JP3889852B2 - 無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,瓦や外装材等に使用される無機多孔質基材の水性下塗剤に関し,特にオートクレーブで促進養生される無機多孔質体の製造において,オートクレーブ養生前に塗布しておく,エフロレッセンスを防止するために有効な水性下塗剤に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から,瓦や外装材等の無機多孔質基材の製造時には,主として基材表層の補強,表面仕上がり性の向上,あるいは上塗塗料との密着性を向上させることを目的に,養生中に樹脂(下塗剤)を塗布することが一般的に行われている。
本発明者等は,既に,アルカリ及び/又は有機溶剤の添加により,水性媒体中に特定の共重合体の一部あるいは全部を可溶化して存在させた下塗剤が,この目的のために有効であることを見出している(特開平5−247376)。
【0003】
ところが,近年,この無機多孔質基材の製造において,製造時間の短縮や強度アップをねらつて,従来の蒸気養生に代わってオートクレーブ促進養生が主流となってきている。そして,その際,養生中に発生するエフロレッセンスを防止するために,養生前に樹脂(下塗剤)を塗布することが必要である。そこで,この目的に合った促進養生用の水性下塗剤の開発が切望されている。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,このオートクレーブ促進養生は,蒸気養生と比較して一般に高温かつ高圧条件で行なわれるため,無機多孔質基材の表面をより強力に被覆する必要がある。
また,促進養生は基材を重ね合わせて行うため,促進養生後に下塗剤の塗工面が互いに固着するというブロッキングを生ずるという問題がある。
【0005】
更に,製造された基材には,上塗塗料が塗布されるが,下塗剤塗工面とこの上塗塗料が十分に接着することが必要である。
また,上記水性下塗剤は,寒冷地使用時において凍結するという,凍害を防止する必要もある。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,オートクレーブ促進養生時における上記耐ブロッキング性,耐エフロレッセンス性に優れ,かつ上塗塗料に対する密着性,耐凍害性に優れた無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤を提供しようとするものである。
【0007】
請求項1に記載の発明は,水性媒体中に,
(a)エチレン性不飽和カルボン酸8〜70重量%,
(b)アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル,ビニル芳香族化合物,ハロゲン化ビニル,飽和カルボン酸ビニルエステル,アクリロニトリル,メタクリロニトリル,エチレン,ブタジエンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の単量体30〜92重量%,
(c)その他の単量体0〜20重量%,
からなる単量体混合物を共重合することによって得られた共重合体であって,上記(a)のエチレン性不飽和カルボン酸の30%以上がアルカリの添加によって中和された状態で存在していることを特徴とするオートクレーブ養生される無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤である。
【0008】
本発明において,上記原料不飽和単量体のうちの(a)エチレン性不飽和カルボン酸は,モノカルボン酸であっても,多カルボン酸であってもよい。なお,3〜5個の炭素原子を有するモノオレフイン性不飽和カルボン酸であることが好ましい。かかるものとしては,例えばアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸がある。
【0009】
エチレン性不飽和カルボン酸の量は,全単量体混合物(100重量%)中に8〜70重量%であり,好ましくは20.1〜50重量%である。同単量体の量が上記より少ないと,下塗剤として無機多孔質基材に対する浸透性が十分でないために,ブロッキング性が低下することに加えて,エフロレッセンス防止効果においても十分でない。また,同単量体の量が上記よりも多いと,上塗塗料との密着性が低下する傾向にある。
【0010】
また,単量体(b)としては,アクリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル(例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸のメチル,エチル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,t−ブチル,2−エチルヘキシル等のエステル),ビニル芳香族化合物(例えばスチレン),ハロゲン化ビニル(例えば塩化ビニル,臭化ビニル,塩化ビニリデン),飽和カルボン酸ビニルエステル(例えば酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル),アクリロニトリル,メタクリロニトリル,エチレン,ブタジエン等が挙げられる。
