JP3874615B2 - アクリル系水性感圧接着剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィンのような非極性ポリマーのフィルム又は成形品に対し、優れた接着力、殊に、ポリオレフィン系包装材(ラップフィルム)に対して優れた接着性や低温接着力を有すると共に、スリット、断裁及び抜打ち等の二次加工性、並びに接着力経時安定性にも卓越した性能を有するアクリル系水性感圧接着剤組成物に関し、詳しくは、水分散性のアクリル系共重合体であって、その分散粒子が複層構造を有しており、且つ特定のガラス転移点(Tg)及び溶解性パラメータ(SP値)範囲を有するアクリル系共重合体、並びに、特定の軟化点及び平均分子量を有する水分散性の粘着付与樹脂をそれぞれ特定量配合してなるアクリル系水性感圧接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
感圧接着剤の用途は、テープ、シート、ラベル、ステッカー、壁紙等の多方面にわたっており、被着体の材質もプラスチック、金属、ガラス、陶磁器、紙、布、木材、生鮮食料品等と広範囲にわたっている。
【0003】
従来、感圧接着剤の主原料として、天然ゴム、合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系共重合体等が、有機溶媒に溶解された形態で又は水に分散された形で用いられてきた。これらの中でも、水に分散された形、すなわち水分散型のアクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤は、有機溶剤を含有せず、火災の発生や環境衛生上の問題がないので、次第に広く使用されるようになってきた。
【0004】
しかしながら、水分散型アクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤は、溶剤型アクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤に比較して、耐水性や接着力、特にポリオレフィンのような非極性ポリマーのフィルムや成形品に対する接着力が不足しがちであるという問題点があった。
【0005】
水分散型アクリル系共重合体を主原料とする感圧接着剤の上記のような問題点を改良する代表的な試みとして、例えば特開昭60-84371号公報には、水性媒体と樹脂分からなり、該樹脂分が特定のアクリル系単量体を共重合してなるガラス転移点−30〜−60℃の範囲のアクリル系共重合体50〜95重量%、及び、軟化点が70〜130℃の範囲にある不均化ロジンエステル50〜5重量%からなる水性エマルジョン型接着剤組成物が開示されている。この接着剤組成物は、従来のアクリル系エマルジョンに対し特定の不均化ロジンエステルを特定量配合することによって、特にポリオレフィンに対する接着力を改良しようとするものである。
【0006】
しかしながら上記提案の接着剤組成物は、ポリオレフィンなどの非極性ポリマーの被着体に対する接着力は確かに改良されるものの、例えば、エマルジョン粒子が凝集して粗粒子となり易いなど機械的安定性が不十分であり、塗工時にノリスジ等が発生するなどの問題点がある。また得られる感圧接着シートは、例えば−10〜+5℃程度の低温下で接着力が低下して被着体へ貼付できなくなったり、剥離時いわゆる不連続剥離となって被着体表面にしわが入ったりするなどの不都合が生じ易い。
【0007】
本出願人の研究者らは、感圧接着剤としての本来の性質、すなわち、タック、常態接着力、凝集力、貯蔵安定性をバランスよく保持すると共に、非極性ポリマーのフィルムや成形品に対する接着力、殊に、曲面接着性や低温接着力に優れたアクリル系水性感圧接着剤組成物を得るべく研究を重ねた結果、先に、ガラス転移点が−40℃以下のアクリル系共重合体、並びに、軟化点が70〜180℃で且つ重量平均分子量が5000以下である粘着付与樹脂をそれぞれ特定量配合してなるアクリル系水性感圧接着剤であって、該感圧接着剤から形成されるフィルムの光線透過率が77〜88%であるアクリル系水性感圧接着剤についての出願を行った(特開平9-286963号公報参照)。
【0008】
この先の出願の感圧接着剤は、非極性ポリマーのフィルムや成形品に対して優れた接着力を有し、比較的低温での接着性を有すると共に、スリット、断裁及び打ち抜き等の二次加工適性など優れた物性を有するものであったけれども、自動包装機等によって包装されたポリオレフィン系ラップフィルム表面にオートラベラー等で感圧接着ラベルが貼付される場合には、充分な接着力が得られ難いという問題点があり、ポリオレフィン系ラップフィルムに対して、必ずしも十分な性能を発揮することができないことが分かった。
【0009】
そして本発明者らは、ポリオレフィン系ラップフィルムに対しては、ブチルアクリレートを主体とする共重合体に、ロジン系樹脂など、比較的高軟化点の特定の粘着付与樹脂を配合した感圧接着剤組成物が、特に優れた接着力を有していることを見出した。しかしながら、ブチルアクリレート単独重合体に近い共重合体に基づく感圧接着剤組成物では凝集力が不十分となるため、凝集力を改善できる程度に、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレートなどのガラス転移点を上昇させる単量体を共重合させると、得られるアクリル系共重合体が硬くなりすぎて、低温接着力が低下する傾向を示した。このように、ブチルアクリレートを主体とする共重合体に基づいた感圧接着剤組成物では、感圧接着剤としての本来の性質、即ち、タック、凝集力、常態接着力をバランスよく保持して尚且つ、熱や水分など環境劣化による接着力低下を抑制し、接着力経時安定性を両立させることは困難であることが分かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、特定範囲のガラス転移点(Tg)を持つアクリル系共重合体の分散粒子を2層からなる複層構造、所謂コア/シェル構造となるようにし、特定範囲のガラス転移点(Tg)特定範囲の軟化点、及び特定範囲の重量平均分子量を持つ水分散性粘着付与樹脂を水性媒体中に分散させることによって、得られるアクリル系水性感圧接着剤組成物の前記問題点がことごとく解消されることを見出し、更に、前記アクリル系共重合体の分散粒子の比較的少量であるそのシェル部を、例えば主としてブチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートなどからなる、Tg が−20℃以上の Tg の高い ( ) 重合体を用いて形成し、比較的多量であるコア部を、例えば2-エチルヘキシルアクリレートなど単独重合体のTgがブチルアクリレートよりも低い単量体を含み、Tg が−50℃以下のシェル部より柔らかい共重合体で形成することによって、得られる感圧接着剤組成物からなる感圧接着シートのスリット、断裁及び打ち抜き等の二次加工適性を低下させることなく、低温接着性を著しく向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(A)及び(B)の合計100重量%当り、
【0012】
(A) 水分散性のアクリル系共重合体であって、その分散粒子が芯部(コア部)と該芯部より外側にある層(シェル部)との2層からなる複層構造を有しており、複層構造におけるコア部のガラス転移点( Tg )が−50℃以下、シェル部のガラス転移点( Tg s )が−20℃以上であってそして該アクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)が−40℃以下であるアクリル系共重合体 75〜98重量%、並びに、
【0013】
(B) 軟化点が90〜180℃、重量平均分子量が5000以下である水分散性粘着付与樹脂 2〜25重量%、
【0014】
が水性媒体中に分散されてなるアクリル系水性感圧接着剤組成物の提供を目的とするものである。
【0015】
以下本発明を詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の主要成分であるアクリル系共重合体(A)は、水性媒体中に分散されたものであり、その分散粒子は少なくとも2層からなる複層構造を有している。
【0017】
上記アクリル系共重合体の分散粒子は、全体として、(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上共重合してなるものであることが好ましく、具体的には、ブチルアクリレート(a)、メチルメタクリレート(b)、低Tg単量体(c)及び不飽和カルボン酸(d)を必須の単量体成分として乳化共重合することにより得られるものであることがより好ましい。
【0018】
なお、上記の「(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上共重合してなるもの」とは、上記の必須単量体であるブチルアクリレート(a)、メチルメタクリレート(b)及び低Tg単量体単量体(c)、並びに、以下に具体的に開示する必要に応じて用いられる共単量体(e)の中のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの合計が、共重合体を形成する全単量体成分(a)〜(e)に対して50重量%以上を占めていることを意味するものである。
【0019】
上記ブチルアクリレート単量体(a)の使用量は、該アクリル系共重合体を形成するための全単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して、一般に50〜92.5重量%であり、好ましくは55〜90重量%、より好ましくは60〜85重量%、特に好ましくは60〜80重量%であるのがよい。ブチルアクリレート単量体(a)の使用量が該下限量以上であれば、形成される感圧接着剤層のポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着力、タック、凝集力のバランスが優れているので好ましく、一方、該上限量以下であれば、凝集力が不足するなどの不都合が生じないので好ましい。
