JP2000191881A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2000191881A
JP2000191881A JP10371945A JP37194598A JP2000191881A JP 2000191881 A JP2000191881 A JP 2000191881A JP 10371945 A JP10371945 A JP 10371945A JP 37194598 A JP37194598 A JP 37194598A JP 2000191881 A JP2000191881 A JP 2000191881A
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vinyl
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meth
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JP10371945A
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English (en)
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Shigeru Murata
繁 村田
Yoshio Nakano
芳夫 中野
Toshio Yamauchi
俊男 山内
Yoshihisa Tomotaki
善久 友滝
Takashi Kitajima
孝志 北島
Tomohiro Furuichi
智広 古市
Keiichiro Ishikawa
圭一郎 石川
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Otsuka Chemical Co Ltd
KH Neochem Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
Kyowa Yuka Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温で架橋可能であり、架橋効率が高く、耐
溶剤性および耐水性に優れた塗膜を形成できる樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 少なくとも1個のカルボニル基またはア
ルデヒド基を含有するビニル系単量体(a)と、これとは
別の共重合可能なビニル系単量体(b)とを共重合させて
なるビニル系共重合体と、一般式(1)で表されるヒドラ
ジド誘導体またはそのアミノ基が低分子カルボニル化合
物で保護された誘導体とを含有してなる樹脂組成物。 【化1】 [式中R1,R2,R4,R5は水素原子,低級アルキル,脂環
式アルキル,アリール,アラルキル、R3は水素原子,低級
アルキル,脂環式アルキル,アリール,アラルキル,アラル
キルオキシカルボニル,一般式(2)で表される残基、R6,
7は低級アルキレン。一般式(2)中R8,R9は水素原子,
低級アルキル,脂環式アルキル,アリール,アラルキル、
pは0〜8の整数]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は架橋効率、耐溶剤性
もしくは耐水性に優れた塗料、接着剤またはインキ用途
等の樹脂として有用な樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボニル基を有するビニル系共重合体
とポリヒドラジドからなる組成物は、常温架橋型の樹脂
として、塗料、接着剤等の用途に有用であるのが知られ
ている。
【0003】例えば、特公昭58−20991号公報
は、カルボニル基を有する単量体を共重合して得られる
カルボニル基含有エマルションに、分子中に少なくとも
2個のヒドラジン残基を有する化合物を配合してなる水
性樹脂エマルションを開示している。該エマルション
は、常温で架橋可能であり一液型の塗料として用いるこ
とができるという優れた特性を有している。
【0004】しかしながら、該公報の実施例に開示され
ているようなアジピン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒド
ラジドを使用した水性樹脂エマルションにより形成され
る塗膜は、架橋反応の進行が不十分であり、耐溶剤性あ
るいは耐水性に劣り、さらにそれに起因して耐候性が劣
るため、用途が限定されている。また、特開昭60−3
8468号公報は、α,β−モノオレフィン性不飽和ア
ルデヒドおよび/またはケトンを含有するオレフィン性
不飽和モノマーの共重合物およびポリヒドラジドと30
〜200℃の沸点を有するモノアルデヒドおよび/また
はケトンの反応混合物からなる組成物を開示している。
しかしながら、該公報の実施例で開示された(2−エチ
ルヘキシル)−マロン酸ジ(イソプロピリデン)−ヒド
ラジド等を使用した組成物により形成される塗膜は、架
橋反応の進行が不十分であり、耐溶剤性あるいは耐水性
に劣り、さらにそれに起因して耐候性が劣る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記事情に鑑
みてなされたもので、常温で架橋可能であり、架橋効率
が高く、耐溶剤性および耐水性に優れた塗膜が得られる
樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題は、少なくとも
1個のカルボニル基またはアルデヒド基を含有するビニ
ル系単量体(a)と、これとは別の共重合可能なビニル
系単量体(b)とを共重合させてなるビニル系共重合体
と、下記一般式(1)で表されるヒドラジド誘導体または
そのアミノ基が低分子カルボニル化合物で保護された誘
導体とを含有してなる樹脂組成物によって解決できる。
【化3】 [式中、R1、R2、R4およびR5は、同一または異なっ
て、水素原子、低級アルキル、脂環式アルキル、置換ま
たは非置換のアリール、あるいは置換または非置換のア
ラルキルを表し、R3は、水素原子、低級アルキル、脂
環式アルキル、置換または非置換のアリール、置換また
は非置換のアラルキル、アラルキルオキシカルボニル、
あるいは下記一般式(2)で表される残基を表わし、R6
およびR7は、同一または異なって、低級アルキレンを
表す]
【化4】 (式中、R8およびR9は、同一または異なって、水素原
子、低級アルキル、脂環式アルキル、置換または非置換
のアリール、あるいは置換または非置換のアラルキルを
表し、pは、0から8の整数を表す)
【0007】また、本発明の樹脂組成物は塗料として好
適に用いることができる。また、本発明は、該樹脂組成
