JP3940792B2 - ゴルフカートの後退時制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に埋設した誘導線等に沿って自動操行と停止を行い、無線送信機により別に発停を可能とするゴルフカートの後退時制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴルフ場内において誘導経路に沿って誘導線及びマグネットを埋設し、ゴルフカートに誘導センサ及び磁気センサを搭載し、該誘導センサにより誘導線を認識して誘導経路上を走行可能とするとともに、マグネットから発生される磁気を磁気センサで検出し、走行速度及び状態の変更を行うよう構成されたゴルフカートが公知となっている。これらでは、操縦者の手動操作を必要とすることなく誘導経路上でコースにあわせて走行速度を減速・加速・停止することができる。
【0003】
ゴルフカートを自動走行する際には、自動運転切換レバーを「自動」とすれば自動走行モードとなる。自動走行モードでは、走行コースに沿って埋設された誘導線に流れる誘導電流を検知し、マグネットを読みとって、自動操縦と自動増減速、自動停止を行いながら走行コースを走行する。リモコンや発進・停止ボタンで任意の場所で発進または停止することもできる。
そして、自動運転切換レバーを「手動」に切り換えると手動走行モードとなり、通常のゴルフカートと同様にステアリング操作により操縦者自身による操作で前後進させることができる。
【0004】
また、特許第3075973号公報に記載の技術では、上述のような無人走行可能車両において、車両の回転方向を検出するセンサを設けて、自動前進運転時に後退したことを検出すれば車両を停止させるよう制御したものが提案されている。ここでは車輪の回転方向を検出するセンサ(例えば、トルクセンサ・加速度センサ・タコメータ等)によって車両の後退が検出されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、上記従来の技術に鑑み、ゴルフカートにおいて、自動前進運転時に車両の後退を検出した場合には、車両を停止させるように制御するにあたって、走行用車輪や車軸の回転方向を検出するのではなく、他の方法を用いて車両の進行方向を検出し、確実に車両を停止させることのできる構造を提案する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
地中に埋設した誘導線を誘導センサにより検出し、自動的に操向・走行制御を行ない無人走行するゴルフカート(1)が、起伏の大きなゴルフ場の坂道等での発進や走行時において、操縦者の意図しない後退走行を始めた場合に、自動的にゴルフカート(1)を停止させるゴルフカート(1)の後退時制御装置において、該ゴルフカート(1)の前後輪(15・14)とは別に、前後輪(15・14)よりも小径の接地検出輪(55)を突設し、該検出輪(55)は車体より下方へ垂設されたポスト(57)と支持軸(57a)に、サスペンションバネを介して上下摺動可能に支持され、該検出輪(55)に設けた車速センサ(56)の検出値により、ゴルフカート(1)の実進行方向(M1)と実車速(V1)を検出し、該ゴルフカート(1)に搭載したコントローラ(10)は、走行路に沿って車速、加速度、傾斜のそれぞれの算出処理を行ない、目標進行方向(M0)を決定し、前記目標進行方向(M0)と実進行方向(M1)を比較し、両者が異符号で、一方が前進であるときに他方が後進であれば、該走行路における実車速(V1)と、予めコントローラ(10)に設定された車速誤差(Vs)との大きさを比較し、実車速(V1)が車速誤差(Vs)の範囲を超えていれば、車両を停止させるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施例に係るゴルフカートの全体的な構成を示した側面図、図2は同じくゴルフカートの構成を示すブロック図、図3は運行モード設定のための信号の流れを示すブロック図である。図4はプリブレーキ制御機構を示すマグネット配置図、図5はプリブレーキ制御を示すフローチャート図である。
【0010】
図6は後退防止制御を示すフローチャート図、図7は警報出力に関するブロック図、図8は進行方向検出手段を示す側面図、図9は進行方向検出手段を示す背面図、図10は車両にGPSを搭載した様子を示す図である。図11はブレーキユニットを示す平面図、図12はブレーキユニットを示す側面図、図13は自動走行モード時の自動走行モードと手動走行モードの切換機構を示す図、図14は手動走行モード時の自動走行モードと手動走行モードの切換機構を示す図、図15は操舵クラッチの構造を示す断面図である。
【0011】
本発明に係る実施例としてゴルフカート1を採用し、まず、該ゴルフカート1の全体構成を図1を用いて以下に説明する。ゴルフカート1は、車体を支持するメインフレーム2の前部と後部には、外装部材としてのフロントカウル6、リアカウル4がそれぞれ設けられている。フロントカウル6後部の前部座席台3の上部には、前座席シート8が設けられている。一方リアカウル4の上部には後座席シート9が設けられている。リアカウル4内にはエンジン11、トランスミッション13、バッテリ77、マフラ等が配設されている。
【0012】
前座席シート8の後部上には背もたれ46が設けられており、後座席シート9の後部上には背もたれ47が設けられている。また、前座席シート8、後座席シート9の外側方から後部にはそれぞれ前アシストフレーム48・後アシストフレーム49が設けられている。