【0020】
前記メチルメタクリレート(b)の使用量は、該アクリル系共重合体を形成するための全単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して、一般に2.5〜15重量%であり、好ましくは3〜13重量%、より好ましくは3.5〜12.5重量%、特に好ましくは5〜10 重量%であるのがよい。メチルメタクリレート単量体(b)の使用量が該下限量以上であれば、形成される感圧接着剤層の接着力、タック、凝集力のバランスが優れているので好ましく、一方、該上限量以下であれば、タック、接着力が小さくなり過ぎるなどの不都合が生じないので好ましい。
【0021】
前記の低Tg単量体(c)は、例えば、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート等の、アルキル基の炭素数5〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基であるアクリル酸エステル単量体の中から選択することができる。また、例えば、ラウリルメタクリレート等のメタクリル酸エステル単量体の一部も使用可能である。これらのうち入手の容易性などの観点から、2-エチルヘキシルアクリレートが最も普通に用いられる。
【0022】
低Tg単量体(c)の使用量は、全単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して、一般に4.9〜47.4重量%であり、好ましくは7.5〜45重量%、より好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは15〜40重量%であるのがよい。低Tg単量体(c)の使用量が該下限量以上であれば、形成される感圧接着剤層の接着力、タック、凝集力のバランスが優れているので好ましく、一方、該上限量以下であれば、凝集力が不足するなどの不都合が生じないので好ましい。
【0023】
前記の不飽和カルボン酸(d)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸の利用がより好ましい。
【0024】
前記不飽和カルボン酸(d)の使用量は、前記全単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して、一般に0.1〜5重量%であり、好ましくは0.2〜4重量%、より好ましくは0.3〜3重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%であるのがよい。該不飽和カルボン酸(d)の使用量が該上限量以下であれば、形成される感圧接着剤層のタック及び耐水性が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。一方、該使用量が該下限値以上であれば、得られる水性感圧接着剤組成物の機械安定性及び得られる感圧接着剤層の接着力が適度であり凝集力にも優れているので、該使用量範囲において適当に選択利用するのがよい。
【0025】
本発明の主要成分であるアクリル系共重合体(A)には、必要に応じて、前記共単量体(e)を共重合することができる。
【0026】
このような共単量体(e)としては、例えば、前記(a)及び(b)以外のアクリル酸エステルを挙げることができる。このようなアクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、オレイルアクリレート(好ましくはメチルアクリレート)等を挙げることができる。
【0027】
また共単量体(e)としては、前記(b)及び(c)以外のメタクリル酸エステルを挙げることができ、例えば、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)等のメタクリル酸エステル;例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)(好ましくは酢酸ビニル)等の飽和脂肪酸ビニルエステル;例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン(好ましくはスチレン)等の芳香族ビニル単量体;及び、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等(好ましくはアクリロニトリル)のシアン化ビニル単量体;よりえらばれた共単量体も同様に利用できる。
【0028】
また共単量体(e)としては、例えば、ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルマレート、ジ-n-オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ-n-ブチルフマレート、ジ-2-エチルヘキシルフマレート、ジ-n-オクチルフマレート等のマレイン酸もしくはフマル酸のジエステル;も使用可能である。
【0029】
さらにまた共単量体(e)としては、必要に応じて、分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(d)以外の単量体(以下、官能性共単量体ということがある)を共重合することもできる。
【0030】
このような官能性共単量体としては、官能基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシル基、エポキシ基、メルカプト基又は珪素含有基等を有する単量体を挙げることができ、また、分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体も使用できる。
【0031】
これら官能性共単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-i-ブトキシメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド(好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド)等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート(好ましくはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート)等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0032】
例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(好ましくは2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート)等のヒドロキシル基含有単量体;
【0033】
例えば、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエチルアクリレート、2-メトキシエトキシエチルアクリレート、2-エトキシエトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエチルメタクリレート、2-メトキシエトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、(好ましくは2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート)等の低級アルコキシル基含有単量体;
【0034】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル(好ましくはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート)等のエポキシ基含有単量体;アリルメルカプタン等のメルカプト基含有単量体;
【0035】
例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリブロモシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ-n-プロポキシシラン、ビニルトリ-i-プロポキシシラン、ビニルトリ-n-ブトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(2-ヒドロキシメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジエトキシシラノール、ビニルエトキシシラジオール、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2-アクリルアミドエチルトリエトキシシラン等の珪素含有基を有する単量体;
【0036】
例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体;等の単量体群を挙げることができる。
【0037】
このような共単量体(e)の使用量は、前記全単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して、一般に0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%、さらに好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜15重量%であるのがよい。該共単量体(e)の使用量は、その種類により変わるので一義的には決められないが、接着力とタックとのバランス及びこれらと凝集力とのバランスなどを所望に応じて調節するのに役立つので、そのような目的に合致するように上記範囲内の量で適宜に選択することができる。該共単量体(e)の使用量が上記範囲の上限値以下であれば、タックが小さくなり過ぎるなどの不都合が生じないので好ましい。
