JP4310898B2 - 車両用内外気切換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリ式の内外気切換ドアを備える車両用内外気切換装置に関するもので、内気モード時における内外気切換ドアのシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のロータリ式の内外気切替ドアは、内外気切替箱に形成された軸中心を同じくする2つの軸受け穴に挿入される回転軸と、その回転方向に延びる外壁板と、外壁板のうち回転軸の軸方向の両側部と回転軸との間を連結する2枚の側壁板とからなる門型形状に形成されている。また、側壁板および外壁板の周縁部にはパッキンが備えられ、内外気切換箱にはパッキンに対応した形状のシール面が形成されている。
【0003】
そして、内外気切替ドアと内外気切換箱とのシール作用のうち、回転軸の回転方向においては、パッキンをシール面に押し付けることによりシールするようになっている。一方、回転軸の軸方向においては、側壁板のうち回転軸周辺の部分と内外気切換箱の内面との間に、内外気切替ドアを回転させるための隙間を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内外気切替ドアが内外気切替箱に開口する外気吸入口を閉じて内気吸入口を開いたとき(内気モード時)、内外気切替ドアの外気吸入口側の外気は車両走行動圧(ラム圧)を受けて気圧が高くなっている。
【0005】
そして、上記従来の内外気切換ドアのシール構造では、側壁板のうち回転軸周辺の部分と内外気切換箱の内面との間に隙間を有しているので、車両走行動圧を受けた外気が隙間から洩れ出てしまう。従って、内気モード時に吸入された内気に外気が混入してしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、内気モード時において、内外気切換ドアから内外気切換箱内に外気が洩れ出てしまうことを抑制することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内外気切替箱(10)内部に回転軸中心(φ)まわりに回転可能に配置されて、内気吸入口(11)および外気吸入口(12)を切替開閉する内外気切替ドア(30)とを備える車両用空調装置において、内外気切替ドア(30)は、弾性変形可能な材質で形成されているとともに、その回転方向に延びる外壁板(30b)、外壁板(30b)の回転軸方向の両側部から回転軸中心(φ)に向かってそれぞれ延びる2枚の側壁板(30c)、および、それぞれの側壁板(30c)に設けられて内外気切替箱(10)に形成された軸受け穴(13)に挿入される2つの回転軸(30a)を有するロータリ式ドアであり、内外気切替ドア(30)が弾性変形していない自然状態において、2枚の側壁板(30c)は、外壁板(30b)の垂直方向に対して回転軸(30a)が互いに遠ざかる向きであって、外壁板(30b)よりも回転軸中心(φ)方向外側に向かって、それぞれ傾斜しているとともに、回転軸(30a)周辺の部分と内外気切替箱(10)との間には隙間(CL)が形成されており、内外気切替ドア(30)が外気吸入口(12)を閉じて内気吸入口(11)を開いた状態で、外壁板(30b)に車両走行動圧が加わったときに、2枚の側壁板(30c)のうち回転軸(30a)が互いに遠ざかる向きに変位することによって、回転軸(30a)周辺の部分が変位に伴って内外気切換箱(10)に押し当てられるようになっていることを特徴としている。
【0008】
従って、内外気切替ドア(30)が外気吸入口(12)を閉じて内気吸入口(11)を開いたときの車両走行動圧により内外気切替ドア(30)は弾性変形され、この弾性変形により2枚の側壁板(30c)は回転軸中心(φ)方向において互いに遠ざかる向きに変位し、この変位に伴って、側壁板(30c)のうち回転軸(30a)周辺の部分は内外気切換箱(10)に押し当てられる。
【0009】
これにより、回転軸中心(φ)方向において、側壁板(30c)のうち回転軸(30a)周辺の部分と内外気切換箱(10)とをシールすることができる。よって、内外気切替ドア(30)が外気吸入口(12)を閉じて内気吸入口(11)を開いたときに外気が洩れ出てしまうことを抑制できる。
【0010】