【0013】
前記前座席シート8の左右一側の前方には、フロントカウル6から突出して配置されたハンドル16等のステアリング機構28が設けられており、また、運転席の足元前方にはブレーキペダル18及びアクセルペダル17が設けられている。フロントカウル6下方には左右一対の前輪15・15が懸架されており、また、リアカウル4の後部下方には左右一対の後輪14・14が懸架され、メインフレーム2の前端と後端にそれぞれバンパー5・5が配設されている。
【0014】
前記フロントカウル6の両側上部より左右一対のフロント支柱41が上方に延設され、該フロント支柱41・41間にフロントガラス7が取り付けられている。一方、前記後座席シート9の後アシストフレーム49の左右中央上部には、リア支柱42が上方に延設されている。前記フロント支柱41及びリア支柱42の上端部間にはルーフフレームを架設してルーフ43で覆っている。前記リアカウル4の後方には、キャリアフレーム44が斜め上方に向かって延設されており、その上にゴルフバッグを載せることができるようになっており、パターケース45がその下部に付設されている。
【0015】
次に、前記ゴルフカート1の駆動及び制御形態を説明する。図2に示す如く、無人走行可能車両としてのゴルフカート1は、エンジン11を搭載し、このエンジン11には遠心クラッチ付きVベルト式自動変速機12を介してトランスミッション13が連結されている。従って、エンジン回転数が所定エンジン回転数以上のときは、遠心クラッチが連結されて、エンジン11からVベルト式自動変速機12を介してトランスミッション13に駆動力が伝達され、駆動輪である一対の後輪14・14が回転駆動される。また、所定エンジン回転数を下回ったときは、遠心クラッチが「断」となり、駆動力は、トランスミッション13に対し伝わらないようになっている。
【0016】
また、ゴルフカート1は、操舵輪である左右一対の前輪15・15を手動操舵するためのハンドル16、エンジン11のエンジン回転数を変えるためのスロットル開度を調節するためのアクセルペダル17、車両に制動を付与するためのブレーキペダル18とブレーキユニット19、各後輪14・14、各前輪15・15に設けられたドラムブレーキ20・21・22・23を備えている。ドラムブレーキ20・21・22・23は、ブレーキペダル18にワイヤ結合されているとともにブレーキユニット19に連結されている。但し、制動装置はドラムブレーキに限定するものではなくディスクブレーキ等であってもよい。
【0017】
前記アクセルペダル17には、ポテンショメータからなるアクセルセンサ26が設けられ、アクセルセンサ26はアクセルペダル17のアクセル操作量に比例したアクセル信号を制御手段となるコントローラ10に出力する。また、前記ブレーキペダル18には、ブレーキスイッチ27が設けられ、ブレーキペダルの踏込操作を検出してブレーキ信号をコントローラ10に出力する。
【0018】
前記ハンドル16はステアリング機構28に連結されている。ステアリング機構28はラックピニオン式とされ、図示しないピニオンがステアリング軸30a及びステアリング基部軸30bを介してハンドル16によって作動され、図示しないラックに連結されたタイロッド28a・28aを介して各前輪15・15の転舵が可能とされている。ステアリング機構28は操舵モータ29を備えており、操舵モータ29が回転駆動されると、ステアリング基部軸30bを介して各前輪15・15が操舵される。なお、操舵モータ29が回転される際には、ハンドル16に連結されたステアリング軸30aは、操舵切換クラッチ31によってステアリング基部軸30bから切り離され、手動操作が不能になっている。
【0019】
また、ゴルフカート1は通常のマニュアル操作による手動走行の他、自動走行が可能となっており、図3にも示す如く、自動走行を行うためのコントローラ10を備えている。前記コントローラ10により、手動走行モード時の車速制御及びエンジン回転数制御、自動走行モード時の操舵制御、車速制御及びエンジン回転数制御等を可能としている。該コントローラ10には、誘導センサ35a・35b、マグネットセンサ36、進行方向検出手段60等のセンサ群や、スロットルアクチュエータ39、スタータモータ40、ブレーキモータ24、電磁クラッチ25、操舵モータ29、操舵切換クラッチ31等が電気的に接続されている。
【0020】
スロットルアクチュエータ39はリニアソレノイドにて構成され、内蔵された駆動回路39aにコントローラ10から開度指令信号が入力されると、該駆動回路39aからその信号値に対応した駆動電流が供給され、この結果、エンジン11の吸気系に設けられた図示しないスロットルの開度量を調整する。このスロットルアクチュエータ39に供給される駆動電流は、複数の電流レンジ毎にDUTY比が設定されている。スタータモータ40は、コントローラ10から出力されるスタータ信号により駆動され、エンジン11を始動する。
【0021】
ブレーキモータ24は、内蔵された駆動回路24aにコントローラ10から制動指令信号が入力されると、該駆動回路24aからその信号値に対応した駆動電流が供給され、この結果、ドラムブレーキ20・21・22・23を駆動し、車両を制動する。このブレーキモータ24に供給される駆動電流は、複数の電流レンジ毎にDUTY比が設計されている。なお、ドラムブレーキ20・21・22・23は、自動走行モード、手動走行モードを問わず、操縦者によってブレーキペダル18が踏込操作されたときには、ワイヤ結合によって直接駆動され、その結果、車両が制動されるようにもなっている。電磁クラッチ25はコントローラ10からのON/OFF信号に基づいて、ブレーキペダル18及びブレーキモータ24をブレーキバネ73に対して連結、或いは、遮断する。