【0011】
特に好ましい単量体(b)としては,アクリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数1〜8のアルキルエステル及び酢酸ビニルである。これらの単量体(b)は,共重合体中に2個以上含まれていてもよい。
【0012】
単量体(b)の量は,全単量体混合物中に30〜92重量%であり,好ましくは50〜79,9重量%の範囲である。単量体(b)の量が上記の範囲より少なくなると,共重合体の耐水性が低下してエフロレッセンス防止効果が低下し,且つ上塗塗料との密着性が低下する。一方,単量体(b)の量が上記よりも多いと,下塗剤として無機多孔質基材に対する浸透性が低下する傾向にある。
【0013】
次に,単量体(c)は,前記の単量体(a),(b)以外のものである。この単量体(c)の量は全単量体混合物中に0〜20重量%,好ましくは1〜10重量%である。この単量体(c)は必須成分ではないが上記範囲内において添加することによって,乳化重合時の安定性及び架橋による耐水性の向上等の効果を得ることができる。
【0014】
単量体(c)としては,モノオレフイン性不飽和カルボン酸アミド(例えば,アクリル酸アミド,メタクリル酸アミド等),モノオレフイン性不飽和カルボン酸アミドのN−アルキル及び/又はN−アルキロール誘導体(例えばN−メチルアクリルアミド,N−イソブチルアクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド,N−メチロールメタクリルアミド,N−エトキシメチルアクリルアミド),分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基と1個の重合可能な不飽和二重結合を有するカルボニル基含有不飽和単量体,例えばアクロレイン,ジアセトンアクリルアミド,ホルミルスチロール,4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば,ビニルメチルケトン,ビニル工チルケトン,ビニルブチルケトン),モノオレフイン性不勉和スルホン酸(例えば,ビニルスルホン酸,メタクリルアミドプロパンスルホン酸等),ヒドロキシエチルアクリレート,ヒドロキシプロピルメタクリレート,グリシジルアクリレート,グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらの単量体(c)は,その共重合体中に2種以上含まれていてもよい。
【0015】
以上の(a)〜(c)の各単量体混合物を用いて,共重合体を製造するための共重合は,通常溶液重合又は乳化重合により行なう。
【0016】
溶液重合に用いられる溶媒は,特に限定されないが,生成共重合体と水との混合性の点から水溶性若しくは親水性の溶剤が好ましい。その具体例としては,1〜4個の炭素原子を有するモノアルコール類,例えばメチルアルコール,エチルアルコール,イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール,イソブチルアルコール及びt−ブチルアルコール;エチレングリコール及びその誘導体,例えばエチレングリコールモノメチルエーテル,同モノエチルエーテル,同モノプロピルエーテル,同モノブチルエーテル;ジエチレングリコール及びその誘導体,例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル,同モノエチルエーテル,同モノプロピルエーテル,同モノブチルエーテル;その他1,4−ジオキサン及び水等が挙げられる。
これらの溶剤は1種類を用いてもよいし,2種以上を適宜併用してもよい。その溶剤は,一般には沸点200℃以下のものが重合後の留去,或いは乾燥スピードの点で好ましい。
【0017】
溶液重合用の重合開始剤は,油溶性のものが好ましい。その具体例としては,アゾビスイソブチロニトリル,アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキシド,ラウロイルパーオキシド,t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物系開始剤;その他過酸化水素,過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物系開始剤も使用できる。
これらの開始剤は,1種類を単独で使用してもよいし,2種以上を適宜併用することもできる。又,これらの開始割に,ロンガリット,L−アスコルビン酸,有機アミン等の還元剤を併用してレドックス開始剤として用いてもよい。
【0018】
又,乳化重合によっても,共重合体を製造することができるが,その乳化重合には乳化剤を使用して水溶性の重合開始剤により重合を行わせる方法や,ソープフリー重合により重合を行わせる方法等が用いられる。
その乳化剤としては,各種のアニオン性,ノニオン性の乳化剤,更にはポリビニルアルコール系やポリアクリル酸系等の高分子乳化剤が挙げられる。
【0019】
乳化重合において用いる重合開始剤は,過硫酸カリウム,過硫酸ナトリウム,過硫酸アンモニウム,過酸化水素等の無機過酸化物が好ましい。これらの無機過酸化物には,前記したような還元剤を併用してレドックス開始剤として用いてもよい。
