JP3948452B2 - 荷重センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は車両の座席下に設けて乗員の体重を測定し、その体重によってエアーバッの動作方法を調整するスマートエアーバッグあるいは各種荷重を測定する荷重センサ及びその製造方法に関するものである。
従来から金属基板上に絶縁層を形成し、その絶縁層の表面に厚膜抵抗を形成した圧力センサが提案されており、この圧力センサに用いるガラスグレーズ絶縁層には金属材料と熱膨張係数を近づけたガラスを用いることが紹介されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
例えば、下地の熱膨張係数が70×10-7/℃の場合は熱膨張係数が70×10-7/℃の抵抗体材料を使えばよい。この場合市販のアルミナ基板(熱膨張係数は約70×10-7/℃)用の抵抗体材料を流用することが可能である。こうした対策として下地材料と抵抗体材料の熱膨張係数をマッチングさせることが提案されている。またグレーズされたステンレス基板の上に形成する抵抗体を例にとり、TCR特性(抵抗温度係数)をマッチングさせるため、抵抗体に用いるガラスの熱膨張係数を基板に合わせることが提案されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献2が知られている。
更に、抵抗体を例にとり抵抗体の中に含まれているガラスフリットの熱膨張係数を基板の熱膨張係数に近似させることが提案されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献3が知られている。
一方、抵抗体の安定化のために抵抗体と下地ガラスとの相互拡散防止が提案されてきた。例えば抵抗体を2種類使って抵抗体とその下地とのマッチングを改善する方法が提案されている。具体的には金属基板の上に絶縁層を介して第1の抵抗体と第2の抵抗体を形成し、前記第1の抵抗体の抵抗値を前記第2の抵抗体の抵抗値より高く設定しておくことでたとえ第1の抵抗体が下地の絶縁層の影響を受けた場合でも抵抗値に対する影響を最小限に抑えようとする手法が提案されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献4が知られている。
また、金属基板上に形成されたガラス層と抵抗体との相互拡散の影響を抑えるためにガラス層と抵抗体との間に粒子状アルミナと粒子状酸化亜鉛を含むガラス層を形成することが提案されている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献5が知られている。
特開昭63−298128号公報 特開昭61−67901号公報 特開平6−294693号公報 特開平9−273968号公報 特許第3010166号公報
しかしながら上記従来の構成では、抵抗体を用いた各種デバイスが広く使われるにつれて抵抗体のGF(Gauge Factor、一般的には歪みゲージである箔ゲージで呼ばれる感度に相当する)の向上が望まれているが、抵抗体の場合、GFが高くなるほどその特性が不安定になりやすいという課題があった。
例えば、下地の熱膨張係数が100×10-7/℃の場合は熱膨張係数が100×10-7/℃に近い抵抗体材料を用いる必要がある。同様に140×10-7/℃の熱膨張係数の基板に対しては140×10-7/℃の抵抗体材料が必要であった。しかし市販の抵抗体材料はせいぜいアルミナ基板用のものであり、それ以外の熱膨張係数を有する抵抗体材料は市販されておらず、こうした抵抗体材料を新規開発することも難しかった。これは抵抗体材料の開発は単にGFだけではなく、TCRやノイズ特性、各種信頼性等の様々なパラメータを最適化する必要があるためであり、個々の材料の熱膨張係数に応じた抵抗体材料の開発は実質的に不可能であった。
そして、抵抗体材料と下地材料の相互拡散の影響を抑えられるとしても課題が残る。それは金属基板と抵抗体材料の熱膨張係数の差は吸収できないため金属基板の熱膨張係数に合わせて複数種の抵抗体ペーストを用意する必要があった。また金属基板と抵抗体材料の熱膨張係数の差による抵抗体の内部での応力発生は防止できない点である。
さらに、実際の荷重センサに使われる基板に金属を用いた場合、熱膨張係数以外にも色々な抵抗値を不安定化させる要因がある。例えば肉厚の金属板を金型で打抜きユーザーの求める複雑な寸法形状の荷重センサを製造する場合、前記金属板の内部応力が問題になる。このように基板を打抜きプレス等で加工した際に発生した残留応力、打抜き時に発生した反りを修正するための反り修正(一般的にわざと逆反りさせて修正する)、焼鈍化等でこうしたパラメータも実際の基板の熱膨張の割合を左右してしまう。そのため同じ熱膨張係数100×10-7/℃の金属基板を用いた場合でも厚みが1mm、2mm、5mmと異なるだけでその熱膨張や反りの具合が変化してしまう。例えば厚みが1mmや2mmまでなら同じプレスで打抜いたとしても打抜き直後の基板の反りが異なるため、反り修正をした場合でも850℃で焼成するとその反り度合が微妙に異なる。更に厚みが5mmのように厚い基板はプレス方法自体も違うために焼成時の反りが大きく変わる。このような基板の反りや変形も抵抗体には一種の熱膨張係数のように影響を与えてしまうため抵抗値を不安定化させやすい。しかしこうした課題に対して有効な対策は提案されていなかった。またこうした加工時の歪みは金型を使った加工以外でもレーザー加工等でも共通して発生する課題である。
しかしながら、上記従来の荷重センサでは、基板の違い(材質、厚み、形状)やその加工方法(機械加工での残留応力、焼鈍し方法、打抜きやプレス方法等)によってもその上に抵抗体を形成した場合、前記抵抗体の内部に応力が発生し、抵抗体のGF値が大きくなるほど抵抗値が経時変化しやすくなるという課題があった。
本発明は抵抗体とその下地の熱膨張係数の差を抵抗体の下に形成した調整層によって吸収させようとするものであり、抵抗体の下に調整層を形成することで抵抗体の内部に残る応力を低減し、抵抗値の経時変化を抑えるものであり、一つの抵抗体であっても熱膨張係数や形状、厚み等の異なる様々な基板の上に形成することができる荷重センサ及び荷重センサの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板上に形成するガラス層と、前記ガラス層上に形成する調整層と、前記ガラス層上に形成する複数の配線と、前記調整層上に形成され、前記配線に接続した感歪抵抗とからなり、前記ガラス層の熱膨張係数より前記調整層の熱膨張係数は前記感歪抵抗体の熱膨張係数に近い、荷重センサであり、これによって抵抗体を焼成し、形成する時に前記抵抗体の内部に発生しやすい応力を低減することができ抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項2に記載の発明は、ガラス層を結晶化ガラスとし、このガラス層内に少なくとも1層以上の内部電極を形成した請求項1に記載の荷重センサであり、ガラス層には少なくとも1層以上の内部電極を内蔵することにより、荷重センサのEMI(耐電磁ノイズ性)が向上し、荷重センサの特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項3に記載の発明は、基板の熱膨張係数と感歪抵抗体の熱膨張係数の差を10×10-7/℃以上50×10-7/℃未満とした請求項1に記載の荷重センサであり、感歪抵抗体の内部に発生しやすい応力を低減することができ、感歪抵抗体の特性を安定化できるという作用効果が得られる。
請求項4に記載の発明は、基板の熱膨張係数とガラス層の熱膨張係数の差を20×10-7/℃未満とした請求項1に記載の荷重センサであり、基板とガラス層の間にガラス層を焼成で形成する時に前記ガラス層の内部に発生する応力を一定未満に保てるためガラス層と基板との接着力を保持でき、その界面での剥離等の発生が防止できるという作用効果が得られる。
請求項5に記載の発明は、感歪抵抗体の熱膨張係数と調整層の熱膨張係数の差を20×10-7/℃以下とした請求項1に記載の荷重センサであり、感歪抵抗体と調整層の間に発生する熱膨張の差を低減できるため前記感歪抵抗体の内部に発生しやすい応力を低減でき前記感歪抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項6に記載の発明は、調整層の厚みを1μm以上500μm未満とした請求項1に記載の荷重センサであり、抵抗体とガラス層の間に形成する調整層の厚みを最適化することで前記調整層の内部に発生した応力が前記抵抗体に伝わりにくくできるため前記抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項7に記載の発明は、調整層の面積を0.1mm角以上50mm角未満でかつ感歪抵抗体の面積よりも大きくした請求項1に記載の荷重センサであり、ガラス層の上に形成する調整層の大きさを最適化することでガラス層と前記調整層の間に発生する応力の絶対値が抑えられるため前記調整層の内部に発生した応力が前記感歪抵抗体に伝わりにくくでき前記感歪抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項8に記載の発明は、少なくとも配線の一部を感歪抵抗体と共に調整層上に形成する構成とした請求項1に記載の荷重センサであり、感歪抵抗体に接続される配線の一部を前記調整層の上に形成することで調整層の上に抵抗体を印刷で形成しやすくなると共に複数の抵抗体を一度に形成した場合での抵抗値ばらつきも抑えられるため荷重センサの特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項9に記載の発明は、感歪抵抗体及び調整層の厚みを1μm以上500μm未満とした請求項1に記載の荷重センサであり、感歪抵抗体や調整層の厚みを最適化することで発生する応力や特性ばらつきを一定以内に抑えられるため感歪抵抗体の特性が安定化できるという効果がある。