【0022】
また、車両の走行状態を検出するためのセンサ類として、後輪14・14の車軸にはゴルフカート1の車速を検出する車速センサ51、エンジン11の出力軸にはエンジン回転数センサ52、進行方向検出手段60に備えられゴルフカートの進行方向を検出する車速センサ56、さらに車両の所定位置には、ゴルフカート1の傾斜角度を検出する傾斜センサ53等が設けられ、それぞれのセンサはコントローラ10に電気的に接続されている。なお、進行方向検出手段60はスイッチや傾斜センサや加速度センサ等により構成することもできる。
【0023】
コントローラ10は、マイコン61、EEPROM(書き換え可能型記憶装置)62、LED63を備え、マイコン61は、CPU、ROM、RAM、タイマ71からなる。マイコン61のROMには、「データ記録制御プログラム」、「警報制御プログラム」等の各種制御プログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納された各制御プログラムに従って、データ記録制御処理、警報制御処理等の種々の演算処理を実行する、検出手段、判断手段及び比較手段を構成している。RAMは、CPUの演算処理結果を一時記憶するための作業用メモリである。
【0024】
EEPROM62の各所定記憶領域には、各基準値データ(基準振幅データ(基準マグネット波形大きさデータ)、基準操舵電圧データ、基準誘導センサ出力電圧データ、基準操舵ずれ量データ、基準上昇操舵電圧データ、基準車速データ、基準加速度データ、基準傾斜データ、基準バッテリ電圧データ)が格納されている。一方、EEPROM62の所定記憶領域には、エンジン回転数、車速、スロットル電流指令値、傾斜等のパラメータの組み合わせに応じた複数の運行モードデータを有する運行モードテーブルが格納されて、運行状況記憶手段を構成している。
【0025】
前記コントローラ10にはチェッカ75が電気的に接続可能となっている。チェッカ75は、マイコン61のCPUが行う各種処理の内容や、EEPROM62に格納されているデータの内容を表示可能な表示装置、それらの内容を表示させる際に操作される表示要求ボタン等を備え、ゴルフカート1の制御モード毎の制御内容を変更可能な構成とされている。
【0026】
次に、上記のように構成したゴルフカート1の走行制御について説明する。
【0027】
自動走行モード時には操舵制御、車速制御、エンジン回転数制御、発進/停止スイッチ50が操作されることによる停車制御等を行い、手動走行モード時にはアクセルペダル17が踏み込み操作されることによる車速制御やエンジン回転数制御等を行う。
【0028】
図3に示す如く、エンジン回転数センサ52、車速センサ51、傾斜センサ53、誘導センサ35a、35b等から検出信号を取り込み、CPUは、それらからゴルフカート1の実エンジン回転数、実車速、傾斜、操舵ずれ量を算出するとともに、目標エンジン回転数、目標車速を算出し、さらにそれらからスロットル電流指令値、ブレーキモータ電流指令値、操舵モータ電流指令値等を算出する。一方、CPUは、前記スロットル電流指令値から目標スロットル開度(スロットル開度に相当する)を算出する。
【0029】
次に、算出した実エンジン回転数、実車速、スロットル電流指令値、傾斜等のパラメータから、そのときのゴルフカート1において最も適した運行モードである最適運行モードの算出を行う。即ち、CPUは、各種パラメータの組み合わせと、予めEEPROM62に格納された運行モードテーブルとを参照して、複数の運行モードデータの中から、そのときのゴルフカート1において最も適した運行モードである最適運行モードを割り出す。例えば、ゴルフカート1が現在どのような状況(上り坂、下り坂、平地)で運行されているのかを判断し、必要に応じて車速をアップ(増速)又はダウン(減速)して最適な車速に設定する。
【0030】
なお、本実施例におけるゴルフカート1は、前輪15・15と後輪14・14で二系統のブレーキリンクを有する形態のものであり、リンクを調節することによって、前輪15・15と後輪14・14のブレーキ比率を、走行する状況(上り坂、下り坂、平地)に適した状態となるよう変化させるよう制御しているが、前輪15・15と後輪14・14それぞれ別々のアクチュエータを作動させて制動するようにして、各々コントローラ10で後述の制動制御する構成とすることもできる。
【0031】
走行路が「平地」であるときには、前輪15・15を後輪14・14と比較して若干弱く制動する。すなわち、前輪15・15に設けられたドラムブレーキ22・23を、後輪14・14に設けられたドラムブレーキ20・21に対し、若干弱く作動するように設定するのである。このようにして、車両制動時に車両が前のめりにならずに停止でき、良好な乗り心地を与えることができるようにしている。
【0032】
走行路が「上り坂」であるときには、前輪15・15を後輪14・14と比較して強く制動する。すなわち、前輪15・15に設けられたドラムブレーキ22・23を、後輪14・14に設けられたドラムブレーキ20・21に対し、強く作動するように設定するのである。このようにして、上り坂で車両がずり落ちたり、車輪がスリップしたりすることなく停止できるようにしている。
【0033】
