JP4081899B2 - 車両用空調装置の内外気切替装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置の内外気切替装置におけるシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用空調装置では、低騒音に対する要望がますます強くなっている。このため、送風機の吸込損失(吸入抵抗)の低減により風量アップ、低騒音化を図っている。この送風機の吸込損失低減のためには、送風機の吸込側に配置される内外気切替装置の内外気の吸入口の開口面積を拡大する必要がある。
【0003】
そして、この内外気吸入口の開口面積拡大のための対策の1つとして、内外気切替ドアを通常の平板状の板ドアとせず、ロータリ式のドアにすることが従来、提案されている。このロータリ式ドアでは、ドア回動方向に延びる外周壁面を有し、この外周壁面の軸方向の両側部と回転軸との間を扇形の側板で連結した形状として、ドア外周側だけでなく、ドア軸方向の側方からも内外気を吸入可能にし、これにより、内外気の吸入口開口面積の増加を図っている。
【0004】
ところで、このようなロータリ式内外気切替ドアにおけるシール構造として、シール面を小さくし、開口面積を大きくするのためにリップシールタイプのものが提案されている。このリップシールタイプのロータリ式ドアでは、ドア基板部の周縁部表面から内気吸入口および外気吸入口側へ向かって突出するリップ状(薄板状)の弾性シール材を設け、また、内気吸入口と外気吸入口の周縁部には内外気切替ドア側へ突出する堤状部(シール面)を形成し、内気吸入口および外気吸入口の閉塞時には弾性シール材をケース側の堤状部に弾性変形させて圧着させる。これにより、内気吸入口および外気吸入口の閉塞時のシール作用を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らが上記したリップ状弾性シール材を設けたロータリ式内外気切替ドアについて試作評価したところ、車両の高速走行時には、外気吸入口を通して内外気切替ドアに大きな車両走行動圧(ラム圧)が加わるので、内気モード時にリップ状弾性シール材が走行動圧によって弾性変形して堤状部から離れるという現象が発生し、シール作用が悪化することが分かった。
【0006】
特に、ドア基板部の寸法ばらつきやリンクのがたが存在するときには、ドア基板部で適当なシール性(ドアシャット量)が確保されず、風洩れによるフィーリング悪化や異音発生という問題が生じることが分かった。
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、リップ状弾性シール材を有する内外気切替ドアにより内外気の吸入を切替えるものにおいて、車両走行動圧によるシール作用の悪化を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の点に着眼して、上記目的を達成するための技術的手段を案出したものである。
すなわち、ドアの回転軸から最も離れたドアの外周側がドアの微小回転に対する変位量が大きく、寸法ばらつきやリンクのがたによるシャット量不足も大きいという点に着目し、ドアの回転軸から離れた堤状部ほどドアシャット量を大きくすることにより上記問題を解決しようとするものである。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明では、内外気切替ドア(16、17)のドア基板部(16a〜17c)の周縁部表面から、内気吸入口(11、12)および外気吸入口(13)側へ向かって突出するリップ状弾性シール材(19a〜20b)とを備え、内気吸入口(11、12)と外気吸入口(13)の周縁部には内外気切替ドア(16、17)側へ突出する堤状部(21〜24)を形成し、リップ状弾性シール材(19a〜20b)を弾性変形させて堤状部(21〜24)のシール面(21a、22a、22b、23a、23b、24a)に圧着させる車両用空調装置の内外気切替装置において、外気吸入口(13)を通して内外気切替ドア(16)に加わる車両走行動圧によって、対向するリップ状弾性シール材(19a)が離れる方向に弾性変形する堤状部(22)の一のシール面(22a)と、対向するリップ状弾性シール材(19b)が圧着する方向に作用する堤状部(22、23)の他のシール面(22b、23a)とを備え、内外気切替ドア(16、17)は、回転軸(16b、17b)を中心に回動可能に構成されており、一のシール面(22a)は、少なくとも内外気切替ドア(16)の回転軸(16b)から最も離れた位置において、当該一のシール面(22a)のドアシャット量(d1 )が他のシール面(22b、23a)のドアシャット量(d2 )よりも大きくなる部位を有することを特徴としている。