【0038】
また前記の官能性共単量体を用いる場合には、全単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して5重量%以下、好ましくは3重量%以下とするのがよい。該使用量が該上限量以下であれば、水性乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性の低下、或いは、形成される感圧接着剤層のタック、接着力及び耐水性等の低下などの不都合を引き起こすことがないので好ましい。
【0039】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)は、そのガラス転移点(Tg)が−40℃以下であることが必要であり、好ましくは−45℃以下、さらに好ましくは−50℃以下であるのがよい。Tgが該温度を超えて高温過ぎる場合は、得られる感圧接着剤層のタックが不足しがちとなり、また、例えば10℃以下などの低温での接着力、特に非極性ポリマーのフィルムや成形品への接着性が不十分となることがあり好ましくない。
【0040】
なお本発明におけるガラス転移点(Tg)とは、L. E. ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」第11〜35頁に記載されている方法に従って計算により求められたものである。
【0041】
ガラス転移点( Tg )の計算:
共重合体のガラス転移点は次式によって計算されたものである。
【0042】
【数1】
【0043】
ここでTg1、Tg2・・・・・・及びTgn は成分1、成分2・・・・・・および成分nそれぞれの単独重合体のガラス転移点であり、絶対温度に換算し計算する。W1、W2・・・・・・及びWn はそれぞれの成分の重量分率である。
【0044】
また本発明におけるアクリル系共重合体(A)は、その溶解性パラメータ(SP値)が8.8〜9.2の範囲であることが必要であり、8.8〜9.1の範囲であることが好ましく、特には8.9〜9.1の範囲であることが好ましい。SP値が該上限値を超えて大きすぎては、得られる感圧接着剤層のポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着性が不十分となり、また、低温接着力及び曲面接着性が悪くなる傾向があるので好ましくなく、該下限値未満と小さすぎては、凝集力が不十分となりがちであり、また、熱や水分など環境劣化による接着性の低下を起こし易くなるので好ましくない。
【0045】
なお本発明において、アクリル系共重合体の溶解性パラメータ(SP値)は、「ポリマーハンドブック 第2版(Polymer Handbook Second Edition)」〔H.Burrell著:(1975年)〕のIV−337〜IV−359頁に記載の方法に従って測定又は算出される値である。以下にその方法を概説する。
【0046】
単独重合体のSP値は、該重合体を形成している構成単位の分子引力定数Gに基づいて、下式のSP値計算式による算出する。
SP=dΣG/M
ここで、dは単独重合体の密度(g/l)であり、ΣGは構成単位の分子中の分子引力定数の総和であり、Mは構成単位の分子量(g/mol)である。
【0047】
共重合体のSP値は、上記式により、その共重合体を構成する各構成単位のそれぞれの単独重合体のSP値を算出し、それらのSP値のそれぞれに各構成単位のモル分率を乗じたものを合算して算出されるものである。
【0048】
本発明のアクリル系感圧接着剤組成物に用いることのできるアクリル系共重合体は、その分散粒子が少なくとも2層からなる複層構造、所謂コア/シェル構造をなすものである。
【0049】
このようなアクリル系共重合体における分散粒子は、その粒子の比較的多量の部分を占める芯部(コア部;Ac)と、該芯部より外側にあり芯部よりも比較的小部分を占める層(シェル部;As)から構成されており、該シェル部のSP値(SPs)は8.9以上、好ましくは9.0以上で、特に好ましくは9.1以上で、且つコア部(Ac)のSP値(SPc)が該シェル部(As)のSP値より小さく、好ましくは9.0以下であるのがよい。
【0050】
コア部のSP値(SPc)がシェル部のSP値(SPs)より小さく、そして好ましくはSPsが上記下限値以上であり且つSPcが上記上限値以下であれば、形成される感圧接着剤層のポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着性が優れ、熱や水分など環境劣化による接着性の低下を抑制できるので好ましい。
【0051】
さらにシェル部(As)のTg(Tgs)は−30℃以上、特には−20℃以上であることが好ましい。Tgsが該下限値以上であれば、形成される感圧接着剤層の凝集力に優れ、得られる感圧接着シートのスリット、断裁及び打ち抜き等の二次加工適性が優れたものとなるので好ましい。またコア部(Ac)のTg(Tgc)は−50℃以下、特には−60℃以下であることが好ましい。Tgcが該上限値以下であれば、形成される感圧接着剤の低温接着性が特に優れたものとなるので好ましい。
【0052】
さらにまた、本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)の分散粒子におけるシェル部分(As)には、主としてブチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートを主成分とする(共)重合体を用い、該コア部分(Ac)を、2-エチルヘキシルアクリレートなどを含むより柔らかい共重合体で形成するのが好ましい。
【0053】
具体的には、上記シェル部(As)は、
(as) ブチルアクリレート 一般に0〜100重量%、好ましくは0〜75重量%、さらに好ましくは25〜65重量%、
【0054】
(bs) メチルメタクリレート 一般に0〜100重量%、好ましくは25〜100重量%、さらに好ましくは35〜75重量%、
【0055】
(cs) 単独重合体のガラス転移点がブチルアクリレートよりも低い単量体(低Tg単量体) 一般に0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、
【0056】
(ds) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(不飽和カルボン酸) 一般に0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%、
【0057】
(es) 上記単量体(as)〜(ds)と共重合可能な、該単量体(as)〜(ds)以外の共単量体(共単量体) 一般に0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、
【0058】
〔但し、単量体(as)〜(es)の使用量の合計は100重量%であり、且つ単量体(as)及び(bs)の使用量の合計は70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である〕
【0059】
を共重合してなるものであることが好ましい。
【0060】
シェル部においては、ブチルアクリレート(as)及びメチルメタクリレート(bs)の使用量、並びにこれら単量体(as)及び(bs)の合計の使用量をそれぞれ上記の範囲内とすることによって、得られる感圧接着剤組成物の非極性ポリマー、特にポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着性を顕著に改善することができ、さらに凝集力を向上させ、熱や水分など環境劣化による接着性の低下を抑制することができるので好ましい。
【0061】
不飽和カルボン酸(ds)は、シェル部には必ずしも共重合する必要はないが、コア部(Ac)とシェル部(As)との重量比(Ac/As)が、例えば80/20〜75/25の範囲とするなど比較的シェル部の量を多めにする場合には、例えば0.2〜3重量%程度の範囲で使用するのがよい。該不飽和カルボン酸(ds)は、前記の不飽和カルボン酸(d)において例示したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0062】
低Tg単量体(cs)及び共単量体(es)は、必ずしも使用する必要はないが、例えば接着力とタックのバランス及びこれらと凝集力のバランスなどを所望に応じて調整するために、前記範囲内で使用することもできる。これらの単量体(cs)及び(es)も、前記の低Tg単量体(c)及び共単量体(e)において例示したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0063】
またコア部(Ac)は、
(ac) ブチルアクリレート 一般に50〜80重量%、好ましくは55〜80重量%、さらに好ましくは55〜75重量%、
【0064】
(bc) メチルメタクリレート 一般に0〜13.2重量%、好ましくは0〜10重量%、
【0065】
(cc) 単独重合体のガラス転移点がブチルアクリレートよりも低い単量体(低Tg単量体) 一般に6.5〜49.7重量%、好ましくは9.7〜44.7重量%、さらに好ましくは14.7〜44.7重量%、
【0066】
(dc) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(不飽和カルボン酸) 一般に0.3〜7重量%、好ましくは0.3〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%、
【0067】
(ec) 上記単量体(ac)〜(dc)と共重合可能な、該単量体(ac)〜(dc)以外の共単量体(共単量体) 一般に0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、
【0068】
〔但し、単量体(ac)〜(ec)の使用量の合計は100重量%である〕
を乳化共重合してなるものであることが好ましい。
【0069】
