JPH05222296A - 水性架橋性樹脂組成物 - Google Patents

水性架橋性樹脂組成物

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JPH05222296A
JPH05222296A JP5922692A JP5922692A JPH05222296A JP H05222296 A JPH05222296 A JP H05222296A JP 5922692 A JP5922692 A JP 5922692A JP 5922692 A JP5922692 A JP 5922692A JP H05222296 A JPH05222296 A JP H05222296A
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resin
water
carbonyl group
copolymer resin
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JP5922692A
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Ryutaro Hayashi
隆太郎 林
Masahiro Aoki
正博 青木
Takeo Tsukamoto
健夫 塚本
Yoshinori Kato
義則 加藤
Takeshi Kurita
武志 栗田
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Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】(A)カルボニル基含有共重合体樹脂、(B)
樹脂水性分散液、(C)少なくとも2個のヒドラジノ基
を有するヒドラジン誘導体、並びに(D)沸点が200
℃以下の低分子カルボニル化合物(アルデヒド又はケト
ン)を配合してなり、かつアルカリ及び/又は極性有機
溶剤の添加により(A)を実質上5重量%以上可溶化さ
せた水性架橋性樹脂組成物。(A)及び(D)に含有さ
れるカルボニル基とは、アルド基若しくはケト基にもと
づくカルボニル基のみを意味する。 【効果】(D)のカルボニル基が(C)のヒドラジノ基
と反応してこれをブロツクするので、貯蔵中のゲル化が
防止又は遅延され貯蔵安定性に優れる。皮膜の乾燥時に
(D)が揮散し(A)のポリマー分子間に(C)を仲介
とする架橋結合が形成され、耐溶剤性の皮膜が形成され
る。また、架橋結合速度が、(D)によって制御され、
平滑性に優れた皮膜を与え、(A)がアルカリ及び/又
は極性有機溶剤によって可溶化されているので基材に対
する密着性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、貯蔵中にゲル化を起さ
ず、貯蔵安定性に優れ、かつ常温で容易に乾燥・架橋硬
化して耐水性、耐溶剤性及び平滑性に優れた皮膜を与え
ることができ、各種の塗料、コーテイング剤、処理剤等
として用いることのできる水性架橋性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】樹脂水性エマルジヨンは、従来から塗料
などのコーテイング剤、接着剤、繊維加工剤、粘着剤と
して広く利用されており、その無公害、省資源、作業性
の良さなどの特徴から溶剤型樹脂からの転換が進められ
てきた。しかしながら、従来の樹脂水性エマルジヨンは
溶剤型の樹脂と比較して一般に皮膜の耐水性、光沢、各
種基材への密着性に劣る欠点を有している。水系におい
て光沢、或いは平滑性、さらに基材密着性を改良する有
効な手段の一つとして水溶性樹脂をかかる樹脂水性エマ
ルジヨンに添加する方法が広く知られている。その例と
して、例えば特開昭64−45472号、特開平1−1
18501号、特開平1−213477号の各公報等が
挙げられる。しかし、このような水溶性樹脂の添加は樹
脂水性エマルジヨン単独によった場合よりも一般に皮膜
の耐水性を低下させる。この耐水性を改良するために水
溶性樹脂中に各種の架橋基を導入することが試みられて
いる。しかしながら、架橋を生成するためには一般に、
加熱や紫外線、放射線の照射といった操作を必要とする
し、或いは貯蔵中の安定性を確保するために、通常、架
橋剤を使用の直前に加える、いわゆる二液型として用い
る必要があった。そのために、架橋のための特別な操作
を必要とせず、かつ一液で、しかも貯蔵中の安定性の高
い、樹脂水性エマルジヨンと水溶性樹脂の混合系のもの
に架橋反応性を導入した樹脂組成物が、強く望まれてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の樹脂
水性分散液における上記の欠点を改良しようとするもの
であり、換言すれば、貯蔵安定性に優れ、しかも平滑性
及び基材に対する密着性に優れた皮膜を与えることがで
きる水性架橋性樹脂組成物を提供しようとするものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の水性架橋性樹脂
組成物は、(A)アルド基若しくはケト基を含有するカ
ルボニル基含有共重合体樹脂、(B)樹脂水性分散液、
(C)分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基(−NH
NH2 )を有するヒドラジン誘導体、並びに(D)アル
ド基若しくはケト基を含有する沸点が200℃以下の低
分子カルボニル化合物を混合してなり、かつアルカリ及
び/又は極性有機溶剤の添加により前記の(A)カルボ
ニル基含有共重合体樹脂が可溶化率が5重量%以上にな
るように可溶化処理されていることを特徴とする組成物
である。
【0005】本発明のかかる水性架橋性樹脂組成物は、
沸点が200℃以下の低分子量のアルデヒド化合物やケ
トン化合物を配合することにより、貯蔵安定性を向上さ
