JP3901351B2 - アクロレインを含む気体流れの精製のためのプラント - Google Patents
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Description
本発明は、アクロレインを含む気体流れをそれからアクロレインを抽出するために精製するためのプラントに関する。
【0002】
アクロレインは原材料であり、それの主な工業的用途はアクロレインとメチルメルカプタンとの反応によるβ−メチルチオプロピオンアルデヒド(MTPA)の合成である。
【0003】
アクロレインは水の存在下での空気による気相酸化によって製造される。この気相酸化は、通常は、10重量%よりも多い量のアクロレイン、窒素、酸素並びに一酸化及び二酸化炭素のような気体、プロピレン、水、並びに反応副生成物例えばアクリル酸、酢酸及びギ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アリルアルコール、並びにアクロレインのそして特にアクリル酸の劣化から生じるポリマーを含む気体状混合物を生成させる。後続の反応例えばMTPAの直接合成においてアクロレインを使用する観点からすると、水、酸性不純物、殊にアクリル酸、及び重いポリマー反応副生成物は、生成される複雑な気体状混合物から少なくとも部分的に分離しなければならない。
【0004】
MTPAの直接合成は、例えば米国特許第4,225,516号及び米国特許第5,352,837号中に述べられている。この合成は、アクロレインを含む精製された気体状混合物をメチルチオプロピオンアルデヒドの溶液中でメチルメルカプタンと反応させることから成る。用いることができる精製された気体状混合物中の水のそして酸、特にアクリル酸の限度は、それらが反応の成就を決定するので非常に重要である。
【0005】
アクロレインを精製するための多数の方法が知られそして開発されている。
【0006】
第一の方法は、米国特許第4,219,389号によれば、アクロレインを含む気体状混合物中に存在する酸を有機溶媒(特に2−エチルヘキサノール又はリン酸トリブチル)中への吸収によって抽出することから成る。しかしながら、このタイプの方法は、使用される溶媒をプロセス中にリサイクルする前に精製しなければならないという欠点を有する。これは、この方法のコストを増加させる。
【0007】
アクロレインを精製する第二の方法は、例えば米国特許第3,433,840号によれば、アクロレインを含む気体状混合物中に存在する酸を水による選択的吸収によって抽出すること、そして次に水及び吸収段階から生じる非凝縮性物を帯びた気体状流れ中に存在するアクロレインを、生成した液体混合物を蒸留してアクロレイン/水共沸混合物を得ることによって回収することから成る。しかしながら、このタイプの方法は、吸収ステップのために大量の水を要求する欠点を有する。それはまた、蒸留段階の間のアクロレインの劣化のそして重合のかなりのリスクを与える。
【0008】
MTPAの直接合成の観点から、もう一つのルートが開発された。プロピレンの酸化によって製造された気体状混合物を、前のように水による吸収によって、まず精製してできる限り多くの酸性化合物を除去する。水の凝縮の後で、MTPA製造反応器から生じる冷たいMTPA中への吸収によって残留気体からアクロレインを抽出する。次に、得られるMTPA中のアクロレインの溶液を、メチルメルカプタンと共にMTPA製造反応器中に直接に導入する。このような方法は米国特許第4,225,516号中に述べられている。しかしながら、酸を除去するためのアクロレインを含む出発混合物の予備的な精製がなお必要とされるので、前に述べた欠点になお遭遇する。
【0009】
アクロレインの精製のためのもう一つの既知の方法はEP−A−0,559,227中に述べられている。この方法は、冷却タワー中で反応混合物を冷却することから成るが、そこでは反応混合物を凝縮された液体と接触せしめ、主に非凝縮性物及びアクロレインを含む流出物気体をタワーのトップで回収する。タワーのボトムでの凝縮液が35〜50℃の温度にあり、タワーのトップでの流出物気体が35〜55℃の温度にあり、そしてタワー中の凝縮液の滞留時間が短いという述べられた条件下では、反応混合物の精製は、約3重量%の含量に対応する凝縮液中への比較的大量のアクロレインの吸収をもたらす。
【0010】
本発明は、既知の方法の欠点を克服すること、そしてアクロレイン、水、酸及び非凝縮性物の気体状混合物中のアクロレインの精製のための方法を提供すること、そしてかくして特にMTPAの合成におけるアクロレインの直接の使用を可能にすることを追求する。