請求項10に記載の発明は、ガラス層の厚みを10μm以上500μm未満とした請求項1に記載の荷重センサであり、ガラス層に発生する応力を一定に保てるため、このガラス層と抵抗体の熱膨張係数の差による抵抗体の特性変化が抑制できるという作用効果が得られる。
請求項11に記載の発明は、抵抗体の面積を0.1mm角以上50mm角未満で、かつ調整層の面積よりも小さくした請求項1に記載の荷重センサであり、どのような形状の荷重センサであっても前記抵抗体より前記調整層を大きくすることができるため前記抵抗体の内部に応力を発生させにくくなるため、前記抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項12に記載の発明は、基板を熱膨張係数が80×10-7/℃以上200×10-7/℃未満の金属材料とした請求項1に記載の荷重センサであり、ユーザーニーズに応じた様々な金属材料を選ぶことができ前記金属材料と抵抗体との熱膨張係数差を調整層で吸収できるためユーザーニーズに応じた様々な金属材料を用いた荷重センサが製造できる。
請求項13に記載の発明は、基板を金型によって所定形状に打抜かれた金属基板とした請求項1に記載の荷重センサであり、ユーザーニーズに応じた形状の金属基板を安価に用意できると共に金型で打抜いた際に前記金属基板の内部に発生する残留応力の影響も調整層で吸収できるためユーザーニーズに応じた様々な形状の荷重センサが製造できる。
請求項14に記載の発明は、抵抗体のGFを10以上1000未満とした請求項1に記載の荷重センサであり、GFの高い材料であっても前記抵抗体と金属材料との熱膨張係数の差がTCR(抵抗値の温度特性)の特性の劣化になりにくいため前記抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項15に記載の発明は、調整層をガラスもしくはガラスとセラミックフィラーよりなるコンポジットガラスとした請求項1に記載の荷重センサであり、調整層の熱膨張係数をガラスとセラミックフィラーの混合比率によって自由に調整できるため様々な抵抗体に対しても熱膨張係数をマッチングでき、前記抵抗体の内部に発生しやすい内部応力を一定以下に抑えられるため前記抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項16に記載の発明は、調整層をセラミックとガラスの比率で、セラミック:ガラス=5:95〜40:60とした請求項1に記載の重センサであり、セラミックとガラスの同時焼成時の焼結安定性を高められると共に、それぞれの混合割合を調整することで調整層の熱膨張係数を微調整でき、荷重センサの特性が安定化できる作用効果が得られる。
請求項17に記載の発明は、セラミックの粒径を0.01μm以上10μm未満とした請求項15または16に記載の荷重センサであり、セラミック粉をフィラーとして使った場合のガラスとの間の焼成でのマッチング性を改善できると共にセラミック粉とガラスからなるコンポジットガラスの調整層の強度や焼結性が安定化できるため調整層に発生した応力を抵抗体に伝えにくくでき、前記抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項18に記載の発明は、セラミックフィラーをアルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニア、チタバリ、カルシアの内の一種類以上とした請求項15に記載の荷重センサであり、抵抗体に対するセラミックフィラーの拡散を低減できると共にセラミックフィラーとガラスよりなるコンポジットガラスよりなる調整層の焼結性や強度が安定化できるため調整層に発生した応力を抵抗体に伝えにくくでき、前記抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
請求項19に記載の発明は、属基板の上にラス層を形成する工程と前記ガラス層の上にガラスペーストを所定形状に印刷し焼成して調整層を形成する工程と、前記調整層数の配線を形成する工程と記複数の配線間を接続するように抵抗体ペーストを所定の形状に印刷し焼成して感歪抵抗体を、前記ガラス層の熱膨張係数より前記調整層の熱膨張係数は前記感歪抵抗体の熱膨張係数に近くなるように形成する工程とを備えた、荷重センサの製造方法であり、ガラスペーストを用いて調整層を形成し、この上に抵抗体を印刷形成することで角チップ抵抗器やハイブリッドIC等の一般の電子部品の製造に用いられる印刷、焼成設備を使うことができるため高精度に安定して荷重センサが製造できるという作用効果が得られる。
請求項20に記載の発明は、感歪抵抗体ペーストの焼成温度を400℃以上1000℃未満とする請求項19に記載の荷重センサの製造方法であり、調整層を用いることで感歪抵抗体の焼成時に発生する基板と感歪抵抗体材料の熱膨張係数差によって発生する感歪抵抗体の内部応力を一定以下に抑えられるため、抵抗体に400℃以上1500℃未満で焼成する安価な感歪抵抗体材料を用いることができ荷重センサが安価に製造できるという作用効果が得られる。
請求項21に記載の発明は、調整層のガラスペーストを温度400〜900℃で焼成する請求項19に記載の荷重センサの製造方法であり、調整層の焼成を温度400〜900℃とすることで、市販の安価なガラス材料が使用でき、抵抗体とガラス層との熱膨張がマッチングでき、荷重センサが安価に製造できるという作用効果が得られる。
請求項22に記載の発明は、セラミック:ガラス=5:95〜40:60とした重量比のガラス粉とセラミック粉が分散されてなるガラスペーストを所定形状に印刷して焼成する請求項19に記載の荷重センサの製造方法であり、調整層の熱膨張係数を調整層を形成するガラスペースト中のセラミック成分とガラス成分の比率を調整することにより簡単かつ再現性良く調整することができるため、荷重センサが安価に製造できるという作用効果が得られる。
請求項23に記載の発明は、ガラスペーストをセラミック粉に溶剤及び若干量のバインダもしくは分散剤と共に0.01ポイズ以上100ポイズ以下の粘度で分散し、ガラス粉や所定量のバインダと混合して分散し、粘度100ポイズ以上10000ポイズ未満に調整する請求項19に記載の荷重センサの製造方法であり、セラミック粉を予め分散させてガラス粉を添加し、分散することによりガラスペースト中のセラミック粉凝集体が低減できるため、調整層の均一性が向上でき、荷重センサが安価に製造することができるという作用効果が得られる。
以上のように本発明の荷重センサは、基板と、この基板上に形成するガラス層と、このガラス層上に形成する複数の配線と、この複数の配線に接続されるように形成する抵抗体とからなり、前記ガラス層と前記抵抗体の間に調整層を設けた荷重センサであり、これによって抵抗体を焼成し、形成する時に前記抵抗体の内部に発生しやすい応力を低減することができ抵抗体の特性が安定化できるという作用効果が得られる。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜4に記載の発明について説明する。
図1は本発明の実施の形態1における荷重センサの構成を示す断面図であり、基板1の上に絶縁層となるガラス層2を介して中央部に調整層3が形成されている。4は配線であり、ガラス層2の上と一部が調整層3の上に位置するように形成され、この複数の配線4の間の調整層3の上に抵抗体5が形成されている。また6は保護層であり抵抗体5や配線4を保護する。本発明では基板1と抵抗体5の熱膨張係数は大きく異なっているが、その抵抗体5とガラス層2の間に形成された調整層3によって吸収されることになる。つまり本発明において抵抗体5の熱膨張係数と調整層3の熱膨張係数は殆ど同じである。そのため抵抗体5と大きく異なる熱膨張係数を有する基板1や抵抗体5と大きく異なる熱膨張係数を有するガラス層2に対しても抵抗体5はそれらと直接物理的に接することはなく、調整層3を介してのみ形成されることになる。
図2(A)〜(C)は本発明の荷重センサと従来の荷重センサを比較するための説明図である。図2(A)は従来の荷重センサであり、基板1の上にガラス層2を介して配線4と抵抗体5が保護層6に保護されて形成されている。また7は箔ゲージであり、保護層6の上に接着剤によって張付けられている。8は万力であり基板1の一端を固定している。図2(B)は図1に示した本発明の荷重センサである。図2(A)と図2(B)との違いは抵抗体5の下に調整層3が形成されている点である。図2(C)は荷重センサに一定の荷重をかける様子を説明するものである。図2(C)において41は錘である。基板1の一端は万力8で固定されており、もう一端に錘41をぶら下げることで基板1が撓み、この撓みによる歪み量を抵抗体5や箔ゲージ7の抵抗値の変化として検出することができる。
図3(A)、(B)は、本発明の荷重センサの抵抗値の変化の様子を示す説明図であり、図2(B)に示した本発明の荷重センサを使用した。図3(A)においてX軸は経過時間(単位は任意)、Y軸は錘の重さであり、経過時間=0において錘の重さは0(初期値=0)である。そして経過時間と共に錘の重さを増やしたり減らしたりする。図3(B)においてX軸は経過時間であり、図3(A)と同じものである。図3(B)のY軸は抵抗値であり初期値=100で換算し直しており、太線は本発明の荷重センサの抵抗値の時間変化、点線は箔ゲージ7の抵抗値の時間変化を示す。
図4(A)、(B)は従来の荷重センサの抵抗値の変化の様子を示す説明図であり、図2(A)に示した従来の荷重センサを使用した。図4(A)においてX軸は経過時間(単位は任意)、Yは錘41の重さであり、経過時間=0(初期)において錘41の重さは0である。そして図3と同様に経過時間と共に錘41の重さを増やしたり減らしたりする。図4(B)においてX軸は経過時間であり、図3(A)、(B)、図4(A)と同じものである。図4(B)のY軸は抵抗値であり太線は従来の荷重センサ(図2(A))の抵抗値の時間変化、点線は箔ゲージ7の抵抗値の時間変化を示す。