【0009】
ここで、ドアシャット量とは、リップ状弾性シール材(19a〜20b)が堤状部(21〜24)の傾斜シール面(21a〜24a)に接触してから、内外気切替ドア(16、17)が所定位置まで移動して、内外気切替ドア(16、17)の移動が完了するまでに、堤状部(21〜24)が無ければ弾性シール材(19a、19b、20a、20b)が各堤状部(21〜24)の方向に移動したであろう距離を示す量である。
【0010】
これによると、リップ状弾性シール材(19a)が離れる方向に弾性変形する堤状部(22)のシール面(22a)は、他の堤状部(22)のシール面(22b)よりもドアシャット量(d1 )が大きくなる部位を有している。そのため、車両走行動圧が内外気切替ドア(16)にかかった場合にも、適正なドアシャット量(d1 )を確保することができ、当該箇所におけるシール性の悪化を防止することができる。
【0012】
ここで、内外気切替ドア(16)の微小回転に対する変位量は、外気切替ドア(16)の回転軸(16b)から最も離れた内外気切替ドア(16)の外周側程大きい。従って、寸法ばらつきやリンクのがたによるドアシャット量の不足も、回転軸(16b)から最も離れた内外気切替ドア(16)の外周側程大きい。そのため、少なくとも、回転軸(16b)から最も離れた位置におけるドアシャット量(d1 、d2 )を確保することで、リップ状弾性シール材(19a)が離れる方向に弾性変形する堤状部(22)のシール面(22a)におけるシール性の悪化を低減することが可能となる。
【0013】
なお、上記した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図6は本発明の第1実施形態を示すもので、図1、図2は車両用空調装置の通風系における内外気切替装置および送風機を含む送風機ユニット部を示すもので、図3は図1における内外気切替部の拡大図で、図4は図1のA−A断面図である。図1、2に示す送風機ユニット部は、通常、自動車の車室内前部の計器盤下方で、助手席側の部位に配置される。
【0015】
10は合成樹脂製の内外気切替箱(ケース)で、その下方には送風用スクロールケーシング30が隣接して配置されており、内外気切替箱10の内部はスクロールケーシング30のベルマウス状の吸入口31に連通している。
また、内外気切替箱10は、車室内空気を吸入する第1内気吸入口11および第2内気吸入口12と車室外空気を吸入する外気吸入口13とを有しており、外気吸入口13を中央に配置し、その両側に第1、第2内気吸入口11、12を配置している。換言すると、車両前後方向において、最も後方側に第1内気吸入口11を配置し、その前方側に外気吸入口13を配置し、最も前方側に第2内気吸入口12を配置している。
【0016】
第2内気吸入口12は内気吸入量増加のための補助吸入口である。なお、本例では、第1、第2内気吸入口11、12にそれぞれ車室内からの異物混入防止のための内気格子部材14、15が備えられている。
そして、内外気切替箱10内に内外気切替ドア16および補助内気ドア17が回動可能に収納されている。
【0017】
ここで、内外気切替ドア16は第1内気吸入口11と外気吸入口13を切替開閉し、また、補助内気ドア17は第2内気吸入口12を開閉するものであり、いずれも、ロータリ式ドアからなる。
ここで、ロータリ式ドア16、17を具体的に説明すると、各ドア16、17はドア回動方向に延びる外周壁面16a、17aを有し、この外周壁面16a、17aの軸方向の両側部と回転軸16b、17bとの間を扇形の側板16c、17cで連結した形状としている。そして、外周壁面16a、17aおよび扇形の側板16c、17cで構成されるドア基板部の大きさを第1、第2内気吸入口11、12および外気吸入口13を閉塞するに必要な大きさに設定してある。
【0018】
これにより、各ドア16、17は、ドア外周側の開口だけでなく、軸方向側方の開口をも開閉できる構成となっており、このように、ドア外周側および軸方向側方の両方の開口を開閉可能なドアを本明細書ではロータリ式ドアという。
なお、外周壁面16a、17aの形状が図示の例では平面状になっているが、外周壁面16a、17aを回転軸16b、17bを中心とする円弧状にしてもよいことはいうまでもない。
【0019】