【0011】
本発明の目的はまた、精製収率ができる限り高く、それでいてアクロレインの劣化のリスクを最小に減らすようにアクロレインを製造することである。最後に、本発明の目的は、方法において使用する装置の汚れを回避することである。
【0012】
従って、本発明は、アクロレイン及び水、酸及び不活性気体を含む、特にプロピレンのアクロレインへの気相酸化から生じる、供給気体流れ中に存在するアクロレインの精製のための方法であって、第一段階において、カラムのボトムに存在する液体流れの温度が供給気体流れの凝縮温度よりも低いか又は等しくそして温度の差が20℃を越えない、好ましくは10℃を越えないような冷却カラム操作において、供給気体流れを気体状流出物と液体流れとに分溜すること、そして次に第二段階において、20℃よりも低い温度で気体状流出物を凝縮させて液体留分及び精製された気体状留分を与えることを含んで成る方法を提供する。
【0013】
供給気体流れ中に存在する酸は、有機酸、通常はアクリル酸、ギ酸、酢酸及びマレイン酸である。
【0014】
本明細書中で使用する時には、“不活性気体”という語は、本発明の製造方法の始めから終わりまで気相中に留まり、そして凝縮段階の後で精製された気体状留分中に見い出されるすべての気体状化合物を意味することを意図する。これに関して、精製されるべき混合物中の不活性気体は、以下において、時折“非凝縮性物”と呼ぶことができる。何故ならば、それらは、本発明の方法中で使用される温度及び圧力条件下で凝縮されないからである。それらは、窒素、酸素、及び空気からのその他の気体、二酸化炭素及びプロピレンであろう。
【0015】
本発明の方法のお陰で、第二段階の終わりには、水の重量含量が2%よりも低いか又は等しくそして酸の重量含量が100ppmよりも低いか又は等しい、アクロレイン及び非凝縮性物を含む精製された気体状留分を得ることが可能である。
【0016】
本発明の方法による第一段階においては、典型的にはプロピレンの気相酸化から生じる供給気体流れを、好ましくは、それの製造温度から100〜200℃の温度に冷却し、そして冷却カラムのボトム部分中に導入する。
【0017】
冷却カラムの供給流れは、通常は、10〜15重量%のアクロレイン及び約20〜30重量%の水及び5重量%未満、好ましくは2重量%未満のアクリル酸を含み、そして残りは、非凝縮性物及びプロピレンの酸化において生成される種々の有機成分から成る。
【0018】
冷たい液体に対して向流式のカラム中での気体状流れの循環は、水のそしてアクリル酸のそして存在する可能性がある他の凝縮性成分の凝縮をもたらす。凝縮された液体は、重力下でカラムのボトムに流れ下りる。カラムのトップの気体は不純物が減る。それらは、アクロレイン及び非凝縮性気体から本質的に成る。
【0019】
トップでの気体の温度は、好ましくは30〜60℃そしてなお更に好ましくは50〜60℃である。
【0020】
カラムのボトムでの液体流れの温度は、20℃未満、好ましくは10℃未満であり、そして供給気体流れの凝縮温度よりも低い。好ましくは、カラムのボトムでの液体流れの温度は、アクロレインの凝縮及びそれの劣化を最小にまで減らすために、カラム中に導入される気体状混合物の凝縮温度と実質的に等しい。殆どの場合には、それは100℃よりも低い。プロピレンの接触酸化から生じそして約10〜15重量%のアクロレイン及び20〜30重量%の水を含む気体状混合物の凝縮温度は、約1.2x105Paの圧力で70〜90℃である。
【0021】
冷却カラムは、好ましくは105〜3x105Paの圧力で動作する。
【0022】
冷却カラム中のアクロレインの滞留時間は、好ましくは5〜10分である。この滞留時間においては、劣化のリスクが限られ、一方不純物は本発明の方法を使用して効果的に除去される。
【0023】
本発明の方法によれば、冷却カラムのボトム中に集積された液体流れの一部を、好ましくは除去し、必要に応じて冷却し、そして冷却カラム中の循環する冷たい液体流れとしてリサイクルする。アクロレインのそしてアクリル酸の重合を抑制する化合物を、リサイクルされる液体流れに添加することができる。この重合抑制剤は、ヒドロキノン及びフェノチアジン及びその誘導体から選ぶことができる。
【0024】
リサイクルされる流れは、一般に、有機酸例えばアクリル酸、及び2重量%未満、好ましくは1.5重量%未満のアクロレイン、及び少なくとも90重量%の水を含む。
【0025】