物を硬化させてなる硬化物も提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において%は、特にことわりのない限り、重量
%を意味する。また、(メタ)アクリレートという表記
は、メタクリレートおよびアクリレートを意味する。ま
た、同様に、各(メタ)アクリル酸誘導体もメタクリル
酸誘導体およびアクリル酸誘導体を意味する。
【0009】本発明の組成物の構成成分であるビニル系
共重合体の製造には、少なくとも1個のカルボニル基ま
たはアルデヒド基を含有するビニル系単量体(a)[以
下、単量体(a)ということもある]が用いられる。こ
の単量体(a)は、重合体中に導入することにより架橋
を可能にする成分であり、少なくとも1個のカルボニル
基またはアルデヒド基および重合可能な二重結合を有す
る単量体であり、そのカルボニル基の部分がカルボキシ
ル基、カルバモイル基、およびエステル基以外であるも
のが好ましい。単量体(a)の具体例としては、アクロ
レイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミル
スチロール、ビニルメチルケトン、ビニルイソブチルケ
トン、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ジ
アセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メ
タ)アクリレート、ブタンジオール−1−(メタ)アク
リレート−4−アセチルアセテート、(メタ)アクリル
アミドメチルアニスアルデヒド、および下記一般式(3)
で表される(メタ)アクリロイルオキシプロパナール誘
導体等があげられる。
【化5】 (式中、R10、R11、R12およびR13は、同一または異
なって、水素原子または低級アルキルを表す)
【0010】上記一般式(3)中の各基の定義において、
低級アルキルとしては、炭素数1〜8の直鎖または分岐
状のアルキルがあげられ、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル、オクチル等があげられる。特に、R11、R12およ
びR13が炭素数1〜4のアルキルであることが好まし
い。
【0011】前記の単量体(a)の中では、アクロレイ
ン、ジアセトンアクリルアミドまたはビニルメチルケト
ンが好ましい。また、単量体(a)は、一種類だけでな
く、二種類以上を使用することもでき、この場合に得ら
れるビニル系共重合体も、本発明の組成物の構成成分で
あるビニル系共重合体の概念に含まれる。
【0012】本発明で用いられる共重合可能なビニル系
単量体(b)[以下、単量体(b)ということもある]
としては、分子内に少なくとも1個の重合可能なビニル
基を有するものの中から目的に応じて任意に選ぶことが
できる。単量体(b)の具体例としては、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−
ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アク
リレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロ
ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜1
8のアルコールと(メタ)アクリル酸からなる(メタ)
アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物
類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)ア
クリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレート類、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキ
ルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、トリフルオ
ロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピ
ル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオ
ロプロピルメタクリレート、β−(パーフルオロオクチ
ル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有ビニル
単量体、1−[3−(メタ)アクリロキシプロピル]−
1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−
(メタ)アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロ
キサン)シラン、AK−5[シリコーンマクロモノマ
ー、東亜合成化学工業(株)製]等のシロキサン含有ビ
ニル単量体、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチル
ジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシ
プロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキ
シプロピルジエトキシシラン等の加水分解性シリル基含
有ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ク
ロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アマニ油
脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸等の重合
性二重結合含有カルボン酸とエポキシ樹脂もしくは化合
物との反応により得られるビニル単量体等のエポキシ基
含有ビニル単量体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエー
テル類、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アマ
ニ油脂肪酸、トール油脂肪酸もしくは脱水ひまし油脂肪
酸等の多塩基性不飽和カルボン酸またはそれらの一価も
しくは多価アルコールのエステル、ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリ
ロニトリル、マクロモノマーAS−6、AN−6、AA
−6、AB−6[東亜合成化学工業(株)製]等の公知
のビニル系単量体があげられる。中でも、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン
酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコ
ン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレー
ト等のグリコールジ(メタ)アクリレート類、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ
アルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)
アクリレート等のエポキシ基含有ビニル単量体、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエト
キシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジエト
キシシラン等の加水分解性シリル基含有ビニル単量体等
を用いた場合、得られるビニル系共重合体は、必要に応
じて、他の重合体と結合させることが可能であり、他の
重合体と結合したビニル系共重合体も本発明の組成物の
構成成分であるビニル系共重合体の概念に含まれる。他
の重合体としては、ビニル系共重合体と結合が可能であ
る官能基を有していれば特に限定されない。他の重合体
の例としては、例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル
樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、ナイロン樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルアミン、ポリブタジエン樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、水溶性セルロース
エーテル等があげられる。該重合体としては、重量平均
分子量500〜200,000のものが好ましく使用さ
れる。また、結合させる他の重合体として水溶性をもつ
ものを用いることにより、ビニル系共重合体の水溶性を
調節することも可能である。他の重合体に水溶性を付与
させる方法としては、後述のビニル系共重合体に水溶性
を付与させる方法等を適応させることも可能である。ま
た、ビニル系単量体(b)に酸性化合物または塩基性化
合物を導入した単量体[単量体(b−1)と表現するこ
ともある]を使用することにより、得られる重合体に水
溶性を付与させることが可能である。この場合、酸性化
合物としては、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機
リン酸等があげられ、塩基性化合物としては一級、二
級、三級アミン等があげられる。さらに、この導入され
た酸性基または塩基性基を中和することにより、重合体
に水溶性が付与される。この場合の中和剤としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の
無機塩基、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン類、ジメ
チルエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルコ
ールアミン類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン等の多価アミン、モルホリン、ピリジン等の含N複素
環化合物等の塩基性化合物または、塩酸、硫酸等の無機
酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の有機
酸またはフェノール等の酸性化合物をあげることができ
る。単量体(b−1)の使用量は、他の単量体の種類や
使用量等により変化するため特には限定されないが、通
常、全単量体中、0.005〜3.0ミリモル/g、好
ましくは、0.01〜2.0ミリモル/gである。ま
た、単量体(b)は、一種類だけでなく、二種類以上を
使用することもでき、この場合に得られるビニル系共重
合体も、本発明の組成物の構成成分であるビニル系共重
合体の概念に含まれる。
【0013】本発明の樹脂組成物は、水を含んでいるこ
とが好ましく、共重合体が水性分散体であるか、水また
は水と溶剤の混合物に溶解している状態(水溶性樹脂)
で存在しているのが好ましい。本発明の構成成分である
ビニル系共重合体の原料において、全ビニル系単量体
中、単量体(a)含量が0.1〜30%であり、単量体
(b)含量が99.9〜70%であることが好ましく、
さらには単量体(a)含量が1〜10%であり、単量体
(b)含量が99〜90%であるのがより好ましい。単
量体(a)含量が0.1%未満であると架橋効率、耐溶
剤性または耐水性が不十分であり、30重量%を超える
と塗膜が脆くなる。
【0014】本発明においてビニル系共重合体は、懸濁
重合法、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等の公知
の重合方法で単量体(a)と単量体(b)とを共重合さ
せることにより製造できるが、中でも乳化重合法を用い
ると共重合体をそのまま水性分散体として使用すること
ができるので好ましい。乳化重合法としては、公知の方
法を用いることができ、通常、乳化剤および重合開始剤
を用いる方法で行う。また、公知の多層乳化重合分散体
の層間の単量体組成を変化させ、コア−シェル型分散体
を得る方法、あるいは徐々に単量体組成を変化させるパ
ワーフィード型重合を用いることもできる。
【0015】乳化剤としては、アニオン性、カチオン性
または非イオン性のもの、または高分子乳化剤があげら
れる。その具体例としては、例えば、高級アルコール硫
酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチ
レンアルキルフェノールエーテル硫酸塩等のアニオン性
界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエ
ーテル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロ
ックポリマー、ソルビタン誘導体等の非イオン性界面活
性剤等があげられるが、これに限定されるものではな
い。また、高分子乳化剤としては、ポリビニルアルコー
ルやヒドロキシエチルセルロース等があげられる。乳化
剤の使用量は、単量体の種類等の条件により適宜設定す
ることができ特に限定されないが、通常、全ビニル系単
量体の使用量に対して0.1〜10%使用される。重合
開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ベンゾイルパーオ
キサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−
ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ系化合物等が用いられる。
重合開始剤は、通常、全ビニル系単量体の使用量に対し
て、0.1〜5.0モル%使用される。上記の開始剤に
還元作用を有する金属イオン、亜硫酸ナトリウム、メル
カプタン等の還元成分を組み合わせたレドックス型開始
剤が好ましい。また、重合に際しては、必要に応じて、
n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカ
プタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を
使用することもできる。重合温度は特に制限はないが、
通常、40〜100℃、好ましくは60〜90℃であ
る。単量体の反応液への供給方法は滴下等の通常の方法
を使用することができる。
【0016】乳化重合により得られるビニル系共重合体
の分散液は、分散液に安定性を付与するために重合終了
後、塩基によりpHを6.5〜9.5にすることが好ま
しい。このような塩基としては、例えば、アンモニア、
トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、
アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミ
ノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチル
アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2
−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパ
ノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−
ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミ
ノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジ
ルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等があげられる。
【0017】また、ビニル系共重合体を溶液重合法によ
り製造する場合の溶剤は、本発明で用いる単量体および
重合体を溶解するものでいずれも用いることができる。
この溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール
等のアルコール類、エチルセロソルブ、セロソルブアセ
テート、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、プロ
ピレングリコールメチルエーテル等のグリコール類、酢
酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類があげ
られる。溶液重合法における反応温度は、通常、40℃
〜溶媒の沸点である。溶液重合法により製造する場合
は、前記と同様な重合開始剤または前記と同様な連鎖移
動剤を用いてもよい。
【0018】本発明の樹脂組成物において、ビニル系共
重合体が水性分散体である場合は、ビニル系共重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、−10〜50℃が好まし
く、0〜35℃であるのがより好ましい。Tgが−10
℃未満の場合には、塗膜の硬度や耐ブロッキング性が低
下する。Tgが50℃を超える場合には基材に対する密
着性が低下する。ビニル系共重合体のTgは、ビニル系
単量体の種類、比率を変えることにより調整することが
できる。ビニル系共重合体の重量平均分子量は10,0
00〜2,000,000であることが好ましく、8
0,000〜1,500,000であることがより好ま
しい。分子量が10,000未満では塗膜の強度、耐衝
撃性等の物性が低下する。逆に、分子量が2,000,
000を超える場合には造膜性が低下する。ビニル系共
重合体の重量平均分子量は、通常、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーにより測定される。
【0019】本発明において、ビニル系共重合体の水性
分散体または水溶性樹脂は、単量体(a)と単量体
(b)とを共重合させるための重合反応後、重合反応液
に必要に応じて、水、溶剤、乳化剤等を添加することに
より得られる。この際、溶剤は、重合体が水溶性樹脂ま
たは水性分散体として安定であればいずれも用いること
ができる。この場合の溶剤としては、前記の溶液重合法
に使用される溶剤と同様のものがあげられる。乳化剤と
しては、前記のアニオン性、カチオン性または非イオン
性のもの、あるいは高分子乳化剤を用いることができ
る。乳化剤は共重合体に対して0.1〜10%使用され
る。本発明において、ビニル系共重合体が水性分散体で
ある場合は、固形分(重合体)を30〜70%を含んで
いることが好ましい。固形分が30%より少ないと塗装
時に十分な膜厚を得ることが難しくなり、また、70%
より多いと粘度が高くなり、操作性が低下する。
【0020】以下、一般式(1)で表されるヒドラジド
誘導体について説明する。一般式(1)および(2)中
の各基の定義において、低級アルキル、アラルキル、お
よびアラルキルオキシカルボニルのアルキル部分として
は、炭素数1〜8の直鎖または分岐状のアルキルがあげ
られ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−
ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が
あげられる。脂環式アルキルとしては、炭素数3〜8の
ものがあげられ、例えば、シクロプロピル、シクロブチ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、シクロオクチル等があげられる。アリール、アラル
キル、およびアラルキルオキシカルボニルのアリール部
分としては、例えば、フェニル、ナフチルまたはアント
リル等があげられる。アリールおよびアラルキルの置換
基としては低級アルキル、ハロゲン原子等があげられ
る。この置換基の低級アルキルとしては前記と同様なも
のがあげられ、またハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素等の各原子があげられる。低級アルキ
レンとしては、炭素数1〜8の直鎖または分岐状のアル
キレンがあげられ、例えば、メチレン、エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレ
ン、オクチレン等があげられる。一般式(1)で表される