なお、車両の走行速度が小さくなり、車両走行動圧が低くなると、内外気切替ドア(30)の弾性変形による側壁板(30c)の変位が小さくなり、側壁板(30c)のうち回転軸(30a)周辺の部分が内外気切換箱(10)の内面に押し当てられなくなる。しかし、車両走行動圧の低下にともなって、内外気切替ドア(30)の外気吸入口(12)側における外気の圧力が低くなり、内外気切換ドアから内外気切換箱(10)内に洩れ出てしまう外気の風量は無視できる程度に小さくなるため、実質上の不具合にはならない。
【0011】
た、側壁板(30c)のうち回転軸(30a)周辺の部分が内外気切換箱(10)に押し当てられると、内外気切換ドア(30)が回転する際に摺動抵抗になる。しかし、この摺動抵抗は、車両運転時のうち、車両走行動圧が側壁板(30c)を内外気切換箱(10)に押し当てる程度の圧力になる時にのみ生じるため、常に側壁板(30c)を内外気切換箱(10)に押し当てる場合に比べて摺動抵抗となる頻度を低減できる。
【0012】
ところで、外壁板(30b)に加わる車両走行動圧により、外壁板(30b)が側壁板(30c)を押す力の方向は、外壁板(30b)の略垂直方向である。ここで、側壁板(30c)が前記垂直方向に対して平行に形成されている場合には、側壁板(30c)には、内外気切換ドア(30)の回転方向を軸とした回転モーメントがほとんど発生しないため、側壁板(30c)のうち回転軸(30a)を互いに遠ざかる向きに変位させることは困難である。
【0013】
これに対し、内外気切替ドア(30)が弾性変形していない自然状態において、2枚の側壁板(30c)が、外壁板(30b)の垂直方向に対して回転軸(30a)が互いに遠ざかる向きであって、外壁板(30b)よりも回転軸中心(φ)方向外側に向かって、それぞれ傾斜しているとともに、回転軸(30a)周辺の部分と前記内外気切替箱(10)との間には隙間(CL)が形成されているので、側壁板(30c)に発生する、内外気切換ドア(30)の回転方向を軸とした回転モーメントを増大させることができるため、側壁板(30c)のうち回転軸(30a)を互いに遠ざかる向きに変位させることを容易にできる。
【0014】
なお、本請求項に記載の傾斜とは、例えば、樹脂成形における金型の脱型するための抜き勾配(通常1〜2度)に比べて十分大きい傾斜を意味するものであり、請求項に記載の発明では、側壁板(30c)と外壁板(30b)の垂直方向とのなす傾斜角度(θ)を10度以上にすることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明では、回転軸(30a)周辺の部分には、内外気切替ドア(30)が外気吸入口(12)を閉じて内気吸入口(11)を開いた状態で、外壁板(30b)に車両走行動圧が加わったときに、内外気切換箱(10)内面のうち軸受け穴(13)の周辺部分に押し当てられる軸方向用シール部材30eが設けられていることを特徴としている。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態を示し、車両用空調装置の通風系における内外気切替装置および送風機を含む送風機ユニット部を示すもので、図1は内気モード時を示す。
【0020】
図1に示す送風機ユニット部は、通常、自動車の車室内前部の計器盤下方で、助手席側の部位に配置される。なお、図1の上下、前後方向は、車両搭載時における送風機ユニット部の上下、前後方向を示している。10は合成樹脂製の内外気切替箱(ケース)で、その下方には送風用スクロールケーシング20が隣接して配置されており、内外気切替箱10の内部はスクロールケーシング20のベルマウス状の吸入口21に連通している。
【0021】
そして、スクロールケーシング20内部のうちベルマウス状の吸入口21の上流には、エアフィルタ22が配置されている。このエアフィルタ22は、空気中の塵埃を取り除くものであり、必要に応じて活性炭のような悪臭成分を吸着する吸着材を付加して脱臭機能をも発揮できるようにしてある。なお、このエアフィルタ22を設けない空調装置に対しても本発明を適用できることは勿論である。
【0022】
また、スクロールケーシング20内部のうちエアフィルタ22の下流には遠心式多翼ファン(シロッコファン)からなる送風用ファン24が配置されており、このファン24の回転によりベルマウス状の吸入口21から吸入された空気がファン24の半径方向外方へ流れるようになっている。送風用ファン24は駆動用モータ25の回転軸26に連結されて回転する。
