JP2006066735A - ガラスセラミック配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 抵抗体のための焼成工程を追加することなく、抵抗体をガラスセラミック配線基板と同時焼成したとしても、抵抗体が導体及びガラスセラミック配線基板の表面に強固に接合された高寸法精度のガラスセラミック配線基板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 ガラスセラミックスから成る絶縁基体の表面に配線導体と配線導体に接続された抵抗体とが形成されたガラスセラミックス配線基板において、抵抗体は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなり、酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmである。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラスセラミックスから成る絶縁基体の表面に配線導体と配線導体に接続された抵抗体とが形成されたガラスセラミックス配線基板において、抵抗体は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなり、酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、半導体LSIやチップ部品等を搭載し、それらを相互配線するためのガラスセラミック配線基板であって、その表面に抵抗体が形成されたガラスセミック配線基板に関する。
近年、半導体LSIやチップ部品等は小型化,軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化,軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において重要視されている。
多層セラミック基板としては、アルミナ質焼結体から成る絶縁基板の表面または内部にタングステン,モリブデン等の高融点金属から成る配線層が形成された配線基板が従来から広く用いられている。
一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶縁基板にもより低い誘電率が要求される。
しかし、従来のタングステン,モリブデン等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難であることから、タングステン,モリブデン等の金属に代えて銅,銀,金等の低抵抗金属を使用することが必要である。ところが、これら低抵抗金属は融点が低いため、800〜1000℃程度の低温で焼成することが必要であることから、この低抵抗金属から成る配線層は、高温焼成が必要なアルミナ質焼結体と同時焼成することができなかった。また、このようなアルミナ質焼結体から成る多層セラミック基板は誘電率が高いため、高周波回路基板には不適切である。
このため、最近では、ガラスとセラミックス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目されている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低いため高周波用の絶縁基板として好適であり、またガラスセラミックスは800〜1000℃程度の低温で焼成することができることから、銅,銀,金等の低抵抗金属を配線層として使用できるという利点がある。
このガラスセラミック配線基板は、ガラスとフィラーとの混合物に有機バインダ,可塑剤,溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガラスセラミックグリーンシートを成形した後、銅,銀,金等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストを印刷する等してこのガラスセラミックグリーンシート上に導体パターンを形成し、次に複数枚のガラスセラミックグリーンシートを積層して、この積層体を800〜1000℃程度の温度で焼成して得られる。
ガラスセラミック配線基板を含むこれらの多層セラミック基板には、一般に、回路形成のためにコンデンサ,インダクタ,抵抗体等の機能部品を、表面および内部の少なくとも一方にチップ搭載法,厚膜法,薄膜法等によって形成する必要がある。そして、これらの機能部品のうち抵抗体をガラスセラミック配線基板の表面に厚膜印刷法によって形成する場合、特許文献1のように、配線導体パターンの形成されたガラスセラミックグリーンシートの積層体を焼成することによってガラスセラミック配線基板を得た後に、ガラスセラミック配線基板の上面および下面の少なくとも一方に抵抗体ペーストを印刷し、再度焼成することで形成する、所謂ポストファイア(post−fire)法を用いることが一般的である。