ヒドラジド誘導体の中でも、R2およびR5が水素原子で
あるものが好ましく、さらにはR1、R2、R4およびR5
が水素原子であり、R3が水素原子、アラルキル、アラ
ルキルオキシカルボニルまたは一般式(2)で表される残
基のうち、p=0でありR8およびR9がともに水素原子
である基であり、R6およびR7がともに直鎖状のアルキ
レンであるものが好ましく、中でも、R6およびR7がと
もにメチレンであるものがより好ましい。また、一般式
(1)で表されるヒドラジド誘導体は、通常、1種類のも
のを使用するが、2種類以上を混合して使用してもよ
い。一般式(1)で表されるヒドラジド誘導体は、市販
品として購入することも可能であるが、公知の方法によ
り合成して入手することも可能である。例えば、イミノ
ジ酢酸アルキルエステルを原料とし、必要であれば、公
知の方法[実験化学講座第四版、4巻、285頁、19
92年、丸善出版]により、そのイミノ基に所望の置換
基を導入し、N−置換イミノジ酢酸アルキルエステルを
得ることができる。さらに、N−置換または非置換のイ
ミノジ酢酸アルキルエステルとヒドラジン誘導体とを公
知の方法[オーガニック・シンセシス ( Org. Synth.),
IV, 819 (1963) ]により反応させることにより一般式
(1)で表されるヒドラジド誘導体を得ることができ
る。原料であるイミノジ酢酸アルキルエステルは、市販
品として購入することができる。また、該ヒドラジド誘
導体は、本発明の樹脂組成物を一液型の塗料や接着剤に
使用する場合、その貯蔵安定性を向上させるために、そ
のアミノ基が低分子カルボニル化合物で保護された誘導
体として使用してもよい。ただし、本明細書中におい
て、アミノ基とは、ヒドラジド基の末端にあるアミノ基
を意味し、その水素原子がアルキル、アリール、アラル
キル等で置換されたものも含む。該アミノ基が低分子カ
ルボニル化合物で保護された誘導体を使用する場合は、
公知の方法、例えば、特開昭60−38468号公報に
記載された方法に準じて、モノアルデヒドまたはモノケ
トン等のカルボニル化合物と上記のヒドラジド誘導体と
を予め、反応させたものを使用することができる。ま
た、ビニル系共重合体を含む溶液にモノアルデヒドまた
はモノケトンおよびヒドラジド誘導体を添加してもよ
い。また、モノアルデヒドとしては、アセトアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズ
アルデヒド等、モノケトンとしては、アセトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、イソプロピルメチルケ
トン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等の沸点30
〜200℃のものが好ましく使用される。カルボニル化
合物は、通常、ヒドラジド誘導体のアミノ基に対して、
5当量以上使用される。本発明の樹脂組成物は、ビニル
系共重合体、好ましくは、ビニル系共重合体の水溶性樹
脂または水性分散体に上述の一般式(1)で表されるヒド
ラジド誘導体を添加し、混合等することにより得ること
ができる。この場合、添加の順序、方法等は特に限定さ
れない。本発明においてヒドラジド誘導体またはそのア
ミノ基が低分子カルボニル化合物で保護されたヒドラジ
ド誘導体は、そのアミノ基またはイミノ基がビニル系共
重合体中のカルボニル基または/およびアルデヒド基の
総量に対して、0.1〜10当量となる量が使用される
のが好ましく、さらには0.5〜2当量が好ましく、さ
らには0.75〜1.25当量となる量を使用されるの
がより好ましい。カルボニル基または/およびアルデヒ
ド基の総量に対してのアミノ基またはイミノ基の比が
0.1当量より少ないと耐溶剤性、耐水性が低下し、1
0当量より多いと過剰のヒドラジド誘導体が残存する。
本発明の樹脂組成物は、公知の被覆用水性分散体、例え
ば、ウレタンエマルション[例えば、ネオレッツ:アイ
シーアイレジンズ社製、サンキュアー:ビーエフグッド
リッチ社製]、アクリルシリコン系エマルション、フッ
素系エマルション等、または水性アルキッド樹脂、水性
アクリル樹脂、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を
少量成分として含有しても差し支えない。また、それら
の樹脂架橋剤、例えばメラミン樹脂、水溶性イソシアネ
ート等を含有してもよい。
【0021】本発明の樹脂組成物は、通常、室温〜約1
00℃で乾燥させることにより、硬化させることが可能
である。そして、この樹脂組成物により得られた塗膜
は、架橋効率が高く、耐溶剤性、耐水性に優れた性能を
示す。また、アミノ基が低分子カルボニル化合物で保護
されたヒドラジド誘導体を使用する場合は、硬化温度が
20〜200℃、さらには50〜80℃であるのが好ま
しい。本発明の樹脂組成物を塗料として使用する場合
は、有機顔料、無機顔料等の各種着色剤、紫外線吸収
剤、顔料分散剤、レベリング剤、増粘剤等を必要に応じ
て添加して使用することができる。顔料の分散に際して
は、顔料分散剤を用いてペイントシェーカー、ボールミ
ル等で分散してもよいが、市販の分散済みの加工顔料を
使用してもよい。また、本発明の塗料は、ヒドラジド誘
導体を使用する場合は、ビニル系共重合体とヒドラジド
誘導体とからなる二液型塗料として、そのアミノ基が低
分子カルボニル化合物で保護されたヒドラジド誘導体を
使用する場合は、一液型塗料として使用することが好ま
しい。本発明の樹脂組成物を含有してなる塗料は、ビニ
ル系共重合体が水性分散体または水溶性樹脂である場合
は、低粘度であり常用のハケ塗り、スプレー塗装に適用
することができる。また、硬化条件は常温乾燥から加熱
乾燥まで幅広い条件を選ぶことが可能である。被塗物と
しては、金属、木材、プラスチック、無機質素材、コン
クリート、アスファルト等が好ましい。
【0022】
【実施例】以下、具体的な実施例を示して本発明の効果
を明らかにする。 [水性分散体合成例1] ビニル系共重合体の水性分散
体Aの合成 冷却器、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導入管を備え
た反応容器を窒素置換した後、脱イオン水600部、乳
化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩
[商品名:ハイテノール N-8、第一工業製薬(株)製]
12部、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.8部
を加え、撹拌しながら70℃に昇温した。この中にメチ
ルメタクリレート(以下MMAと略記する)167.6
部、ブチルアクリレート(以下BAと略記する)20
2.6部、メタクリル酸(以下MAAと略記する)6.