上記のごときロータリ式ドア16、17の採用に伴って、第1、第2内気吸入口11、12の形状は、いずれも、ロータリ式ドア16、17の外周壁面16a、17aに対向する部位から側板16c、17cに対向する部位まで開口する門型に屈曲した開口形状になっている。これにより、内気の吸入開口面積を増加させて、内気モードによる最大冷房能力の向上を図っている。これに対し、外気吸入口13は図2に示すように通常の矩形状の平面開口形状になっている。
【0020】
図4に示すように、ロータリ式の内外気切替ドア16は、その左右両側の扇形の側板16c、16cの回転中心位置から軸方向外方へ回転軸16b、16bが突出しており、この左右の回転軸16b、16bは内外気切替箱10の軸受穴18、18に回転自在に支持されている。
また、左右両側の扇形の側板16c、16cの回転中心位置の内側部は補強部材16dにより連結され、ドア16のねじれ剛性の向上を図っている。また、外周壁面16aと扇形の側板16c、16cの内側空間16eはそのまま外部へ開口しているので、この内側空間16eを通って図4の紙面垂直方向には空気が自由に流通可能である。内外気切替ドア16の上述した要素16a〜16dは例えば、ポリプロピレンのような樹脂により一体成形で簡単に製造できる。
【0021】
なお、補強内気ドア17も上記内外気切替ドア16とドア基本構造は概略同一であり、同様の作動を行うので、具体的説明は省略する。
次に、上記ロータリ式内外気切替ドア16および補助内気ドア17におけるシール構造を説明すると、ドアシール構造は、リップシールタイプになっており、ドア16、17のうち、ドア基板部の周縁部16f、16g、17f、17gの表面、すなわち、外周壁面16a、17aおよび側板16c、17cの周縁部16f、16g、17f、17gの表面に、リップ状(薄板状)の弾性シール材19a、19b、20a、20bを設けている。この弾性シール材19a〜20bはエラストマゴムからなるもので、ドア基板部の樹脂材料と同系統のエラストマゴム(例えば、ポリプロピレン系のエラストマゴム)を選択することにより、弾性シール材19a〜20bをドア基板部の樹脂成形時に同時に一体成形することができる。
【0022】
弾性シール材19a〜20bは、ドア基板部から第1、第2内気吸入口11、12および外気吸入口側へ向かってリップ状(薄板状)に突出するものであり、図1、3、4に示すように、内外気切替ドア16の弾性シール材19a、19bは外周壁面16aと側板16cの周縁部16f、16g、17f、17g(ドア回動方向の両側端部の周縁部)に沿って門型に形成されている。補助内気ドア17の弾性シール材20a、20bも同様の門型に形成されている。
【0023】
一方、第1、第2内気吸入口11、12および外気吸入口13の周縁部には内外気切替ドア16、補助内気ドア17側へ突出する堤状部21、22、23、24を形成している。これらの堤状部21、22、23、24は、第1、第2内気吸入口11、12および外気吸入口13の閉塞時には、弾性シール材19a、19b、20a、20bの先端部が弾性変形して圧着する。
【0024】
従って、上記堤状部21〜24はいずれも、弾性シール材19a、19b、20a、20bの門型形状に対応した門型の形状にしてある。なお、図4には、弾性シール材19bおよび堤状部22の門型形状を図示している。また、各堤状部21〜24は弾性シール材19a、19b、20a、20bの先端部が圧着する傾斜シール面21a〜24a(図3参照)を形成している。
【0025】
ここで、第1内気吸入口11と外気吸入口13との間の堤状部22、および外気吸入口13と第2内気吸入口12との間の堤状部23には、それぞれ傾斜方向の異なる傾斜シール面22a、22b、傾斜シール面23a、23bを2つづつ形成している。なお、堤状部21〜24は内外気切替箱10の樹脂製ケース体に一体成形で形成することができる。
【0026】
図1、2の上下、左右方向は、車両搭載時における送風機ユニット部の上下、左右方向を示しており、ロータリ式の内外気切替ドア16および補助内気ドア17の回転軸16b、17bは内外気切替箱10内で上記各吸入口11〜13の下方側の略中心部にて車両左右方向に延びるように配置されており、各ドア16、17は車両前後方向に回動する。
【0027】