なお、このような抵抗体を形成したガラスセラミック配線基板に用いられる抵抗体ペーストの成分としては、抵抗値を規定する抵抗体成分と、焼成されることで溶融しガラスセラミックスの絶縁基板上に抵抗体を密着させるガラス成分、その他焼結助剤や調整剤からなり、一般的には、温度特性やガラスセラミックスとの密着性に優れ高い信頼性が得られる抵抗体として、抵抗体成分として酸化ルテニウムを用い、ガラス成分として鉛系ガラスを用いたものが用いられていた。
また、近年のガラスセラミック配線基板に対する高寸法精度の要求に対して、特許文献2〜4等には、ガラスセラミックグリーンシートの積層体の両面または片面に、ガラスセラミック成分の焼成温度では焼結しない無機材料とバインダ、可塑剤等の有機成分とを含む拘束グリーンシートを積層して焼成し、焼成後の基板から拘束シートを除去する方法が提案されている。この拘束焼成法によれば、焼成時の収縮を拘束するため、積層体の厚さ方向のみに収縮が起こり、積層面の縦方向および横方向(平面方向)には収縮が起こらなくなり、焼成収縮のばらつきに起因するガラスセラミック配線基板の寸法のばらつきを抑え、ガラスセラミック配線基板の寸法精度が向上するというものである。
特開平9−8455号公報
特開平4−243978号公報
特開平5−28867号公報
特開平5−102666号公報
しかしながら、上記のポストファイア法によってガラスセラミック配線基板の上面および下面の少なくとも一方に抵抗体を形成するためには、上述の通り、ガラスセラミックス積層体の焼成後に抵抗体ペーストを塗布し、再度焼成を行なう必要があり、一般に抵抗体の焼成温度は800〜900℃程度とガラスセラミックスの焼成温度とほぼ同一であることから、この再度の焼成によりガラスセラミックスおよび導体の焼結がさらに進行して過焼結な状態となるために、ガラスセラミックスの機械的および電気的特性を変化させたり導体の密着強度を低下させたりする等の問題点があった。
そこで、ガラスセラミックグリーンシートに導体パターンを形成する際に、抵抗体パターンを形成して同時に焼成するという手法が考えられる。しかしながら、この手法において従来の抵抗体ペーストを使用した場合、焼成の際に抵抗体と導体間の結合が不十分となり、両者の接合界面において隙間が生じ、焼成後に抵抗体が剥離したりして抵抗体の機械的および電気的な接続信頼性の低下をもたらすなどの問題点があった。
これは、抵抗体成分として従来から用いられている酸化ルテニウムの粒径が比較的小さいため、焼成時に溶融するガラスの流動性が低下し、抵抗体から導体表面へと流出するガラス量が少なく、抵抗体と導体とをガラスを介して強固に接合させるために必要なガラス量が確保できないことに起因する。
さらに、上記の抵抗体と導体が剥離する問題点は、拘束焼成法において顕著に発生する。これは、拘束焼成法時には抵抗体と導体双方の表面は拘束シートにより拘束されるが、抵抗体と導体が重なっている接合界面は拘束されていないため、焼成時の抵抗体と導体双方の収縮により、この接合界面に剥離や空隙が生じる方向に作用する力が通常の焼成法に比べて大きくなることによる。また、ブラスト等の除去手段により焼成後のガラスセラミック配線基板から拘束シートを除去する際に、ガラスセラミック配線基板の表面の抵抗体に加えられる力により、より抵抗体が剥がれやすくなるものであった。
本発明は、以上のような従来の技術の問題に鑑みて完成されたものであり、その目的は、抵抗体のための焼成工程を追加することなく、抵抗体をガラスセラミック配線基板と同時焼成したとしても、抵抗体が導体およびガラスセラミック配線基板の表面に強固に接合された、高寸法精度を有するガラスセラミック配線基板、およびその製造方法を提供することである。
本発明のガラスセラミック配線基板は、ガラスセラミックスから成る絶縁基体の表面に、配線導体と該配線導体に接続された抵抗体とが形成されたガラスセラミックス配線基板において、前記抵抗体は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなり、該酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmであることを特徴とする。
本発明のガラスセラミック配線基板の製造方法は、有機バインダを含有し表面に抵抗体ペースト層および導体ペースト層が形成されたガラスセラミックグリーンシートの複数枚を積層して、表面に前記抵抗体ペースト層および前記導体ペースト層が配置されたガラスセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の両面に、難焼結性無機材料と有機バインダとを含む拘束グリーンシートを積層する工程と、前記拘束グリーンシートと前記ガラスセラミックグリーンシート積層体との積層体を加熱して有機成分を除去し、次に焼成して表面に抵抗体および導体が形成されたガラスセラミック配線基板を得る工程と、前記ガラスセラミック配線基板から前記拘束シートを除去する工程とを具備するガラスセラミック配線基板の製造方法において、前記抵抗体ペースト層は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムを含み、前記酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmであることを特徴とする。
