧がドア回転方向に対する直接的なドア抑止力として作用せず、ドア操作力を低減できる利点もある。
【0009】
上記ロータリ式内外気切替ドア23のうち、ドア基板部の周縁部表面、すなわち、外周壁面23aおよび側板23bの周縁部表面に鍔状部26、27を一体成形し、この鍔状部26、27にリップ状(薄板状)の弾性シール材28、29を固着している。
【0010】
一方、内外気切替装置20のケース20aにおいて、内気吸入口21および外気吸入口22の開口縁部には、シール面30、31、32、33が設けてあり、このシール面30、31、32、33に内外気切替ドア23の弾性シール材28、29が弾性変形して圧着し、面当たりするようになっている。
【0011】
ケース20aには内気吸入口21および外気吸入口22の中間部に位置する仕切り壁34が設けてあり、この仕切り壁34の端部と内外気切替ドア23の外周壁面23aとの間には隙間35を形成して、仕切り壁34の内側を内外気切替ドア23の外周壁面23aが通過するようになっている。
【0012】
また、ケース20aには外気吸入口22の車両前方側部分を区画する仕切り壁36が設けてあり、この仕切り壁36の根元部にシール面33が形成されている。この仕切り壁34、36の上端部34a、36aは、弾性材からなるシール材38を介して車両カウル部37の下面部に押し付けられる。
【0013】
図8はロータリ式内外気切替ドア23により外気吸入口22を全閉し、内気吸入口21(開口部21a、21b)を全開する内気モード時を示し、図9はロータリ式内外気切替ドア23により内気吸入口21(開口部21a、21b)を全閉し、外気吸入口22を全開する外気モード時を示す。
【0014】
更に、図10はロータリ式内外気切替ドア23により内気吸入口21(開口部21a、21b)の一部のみを開口し、外気吸入口22の大部分を開口する内気一部混入の外気モード時を示す。
【0015】
この内気一部混入の外気モードは、冬期暖房時のウォームアップ時のように、暖房用熱交換器の熱源である温水(エンジン冷却水)の温度が十分上昇せず、暖房能力が不足する場合に、低温外気の中に温度の高い内気(車室内空気)を一部混入することにより、車室内吹出空気(温風)の温度を高めて暖房能力を高めるために使用される。
【0016】
ところで、内気一部混入の外気モード時には、内気吸入口21と外気吸入口22との中間部位に位置するシール面31、32からロータリ式内外気切替ドア23のシール材28、29がともに開離するので、このシール面31、32の下端部とロータリ式内外気切替ドア23の外周壁面23aとの間の隙間35によって外気吸入口22が外周壁面23a上を通して内気吸入口21に連通する状態が生じる。
【0017】
このため、車両カウル部37の外気取り入れ口37aがケース20aの外気吸入口22から外周壁面23a上を通して車室内空間へ連通することになる。その結果、雨天時には、車両カウル部37に流入する雨水が外気取り入れ口37aから上記経路により車室内へ侵入するという不具合が発生する。
【0018】
本発明は上記点に鑑みて、ロータリ式の内外気切替ドアにより内外気吸入の切替を行う内外気切替装置において、内気一部混入の外気モード時に雨水等がドア外周壁面上を通して車室内へ侵入することを防止することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内気吸入口(21)および外気吸入口(22)を有するケース(20a)と、ケース(20a)内に回転可能に配置された内外気切替ドア(23)とを備え、
外気吸入口(22)の上方に車両カウル部(37)の外気取り入れ口(37a)が位置しており、外気取り入れ口(37a)から外気が外気吸入口(22)を通してケース(20a)内に流入するようになっており、
内外気切替ドア(23)は、外周壁面(23a)と、外周壁面(23a)の回転中心となる回転軸(24)と、外周壁面(23a)の軸方向の両側部と回転軸(24)の間を連結する側板(23b)とを有するロータリドア構造になっており、
回転軸(24)を中心として外周壁面(23a)および側板(23b)が回転変位することにより内気吸入口(21)と外気吸入口(22)を切替開閉する車両用空調装置の内外気切替装置において、