各ドア16、17の回転軸16b、17bの一端部は、内外気切替箱10の外部において図示しないドア操作機構に連結される。このドア操作機構としては、空調制御パネル(図示せず)に設けられた内外気切替操作部材(例えば、手動操作レバー)の手動操作力をケーブル、リンク機構等を介して回転軸16b、17bに伝達して、ドア16、17を回動操作するか、あるいは空調制御パネルの内外気切替操作部材により電気スイッチを作動させて、電気的アクチュエータ(サーボモータ等)を作動させ、この電気的アクチュエータによりリンク機構等を介して回転軸16b、17bに伝達して、ドア16、17を回動操作するようにしてもよい。
【0028】
図1において、25はエアフィルタで、コルゲート(波形)状の和紙または多孔質のウレタンフォーム等からなるフィルタ部材を樹脂製の枠体で支持するようにした構成となっている。ここで、エアフィルタ25の全体形状は図1に示すような平板状のものであって、空気中の塵埃を取り除くものであり、必要に応じて上記フィルタ部材に活性炭のような悪臭成分を吸着する吸着材を付加して脱臭機能をも発揮できるようにしてもよい。
【0029】
また、エアフィルタ25は、内外気切替箱10内において、ロータリドア16、17の回転軸16b、17bより空気下流側に配置されて、ロータリドア16、17の回動を妨げないように配置されている。
スクロールケーシング30は樹脂製のものであって、その内部にはスクロール形状の中心部位に遠心式多翼ファン(シロッコファン)からなる送風用ファン32が配置されており、このファン32の回転により吸入口31から吸入された空気が矢印Bのようにファン32の半径方向外方へ流れるようになっている。送風用ファン32は駆動用モータ33の回転軸34に連結されて回転する。
【0030】
図2において、スクロールケーシング30の空気出口部35には図示しない空調ユニットが連結されており、この空調ユニットを通過して送風空気が周知のごとく冷却、除湿、再加熱されて温度調整後に車室内へ吹き出すようになっている。
次に、本実施形態の作動を説明する。まず、最初に、内外気吸入の切替に関する基本的作動を説明する。内外気の切替は2つのロータリ式ドア16、17の回動により行うことができ、図1、3の実線位置は内気導入モードの状態を示している。すなわち、内外気切替ドア16の弾性シール材19aの先端部が堤状部22の傾斜シール面22aに弾性的に圧着し、また、弾性シール材19bの先端部が堤状部23の傾斜シール面23aに弾性的に圧着する。これにより、内外気切替ドア16の外周壁面16aおよび側板16cにより外気吸入口13を全閉し、第1内気吸入口11を全開する。
【0031】
このとき、補助内気ドア17は図1、3の実線位置に位置することより、補助内気ドア17の外周壁面17aおよび側板17cが第2内気吸入口12の開口面から開離して第2内気吸入口12を全開する。
従って、送風ファン32の作動により第1内気吸入口11と第2内気吸入口12の両方から内気を吸入して空調ユニット側へ送風できる。
【0032】
次に、外気モードが選択されると、図1、3の実線位置から内外気切替ドア16を反時計方向に所定角度回動して、図5の位置に操作する。これにより、内外気切替ドア16の弾性シール材19aの先端部が堤状部21の傾斜シール面21aに弾性的に圧着し、これと同時に、弾性シール材19bの先端部が堤状部22の傾斜シール面22bに弾性的に圧着する。
【0033】
この結果、第1内気吸入口11を内外気切替ドア16の外周壁面16aおよび側板16cにより全閉し、外気吸入口13を全開する。また、補助内気ドア17は図1、3の実線位置から時計方向に所定角度回動することにより、図5の位置に操作される。これにより、補助内気ドア17の弾性シール材20a、20bの先端部がそれぞれ堤状部23の傾斜シール面23b、堤状部24の傾斜シール面24aに弾性的に圧着し、外周壁面17aおよび側板17cにより第2内気吸入口12の開口面を全閉する。
【0034】
従って、送風ファン32の作動により外気吸入口13から外気のみを吸入して空調ユニット側へ送風できる。
ところで、図1、3に示す内気導入モードにおいて、車両高速走行時には、外気吸入口13を通して内外気切替ドア16の弾性シール材19a、19bに大きな車両走行動圧(ラム圧)が加わる。このとき、一方の弾性シール材19bには堤状部23の傾斜シール面23aに対してより一層圧着する方向に走行動圧が加わるので、自己シール作用が発生する。従って、弾性シール材19bに対しては走行動圧がシール性に何ら悪影響を与えない。
【0035】
これに反し、他方の弾性シール材19aは、堤状部22の傾斜シール面22aから開離する方向(図6(a)の矢印C参照)に走行動圧が加わるため、車両高速走行時に弾性シール材19aが走行動圧により弾性変形して傾斜シール面22aから開離し、シール性を悪化させるという現象が発生し、この結果、内気モード時に外気が混入するという不具合を生じる。