本発明のガラスセラミック配線基板によれば、ガラスセラミックスから成る絶縁基体の表面に配線導体と接続されて形成された抵抗体が10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなり、酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmであることから、酸化ルテニウムの粒子間の接触性が均一であるので安定な抵抗値を示す抵抗体が形成されたガラスセラミック配線基板を得ることができる。また、焼成時に軟化したガラス成分が流動するための径路が十分に広くなるので、抵抗体側から抵抗体と配線導体との界面へ両者を接合するのに十分な量のガラスが供給され、抵抗体が配線導体及びガラスセラミックスの絶縁基体の表面に強固に接合されたガラスセラミック配線基板を得ることができる。
本発明のガラスセラミック配線基板の製造方法によれば、10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムを含み、酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmである抵抗体ペーストにより抵抗体ペースト層を形成したガラスセラミックグリーンシート積層体を拘束焼成法により焼成することから、焼成時および焼成後の拘束シートの除去の際の抵抗体と配線導体およびガラスセラミックスの絶縁基体と間の剥離を防止するとともに、高寸法精度のガラスセラミック配線基板を得ることができる。
本発明のガラスセラミック配線基板について以下に詳細に説明する。
本発明において、ガラスセラミック配線基板の絶縁基体となるガラスセラミックスは、ガラスセラミックグリーンシートに配線導体と抵抗体を形成し積層した後に焼成することで得られる。このガラスセラミックグリーンシートは、ガラス粉末,フィラー粉末,有機バインダに必要に応じて所定量の可塑剤,溶剤(有機溶剤,水等)を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード,圧延,カレンダーロール,金型プレス等により厚さ約50〜500μmに成形することによって得られる。
ガラスセラミックグリーンシートの表面に配線導体を形成するには、例えば導体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷する。導体材料としては、例えばAu,Ag,Pd,Pt等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合,合金,コーティング等のいずれの形態であってもよい。
また、ガラスセラミックグリーンシートに抵抗体を形成するには、抵抗体成分とガラス成分を所定の組成にて混合してペースト化したものを、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷する。
本発明において、抵抗体の抵抗体成分としての酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmである。通常、このような抵抗体と配線導体の同時焼成における両者の接合は、焼成時に軟化したガラスが抵抗体側から配線導体表面へ流出し配線導体表面を十分に濡らした状態で冷却されることで得られる。ところが、従来から用いられている酸化ルテニウムは平均粒径が0.3〜0.4μm程度であり平均粒径が小さいことから、粒子間の空隙が狭くなっていた。そのため、焼成時に軟化したガラス成分が流動するための径路が十分に形成されず、ガラス成分の流動性が阻害され、配線導体表面への流出量は不足して配線導体との密着性が低下し、その結果、焼成後に抵抗体と配線導体とが剥離することがあった。
本発明においては、酸化ルテニウムの平均粒径を0.6μm以上とすることで、焼成時に軟化したガラス成分が流動するための径路を十分に広くすることによってガラス成分の流動性を高めることができ、配線導体表面への十分な流出量を確保することで、配線導体との密着性を向上させ、抵抗体と配線導体を強固に接合している。なお、抵抗体と配線導体の接合のためには、酸化ルテニウムの平均粒径を0.6μm以上とすれば良いが、平均粒径が0.9μmを越えると、抵抗体成分である酸化ルテニウムの粒子間の接触性が不均一になり、抵抗値が大きく変動して安定しないため、抵抗体として用いることがむつかしくなる。
酸化ルテニウムの平均粒径の制御は、抵抗体ペーストを作成する際に添加される酸化ルテニウム原料粉末の平均粒径により制御できる。酸化ルテニウムはガラスセラミックの絶縁基体の焼成温度である800〜1000℃では焼結しないため、焼成中および焼成後に粒径が変化することはない。従って、酸化ルテニウムの平均粒径は、原料の酸化ルテニウム粉末を水中に分散させ、マイクロトラック法により測定したD50の値としても何ら差し支えはない。なお、この値は焼成後の抵抗体に含まれる酸化ルテニウムをSEM等で直接観察し測定した平均粒径とも同等の値となる。