せることができるとともに、アルカリ及び/又は極性有
機溶剤を添加してその(A)共重合体樹脂の可溶化率が
5重量%以上になるように可溶化処理をしておくことに
より、基材に塗布した架橋塗膜の基材に対する密着性及
び皮膜の平滑性を著しく向上させることができるのであ
る。
【0006】本発明で用いるアルド基若しくはケト基を
含有するカルボニル基含有共重合体樹脂とは、アルド基
若しくはケト基を含有し、したがってそのアルド基若し
くはケト基にもとづくカルボニル基を含有する共重合体
樹脂であるが、特に好ましいその共重合体樹脂は、アル
ド基若しくはケト基を少なくとも1個含有するカルボニ
ル基含有不飽和単量体0.5重量%以上と、不飽和カル
ボン酸単量体0.5重量%以上と、これらの単量体と共
重合可能な他の不飽和単量体99重量%以下とを含有し
てなる単量体混合物を共重合させて得られる共重合体樹
脂である。
【0007】本発明で用いられる(A)アルド基若しく
はケト基を含有するカルボニル基含有共重合体樹脂は、
分子内に少なくとも1個のアルド基又はケト基にもとづ
くカルボニル基を有する重合性不飽和単量体を、他の種
々の重合性不飽和単量体と共重合することにより容易に
製造することができる。その共重合には乳化共重合法及
び溶液共重合法等が用いられる。
【0008】特に好ましい(A)成分用の共重合体樹脂
は、(a)分子中に少なくとも1個のアルド基若しくは
ケト基及び1個の重合性二重結合を有するカルボニル基
含有不飽和単量体0.5重量%以上、(b)エチレン性
不飽和カルボン酸0.5重量%以上、(c)前記の
(a)カルボニル基含有不飽和単量体及び(b)エチレ
ン性不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体であって、
20℃における水中への溶解度が8g/100ml水以
下である不飽和単量体30〜99重量%、並びに(d)
前記の(a)〜(c)の各単量体以外の他の単量体0〜
69重量%の共重合によって得られたカルボニル基含有
共重合体樹脂である。
【0009】本発明の水性架橋性樹脂組成物を調製する
のに用いられる(A)カルボニル基含有共重合体樹脂を
製造するための原料不飽和単量体のうちの、前記の
(a)分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基と
1個の重合可能な不飽和二重結合を有するカルボニル基
含有不飽和単量体としては、たとえばアクロレイン、ジ
アセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、4〜7
個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(たとえば
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチ
ルケトンなど)、一般式
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 はH又はCH3 、R2 はH又
は炭素数1〜3個のアルキル基、R3 は炭素数1〜3個
のアルキル基、R4 は炭素数1〜4個のアルキル基を示
す。)で表わされるアクリル(又はメタクリル)オキシ
アルキルプロペナール、ジアセトンアクリレート、アセ
トニルアクリレート、ジアセトンメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、
ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテ
ート等があげられる。特に好ましいその単量体はジアセ
トンアクリルアミド、アクロレイン及びビニルメチルケ
トンである。これらの単量体は、2種以上併用してもよ
い。
【0012】(a)カルボニル基含有不飽和単量体は、
全単量体混合物に対して0.5重量%以上、好ましくは
2〜30重量%である。同単量体の量が少なすぎると、
共重合体樹脂中のアルデヒド基又はケト基の含有量が少
なすぎて、(C)ヒドラジン誘導体との反応による架橋
密度が低下し、充分な耐水性、耐溶剤性及び耐ブロツキ
ング性等を有する皮膜が得られなくなる。また、同単量
体の量が多すぎると、皮膜の耐アルカリ性、耐候性等が
低下する。
【0013】前記の(b)エチレン性不飽和カルボン酸
は、モノカルボン酸であっても、多価カルボン酸であっ
てもよいが、好ましくは3〜5個の炭素原子を有するモ
ノオレフイン性不飽和カルボン酸である。特に、アクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。エチレン
性不飽和カルボン酸の量は、全単量体混合物に対して
0.5重量%以上、特に好ましくは1.0〜40重量%
である。同単量体の量が少なすぎると、アルカリ及び/
又は極性有機溶剤を添加して可溶化処理する際に充分な
可溶化(水溶化)を行なわせることができず、皮膜の充
分な平滑性や密着性が得られない。また、同単量体の量
が多すぎると、共重合体樹脂の親水性が高くなりすぎ、
皮膜の耐水性が低下する。特に、耐水性に富む皮膜を与
えるには、同単量体の量を前記の範囲内においてなるべ
く少なくするのが望ましい。
【0014】前記の(c)不飽和単量体は、前記の
(a)カルボニル基含有不飽和単量体及び前記の(b)
エチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体であ
って、20℃における水中への溶解度が8g/100m
l水以下の単量体である。その具体例としては、たとえ
ば炭素数1〜10の飽和アルコールのアクリル酸又はメ
タクリル酸エステル、たとえばメチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート;スチレンなどのビニル芳香族化合物;塩
化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル;エ