リサイクルされる液体流れは、一カ所以上の場所で冷却カラム中に導入することができる。それは好ましくはカラムのトップで注入して、処理されるべき気体状混合物を噴霧させる。更に特別には、リサイクルされる液体を、工業用水を使用するクーラー又はグリコールを含む水を使用するクーラーによって15〜45℃に冷却する。
【0026】
本発明の方法の必要に応じた段階によれば、冷却カラムのボトムに集積された液体流れの別の一部を除去して追い出し操作を施し、気体状の形で同伴されるアクロレインの一部をカラムのボトムにリサイクルする。この目的のために除去された液体流れは、好ましくは、追い出しの前に90〜120℃の温度に加熱する。
【0027】
除去された液体流れをカラム中に不活性気体、好ましくは窒素に対して向流的に循環させることによって追い出し操作を実施するが、液体をカラムのトップに導入しそして気体をカラムのボトム部分中に導入する。アクロレインの劣化のあり得るリスクを排除しそして追い出し効率を改善するためには、追い出し気体の温度は有利には130〜160℃、好ましくは約150℃である。
【0028】
操作の間に液体流れ中に存在するアクロレインは追い出し気体によって抽出され、その結果アクロレイン、少ない割合の水及び非凝縮性物を含む気体状流れが回収される。殆どの酸及び水は液相中に留まる。
【0029】
追い出しカラム中の圧力は、追い出しによって製造される気体状流れを供給気体流れと共に冷却カラム中に再注入することができるように、冷却カラム中の圧力よりも好ましくは高い。追い出しカラム中の圧力は余りに高すぎてはならないことを記さなければならない。さもないと、追い出し効率が損なわれる。
【0030】
追い出し操作によって製造された気体状流れの戻しは、追い出された流れを供給気体流れと混合させることによって又は、好ましくは、供給気体流れ入り口とほぼ同じ高さでの追い出された流れの冷却カラム中への注入によって実施することができる。
【0031】
本発明による方法の第二段階においては、冷却カラムのトップを去る気体を、好ましくは表面コンデンサー中で、部分的に凝縮させる。凝縮された液相の分離は、不純物が、殊に水がそして酸が減った、そしてアクロレイン及び非凝縮性物を含む気体を与える。
【0032】
気体状流出物は有利には一回又は次々と数回凝縮されてアクロレインを含む気体状留分を与えるが、最後のコンデンサーを去る気体の温度は20℃よりも低い。気体状流出物の凝縮は、好ましくは、アクロレイン重合抑制剤の存在下で実施する。
【0033】
凝縮操作の終わりには、アクロレインを含む気体状留分を精製された気体として回収することができ、そしてこれはMTPAの合成において直接に使用することができる。
【0034】
必要に応じた付加的な段階によれば、付加的な残留酸を更に除去するために、気体状留分に、水に対して向流的な循環による吸収操作を好ましくは施すことができる。この操作は吸収カラム中で実施することができる。水を気体状留分に対して向流的に、留分の温度よりも低い温度で、水の質量流量対気体状留分の質量流量の比が0.005:1〜0.05:1、好ましくは0.01:1〜0.05:1であるような質量流量比で、循環させる。その中での水含量が2重量%よりも低いそして好ましくは1重量%よりも低いか又は等しい、そして酸含量が100ppmよりも低い精製された気体がこのようにして得られる。
【0035】
水の質量流量対気体状留分の質量流量の比の範囲は、5〜10の理論段から成るカラム中で遂行される吸収のために表されている。述べた値の外側の段数を有するカラムの使用も可能である。この場合には、当業者はそれに応じた水及び気体状留分流量を採用することができる。
【0036】
また、水の中の吸収の効率を増し、そしてそれ故精製された気体中の所望の水及び酸含量に合わせるためには、気体ができる限り冷たくあるべきことが好ましい。結論として、凝縮操作における気体を過冷却することが好ましい。
【0037】
アクロレインの重合を抑制する上で述べたタイプの化合物は、吸収のための水に添加することができる。しかしながら、吸収操作の間は、水の中に化学種を溶かすことは、吸収カラムを去る気体を再加熱する効果を有する。
【0038】
2重量%未満の精製されたアクロレイン含有気体中の水含量、及び100ppm未満の合計の酸含量は、MTPAの直接合成のための出発材料としての気体の使用のために好ましい値である。
【0039】
本発明のもう一つの態様は、上で述べたような本発明の方法を遂行するために意図されたプラントである。このプラントは、気体を供給するための手段によって供給気体流れが供給される冷却カラム、冷却カラムのトップから気体を供給するための手段を備えた凝縮装置及び、必要に応じて、冷却カラムのボトムから液体を供給するための手段そして追い出しカラムのトップから気体を供給するための手段に又は冷却カラムの下部に気体を再循環させるための手段によってトップにおいて供給される追い出しカラムを含む。