また本発明において、抵抗体は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなる。ガラス含有量が10質量%未満の場合、焼成時に配線導体表面に流出可能なガラス成分の全体量が不足するため、酸化ルテニウムの平均粒径を0.6〜0.9μmとしても、抵抗体と配線導体との密着性が低下し剥離が生じる。ガラス成分が50質量%を超える場合、十分な量のガラス成分が含有されるため、酸化ルテニウムの平均粒径を0.6〜0.9μmとしなくても配線導体表面に十分な量のガラス成分が流出するため、抵抗体と配線導体の密着性に問題はない。ただし、ガラス成分が50質量%を超える場合は、抵抗体成分である酸化ルテニウムの粒子間に過剰のガラス成分が存在することとなるため、酸化ルテニウムの粒子間の接触性が不均一になり、抵抗値が大きく変動して安定しなくなるという不具合を生じる。
抵抗体に含まれるガラス成分としては、ガラスセラミックグリーンシートと同時焼成されるので、軟化、焼結のタイミングを合わせ、密着強度の低下等の不具合が発生することを抑制するために、ガラスセラミックグリーンシートに含まれるガラスと同程度の軟化温度を有することが好ましい。また、熱膨張係数がガラスセラミックスと同程度のガラスを用いることでガラスセラミックスと抵抗体とを強固に接合させることができる。
例えば、このようなガラス成分としては、Bi2O3−SiO2系ガラス,Bi2O3−SiO2−アルカリ系ガラス,ZnO−B2O3−SiO2系ガラス,Bi2O3−SiO2系ガラス,Bi2O3−B2O3−SiO2系ガラス等があげられる。なお、本発明による抵抗体と導体の密着性を向上させる効果は、抵抗体とガラスセラミックスの同時焼成において特に効果的であるが、従来より広く用いられているポストファイヤ法においても同様の機構が発現し効果を有するため、これに適用しても良い。
抵抗体はガラスセラミックグリーンシート積層体の上面および下面の少なくとも一方に形成され、配線導体の印刷前または印刷後に所定位置に所定形状および所定厚みで塗布される。抵抗体は、例えば、配線導体との接続用の導体と重なり合うように塗布され、このため抵抗体と配線導体の接続部には、抵抗体の幅に応じた電極部が形成されている。また、配線導体の幅および形状、抵抗体の幅および形状、電極部の幅および形状は、必要な回路設計に応じて種々選択することができる。また、異種の材料から成る抵抗体と配線導体との接続による電気的および機械的不具合を緩和するために、抵抗体と配線導体および電極部との接合部に中間層を設けるなどしても良い。
なお、本発明のガラスセラミック配線基板においては、抵抗体の形成部はガラスセラミックグリーンシート積層体の上面および下面の少なくとも一方のみに限定されるものではなく、ガラスセラミックグリーンシート積層体の内部に形成されていても何ら差し支えはない。
ガラスセラミックグリーンシートの積層には、積み重ねたガラスセラミックグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法や、有機バインダ,可塑剤,溶剤等から成る接着剤をガラスセラミックグリーンシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。
ガラスセラミックグリーンシートの積層後、有機成分の除去と焼成を行なう。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲でガラスセラミックグリーンシート積層体を加熱することによって行ない、有機成分を分解、揮散させる。また、焼成温度はガラスセラミック組成により異なるが、通常は約800〜900℃の範囲内である。一般のガラスセラミック材料は900℃以上で焼成する場合もあるが、本発明では抵抗体を同時焼成するため、通常の抵抗体の焼成温度に準じて800〜900℃の範囲が望ましい。900℃以上で焼成した場合、抵抗値の増加や絶縁性の低下等の電気的特性が著しく変化する。焼成は通常、大気中で行なう。
このように、1回の焼成で抵抗体と配線導体が剥離することなく接合されたガラスセラミック配線基板を得ることができる。
さらに、本発明のガラスセラミック配線基板を拘束焼成法を用いて製造する場合に関して説明する。
拘束焼成する場合も、ガラスセラミックグリーンシートに配線導体と抵抗体を形成し積層する工程までは上記の方法と同様である。用いられる抵抗体も酸化ルテニウムの平均粒径を0.6〜0.9μm、ガラス成分含有量を10〜50質量%とすることで、抵抗体と導体の剥離を防止することができる。
拘束焼成の場合は、抵抗体と配線導体が形成されたガラスセラミックグリーンシートを積層した後、そのガラスセラミックグリーンシート積層体の上下面に拘束グリーンシートを積層する。