コア部において、ブチルアクリレート(ac)の使用量が上記下限値以上であれば、形成される感圧接着剤層のポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着力、タック、凝集力のバランスが優れているので好ましく、一方、上記上限値以下であれば、凝集力が不足するなどの不都合が生じないので好ましい。
【0070】
また低Tg単量体(cc)の使用量は、前記下限量以上であれば、形成される感圧接着剤層の接着力、タック、凝集力のバランスが優れているので好ましく、一方、前記上限値以下であれば、凝集力が不足するなどの不都合が生じないので好ましい。該低Tg単量体(cc)は、前記の低Tg単量体(c)において例示したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0071】
不飽和カルボン酸(dc)の使用量は、前記上限値以下であれば、形成される感圧接着剤層のタック及び耐水性が低下するなどの不都合が生じないので好ましく、一方、前記下限値以上であれば、得られる水性感圧接着剤組成物の機械安定性及び得られる感圧接着剤層の接着力が適度であり凝集力にも優れているので好ましい。
【0072】
メチルメタクリレート(bc)及び共単量体(ec)は、必ずしも使用する必要はないが、例えば接着力とタックのバランス及びこれらと凝集力のバランスなどを所望に応じて調整するために、前記範囲内で使用することもできる。この単量体(es)も、前記の共単量体(e)において例示したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0073】
さらに、本発明に用いることのできるアクリル系共重合体の分散粒子の、複層構造における芯部(コア部;Ac)と該芯部より外側にある層(シェル部;As)との重量比(Ac/As)は、75/25〜95/5の範囲、好ましくは80/20〜95/5の範囲、さらに好ましくは85/15〜93/7の範囲であるのがよい。Ac/Asの値が該下限値以上であれば、形成される感圧接着剤層のポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着性が優れ、熱や水分など環境劣化による接着性の低下を抑制できるので好ましく、一方、Ac/Asの値が該上限値以下であれば、水性乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性の低下、或いは、形成される感圧接着剤層のタック、接着力及び凝集力等の低下などの不都合を引き起こすことがないので好ましい。
【0074】
このようなアクリル系共重合体の分散粒子は、通常の乳化重合を用いて容易に製造することができる。製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、まず界面活性剤又はこれに必要に応じて保護コロイドを加えたものの存在下に、第1の単量体組成を水性媒体中で乳化重合してアクリル系共重合体エマルジョンを調製し〔第1段階重合=芯部(コア部;Ac)の重合〕、次いで該エマルジョンの存在下に第2の単量体組成を添加してさらに(共)重合させる〔第2段階重合=該芯部より外側にある層(シェル部;As)の重合〕方法が好適に採用できる。この際、生成する共重合体粒子を2層構造とするためには、第2段階乳化重合においては乳化剤を添加しないか、あるいは添加したとしても新しい粒子を形成しない程度の量にとどめ、第1段階乳化重合で形成された重合体粒子において実質的に重合が進行するように配慮するのが有利である。
【0075】
本発明における好適なアクリル系共重合体分散粒子の構造は、第1段階重合で形成されるコア部と、その後の第2段階重合により形成される少なくとも1層のシェル部分とを含む2層構造以上の複層粒子であるが、シェル部分は必ずしも1層に限定されるものではなく、必要に応じて、単量体組成を変えて第3段階重合、あるいはそれ以上の重合を行わせ、シェル部分を2層又はそれ以上の多層構造とすることも可能である。
【0076】
本発明において使用することのできる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、通常、乳化重合に用いられる各種界面活性剤を使用することができる。
【0077】
これら界面活性剤のうちノニオン系界面活性剤類としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;
【0078】
例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;等を例示することができる。
【0079】
またアニオン系界面活性剤類としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類;例えば、ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリエキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;
【0080】
例えば、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;等を例示することができる。
【0081】
さらに本発明の水性アクリル系重合体の乳化重合に際しては、アニオン系界面活性剤類として下記一般式(1)で示される、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型アニオン系界面活性剤も使用することができる。
【0082】
【化1】
【0083】
(式中、R1は1つ以上の芳香環を含む炭化水素基、M+はNa+、K+又NH4 +等の対イオンを表す)
【0084】
上記一般式(1)におけるR1は、下記3種の構造式で示されるジスチリルの何れか又はそれらの混合物から誘導されたものであることが好ましい。
【0085】
【化2】
【0086】
上記のアニオン系界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖の長さ(nの値)としては、一般に4〜50の範囲であり、好ましく5〜45の範囲であるのがよい。これらアニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ハイテノールNF-13、ハイテノールNF-17〔商品名;以上第一工業製薬(株)製〕、ニューコール707SF、ニューコール710SF、ニューコール714SF、ニューコール723SF、ニューコール740SF〔商品名;以上日本乳化剤(株)製〕等を挙げることができる。
【0087】
さらに本発明に用いられるアクリル系共重合体の乳化共重合に際しては、必要に応じて、分子内にラジカル重合可能な不飽和基を有する、所謂「反応性乳化剤」を使用することができる。
【0088】
このような反応性乳化剤としては、例えば、「エレミノールJS-2」、「エレミノールRS-30」〔以上、三洋化成工業(株)製〕、「アクアロンHS-10N」、「アクアロンHS-20N」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープSE-10N」〔旭電化工業(株)製〕、「ラテムルS-120」、「ラテムルS-120A」、「ラテムルS -180」、「ラテムルS-180A」〔以上、花王(株)製〕等のアニオン系反応性乳化剤;例えば、「アクアロンRN-20」、「アクアロンRN-30」、「アクアロンRN-50」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープNE-10」、「アデカリアソープNE-20」、「アデカリアソープNE-30」〔旭電化工業(株)製〕、「RMA-564」、「RMA-568」、「RMA-1114」〔以上、日本乳化剤(株)製〕等のノニオン系反応性乳化剤;などを挙げることができる。
【0089】
さらにまた最近、アクリル系共重合体の水性分散液中に汎用されているアルキルフェニル基を含む界面活性剤が、排水中に含まれて河川等に排出されたとき、それら界面活性剤の加水分解によって生じるアルキルフェノールが、それら河川及びそれが流入する海の中に生息する生物、特に魚貝類に取り込まれて、それら生物の内分泌機能(エンドクリン)破壊物質(所謂、環境ホルモン)として作用することが知られるようになった。このようなアルキルフェノールは、これら魚介類の摂取を通して、又は直接それら河川等の水を使用する上水道の水を通して、人の体内に入る危険性が高いことが指摘されている。
【0090】
本発明においては、前記のノニオン系及びアニオン系界面活性剤の中から、上記のようなアルキルフェニル基を含まないものを選んで用いることにより上記の問題点を解消したアクリル系共重合体の水性分散液を得ることもできる。
【0091】
このような界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、ポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどを使用することができ、
【0092】
またアニオン系界面活性剤類としては、高級脂肪酸塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類、前記一般式(1)のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型界面活性剤などを使用することができる。
【0093】
これらの界面活性剤は適宜組合わせて使用するのがよく、その使用量としては一般に前記アクリル系共重合体(A)の分散粒子全体を構成する全単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して界面活性剤有効成分で0.4〜6重量部、好ましくは0.6〜4重量部程度の量で使用することができる。
【0094】