図3(B)の太線で示す本発明の荷重センサの抵抗値は点線で示す箔ゲージ7の抵抗値と同様に錘41の重さに比例して増減し、錘41の重さが一定の時は一定の抵抗値を示すことが判る。一方図4(B)の太線で示す従来の荷重センサの抵抗値は錘41の重さに比例して増減するが、箔ゲージ7が重さの増減に敏感に反応するのに比べて反応の遅れが目立つと共に錘41の重さが一定の時も抵抗値が安定していないことが判る。このような現象は特に基板1の熱膨張係数と抵抗体5の熱膨張係数に差があるほど発生しやすい。
基板1の熱膨張係数を変化させた場合の抵抗体5の抵抗値について評価した結果を(表1)に示す。
Figure 0003948452
(表1)において、基板1の熱膨張係数は40×10-7/℃から200×10-7/℃まで大きく変化させている。またガラスの熱膨張係数は特開昭63−298128号公報等で提案されているように基板1の材料の熱膨張係数に近似した部材を選んだ。また抵抗体5には市販のアルミナ基板用のものを選んだため、抵抗体5の熱膨張係数は70×10-7/℃と一定である。(表1)より従来の荷重センサは基板1の熱膨張係数と抵抗体5の熱膨張係数がほぼ等しい場合には抵抗値が安定しているが、基板1の熱膨張係数と抵抗体5の熱膨張係数との差が大きくなると抵抗値が不安定になることが判る。一方本発明の荷重センサでは、基板1の熱膨張係数と抵抗体5の熱膨張係数の差が大きくなっても抵抗値が安定していることが判る。
(実施の形態2)
実施の形態2では、調整層の熱膨張係数の最適化について説明する。
本発明の調整層の熱膨張係数の最適化例を(表2)に示す。
Figure 0003948452
(表2)において基板1と抵抗体5の熱膨張係数を一定にしている。そして調整層3の熱膨張係数を変化させた場合の抵抗値の安定性を評価した例である。このように基板1と抵抗体5の熱膨張係数差が大きい場合、(表1)で示したように従来の荷重センサの構造ではどうしても抵抗値が不安定であるという課題があった。(表2)において基板1とガラス層2の熱膨張係数{(表2)ではαとしている}は互いにマッチングさせたものを用いた。基板1とガラス層2の熱膨張係数が100×10-7/℃の場合、調整層3の熱膨張係数が40×10-7/℃未満と小さい場合や100×10-7/℃以上と大きい場合には抵抗値が不安定化することが判る。これは(表1)の従来品の場合と同じ原因と考えられる。
このように本発明に用いる調整層3の熱膨張係数は抵抗体5に合わせることで基板1からの応力を調整層3で吸収し、抵抗体5に伝えにくくする効果作用を有していると考えられる。また(表1)より抵抗体5と調整層3の熱膨張係数差は30×10-7/℃以上になると抵抗値が不安定になることが判る。そのため抵抗体5と調整層3の熱膨張係数差は30×10-7/℃未満望ましくは20×10-7/℃、更に可能であれば10×10-7/℃未満が望ましいことが判る。
荷重センサの製造工程において、基板1の上にガラス層2が形成され、その上に抵抗体5としてのペーストが所定形状に印刷され、この抵抗体5が焼成炉の中で焼成されて抵抗体5となる。この抵抗体5の焼成途中で抵抗体5に異常な応力が発生しやすい。
従来の荷重センサで熱膨張係数の大きな基板1の上に熱膨張係数の小さな抵抗体5を形成した場合、抵抗体5の内部に発生する大きな内部応力について、図を用いて説明する。
図5(A)〜(D)は従来の荷重センサ(調整層無し)の抵抗体に応力が発生するメカニズムを示す説明図である。図5(A)は抵抗体5を市販のメッシュベルト炉で焼成する際の温度プロファイルであり、X軸は時間、Y軸は温度である。室温の基板1がベルト炉に入り昇温し、最高温度を経て降温し、室温まで戻るのは1時間程度である。図5(A)において9は最高温度領域を示している。図5(B)は最高温度領域9での従来の荷重センサの熱膨張の様子である。図5(B)において矢印10、11は熱膨張の様子を示し、矢印10、11の方向はサンプルが伸びる方向であり、矢印10、11の長さはサンプルの熱膨張量を示している。従来の荷重センサにおいて、抵抗体5を形成する場合、基板1の上にガラス層2が形成され、その上に抵抗体5としてのペースト(図示されていない)が印刷され、この抵抗体5が焼成炉の中で焼成されて抵抗体となる。なお図5(B)において配線4は省略している。図5(B)に示すように、従来の荷重センサがベルト炉内で最高温度領域9に加熱されている時、基板1は矢印11が示すように大きく熱膨張している。また基板1とガラス層2の熱膨張も近いので基板1もガラス層2も矢印10、11が示すように同程度の熱膨張量である。
また、抵抗体5はピーク温度で融けている。図5(C)はサンプルがベルト炉の中で降温領域12にあることを示す。図5(D)は降温領域12にあるサンプルの応力の様子を示す。図5(D)において温度が下がるにつれて基板1やガラス層2が矢印10、11の方向に大きく収縮し始める。この時基板1やガラス層2は矢印10、11に示すように大きく収縮するが、抵抗体5は矢印13に示すように収縮量は矢印10、11に比べて少なくなる。そのためガラス層2と抵抗体5の界面付近の点線14で囲った部分に応力が集中し、これが抵抗体5の抵抗値の変動の発生原因になってしまう。
次に、本発明の荷重センサでの応力発生の様子を説明する。
図6(A)〜(D)は本発明の荷重センサ(調整層有り)の応力発生メカニズムを示す説明図である。図6(A)に示すように最高温度領域9での本発明の荷重センサの熱膨張の様子は図6(B)に示すように基板1もガラス層2も矢印10、11が示すように大きく熱膨張している。また調整層3は矢印42のように僅かに熱膨張しており、抵抗体5は溶解している。次に図6(C)、(D)を用いてサンプルが降温する時の熱膨張の様子を説明する。図6(C)において、サンプルが降温領域12にあることを示す。図6(D)に示すようにサンプルが降温領域12にある時、基板1やガラス層2は矢印10、11が示すように大きく収縮する。一方抵抗体5や調整層3は矢印13、42が示すように僅かしか収縮しない。そのため基板1やガラス層2と抵抗体5の熱収縮差による応力はガラス層2と調整層3の界面付近の点線14で囲った部分に集中する。その結果本発明の構造では熱膨張の差による応力は抵抗体5に発生しにくくなるため抵抗値は変動しにくくなる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、ユーザーから指定された任意の熱膨張係数の基板を用いて荷重センサを製造する方法について説明する。ユーザーはその用途によって色々な熱膨張係数、厚み、形状の基板1を指定する。ユーザーが指定する基板1を用いて従来の荷重センサを製造した場合の抵抗値の安定性について図を用いて説明する。
図7はユーザーが指定する基板を用いて従来の荷重センサを製造した場合の抵抗値の安定性についての説明図である。
図7においてX軸は経過時間、Y軸は抵抗値の変化をクリープとした。ここでクリープとは初期(X軸のt0に相当する)の抵抗値を0ppmとして、初期からの抵抗値の変化率をppmで示している。まずユーザーから指定された基板1を用いて、図5(A)〜(D)や図2(A)に示した従来構造の荷重センサを作製する。そして図2(C)、図3(B)、図4(B)に示したように抵抗値の安定性を評価する。図7は図3(B)を更に高分解能で測定したものに相当する。
サンプルの抵抗値は図7に示す特性Aのように時間と共に低下する場合、特性Bのように変化しない場合、特性Cのように時間と共に増加する場合がある。特性Bのように抵抗値が変動しない場合、従来の構造で荷重センサを製造できるので問題ない。しかし図7に示す特性Aや特性Cの場合、本発明で提案するように調整層3を入れる必要がある。まず特性Aの場合、時間と共に抵抗値が低下しているが、これは抵抗体5の長さが時間と共に微少ではあるが徐々に短くなっていることが考えられる。これは抵抗体5が下地となるガラス層2から押し縮められることで、抵抗体5の長さが時間と共に徐々に短くなっている。このように特性Aの場合、抵抗体5が押し縮められないように調整層3の熱膨張係数を調整すればよい。
また、特性Cの場合、時間と共に抵抗値が増加しているが、これは抵抗体5の長さが時間と共に微少ではあるが徐々に長くなっていることが考えられる。これは抵抗体5が下地となるガラス層2から引っ張られることで、その長さが徐々に長くなっている。このように特性Cの場合、抵抗体5が引っ張られないように調整層3の熱膨張係数を調整すればよい。
以上のように、抵抗体5の抵抗値変化の主原因は抵抗体内部に発生している応力と考えられ、本発明者らの提案のように抵抗体5と接する調整層3の熱膨張係数の増減によって抵抗体5の内部に発生した応力が調整できるため、抵抗値の時間変化を抑えられる。
また、抵抗体5の内部での応力発生の主原因は、例えば抵抗体ペーストがベルト炉の中で焼成され、抵抗体材料が高温下で柔らかく溶解しているときは殆ど応力が発生しないが、抵抗体材料が冷えて固まり始めると共に、抵抗体5の内部に様々な応力が発生し始めると考えられるが、実際は本発明者らが実験したように抵抗体5の下地となるガラス材料の特有の熱膨張の影響を大きく受けていた。
そこで、まず図1に示したように抵抗体5に熱膨張係数の近いガラス材料を調整層3に用いて荷重センサを試作する。その結果抵抗値の変化(以下、クリープと呼ぶ)は収まるがそれでも若干の抵抗値の変化(数十から数百ppm/時間のクリープ)が残ることがある。こうした場合、調整層3を形成するガラス材料にこのガラスとは異なる熱膨張係数を有するセラミック粉を添加し、全体としての熱膨張を微調整することにより、抵抗値の安定化が図れる。
次に、調整層3の主成分となるガラス材料にセラミックフィラーを添加して、熱膨張係数を最適化する方法について、図を用いて説明する。
図8および図9は本発明の実施の形態3におけるセラミックフィラーを用いた調整層3の最適化例についての説明図である。図8および図9においてX軸はガラス中のセラミックフィラーの割合(wt%)であり、Y軸はクリープ変化率(ppm/h)である。Y軸のクリープ変化率とは、単位時間当たりの抵抗値の変化率に相当し、図7のグラフの傾きに相当する。本発明の目的は図7のグラフの傾き(これは図8や図9のY軸のクリープ変化率に相当する)をゼロ(水平)に近づけようとするものであり、図8や図9ではY軸の値をゼロに近づけることに相当する。その手段として実施の形態3では調整層となるガラス中のセラミックフィラーの割合を増減させる。