乳化重合における単量体の供給方法は,種々の方法を用いることができる。例えば一括仕込法,モノマー添加法,エマルジョン添加法或いは,単量体の組成を逐次に変化させるシード重合法,又はパワーフィード法等も用いることができる。
【0020】
又,乳化重合によって共重合体を製造する場合には,連鎖移動剤を用いることが好ましい。これは,一般に乳化重合によって得られる共重合体は高分子量であるために,アルカリを添加した場合に粘度が上昇し,下塗剤として無機多孔質基材に対する浸透性が十分確保できない場合があるためである。連鎖移動剤を用いることによつて,生成共重合体の分子量を低下させることができ,浸透性が向上する。
【0021】
次に,請求項2に記載の発明のように,生成共重合体の分子量としては,10万以下が好ましい。10万を越えると浸透性が低下するためブロッキングの問題発生のおそれがある。なお,下限は耐水性が低下するため凍害性の点より分子量5000とすることが好ましい。
また,連鎖移動剤としては,例えば各種のメルカプタン類,α−メチルスチレン,ハロゲン化アルキル,アルコール類等が挙げられる。その適性使用量は,連鎖移動剤の種類にもよるが,重量平均分子量が上記10万以下となるように0.03〜5重量%程度使用する。
【0022】
以上詳述した溶液重合又は乳化重合によって調整された共重合体は,アルカリの添加によって上記(a)エチレン性不飽和カルボン酸の30%以上を中和して使用する。中和が30%未満の場合には,下塗剤として無機多孔質基材に対する浸透性が確保できない。なお,上限は100%である。
【0023】
上記中和に使用されるアルカリとしては,無機の水溶性アルカリ,例えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等;又は水に溶解してアルカリ性を示す無機塩類,例えば炭酸水素ナトリウム,ピロリン酸ナトリウム等;その他アンモニア水や有機アミン等が挙げられる。
アルカリの添加は,必ずしも共重合体の形成後である必要がなく,場合によっては共重合体樹脂を形成せしめるための共重合前の(a)エチレン性不飽和カルボン酸にアルカリを添加して中和させてから,共重合を行わせてもよい。
【0024】
又,溶液重合した場合のアルカリの添加は,共重合に使用した溶剤の存在下であってもよいし,溶剤を留去した後の共重合体にアルカリを水溶液にして加えて部分的に,又は完全に中和させてもよい。
【0025】
次に,請求項3に記載の発明のように,上記水性下塗剤には10重量%以下の割合で,有機溶剤を添加することが好ましい。これにより,エフロレッセンス防止効果を維持したまま,耐ブロッキング性を更に向上させることが可能になる。これは,有機溶剤の添加により,本下塗剤が無機多孔質基材に対しより浸透しやすくなるためと推測される。しかしながら,有機溶剤の添加量が10重量%以上を越えると耐ブロッキング性はかえって低下する傾向にある。
なお,下限は浸透性確保の点から1重量%とすることが好ましい。
【0026】
上記有機溶剤としては,溶液重合に用いられる溶媒と同じものがあげられる。特に好ましい有機溶剤は,テキサノール,エチレングリコールモノブチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル及びそれらのアセテート,ベンジルアルコール,ブチルカルビトールアセテート,2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0027】
尚,分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基と1個の重合可能な不飽和二重結合を有するカルボニル基含有不飽和単量体をその他の共重合単量体として使用した場合,分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体を添加することが効果的である。
【0028】
これらの誘導体としては,例えば,2〜10個,特に4〜6個の炭素原子を有するカルボン酸ジヒドラジド(例えば蓚酸ジヒドラジド,マロン酸ジヒドラジド,琥珀酸ジヒドラジド,グルタル酸ジヒドラジド,アジピン酸ジヒドラジド,セバシン酸ジヒドラジド,マレイン酸ジヒドラジド,フマル酸ジヒドラジド,イタコン酸ジヒドラジド等),2〜4個の炭素原子を有する脂肪族水溶性ジヒドラジン(例えばエチレン−1,2−ジヒドラジン,プロピレン−1,3−ジヒドラジン,ブチレン−1,4−ジヒドラジン等)が挙げられる。
【0029】
また,上記のヒドラジン誘導体として,下記の〔化1〕式で表されるヒドラジン基を有するポリマーも使用することができる。かかるヒドラジノ基を有するポリマーは,例えば特開昭55−6535号公報に詳記されている。
【0030】
【化1】
【0031】
上記の式中,Xは水素原子又はカルボキシル基であり,Yは水素原子又はメチル基であり,Aはアクリルアミド,メタクリルアミド,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル又は無水マレイン酸の各単位であり,Bはアクリルアミド,メタクリルアミド,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル又は無水マレイン酸と共重合可能な単量体の単位である。また,k,m及びnは下記の各式を満足する数を示す。