内外気切替ドア(23)が内気吸入口(21)の一部のみを開口し、外気吸入口(22)の大部分を開口する位置に回転操作されて、内気一部混入の外気モードを設定するときに、内外気切替ドア(23)の外周壁面(23a)のうち、外気吸入口(22)内に所定量(L1)突出する突出部の上方領域を覆うカバー部(37b)を車両カウル部(37)に備えることを特徴とする。
【0020】
これによると、内気一部混入の外気モード時に、内外気切替ドア(23)の外周壁面(23a)が外気吸入口(22)内に所定量(L1)突出しても、この突出部の上方領域を車両カウル部(37)のカバー部(37b)により覆うことができる。
【0021】
これにより、車両カウル部(37)の雨水が内外気切替ドア(23)の外周壁面(23a)上に落下することを防止できるので、雨水が外周壁面(23a)上を伝って車室内へ侵入することを防止できる。
【0022】
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、カバー部(37b)を、車両カウル部(37)を構成する金属板材により一体成形すれば、カバー部(37b)を簡単に低コストで作ることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明のように、請求項1または2において、内外気切替ドア(23)は、外周壁面(23a)および側板(23b)の周縁部表面に設けられた弾性シール材(28、29)を有し、
ケース(20a)のうち、内気吸入口(21)および外気吸入口(22)の周縁部には、弾性シール材(28、29)が圧着するシール面(30〜33)が形成されており、
カバー部(37b)は、シール面(30〜33)のうち、内気吸入口(21)および外気吸入口(22)の中間部に位置するシール面(31、32)よりも外気取り入れ口(37a)側へ突出するように形成すればよい。
【0024】
請求項4に記載の発明のように、請求項3において、外気取り入れ口(37a)および外気吸入口(22)の車両後方側に内気吸入口(21)が配置される場合には、カバー部(37b)は前記中間部に位置するシール面(31、32)より車両前方側へ突出するように構成すればよい。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態による内外気切替装置20を含む送風機ユニット10の概略構成を示す。図1に示す送風機ユニット10は、通常、自動車の車室内前部の計器盤下方で、助手席側の部位に配置される。図1の前後上下の各矢印は車両搭載状態における方向を示す。送風機ユニット10の上部に内外気切替装置20を配置し、内外気切替装置20の下側に送風機40を配置している。
【0032】
内外気切替装置20は樹脂製のケース20aを有し、このケース20aに内気(車室内空気)を吸入する内気吸入口21と外気(車室外空気)を吸入する外気吸入口22を設けるとともに、この両吸入口21、22を開閉する内外気切替ドア23をケース20a内に回転可能に収納している。この内外気切替ドア23は回転軸24を中心として回転可能な外周壁面23aを有するロータリドアであって、その詳細は後述する。
【0033】
エアフィルタ25は、内外気切替装置20内において、内外気切替ドア23の回転軸24より空気下流側(下方側)に配置され、空気中の塵埃等を除去する。送風機40は樹脂製のスクロールケーシング41を有し、このスクロールケーシング41には、エアフィルタ25の直ぐ下流部位に位置するベルマウス状の吸入口42が設けてある。スクロールケーシング41の中心部に遠心式多翼ファン(シロッコファン)からなる送風用ファン43を配置して、このファン43の回転により吸入口42から吸入された空気がファン43の半径方向外方へ流れるようになっている。送風用ファン43は駆動用モータ44の回転軸45に連結されて回転する。
【0034】
スクロールケーシング41の空気出口部(図示せず)には空調ユニット(図示せず)が連結されており、この空調ユニット内には周知のように冷却用熱交換器、加熱用熱交換器、温度調整機構、吹出モード切替機構等が内蔵されている。従って、送風機40の送風空気が空調ユニット内にて冷却、除湿、再加熱されて温度調整後に車室内へ吹き出すようになっている。
【0035】
次に、ロータリ式の内外気切替ドア23を図2、図3により具体的に説明すると、ドア23はドア回転方向(車両前後方向)に延びる外周壁面23aを有し、この外周壁面23aの軸方向の両側端部と回転軸24との間をそれぞれ扇形の側板23bで連結した形状としている。