チレン、ブタジエンなどの不飽和炭化水素;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;その他
アクリロニトリル、グリシジルメタクリレートなどがあ
げられる。この不飽和単量体の量は、全不飽和単量体量
に対して30〜99重量%、特に好ましくは55〜94
重量%である。
【0015】前記した(d)前記の(a)〜(c)の各
単量体以外の他の単量体としては、たとえばアクリルア
ミド、メタクリルアミドなどの不飽和アミド;ヒドロキ
シエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
トなどの水酸基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレ
ンスルホン酸、及びこれらの塩などのスルホン化単量
体;その他N−メチロールアクリルアミドなどがあげら
れる。(d)他の不飽和単量体の量は、全不飽和単量体
量に対して0〜69重量%、好ましくは0〜15重量%
である。
【0016】以上の(a)〜(d)の各単量体混合物を
用いて(A)カルボニル基含有共重合体樹脂を製造する
ための共重合は、溶液重合又は乳化重合により行なわせ
る。
【0017】溶液重合に用いられる溶媒は、特に限定さ
れないが、重合に使用した溶媒が本組成物中に混入する
場合には水との混合性の点から水、又は水溶性若しくは
親水性の溶剤が好ましい。その具体例としては、1〜4
個の炭素原子を有するモノアルコール類、たとえばメチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール及
びt−ブチルアルコール;エチレングリコール及びその
誘導体、たとえばエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、同モノエチルエーテル、同モノプロピルエーテル、
同モノブチルエーテル;ジエチレングリコール及びその
誘導体、たとえばジエチレングリコールモノメチルエー
テル、同モノエチルエーテル、同モノプロピルエーテ
ル、同モノブチルエーテル;その他1,4−ジオキサン
及び水などがあげられる。これらの溶剤は1種類を用い
てもよいし、2種以上を適宜に併用してもよい。その溶
剤は、一般には沸点200℃以下のものが好ましい。
【0018】溶液重合用の重合開始剤は、油溶性のもの
が好ましい。その具体例としては、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾ系開始
剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物系
開始剤;その他過酸化水素、過硫酸アンモニウムなどの
無機過酸化物系開始剤も使用できる。これらの開始剤は
1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を適宜に併
用することもできる。また、これらの開始剤に、ロンガ
リツト、L−アスコルビン酸、有機アミンなどの還元剤
を併用してレドツクス開始剤として用いてもよい。
【0019】また、乳化重合によっても、(A)カルボ
ニル基含有共重合体樹脂を製造することができるが、そ
の乳化重合は乳化剤や保護コロイドを使用して水溶性の
重合開始剤により重合を行なわせる方法と、ソープフリ
ー重合により重合を行なわせる方法が用いられる。その
乳化剤としては、各種のアニオン性、カチオン性及びノ
ニオン性の乳化剤、さらには高分子乳化剤があげられ
る。特に好ましい乳化剤は、特開昭64−48801号
公報に記載されているカルボニル基含有高分子乳化剤で
ある。
【0020】乳化重合において用いる重合開始剤は、過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの
無機過酸化物が好ましい。これらの無機過酸化物には、
前記したような還元剤を併用してレドツクス開始剤とし
て用いてもよい。
【0021】乳化重合における単量体の供給方法は、種
々の方法を用いることができる。たとえば一括仕込法、
モノマー添加法、エマルジヨン添加法等の種々の方法を
用いることができる。また、添加する単量体の組成を逐
次に変化させるシード重合法、又はパワーフイド重合法
等も用いることができ、このような方法を用いると、生
成共重合体樹脂粒子の中心部と外部との共重合組成を変
化させて、可溶化の程度を調節することができる。
【0022】また、乳化重合の際には、連鎖移動剤を共
存させると、得られる共重合体分散液を用いた本発明の
水性架橋性樹脂組成物の塗膜物性、特に基材に対する密
着性が著しく向上する。これは、一般に乳化重合によっ
て得られる共重合体樹脂は高分子量のものであるため
に、アルカリ及び/又は有機溶剤の添加によって水可溶
化させる際に、充分な可溶化をさせにくいが、連鎖移動
剤を用いると、生成共重合体樹脂の分子量を低下させる
ことができ、分散樹脂がより可溶化されやすくなるた
め、と推測される。その連鎖移動剤としては、たとえば
各種のメルカプタン類、アビエチン酸及びそのエステ
ル、α−メチルスチレン、ハロゲン化アルキル、アルコ
ール類などがあげられる。その使用量は、樹脂固形分1
00重量部に対して0.03〜5重量%である。
【0023】以上詳述した溶液重合又は乳化重合によっ
て調製された(A)カルボニル基含有共重合体樹脂は、
本発明の水性架橋性樹脂組成物の調製時に、アルカリ及
び/又は極性有機溶剤の添加によって、同共重合体樹脂
の可溶化率が5重量%以上になるように可溶化処理され
るが、その可溶化処理(すなわち、アルカリ及び/又は
極性有機溶剤の添加)は、(A)カルボニル基含有共重
合体樹脂を製造するための共重合開始前であってもよい
し、その共重合時であってもよいし、(A)カルボニル
基含有共重合体樹脂に、(B)樹脂水性エマルジヨン及
び/又は(C)ヒドラジン誘導体を混合する前であって