【0036】
そこで、本実施形態では、ラム圧によって、対向する弾性シール材19aが離れる方向に弾性変形する堤状部22の傾斜シール面22aは、対向する弾性シール材19bが圧着する方向に作用する堤状部22、23の傾斜シール面22b、23a等よりもドアシャット量が大きくなるように設けられる。ここで、ドアシャット量とは、リップ状弾性シール材19a〜20bが堤状部21〜24の傾斜シール面21a〜24aに接触してから、内外気切替ドア16、17が所定位置まで移動して、内外気切替ドア16、17の移動が完了するまでに、堤状部21〜24が無ければ弾性シール材19a、19b、20a、20bが各堤状部21〜24の方向に移動したであろう距離(図6におけるd1 、d2 )を示す量である。
【0037】
即ち、傾斜シール面は以下の特徴を有するように形成される。図6(a)は、内気モード時において、弾性シール材19aが堤状部22の傾斜シール面22aに当接する状態を示しており、弾性シール材19aはラム圧によってシール面22aから離れる方向に弾性変形する。一方、図6(b)は、外気モード時において、弾性シール材19bが堤状部22の傾斜シール面22bに当接する状態を示しており、弾性シール材19bはラム圧によってシール面22bに圧着する方向に弾性変形する。図6(a)、(b)に示されるように、堤状部22におけるドアシャット量は、d1 >d2 、即ち弾性シール材がシール面から離れる方向に弾性変形する側の方が圧着する方向に弾性変形する側よりも大きくなるように、傾斜シール面22aを弾性シール材19a側(図6(a)の左側)に所定距離拡張して設けられている。具体的には、堤状部22の傾斜シール面22aにおけるドアシャット量d1 が回転軸16bから最も離れた位置において堤状部22の傾斜シール面22aにおけるドアシャット量d2 よりも1〜4mm程度大きくなるように、傾斜シール面22aを内外気切替ドア16の回転円弧方向に平行に拡張設定される。
【0038】
なお、本実施形態では、図3、図5に示されるように、傾斜シール面22a側のドアシャット量は、回転軸16aから離れるに従って、一定の割合で大きくなるように設定される。
その結果、高速走行時のように、弾性シール材19aに車両走行動圧が矢印C方向から加わって、弾性シール材19aが走行動圧の印加方向Cへ変形する状態においても、弾性シール材19aが堤状部22の傾斜シール面22aに圧着した状態を良好に維持できる。従って、内気モードの高速走行時におけるシール性悪化(内気中への外気混入)を確実に防止できる。
【0039】
一方、外気モード時には、弾性シール材19aが堤状部21の傾斜シール面21aに圧着するが、この際は、図6(b)に示すように、走行動圧が弾性シール材19aを傾斜シール面21aに圧着させる方向(矢印C方向)に作用するので、走行動圧による自己シール作用が発生する。従って、走行動圧によるシール性悪化という懸念は全くない。
【0040】
なお、内外気切替ドア16の他方の弾性シール材19bは内気モード時、外気モード時のいずれでも、走行動圧が傾斜シール面22b、傾斜シール面23aに対する圧着方向へ作用して、自己シール作用が発生するので、ドアシャット量を大きくするように傾斜シール面を拡張する必要はない。
同様に、補助内気ドア17の弾性シール材20aは外気モード時に走行動圧が傾斜シール面23bに対する圧着方向へ作用するので、ドアシャット量を大きくするように傾斜シール面を拡張する必要はない。また、補助内気ドア17の他の弾性シール材20bには外気モード時に走行動圧が作用しないので、やはり、ドアシャット量を大きくするように傾斜シール面を拡張する必要はない。
【0041】
本実施形態では、弾性シール材19aが離れる方向に弾性変形する堤状部の傾斜シール面22aをドアシャット量が大きくなるように拡張した。これにより、堤状部22の傾斜シール面22aから開離する方向に走行動圧が加わった際にも、適当なシール性を確保することができ、内気モード時に外気が混入するという不具合を防止できる。また、傾斜シール面22aの拡張は、内外気切替ドア16の回転円弧方向に平行にされているため、空気通路面積を狭めることもない。
(第2実施形態)
第1実施形態においては、図3、図5に示すように、傾斜シール面22a側のドアシャット量は、回転軸16aから離れるに従って、一定の割合で大きくなるように設定した。しかし、図7に示すように、堤状部22のうち、回転軸16bから最も離れた部位周辺のみドアシャット量を増加させるようにしても、適当なシール性を確保し、風洩れを防止することが可能である。