【0036】
そして、外周壁面23aおよび扇形の側板23bで構成されるドア基板部の大きさを内気吸入口21を閉塞するに必要な大きさに設定してある。また、外周壁面23aにより外気吸入口22を閉塞できるようになっている。
【0037】
内気吸入口21として、外周壁面23aに対向する第1開口部21aの他に、軸方向の両側の扇形の側板23bに対向する第2開口部21bがケース20aに設けてある。この第2開口部21bは、内外気切替装置20のケース20aにおいて図1の紙面垂直方向(車両左右方向)の両側面に開口している。
【0038】
従って、内気吸入口21の形状は、ロータリ式ドア23の外周壁面23aに対向する部位から両側板23bに対向する部位まで開口する門型に屈曲した開口形状になっている。これにより、内気の吸入開口面積を増加させて、内気モードによる最大冷房能力の向上を図っている。これに対し、外気吸入口12は外周壁面23aに対向する通常の矩形状の平面開口形状になっている。
【0039】
以上の説明から理解されるように、内外気切替ドア23は、ドア回転方向に延びる外周壁面23aと、回転軸24と、この両者間を連結する側板23bとを有するロータリ式ドアであるため、内気吸入口21におけるドア外周側の第1開口部21aだけでなく、軸方向側方の第2開口部21bをも開閉できる。そのため、内気吸入面積の増大により内気吸入量を増加できる利点がある。
【0040】
しかも、ロータリ式内外気切替ドア23は外気吸入口22からの略上下方向の外気流れに対して略直交する方向(車両前後方向)に回転するから、外気流れの動圧がドア回転方向に対する直接的なドア抑止力として作用せず、ドア操作力を低減できる利点もある。
【0041】
なお、内気吸入口21が上記のように門型に屈曲した開口形状になっているので、ケース20aの必要強度を確保するために、内気吸入口21の第1開口部21aの左右両側部に湾曲状の連結リブ20bをケース20aに一体形成し、この連結リブ20bにて第1開口部21aの前方側端部と後方側端部とを連結している。
【0042】
また、ロータリ式の内外気切替ドア23における回転軸24は、ドア23の軸方向両側の扇形の側板23bの回転中心位置から軸方向外方へ突出しており、この軸方向両側の回転軸24は内外気切替装置20のケース20aの左右両側の壁面の軸受穴(図示せず)に回転自在に支持される。
【0043】
ここで、内外気切替ドア23の回転軸24を回転させるドア操作機構としては、通常、サーボモータからなる電気的アクチュエータを使用するが、空調制御パネル(図示せず)に設けられた内外気切替操作部材(例えば、手動操作レバー)の手動操作力をケーブル、リンク機構等を介して回転軸24に伝達する手動操作機構を使用してもよい。
【0044】
また、ロータリ式の内外気切替ドア23において、外周壁面23aと扇形の側板23bとの間の内側空間はそのまま外部へ開口しているので、この内側空間を通って図1、図3の矢印aのように空気が自由に流通可能である。内外気切替ドア23は、上述した外周壁面23a、側板23bおよび回転軸24を含む全体形状を例えば、ポリプロピレンのような機械的強度が高く、しかも、ある程度の弾性を有する樹脂にて一体成形できる。
【0045】
次に、上記ロータリ式内外気切替ドア23におけるシール構造を説明すると、ドアシール構造はドア操作力低減のためにリップシールタイプになっており、ドア23のうち、ドア基板部の周縁部表面、すなわち、外周壁面23aおよび側板23bの周縁部表面に鍔状部26、27(図1)を一体成形し、この鍔状部26、27にリップ状(薄板状)のシール材28、29を固着している。
【0046】
一方のシール材28はドア基板部のうちドア回転方向の一端側に位置し、他方のシール材29は、ドア基板部のドア回転方向の他端側に位置する。この両シール材28、29はエラストマ(高分子ゴム弾性体)からなるものである。両シール材28、29は、鍔状部26、27のドア回転方向の両側の面に弾性変形可能となるようにリップ状に突出形成されている。
【0047】
一方、内外気切替装置20のケース20aにおいて、内気吸入口21および外気吸入口22の開口縁部には、シール面30、31、32、33が設けてあり、このシール面30、31、32、33に内外気切替ドア23のシール材28、29が弾性変形して圧着し、面当たりするようになっている。
【0048】