もよいし、その混合途中であってもよいし、さらにはそ
の混合後であってもよい。そして、そのいずれの場合で
あっても、本明細書に記載した「可溶化率」とは、下記
の方法で測定した可溶化率をいう。
【0024】すなわち、上記のいずれの場合であって
も、(B)樹脂水性分散液、(C)ヒドラジン誘導体、
及び(D)低分子カルボニル化合物を全く混合せずに、
そのほかは実際に行なう可溶化処理と全く同一の条件で
可溶化処理をして樹脂組成物を調製し、得られた樹脂組
成物を不揮発分が15重量%になるように水で希釈した
後に、その希釈液を遠心加速度1.8×105 gで60
分間遠心処理し、得られた上澄液中の不揮発分量を測定
してw重量部とし、また遠心分離に使用した前記の希釈
液中の不揮発分量を測定してW重量部としたときの下記
式で表わされる可溶化率をいう。 可溶化率 = w/W × 100(重量%)
【0025】したがって、たとえば(A)カルボニル基
含有共重合体樹脂を製造するための重合前、又は重合中
の重合系にアルカリ及び/又は極性有機溶剤を添加して
共重合を行なわせたような場合であって、その共重合に
よって得られた生成共重合体樹脂を含有する重合生成物
が、そのままで既に可溶化率が5重量%以上になってい
るときには、その重合生成物に、(B)樹脂水性分散液
及び(C)ヒドラジン誘導体及び(D)低分子カルボニ
ル化合物を混合するだけで(換言すれば、改めて可溶化
処理のためのアルカリ及び/又は極性有機溶剤の添加を
行なわなくても)、本発明の水性架橋性樹脂組成物が得
られる。
【0026】その可溶化処理に使用されるアルカリとし
ては、無機の水溶性アルカリ、たとえば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなど;又は水に溶解してアルカリ性
を示す無機塩類、たとえば炭酸水素ナトリウム、ピロリ
ン酸ナトリウムなど;その他アンモニア水や有機アミン
などがあげられる。アルカリの添加は、前述のとおり、
必ずしも共重合体の形成後である必要がなく、場合によ
っては(A)カルボニル基含有共重合体樹脂を形成せし
めるための共重合前の(b)エチレン性不飽和カルボン
酸にアルカリを添加して中和させてから、共重合を行な
わせてもよい。また、アルカリの添加は、共重合に使用
した溶剤の存在下であってもよいし、溶剤を留去した後
の共重合体樹脂にアルカリを水溶液にして加えて部分的
に又は完全に水可溶化させてもよい。使用されるアルカ
リの量は、共重合体樹脂中のカルボキシル基を完全に中
和する量であってもよいし、部分的に中和する量であっ
てもよい。
【0027】可溶化処理に使用される極性有機溶剤は、
アルカリ添加のみでは充分に水可溶化できない場合に補
助的に添加してもよいし、極性有機溶剤のみの添加で可
溶化させてもよい。また、(A)カルボニル基含有共重
合体樹脂を溶液重合により製造する場合であって、その
重合溶媒として用いた極性有機溶剤がそのまま可溶化の
ための極性有機溶剤としての役目を果すことができると
きには、特に改めて極性有機溶剤の添加を必要としない
場合もあるし、さらに場合によっては、重合溶媒として
用いた極性有機溶剤とは別種の極性有機溶剤を添加する
こともできる。
【0028】その極性有機溶剤としては、水と相溶する
か、相溶はしないでも、水にかなりの程度溶解する有機
溶剤、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブ
タノール、エチレングリコール、2,2,4−トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオール、ベンジルアルコールな
どのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類やそのエステ
ル類、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチ
ルカルビトールなどのカルビトール類、ブチルカルビト
ールアセテートなどのカルビトールエステル類、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、酢
酸エチルなどが使用される。特に好ましい極性有機溶剤
は、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコール、ブチルカ
ルビトールアセテート、2,2,4−トリメチル−1,
3−ペンタンジオールなどである。
【0029】次に、本発明で用いられる(B)樹脂水性
分散液としては、合成によって得られる合成樹脂の、又
は天然の多種多様な樹脂の水性分散液があげられる。
【0030】乳化重合によって得られる樹脂分散液は、
一般に知られているように、乳化剤、反応性乳化剤又は
保護コロイドなどを分散剤とし、水溶性開始剤を使用し
て不飽和単量体を水中で(共)重合させることにより得
られる。その不飽和単量体としては、たとえばアクリル
酸、メタクリル酸、それらの各種エステル、スチレンな
どのビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、飽和カル
ボン酸ビニルエステル、共役ジエン類、エチレン、プロ
ピレンなどの不飽和炭化水素などを、目的に応じて適宜
に組合わせて使用して、通常、共重合体樹脂水性分散液
にしたものが好適に使用される。
【0031】また、乳化重合によって得られる樹脂水性
分散液以外には、たとえばポリウレタン樹脂エマルジヨ
ン、アルキツド樹脂エマルジヨン、ビスフエノール型エ
ポキシ樹脂エマルジヨンなどもあり、これらの樹脂水性
エマルジヨンも、本発明の(B)樹脂水性分散液として
使用することができる。
【0032】特に好ましい(B)樹脂水性分散液は、前
記の(a)カルボニル基含有不飽和単量体0.3〜20
重量%;前記の(b)エチレン性不飽和カルボン酸0〜
10重量%;アクリル酸若しくはメタクリル酸の炭素数