またこれらの界面活性剤は、重合用乳化剤として用いるほか、得られる水性感圧接着剤組成物の機械安定性の向上や離型材(シリコーン樹脂等で離型処理した紙又はプラスチックフイルム)への塗工性の改良等を目的として、前記水性乳化共重合後にしばしば後添加される。例えば、転写法(該感圧接着剤組成物を離型材上に塗布して乾燥させ感圧接着剤層を形成させた後、該感圧接着剤層上に該基材を重ね加圧し、該基材上に該感圧接着剤層を転写する方法)が採用される場合には、前記アニオン系界面活性剤中に例示したスルホコハク酸エステル塩系アニオン系界面活性剤がしばしば用いられる。
【0095】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)の水性分散液の製造方法としては、前記のように、好ましくは、まず前記界面活性剤又はこれに必要に応じて保護コロイドを加えたものの存在下に、第1の単量体組成(ac)〜(ec)を水性媒体中で乳化重合してアクリル系共重合体エマルジョンを調製し〔コア部(Ac)の重合〕、次いで該エマルジョンの存在下に第2の単量体組成(as)〜(es)を添加してさらに(共)重合させる〔シェル部(As)の重合〕方法が採用される。
【0096】
上記の重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類;t-ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、p-メンタンハイドロパーオキシドなどの有機過酸化物類、過酸化水素などの重合開始剤を使用することができる。これらも一種もしくは複数種併用のいずれの態様でも利用できる。これらの重合開始剤は、前記全単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して0.1〜1重量部程度の量用いるのが好ましい。
【0097】
更に乳化共重合に際しては、所望により、還元剤を使用することができる。その例としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩等の還元性有機化合物;チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物を例示できる。これら還元剤は、前記全単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して、0.1〜1重量部程度の量用いるのが好ましい。
【0098】
また水性乳化共重合に際しては、該共重合体の分子量を適宜調節するために、必要に応じて連鎖移動剤を使用することができ、このような連鎖移動剤としては、例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、2-エチルヘキシルチオグリコレート、2-メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタン等を挙げることができる。これら連鎖移動剤を用いるときには、前記全単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して、一般に0〜1重量部、好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部程度の量を例示することができる。
【0099】
更に、乳化共重合に際しては、前記の界面活性剤と共に、必要に応じて、水溶性保護コロイドを使用することができる。このような水溶性保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)類;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアガムなどの天然多糖類;などが挙げることができ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。
【0100】
これらの水溶性保護コロイドの中、乳化共重合のしやすさ、得られる感圧接着剤層の凝集力の優秀さなどの観点より、PVA類を用いるのが好ましく、部分ケン化PVA及び/又は変性PVAであって、平均重合度が500以下のものを用いるのが特に好ましい。水溶性保護コロイドの使用量としては、前記全単量体(a)〜(e)の合計100重量部当り0〜2重量部程度である。
【0101】
本発明に用いるアクリル系共重合体(A)の乳化共重合において好適に採用される共重合温度は、約40〜100℃、特には約60〜90℃である。
【0102】
アクリル系共重合体(A)の水性分散液は、必要に応じてアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液等によってpH調節できる。このような分散液は、固形分濃度30〜75重量%、好ましくは40〜70重量%、粘度50〜3000 mPa・s(BH型回転粘度計、25℃、20rpm;粘度測定条件以下同様)、pH2〜8程度であるのがよい。
【0103】
また、上記アクリル系共重合体(A)の水系媒体中の分散粒子の平均粒子径は、0.3μm超えていることが好ましく、より好ましくは0.35〜2μm、特に好ましくは0.4〜1μmであるのがよい。平均粒子径が該下限値以上であれば、得られる感圧接着剤層の凝集力が不足したり、得られる感圧接着シートの経時安定性や二次加工性が低下したりするなどの不都合が生じないので好ましい。一方、該上限値以下であれば、感圧接着剤層形成に際しての成膜性が優れており、また該水性分散液の製造に当たって好ましくない凝集物の発生がほとんどないので好ましい。
【0104】
なお本明細書において、分散粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された値であり、具体的には「マスターサイザー2000」〔シスメックス(株)製〕を用いて測定された重量平均径である。
【0105】
なお上記の平均粒子径の測定に際して、アクリル系共重合体が、前記のように粘着付与樹脂や界面活性剤と共に水系媒体中に分散されたアクリル系水性感圧接着剤組成物の形態をなし、又はさらに顔料、無機充填剤等の添加物が配合されているときには、前記同様、遠心分離等の適宜の分離手段により該組成物からアクリル系共重合体の水性分散液を分離してから測定することができる。
【0106】
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、共重合体成分として前述したようなアクリル系共重合体(A)とともに、必須成分として粘着付与樹脂(B)を含んでなるものである。
【0107】
上記の粘着付与樹脂(B)としては、例えば、クマロン・インデン樹脂、テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ロジン系樹脂、p-t-ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、石油系炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、テレピン系樹脂等を使用することができ、ポリオレフィン系ラップフィルムに対する接着性及び低温接着力のよさ等の観点から、ロジン系樹脂、石油系炭化水素樹脂の使用が好ましく、ロジン系樹脂がより好ましい。
【0108】
本発明で好適に用いることのできるロジン系樹脂としてはロジンエステル類及びロジンフェノール類を挙げることができる。
【0109】
ここで、ロジンエステル類とはガムロジン、ウッドロジンもしくはトール油ロジンの原料ロジンまたは該原料ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジンと多価アルコールとをエステル化反応して得られるものや、重合ロジンの多価アルコールエステル、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化し、次いでエステル化して得られる部分マレイン化ロジンの多価アルコールエステル、部分フマル化ロジンの多価アルコールエステル、また、原料ロジンを部分的にフマル化もしくはマレイン化させた後、不均化し、次いでエステル化して得られる部分マレイン化不均化ロジンの多価アルコールエステル、部分フマル化不均化ロジンの多価アルコールエステル等をいう。
【0110】
また、ロジンフェノール類とは原料ロジンまたは安定化ロジンにフェノール類を付加させて熱重合したものまたは次いでエステル化したものをいう。
【0111】
本発明に用いられる粘着付与樹脂(B)の軟化点は90〜180℃、好ましくは115〜180℃、特に好ましくは125〜170℃である。粘着付与樹脂(B)の軟化点が該下限値未満と低すぎては、得られる感圧接着剤層の凝集力が低下するなどの不都合が生じることがあるので好ましくなく、一方該上限値を超えて高すぎては、接着力の向上が得られにくいので好ましくない。なお粘着付与樹脂(B)の軟化点の測定は、JIS K 2531の環球法に従って測定された値である。
【0112】
また本発明に好適に用いることのできる粘着付与樹脂(B)は、その重量平均分子量(以下Mwと略記することがある)が5000以下、好ましくは2000〜4000である。Mwの値が該上限値を超えて大きすぎては、得られる感圧接着剤層の常態接着力、低温接着力、曲面接着性等の接着物性が低下するなどの不都合が生じることがあるので好ましくない。一方該下限値未満と小さすぎては、得られる感圧接着剤層の凝集力が低下することがあるので好ましくない。なお本発明における粘着付与樹脂(B)のMwは、GPC法により測定したポリスチレン換算の値をいう。
【0113】
本発明に用いることのできる粘着付与樹脂(B)は、水性分散物であることが好ましい。その場合その水性媒体中での分散粒子の平均粒子径は1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.6μmであることが特に好ましい。平均粒子径が該上限値以下であれば、得られる感圧接着剤層の接着力が不足したり、得られる感圧接着シートの経時安定性や二次加工性が低下したりするなどの不都合が生じにくいので好ましい。一方、市販品等としての入手の容易さから該下限値以上であることが好ましい。