走行路が「下り坂」であるときには、前輪15・15を後輪14・14と比較して弱く制動する。すなわち、前輪15・15に設けられたドラムブレーキ22・23を、後輪14・14に設けられたドラムブレーキ20・21に対し、弱く作動するように設定するのである。下り坂では、平地での走行と比較して、ドラムブレーキ20・21・22・23自体への負荷が大きくなりがちであり、この傾向を抑制するため、制動の対象を後輪主体とするのである。このようにして、車両の加速度と、目標車速との偏差を低減させて、前輪を制動するドラムブレーキ22・23への負荷を低減するようにしている。また、制動のショックが低減されるので乗り心地も安定する。前記上り坂、下り坂は傾斜センサ53により判断し、該傾斜センサ53からの信号によりコントローラ10を介して図示しない切換アクチュエータを作動して、ブレーキ比率の設定を切り換えられるようにしている。
【0034】
但し、下り坂で常時制動の対象が後輪主体となるよう設定すれば、後輪14・14がスリップする恐れが生じるため、特に下り坂では下り坂進入時に有効な「下り進入モード」を設定している。「下り進入モード」では、前輪15・15及び後輪14・14に同時にドラムブレーキ20・21・22・23が作用するように制御し、「下り進入モード」で設定時間走行すれば「下り坂」モードに自動的に移行するようにしている。「下り進入モード」において、前輪15・15と後輪14・14とに同時に同等程度の制動力が作用することによって、効果的に車両の加速を抑え、後輪14・14のスリップを防止することができる。
【0035】
このように、走行する状況に応じて前輪と後輪のブレーキ比率を変化させることで、下り坂で前輪に制動荷重が極端に偏ったり、下り坂の頻発する走行路でドラムブレーキの摩擦材が焼けを起こしたり、また、早期に摩擦材が摩耗したりという不具合を解消することができる。
【0036】
次に、自動走行モードにおける車両の操舵制御について説明する。
【0037】
図2に示す如く、誘導磁界検出手段を構成する誘導センサ35a・35bは、車両の前端部において支持点を回動中心Oとして水平方向に回動自在に支持されたT字状アーム32に対して、左右一対取り付けられている。T字状アーム32の基端は、ステアリング基部軸30bに連結されたタイロッド28aに揺動自在に連結されており、ステアリング機構28の作動に応じて、各前輪15・15の転舵方向と一致するように回動する。各誘導センサ35a・35bはそれぞれ検出コイルから構成されて地面と対向するように配置されており、ゴルフ場コースの誘導通路の下方(地中)に埋設された、ゴルフカート1を誘導する誘導線Yを磁気的に検出する。
【0038】
各誘導センサ35a・35bは、それぞれ交番磁界の強さに応じた磁界検出信号(左右誘導センサ出力電圧)をコントローラ10に出力する。コントローラ10は、自動走行モード時において、各誘導センサ35a・35bから入力された磁界検出信号から操舵ずれ量(誘導線Yからの左右ずれ幅)を算出し、操舵モータ29に対して、前記操舵ずれ量に応じた制御、すなわち、誘導線Yに対する誘導センサ35a・35bの位置が正常位置に(誘導センサからの入力値が左右略同じと)なるように操舵制御を行う。そして、ステアリング機構28のピニオンを回転駆動させて各前輪15・15を旋回させ、この旋回に追従して、T字状アーム32を回動させる。この結果、コントローラ10は、誘導センサ35a・35bの出力に基づき、車両が誘導線Y(誘導通路)から逸脱しないように、すなわち、誘導線Yに沿って走行するように操舵制御することになる。
【0039】
マグネット検出手段としてのマグネットセンサ36は、地面と対向するように車両の所定位置に取り付けられており、それぞれ前記誘導線Yの近傍に所定位置に複数箇所、被検知物として停点マグネットTM、減速点マグネットGM、加速点マグネットKM、プリブレーキ点マグネットPMを設けて磁気的に検出するようになっている。これらマグネットは極性や磁力等が異なるように構成して、それぞれの違いが判るようにしている。また、被検知物はマグネットに限定するものではなく、金属片や突起等により構成し、マグネットセンサや近接センサ等により検知する構成とすることもできる。自動走行モードでの走行中に、マグネットセンサ36による検出によって、停点マグネットTMは車両を停車させるためのものであり、減速点マグネットGMは車両を減速させるためのものであり、加速点マグネットKMは車両を加速(増速)させるためのものであり、プリブレーキ点マグネットPMは車両を減速させたのち加速させるためのものである。
【0040】
コントローラ10は、マグネットセンサ36から停点マグネットTMの検出信号(出力電圧)を入力すると、ブレーキモータ24の駆動回路24aに制動指令信号を出力し、車両の制動を行う。一方、コントローラ10は、マグネットセンサ36から減速点マグネットGMの検出信号を入力すると、ブレーキモータ24の駆動回路24aを減速制御して車両を減速させる。また、コントローラ10は、マグネットセンサ36から加速点マグネットKMの検出信号を入力すると、スロットルアクチュエータ39の駆動回路39aを加速制御して車両を加速(増速)させる。
【0041】
また、前記プリブレーキ点マグネットPMは、図4に示す如くゴルフ場内で誘導線Yが直線コースSCからカーブCCに進入する距離Lpだけ手前に埋設され、マグネットセンサ36によりプリブレーキ点マグネットPMが検出されると、コントローラ10は、車両は以下に示すようなプリブレーキ制御走行をするようブレーキモータ24の駆動回路24aに制動指令信号を出力する。
【0042】