1〜10のアルキルエステル、ビニル芳香族化合物、ハ
ロゲン化ビニル、飽和カルボン酸のビニルエステル、エ
チレン及びブタジエンから選ばれた少なくとも1種の不
飽和単量体55〜99.7重量%;並びに前記以外の他
の単量体0〜15重量%の単量体混合物の乳化重合によ
って得られる共重合体樹脂の水性樹脂分散液である。
【0033】この場合に使用される(a)カルボニル基
含有不飽和単量体は、前記の(A)カルボニル基含有共
重合体樹脂の製造の場合に用いられた(a)カルボニル
基含有不飽和単量体と同じものであるから、この不飽和
単量体を構成成分として含有する前記の特に好ましい
(B)樹脂水性分散液を用いて調製した本発明の水性架
橋性樹脂組成物は、(C)ヒドラジン誘導体を媒介とし
て、(A)カルボニル基含有共重合体樹脂相互間、
(B)樹脂水性分散液を構成する共重合体樹脂相互間、
及び両樹脂(A)と(B)との相互間で複雑な架橋結合
を形成することができるから、架橋皮膜の物性はさらに
向上する。前記した特に好ましい(B)樹脂水性分散液
の具体例は、たとえば特公昭58−20991号公報、
特公昭61−6861号公報、特開昭57−3850号
公報及び特開昭58−96643号公報等に記載されて
いて公知である。
【0034】本発明における(A)カルボニル基含有共
重合体樹脂と、(B)樹脂水性分散液との混合比は、任
意でありうるが、(A)/(B)の固形分重量比で好ま
しくは0.003〜4.0、より好ましくは0.1〜
1.0である。(A)カルボニル基含有共重合体樹脂の
割合が少なすぎると、皮膜の基材に対する密着性、平滑
性の改善効果が充分に得られなくなるし、その割合が多
すぎると、皮膜の耐水性が低下する。そして、後者の場
合の皮膜の耐水性の低下原因は、相対的に耐水性に劣る
(A)カルボニル基含有共重合体樹脂の割合が増加した
ことによる直接的な影響と、(A)カルボニル基含有共
重合体樹脂の割合の増加によって皮膜内部への水の浸入
を有効に阻止できなくなることによって、架橋結合の水
による解裂反応が進行しやすくなることの間接的な影響
とが、相乗的に作用するため、と推測される。
【0035】(A)カルボニル基含有共重合体樹脂と
(B)樹脂水性分散液との配合方法は、特に制限されな
い。たとえば溶液重合して得られた(A)カルボニル基
含有共重合体樹脂を含む有機溶剤溶液に、アルカリ水溶
液を添加したのち、溶剤を留去してから、(B)樹脂水
性分散液を加えてもよいし、溶剤を留去せずに加えても
よい。また、(A)カルボニル基含有共重合体樹脂を乳
化重合によって得た場合には、アルカリ及び/又は極性
有機溶剤をその(A)カルボニル基含有共重合体樹脂の
水性分散液に加えて可溶化させてから、(B)樹脂水性
分散液を加えてもよい。また、(A)カルボニル基含有
共重合体樹脂と(B)樹脂水性分散液とを混合してから
アルカリ及び/又は極性有機溶剤を加えてもよい。
【0036】次に、本発明で用いられる(C)分子中に
少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導
体としては、たとえば2〜10個、特に4〜6個の炭素
原子を有するジカルボン酸ジヒドラジド(たとえばシユ
ウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジ
ヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒ
ドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒド
ラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジ
ド)、2〜4個の炭素原子を有する脂肪族水溶性ジヒド
ラジン(たとえばエチレン−1,2−ジヒドラジン、プ
ロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−
ジヒドラジンなど)があげられる。
【0037】また、一般式
【0038】
【化2】
【0039】〔式中、Xは水素原子又はカルボキシル基
であり、Yは水素原子又はメチル基であり、Aはアクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル又は無水マレイン酸の各単位であ
り、Bはアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル又は無水マレイン酸
と共重合可能な単量体の単位である。また、k、m及び
nは下記の各式 2モル%≦k≦100モル% 0モル%≦(m+n)≦98モル% (k+m+n)=100モル% を満足する数を示す。〕で表わされるポリマーも、その
ヒドラジン誘導体として使用できる。かかるポリマー
は、たとえば特開昭55−6535号公報に詳述されて
いる。
【0040】(C)ヒドラジン誘導体の配合割合は、
(A)カルボニル基含有共重合体樹脂及び(B)樹脂水
性分散液に含まれるカルボニル基と(C)ヒドラジノ基
との比が、(>C=O)/(−NHNH2 )モル比で通
常、0.2〜5.0、好ましくは0.3〜2.0になる
割合である。(C)ヒドラジン誘導体の割合が少なすぎ
ると、樹脂相互間の架橋が不充分なために耐水性や耐溶
剤性が低下してくる。また、その割合が多すぎても、そ
れに見合うだけの耐水性や耐溶剤性の向上効果が得られ
ないばかりでなく、皮膜が不透明で、かつもろくなりや
すくなる。
【0041】次に、本発明の水性架橋性樹脂組成物の調
製に用いられる(D)アルド基若しくはケト基を含有す
る沸点が200℃以下の低分子カルボニル化合物とは、
アルド基若しくはケト基を含有し、したがってそのアル
ド基若しくはケト基にもとづくカルボニル基を含有する
沸点が200℃以下の低分子カルボニル化合物、すなわ
ち沸点200℃以下のアルデヒド類又はケトン類である