1部およびジアセトンアクリルアミド(以下DAAMと
略記する)9.3部からなるビニル系単量体の混合物を
3時間かけて滴下した。その後反応器内部の温度を80
℃に上昇させて、さらに2時間反応させた。これを室温
まで冷却し、アンモニアを加えてpHを9.0に調整
し、目的の水性分散体Aを得た。得られたビニル系共重
合体の水性分散体A中の固形分は39.9%であった。
【0023】[水性分散体合成例2] 水性分散体Bの
合成 上記水性分散体合成例1において、滴下するビニル系単
量体の混合物中のMMAの使用量を85.0部として、
さらにスチレン(以下、Stと略記する)を85.0部
加えた以外は同様にして、ビニル系共重合体の水性分散
体Bを得た。この水性分散体B中の固形分は40.0%
であった。
【0024】[水性分散体合成例3] 水性分散体Cの
合成 冷却器、減圧装置、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導
入管を備えた反応容器に溶剤としてブタノール188.
0部を加え、110℃に昇温した。この中にビニル系単
量体としてMMA79.3部、BA189.0部、St
79.3部、MAA6.1部、およびDAAM40.1
部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル7部
からなる混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後3
0分間熟成し、次にアゾビスイソブチロニトリル3部を
30分にわたり徐々に添加した。さらに1時間熟成した
後130℃まで加熱してブタノール177部を揮発させ
た。ついで反応容器内の温度を80℃に冷却し、トリエ
チルアミン7.2部を加え20分間混合した。さらに脱
イオン水560部を加えて均一に混合した。得られた混
合液から50℃、減圧下で溶媒留去を行い、これに水を
100部加えた。得られたビニル系共重合体の水性分散
体Cの固形分は、39.7%であり、pHは8.6であ
った。
【0025】[ヒドラジド誘導体合成例1] イミノジ
酢酸ジヒドラジド(以下IDAHと略記することもあ
る)の合成 冷却器、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導入管を備え
た反応容器にエタノール125mlを入れ、それに80
%ヒドラジン水和物100gを溶解させた。この溶液
に、別途調製した、エタノール95mlにイミノジ酢酸
ジエチルエステル[東京化成工業(株)製]100gを
溶解させた溶液を加えた。加えた際に発熱を生じた。そ
の後、この混合液を窒素気流下で還流しながら20時間
撹拌した。以上の操作の後、蒸留によりエタノールを除
去した。得られた濃縮液を10℃に冷却し、ろ過した後
に常温で真空乾燥することによりイミノジ酢酸ジヒドラ
ジド61gを得た。収率は72%であった。イミノジ酢
酸ジヒドラジドの 1H−NMR測定値を以下に示す。1 H−NMR( DMSO-d6,δppm):3.05( s, 4H), 3.15(
s, 1H), 4.16( s, 4H),9.06( s, 2H)
【0026】[ヒドラジド誘導体合成例2] N−ベン
ジルイミノジ酢酸ジヒドラジド(以下Bn−IDAHと
略記することもある)の合成 冷却器、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導入管を備え
た反応容器にエタノール190mlを入れ、それに80
%ヒドラジン水和物68gを溶解させた。この溶液に、
別途調製した、エタノール130mlに別途合成したN
−ベンジルイミノジ酢酸ジエチルエステル100gを溶
解させた溶液を加えた。加えた際に発熱を生じた。その
後、この混合液を窒素気流下で還流しながら20時間撹
拌した。以上の操作の後、蒸留によりエタノールを除去
した。得られた濃縮液を10℃に冷却し、ろ過した後に
常温で真空乾燥することによりN−ベンジルイミノジ酢
酸ジヒドラジド61gを得た。収率は94%であった。
N−ベンジルイミノジ酢酸ジヒドラジドの1H−NMR
測定値を以下に示す。1 H−NMR( DMSO-d6,δppm):3.03( s, 4H), 4.21(
s, 4H), 7.31( m, 5H),9.26( s, 2H)
【0027】なお、原料として用いたN−ベンジルイミ
ノジ酢酸ジエチルエステルの合成は、次のように行っ
た。冷却器、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導入管を
備えた反応容器にエタノール320mlを入れ、それに
トリエチルアミン68gとイミノジ酢酸ジエチルエステ
ル100gを溶解させた。この溶液に、別途調製した、
エタノール320mlにベンジルクロライド67gを溶
解させた溶液を加えた。加えた際に発熱を生じた。その
後、この混合液を窒素気流下で還流しながら21時間撹
拌した。以上の操作の後、蒸留によりエタノールを除去
した。得られた濃縮液にジエチルエーテルを加えて目的
成分を抽出した。その後、ジエチルエーテルを揮発させ
てN−ベンジルイミノジ酢酸ジエチルエステルを得た
(収率57%)。
【0028】[ヒドラジド誘導体合成例3] N−ベン
ジルオキシカルボニルイミノジ酢酸ジヒドラジド(以下
Z−IDAHと略記することもある)の合成 冷却器、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導入管を備え
た反応容器にエタノール240mlを入れ、それに80