【0114】
なお本発明において、粘着付与樹脂(B)の水系媒体中の分散粒子の平均粒子径は前記アクリル系共重合体におけると同様に測定して得た値である。
【0115】
このような粘着付与樹脂としては、例えば、「スーパーエステルE-625A」、「スーパーエステルE-650」、スーパーエステルKE-788」〔以上荒川化学工業(株)製〕、「ハリエスターSK-130D」、「ハリエスターSK-508」、「LP-532 NF」〔以上ハリマ化成(株)製〕等のロジン系樹脂;例えば、「QME-100」、「QME-125ps」、「QME-800」〔以上東邦化学工業(株)製〕等の石油系炭化水素樹脂;などの商品名で市販されているものを挙げることができる。また前記の環境問題を有するアルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含まないものとしては、「スーパーエステルKE-788」、「LP-532NF」、「QME-125ps」、「QME-800」を例示することができる。
【0116】
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、共重合体成分として、前記アクリル系共重合体(A)75〜98重量%、好ましくは80〜96重量%、及び、前記粘着付与樹脂(B)2〜25重量%、好ましくは4〜20重量%、〔但し、両成分の合計を100重量%とする〕を含んでなるものである。
【0117】
粘着付与樹脂(B)の配合量が上記上限値を超えて多すぎれば、得られる感圧接着剤層のタックが不足したり、低温接着力が低下したり、また凝集力及び耐水性が低下したりする不都合が生じることがあり好ましくなく、一方、上記下限値未満と少なすぎては、得られる感圧接着剤層の接着力が不十分であったり、二次加工性が悪くなったりすることがあり好ましくない。
【0118】
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、製造の容易性などの観点から、前記のアクリル系共重合体(A)及び前記粘着付与樹脂(B)をそれぞれ水性分散液の形で混合し、さらに必要に応じて、これに湿潤剤、増粘剤等の配合物を添加・混合することにより調製することが好ましい。また、前記の環境問題を考慮するときには、得られる水性感圧接着剤組成物中にもアルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含有していないように、配合する粘着付与樹脂、湿潤剤、増粘剤なども、アルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含有していないものを選択するのがよい。
【0119】
かくして得られる本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は:
固形分濃度が、一般に30〜70重量%、好ましくは50〜70重量%;粘度が、一般に100〜20000 mPa・s、転写法に用いる場合には3000〜20000mPa・s;pHが、一般に3〜8程度であり、転写法に用いる場合には、pH4〜8.5が好適である。また、特に高速塗工(200m/分〜500m/分)の適性の観点から、高剪断粘度(ハイシェア粘度)は、BL型回転粘度計60rpm(25℃)で1000〜7000mPa・sの範囲で且つハーキュレス高剪断粘度計の剪断速度5x104s-1において50〜130mPa・sの範囲であることが好ましい。なお、ハーキュレス粘度計による高剪断粘度(ハイシェア粘度)は、具体的には以下に述べる方法で測定決定した値である。
【0120】
高剪断粘度(ハイシェア粘度):
測定試料の液温を25℃に調整した後、熊谷理機工業(株)製ハーキュレス高剪断粘度計を用いて測定し、剪断速度5x104s-1(ボブE/5000rpm)における粘度を算出する。
【0121】
本発明の水性感圧接着剤組成物は、所望の性能を損なわない限り、例えば、合成ゴム、天然ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等の各種変性用樹脂を添加配合して使用することができる。
【0122】
これら各種変性用樹脂の添加量は、非極性ポリマーへの接着力と凝集力のバランスの観点から適宜選択でき、前記共重合体成分(A)及び(B)の合計100重量部に対して、例えば0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部のごとき添加量を例示できる。
【0123】
さらに本発明の感圧接着剤組成物には、必要に応じて、可塑剤、湿潤剤、着色剤、無機質充填剤、安定剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加配合して使用することもできる。
【0124】
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物を用いて、感圧接着層を形成させる方法としては、紙又はプラスチック薄葉体、例えばシート、テープ、フィルム、ストリップなどの基材上に該感圧接着剤組成物を、例えばロールコーター、ナイフコーターなどの一般に公知の方法に従って、直接塗布して乾燥させる直接法が採用できる。また転写法、すなわち、シリコーン樹脂等で離型処理した紙又はプラスチック製フィルムなどの離型材上に、該感圧接着剤組成物を同様の方法で塗布して乾燥させ感圧接着剤層を形成させた後、該感圧接着剤層上に該基材を重ねて加圧し、該基材上に該感圧接着剤層を転写する方法も利用できる。
【0125】
上記転写法では、通常、各種の増粘剤を用いて本発明の感圧接着剤組成物を増粘して用いる。このような増粘剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、前記PVA類、前記セルロース誘導体、アルカリ性で増粘する水性分散型ポリ(メタ)アクリル酸系共重合体増粘剤等を例示することができる。これらの増粘剤の使用量は、所望の粘度に応じて適宜きめることができ、前記アクリル系共重合体100重量部に対して固形分として0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。
【0126】
得られる感圧接着剤層の厚さは、一般に約5〜200μm 、好ましくは約10〜150μm程度であるのがよい。
【0127】
【実施例】
以下に実施例、比較例、参考例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、試験片の作製、並びに各種物性試験は以下の試験方法に従った。
【0128】
(1) 試験用感圧接着シートの作製
シリコーン系離型剤で表面処理された離型紙上に、乾燥後の塗工量が20g/m2となるように、感圧接着剤組成物を塗布し、105℃で90秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、ミラーコート紙〔商品名;ミラーコート<73>/王子製紙(株)製〕の裏面を上記感圧接着剤層面と貼り合わせ、加圧ニップロールに通紙、圧着して感圧接着シートを得た。
【0129】
(2) 接着力の測定
JIS R 6253に規定する#280の耐水研磨紙で磨いたSUS 304のステンレス鋼板(以下、SUSと略称することがある)及びポリエチレン板(以下、PE板と略称することがある)(JIS K 6768に規定する方法で表面張力γ0=33dyn/cmのもの)に、前(1)項で作製した試験用感圧接着シートより切り出した試験片をJIS Z 0237の方法に従ってそれぞれ圧着し、20分後、23℃、65%RHの雰囲気下、剥離速度300 mm/分の条件で、それぞれの剥離強度(N/25mm)を測定する。剥離強度としては、紙(ミラーコート紙)破れが生じることが好ましく、また紙破れが生じない時には剥離強度の値が大きい程、例えば9.5N/25mm以上、特には10N/25mm以上であることが好ましい。
【0130】
(3) 軽圧着接着力(ポリオレフィンラップ接着力)の測定
自動ラップ包装機(寺岡製AW-2600Jr.PE-III)を用いてポリスチレン製食品トレーをダイヤラップ(三菱樹脂)又はユカラップF-89A4(三菱樹脂)で包装したトレー上面のラップ面に、前(1)項で作製した試験用感圧接着シートより切り出した試験片を質量100gのローラーを用いる以外はJIS Z 0237の方法に従って圧着し、5分後、23℃、65%RHの雰囲気下、剥離速度300mm/分の条件でその剥離強度(N/25mm)を測定し軽圧着接着力とする。軽圧着接着力は、ラップに伸び又は破れが生じ、且つその時の剥離強度が大きい程、例えば10N/25mm以上、特には15N/25mm以上であることが好ましい。
【0131】
(4) タックの測定
J. Dow法に準じ、傾斜角30゜の斜面に前(1)項作製の試験用感圧接着シートより切り出した試験片(長さ100mm)を貼り付け、該試験片の斜面上方100mmの位置より径x/32インチの大きさのスチールボールを転がし、試験片上で停止する最大径のボールの大きさxで表示する。感圧接着シートの用途により適宜選択されるので一該にはいえないが、一般には数値が大きい程初期接着力が大きく良好であり、紙ラベル用としては通常8〜16の範囲であるのがよい。
【0132】
(5) 凝集力の測定
前(2)項と同様に処理したSUS板に、前(1)項作製の試験用感圧接着シートより切り出した試験片を、その貼着面積が25x25mm2になるように貼り付け、2kgローラーを1往復して圧着する。これを40℃、60%RHの雰囲気下で1kgの静荷重を試験片にかけ、荷重が落下するまでの時間を測定する。一般に凝集力の数値が大きい程、感圧接着シートをロール状に巻いて輸送・保存するときに感圧接着剤層がロールからはみ出すなどの不都合が生じにくく、また感圧接着シートをラベル等として使用するとき気温がある程度高くなってもずれ落ちるなどの不都合が生じにくいので好ましい。凝集力の値としては、一般に300分以上、好ましくは500分以上、特に好ましくは1000分以上であるのがよい。