【0040】
このプラントは、液体が熱交換器によって冷却された後で、冷却カラムのボトムから冷却カラムの上部の一カ所以上の点に液体を循環させるための手段を好ましくは付加的に含む。
【0041】
プラントが追い出しカラムを含む時には、追い出されるべき液体の温度を上げるために、カラムの上流に好ましくはプレヒーターが設置される。
【0042】
本発明の態様の例を添付した図面の図1、2及び3を参照してここで説明するが、これらの図面は、それぞれ、アクロレインを含む気体状流れの精製のための本発明に従ったプラントの三つの態様を示す。
【0043】
図1に示すプラントは、プロピレンの気相酸化のための装置30から生じる気体状混合物の精製を、そしてMTPA合成装置40に供給する精製されたアクロレインを含む気体状流れを製造することを意図している。このプラントは、冷却カラム1、二つの別々のコンデンサー3A及び3Bから作られた凝縮装置3、クーラー7、ヒーター14及び追い出しカラム4を本質的に含んで成り、そして追い出しカラム14のトップは気体配達導管6を経由して冷却カラム1のボトム部分に接続されている。
【0044】
このプラントは以下のやり方で運転する。
【0045】
30で製造された供給気体流れを、熱交換器31中で例えば100〜200℃の温度にまず冷却する。
【0046】
次に、冷却された供給気体を、供給導管2を経由して冷却カラム1の下部の中に導入する。冷却カラム1は任意の既知のタイプの冷却カラム例えば充填カラムで良く、そして充填物が邪魔板(chicanes)又はトレーであることが可能である。
【0047】
精製されるべき気体状流れの供給は好ましくはカラムの下の四分の一において実施し、一方凝縮された液体の留分はカラムのトップにおいて導入する。カラムは有利には105〜3x105Paの圧力で運転する。
【0048】
カラム1中での気体の冷却はカラムのトップにおいてはそれらの温度が通常は30〜60℃そして好ましくは50〜60℃である気体を製造し、一方その温度が供給気体流れの凝縮温度に対応する液体流れがカラムのボトムにおいて集積する。
【0049】
カラム1の大きさ決定は、これらの操作パラメーターの関数として当業者の知識に従って実施する。かくして、高さは、除去されるべき熱荷重及びカラムのトップにおいて供給される凝縮された液体とボトムにおいて置かれる液体流れとの間の温度差に依存し、そして径は、カラム中の気体の速度に依存する。
【0050】
カラム1のトップからの気体は、図1中に示す態様においては二つの直列の別々のコンデンサー3A及び3Bから成る凝縮装置3に向かって運ぶ。本当のところ、凝縮装置3は、異なる数のコンデンサーから構成することができ、単一のコンデンサーでさえ十分である可能性がある。一般に、コンデンサーの数の選択は、カラム1のトップからの気体とMTPA合成装置に供給する気体の間の温度差に、そして熱交換装置の面積に依存する。好ましくは表面コンデンサーを用いる。
【0051】
コンデンサー3A中で冷却されそしてコンデンサー3Aを去る際に分離される、不純物例えば水及びアクリル酸が減らされた気体は、コンデンサー3Bの入り口に向かって輸送され、一方水及び特にアクリル酸を含み、コンデンサー3Aを去る際に分離される凝縮液体は、導管12Aを経由して除去される。コンデンサー3Bを去る際には、不純物例えば水及びアクリル酸が更に減らされた、分離される気体は、装置40に向かって導管16の中を輸送され、一方水及び特にアクリル酸を含む、3Bにおいて凝縮された液体は、導管12Bを経由して除去される。
【0052】
カラム1のトップからの気体をそれらのカラムトップ温度(30〜60℃、好ましくは50〜60℃)から20℃よりも低い温度に冷却するためには、コンデンサー3Aを、慣用の冷却液体例えば工業用水によって運転すべきこと、並びにコンデンサー3Bをもっと複雑な冷却液体例えばブライン(水及び塩化カルシウム)又は外にはグリコールを含む水によって運転すべきことが好ましい。
【0053】
アクロレインの重合はコンデンサーの低温では非常に速くはないけれども、コンデンサー中のアクロレインの滞留時間を最小に減らすことが好ましい。この目的のためには、垂直管状コンデンサーを用いることが有利である。
【0054】
図1中には示さない、代わりの形によれば、コンデンサー3A及び3Bは、アクロレインの重合を抑制する化合物、例えばヒドロキノンを導入するための手段を備えることができる。