以下、詳しく説明する。まず所定のガラス(セラミックフィラー無し)を用いて調整層を形成する。しかし場合によっては、図7の(A)に示したように、時間と共に抵抗値が減少する場合がある。このサンプルは図8のガラス中のセラミックフィラーの割合が0wt%に相当するので、セラミックフィラーの割合が0wt%の場合、図8に示すようにクリープ変化率はマイナス(負)を示す。このようなサンプルの場合、時間と共に抵抗値が低下(マイナスになる)する力が抵抗体内部に発生していると考えられる。そこで、このような力が発生しないように、所定の熱膨張係数を有するセラミックフィラーを添加する。そしてセラミックフィラーの添加量を調整することで、抵抗体内部で抵抗値を低下させようとしている力を減らすことで図8に示すように抵抗値の時間変化が抑えられる。
また、別の例について説明する。所定のガラス(セラミックフィラー無し)を用いて調整層を形成した場合、図7の(C)に示したように、時間と共に抵抗値が増加する場合がある。このサンプルは図9のガラス中のセラミックフィラーの割合が0wt%に相当する。セラミックフィラーの割合が0wt%の場合、図9に示すようにクリープ変化率はプラス(正)を示す。このようなサンプルの場合、時間と共に抵抗値が増加(プラスになる)する力が抵抗体内部に発生していると考えられる。そこで、このような力が発生しないように、所定の熱膨張係数を有するセラミックフィラーを添加する。そしてセラミックフィラーの添加量を調整することで、抵抗体内部で抵抗値を増加させようとしている力を減らすことで図9に示すように抵抗値の時間変化が抑えられる。
なお、調整層3を形成するガラスにセラミックフィラーを混合したコンポジットガラスを用いる場合、セラミックフィラー含有率は50wt%未満(望ましくは40wt%未満)が望ましい。セラミックフィラーの含有率が50wt%を超えると、作製したコンポジットガラスがスカスカの状態であったり、物理的強度が低下して荷重センサとして要求される強度が得られない場合がある。
また、こうした用途に予め熱膨張係数の異なる数種類のガラス材料、セラミックフィラーを用意しておくことが望ましい。これによりユーザー指定の基板1を用いて荷重センサを製造した場合、図7に示すような特性A、Cのクリープが発生したとしても図8や図9に示すようにしてクリープを抑えることができる。このように熱膨張係数の異なる数種の調整層3の材料を用意し、これらを用いて図1で説明した本発明の荷重センサを製造する。図8や図9に示したようにセラミックフィラーの添加量によってクリープの増減が観察され、クリープを最小にするガラスとセラミックフィラーの組成が判明する。なお基本となる抵抗体5、ガラス層2、調整層3等の熱膨張係数を予め測定しておくことで多くの場合、シミュレーションで最適化できる場合も多いがどうしても抵抗体5のロットばらつきや焼成ばらつき、各種材料の相互拡散等の影響を受けるため、計算で求められない場合も多い。こうした場合に図8に示したような実際の材料を変化させ最適化することが最も有効で実用的である。
なお、本実施の形態3において、ガラス中に添加したセラミックフィラーとしてはアルミナ、ジルコニア、マグネシア、カルシア等を用いることができ、抵抗値の変動を数ppm未満に抑えることができる。
(実施の形態4)
実施の形態4では調整層3の組成をガラスだけで微調整する方法について説明する。実施の形態3では調整層3の最適化調整にはガラスとセラミックを用いたが製品によってはガラスだけで調整層3を形成することが望ましい場合もある。
以下、異なる熱膨張係数のガラスをブレンドして調整層3の最適化について図を用いて説明する。図10は複数のガラスを用いた調整層3の最適化例を示す説明図、図11は同複数のガラスを用いた調整層3の最適化例を示す説明図である。図10及び図11において、X軸は混合ガラス中の添加ガラスの割合であり、図10では添加ガラスの割合が増加するほどクリープがプラス側にシフトすることが判る。また図11では添加ガラスの割合が増加するほどクリープがマイナス側にシフトすることが判る。
このように数種のガラス組成を例えば熱膨張係数が60〜80×10-7/℃程度のSiO2・ZnO・PbO系の結晶質ガラスからなる主ガラス及び熱膨張係数が高い100×10-7/℃程度のSiO2・B23・RO系の非晶質ガラスや熱膨張係数が50×10-7/℃程度のSiO2・ZnO・RO系の結晶化ガラスからなる添加ガラスとして図10や図11のようにして組合せることによって抵抗値のクリープを数ppm未満に抑えることができる。なお荷重センサの多くはユーザーの機器に組みこまれるためそれぞれ特有の形状をしている。そのため同じ金属材料、金属厚みであっても加工方法の違いで基板1の中の残留応力が異なる。あるいは加工時の変形を補正するために、逆反と呼ばれる後加工も行われることが多い。一般的に色々なシミュレーションを行うことでこうした調整層3の微調整まで必要無いことも多いが、製品によってはこうした残留応力の影響を受けやすい場合もある。そうした場合、実施の形態4に示すように調整層3の微調整が有効である。
また、ガラス層2と調整層3の界面で熱収縮の差を吸収するため場合によってはガラス層2と調整層3の界面の接着強度が低下し、剥がれ易くなる可能性もある。こうした場合、実施の形態4に示すように異なるガラス素材を混ぜ合わせることで調整層3の下地となるガラス層2との接着強度を高めることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5では調整層3を形成するガラス材料について説明する。一般的な抵抗体5としてはアルミナ基板用のものが入手しやすい。こうしたガラス材料としてはSiO2、ZnO、アルカリ土類酸化物を主体としたものが望ましい。酸化鉛や酸化ビスマス等の低軟化点成分は調整層3に含まれていても問題が無い場合もあるが抵抗体5の組成(抵抗体5の内部に酸化鉛や、酸化ビスマスも含まれていることが多い)によっては抵抗体5との相互拡散の要因となって抵抗値やTCRを変化させる場合もある。
しかし、この場合も実施の形態3に示したようにセラミックをフィラーとして添加することでその影響を低減できることが多い。これはセラミック材料自体の融点が高く850℃程度の焼成温度では抵抗体5と殆ど相互拡散しないためである。また実施の形態4に示すようにガラス成分を調整することでも抵抗体5のTCRや抵抗値の絶対値が調整できる。
なお、ガラス材料については結晶性のガラス材料を用いることができる。結晶性のガラス材料を用いて抵抗体5の形成前に調整層3を予め焼成しておき、調整層3を結晶化しておく。こうして結晶化した調整層3の上に抵抗体5を印刷し、温度850℃程度で焼成してもこの程度の温度では調整層3を形成する結晶化したガラス材料は再融解しないため抵抗体5との相互拡散が起こり難くできる。更に自動車用のスマートエアーバッグシステム等に用いる荷重センサのように車載用部品の場合、エアーバッグが開かない範囲の弱い接触事故程度ではセンサは働かないが、衝突時センサに衝撃がかかるためセンサが壊れる場合が考えられる。こうした場合、基板1には充分な耐力があったとしてもセンサを構成するガラス部分(本発明では調整層3)が割れる場合がある。本発明者らが調整層3に非晶質ガラスと結晶化ガラスの両方を用いて衝撃試験を行った結果、結晶化ガラスの方が非晶質ガラスに比べて壊れにくく高信頼性の結果が得られた。
以上のように、本発明の荷重センサを用いることで、ユーザーに提供するセンサの基板としては、その材質(金属、セラミック等)に応じて固有の熱膨張係数があり、さらに基板の厚みや形状、あるいは基板の加工方法での残留応力(基板の熱処理、残留応力で基板の変形)等の様々な基板1に対しても限られた感歪抵抗体だけで対応することができるため、荷重センサの多品種化、低コスト化が可能になる。今後、更なる高GF材料が開発された場合であっても、たとえこのGF材料が酸化ルテニウムを使わない材料であってその熱膨張係数が一般の抵抗体5と大きくかけ離れたものであっても、本発明で提案した調整層3を導入することでアルミナ基板から金属基板まで広範囲に応用することができる。
なお、調整層3の面積は抵抗体5より大きいことが望ましい。調整層3の面積を抵抗体5より広げることで抵抗体5の下の全面に調整層3を形成できる。また調整層3の上に配線4の一部が形成されることが望ましい。調整層3の上に配線4の一部を形成し、この調整層3の上に形成された配線4に接して抵抗体5を形成することで抵抗体5の下の全面に調整層3を形成できる。また一つの調整層3の上に複数の抵抗体5を形成することも望ましい。一つの調整層3の上に複数の抵抗体5を形成することで互いの抵抗体5の特性ばらつきが揃えられ、荷重センサの歩留を上げることができる。また調整層3の面積はガラス層2より小さいことが望ましい。調整層3の面積がガラス層2と同程度もしくはそれより大きくなると調整層3とガラス層2の熱膨張係数の差から界面が剥離し、強度が低下する場合がある。
調整層3の厚みは1μm以上500μm未満が望ましい。調整層3の厚みが1μm未満の場合調整層3にピンホールが発生する場合があり、更に調整層3での十分な応力吸収ができない場合がある。また調整層3の厚みが500μm以上の場合調整層3の剛性が高くなりすぎて基板1の歪みを正確に抵抗体5に伝えることができない場合がある。
また、ガラスペーストを印刷し、焼成して調整層3を形成する場合、調整層3とガラス層2を同時焼成(もしくは一括焼成)することによって焼成コストを下げることができる。また配線4と調整層3を同時焼成(もしくは一括焼成)することによって焼成コストを下げられる。なお調整層3と抵抗体5の同時焼成(もしくは一括焼成)は抵抗体5の特性に望ましくない影響を与える場合があり、そうした場合図8から図11で説明したような最適化が必要な場合がある。
(実施の形態6)