図5に示すフローチャートを用いてプリブレーキ制御走行について説明する。まず、車両は直線コースSCにおいて加速点マグネットKMをマグネットセンサ36により検出して、高速モードで走行しているものとする。但し、標準速モードで走行していても構わない。また、高速モードでは、車両は標準速モードよりも速い速度であって直線コースSCを安定した状態で走行することのできる速度で走行するものとし、標準速モードでは、車両はカーブCCを安定した状態で走行することのできる速度で走行するものとする。
【0043】
そして、車両が直線コースSCに連続するカーブCCの手前に埋設されたプリブレーキ点マグネットPMをマグネットセンサ36により検出する(130)と、RAMにそのときの車両の速度を記録する(131)とともに、タイマ71による計測を開始する(132)。続いて、現在の走行モードを確認し(133)、標準速モードでなければ標準速モードへ切り換えるようにブレーキモータ24の駆動回路24aに制動指令信号を出力する(134)。
【0044】
標準速モードでの走行は、プリブレーキ時間が終了するまで保持され、この間、誘導線Yに誘導されて車両はカーブCCを曲がる。プリブレーキ時間はプリブレーキ点マグネットPMを検出してタイマ71が作動してから、車両がカーブCCを抜け出る前までの時間であり、標準速モードでの車速とカーブCCの形状によって予め設定されEEPROM62に記憶されている時間である。
【0045】
そして、プリブレーキ時間が経過する(135)と、EEPROM62に記憶しておいたプリブレーキ点マグネットPMを検出したときの速度へ自動復帰させる(136)。従って、車両はカーブCCの終了直前でカーブCCに入る前に直線コースSCを走行していた速度に自動復帰して、カーブCCへスローイン・スムーズアウトするのである。
【0046】
なお、走行モード切換の際、良好な乗り心地を得るために、ディレー減速(または増速)を取り入れている。すなわち、急激に目標速度まで減速または増速するのではなく、段階的に速度を変化させる(例えば、0.5秒で0.5km/hずつ速度を変化させる)ようにブレーキモータ24の駆動回路24aに制動指令信号を出力する。このようにして、高速から標準速、或いは、標準速から高速への走行モードの移行に遅れを持たせることにより、増減速によるショックを抑えることができる。
【0047】
上述の如く、プリブレーキ点マグネットPM及びプリブレーキ制御走行を採用することにより、カーブCCごとに減速点マグネットGMと加速点マグネットKMを埋設せずとも、一つのマグネット(プリブレーキ点マグネットPM)でカーブCCを走行させることができる。
【0048】
ここで本発明に係る無人走行可能車両の後退時制御について説明する。
【0049】
ゴルフカート1は、土地の形状に起伏の大きなゴルフ場を走行することが多く、このため、坂道等での発進や走行において操縦者の意図せぬ方向へ車両が移動してしまう事態が生じる可能性がある。そこで、目標の進行方向と逆方向に走行を始めると自動的に車両を停止させるように構成されている。
【0050】
以下に、図6に示すフローチャート及び図7に示す警報出力に関するブロック図を用いてコントローラ10が常時行っている後退防止制御の処理動作について説明する。
【0051】
EEPROM62に記憶されている最適運行モードデータから、走行路に最適な運行モードが設定され(120)、また、コントローラ10は、マグネット波形、誘導センサ電圧、操舵ずれ量のそれぞれの検出処理や、車速、加速度、傾斜のそれぞれの算出処理を常時行って、走行路に沿って車両が走行するように制御されて、目標進行方向M0が決定される(121)。
【0052】
また、コントローラ10では、進行方向検出手段60より実進行方向M1の算出又は検出を常時行っており(122)、さらに、常時目標進行方向M0と実進行方向M1との比較が行われている(123)。目標進行方向M0及び実進行方向M1とも、前進を正の値、後進を負の値とし、停止のときはゼロとする。実進行方向M1の検出方法は後述する。
【0053】
目標進行方向M0と実進行方向M1を比較した結果、目標進行方向M0と、実進行方向M1が異符号であれば、すなわち、一方が前進であるときに他方が後進であれば、車両は目標の進行方向に進行していないこととなる。このとき、実車速V1と、予め設定された車速誤差Vsとの大きさを比較して(124)、車速V1が車速誤差Vsの範囲を超えていれば、ブレーキユニット19を作動して車両を停止させ、ランプ65のうち警報ランプを点灯させるとともに、ブザー64を鳴動して警告音を発生させ、さらにコントローラ10のLED63を点灯させる(125)。
【0054】
次に、前述の後退防止制御に使用されるパラメータである実進行方向M1の算出方法について説明する。
【0055】
まず、本発明の実施例として、進行方向検出手段60として後輪14・14間に検出輪55を設けて実進行方向M1を検出するものについて説明する。図8及び図9に示す如く、後輪14・14間に、該後輪14・14よりも十分に径の小さい検出輪55を設け、前記検出輪55に設けた車速センサ56により、検出輪55の回転方向及び回転数を検出する。後輪14・14の回転を検出する車速センサ51と、検出輪55の回転を検出する車速センサ56との二つの車速センサ51・56が設けられることになるが、後輪14・14と比較して検出輪55の径は十分に小さいため、検出輪55に設けた車速センサ56では車両の微量な移動においても確実に車両の移動を検出することができる。
【0056】