【0055】
図1中に示す態様においては、凝縮の間に製造された液体を除去する導管12A及び12Bは、典型的には水及びアクリル酸を含む凝縮液体を導入するために、点15において、カラム1の上部に接続されている。点15は、好ましくは、カラムの上部の四分の一に位置付けられる。カラムの中を上昇する気体状流れと密な接触をする、冷却カラム1のボトムに向かっての凝縮液体の循環は、気体状流れの幾らかの冷却をもたらす。
【0056】
冷却カラム1のボトムにおいて集積される液体流れは、本質的には不純物例えば水、アクリル酸及び重い凝縮性物を含むが、また供給気体流れからのアクロレインの一部も含む。それ故、幾らかの凝縮液体を、カラム1のボトムから、追い出しカラム4のトップに接続された液体配達導管5中に除去する。
【0057】
図1中に示す態様においては、この凝縮液体流れの一部を、引き出し導管8を経由して、導管5の点9において除去する。この導管は、ボトム液体をその初期温度から15〜45℃の温度に冷却するためにクーラー7の入り口に供給する。7中で冷却された液体は、導管10を経由して点11において冷却カラム1中に再注入する。点11は、好ましくはカラム1の上部に、好ましくは上部の四分の一に位置付けられている。点11は、有利には上で述べた点15に近い。クーラー7は任意の既知のタイプの熱交換器から選ぶことができる。
【0058】
カラム1のボトムにおいて除去される液体流れの他の部分は、導管5を経由して追い出しカラム4に輸送する。追い出しカラムは任意の既知のタイプの充填カラムである。充填物を含むカラム又はトレーを含むカラムを用いることができる。導管5は、追い出されるべき液体を追い出しカラム4の上部中に注入する。導管22を経由してカラム4の下部中に注入される“不活性気体”、例えば窒素を、追い出し気体として用いる。好ましくは、この気体は、追い出し効率を改善するために、130〜160℃、好ましくは約150℃の温度に予熱される。
【0059】
図1に示す態様においては、カラム4の上流そして点9の下流の導管5の中間点に、熱交換器14を設置する。この交換器はヒーターとして機能し、追い出されるべき液体混合物の温度を90〜120℃の程度の値に上げて、追い出し段階の効率を改善する目的を有する。
【0060】
不活性追い出し気体は、それが追い出しカラム4の中で上昇するにつれて、液体混合物からアクロレイン脱着させ、その結果、水、非凝縮性物及びアクロレインを含む気体状留分がこのカラムのトップで回収される。この気体状留分は、気体配達導管6を経由して冷却カラム1の下部中に、好ましくはカラム1のボトムの四分の一の中に再注入される。導管6を経由する気体の注入は、好ましくは、導管2を経由する供給気体流れの注入と同じ高さで実施される。
【0061】
代わりの形態においては、導管6は冷却カラム1の入り口の上流で導管2に接続され、追い出しによって製造された気体状留分を精製されるべき気体状流れと混合させる。
【0062】
追い出しカラム4のトップで回収された気体を冷却カラム1の中に戻すことを可能にするために、カラム4の中の圧力は、有利には、カラム1の中で優勢な圧力よりも高く保持される。カラム4中の圧力は、好ましくは、カラム1中で優勢な圧力よりも少し高い。
【0063】
冷却カラム1は、カラム1のボトムにおいて液体のレベルを一定に保持することを意図して、カラムのボトムから液体を引き出すためのシステムを与えられている。液体を引き出すための任意の既知の手段、特に図1中に示すカラム1のボトムでの液体レベルを制御するための手段12及びバルブ13を用いることができる。バルブ13を開くことは、ボトムに集積された余剰の液体が導管5を経由して追い出しカラム4又はクーラー7に向かって除去されることを可能にする。
【0064】
図2中に示すプラントは、図1中に示すプラントの代わりの形態であり、それは、以下の点で図1のものとは異なる。
【0065】
気体配達導管16が、液体/気体吸収カラム17に接続されている。このカラムは、任意の既知のタイプのもの、殊に充填物を含むカラム又はトレーを含むカラムで良い充填カラムである。
【0066】
導管16は、凝縮装置3から生じる不純物が減った気体をカラム17の下部の中に注入することを可能にし、一方カラム17は水配達導管18を経由してその上部中に供給される。向流的に移動する水は、酸、通常はアクリル酸の最後の痕跡を吸収する。カラム17のボトムで収集されるこの水は、冷却液体として、カラム1の上部中に再注入することができる。痕跡の酸を帯びたこの水は、有利には点15の上に位置付けられた、カラム1の点24に向かって液体を除去するための導管23を経由して好ましくは輸送される。カラム17中に導入される水の温度は、有利には20℃よりも低い。