%ヒドラジン水和物39gを溶解させた。この溶液に、
別途調製した、エタノール240mlに別途合成したN
−ベンジルオキシカルボニルイミノジ酢酸ジエチルエス
テル100gを溶解させた溶液を加えた。加えた際に発
熱を生じた。その後、この混合液を窒素気流下、55℃
で20時間撹拌した。ひき続きこの混合液の温度を70
℃として更に4時間撹拌した。以上の操作の後、蒸留に
よりエタノールを除去した。得られた濃縮液にエタノー
ルを加えた後、イソプロパノールを徐々に加え、目的成
分を沈殿させた。この液を10℃に冷却し、ろ過した後
にろ残を常温で真空乾燥することによりN−ベンジルオ
キシカルボニルイミノジ酢酸ジヒドラジド56gを得た
(収率61%)。N−ベンジルオキシカルボニルイミノ
ジ酢酸ジヒドラジドの1H−NMR測定値を以下に示
す。1 H−NMR( DMSO-d6,δppm):3.89( d, 4H), 4.22(
s, 4H), 5.03( s, 2H),7.30( m, 5H), 9.61( s, 2H)
【0029】なお、原料として用いたN−ベンジルオキ
シカルボニルイミノジ酢酸ジエチルエステルの合成は、
次のように行った。冷却器、回転撹拌機、温度計、不活
性ガス導入管を備えた反応容器にエタノール270ml
を入れ、それにトリエチルアミン68gとイミノジ酢酸
ジエチルエステル100gを溶解させた。この溶液に、
別途調製した、エタノール270mlにクロロギ酸ベン
ジル56gを溶解させた溶液を加えた。加えた際に発熱
を生じた。その後、この混合液を窒素気流下で還流しな
がら20時間撹拌した。以上の操作の後、蒸留によりエ
タノールを除去した。得られた濃縮液にジエチルエーテ
ルを加えて目的成分を抽出した。その後、ジエチルエー
テルを揮発させてN−ベンジルオキシカルボニルイミノ
ジ酢酸ジエチルエステルを得た(収率77%)。
【0030】[ヒドラジド誘導体合成例4] N−ヒド
ラジドイミノジ酢酸ジヒドラジド(以下IDTHと略記
することもある)の合成 冷却器、回転撹拌機、温度計、不活性ガス導入管を備え
た反応容器にエタノール240mlを入れ、それに80
%ヒドラジン水和物90gを溶解させた。この溶液に、
別途調製した、エタノール240mlに別途合成したN
−ベンジルオキシカルボニルイミノジ酢酸ジエチルエス
テル100gを溶解させた溶液を加えた。加えた際に発
熱を生じた。その後、この混合液を窒素気流下で還流し
ながら20時間撹拌した。以上の操作の後、蒸留により
エタノールを除去した。この濃縮液を10℃に冷却し、
ろ過した後に、ろ残を常温で真空乾燥することによりN
−ヒドラジドイミノジ酢酸ジヒドラジド46gを得た
(収率68%)。N−ヒドラジドイミノジ酢酸ジヒドラ
ジドの 1H−NMR測定値を以下に示す。1 H−NMR( DMSO-d6,δppm):2.88( d, 4H), 4.21(
s, 6H), 9.04( s, 3H) なお、原料のN−ベンジルオキシカルボニルイミノジ酢
酸ジエチルエステルは、上記ヒドラジド誘導体合成例3
における方法と同様の操作により合成した。
【0031】(実施例1)水性分散体合成例1で得た水
性分散体Aにヒドラジド誘導体合成例1で得たIDAH
を、ビニル系共重合体中に含有されるカルボニル基とア
ミノ基(ヒドラジド残基)のモル比が1になるように添
加し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をバーコータ
ー126番を用いて燐酸亜鉛処理鋼板およびガラス板に
それぞれ塗布した。これを室温で7日間乾燥させて塗膜
を得、以下説明する方法で評価を行った。評価結果を表
1に示す。
【0032】(鉛筆硬度) 燐酸亜鉛処理鋼板に塗布し
た試料を用いてJIS K5400に規定される鉛筆引
っかき試験を実施し、塗膜の破れによる評価を行った。 (付着性) 燐酸亜鉛処理鋼板に塗布した試料を用いて
JIS K5400に規定される碁盤目テープ法を実施
した。すなわち塗膜に碁盤目の切込みを1mm間隔で入
れ、その後セロハンテープで剥離した。100個のます
目の内、剥離せずに残ったます目の数を評価点とし、以
下の基準でランクづけした。 ◎:非剥離面積90%以上 ○:非剥離面積50%以上90%未満 ×:非剥離面積50%未満 (架橋度) ガラス板に塗布された塗膜を削り取り、そ
の塗膜の約1gを精秤し、アセトンを用いて還流下ソッ
クスレー抽出を行った。抽出残分を精秤し、仕込み重量
との比の百分率をゲル分率として求め、以下の基準でラ
ンクづけした。 ◎:ゲル分率90%以上 ○:ゲル分率50%以上90%未満 ×:ゲル分率50%未満 (耐溶剤性) 燐酸亜鉛処理鋼板に塗布した試料の塗面
をメチルエチルケトン(MEK)を浸したガーゼで50
0g荷重下ラビングを行った。鋼板面が露出するまでの
往復ラビング回数により、以下のランクづけをした。 ◎:70回以上 ○:40回以上70回未満 ×:40回未満 (耐水性) ガラス板に塗布した試料を23℃の水槽に
浸漬した。24時間後引き上げ、外観を目視で観察し、
以下のランクづけをした。 ◎:異常なし ○:わずかに白化が見られる ×:白化
【0033】(実施例2〜6、比較例1〜4)上記合成
例で製造した水性分散体A、BまたはCと、上記合成例
で製造したヒドラジド誘導体、比較例では市販のヒドラ
ジド誘導体を用い、表1の組み合わせで、実施例1と同
様に混合してそれぞれ樹脂組成物を得た。さらに実施例
1と同様の手法で塗膜の形成、評価を行った。評価結果
を同じく表1に示す。表1中の比較例におけるヒドラジ
ド誘導体ADH、VDHおよびSDHは、以下の化合物