前記検出輪55は、後輪14・14の車軸ケースより下方に垂設されたポスト57に、該ポスト57に内装されたサスペンションバネによって上下摺動可能に内挿された支持軸57aの下端に配設されている。該支持軸57aの下端にはU字状金具57bが連結され、該U字状金具57bと検出輪55の軸部とを車輪軸57cが連通している。そして、車輪軸57cと検出輪55は一体的に回動するよう固定され、車輪軸57cの一側端部であってU字状金具57bからの延出部にセンサ56が配設されて車輪軸57cの回動を検出することで、検出輪55の回転数及び回転方向を検出し、この情報がコントローラ10に伝達されて実進行方向M1が検出され、また、実車速が算出される。
【0057】
なお、検出輪55にスイッチを押圧する押圧体を設け、U字状金具57bの前側及び後側にスイッチを設けて、該スイッチが押圧体により押圧されることにより、検出輪55の回動方向及び回転数を検出するよう構成することもできる。
【0058】
また、構成例として、進行方向検出手段60として傾斜センサ53を用いて実進行方向M1を検出することもできる。傾斜センサ53は、車両の傾きを検出して過大に車両が傾いて転倒することのないよう警告したり、或いは車両の走行路の状態を判別したりするために設けられており、該傾斜センサ53からの情報によって実進行方向をも検出させるのである。つまり、車両の走行開始時には慣性により前進する場合には機体は後傾となり、後進する場合には前傾となる。コントローラ10がこの前進または後進の開始時に傾斜センサ53から傾斜信号を取り込んで傾斜を算出し、さらに、該傾斜の方向より実進行方向M1を算出するようにして、新たに進行方向検出用のセンサを設けずに進行方向を検出するようにしている。
【0059】
さらに、他の構成例として、車両にGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を搭載して車両の進行方向M1を検出することもできる。
図10に示す如く、ゴルフカート1の天井部に受信機80を備え、該受信機8 0によってGPS衛星81・81・・・からの電波を受信して現在位置の絶対座 標を常時測位し、コントローラ10によってEEPROM62に記憶された走行コースと比較計算され、次の目標進行方向M0が決定される。そして、後輪14・14に設けられた車速センサ51により、目標進行方向M0に応じた車輪の回転方向と逆方向の回転が検出されれば、車両は逆走していることになり、ブレーキユニット19を作動して車両を停止させ、ランプ65のうち警報ランプを点灯させるとともに、ブザー64を鳴動して警告音を発生させ、さらにコントローラ10内のLED63を点灯させる。
【0060】
ここで、ブレーキユニット19について詳細に説明する。
【0061】
図2、図11及び図12に示す如く、ブレーキユニット19は、ブレーキペダル18、ブレーキモータ24、電磁クラッチ25、ブレーキリンクユニット(ブレーキケーブル68a・68a・68b・68b、ブレーキリンク軸69、ブレーキロッド70等)を備えている。ブレーキペダル18にはブレーキロッド70の先端が枢結され、該ブレーキロッド70の後端は車両のフレームに回動可能に支持されたブレーキリンク軸69にアーム69bを介して枢結されている。
【0062】
前記ブレーキリンク軸69にはブレーキバネ73の後端がロッド74を介して枢結されている。該ブレーキバネ73の先端は、車両フレームに設けられたステー76に係止されており、後端はロッド74の先端に設けられた継手74bに枢結されている。該ロッド74は、ブレーキリンク軸69に設けられた連結部69dに挿入されたうえ調節ボルト74aが螺入されて、該調節ボルト74aによってブレーキバネ73を調整可能としている。
【0063】
また、前記ブレーキリンク軸69には、各ドラムブレーキ20・21・22・23を操作するブレーキケーブル68a・68a・68b・68bがブレーキイコライザ78・78及びロッド79・79を介して連結されている。ブレーキイコライザ78・78は二個設けられて、左右の前輪15・15または左右の後輪14・14の二本のブレーキケーブル68a・68a(又は、68b・68b)の前端が枢結されており、ブレーキが前輪15・15と後輪14・14の二系統に分けて構成されたうえ、該ブレーキイコライザ78・78によって、前輪15・15同士または後輪14・14同士に同様の制動力が作用するようにしている。ブレーキイコライザ78・78はロッド79・79を介してブレーキリンク軸69に設けられたアーム69a・69cに連結されている。
【0064】
そして、前記ブレーキリンク軸69には、ダンパー84の前端が枢結され、該ダンパー84の後端はブレーキモータ24により回転駆動されるブレーキ操作軸82の端部に設けられたアーム83に枢結されている。ブレーキモータ24は自動走行モード時において、加減速走行、制動停止に使用されるものであって、正転により、前記ブレーキバネ73による制動を解除し、逆転により、前記ブレーキバネ73による制動を許容する。
【0065】
なお、ブレーキ操作軸82とブレーキモータ24との間には電磁クラッチ25が介装されている。電磁クラッチ25は、ブレーキモータ24及びブレーキペダル18と、ブレーキバネ73との連結遮断を行うためのものであり、「連結」作動された際には、ブレーキバネ73がブレーキモータ24及びブレーキペダル18と連結され、「遮断」作動された際には、ブレーキバネ73がブレーキモータ24及びブレーキペダル18から分離され、ブレーキバネ73による制動が瞬時に付与される。この電磁クラッチ25の「遮断」作動は、駐車時及び緊急停止時に行われる。