【0067】
導管18によって配達される水は、好ましくは、アクロレインの重合を抑制する化合物を含む。この化合物は、吸収カラム17の上流で水に添加される。
【0068】
図3中に示すプラントは、図2中に示すプラントの代わりの形態であり、その中では装置の配置が少し異なる。
【0069】
かくして、このプラントは、その下部の中に冷却カラム19を、その中間部の中に凝縮装置3を、そしてその上部の中に吸収カラム20を取り囲むカラム25を含む。
【0070】
冷却カラム19は冷却カラム1と同一である冷却カラムであるが、そのトップは凝縮装置3の入り口と直接に連結されている。冷却カラム19中での分溜から生じる気体状流出物は、かくして、一個以上の直列のコンデンサーから作られて良い凝縮装置3中に直接に輸送される。凝縮装置3中で凝縮された液体は、自由に移動して、供給気体流れに対して向流的にカラム25の下部の中に下り、そして冷却カラム中で凝縮された液体流れと共にボトム中に集積する。
【0071】
凝縮装置3を去る不純物が減らされた気体状留分は、そこには吸収カラム20が置かれている、カラム25の上部中に直接に入る。吸収カラム20は吸収カラム17とタイプが類似であるが、気体の注入は気体配達導管を経由してはもはや行われない。
【0072】
吸収カラム20の上部には、装置25の上部に接続された水配達導管18を経由して水が供給される。
【0073】
水は、吸収カラムの中を上昇する気体に対して向流的に移動し、そしてこの気体中に存在する残留の酸性不純物を取り上げる。次に、それは、カラム25の中間部そして下部中に自由に流れ下り、そして他の液体留分と共にボトムで集積する。
【0074】
カラム25は、有利には、冷却カラム19と上部との間に背圧を作ることを可能にする手段を与えられている。この目的のためには、液圧ラムを設置することができる。
【0075】
上で述べたプラントの各々は、アクロレイン、水及び酸例えばアクリル酸を含む混合物の精製を実施して、精製されたアクロレインを含む気体状流れを供給することを可能にする。好ましくは、2重量%未満の水含量及び100ppm未満の合計の酸含量しか持たない精製された気体が、装置を汚すこと無くそして一方アクロレインの劣化を限定しつつ、かくして製造される。
【0076】
以下の実施例は本発明を例示する。
【0077】
【実施例】
実施例1
凝縮装置としてコンデンサーを含む図1中に示すタイプのプラントを、プロピレンのアクロレインへの蒸気相酸化のための反応器から生じる気体状混合物を精製するために用いる。混合物の組成は以下の通りである。
【0078】
(割合は、混合物の重量に関して示す)。
【0079】
非凝縮性気体(窒素、酸素、プロピレン、酸化炭素) 63.3%
水 21.0%
アクロレイン 12.3%
アクリル酸 1.4%
その他(アセトアルデヒド、アリルアルコール
ホルムアルデヒドなど) 2.0%
精製されるべき気体状混合物を、180℃の温度で10段の孔あきトレーを有する冷却カラムのボトムに、最後のトレーの下に、20kg/hの質量流量で、1.2x105Paの圧力で導入する。カラムのボトムでの液体を70.3℃の温度で維持し、一方供給気体流れの凝縮温度は74.7℃である(差は4.3℃に等しい)。供給気体は1.3重量%のアクロレインを含む。
【0080】
カラムのボトムからトップへの液体のリサイクルを80kg/hの流量で行い、熱交換器は30℃の温度でリサイクル液体を供給する。
【0081】
カラムのボトムからのもう一つの部分は、ランダムなバルク充填物で充填された、90℃の温度でそして0.6kg/hの追い出し窒素質量流量で運転される窒素追い出しカラム中に輸送される。100ppm未満のアクロレインしか含まない液体が、それから回収される。
【0082】
冷却カラムの出口においては、トップの気体をコンデンサー中で2℃に冷却する。コンデンサーの出口で回収された気体状留分は、その酸及び水含量を測定するために分析する。
【0083】
有機酸の含量の測定は、気体を水を通して泡立てた後でイオン性クロマトグラフィーによって行う。
【0084】
水含量測定は、気体をn−プロパノールを通して泡立てた後でカールフィシャー法によって行う。
【0085】
精製された気体は、前記気体の総重量に対して96ppmの酸及び0.34%の水しか含まないと測定される。
【0086】
実施例2