【0023】
ところで、内外気切替箱10は、車室内空気を吸入する内気吸入口11と車室外空気を吸入する外気吸入口12とを有している。車両前後方向において、後方側に内気吸入口11を配置し、その前方側に外気吸入口12を配置している。
【0024】
そして、内外気切替箱10には軸中心を同じくする2つの軸受け穴13が形成されており、この軸受け穴13を回転軸中心φとして回転するようにロータリ式の内外気切換ドア30が内外気切換箱10内に配置されている。
【0025】
図2は内外気切換ドア30を示す斜視図であり、ドア30は、内外気切替箱10に形成された2つの軸受け穴13に挿入される2つの回転軸30aと、ドア回転方向に延びる外壁板30bと、この外壁板30bの軸方向の両側部と回転軸30aとの間を連結する2枚の側壁板30cとを有する。すなわち、図1のA−A断面図である図3(a)に示すように、内外気切換ドア30は門型の断面形状に形成されている。なお、回転軸30aは、側壁板30cから軸方向外方へ突出して、軸受け穴13に回転自在に支持される。また、回転軸30aの一端部は、内外気切替箱10の外部において図示しないドア操作機構に連結されて回転操作される。
【0026】
また、外壁板30bの大きさは、外気吸入口12を閉塞するに必要な大きさに設定してあり、外壁板30bおよび側壁板30cの大きさは、内気吸入口11を閉塞するに必要な大きさに設定してある。また、図3(a)に示すように、内外気切替ドア30が弾性変形(後に詳述する)していない自然状態において、2枚の側壁板30cは、外壁板30bの垂直方向に対して矢印cの向きにそれぞれ傾斜している。本実施形態では、側壁板30cの傾斜角度θは、10度に形成されている。また、図4は図3(a)のB−B断面図であり、外壁板30bは、ドア回転方向に波うつ波形状(凹凸形状)に形成されている。
【0027】
また、図2に示すように、側壁板および外壁板の周縁部にはドア外方に延びるリブ30dが形成されており、リブ30dの表裏両面には、パッキン31、32が備えられている。これらのパッキン31、32は、例えばウレタン等の多孔質発泡材により板状に成形され、リブ30dに接着剤により固着されている。
【0028】
一方、図4に示すように、内気吸入口11および外気吸入口12の開口縁部には、内外気切替ドア30側へ突出するシール面14、15を一体に形成している。このシール面14、15にはパッキン31、32がドア回転方向に面当たりして押し付けられて内外気切換ドア30と内外気切替箱10とをシールするようになっている。
【0029】
また、図1〜図4に示すように、回転軸30a周面のうち、リブ30dに挟まれた側壁板30c側の面には扇形状に突出する軸方向用シール部材30eが形成されている。そして、図2に示すように軸方向用シール部材30eの軸受け穴13に対向する側の面は、リブ30dの端面と同一平面上になるように形成されている。なお、本実施形態において、側壁板30cのうち回転軸中心φ周辺の部分とは、側壁板30cの面上の部分に限ることなく、回転軸30aの周面上の部分をも含む意味である。
【0030】
以上のように内外気切換ドア30を構成する部材のうち、回転軸30a、外壁板30b、側壁板30c、リブ30d、および軸方向用シール部材30eは、樹脂(例えばポリプロピレン)により一体成形されている。
【0031】
そして、このような構成の内外気切換ドア30は、弾性変形可能に形成されており、図3(a)は弾性変形していない自然状態の内外気切換ドア30と内外気切換箱10との位置関係を示し、図3(b)は弾性変形した状態を示している。
【0032】
この弾性変形について詳述すると、後述の外気モードのときに、外壁板30bに加わる車両走行動圧(ラム圧)により、2枚の側壁板30cのうち回転軸30aの部分が軸方向に互いに遠ざかる向き(図3(a)の矢印cの向き)に変位するように弾性変形する。すなわち、ラム圧により外壁板30bは側壁板30cに向かって押される。これにより、側壁板30cは回転軸30aに向かって押される。よって、回転軸30aは軸受け穴13をスライドして、軸方向のうち内外気切替箱10の外側に向かってそれぞれ変位する。この変位に伴って、軸方向用シール部材30eが内外気切換箱10内面のうち軸受け穴13の周辺部分に押し当てられるようになっている。