ケース20aには内気吸入口21および外気吸入口22の中間部に位置する仕切り壁34が設けてあり、この仕切り壁34は外気吸入口22の車両後方側部分を区画する役割を果たしている。この仕切り壁34の前後両側の面にシール面31、32が形成される。この仕切り壁34の端部と内外気切替ドア23の外周壁面23aとの間には隙間35を形成して、壁34の内側を内外気切替ドア23の外周壁面23aが通過するようになっている。また、ケース20aには外気吸入口22の車両前方側部分を区画する仕切り壁36が設けてあり、この仕切り壁36の根元部にシール面33が形成されている。
【0049】
ところで、ケース20aの外気吸入口22の上方には車両カウル部37の外気取り入れ口37aが位置している。ここで、車両カウル部37は車室内50とエンジンルーム内51とを仕切る隔壁(ダッシュパネル)52の上方側に位置する車両側構成部材であって、ワイパリンクやワイパモータ等の収容空間を構成するとともに、前面窓ガラスからの雨水の排出通路を構成する等の役割を果たす。
【0050】
ケース20aの仕切り壁34、36の上端部34a、36aは、ウレタン系の弾性材からなるシール材38を介して車両カウル部37の下面部に押し付けられ、仕切り壁34、35の上端部34a、35aと車両カウル部37の外気取り入れ口37aの周縁部下面との間をシールするようになっている。
【0051】
なお、図1〜図3はロータリ式内外気切替ドア23の基本的構成を概略図示しているが、図4〜図6は本実施形態の要部をより具体的に図示する。図4はロータリ式内外気切替ドア23により内気吸入口21(開口部21a、21b)の一部のみを開口し、外気吸入口22の大部分を開口する内気一部混入の外気モード時を示し、図5はロータリ式内外気切替ドア23により内気吸入口21(開口部21a、21b)を全閉し、外気吸入口22を全開する外気モード時を示し、更に、図6はロータリ式内外気切替ドア23により外気吸入口22を全閉し、内気吸入口21(開口部21a、21b)を全開する内気モード時を示す。
【0052】
図4〜図6における内外気切替ドア23の具体的形態が図1〜図3と若干相違しているので、その相違点を先ず説明すると、図4〜図6では外周壁面23aの基本形状を回転軸24を中心とする曲率半径の円弧状にし、そして、外周壁面23aに波状の凹凸面を形成している。これは、図6の内気モード時に送風ファン41で発生する送風騒音を外周壁面23aの凹凸面によりケース20aの内側へ反射して、送風騒音が内気吸入口21から車室内へ放出されることを抑制するためである。もちろん、この送風騒音抑制の必要性が低い場合は波状の凹凸面を廃止して、図1〜図3のごとく外周壁面23aを単純な平坦な面にしてよい。
【0053】
ところで、図4の内気一部混入の外気モード時には、内外気切替ドア23のシール材28、29がケース20a側のシール面30、32からそれぞれ若干量開離する位置に内外気切替ドア23が回転操作される。従って、内外気切替ドア23の外周壁面23aが図4に示すようにシール面32から所定量L1だけ外気吸入口22側へ突出する。
【0054】
一方、車両カウル部37のシール材38の開口部38aは、ケース20a側の外気吸入口22と同じ開口面積になっている。これに対し、車両カウル部37には、内気一部混入の外気モード時における外周壁面23aの外気吸入口22側への突出部(所定量L1の部分)を覆う庇状のカバー部37bが形成されている。この庇状のカバー部37bは、シール材38の開口部38aの端面(換言すると、シール面32の部位)から外気取り入れ口37a側へ突出するものであって、この庇状のカバー部37bの突出量は上記外周壁面23aの突出量L1より大きくしてある。
【0055】
従って、庇状のカバー部37bの形成により車両カウル部37の外気取り入れ口37aの開口面積はシール材38の開口部38aおよびケース20a側の外気吸入口22の開口面積より小さくなっている。なお、車両カウル部37は金属板、より具体的には板厚=1.0mm程度の鉄板で構成されているので、この鉄板にて庇状のカバー部37bを一体形成することができる。
【0056】
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、図4に示す内気一部混入の外気モード時には、内外気切替ドア23のシール材28、29がケース20a側のシール面30、32からそれぞれ若干量開離する位置に内外気切替ドア23が回転操作される。従って、内外気切替ドア23の外周壁面23aとシール面31、32の端部との隙間35を通して、ケース20aの外気吸入口22が内気吸入口21と連通する。