実施例1のプラントの種々の装置そして加えて6段の孔あきトレーを有する吸収カラムを含む図2中に示すタイプのプラントを、実施例1のものと同じ混合物を精製するために用いる。
【0087】
コンデンサーが冷却カラムのトップからの気体を4℃に冷却する以外は、実施例1の運転パラメーターは保留する。
【0088】
コンデンサーを去る際に回収される気体状留分を、16.2kg/hの流量で吸収カラムのボトムに導入する。カラムの第一トレーの上に0.2kg/hの流量で4℃で導入される水の流れがこの吸収カラムの中を循環する。
【0089】
実施例1におけるように、吸収カラムを去る気体状流れは、気体状流れの総重量に対して0.43%の水及び10ppm未満の酸しか含まないことが測定される。
【0090】
本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。
【0091】
1. 供給気体流れ中に存在するアクロレインの精製のための方法であって、第一段階において、カラムのボトムに存在する液体流れの温度が供給気体流れの凝縮温度よりも低いか又は等しくそして温度の差が20℃を越えないような冷却カラム操作において、供給気体流れを気体状流出物と液体流れとに分溜すること、そして次に第二段階において、20℃よりも低い温度で気体状流出物を凝縮させて液体留分及び精製された気体状留分を与えることを含んで成る方法。
【0092】
2. 供給気体流れがプロピレンのアクロレインへの気相酸化から生じる、上記1記載の方法。
【0093】
3. 冷却カラムのボトムでの液体流れの温度が供給気体流れの凝縮温度よりも低いか又は等しくそしてこの差が10℃を越えない、上記1記載の方法。
【0094】
4. 供給気体流れが100〜200℃の温度で冷却カラム中に導入され、カラムのトップでの気体温度が30〜60℃であり、そして液体流れの温度が供給気体流れの凝縮温度に近い、上記1記載の方法。
【0095】
5. 冷却カラムのボトムでの液体流れの一部を除去し、必要に応じて冷却し、そして冷却カラム中の循環液体流れとしてリサイクルする、上記1記載の方法。
【0096】
6. リサイクルされる液体流れの温度が、冷却カラム中への循環の前には、15〜45℃である、上記5記載の方法。
【0097】
7. 精製された気体状留分を、気体状留分と水との、水の質量流量対気体状留分の質量流量の比が0.005:1〜0.05:1であるような質量流量比で、そして水温度が気体状留分の温度よりも低いような向流循環によって吸収する、上記1記載の方法。
【0098】
8. 冷却カラムのボトムでの液体流れの一部を追い出し気体を使用して追い出して、アクロレインを含む追い出された気体状流れを生成させ、これを供給気体流れと共に冷却カラム中に導入する、上記1記載の方法。
【0099】
9. 液体流れを90〜120℃の温度に加熱することそしてそれをそれが追い出し気体に向流的に循環される場所でカラム中に導入することによって追い出しを行う、上記8記載の方法。
【0100】
10. 追い出し気体の温度が130〜160℃である、上記9記載の方法。
【0101】
11. 供給気体流れ中に存在するアクロレインの精製のためのプラントであって、供給気体流れを供給するための手段(2)を有する冷却カラム(1)及び気体を冷却カラム(1)のトップから供給するための手段を備えた凝縮装置(3、3A、3B)を含んで成るプラント。
【0102】
12. 供給気体流れがプロピレンのアクロレインへの気相酸化から生じる、上記11記載のプラント。
【0103】
13. 冷却カラム(1)のボトムからカラム(1)の上部の点(11)に液体を循環させるための手段(8、10)、そして必要に応じて循環液体を冷却するための手段(7)を含んで成る、上記11記載のプラント。
【0104】
14. 冷却カラム(1)が、カラム(1)のボトムにおいて液体のレベルを制御するための手段(12)を備えていて、そしてそれによってくみ出しバルブ(13)がサーボ制御される、上記11記載のプラント。
【0105】
15. 液体を冷却カラム(1)のボトムから供給するための手段(5)によってトップにおいて供給される追い出しカラム(4)、及び気体を追い出しカラム(4)のトップから手段(2)に又は冷却カラム(1)の下部に循環させるための手段(6)を付加的に含んで成る、上記11記載のプラント。
【0106】
16. 供給手段(5)の中間的な場所で、追い出しカラム(4)の上流に設置された熱交換器(14)を含んで成る、上記15記載のプラント。
【0107】