2モル% ≦ k ≦ 100モル%
0モル% ≦ (m+m)k ≦ 98モル%
(k+m+n)= 100モル%
【0032】
又,本発明においては,皮膜の耐水性レベルの向上,或いは粘性の調整等を目的に他の樹脂水性分散液を添加してもよい。具体的には,アクリル系エマルジョン,アクリルスチレン系エマルジョン,塩化ビニル系エマルジョン,塩化ビニリデン系エマルジョン,エチレン酢ビ系エマルジョン,酢酸ビニル系エマルジョン,或いは,ポリウレタン系エマルジョン,アルキド樹脂系エマルジョン,ビスフエノール型エポキシエマルジョン等が挙げられる。
【0033】
この場合,上記樹脂水性分散液は,エフロレッセンス防止効果及び耐ブロッキング性の悪化防止の点から,その添加量は,本発明における上記共重合体(100重量%)に対して固形分比で30%以下が好ましい。
【0034】
次に,上記共重合体と樹脂水性分散液とを配合する方法は,特に制限されない。例えば,溶液重合して得られた共重合体を含む有機溶剤溶液に,アルカリ溶液を添加した後,溶剤を留去してから,樹脂水性分散液を加えてもよい。或いは,溶剤を留去せずに加えてもよい。
【0035】
又,共重合体を乳化重合によって得た場合には,アルカリ及び/又は有機溶剤をその共重合体の水性分散液に加えてから,樹脂水性分散液を加えてもよい。或いは,共重合体と樹脂水性分散液とを混合してからアルカリ及び/又は有機溶剤を加えてもよい。
【0036】
また,本発明の水性下塗剤には,物性を損なわない範囲内で,造膜助剤,顔料,充填剤,潤滑剤等を配合することができる。
こうして調製された水性下塗剤は,一般に抄造法,高圧プレス法,或いは押出成形法にて製造された無機多孔質基材に塗装され,オートクレーブ中で養生される。
オートクレーブ養生の条件は,無機多孔質基材の材質によっても異なるが,一般に温度150〜200℃,圧力5〜15kg/m2 ,時間3〜20hrsの条件で実施する。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に,共重合体樹脂調製例,実施例及び比較例を挙げて詳述する。
これらの例に於いて記載した「部」及び「%」は重量基準による。
【0038】
共重合体樹脂調製例1
温度調節器,碇型撹拌器,還流冷却器,温度計及び窒素導入管を備えた反応容器内を窒素置換したのち,これにエチレングリコールモノブチルエーテル130部を装入した。
【0039】
別に,供給物として下記の組成物を準備した。
供給物J
イソプロピルアルコール・・・110部
アクリル酸・・・15部
メタクリル酸・・・15部
メタクリル酸メチル・・・40部
アクリル酸ブチル・・・30部
ベンゾイルパーオキシド・・・3部
【0040】
次いで,上記反応器内を80℃に保持しながら,これに上記の供給物Jを3時間かけて少量ずつ連続的に供給した。その供給終了後,更に2時間同温度を保持して重合を完了させた。
この溶液を,蒸留により不揮発分が60%になるまで濃縮したのち,25%アンモニア水溶液を加えて,不揮発分54%の共重合体樹脂のイソプロピルアルコール溶液を得た。
【0041】
次いで,得られた溶液から,ロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコール30部を留去し,次いで水を加え不揮発分20%,pH9の共重合体樹脂溶液を得た。
【0042】
共重合体樹脂調製例2
供給物の単量体組成・重合溶媒を,表1に示すように変更した以外は,調製例1と同様に行った。
【0043】
共重合体樹脂調製例3
前記の調製例1で用いたのと同様の反応容器内に,下記のものを装入した。
水・・・50部
エチレンオキシド20モル付加p−ノニルフエノールの硫酸半エステルナトリウム塩(「アニオン性乳化剤A」という)の35%水溶液・・・・2部
エチレンオキシド25モル付加p−ノニルフエノール(「非イオン性乳化剤B」という)の20%水溶液・・・1部
【0044】
別に,供給物Kとして下記の混合物を準備した。
供給物K
水・・・50部
上記のアニオン性乳化剤Aの35%水溶液・・・4部
上記の非イオン性乳化剤Bの20%水溶液・・・2部
アクリル酸・・・15部
メタクリル酸・・・10部
メタクリル酸メチル・・・45部
アクリル酸ブチル・・・25部
ジアセトンアクリルアミド・・・5部
t−ドデシルメルカプタン・・・0.7部
【0045】
又別に,供給物Lとして,水20部中に過硫酸カリウム0.7部を溶解した水溶液を準備した。
【0046】
前記の反応容器内を窒素ガス置換したのち,その装入物に上記前者の供給物Kの10%を加え,その混合物を90℃に加熱した。次いで,上記後者の供給物Lの10%を反応容器内に注入してから,3.5時間かけて残りの供給物K及びLを並行して少量ずつ一様に供給した。その供給終了後,更に1.5時間,90℃に保持して乳化重合を完了させた。
以上のようにして得られた樹脂水性分散液を,不揮発分が20%となるように水で希釈し,次いで25%アンモニア水溶液をpHが9になるように添加して,共重合体樹脂溶液を得た。