拘束グリーンシートは、難焼結性無機材料に有機バインダ,可塑剤,溶剤等を加えたスラリーを成形して得られる。難焼結性無機材料としては、Al2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるものではない。拘束グリーンシートの熱膨張係数がガラスセラミックグリーンシートの熱膨脹係数に近似するように難焼結無機材料を選定すると良い。さらに、拘束グリーンシートにガラス材料を添加することで、ガラスセラミックグリーンシートとの密着性を高めることができる。このとき拘束グリーンシートに加えられるガラスについても、特に制限されるものではなく、上述のガラスセラミックグリーンシートに配合されるガラスと同様のものが使用可能である。また、拘束グリーンシート中のガラスは、ガラスセラミックグリーンシート中のガラスと同一組成のものであってもよく、異なる組成のものであってもよい。
拘束グリーンシートは、ガラスセラミックグリーンシートの作製と同様にして、有機バインダ,可塑剤,溶剤等を用いて成形することによって得られる。有機バインダ,可塑剤および溶剤としては、ガラスセラミックグリーンシートで使用したのと同様の材料のものが使用可能である。
拘束グリーンシートを積層した後、有機成分の除去と焼成を行なう。焼成は上記の焼成と同様である。焼成後、拘束シートを除去する。除去方法としては、ガラスセラミック絶縁基体の表面に結合した拘束シートを除去できる方法であれば特に制限はなく、例えば研磨,ウォータージェット,ケミカルブラスト,サンドブラスト,ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。なお、このような拘束焼成方法において、拘束シートを除去する際にウェットブラストなどを用いても、配線導体と抵抗体が強固に密着しているので剥離、除去されにくい。さらに、抵抗体の密着強度(接合強度)をより上げるには、抵抗体の強度を高くするためにガラス成分としてBi2O2−B2O3−SiO2系ガラスを用いることが好ましい。
得られたガラスセラミック配線基板は、焼成時の収縮が拘束グリーンシートによって厚さ方向だけに抑えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.5%以下にも抑えることが可能となる。ガラスセラミックグリーンシートは拘束グリーンシート中のガラスによって拘束グリーンシートと全面にわたって均一にかつ確実に結合されているので、拘束グリーンシートの一部の剥離等によって反りや変形が起こるのを防止することができる。
さらに、抵抗体が少なくとも平均粒径0.6〜0.9μmの二酸化ルテニウムを含み、10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなることから、抵抗体と配線導体の剥離がなく、一度の焼成で表面に抵抗体が形成された高寸法精度のガラスセラミック配線基板を得ることができる。その作用機構は上記の拘束グリーンシートを用いない通常の焼成の場合と同様であるが、抵抗体と配線導体の剥離が顕著に生じ易い拘束焼成法時には、本発明はより効果的である。
実施例,比較例を挙げて本発明の抵抗体を用いたガラスセラミック配線基板の製造方法を以下に詳細に説明する。
ガラスセラミック成分として、SiO2−Al203−MgO−B203−ZnO系結晶化ガラス粉末60質量%,CaZrO3粉末20質量%,SrTiO3粉末17質量%およびAl2O3粉末3質量%を使用した。このガラスセラミック成分100質量%に、有機バインダとしてアクリル樹脂12質量%,フタル酸系可塑剤6質量%および溶剤としてトルエン30質量%を外添加し、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミックグリーンシートを成形した。
次に、このガラスセラミックグリーンシート上に銀ペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷にて形成した。銀ペーストとしては、平均粒径1μmの銀粉末100質量%に対して、Al2O3粉末2質量%および上記ガラスと同組成のガラス粉末2質量%、さらにビヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂,テルピネオールを外添加し、3本ロールにより適度な粘度になるように混合したものを用いた。
導体パターンの形成後、抵抗体パターンをスクリーン印刷にて形成した。抵抗体ペーストとしては、平均粒径を表1に示す5種のものとした二酸化ルテニウムを用いた。また、ガラス成分としてBi2O3−B2O3−SiO2系ガラス粉末を用い、表1に示す5種の混合比で混合し、さらに、ビヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂,テルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合したものを用いた。