【0033】
因みに、本実施形態では、ラム圧が200Pa以上のときに軸方向用シール部材30eが内外気切換箱10に押し当てられるようになっている。
【0034】
ところで、内気吸入口11は内外気切替ドア30の外壁板30bだけでなく側壁板30cによっても開閉されるため、内外気切替箱10の車両後方側の面に位置する開口部11aの他に内外気切替箱10の車両左右方向(図1の紙面垂直方向)の両側面に位置する開口部11bを有している。従って、内気吸入口11の形状は、ロータリ式ドア30の外壁板30bに対向する部位から両側壁板30cに対向する部位まで開口する門型に屈曲した開口形状になっている。これにより、内気の吸入開口面積を増加させて、内気モードによる最大冷房能力の向上を図っている。これに対し、外気吸入口12は通常の矩形状の平面開口形状になっている。
【0035】
以上の説明から理解されるように、内外気切替ドア30は、内気吸入口11におけるドア外周側の開口部11aだけでなく、軸方向側方の開口部11bをも開閉できる構成であって、このように、ドア外周側の開口部11aと軸方向側方の開口部11bの両方を開閉できるドアを本明細書ではロータリ式ドアという。
【0036】
また、外壁板30bと側壁板30cとの間の内側空間は、図3の紙面垂直方向にそのまま外部へ開口しているので、この内側空間を通って図1、図4の矢印aのように空気が自由に流通可能である。
【0037】
次に、以上の構成による作動を説明する。
【0038】
はじめに、内外気吸入の切替に関する基本的作動を説明すると、内外気の切替はロータリ式内外気切替ドア30を回転軸30a周りに回動することにより行うことができ、図1は内気モードの状態を示している。
【0039】
すなわち、内外気切替ドア30のパッキン31、32が外気吸入口12側のシール面14、15に押し付けられて圧着し、外気吸入口12を全閉し、内気吸入口11を全開する。従って、送風ファン24の作動により内気吸入口11から内気を吸入して空調ユニット側へ送風できる。
【0040】
次に、外気モードが選択されると、図1の位置から内外気切替ドア30を反時計方向に所定角度回動操作する。これにより、内外気切替ドア30のパッキン31、32が内気吸入口11側のシール面に押し付けられて圧着する。
【0041】
この結果、内気吸入口11におけるドア外周側の開口部11aおよび軸方向側方の開口部11bを、内外気切替ドア30の外壁板30bおよび側30cにより全閉し、外気吸入口12を全開する。従って、送風ファン24の作動により外気吸入口12から外気のみを吸入して空調ユニット側へ送風できる。
【0042】
ところで、外気モード時において、内外気切換箱10に形成された符号14に示すシール面と符号15に示すシール面は回転軸30a周辺の部分で分断せざるを得ない(図4参照)。そして、図3(a)に示すように、内外気切換ドア30が弾性変形していない状態においては、回転軸30aに形成された軸方向用シール部材30eと内外気切換箱10との間は、隙間CL(例えば0.5mm)を有している。この隙間CLによりドア30回動時の摺動抵抗を小さくしている。しかし、内外気切替ドア30の外気吸入口12側の外気がラム圧を受けて高い気圧になっている場合には、図3(a)および図4の矢印bに示すように隙間CLから外気が流れて洩れ出てしまう。
【0043】
これに対し、本実施形態では、前述のように、内外気切換ドア30がラム圧により弾性変形して、この弾性変形により2枚の側壁板30cのうち回転軸30aの部分が軸方向に互いに遠ざかる向きに変位し、この変位に伴って、軸方向用シール部材30eは内外気切換箱10に押し当てられる。これにより、回転軸30a方向において、シール部材30eが内外気切換箱10に押し付けられて密着するので、ドア30と内外気切換箱10とを回転軸30a方向にシールすることができる。よって、内気モードのときに外気が洩れ出てしまうことを抑制できる。
【0044】
また、本実施形態では、2枚の側壁板30cを、外壁板30bの垂直方向に対して傾斜させているので、側壁板30cに発生する、内外気切換ドア30の回転方向を軸とした回転モーメントを増大させることができるため、2枚の側壁板30cのうち回転軸30aの部分を軸方向に互いに遠ざかる向きに変位させることを容易にできる。
【0045】