【0042】
内外気切替ドア16の微小回転に対する変位量は、内外気切替ドア16の回転軸16bから最も離れた内外気切替ドア16の外周側が大きい。そのため、ドア基板部の寸法ばらつきやリンクのがたが存在するときに、ドアシャット量の不足も回転軸16bから離れるほど大きくなる。
しかし、堤状部22のうち、回転軸16bから最も離れた部位周辺のドアシャット量を増加させることにより、適当なシール性を確保し、風洩れを防止することが可能となる。また、風洩れによるフィーリング悪化や異音発生という問題も防止できる。
(他の実施形態)
また、第1及び第2実施形態においては、ロータリ式内外気切替ドア16の他に、ロータリ式補助内気ドア17を備える場合について説明したが、第2内気吸入口12および補助内気ドア17を廃止したものにも本発明を適用できることはもちろんである。
【0043】
また、第1〜第3実施形態においては、ロータリ式内外気切替ドア16の基板部(16a、16c)に弾性シール材19aを設けているが、本発明は、平板状の内外気切替ドアにリップ状の弾性シール材を設ける場合にも同様に適用できる。
また、第1〜第3実施形態においては、ロータリ式補助内気ドア17の基板部(17、17c)に弾性シール材20aを設けているが、本発明は、平板状の補助内気ドアにリップ状の弾性シール材を設ける場合にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する車両用空調装置の送風機ユニット部の縦断面図である。
【図2】図1の概略斜視図である。
【図3】図1の内外気切替装置部分の拡大断面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1に示す内外気切替ドア部分の外気モード時の概略断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示す内外気切替ドアの要部断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す内外気切替装置部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
10…内外気切替箱、11、12…第1、第2内気導入口、13…外気導入口
16…ロータリ式内外気切替ドア、17…ロータリ式補助内気ドア、
16a、17a…外周壁、16c、17c…側板、
19a〜20b…弾性シール材、21〜24…堤状部。
Claims (1)
- 内気吸入口(11、12)と外気吸入口(13)を有する内外気切替箱(10)と、
前記内外気切替箱(10)内に配置され、前記内気吸入口(11、12)と前記外気吸入口(13)を切替開閉する内外気切替ドア(16、17)とを備え、
前記内外気切替ドア(16、17)は、前記内気吸入口(11、12)および前記外気吸入口(13)を閉塞するに必要な大きさを有するドア基板部(16a〜17c)と、前記ドア基板部(16a〜17c)の周縁部表面から、前記内気吸入口(11、12)および前記外気吸入口(13)側へ向かって突出するリップ状弾性シール材(19a〜20b)とから構成されており、
前記内気吸入口(11、12)と前記外気吸入口(13)の周縁部には前記内外気切替ドア(16、17)側へ突出する堤状部(21〜24)を形成し、
前記リップ状弾性シール材(19a〜20b)を弾性変形させて前記堤状部(21〜24)のシール面(21a、22a、22b、23a、23b、24a)に圧着させる車両用空調装置の内外気切替装置において、
前記外気吸入口(13)を通して前記内外気切替ドア(16)に加わる車両走行動圧によって、対向する前記リップ状弾性シール材(19a)が離れる方向に弾性変形する前記堤状部(22)の一のシール面(22a)と、対向する前記リップ状弾性シール材(19b)が圧着する方向に作用する前記堤状部(22、23)の他のシール面(22b、23a)とを備え、
前記内外気切替ドア(16、17)は、回転軸(16b、17b)を中心に回動可能に構成されており、
前記一のシール面(22a)は、少なくとも前記内外気切替ドア(16)の前記回転軸(16b)から最も離れた位置において、当該一のシール面(22a)のドアシャット量(d1 )が前記他のシール面(22b、23a)のドアシャット量(d2 )よりも大きくなる部位を有することを特徴とする車両用空調装置。
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