あるいは製品名を表す。 ADH:アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学株式会社
製) VDH:アミキュアVDH[1,3−ビス(ヒドラジド)−
5−イソプロピルヒダントイン:味の素株式会社製) SDH:セバシン酸ジヒドラジド(大塚化学株式会社
製)
【0034】
【表1】
【0035】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜6の樹脂組成物は比較例1〜4のものに比べて、硬度
および付着性に関しては同等以上の性能を有しており、
架橋度、耐溶剤性、および耐水性の点で優れていること
が認められる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明の樹脂組成物
は、架橋効率が高く、耐溶剤性、耐水性に優れた塗膜を
形成するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 芳夫 三重県四日市市大協町二丁目3番地 協和 油化株式会社四日市研究所内 (72)発明者 山内 俊男 三重県四日市市大協町二丁目3番地 協和 油化株式会社四日市研究所内 (72)発明者 友滝 善久 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚化 学株式会社徳島工場内 (72)発明者 北島 孝志 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚化 学株式会社徳島工場内 (72)発明者 古市 智広 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚化 学株式会社徳島工場内 (72)発明者 石川 圭一郎 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚化 学株式会社徳島工場内 Fターム(参考) 4J002 BC041 BE051 BG011 BG041 BG051 BG071 BG081 BH021 CD191 DE027 EQ026 FD206 FD207 HA07 4J038 CC021 CC071 CC081 CE051 CF011 CF021 CG021 CG031 CG061 CG071 CG081 CG141 CH031 CH041 CH121 CH201 CH251 CL001 GA02 HA156 JB17 MA08 NA04 PA18

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1個のカルボニル基またはア
    ルデヒド基を含有するビニル系単量体(a)と、これと
    は別の共重合可能なビニル系単量体(b)とを共重合さ
    せてなるビニル系共重合体と、下記一般式(1)で表され
    るヒドラジド誘導体またはそのアミノ基が低分子カルボ
    ニル化合物で保護された誘導体とを含有してなる樹脂組
    成物。 【化1】 [式中、R1、R2、R4およびR5は、同一または異なっ
    て、水素原子、低級アルキル、脂環式アルキル、置換ま
    たは非置換のアリール、あるいは置換または非置換のア
    ラルキルを表し、R3は、水素原子、低級アルキル、脂
    環式アルキル、置換または非置換のアリール、置換また
    は非置換のアラルキル、アラルキルオキシカルボニル、
    あるいは下記一般式(2)で表される残基を表し、R6
    よびR7は、同一または異なって、低級アルキレンを表
    す] 【化2】 (式中、R8およびR9は、同一または異なって、水素原
    子、低級アルキル、脂環式アルキル、置換または非置換
    のアリール、あるいは置換または非置換のアラルキルを
    表し、pは、0から8の整数を表す)
  2. 【請求項2】 水を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル系共重合体が水性分散体である請
    求項1記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ヒドラジド誘導体またはそのアミノ基が
    低分子カルボニル化合物で保護された誘導体が、そのア
    ミノ基またはイミノ基が、ビニル系共重合体中のカルボ
    ニル基または/およびアルデヒド基の総量に対して0.
    1〜10当量となるように使用された請求項1〜3いず
    れか記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ビニル系共重合体の原料において、全ビ
    ニル系単量体中、ビニル系単量体(a)含量が0.1〜
    30重量%であり、ビニル系単量体(b)含量が70〜
    99.9重量%である請求項1〜4いずれか記載の樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物
    を硬化させてなる硬化物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物
    を含有してなる塗料。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のビニル系共重合体とヒド
    ラジド誘導体からなる二液型塗料。
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