実施の形態6ではガラス材料と抵抗体5の材料について、市販のアルミナ基板、基板1にはアルミナ基板より熱膨張係数が大きい金属基板を用いる場合について説明する。アルミナ基板に用いる抵抗体5の材料としては国内、国外で酸化ルテニウムを含む焼成温度850℃の焼成型のものが数種類販売されている。またハイブリッドIC用のクロスオーバー用や多層絶縁用にアルミナ基板に熱膨張係数を合わせたガラス材料やガラスペーストが国内外のメーカーより色々販売されている。こうしたガラス材料をメインにしてこの中に必要に応じて所定のセラミック粉を添加し、熱膨張係数を微調整して抵抗値の安定性が改善できる。こうした用途に用いるガラス材料としてはSiO2、ZnO、RO(RはMg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属)をガラス成分とする結晶性のものが望ましい。
なお、ガラスペーストとして購入する場合、ガラス粉の平均粒径が5μm以下(もしくは中心粒径が10μm以下)、望ましくは平均粒径を3μm以下とすることが望ましい。このような細かいガラス粉を使うことで調整層3の厚みを均一化できると共にその表面粗さを小さくできるため、この調整層3の上に抵抗体ペーストを印刷しやすくなる。
なお、保護層6は少なくとも抵抗体5の全面を覆うことが望ましい。保護層6が抵抗体5の全面及び抵抗体5と接続された配線4の一部、更には調整層3を覆うことで抵抗体5やその抵抗値への外気の影響を抑えることができ、信頼性が改善できる。
また、基板1の熱膨張係数と抵抗体5の熱膨張係数の差が20×10-7/℃以上300×10-7/℃未満が望ましい。基板1と抵抗体5の熱膨張係数が20×10-7/℃未満の場合、調整層3を形成しなくても基板1と抵抗体5との熱膨張係数差を焼成条件等で一定以下に抑えられることも可能である。
さらに、基板1の熱膨張係数とガラス層2の熱膨張係数の差が20×10-7/℃未満が望ましい。基板1とガラス層2の熱膨張係数差が20×10-7/℃以上の場合、調整層3を形成していても基板1とガラス層2の熱膨張係数の差によってガラス層2の内部に発生した応力によってガラス層2と基板1が剥がれる場合がある。
そして、抵抗体5の熱膨張係数と調整層3の熱膨張係数の差が20×10-7/℃以下が望ましい。抵抗体5と調整層3の熱膨張係数差が20×10-7/℃以上の場合、基板1と抵抗体5との熱膨張係数差を調整層3では一定以下に抑えられない場合がある。
なお、調整層3の厚みは1μm以上500μm未満が望ましい。調整層3の厚みが1μm未満の場合、調整層3にピンホールが発生しやすく、抵抗体5とガラス層2が直接接してしまう可能性があり、調整層3の効果が得られない場合がある。また調整層3の厚みが500μm以上の場合、調整層3自体の剛性が基板1に影響を与える可能性があり、荷重センサとしての出力の安定性に影響を与える場合がある。
また、一つの調整層3の面積は0.1mm角以上50mm角未満かつ抵抗体5の面積よりも大きいことが望ましい。調整層3の大きさが0.1mm以下の場合、調整層3を一般の厚膜技術で作製することが難しい場合がある。また調整層3の大きさが50mm角以上の場合、調整層3に発生した応力の絶対値が大きくなりすぎてガラス層2と調整層3の界面で剥離等が発生する場合がある。また調整層3の面積を抵抗体5の面積より大きくすることで抵抗体5の下全面に調整層3を形成できるため抵抗体5とガラス層2が直接接することが防止できる。
また、少なくとも配線4の一部は抵抗体5と共に調整層3の上に形成することで調整層3の上で配線4と抵抗体5を接続できるため抵抗体5としてのペーストの印刷の安定性が改善され、複数の抵抗体5を用いてブリッジ回路を形成する場合でもブリッジ回路を形成する抵抗体5のバランスを一定に保つことができるため荷重センサの出力特性の安定化が図れる。
なお、抵抗体5の厚みは1μm以上500μm未満が望ましい。抵抗体5の厚みが1μm未満の場合、基板1と抵抗体5の熱膨張差による抵抗体5の内部の応力が発生しにくくなると共に抵抗体5の皮膜自体にもピンホールが発生しやすく調整層3の効果が得られない場合がある。また抵抗体5の厚みが500μm以上の場合、抵抗体5を厚膜技術で製造する際、抵抗体5の焼結により発生する応力が大きくなりすぎて調整層3ではその応力を吸収できない場合がある。
また、抵抗体5の面積は0.1mm角以上50mm角未満かつ調整層3の面積よりも小さいことが望ましい。抵抗体5の面積が0.1mm角未満の場合、抵抗体5を一般の厚膜技術で作製することが難しい場合がある。また抵抗体5の大きさが50mm角以上の場合、抵抗体5を焼結した際に発生する応力等を調整層3では吸収できない場合がある。
なお、基板1は熱膨張係数が80×10-7/℃以上200×10-7/℃未満である金属材料が望ましい。熱膨張係数が80×10-7/℃未満の金属材料の場合、調整層3を形成しなくても焼成条件等の最適化によって抵抗値の安定化が可能な場合がある。また基板1の熱膨張係数が200×10-7/℃以上の場合、いくら調整層3を形成したとしても抵抗体5と基板1の熱膨張係数差を吸収できない場合がある。
なお、基板1として金属板を金型によって打抜かれたものを使うことができる。このように金属板を金型で打抜くことによって放電加工やレーザー加工に比べて基板1を安価に加工できる。またこうした金型で加工された金属板は内部に残留応力が残っているため熱処理等によって微妙に基板1が歪んだり、反ったりする場合があるが本発明では調整層3を設けることでこうした残留応力が抵抗体5に伝わりにくくできる。
なお、抵抗体5のGFは10以上1000未満が望ましい。GFが10未満の材料の場合、こうした調整層3を形成する必要がない場合がある。またGFが1000以上の材料の場合、いくら調整層3を最適化したとしてもその抵抗値を安定化させることが困難な場合が考えられる。
なお、抵抗体5は、調整層3の上に所定の抵抗体ペーストが所定形状に印刷された後、温度400℃以上1000℃未満で焼成されることが望ましい。温度400℃未満で抵抗体5を焼成して形成する場合、抵抗体5の焼結が不充分で調整層3と抵抗体5の接着力が低い場合があり、その界面で剥離する場合がある。また抵抗体5の焼成温度が1000℃を超える場合、抵抗体5と調整層3の材料拡散が大きくなりすぎて抵抗値が安定しない場合がある。
なお、調整層3はガラスもしくはガラスとセラミックフィラーよりなるコンポジットガラスであることが望ましい。調整層3にコンポジットガラスを用いることでガラスとセラミックフィラーの種類や混合比率を変えることができ、様々な熱膨張係数の基板1や抵抗体5に対してもマッチングする調整層3が形成できる。
なお、セラミックフィラーの粒径は0.01μm以上10μm未満が望ましい。セラミックフィラーの粒径が0.01μm未満の場合、その分散が難しくできあがったコンポジットガラスの特性のばらつきが大きい場合がある。またセラミックフィラーの粒径が10μm以上の場合、コンポジットガラスからなる調整層3の表面粗さが大きくなりすぎてこの上に抵抗体5としての材料を印刷した場合、抵抗値のばらつきが大きくなる場合がある。
また、セラミックフィラーはアルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニア、チタバリ、カルシアの内の一種類以上が望ましい。こうした安価な材料を用いることで抵抗体5とセラミックフィラーの拡散を抑えられると共に荷重センサのコストダウンが可能になる。
(実施の形態7)
実施の形態7では、調整層を有する荷重センサの製造方法について図を用いて説明する。図12(A)〜(D)は本発明の実施の形態7における荷重センサの製造方法を示す断面図である。
図12(A)に示すように15は基板であり、この基板15の上に所定のガラスペーストを印刷して焼成することにより、ガラス層16aが形成される。なおガラス層16aの厚みは10μm以上200μm以下が望ましい。ガラス層16aの厚みが10μm未満の場合、ガラス層16aにピンホールが発生する可能性がある。またガラス層16aの厚みが200μmを超えるとコストアップの原因になる。
次に、図12(B)に示すようにガラス層16aの上に調整層17aを形成する。ここで調整層17aはこの上に形成する抵抗体より一回り大きくしておくことが望ましい。ここで調整層17aは所定の調整層ペーストを印刷して焼成することで製造できる。
次に図12(C)に示すように少なくともその一端が調整層17aの上を覆うようにして配線18aを形成する。配線18aは所定の電極ペーストを印刷して焼成することで形成できる。
次に図12(D)に示すように複数の配線18aの間に抵抗体19aを形成する。ここで抵抗体19aの下には調整層17aが予め形成されている。抵抗体19aは所定の抵抗体ペーストを選び、これを印刷して焼成することで形成できる。最後に、少なくとも抵抗体19aの表面を覆うように保護層を形成する(図示していない)。
以上の方法により、抵抗体19aの直下に調整層17aを印刷等の安価な方法で形成できるため、基板15の熱膨張係数の影響を受けにくい荷重センサを安価に製造できる。なお図12においてガラス層16aを複数のガラス層16aで形成すると、ピンホール等の影響を受けにくくなる。また、ガラス層16aと調整層17aを同時に形成(例えば、これら複数層を一括して焼成)することができる。このように複数層を同時に形成することで製造コストを抑えることができる。なおガラス層16aと調整層17aは互いに熱膨張係数が異なるが、本発明の場合、調整層17aは極僅かの面積に印刷されるだけなので、熱膨張係数の違いはそれほど問題にならない。
また、ガラス層16aと調整層17a、更に配線18aも同時に焼成することができ、更なるコストダウンが可能である。このとき配線18aを形成する配線ペーストに予め収縮抑制剤を添加しておくことで、同時焼成時の焼成収縮の違い(一般的にガラスと比べて金属の方が収縮開始温度が低い)による割れやクラックが防止できる。なお収縮抑制剤としてはガラス層16aや調整層17aの無機材料(ガラス粉やセラミック粉)等も用いることができる。なお収縮抑制剤の添加量は1wt%以上20wt%以下が望ましい。1wt%以下の場合、収縮抑制効果が得られない場合がある。また20wt%を超える場合、配線の抵抗値が増加し、抵抗体19aの特性に影響を及ぼす場合がある。
(実施の形態8)