【0047】
共重合体樹脂調製例4〜11
供給物の単量体組成,重合系に存在させた連鎖移動剤,中和剤を表1〜表3に示すように変更した以外は,上記調製例3と同様に行った。
【0048】
共重合体樹脂調製例12,13
供給物の単量体組成,重合系に存在させた連鎖移動剤,中和剤を表3に示すように変更し,溶剤としてブチルセロソルブを表3に示すように添加した以外は,上記調製例3と同様に行った。
【0049】
実施例1
試験片としてポルトランドセメントと珪砂粉末とパルプからなる未乾燥のセメント組成物を使用し,下塗剤として共重合体樹脂調製例1で得られた不揮発分20%の樹脂水性分散液を塗布した。
その後,オートクレーブ中で,180℃,8時間,10気圧にて養生し,基材密度が1.3g/cm3 の無機多孔質基材を作製した。
【0050】
得られた養生後の基材表面について,下記の試験方法により,耐ブロッキング性,耐エフロレッセンス性,上塗剤に対する密着性,耐凍害性を試験した。
評価した結果を表4に示す。
【0051】
各性能は次のようにして,◎,○,△,×により評価した。
耐ブロッキング性:オートクレーブ中で塗装板を2枚積載し,0.4kg/m2 の荷重をかけ,取り出し後のブロッキング状態,即ち,基材の固着状態を調べた。
◎:基材どうしが全くブロッキングしない
○:基材の表面が若干剥離した
△:基材の表面が一部剥離した
×:基材どうしが完全に密着した
【0052】
耐エフロレッセンス性:オートクレーブ養生後の基材表面について,エフロレッセンス,即ち塗装面の白化の状態の発生の有無を目視で調べた。
○:エフロレッセンスの発生なし
△:エフロレッセンスの発生小
×:エフロレッセンスの発生大
【0053】
上塗剤に対する密着性:オートクレーブ養生後の基材に上塗塗料として,次のように配合して得た塗料を乾燥後の膜圧が50μmになるように塗布し,100℃で10分間乾燥したものを試験片とする。
水・・・64.6部
デモールEP(花王社製)・・・20.0部
ノブコ8034(サンノブコ社製)・・・0.3部
酸化チタン(ルチル型)・・・54.0部
カオリン・・・6.0部
アクロナールYJ2770D(三菱化学BASF社製)・・・146.7部
テキサノール(イーストマン社製)・・・9.5部
5%アデカノールUH420(旭電化社製)・・・1.0部
【0054】
この試験片をカッターナイフで3mm間隔で碁盤目を切り,ポリエステル性粘着テープを圧着した後,引き剥がして塗膜の残存状態を調べた。
◎:塗膜が全く剥離しない
○:塗膜が若干剥離した
△:塗膜が一部剥離した
×:塗膜が全部剥離した
【0055】
耐凍害性:「10℃の水中浸漬2時間の後,−20℃の気中凍結2時間」を1サイクルとして,200サイクル行なった後,2日間室温で乾燥後,上記と同様の方法で密着性を調べた。
◎:塗膜が全く剥離しない
○:塗膜が若干剥離した
△:塗膜が一部剥離した
×:塗膜が全部剥離した
【0056】
実施例2〜8及び比較例1〜5
共重合体樹脂の種類を表4に示すように変更し,その他は実施例1と同様にオートクレーブ養生して物性を試験した。
その結果を,表4に示した。
【0057】
表1〜表4より知られるごとく,本発明の実施例1〜8によれば,各評価項目ともに満足できる(◎又は○)性能を有することが分かる。一方,比較例1〜5においては,いずれか一種以上の性能が不満足(△又は×)である。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば,オートクレーブ促進養生時における耐ブロッキング性,耐エフロレッセンス性に優れ,かつ上塗料に対する密着性,耐凍害性に優れた無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤を提供することができる。
Claims (2)
- 水性媒体中に、(a)エチレン性不飽和カルボン酸10〜70重量%、(b)アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル、ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、飽和カルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ブタジエンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の単量体30〜92重量%、(c)その他の単量体0〜20重量%、からなる単量体混合物を共重合することによって得られた共重合体であって、上記共重合体の重量平均分子量は、5000〜80000であり、上記(a)のエチレン性不飽和カルボン酸の30%以上がアルカリの添加によって中和された状態で存在していることを特徴とするオートクレーブ養生される無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤。
- 請求項1において、上記水性下塗剤に、更に有機溶剤を10重量%以下添加したことを特徴とする無機多孔質基材促進養生用の水性下塗剤。
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