【0057】
その結果、雨天時には、車両カウル部37の外気取り入れ口37aに流入した雨水が内外気切替ドア23の外周壁面23aの突出部(所定量L1の部分)上に落下しようとするが、本実施形態においては、外周壁面23aの突出部の上方側を覆う庇状のカバー部37bが車両カウル部37に形成してあるので、雨水が外周壁面23aの突出部上へ落下することをこのカバー部37bによって防止できる。従って、雨水が外周壁面23a上を伝って、隙間35を通して車室内へ侵入することを防止できる。
【0058】
なお、車両カウル部37の外気取り入れ口37aから外気吸入口22を通過してケース20a内に流入した雨水は、エアフィルタ25、送風機40のスクロールケーシング41を通過して図示しない空調ユニットの蒸発器設置部の凝縮水排出経路を経て車両外部へ排出される。
【0059】
上記した内気一部混入の外気モードは、冬期暖房時のウォームアップ時のように、暖房用熱交換器の熱源である温水(エンジン冷却水)の温度が十分上昇せず、暖房能力が不足する場合に、低温外気の中に温度の高い内気(車室内空気)を一部混入することにより、車室内吹出空気(温風)の温度を高めて暖房能力を高めるために使用される。
【0060】
この冬期暖房時では車両窓ガラス温度の低下により車両窓ガラスの曇りが発生しやすい。その結果、窓ガラスの曇り防止のために、内気一部混入の外気モードにおける内気混入比率は10%程度の少量に設定される。従って、内気一部混入の外気モード時における外周壁面23aの外気吸入口22側への突出量L1も少量となる。これに伴って、庇状のカバー部37bの突出量も少量とすることができる。
【0061】
その結果、庇状のカバー部37bの形成により車両カウル部37の外気取り入れ口37aの開口面積がシール材38の開口部38aおよびケース20a側の外気吸入口22の開口面積より小さくなっても、外気吸入抵抗の増大は僅少量ですむ。そのため、外気取り入れ口37aの開口面積減少による外気吸入量への影響は実用上、ほとんど問題とならない。
【0062】
(第2実施形態)
第1実施形態では、内外気切替ドア23の外周壁面23aの突出部(所定量L1の部分)の上方側を覆う庇状のカバー部37bを車両カウル部37に形成しているが、第2実施形態では車両カウル部37にカバー部37bを形成せず、別の手段にて雨水が隙間35を通して車室内へ侵入することを防止するものである。
【0063】
すなわち、図7は第2実施形態による内気一部混入の外気モード時を示す要部拡大図であり、仕切り壁34のシール面31、32の端部に補助弾性シール材39を固着している。この補助弾性シール材39は、内外気切替ドア23の弾性シール材28、29と同材質(具体的にはエラストマゴム)であり、仕切り壁34のシール面31、32の端部の車両左右方向(図7の紙面垂直方向)の全域にわたってシート状に設けられる。
【0064】
そして、補助弾性シール材39は内外気切替ドア23の外周壁面23aに向かって突出し、補助弾性シール材39の先端部は外周壁面23a上に折れ曲がるようにして圧着するので、シール面31、32の端部と内外気切替ドア23の外周壁面23aとの所定間隔35a(第1実施形態の隙間35に相当する部分)を補助弾性シール材39により密封できる。
【0065】
従って、内気一部混入の外気モード時に雨水が内外気切替ドア23の外周壁面23a上を伝って車室内へ侵入することを確実に防止できる。また、第2実施形態によると、シール面31、32の端部と内外気切替ドア23の外周壁面23aとの間から低温外気が直接、車室内へ侵入することも同時に防止できる利点がある。
【0066】
なお、第2実施形態では、仕切り壁34のシール面31、32の端部に補助弾性シール材39を固着しているので、内外気切替ドア23の弾性シール材28、29は補助弾性シール材39の表面に圧着してシール面31、32との間のシール作用を果たすことになる。
【0067】
(他の実施形態)