【0066】
手動走行モードのときには、ブレーキペダル18の踏込操作によりブレーキロッド70を介してブレーキリンク軸69が回動操作され、また、自動操舵のときには、ブレーキモータ24によりブレーキ操作軸82が回転駆動されることにより、ダンパー84を介してブレーキリンク軸69が回動操作される。そして、ブレーキリンク軸69の回動によりブレーキケーブル68a・68a・68b・68bが弛緩操作されて各ドラムブレーキ20・21・22・23が制動または制動解除操作される。
【0067】
なお、ブレーキリンク軸69に作用するブレーキバネ73により、ブレーキペダル18が上方に保持された状態に常時付勢されており、すなわち、ブレーキバネ73にて前記ドラムブレーキ20・21・22・23が制動側に常時付勢されて前記ブレーキユニット19は常時ブレーキ構成となっている。従って、車両の走行時は、ドラムブレーキ20・21・22・23を非制動側に保持する必要があり、ブレーキバネ73による付勢を解除するため、ブレーキモータ24へ最大荷重が掛かった状態であるとともにブレーキモータ24に最大負荷が掛かった状態を保持することになる。そこで、ブレーキモータ24に加わる負荷を低減させるため、車両の走行時に、ブレーキモータ24へ微少通電させるようにしている。
【0068】
前記電磁クラッチ25を内装するクラッチケース85に固設されたスイッチステー86にブレーキスイッチ27が設けられており、ブレーキ操作軸82上に遊嵌され該ブレーキ操作軸82と同様に回動するセンサアーム87に該ブレーキスイッチ27の検出体が当接することにより、ブレーキスイッチ27をONとし、該当接が解除されることによりOFFするようにして、ブレーキペダル18の踏込操作位置を検出し、ブレーキ信号をコントローラへ出力するようにしている。
【0069】
そして、ブレーキスイッチ27がONのときに、ブレーキモータ24へ、例えば、PWM10%程度の微少量の電流を通電させることによって、ブレーキモータ24に対して保持力を補助するようにしている。これにより、ブレーキモータ24のハンチングが収まり、ブレーキモータ24の異音等が解消されることにより、車両の走行性が安定する。
【0070】
次に、車両の自動走行モードと手動走行モードの切換機構について説明する。
【0071】
操舵モータ29は、自動走行モード時において、内蔵された駆動回路にコントローラ10から操舵指令信号が入力されると、該駆動回路からその信号値に応じた駆動電流が供給され、この結果、ステアリング基部軸30bを回動する。この操舵モータ29に供給される駆動電流は、複数の電流レンジ毎にDUTY比が異なり、且つ、互いに同じ電流値とされている。操舵切換クラッチ31は、コントローラ10からのON/OFF信号に基づいて、ハンドル16、ステアリング軸30aの両者を連結、或いは、遮断する。
【0072】
図13乃至図15に示す如く、自動と手動とに走行モードを切り換える切換レバー90はハンドル16の下方であってステアリング軸30aを内挿するステアリングポスト91に設けられている。ステアリングポスト91の下部には操舵切換クラッチ31を内装するクラッチケース92が設けられている。操舵切換クラッチ31は、シフトアーム93に連結されたシフタ94側に設けられた自動側爪94bと手動側爪94aとがタイロッド28aに連結されたステアリング基部軸30bに摺動可能に外嵌され、ステアリング基部軸30bに遊嵌された操舵モータ側ギア95に設けられたクラッチ爪96と、ステアリング軸30aに外嵌されたクラッチ爪97のうち、いずれかをシフタ94を摺動させることによって自動側爪94b又は手動側爪94aと咬合可能としている。なお、操舵モータ側ギア95は操舵モータ29によって制御され回転駆動されている。
【0073】
手動操舵時には、ステアリング軸30aに外嵌されたクラッチ爪97とシフタ94に設けられた手動側爪94aとが咬合して、ステアリング軸30a→クラッチ爪97→手動側爪94a→シフタ94→ステアリング基部軸30bと、ステアリング軸30aの回動をステアリング基部軸30bに伝達可能とする。また、自動操舵時には、ステアリング基部軸30bに外嵌されたシフタ94の自動側爪94bと、ステアリング基部軸30bに遊嵌された操舵モータ側ギア95に設けられたクラッチ爪96とが咬合し、操舵モータ29の回転駆動を操舵モータ側ギヤ95→クラッチ爪96→自動側爪94b→シフタ94→ステアリング基部軸30bの経路をたどって伝達され、操舵モータ29によりステアリング基部軸30bが回転駆動される。
【0074】
前記シフタ94を操作するシフトアーム93には、切換レバー90の回動軸に外嵌したカム98との間にロッド99が架設されている。ロッド99にはバネ99a・99aが外嵌されて、切換レバー90の回動に伴って急激にシフトアーム93が回動することのないようダンパーの機能が付加されている。そして、前記カム98には、バネ100の一端が係止されており、自動位置から手動位置にまたは逆方向に切換レバー90が回動されるときに、バネ100の死点超えによって、手動位置または自動位置にデティントが設けられるようにしている。
【0075】