【0133】
(6) 低温接着力の測定
1) 5℃軽圧着接着力
前(1)項で作成した感圧接着シートより切り出した試験片及び前(3)項で用いたと同様のユカラップF-89A4(三菱樹脂)を包装したトレー上面のラップ面に5℃の恒温室に1時間以上放置後、5℃で前(3)項の方法に従って圧着し、5分後、剥離速度300mm/分の条件下で剥離強度(N/25mm)を測定する。5℃軽圧着接着力としては、ラップに伸び又は破れが生じ、且つその時の剥離強度が大きい程、例えば7N/25mm以上、さらには10N/25mm以上、特には15N/25mm以上であることが好ましい。
【0134】
2) 10 ℃接着力
前(1)項で作成した感圧接着シートより切り出した試験片及び前(2)項で用いたと同様のPE板を−10℃の恒温室に1時間以上放置後、−10℃でJIS Z 0237の方法に従って圧着し、−10℃で20分間放置後、−10℃、剥離速度50mm/分の条件下で剥離強度(N/25mm)を測定する。−10℃接着力としては、不連続剥離が生じないことが好ましく、またこの時の剥離強度は高いこと、例えば5N/25mm以上、特には10N/25mm以上であることが好ましい。
【0135】
(7) 断裁性試験
前(1)項で作成した感圧接着シートから5cm巾の試験片100枚を切り出し、これらを裁断機で10回切断した際の刃汚れの様子を観察する。
○;汚れほとんどなし
△;少し汚れ有り
x;汚れ大きい
【0136】
(8) 接着力経時安定性試験
前(1)項作製の試験用感圧接着シートを、110℃の雰囲気下で3日間放置(加熱条件)または、50℃、95%RHの雰囲気下で5日間放置(加熱湿条件)した後、23℃、65%RHの雰囲気下に1日放置し、前(3)項の方法に従って各々の放置条件後のユカラップF-89A4に対する軽圧着接着力を測定し、放置前の接着力を100としてその接着力の保持率を算出する。放置前の接着力が高く、例えば、前記のとおり10N/25mm以上、特には15N/25mm以上であることが好ましく、且つ保持率が100%に近い程、例えば加熱条件では、60%以上、さらには70%以上、特には80%以上であり、例えば加熱湿条件では、80%以上、特には90%以上であることが好ましい。
【0137】
<アクリル系共重合体(A)水性分散液の作製>
参考例1
【0138】
コア部( A c )の作製
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内にイオン交換水185重量部を仕込み、窒素置換を行った。一方、別の容器にイオン交換水165重量部並びに、乳化重合用の界面活性剤(以下、単に乳化剤ということがある)として「DSK NL-600」〔ポリオキシエチレン(n=60)ラウリルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製〕7重量部及び「ハイテノールNF-17」〔ポリオキシエチレン(n=17.5)ジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度95重量%);第一工業製薬(株)製〕7.4重量部を仕込んで攪拌溶解し、次いでこれにブチルアクリレート(BA)424.2重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)189重量部、メチルメタクリレート(MMA)12.6重量部及びアクリル酸(AA)4.2重量部、並びに連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタン(NDM)0.19重量部よりなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体乳化液を得た。
【0139】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌しながら加熱し、反応器内の水温が70℃に達した時点で、重合開始剤及び還元剤として過硫酸アンモニウム(APS)及びメタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)をそれぞれ0.1重量部添加した後、単量体乳化液、並びに8重量%濃度のAPS水溶液及びSMBS水溶液それぞれ30重量部を逐次添加して70℃で約3時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で約1時間攪拌を継続してコア部の分散液を得た。
【0140】
シェル部 (A s ) の作製
得られた上記コア部(Ac)の分散液にBA 35重量部、MMA 35重量部及びNDM 0.007重量部からなる単量体混合液、4重量%濃度のAPS水溶液10重量部、並びに、4重量%濃度のSMBS水溶液10重量部をそれぞれ逐次添加して、70℃で約1時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で約1時間攪拌を継続してから冷却し、次いで25%アンモニア水を4重量部添加してpH調整し、アクリル系共重合体(A)の水性分散液を得た。
この水性分散液は、固形分62.4重量%、pH7.7、粘度390mPa・s(25℃、BH型回転粘度計20rpm)、平均粒子径約0.6μmであった。
【0141】
アクリル系共重合体(A)の全体としての単量体組成、Tg及びSP値;コア部(Ac)の単量体組成、Tgc及びSPcの値;シェル部(As)の単量体組成、Tgs及びSPsの値;並びに、コア部とシェル部との重量比(Ac/As)を表1に、得られるアクリル系共重合体水性分散液の特性を表2に示す。
【0142】
なお、以下の参考例2〜11及び比較参考例1〜5ついても同様に表1及び表2に示す。
【0143】
参考例2〜4
参考例1において、アクリル系共重合体(A)の全体としての単量体組成は変えずに、表1の示すとおりに、シェル部(As)の単量体組成を変え、且つコア部(Ac)とシェル部(As)との重量比(Ac/As)を変え、それに伴ってコア部(Ac)の単量体組成を変える以外は参考例1と同様にして、アクリル系共重合体の水性分散液を得た。
【0144】
比較参考例1
参考例1において、反応器内に仕込むイオン交換水を195重量部とし;コア部(Ac)の作製に用いた乳化剤の水溶液に、BA 459.2重量部、EHA 189重量部、MMA 47.6重量部及びAA 4.2重量部、並びに連鎖移動剤としてNDM 0.197重量部よりなる単量体混合物を加えて単量体乳化液を作成し;該単量体乳化液並びに、8重量%濃度のAPS水溶液及びSMBS水溶液それぞれ35重量部を逐次添加して重合反応を行い;シェル部の形成を行わない以外は参考例1と同様にして、アクリル系共重合体の分散液を得た。
【0145】
参考例5〜7
参考例1において、コア部(Ac)の単量体組成は変えずに、表1の示すとおりに、シェル部(As)の単量体組成を変え、それに伴ってアクリル系共重合体(A)の全体としての単量体組成を変える以外は参考例1と同様にして、アクリル系共重合体の水性分散液を得た。
【0146】
参考例8〜10及び比較参考例2〜3
参考例1において、表1の示すとおりに、アクリル系共重合体(A)の全体としての単量体組成、コア部(Ac)の単量体組成、シェル部(As)の単量体組成を変え、且つコア部(Ac)とシェル部(As)との重量比(Ac/As)を変える以外は参考例1と同様にして、アクリル系共重合体の水性分散液を得た。
【0147】
比較参考例4
比較参考例1において、アクリル系共重合体(A)の全体としての単量体組成を表1の示すとおり変更する以外は比較参考例1と同様にて、アクリル系共重合体の水性分散液を得た。
【0148】
参考例11
参考例1において、乳化剤として「DSK NL-600」7重量部及び「ハイテノールNF-17」7.4重量部を用いる代わりに、「エマルゲン950」〔ポリオキシエチレン(n=50)ノニルフェニルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);花王(株)製〕7重量部及び「ハイテノールN-08」〔ポリオキシエチレン(n=8)ノニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度95重量%);第一工業製薬(株)製〕7.4重量部をそれぞれ用い、BA 424.2重量部、EHA 189重量部、MMA 12.6重量部及びAA 4.2重量部を用いる代わりに、BA 345.8重量部、EHA 280.0重量部及びAA 4.2重量部を用いて単量体乳化液を作成する以外は参考例1と同様にして、コア部(Ac)の分散液を作成し、以下参考例1と同様にしてアクリル系共重合体(A)の水性分散液を得た。
【0149】
比較参考例5
比較参考例1において、乳化剤として参考例11と同様のものを用い、アクリル系共重合体(A)の全体としての単量体組成を表1の示すとおり変更する以外は比較参考例1と同様にて、アクリル系共重合体の水性分散液を得た。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
<アクリル系水性感圧接着剤組成物の作製>
実施例1
参考例1のアクリル系共重合体水性分散液300重量部に、粘着付与樹脂の水性分散液「スーパーエステルKE-788」〔重合ロジンエステル樹脂、固形分濃度50重量%、軟化点160℃、重量平均分子量3000、平均粒子径0.4μm;荒川化学工業(株)製〕(KE-788)45重量部、固形分濃度40重量%のジオクルスルホコハク酸ナトリウム型アニオン系界面活性剤2.6重量部を添加し、次いでアクリル系アルカリ増粘剤及びアンモニア水を添加してpH7.3、粘度約4500mPa・s(25℃、BM型回転粘度計60rpm)のアクリル系水性感圧接着剤組成物を得た。この組成物を用いて、前記(1)の方法に従い試験用の感圧接着シートを作成し、前記の方法に従ってハイシェア粘度の測定を行い、また前記試験方法(2)〜(8)に従って感圧接着シートの物性測定を行った。感圧接着剤組成物の配合組成、特性値を表3に、感圧接着シートの諸物性を表4に示す。