実施の形態8では、配線を多層化した場合の本発明の荷重センサの製造方法について図を用いて説明する。図13(A)〜(D)は本発明の実施の形態8における荷重センサの製造方法を示す断面図である。
図13(A)に示すように15は基板であり、この基板15の上に所定のガラスペーストや電極ペーストを印刷して焼成することにより、内部電極20を内蔵したガラス層16bが形成される。なお基板1と内部電極20の間のガラス層16bの厚みは10μm以上200μm以下が望ましい。ガラス層16bの厚みが10μm未満の場合、ガラス層16bにピンホールが発生する可能性がある。またガラス層16bの厚みが200μmを超えるとコストアップの原因になる。このようにガラス層16bの内部に内部電極20を予め形成しておくことにより、荷重センサのEMI(電磁気特性)が改善され、携帯電話や無線機等の電磁波の影響を受けにくくすることができる。
次に、図13(B)に示すようにガラス層16bの上に調整層17bを形成する。ここで調整層17bはこの調整層17bの上に形成する抵抗体より大きくしておくことが望ましい。ここで調整層17bは所定の調整層ペーストを印刷したものを焼成することで製造できる。
次に、図13(C)に示すように配線18bの少なくともその一端が調整層17bの上を覆うように形成する。配線18bは所定の電極ペーストを印刷して焼成することで形成できる。
そして、図13(D)に示すように調整層17bの上でかつ複数の配線18bの間に抵抗体19bを形成する。抵抗体19bは所定の抵抗体ペーストを選び、これを印刷して焼成することで形成できる。
最後に、少なくとも抵抗体19bの表面を覆うように保護層を形成する(図示していない)。このように本発明の場合、抵抗体19bの直下に調整層17bを印刷等の安価な方法により形成できるため、基板15の熱膨張係数の影響を受けにくい荷重センサを安価に製造することができる。
なお、図13(A)〜(D)に示すようにガラス層16bを例えば複数回の印刷と乾燥を繰り返して複数のガラス層(図示せず)で形成することで、ピンホール等の影響を受けにくくすることができる。
また、ガラス層16b、内部電極20、あるいは調整層17bを同時に形成(例えば、これら複数層を一括して焼成)することができる。このように複数層を同時に形成することにより製造コストを低く抑えることができる。なおガラス層16bと調整層17bとは互いに熱膨張係数が異なるが、調整層17bは極僅かの面積に印刷されるだけなので、熱膨張係数の違いはそれほど問題にならない。
また、ガラス層16bと調整層17b、内部電極20、更に配線18bも必要に応じて複数層ずつ同時に焼成することでコストダウンができる。この場合、内部電極20や配線18bを形成する電極ペーストに予め収縮抑制剤を添加しておくことにより、同時に一括焼成の焼成収縮の違い(一般的にガラスに比べて金属の方が収縮開始温度が低い)による割れやクラックが防止できる。なお収縮抑制剤としてはガラス層16bや調整層17bの無機材料(ガラス粉やセラミック粉)等を用いることができる。
なお、収縮抑制剤の添加量は1wt%以上20wt%以下が望ましい。1wt%以下の場合、収縮抑制効果が得られない場合がある。また20wt%を超える場合、配線18bの抵抗値が増加したり、抵抗体19bの特性に影響を及ぼす場合がある。
(実施の形態9)
実施の形態9では、荷重センサにおける調整層や抵抗体の位置関係について、図を用いて説明する。図14は本発明の調整層と抵抗体や配線等の位置関係を示す荷重センサの外観図である。説明のために保護層等は形成していない。また基板21に要求される複雑な加工(例えば、外周加工、孔加工、嵌合加工等)による歪も抵抗体の特性に影響を与える場合がある。また図14において配線24はその一部しか図示しておらず、この配線24の上に実装されるべき部品や接続される配線等も省略している。図14に示すように基板21の上にガラス層22が形成され、このガラス層22の上に調整層23が形成され、さらに調整層23の上に配線24の一部が抵抗体25と接続されるように形成されている。
そして、図14に示すように本発明の荷重センサは抵抗体25の抵抗値の変化により荷重を検出するものであり、複数個の抵抗体25を用いてブリッジ回路を形成することが望ましい。このとき複数個の抵抗体25の抵抗値がずれてしまう(ばらつき)と、抵抗体25から構成するブリッジ回路に所定の特性が得られなくなることがある。そのため図14に示すように一つの調整層23の上に複数の抵抗体25を形成することにより、抵抗体ペーストの印刷の安定性が向上し抵抗値のばらつきを抑制することができる。
なお、調整層23の厚みは1μm以上500μm未満が望ましい。これは調整層23の厚みが1μm以下の場合、調整層23が薄すぎて熱膨張係数の違いを吸収しきれない場合やピンホールを発生する可能性があるためである。また調整層23の厚みが500μmより厚い場合、調整層23の材料費が増加する。
また、調整層23の一つ当りの面積は0.1mm角以上(つまり0.1mm×0.1mm)、50mm角未満(つまり50mm×50mm)が望ましい。さらに抵抗体25の面積よりも大きくすることが望ましい。調整層23の面積が0.1mm未満の場合、調整層23を印刷してもそのパターンの断面が凸状に盛りあがりやすく(平坦な部分が少なくなる)ため、その調整層23の上に抵抗体ペーストを高精度に印刷することが難しい。また面積が0.1mm角以上あれば調整層23を形成した表面の平らな部分が多くなり、調整層23の上への抵抗体25の高精度の印刷が容易になる。また調整層23の面積が50mm角を超えると、その熱膨張係数の違いにより、調整層23とその下地のガラス層22との間にクラックが発生する可能性がある。また抵抗体25の面積より調整層23の面積の方を大きくすることが望ましい。これは抵抗体25の面積より調整層23の面積が小さい場合、抵抗体25が下地のガラス層22と接し、抵抗体25の内部の応力分布に影響する場合があるためである。また一つの調整層23の上に複数個の抵抗体25を形成すること
により抵抗体25の印刷の安定性を改善することができる。
(実施の形態10)
実施の形態10では、調整層に用いるガラスについて、図を用いて説明する。図15は調整層に用いるコンポジットガラスの拡大模式図である。図15に示すようにガラス26の内部にセラミック粉27が分散された状態で同時焼成され、コンポジットガラス28を形成している。このようにガラス26の中にセラミック粉27を分散させた状態で同時焼成させることにより形成したコンポジットガラス28は添加するセラミック粉27の種類や添加量を微調整することにより、そのコンポジットガラス28の熱膨張係数が微調整できる。
例えば、図15に示すガラス26の熱膨張係数を8.5ppm/℃とした場合、このガラス26に熱膨張係数7ppm/℃のアルミナからなるセラミック粉27を添加することでコンポジットガラス28の熱膨張係数を低下させることができる。また熱膨張係数9.5ppm/℃のジルコニアをセラミック粉27として添加することでコンポジットガラス28の熱膨張係数を増加させることができる。あるいはガラス26の熱膨張係数が10ppm/℃や13ppm/℃と大きいものを選んだ場合でも同時にコンポジット化でき、抵抗体に対する金属基板の熱膨張の違いが吸収できる。
なお、ガラス26に加えるフィラーの添加率は5wt%以上40wt%未満が望ましい。つまり、コンポジットガラス28を構成するガラス26とセラミック粉27の割合はガラス:セラミック粉=95:5〜60:40の間が望ましい。この理由はフィラーの添加量が5wt%未満の場合、その添加効果が得られない場合がある。またフィラーの添加量が40wt%を超える場合、コンポジットガラス28が焼結しにくくなり、その強度が低下する場合があるためである。これはセラミック粉27の表面を濡らすのに必要なガラス26が足りなくなるためである。
本発明の調整層としてのコンポジットガラス28に添加するセラミック粉27としてはアルミナ(Al23、熱膨張係数は6.5〜8.0ppm/℃)、MgO(熱膨張係数は13ppm/℃)、フォルステライト(2MgO・SiO2、熱膨張係数は組成割合によって8〜11ppm/℃)、ジルコニア(熱膨張係数は10.4ppm/℃)、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、スピネル(MgO・Al23)等が望ましい。またこれらの平均粒径は0.01〜5μm程度が望ましい。0.01μm未満の場合、コスト高になる。また平均粒径が5μmより大きな場合、ガラス26との同時焼成ができない場合がある。また実施の形態10で提案した結晶化ガラス以外の市販の結晶化ガラスについてもセラミック粉27をフィラーとして添加することによりコンポジットガラス28の材料の熱膨張係数が微調整できるため、各種製品に対して最適設計ができる。
なお、セラミック粉27としては熱膨張係数は6ppm/℃以上15ppm/℃未満のものが望ましい。6ppm/℃未満や15ppm/℃以上のセラミック粉27はコンポジットガラス化してもその効果が少ない場合がある。
特に、本発明のコンポジットガラス28の中のセラミック粉27はガラス26と殆ど反応しないため、焼成してもそのまま図15に示すように残っていることが多い。そのためコンポジットガラス28の熱膨張係数の計算は結晶化ガラスの熱膨張係数と添加するセラミック粉27の熱膨張係数との比例計算で簡単に求めることができる。
なお、図15は説明のため簡略化したものであるが、実際のコンポジットガラス28の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)やXMA(X線マイクロ分析)で解析すると、ガラス26と拡散したセラミック粉27が見える。またこれらを元素分析すると、ガラス26からはガラス26を構成する複数の元素(例えば、結晶化ガラスの場合、MgO、SiO2、Al23等)が均一に混ざり合っているが、セラミック粉27から固有の元素としてセラミック粉27にアルミナを用いた場合、アルミと酸素の元素が特異的に高強度で検出される。またセラミック粉27に酸化ジルコニアを用いた場合、ジルコニアと酸素の元素が特異的に高強度で検出されるため、これら元素がガラス26に含まれていたものか、あるいはコンポジットガラス28を構成するためにフィラーとして添加されたものか容易に判別することができる。