また、本実施形態では、外壁板30bを、ドア回転方向に波うつ波形状に形成している。これにより、車両走行動圧に対する回転軸中心φの垂直方向の剛性が平板形状である場合に比べて高くなる。よって、外壁板30bにおける回転軸中心φの垂直方向のたわみ量を平板形状である場合に比べて小さくできる。よって、側壁板30cに発生する、内外気切換ドア30の回転方向を軸とした回転モーメントを増大させることができるため、側壁板30cのうち回転軸30aの部分を軸方向に互いに遠ざかる向きに変位させることをより一層容易にできる。
【0046】
ところで、内外気切替ドア30の外壁板30bが波形状とは異なる平板形状や、円弧形状に形成された場合には、内気モード時に外壁板30bにおいて、ファン吸入口21で発生する送風騒音が内気吸入口11側(図4の左側)に向かって反射されるため、送風騒音が車室内へ放出されるという問題が生じる。
【0047】
これに対し、本実施形態では外壁板30bは波形状に形成されているので、図4の矢印cに示すように、ファン吸入口21で発生する送風騒音は内気吸入口11の反対側(図4の右側)に向かって反射されるため、送風騒音を内外気切替箱10内で乱反射させて車室内への放出を低減できる。特に、外壁板30bのうち図4の左右方向に延びる左右壁面F1を、内気吸入口11の反対側に向かって傾斜するように形成すれば、送風騒音を内気吸入口11の反対側に向かって反射させることを確実にでき、好適である。
【0048】
因みに、特開平9−188124号公報に記載のロータリ式内外気切換ドアでは、ドアの外壁板30bの内側(回転軸30a側)に、図4の紙面垂直方向に延びるリブを形成して上述のような騒音低減を図るようにしているが、これによれば、リブが内気吸入口11から吸い込まれる空気の吸込抵抗を増大させてしまうという問題が生じていた。
【0049】
これに対し、本実施形態では、前述のように、リブを用いることなく波形状に形成された外壁板30bにより騒音低減を図っているので、上記公報における吸込抵抗の増大を抑制できる。特に、外壁板30bのうち図4の上下方向に延びる上下壁面F2を、内気吸入口11の反対側に向かって傾斜するように形成すれば、図4の矢印dに示すように吸い込み空気の向きをファン吸入口21に向かってなだらかに偏向でき、吸込抵抗の増大をより一層抑制でき、好適である。
【0050】
以上のように、外壁板30bを波形状に形成することにより、側壁板30cのうち回転軸30aの部分を軸方向に互いに遠ざかる向きに変位させることをより一層容易にするとともに、吸込抵抗の増大を抑制しつつ騒音低減を図ることができる。
【0051】
(第2実施形態)
図5は、本実施形態を示す内外気切換ドア30のA−A断面図であり、(a)は内外気切換ドアが弾性変形していない自然状態を示し、(b)は内外気切換ドアが弾性変形している状態を示している。
【0052】
ところで、第1実施形態では、軸方向用シール部材30eを回転軸30aの周面に形成し、内外気切換ドア30の弾性変形により側壁板30cを変位させ、この変位に伴って、軸方向用シール部材30eが内外気切換箱10に押し当てられてシールするようになっている。これに対し、本実施形態では、図5に示すように、軸方向用シール部材30eを廃止し、側壁板30cのうち回転軸30a周辺の部分を、内外気切換箱10の内面に対して平行な軸方向用シール面30fに形成し、前記変位に伴って、この軸方向用シール面30fが内外気切換箱10に押し当てられてシールするようになっている。
【0053】
(他の実施形態)
第1実施形態における軸方向用シール部材30e、および第2実施形態における側壁板30cの軸方向用シール面30fは、直接、内外気切換箱10と密着するようになっているが、これらのシール部材30eやシール面30fに、弾性変形する弾性材(例えばウレタン等の多孔質発泡材)を貼り付けるようにして、内外気切換箱10との密着性を高めるようにしてもよい。
【0054】
また、第1、第2実施形態では、外壁板30bを波形状に形成して、外壁板30bが平板である場合に比べて剛性が高くなるようにしてあるが、このような形状は一例示にすぎず、波形状を廃止して平板にしてもよく、この平板の内側(回転軸30a側)に、図4の紙面垂直方向に延びるリブを形成して、外壁板30bの剛性が平板に比べて高くなるようにしてもよい。また、外壁板30bを回転軸30aを中心とした円弧形状に形成して、外壁板30bの剛性が平板に比べて高くなるようにしてもよい。