また、拘束グリーンシート用の無機成分としてAl2O3粉末95質量%と、軟化点720℃のSiO2−Al2O3−MgO−B2O3−ZnO系結晶化ガラス粉末5質量%とを用いて、上記ガラスセラミックグリーンシートと同様にしてスラリーを作製し、次に成形して、厚さ250μmの拘束グリーンシートを得た。
ガラスセラミック配線基板の内層にあたるガラスセラミックグリーンシート表面には、所定の回路パターン形状で銀の導体パターンを印刷した。
導体パターンを形成したガラスセラミックグリーンシートの所定枚数を積み重ねてガラスセラミックグリーンシート積層体を得て、さらにその両面に上記拘束グリーンシートを重ね合わせ、真空積層機によって、温度55℃,圧力20MPaの条件で圧着して積層体を得た。
得られた積層体をアルミナセラミックスのセッターに載置し、バッチ式焼成炉にて大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した後、900℃で1時間焼成した。その後、拘束シートを、球状Al2O3微粉末と水との混合物を高圧の空気圧で投射するウェットブラスト装置を用いて、ブラスト圧0.135MPa,送り速度10mm/秒の条件によって除去した。拘束シートを除去した後のガラスセラミック配線基板の表面は、表面の算術平均粗さRaが1μm以下の平滑な面であり、形成された抵抗体パターンおよび導体パターンも欠損や滲み等が無かった。
また、得られたガラスセラミック配線基板の積層面内での収縮は0.5%以下であり、反りや変形も認められなかった。抵抗体と導体の接合に関しても、導体と剥離することなく焼成されていた。
本実施例における、酸化ルテニウムの平均粒径を5種とし、その平均粒径それぞれについて酸化ルテニウムとガラスの混合比を5種とした計25種の抵抗体の試料について、抵抗体と導体の剥離発生率、抵抗値のばらつきの範囲(%)を測定した結果を表1に示す。また、剥離発生率と抵抗値ばらつき範囲から、実用可能であるかどうかの判定を同じく表1に示す。抵抗体と導体の剥離に関しては0%であることを実用可能と判定した。抵抗値ばらつき範囲に関しては60%以下を実用可能と判定した。
表1より、平均粒径0.5μmの酸化ルテニウムを用いた場合、全てのガラス組成において配線導体と抵抗体が剥離した。
平均粒径1.0μmの酸化ルテニウムを用いた場合、全てのガラス組成において抵抗値ばらつきが大きく、実用に耐えない。
平均粒径0.6〜1.0μmの酸化ルテニウムを用い、かつガラス組成10〜60質量%の場合、配線導体と抵抗体の剥離は生じておらず、抵抗値ばらつきも実用可能な範囲内であることが判った。
Claims (2)
- ガラスセラミックスから成る絶縁基体の表面に配線導体と該配線導体に接続された抵抗体とが形成されたガラスセラミックス配線基板において、前記抵抗体は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムとからなり、該酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmであることを特徴とするガラスセラミック配線基板。
- 有機バインダを含有し表面に抵抗体ペースト層および導体ペースト層が形成されたガラスセラミックグリーンシートの複数枚を積層して、表面に前記抵抗体ペースト層および前記導体ペースト層が配置されたガラスセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、
前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の両面に、難焼結性無機材料と有機バインダとを含む拘束グリーンシートを積層する工程と、
前記拘束グリーンシートと前記ガラスセラミックグリーンシート積層体との積層体を加熱して有機成分を除去し、次に焼成して表面に抵抗体および導体が形成されたガラスセラミック配線基板を得る工程と、
前記ガラスセラミック配線基板から前記拘束シートを除去する工程とを具備するガラスセラミック配線基板の製造方法において、前記抵抗体ペースト層は10〜50質量%のガラスと50〜90質量%の酸化ルテニウムを含み、前記酸化ルテニウムの平均粒径が0.6〜0.9μmであることを特徴とするガラスセラミック配線基板の製造方法。
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2004
- 2004-08-27 JP JP2004249089A patent/JP2006066735A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018026480A (ja) * | 2016-08-10 | 2018-02-15 | 日本特殊陶業株式会社 | セラミック配線基板及びセラミック配線基板の製造方法 |
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