(実施の形態11)
実施の形態11では調整層用ガラスペーストの製造方法について、図を用いて説明する。図16はコンポジットガラスに発生する可能性があるピンホールについての説明図、図17(A)〜(C)は本発明の実施の形態11における調整層に用いるコンポジットガラスペーストの製造方法を示す模式図、図18(A)〜(D)は本発明の実施の形態11における調整層に用いるコンポジットガラスペーストの製造方法を示す模式図である。
以下、調整用ガラスにコンポジットガラスペーストを用いたコンポジットガラスペーストの製造方法について説明する。図16はコンポジットガラスにピンホールが発生する可能性があることについて説明するものであり、図16に示すように29はセラミック粉凝集体、30はピンホールである。セラミック粉27がガラス26の内部に均一に分散されている場合、ピンホール30は発生しないが、セラミック粉27の分散が不充分でセラミック粉凝集体29が発生すると、図16に示すようにピンホール30を形成する場合がある。これはガラス26の焼成温度ではセラミック粉27が焼結しないためであり、特にセラミック粉凝集体29を形成した状態でコンポジットガラス中に残っていると、非常に小さな確率ではあってもピンホール30の発生原因となる。こうした課題に対してコンポジットガラス中のセラミック材料の分散を均一化することにより対策することができる。
次に、コンポジットガラスペーストの製造方法について、図17、図18を用いて説明する。実施の形態11ではコンポジットガラスに用いるセラミック粉27を予め溶剤中に分散し、ガラス粉を添加して混練するものである。このようにガラス粉とセラミック粉27を個別に最適な条件で分散することでセラミック粉凝集体29を含まないコンポジットガラスペーストが提供できる。
図17(A)において、31a〜31dは所定原料であり、具体的にはセラミック粉、溶剤、分散剤、少量の樹脂等である。次にこれらの所定原料31a〜31dは図17(B)に示すように分散装置32の中でビーズ33によって分散される。
なお、分散装置32として回転ボールミル、攪拌ボールミル、シンマルエンタープライズ製のダイノミル等のビーズ33を用いた攪拌式、振動式、回転式の分散装置を使うことが望ましい。セラミック粉を溶剤や少量の分散剤(もしくは少量の樹脂、これは樹脂の種類によっては樹脂を加えることでセラミック粉の濡れ性が改善されるため、当然であるが樹脂を加えすぎると粘度が上がってビーズでの分散が難しくなるので、樹脂を添加する場合、少量に限定される)と共にこうした分散装置32で分散することで、セラミック粉凝集体を発生させずに分散できる。
この分散においてセラミック粉、溶剤、分散剤もしくは少量の樹脂からなるスラリーの粘度は1cp(センチポイズ)以上10P(ポイズ)以下が望ましい。1cp以内の低粘度のスラリーの場合、分散装置32の中ではセラミック粉は解れていても粘度が低すぎるため、これを取出して濾過する時に沈殿してしまうことがある。またスラリー粘度が10ポイズを超える場合、ビーズ33を使った分散装置32では分散能力が発揮できずにビーズ33とスラリーの除去が難しくなる場合がある。
なおビーズ33を使う場合、ビーズ33の大きさは10cm以下が望ましい。ビーズ33の大きさは小さいほうがより細かいセラミック粉に対しても分散効果が高いが、ビーズ33の間の衝突エネルギーが小さくなるので、一定の馬力以上の動力を用いた分散装置32を使うことが望ましい。こうした分散装置32の場合、特に回転式の場合、リップシール(分散装置32のシール機構の一種)の性能にもよるが、0.3mmφ以下のビーズ33では使いにくいことがあるので注意が必要となる。
また、ビーズ材料としては市販のアルミナ製やジルコニア製(イットリア入り)が望ましい。またセラミック粉と同じ成分のビーズ材料を選定することでビーズ33が研磨されて不純物としてスラリー中に混入した場合でも不純物の影響が防止できる。
こうして作製したスラリーは図17(C)に示すように濾過される。図17(C)に示すように35aは濾過装置、36aはフィルターである。スラリーは図17(C)の矢印34に示されるように濾過装置35aにセットされたフィルター36aに注がれて濾過され、容器37aに回収される。
なお、フィルター36aとしては開口が10〜20μmの市販の網を用いることができるが、デプス型(体積濾過型)と呼ばれるような繊維を糸巻状に加工したフィルター36aを使うことで、多量のスラリーでも圧力損失を最小限にしながら(つまり、フィルターが詰まりにくい状態で)濾過できる。またこうした濾過はスラリー自体の自重で行ってもよいが、エアー圧力(圧空)やダイヤフラムポンプ等を用いることで作業効率が向上できる。こうして図17(C)の矢印34のように注がれたスラリーは濾過されて矢印34のようにして容器37aに回収される。
次に、図18(A)〜(D)を用いてセラミック粉凝集体を除去されたセラミックスラリーを用いてコンポジットガラスペーストについて説明する。図18(A)に示すように所定料31e〜31hは、セラミック粉が分散されてなるスラリー(図17(C)の容器37aに回収されたもの)、ガラス粉、樹脂、分散剤等である。また必要に応じて着色剤等を加えておくことで、各層の厚みや状態が判別しやすくなり、工程管理や製品管理がやりやすくなる。
図18(B)に示すように38は混練機であり、内部には所定の攪拌治具39が内蔵されている。こうした混練機38としてはプラネタリーミキサー、ニーダー、自動乳鉢等を用いることができる。このように混練機38の内部に攪拌治具39をセットすることで、高粘度の材料でも安定して混練できる。特に、本発明の荷重センサの場合、コンポジットガラスペーストの印刷にはスクリーン印刷を用いることでコストダウンが可能になる。しかしコンポジットガラスペーストをスクリーン印刷するにはコンポジットガラスペーストの粘度が低すぎると、印刷後にパターンが滲んだり、所定の厚みが得られない場合があるため、一定以上の高粘度が必要になる。そのため、こうしたコンポジットガラスを混練する場合、非常に高粘度(例えば、数万ポイズ以上の粘度状態で、自重ではまったく流動しない)の場合が多く、こうした攪拌治具39を備えた混練機38を用いることが望ましい。
図18(B)に示すように所定料31e〜31hの所定量が混練機38に投入され、内蔵された攪拌治具39が矢印34に回転することで混練される。なおここで所定料31e〜31hの添加順序は互いに反応しあわないように工夫することが望ましい。例えばガラス粉と樹脂、スラリーとガラス粉等を一度に多量に混練すると、かえってセラミック粉凝集体が発生する場合がある。こうしたセラミック粉凝集体の発生(例えば、ソルベントショック等と呼ばれることもある)を防止するには少量ずつを添加するかあるいは凝集しにくいものの材料の組合せを予め確かめておくことで防止できる。
そして、図18(C)に示すように3本ロール40等の混練機38を用いて混練することでスラリー中のセラミック粉とガラス粉を均一に分散し、コンポジットガラスペーストが作製できる。
最後に図18(D)に示したように、濾過装置35b、フィルター36bを用いて濾過することで、調整層に用いるガラスペースト中のゴミや凝集体を除去できる。
以下、更に詳しく説明する。
まず、図17(A)に示すように所定料31aをセラミック粉とした。具体的には市販の粒径0.4μmであるが、セラミック粉凝集体を多数含む安価なアルミナ粉(数百円/Kg)を用いた。
次に、このアルミナ粉に吸油量を僅かに超える程度の少量の溶剤(吸油量の詳細はJIS−K5101に記載されている)と溶剤(ブチルカルビトールアセテート等)と分散剤を加え、高濃度であるが低粘度のアルミナスラリーを作製し、これを市販のビーズミルを用いて一定時間分散した。なおビーズ33にはアルミナ製の直径2mmのものを用いた。こうして分散したアルミナをグラインドメーター(詳細はJIS−K5600に記載)を用いて評価し、3μm以上のセラミック粉凝集体は検出されなかった。またこのアルミナスラリーは粒度分布計を用いて粒度分布を測定したが、一次粒子まで解されていることが判った。またこのアルミナスラリー中には所定量の分散剤が添加されているため、高濃度(アルミナ含有率60wt%以上、望ましくは80wt%以上)であるが、粘度は10ポイズ(ズリ速度1/s〜100/sの範囲)未満であったにも関わらず、24時間後にも分散は安定していた。なおこのアルミナスラリーを長時間保存する場合は回転架台等にセットした状態で適当に回転させておくと沈殿防止やセラミック粉の再凝集を防止できる。こうして作製したアルミナスラリーは図17(C)に示すように開口10μmのフィルター36aで問題無く濾過できた。
次に、図18(A)に示すようにこのアルミナスラリーをガラス粉や他のバインダ等と秤量し、図18(B)に示すようにプレミキシングして最後に図18(C)に示すようにロール混練した。こうして作製したコンポジットガラスペーストは20μmフィルター36bで問題無く濾過できた。こうして濾過されたコンポジットガラスペーストを調整層として用いて図1に示す荷重センサを作製したが特に問題無かった。また断面をSEMやXMAで解析し、図15に示すガラス26の中に均一に分散されたアルミナが検出された。
このようにセラミック粉凝集体を発生させず分散させる場合、どうしても工数が増加するため、より低コストに効率良く分散することが望まれている。この場合、セラミックスラリーを高濃度にしておくことで分散効率を高められ、製造コストも下げることができる。特に、セラミックスラリーを高濃度(例えば、吸油量の10%増から50%増までの溶剤量)で分散することが重要である。溶剤添加量が吸油量以下の場合、セラミックスラリーの粘度が高すぎてビーズ分散は難しい。また吸油量の100%増し(つまり、JISに従って測定した吸油量が50gだった時、溶剤を100g)にした場合、セラミックスラリーの粘度は充分低いが、溶剤量が多すぎてコンポジットインキ組成において溶剤量が増えすぎて途中で溶剤を減らす必要がある場合がある。