が、その沸点は120℃以下であるのが好ましく、さら
に100℃以下であるのがより好ましい。
【0042】そのアルデヒド類又はケトン類の具体例と
しては、たとえばホルムアルデヒド(沸点−21℃)、
アセトアルデヒド(同21℃)、プロピオンアルデヒド
(同49℃)、ブチルアルデヒド(同75℃)、バレル
アルデヒド(同103℃)、イソバレルアルデヒド(同
93℃)、ピバリンアルデヒド(同75℃)、カプロン
アルデヒド(同131℃)、ヘプトアルデヒド(同15
3℃)、グリオキザール(同51℃)、スクシンジアル
デヒド(同170℃)、アクロレイン(同52℃)、プ
ロピオールアルデヒド(同60℃)、クロトンアルデヒ
ド(同105℃)、アセトン(同56℃)、エチルメチ
ルケトン(同80℃)、メチルプロピルケトン(同10
2℃)、イソプロピルメチルケトン(同95℃)、ブチ
ルメチルケトン(同127℃)、イソブチルメチルケト
ン(同117℃)、ピナコロン(同106℃)、ジエチ
ルケトン(同102℃)、ブチロン(同144℃)、ジ
イソプロピルケトン(同124℃)、メチルビニルケト
ン(同81℃)、アセトイン(同148℃)などがあげ
られる。これらのアルデヒド類又はケトン類は1種類を
用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0043】本発明における(D)低分子カルボニル化
合物(すなわち前記のアルデヒド類又はケトン類)の使
用量は、ヒドラジン誘導体のヒドラジノ基に対するカル
ボニル基の比が、(>C=O)/(−NHNH2 )モル
比で0.1〜20、好ましくは0.2〜5の範囲であ
り、樹脂組成物の所望の効果(貯蔵安定性及び光沢性等
の向上効果)を考慮して適宜に選定される。その使用割
合が少ないと充分な効果が得られなくなるし、多すぎて
もそれに見合う効果の向上が得られないばかりでなく、
かえって皮膜の実際の架橋時の架橋の障害となる。
【0044】ここで、(D)低分子カルボニル化合物の
作用効果について詳しく説明すると、一般に、カルボニ
ル基とヒドラジノ基間の縮合反応、すなわち(A)カル
ボニル基含有共重合体樹脂に、(C)ヒドラジン誘導体
を配合した水性樹脂組成物におけるポリマー間のヒドラ
ジン誘導体による架橋反応は、水性樹脂組成物の貯蔵
中、又は皮膜の乾燥前の水が多量に存在する状態では、
室温でも急速には進行しないとされている。しかしなが
ら、実際には、水によるその架橋反応を阻害する作用は
不充分であり、前記の(A)成分と(C)成分を配合し
た水性樹脂組成物は、その調製後数日以内にゲル化して
使用不能になることがしばしば起きる。
【0045】しかるに、本発明の水性架橋性樹脂組成物
は、前記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配
合したものに、さらに(D)成分としてのアルド基若し
くはケト基を含有する沸点が200℃以下、好ましくは
120℃以下、より好ましくは100℃以下の低分子カ
ルボニル化合物、すなわち比較的低分子量のアルデヒド
類及び/又はケトン類が配合されているから、その樹脂
組成物の貯蔵中や乾燥前の皮膜のような多量の水が存在
する状態の下では、この配合された低分子量アルデヒド
類やケトン類が、ヒドラジン誘導体のヒドラジノ基と反
応して、ヒドラジノ基をブロツクするので、ポリマー間
の架橋反応を効果的に阻止し、樹脂組成物のゲル化を停
止させるか、ゲル化時間を延長させることができるので
ある。本発明の水性架橋性樹脂組成物が貯蔵安定性に優
れているのは、このような(D)成分としての低分子量
アルデヒド類やケトン類の作用によるのである。しか
も、本発明の水性架橋性樹脂組成物は、これを基材等に
塗布したような場合には、低分子量アルデヒド類やケト
ン類が水の蒸発とともに蒸発・揮散してしまうので、乾
燥後の皮膜は本来のポリマー間の架橋反応を起して容易
に架橋・硬化する。
【0046】また、本発明の水性架橋性樹脂組成物の皮
膜は平滑性、光沢性に優れているが、これは次のような
理由によると推測される。
【0047】一般に、樹脂水性分散液を主成分とするコ
ーテイング剤は、それを塗布して皮膜化させるにはポリ
マー粒子の変形と粒子間の融着を起こさせる必要があ
る。そして、皮膜化した表面の平滑性や光沢性は、ミク
ロ的な平滑さに大きく影響されるので、平滑性や光沢性
に優れた皮膜を形成させるには、変形しやすい樹脂粒子
を選択することのほかに、樹脂粒子の変形しやすい皮膜
形成条件を与えてやることも重要である。たとえば、樹
脂水性分散液の皮膜の乾燥中に急速に架橋反応が進行す
ると、その架橋反応により粒子が充分に変形して平滑な
表面状態が形成される前に粒子が融着・硬化してしま
い、平滑性及び光沢に劣る皮膜が得られる。
【0048】これに対し、本発明の水性架橋性樹脂組成
物には、(D)成分としてのアルデヒド類やケトン類が
配合されていて、これらが(C)成分としてのヒドラジ
ン誘導体のヒドラジノ基をブロツクしているから、ポリ
マー分子間の架橋反応の進行を効果的に遅らせることが
でき、ひいては粒子の変形が充分に行なわれたのちに架
橋・硬化を行なわせることができるようになるので、平
滑性及び光沢性に優れた皮膜を形成することができる、
と推測される。
【0049】そして、本発明で用いる(D)成分として
のアルデヒド類やケトン類は、皮膜の乾燥時に水と共
に、好ましくは水よりも早く蒸発・揮散するものである
方が、換言すればできるだけ低沸点のものである方が、
乾燥後の皮膜に与える悪影響が少ないので好ましい。し
かし、その反面において、あまり低沸点のアルデヒド類
やケトン類は、臭気や毒性の点において問題がある。ま
た、貯蔵中のゲル化を抑制する効果が、その原因が不明
であるが、親水性の高いアルデヒド類やケトン類の方が
優れていることは、本発明者らによって確認された。た
とえば、ホルムアルデヒドはゲル化の抑制に対して最も
優れた効果を示すが、逆に皮膜の乾燥後の架橋反応を阻