【0055】
また、第1、第2実施形態では、回転軸30aを内外気切換ドア30に形成し、回転軸30aが挿入される軸受け穴13を内外気切換箱10に形成しているが、回転軸30aを内外気切換箱10に形成し、軸受け穴13を内外気切換ドア30に形成するようにしてもよい。
【0056】
また、第1、第2実施形態では、パッキン31、32を、例えばウレタン等の多孔質発泡材により板状に成形し、リブ30dに接着剤により固着しているが、パッキン31、32を、内外気切換ドア30のうち符号30a、30b、30c等の樹脂材料(例えばポリプロピレン)と同系統のエラストマゴム(例えば、ポリプロピレン系のエラストマゴム)によりポリプロピレンの樹脂成形時に同時に一体成形するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用空調装置の内外気切替装置および送風機ユニット部の一部断面側面図で、内気モード時を示す。
【図2】図1の内外気切換ドア単体の斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図であり、(a)は内外気切換ドアが弾性変形していない自然状態を示し、(b)は内外気切換ドアが弾性変形している状態を示す。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による内外気切換ドアの断面図であり、(a)は内外気切換ドアが弾性変形していない自然状態を示し、(b)は内外気切換ドアが弾性変形している状態を示す。
【符号の説明】
10…内外気切替箱、11…内気吸入口、12…外気吸入口、
30…内外気切替ドア、30a…回転軸、30b…外壁板、30c…側壁板、
30e…軸方向用シール部材。

Claims (3)

  1. 内気吸入口(11)および外気吸入口(12)を有する内外気切替箱(10)と、
    前記内外気切替箱(10)内部に回転軸中心(φ)まわりに回転可能に配置されて、前記内気吸入口(11)および前記外気吸入口(12)を切替開閉する内外気切替ドア(30)とを備える車両用空調装置において、
    前記内外気切替ドア(30)は、弾性変形可能な材質で形成されているとともに、その回転方向に延びる外壁板(30b)、前記外壁板(30b)の回転軸方向の両側部から前記回転軸中心(φ)に向かってそれぞれ延びる2枚の側壁板(30c)、および、それぞれの前記側壁板(30c)に設けられて前記内外気切替箱(10)に形成された軸受け穴(13)に挿入される2つの回転軸(30a)を有するロータリ式ドアであり、
    前記内外気切替ドア(30)が弾性変形していない自然状態において、前記2枚の側壁板(30c)は、前記外壁板(30b)の垂直方向に対して前記回転軸(30a)が互いに遠ざかる向きであって、前記外壁板(30b)よりも前記回転軸中心(φ)方向外側に向かって、それぞれ傾斜しているとともに、前記回転軸(30a)周辺の部分と前記内外気切替箱(10)との間には隙間(CL)が形成されており、
    前記内外気切替ドア(30)が前記外気吸入口(12)を閉じて前記内気吸入口(11)を開いた状態で、前記外壁板(30b)に車両走行動圧が加わったときに、前記2枚の側壁板(30c)のうち前記回転軸(30a)が互いに遠ざかる向きに変位することによって、前記回転軸(30a)周辺の部分が前記変位に伴って前記内外気切換箱(10)に押し当てられるようになっていることを特徴とする車両用内外気切換装置。
  2. 前記側壁板(30c)と前記外壁板(30b)の垂直方向とのなす傾斜角度(θ)は10度以上であることを特徴とする請求項に記載の車両用内外気切換装置。
  3. 前記回転軸(30a)周辺の部分には、前記内外気切替ドア(30)が前記外気吸入口(12)を閉じて前記内気吸入口(11)を開いた状態で、前記外壁板(30b)に車両走行動圧が加わったときに、前記内外気切換箱(10)内面のうち前記軸受け穴(13)の周辺部分に押し当てられる軸方向用シール部材30eが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内外気切替装置。
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