なお、第1実施形態では、内外気切替装置20のケース20aにおいて、内外気切替ドア23の軸方向の左右両側の側面部に、内気吸入口21の第2開口部21bを配置する場合について説明したが、ケース20aの左右の側面部の一方のみに内気吸入口21の第2開口部21bを設け、他方の側面部は閉塞壁部とし、この閉塞壁部を、ロータリ式内外気切替ドア26の電気的アクチュエータの取付面、あるいはリンク部材の回転中心の支持部等の配置スペースとして利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による内外気切替装置を示す概略断面図である。
【図2】図1のロータリ式内外気切替ドアの右側面図である。
【図3】図1のロータリ式内外気切替ドアの斜視図である。
【図4】第1実施形態による内外気切替装置をより具体的に示す要部断面図であり、内気一部混入の外気モード時を示す。
【図5】図4の内外気切替装置における外気モード時を示す要部断面図である。
【図6】図4の内外気切替装置における内気モード時を示す要部断面図である。
【図7】第2実施形態による内外気切替装置の要部断面図である。
【図8】従来の内外気切替装置における内気モード時を示す要部断面図である。
【図9】従来の内外気切替装置における外気モード時を示す要部断面図である。
【図10】従来の内外気切替装置における内気一部混入の外気モード時を示す要部断面図である。
【符号の説明】
20…ケース、21…内気吸入口、22…外気吸入口、
23…内外気切替ドア、23a…外周壁面、23b…側板、24…回転軸、
28、29…弾性シール材、30〜33…シール面、35…隙間、
37…車両カウル部、37a…外気取り入れ口、37b…カバー部、
39…補助弾性シール材。
Claims (4)
- 内気吸入口(21)および外気吸入口(22)を有するケース(20a)と、
前記ケース(20a)内に回転可能に配置された内外気切替ドア(23)とを備え、
前記外気吸入口(22)の上方に車両カウル部(37)の外気取り入れ口(37a)が位置しており、
前記外気取り入れ口(37a)から外気が前記外気吸入口(22)を通して前記ケース(20a)内に流入するようになっており、
前記内外気切替ドア(23)は、外周壁面(23a)と、前記外周壁面(23a)の回転中心となる回転軸(24)と、前記外周壁面(23a)の軸方向の両側部と前記回転軸(24)の間を連結する側板(23b)とを有するロータリドア構造になっており、
前記回転軸(24)を中心として前記外周壁面(23a)および前記側板(23b)が回転変位することにより前記内気吸入口(21)と前記外気吸入口(22)を切替開閉する車両用空調装置の内外気切替装置において、
前記内外気切替ドア(23)が前記内気吸入口(21)の一部のみを開口し、前記外気吸入口(22)の大部分を開口する位置に回転操作されて、内気一部混入の外気モードを設定するときに、前記内外気切替ドア(23)の前記外周壁面(23a)のうち、前記外気吸入口(22)内に所定量(L1)突出する突出部の上方領域を覆うカバー部(37b)を前記車両カウル部(37)に備えることを特徴とする車両用空調装置の内外気切替装置。 - 前記カバー部(37b)は、前記車両カウル部(37)を構成する金属板材により一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の内外気切替装置。
- 前記内外気切替ドア(23)は、前記外周壁面(23a)および前記側板(23b)の周縁部表面に設けられた弾性シール材(28、29)を有し、
前記ケース(20a)のうち、前記内気吸入口(21)および前記外気吸入口(22)の周縁部には、前記弾性シール材(28、29)が圧着するシール面(30〜33)が形成されており、
前記カバー部(37b)は、前記シール面(30〜33)のうち、前記内気吸入口(21)および前記外気吸入口(22)の中間部に位置するシール面(31、32)よりも前記外気取り入れ口(37a)側へ突出するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置の内外気切替装置。 - 前記外気取り入れ口(37a)および前記外気吸入口(22)の車両後方側に前記内気吸入口(21)が配置されており、
前記カバー部(37b)は前記中間部に位置するシール面(31、32)より車両前方側へ突出することを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置の内外気切替装置。
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