17. 凝縮装置(3)を去る気体を供給するための手段(16)がその下部にそしてその上部には水配達導管(18)が供給された液体/気体吸収カラム(17)を含んで成る、上記11記載のプラント。
【0108】
18. 凝縮装置(3、3A、3B)中に凝縮された液体の冷却カラム(1)の上部中への、カラム(1)の上部における点(11)の近くの冷却カラム(1)の点(15)における導入のための手段(12A、12B)を含んで成る、上記11記載のプラント。
【0109】
19. 凝縮装置(3)が単一カラム(25)の内側で冷却カラム(19)の上部の中に置かれている、上記11記載のプラント。
【0110】
20. 単一カラム(25)の内側で、凝縮装置(3)が冷却カラム(19)の上部の中に置かれていてそして吸収装置(20)が凝縮装置(3)よりも上に置かれている、上記11記載のプラント。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクロレインを含む気体状流れの精製のための本発明に従ったプラントの一つの態様を示す。
【図2】アクロレインを含む気体状流れの精製のための本発明に従ったプラントのもう一つの態様を示す。
【図3】アクロレインを含む気体状流れの精製のための本発明に従ったプラントの更にもう一つの態様を示す。
【符号の説明】
1、19 冷却カラム
2 供給気体流れ供給手段
3、3A、3B 凝縮装置
4 追い出しカラム
5 供給手段
6 循環手段
7 冷却手段
8、10 液体循環手段
12 レベル制御手段
13 くみ出しバルブ
14 熱交換器
16 気体供給手段
17 液体/気体吸収カラム
18 水配達導管
20 吸収装置
25 単一カラム
Claims (9)
- アクロレイン、水、酸及び不活性(非凝縮性)気体を含む、特にプロピレンのアクロレインへの気相酸化から生じる、供給気体流れ中に存在するアクロレインの精製のためのプラントあって、
a) 供給気体流れを冷却された気体状流出物と液体流れとに分溜するように準備された冷却カラム(1)であって、供給気体流れを供給する手段(2)、及び冷却された気体状流出物をカラムのトップから供給するための手段を有する、上記冷却カラム、
b) および、冷却された気体状流出物を凝縮しそして液体留分と精製された気体状留分とを得るように準備された凝縮装置(3、3A、3B)であって、冷却された気体状流出物をカラムのトップから受けるための手段、及び液体留分と精製された気体状留分とが各々出て行くための手段を有する、上記凝縮装置、
c) 冷却カラムのボトムに存在する液体流れの温度を、供給気体流れの凝縮温度よりも低いか又は等しい値に維持するように準備された操作制御手段であって、液体流れの温度と供給気体流れの凝縮温度との間の差が20℃を超えない、上記操作制御手段、
を含んで成る、
上記プラント。 - 冷却カラム(1)のボトムからカラム(1)の上部の点(11)に液体流れの少なくとも一部を循環させるための手段(8、10)、そして必要に応じて循環液体流れを冷却するための手段(7)を含んで成る、請求項1記載のプラント。
- 冷却カラム(1)が、カラム(1)のボトムにおいて液体のレベルを制御するための手段(12)を備えていて、そしてそれによって液体流れを制御するくみ出しバルブ(13)がサーボ制御される、請求項1記載のプラント。
- 液体流れを冷却カラム(1)のボトムから供給するための手段(5)によってトップにおいて供給される追い出しカラム(4)、及び気体を追い出しカラム(4)のトップから冷却カラムの供給手段(2)に又は冷却カラム(1)の下部に循環させるための手段(6)を付加的に含んで成る、請求項1記載のプラント。
- 供給手段(5)の中間的な場所で、追い出しカラム(4)の上流に設置された熱交換器(14)を含んで成る、請求項4記載のプラント。
- 凝縮装置(3)を去る精製された気体を供給するための手段(16)がその下部にそしてその上部には水配達導管(18)が供給された液体/気体吸収カラム(17)を含んで成る、請求項1記載のプラント。
- 凝縮装置(3、3A、3B)から出てゆく液体留分を冷却カラム(1)の上部中へ導入するための手段(12A、12B)を含んで成る、請求項1記載のプラント。
- 凝縮装置(3)が単一カラム(25)の内側で冷却カラム(19)の上部の中に置かれている、請求項1記載のプラント。
- 単一カラム(25)の内側で、凝縮装置(3)が冷却カラム(19)の上部の中に置かれていてそして吸収装置(20)が凝縮装置(3)よりも上に置かれている、請求項1記載のプラント。
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