害しやすいことも判明した。これらの諸事情を総合して
判断すると、(D)成分としてのアルデヒド類やケトン
類のうちでも最も好ましいものは、アセトン及びメチル
エチルケトンである。
【0050】上記した(A)成分、(B)成分、(C)
成分及び(D)成分を配合して得られる本発明の水性架
橋性樹脂組成物は、アルカリ及び/又は極性有機溶剤を
添加することにより、(A)成分を構成する樹脂分の可
溶化率が5重量%以上になるように可溶化処理される
が、このことは既に詳述した。
【0051】本発明の水性架橋性樹脂組成物は、一般に
乳液状又は半透明状の外観を示すものであるが、この樹
脂組成物には、必要に応じて塗料、粘着剤、繊維加工
剤、接着剤等において一般的に配合することが知られて
いるような顔料、マイカ粉、バライト、酸化チタンなど
の顔料;ヘキサメタリン酸のような縮合リン酸のカリウ
ム、ナトリウム若しくはアンモニウム塩;ポリアクリル
酸のナトリウム若しくはアンモニウム塩、通常の陰イオ
ン性若しくは非イオン性界面活性剤;メチルセルロー
ス、エチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの分散
剤;増粘剤、粘着性付与剤、難燃剤等の各種の添加剤を
配合することができる。
【0052】
【実施例】以下に、共重合体樹脂液製造例、樹脂水性分
散液製造例、実施例及び比較例をあげて詳述する。これ
らの例に記載された「部」及び「%」は、いずれも重量
基準による。
【0053】共重合体樹脂液製造例1 温度調節器、いかり形攪拌機、還流冷却器、供給容器、
温度計及び窒素導入管を備えた反応器内に下記のものを
装入した。
【0054】 水 50部 エチレンオキサイド20モル付加p−ノニルフエノールの 硫酸半エステルナトリウム塩(「アニオン性乳化剤A」と いう。)の35%水溶液 7.5 部 エチレンオキサイド25モル付加p−ノニルフエノール( 「非イオン性乳化剤B」という。)の20%水溶液 3部
【0055】別に、供給物Iとして下記の混合物を用意
した。 水 50部 アニオン性乳化剤Aの35%水溶液 3部 ノニオン性乳化剤Bの20%水溶液 5部 アクリル酸ブチル 59部 ジアセトンアクリルアミド 5部 アクリル酸 4部 メタクリル酸 2部 スチレン 30部 t−ドデシルメルカプタン 0.4 部
【0056】前記の反応器内を窒素ガス置換したのち、
前記の供給物Iの10%を加え、混合物を90℃に加熱
したのち、別に用意した過硫酸カリウム0.6部を水2
0部に溶解した開始剤溶液の10%を反応器に注入して
重合を開始した。その重合開始後、3〜3.5時間かけ
て前記の供給物Iの残りと、前記の開始剤溶液の残りを
一様に並行して徐々に供給した。その供給終了後、なお
1.5時間90℃に保って乳化重合を行なわせ、共重合
体樹脂水性分散液を得た。
【0057】表1に、この重合反応の主要なデータ及び
得られた生成共重合体樹脂液の固形分含有量をまとめて
記載した。
【0058】共重合体樹脂液製造例2〜7 単量体の種類と量、及びt−ドデシルメルカプタンの量
を表1及び表2に示すように変更し、そのほかは前記の
製造例1の方法に準じて重合を行なわせた。得られた生
成共重合体樹脂分散液の固形分含有量は表1及び表2に
それぞれ示すとおりであった。
【0059】
【表1】
【0060】共重合体樹脂液製造例8 前記の製造例1と同様の反応器内にイソプロパノール1
30部を装入し、供給物として下記の混合物を使用し、
反応温度を80℃にした以外は、製造例1と同様に反応
させて、共重合体樹脂液を得た。表2に、この重合反応
のデータ及び得られた生成共重合体樹脂液の固形分含有
量をまとめて記載した。
【0061】 供給物 イソプロパノール 110部 アクリル酸 3部 ジアセトンアクリルアミド 20部 アクリル酸エチル 60部 アクリル酸ブチル 17部 アゾビスイソブチロニトリル 1部
【0062】共重合体樹脂液製造例9〜11 単量体の種類及び使用量を表2に示すように変更し、そ
のほかは前記の共重合体樹脂液製造例7と同様にして重
合を行なわせ共重合体樹脂液を製造した。表2に、この
重合反応の主要なデータ及び生成共重合体樹脂液の固形
分含有量をまとめて記載した。
【0063】
【表2】
【0064】樹脂水性分散液製造例イ〜ハ 前記の共重合体樹脂液製造例1におけると同様の反応器
を使用し、単量体の種類と使用量を表3に示すように変
更し、そのほかは同製造例1の方法に準じて重合させ
た。表3にこの重合反応の主要なデータ及び生成樹脂水
性分散液の固形分含有量をまとめて記載した。
【0065】
【表3】
【0066】実施例1 共重合体樹脂製造例1で得られた共重合体樹脂液50部
に、10%NaOH水溶液を加えて、同樹脂液をPH
8.5に調整したのち、ブチルセロソルブ5部を加えて
可溶化処理をした。この場合の前記の共重合体樹脂の可
溶化率は10重量%であった。
【0067】次いで、この可溶化処理をした共重合体樹
脂液に、樹脂水性分散液製造例イで得られた樹脂水性分
散液25部、アジピン酸ジヒドラジドの20%水溶液
2.9部、及びアセトン0.4部を混合して水性架橋性
樹脂組成物を得た。
【0068】この樹脂組成物の貯蔵安定性と、その皮膜
の耐溶剤性、基材に対する密着性及び平滑性を試験し
た。その結果は表4に示すとおりであった。また、表4
にはその樹脂組成物の主要なデータをまとめて記載し
た。
【0069】実施例2〜11 比較例1〜7 表4〜9、及びその注記に記載したように、樹脂組成物
の製造条件を変更し、そのほかは実施例1の方法に準じ
て各種の水性架橋性樹脂組成物や水性非架橋性樹脂組成
物(比較例の場合)を製造した。得られた各樹脂組成物
の貯蔵安定性、その皮膜の耐溶剤性、基材に対する密着
性及び平滑性を試験した結果は表4〜表9に示すとおり
であった。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】表4〜表9の注: *1・・・ 溶液重合法で製造された共重合体樹脂液(製造