【0153】
実施例2〜3及び比較例1〜2
実施例1において、参考例1で作製した作成したアクリル系共重合体水性分散液と粘着付与樹脂水性分散液「KE-788」との配合比率を変え、又は該粘着付与樹脂を用いない以外は実施例1とほぼ同様にしてアクリル系水性感圧接着剤組成物を得た。以下実施例1と同様にして、ハイシェア粘度の測定及び感圧接着シートの物性測定を行った。感圧接着剤組成物の配合組成、特性値を表3に、感圧接着シートの諸物性を表4に示す。
【0154】
実施例4〜及び比較例3〜4
実施例1において、参考例1で作製したアクリル系共重合体水性分散液を用いる代わりに、参考例2〜4及び比較参考例1の何れかで作製したアクリル系共重合体水性分散液を用いる以外は、実施例1とほぼ同様にしてアクリル系水性感圧接着剤組成物を得た。以下実施例1と同様にして、ハイシェア粘度の測定及び感圧接着シートの物性測定を行った。感圧接着剤組成物の配合組成、特性値を表3に、感圧接着シートの諸物性を表4に示す。
【0155】
実施例〜10及び比較例5〜10
実施例1において、参考例1で作製したアクリル系共重合体水性分散液を用いる代わりに、参考例5〜11及び比較参考例2〜5の何れかで作製したアクリル系共重合体水性分散液を用い、必要に応じて、アクリル系共重合体水性分散液と粘着付与樹脂水性分散液との配合比率を変え、また必要に応じて、粘着付与樹脂水性分散液「KE-788」を用いる代わりに、粘着付与樹脂水性分散液「LP-532 NF」〔重合ロジンエステル樹脂、固形分濃度55重量%、軟化点145℃、重量平均分子量2300、平均粒子径0.3μm;ハリマ化成(株)製〕を用いる以外は、実施例1とほぼ同様にしてアクリル系水性感圧接着剤組成物を得た。以下実施例1と同様にして、ハイシェア粘度の測定及び感圧接着シートの物性測定を行った。感圧接着剤組成物の配合組成、特性値を表3に、感圧接着シートの諸物性を表4に示す。
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
次に、本発明の要旨とその好適な実施態様について列記する。
【0159】
1. 下記(A)及び(B)の合計100重量%当り、(A) 水分散性のアクリル系共重合体であって、その分散粒子が芯部(コア部)と該芯部より外側にある層(シェル部)との2層からなる複層構造を有しており、複層構造におけるコア部のガラス転移点( Tg )が−50℃以下、シェル部のガラス転移点( Tg s )が−20℃以上であってそして該アクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)が−40℃以下であるアクリル系共重合体 75〜98重量%、並びに、(B) 軟化点が90〜180℃、重量平均分子量が5000以下である水分散性粘着付与樹脂 2〜25重量%、が水性媒体中に分散されてなるアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0160】
2. アクリル系共重合体(A)が(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上共重合してなるものである上記1項に記載の感圧接着剤組成物。
【0161】
3. アクリル系共重合体(A)が、下記単量体(a)〜(e)、
(a) ブチルアクリレート 50〜92.5重量%、
(b) メチルメタクリレート 2.5〜15重量%、
(c) 単独重合体のTgがブチルアクリレートよりも低い単量体 4.9〜47.4重量%、
(d) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.1〜5重量%、
(e) 上記単量体(a)〜(d)と共重合可能な、該単量体(a)〜(d)以外の共単量体 0〜30重量%、
〔但し、単量体(a)〜(e)の使用量の合計は100重量%である〕
を乳化共重合してなる上記1項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0162】
4. 分散粒子の複層構造における芯部(コア部)と該芯部より外側にある層(シェル部)との重量比が75/25〜95/5の範囲である前記1項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0164】
6. シェル部のTg(Tgs)が−20℃以上である前記4項又は5項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0165】
7. シェル部がブチルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートを主成分とする(共)重合体により形成される前記4項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0166】
シェル部が、
(as) ブチルアクリレート 0〜100重量%、
(bs) メチルメタクリレート 0〜100重量%、
(cs) 単独重合体のTgがブチルアクリレートよりも低い単量体 0〜30重量%、
(ds) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0〜5重量%、
(es) 上記単量体(as)〜(ds)と共重合可能な、該単量体(as)〜(ds)以外の共単量体 0〜20重量%、
〔但し、単量体(as)〜(es)の使用量の合計は100重量%であり、且つ単量体(as)及び(bs)の使用量の合計は70重量%以上である〕
を(共)重合してなるものである前記7項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0167】
9. コア部が、
(ac) ブチルアクリレート 50〜80重量%、
(bc) メチルメタクリレート 0〜13.2重量%、
(cc) 単独重合体のTgがブチルアクリレートよりも低い単量体 6.5〜49.7重量%、
(dc) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.3〜7重量%、
(ec) 上記単量体(ac)〜(dc)と共重合可能な、該単量体(ac)〜(dc)以外の共単量体 0〜30重量%、
〔但し、単量体(ac)〜(ec)の使用量の合計は100重量%である〕
を乳化共重合してなるものである前記4項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0168】
10. コア部を構成する共重合体のTg(Tgc)が−50℃以下である前記4項、5項又は9項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0169】
11. 乳化共重合が、アルキルフェニル基を有する界面活性剤の不存在下で行われる前記2項又は9項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0170】
12. 粘着付与樹脂がロジン系樹脂である前記1項に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
【0171】
【発明の効果】
本発明のアクリル系水性感圧接着剤組成物は、水分散性のアクリル系共重合体であって、その分散粒子がコア部とシェル部との2層構造を有し、コア部を構成する樹脂、シェル部を構成する樹脂、アクリル系共重合体が特定のガラス転移点(Tgc、 TgS、 Tg)範囲を有するアクリル系共重合体、並びに、特定の軟化点及び平均分子量を有する水分散性の粘着付与樹脂をそれぞれ特定量配合してなるものである。
【0172】
本発明の水性感圧接着剤組成物は、上記のように構成することによって、ポリオレフィンのような非極性ポリマーのフィルム又は成形品に対し、優れた接着力、殊に、ポリオレフィン系包装材(ラップフィルム)に対して優れた接着性や低温接着力を有すると共に、スリット、断裁及び抜打ち等の二次加工性、並びに接着力経時安定性にも卓越した性能を有する感圧接着剤層の形成に有効なものとなる。

Claims (2)

  1. 下記(A)及び(B)の合計100重量%当り、
    (A) 水分散性のアクリル系共重合体であって、その分散粒子が芯部(コア部)と該芯部より外側にある層(シェル部)との2層からなる複層構造を有しており、複層構造におけるコア部のガラス転移点( Tg )が−5 0 ℃以下、シェル部のガラス転移点( Tg s )が− 20 ℃以上であって、該アクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)が−40℃以下であるアクリル系共重合体 75〜98重量%、並びに、
    (B) 軟化点が90〜180℃、重量平均分子量が5000以下である水分散性粘着付与樹脂 2〜25重量%、が水性媒体中に分散されてなるアクリル系水性感圧接着剤組成物。
  2. アクリル系共重合体(A)が、下記単量体(a)〜(e)、
    (a) ブチルアクリレート 50〜92.5重量%、
    (b) メチルメタクリレート 2.5〜15重量%、
    (c) 単独重合体のTgがブチルアクリレートよりも低い単量体 4.9〜47.4重量%、(d) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.1〜5重量%、
    (e) 上記単量体(a)〜(d)と共重合可能な、該単量体(a)〜(d)以外の共単量体0〜30重量%、
    〔但し、単量体(a)〜(e)の使用量の合計は100重量%である〕
    を乳化共重合してなる請求項1に記載のアクリル系水性感圧接着剤組成物。
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