(実施の形態12)
実施の形態12では本発明の荷重センサに用いる金属弾性体について説明する。
本発明の荷重センサにおいて調整層を用いることでより安価な金属材料を用いることができる。こうした基板材料としては、例えばオーステナイト系合金や時効硬化合金(特にNi基合金)やCo基合金(例えば、インコネル)等に比べ、フェライト系の耐熱性鋼を用いることが望ましく、フェライト系の耐熱合金を用いることにより、歪みセンサの高精度な加工が容易になると共に加工後の残留応力や加工歪み等を少なくできる。また必要に応じて金属弾性体内部にアルミニウムを含有させておくことで熱処理時に添加したアルミニウムが金属弾性体上に酸化アルミ皮膜を形成し、耐熱性や耐酸化性を改善できる。この部材としてはAISIIタイプの300や400シリーズの合金としてSUS304、316、404、430、S17及び444が適当である。また他の金属弾性体であってもその表面に耐熱処理を行うことで使うことができる。こうした合金はその組成によって90×10-7/℃〜140×10-7/℃の範囲内で一つの決まった熱膨張係数を有する。
しかし、荷重センサのように所定形状に加工した場合、その加工時に金属弾性体の内部に歪みが残るため、ガラスペーストを印刷して焼成した場合、本来の熱膨張係数以上に変形してしまうことが多い。例えばガラスと金属基板の熱膨張係数の差から計算される基板の反り量以上に金属基板が大きく反ってしまう。また同じSUS材料を用いた場合でも厚みが0.5mm、2mm、5mmでプレス(打抜き)によって所定の基板形状に加工した場合でも反り量が変化してしまう。特に同じ金属材料を用いたとしてもその厚みが変化すればおのずと加工方法が変わるためであり、そしてこの反り量は同じ金属組成であるにもかかわらず、加工時の圧力、方法、手順、金型の違い等で変化してしまう。
また、こうした反り対策として加工後に反り修正を行うこともできるが、その反り修正をしても残留応力や熱処理時の変形量をゼロにすることは難しい。そのため、こうした所定形状に加工され内部に応力が残る金属基板の表面に荷重センサを形成する場合、本発明の荷重センサの調整層を用いることで対策することができる。
なお、抵抗体ペーストの焼成温度は400℃以上1000℃未満が望ましい。400℃未満で焼成すると抵抗体ペーストの焼結が不充分で所定の強度が得られない場合がある。また焼成温度1000℃以上で焼成すると下地となる金属基板が酸化しやすくなり耐力が低下するため、より高価で特殊な金属材料を使う必要がある。
また、ガラス層に結晶化ガラスを用いることで非晶質ガラスに比べてガラスの耐力、破壊強度を高められる。またガラス層内部に1層以上の内部電極を形成し、必要に応じて配線と内部電極をスルーホール等を介して接続することでセンサの耐ノイズ特性が改善できる。
さらに、調整層に用いるガラスペーストを重量比でセラミック:ガラス=5:95〜40:60としたガラス粉とセラミック粉に所定の樹脂や溶剤を添加して作製することにより、焼成後の熱膨張係数を再現性良く調整でき、調整層自体も安価に製造することができる。また調整層の焼成温度を400〜900℃とすることが望ましい。これは焼成温度400℃未満で焼成すると調整層の焼結が不充分で所定の強度が得られない場合がある。また焼成温度1000℃以上で焼成すると下地となる金属基板が酸化しやすくなり耐力が低下するため、高価で特殊な金属材料を使う必要がある。
本発明にかかる荷重センサは、抵抗体と基板との熱膨張係数等による不適合を解消できると共に汎用の抵抗体材料であっても色々熱膨張係数の異なる基板へ適応できるため荷重センサの多品種化と低コスト化に有用である。
本発明の実施の形態1における荷重センサの構成を示す断面図 (A)〜(C)本発明の荷重センサと従来の荷重センサを比較するための説明図 (A)、(B)本発明の荷重センサの抵抗値の変化の様子を示す説明図 (A)、(B)従来の荷重センサの抵抗値の変化の様子を示す説明図 (A)〜(D)従来の荷重センサの抵抗体に応力が発生するメカニズムを示す説明図 (A)〜(D)本発明の荷重センサの応力発生メカニズムを示す説明図 ユーザーが指定する基板を用いて従来の荷重センサを製造した場合の抵抗値の安定性についての説明図 本発明の実施の形態3におけるセラミックフィラーを用いた調整層の最適化例を示す説明図 本発明の実施の形態3におけるセラミックフィラーを用いた調整層の最適化例を示す説明図 複数のガラスを用いた調整層の最適化例を示す説明図 同複数のガラスを用いた調整層の最適化例を示す説明図 (A)〜(D)本発明の実施の形態7における荷重センサの製造方法を示す断面図 (A)〜(D)本発明の実施の形態8における荷重センサの製造方法を示す断面図 本発明の調整層と抵抗体や配線等の位置関係を示す荷重センサの外観図 調整層に用いるコンポジットガラスの拡大模式図 コンポジットガラスに発生する可能性があるピンホールについての説明図 (A)〜(C)本発明の実施の形態11における調整層に用いるコンポジットガラスペーストの製造方法を示す模式図 (A)〜(D)本発明の実施の形態11における調整層に用いるコンポジットガラスペーストの製造方法を示す模式図
符号の説明
1 基板
2 ガラス層
3 調整層
4 配線
5 抵抗体
6 保護層
7 箔ゲージ
9 最高温度領域
10 矢印
11 矢印
12 降温領域
13 矢印
14 点線
15 基板
16a、16b ガラス層
17a、17b 調整層
18a、18b 配線
19a、19b 抵抗体
20 内部電極
21 基板
22 ガラス層
23 調整層
24 配線
25 抵抗体
26 ガラス
27 セラミック粉
28 コンポジットガラス
29 セラミック粉凝集体
30 ピンホール
31a〜31h 所定原料
32 分散装置
33 ビーズ
34 矢印
35a、35b 濾過装置
36a、36b フィルター
37a、37b 容器
38 混練機
39 攪拌治具

Claims (23)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成するガラス層と、
    前記ガラス層上に形成する調整層と、
    前記ガラス層上に形成する複数の配線と、
    前記調整層上に形成され、前記配線に接続した感歪抵抗とからなり、
    前記ガラス層の熱膨張係数より前記調整層の熱膨張係数は前記感歪抵抗体の熱膨張係数に近い、荷重センサ。
  2. ガラス層を結晶化ガラスとし、このガラス層内に少なくとも1層以上の内部電極を形成した請求項1に記載の荷重センサ。
  3. 基板の熱膨張係数と感歪抵抗体の熱膨張係数の差を10×10-7/℃以上50×10-7/℃未満とした請求項1に記載の荷重センサ。
  4. 基板の熱膨張係数とガラス層の熱膨張係数の差を20×10-7/℃未満とした請求項1に記載の荷重センサ。
  5. 感歪抵抗体の熱膨張係数と調整層の熱膨張係数の差を20×10-7/℃以下とした請求項1に記載の荷重センサ。
  6. 調整層の厚みを1μm以上500μm未満とした請求項1に記載の荷重センサ。
  7. 調整層の面積を0.1mm角以上50mm角未満でかつ感歪抵抗体の面積よりも大きくした請求項1に記載の荷重センサ。
  8. 少なくとも配線の一部を感歪抵抗体と共に調整層上に形成する構成とした請求項1に記載の荷重センサ。
  9. 感歪抵抗体及び調整層の厚みを1μm以上500μm未満とした請求項1に記載の荷重センサ。
  10. ガラス層の厚みを10μm以上500μm未満とした請求項1に記載の荷重センサ。
  11. 抵抗体の面積を0.1mm角以上50mm角未満で、かつ調整層の面積よりも小さくした請求項1に記載の荷重センサ。
  12. 基板を熱膨張係数が80×10-7/℃以上200×10-7/℃未満の金属材料とした請求項1に記載の荷重センサ。
  13. 基板を金型によって所定形状に打抜かれた金属基板とした請求項1に記載の荷重センサ。
  14. 抵抗体のGFを10以上1000未満とした請求項1に記載の荷重センサ。
  15. 調整層をガラスもしくはガラスとセラミックフィラーよりなるコンポジットガラスとした請求項1に記載の荷重センサ。
  16. 調整層をセラミックとガラスの比率でセラミック:ガラス=5:95〜40:60とした請求項1に記載の荷重センサ。
  17. セラミックの粒径を0.01μm以上10μm未満とした請求項15または16に記載の荷重センサ。
  18. セラミックフィラーをアルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニア、チタバリ、カルシアの内の一種類以上とした請求項15に記載の荷重センサ。
  19. 属基板の上にラス層を形成する工程と
    前記ガラス層の上にガラスペーストを所定形状に印刷し焼成して調整層を形成する工程と、
    前記調整層数の配線を形成する工程と
    記複数の配線間を接続するように抵抗体ペーストを所定の形状に印刷し焼成して感歪抵抗体を、前記ガラス層の熱膨張係数より前記調整層の熱膨張係数は前記感歪抵抗体の熱膨張係数に近くなるように形成する工程と
    を備えた、荷重センサの製造方法。
  20. 感歪抵抗体ペーストの焼成温度を400℃以上1000℃未満とする請求項19に記載の荷重センサの製造方法。
  21. 調整層のガラスペーストを温度400〜900℃で焼成する請求項19に記載の荷重センサの製造方法。
  22. セラミック:ガラス=5:95〜40:60とした重量比のガラス粉とセラミック粉が分散されてなるガラスペーストを所定形状に印刷して焼成する請求項19に記載の荷重センサの製造方法。
  23. ガラスペーストをセラミック粉に溶剤及び若干量のバインダもしくは分散剤と共に0.01ポイズ以上100ポイズ以下の粘度で分散し、ガラス粉や所定量のバインダと混合して分散し、粘度100ポイズ以上10000ポイズ未満に調整する請求項19に記載の荷重センサの製造方法。
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