さらに、前記クラッチケース92にはシフトアーム93の操作位置を検出するための自動検出スイッチ101及び手動検出スイッチ102が設けられ、前記シフトアーム93にはこれらの検出スイッチ101・102の検出体に当接可能な被検出体103が設けられている。従って、切換レバー90を自動側から手動側へ回動操作することによりロッド99介してシフトアーム93が回動操作されると、シフトアーム93の被検出体103が手動検出スイッチ102の検出体と当接して該手動検出スイッチ102をONとし、該手動検出スイッチ102よりコントローラ10へ手動操作である情報が出力される。また、切換レバー90を手動側から自動側へ回動操作することによりロッド99介してシフトアーム93が回動操作されると、シフトアーム93の被検出体103が自動検出スイッチ101の検出体と当接して該手動検出スイッチ101をONとし、該自動検出スイッチ101よりコントローラ10へ自動操作である情報が出力される。
【0076】
上述の如く操舵切換クラッチ31の咬合切換操作をするシフタ94に連結したシフトアーム93の基部に自動検出スイッチ101及び手動検出スイッチ102を設けることにより、切換レバー90側にスイッチを設けるときと比較して、リンク等が介されないため、確実に操舵切換クラッチ31の切換状態を検出することができる。
【0077】
また、自動検出スイッチ101及び手動検出スイッチ102の二個のスイッチによって、自動と手動の二カ所の切換位置を確実に検出することができるため、自動走行モードと手動走行モードとの操舵モード検出手段を一つのスイッチ設けるときに対して、どちらかのモードを確実に検出できないことがあるという不具合を解消している。
【0078】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0079】
地中に埋設した誘導線を誘導センサにより検出し、自動的に操向・走行制御を行ない無人走行するゴルフカート(1)が、起伏の大きなゴルフ場の坂道等での発進や走行時において、操縦者の意図しない後退走行を始めた場合に、自動的にゴルフカート(1)を停止させるゴルフカート(1)の後退時制御装置において、該ゴルフカート(1)の前後輪(15・14)とは別に、前後輪(15・14)よりも小径の接地検出輪(55)を突設し、該検出輪(55)は車体より下方へ垂設されたポスト(57)と支持軸(57a)に、サスペンションバネを介して上下摺動可能に支持され、該検出輪(55)に設けた車速センサ(56)の検出値により、ゴルフカート(1)の実進行方向(M1)と実車速(V1)を検出し、該ゴルフカート(1)に搭載したコントローラ(10)は、走行路に沿って車速、加速度、傾斜のそれぞれの算出処理を行ない、目標進行方向(M0)を決定し、前記目標進行方向(M0)と実進行方向(M1)を比較し、両者が異符号で、一方が前進であるときに他方が後進であれば、該走行路における実車速(V1)と、予めコントローラ(10)に設定された車速誤差(Vs)との大きさを比較し、実車速(V1)が車速誤差(Vs)の範囲を超えていれば、車両を停止させるので、微量な移動であっても確実に車両の進行方向を検出して車両を停止させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るゴルフカートの全体的な構成を示した側面図。
【図2】 同じくゴルフカートの構成を示すブロック図。
【図3】 運行モード設定のための信号の流れを示すブロック図。
【図4】 プリブレーキ制御機構を示すマグネット配置図。
【図5】 プリブレーキ制御を示すフローチャート図。
【図6】 後退防止制御を示すフローチャート図。
【図7】 警報出力に関するブロック図。
【図8】 進行方向検出手段を示す側面図。
【図9】 進行方向検出手段を示す背面図。
【図10】 車両にGPSを搭載した様子を示す図。
【図11】 ブレーキユニットを示す平面図。
【図12】 ブレーキユニットを示す側面図。
【図13】 自動走行モード時の自動走行モードと手動走行モードの切換機構を示す図。
【図14】 手動走行モード時の自動走行モードと手動走行モードの切換機構を示す図。
【図15】 操舵クラッチの構造を示す断面図。
【符号の説明】
1 ゴルフカート
10 コントローラ
14 後輪
15 前輪
19 ブレーキユニット
53 傾斜センサ
55 検出輪
56 車速センサ
60 進行方向検出手段
Claims (1)
- 地中に埋設した誘導線を誘導センサにより検出し、自動的に操向・走行制御を行ない無人走行するゴルフカート(1)が、起伏の大きなゴルフ場の坂道等での発進や走行時において、操縦者の意図しない後退走行を始めた場合に、自動的にゴルフカート(1)を停止させるゴルフカート(1)の後退時制御装置において、該ゴルフカート(1)の前後輪(15・14)とは別に、前後輪(15・14)よりも小径の接地検出輪(55)を突設し、該検出輪(55)は車体より下方へ垂設されたポスト(57)と支持軸(57a)に、サスペンションバネを介して上下摺動可能に支持され、該検出輪(55)に設けた車速センサ(56)の検出値により、ゴルフカート(1)の実進行方向(M1)と実車速(V1)を検出し、該ゴルフカート(1)に搭載したコントローラ(10)は、走行路に沿って車速、加速度、傾斜のそれぞれの算出処理を行ない、目標進行方向(M0)を決定し、前記目標進行方向(M0)と実進行方向(M1)を比較し、両者が異符号で、一方が前進であるときに他方が後進であれば、該走行路における実車速(V1)と、予めコントローラ(10)に設定された車速誤差(Vs)との大きさを比較し、実車速(V1)が車速誤差(Vs)の範囲を超えていれば、車両を停止させることを特徴とするゴルフカートの後退時制御装置。
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