例8〜11で製造された共重合体樹脂液)を使用した実
施例3、実施例5、実施例7及び実施例9では、実施例
1におけるNaOH水溶液及びブチルセロソルブの添加
による可溶化処理に代えて、10%NaOH水溶液を添
加してPH8.5とし、次いで水300部を加えて水性
化したのち、得られた水性樹脂組成物をロータリー・エ
バポレーターによってイソプロパノールと水の混合物3
20部を留去する方法を用いた。
【0077】*2・・・ ADH:アジピン酸ジヒドラジド
の20%水溶液 *3・・・ SDH:セバシン酸ジヒドラジドの20%水溶
液 *4・・・ 貯蔵安定性:水性樹脂組成物を20℃で放置
し、その粘度変化を観察し、下記の基準により評価し
た。 A 30日以上粘度変化が殆んど認められない B 30日後には増粘が認められる C 30日後にはゲル化する D 30日以前にゲル化する
【0078】*5・・・ 耐溶剤性:水性樹脂組成物をガラ
ス板上で乾燥後の膜厚が500μmになるように20℃
で1週間で成膜させた。得られた皮膜を5cm×5cm
角に打ち抜いて試験片を作成した。この試験片をトルエ
ンに1日間浸漬したのち取出し、皮膜の辺膨張率(%)
を測定した。
【0079】*6・・・ 基材密着性:PET板(ポリエチ
レンテレフタレート板)、及びフレキシブル板(表4〜
表9では「フレキ板」と略記した。)に厚さ20μmの
塗膜が得られるように水性樹脂組成物を塗布し、20℃
で1週間乾燥させて試験片を作成した。得られた乾燥後
の試験片、及び乾燥後の試験片を20℃の水中に24時
間浸漬した後取出した試験片について、その各試験片の
塗膜にゴバン目状の切断線を施してから、粘着テープ
(ニチバン株式会社登録商標 セロテープ)を用いて剥
離試験を行ない、下記の基準にしたがって評価した。 A 全く剥離せず B 一部剥離するが、80%以上剥離せずに残る C 50%以上剥離する D 全部剥離する
【0080】*7・・・ 平滑性:水性樹脂組成物をガラス
板上にハケで乾燥後の膜厚が100μmになるように塗
布して20℃の空気中で放置して乾燥させた塗膜のハケ
目などを目視により調べ、下記の基準にしたがって評価
した。 A 平滑性が極めてよい B 平滑性が若干劣る C 平滑性が劣る *8・・・ 沸点が200℃以上
【0081】表4〜表9から明らかなように、実施例の
水性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、かつ皮膜の耐溶剤
性、基材密着性及び平滑性が総合的にみて優れている。
これに対し、比較例の水性樹脂組成物は、それらの多く
の特性において著しく劣る。
【0082】
【発明の効果】本発明の水性架橋性樹脂組成物は、貯蔵
安定性に優れ、かつ耐溶剤性、基材密着性及び平滑性に
優れた皮膜を与えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 義則 三重県四日市市川尻町1000番地 三菱油化 バーデイツシエ株式会社内 (72)発明者 栗田 武志 三重県四日市市川尻町1000番地 三菱油化 バーデイツシエ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルド基若しくはケト基を含有す
    るカルボニル基含有共重合体樹脂、(B)樹脂水性分散
    液、(C)分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基(−
    NHNH2 )を有するヒドラジン誘導体、並びに(D)
    アルド基若しくはケト基を含有する沸点が200℃以下
    の低分子カルボニル化合物を混合してなり、かつアルカ
    リ及び/又は極性有機溶剤の添加により前記の(A)カ
    ルボニル基含有共重合体樹脂が可溶化率が5重量%以上
    になるように可溶化処理されていることを特徴とする水
    性架橋性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分を構成するカルボニル基含有
    共重合体樹脂が、(a)分子中に少なくとも1個のアル
    ド基若しくはケト基及び1個の重合性二重結合を有する
    カルボニル基含有不飽和単量体0.5重量%以上、
    (b)エチレン性不飽和カルボン酸0.5重量%以上、
    (c)前記の(a)カルボニル基含有不飽和単量体及び
    (b)エチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な単量
    体であって、20℃における水中への溶解度が8g/1
    00ml水以下である不飽和単量体30〜99重量%、
    並びに(d)前記の(a)〜(c)の各単量体以外の他
    の単量体0〜69重量%の共重合によって得られたカル
    ボニル基含有共重合体樹脂である請求項1に記載の水性
    架橋性樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0989163A1 (en) * 1998-09-25 2000-03-29 Akzo Nobel N.V. Aqueous cross-linkable polymer composition for use in coatings
JP2006008876A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Kansai Paint Co Ltd 硬化型水性樹脂組成物
WO2010143540A1 (ja) * 2009-06-10 2010-12-16 協立化学産業株式会社 ヒドラジド化合物及びその製造方法、並びにそれを用いた硬化剤、樹脂組成物及び硬化体

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