JP2004203997A - 再剥離型水性感圧接着剤組成物 - Google Patents

再剥離型水性感圧接着剤組成物 Download PDF

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弘貴 藤原
Takao Fujii
孝男 藤井
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Abstract

【課題】特に複層構造の合成紙などを基材とする商品キャンペーン用ラベルとして用いるとき、剥離ラベルの再貼着に際して「エッジリフト」などの不都合を生じない優れた感圧接着剤層を形成する再剥離型水性感圧接着剤組成物の提供。
【解決手段】分子内にカルボキシル基を有する、ガラス転移点(TgA)−40℃以下のアクリル系共重合体の微粒子(A)に対して、メチルメタクリレート及び/又はスチレンを必須単量体として含む単量体に由来するガラス転移点(TgB)+30℃以上の(共)重合体の微粒子(B)並びに可塑剤及び/又は可塑剤以外のリン含有化合物(C)を特定量範囲含んでなる再剥離型水性感圧接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種テープ、ラベル、シートなどのシート状物へ感圧接着剤層を形成して粘着性のシート状物とするための使用に適した再剥離型水性感圧接着剤組成物に関し、詳しくは、分子内にカルボキシル基を有する、ガラス転移点(TgA)−40℃以下のアクリル系共重合体の微粒子(A)に対して、メチルメタクリレート及び/又はスチレンを必須単量体として含む単量体に由来するガラス転移点(TgB)+30℃以上の(共)重合体〔以下、高Tg(共)重合体ということがある〕の微粒子(B)並びに可塑剤及び/又は可塑剤以外のリン含有化合物(以下、可塑剤等ということがある)(C)を特定量範囲含んでなる再剥離型水性感圧接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多くの商品に、その商品イメージや美観を高めるため、商標、価格などを示すため、或いはそれらを包装、結束するために前記各種の粘着性テープ、ラベル、シート(以下感圧接着シート類ということがある)が使用されている。これらの感圧接着シート類は、その使用の条件により、商品に直接又はその商品を包装している包装材料に貼付して使用されている。そして特に近年、アルミニウム鋼製の缶(以下アルミ缶ということがある)、ステンレス鋼製の缶(以下スチール缶ということがある)、ポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルなどリサイクル可能な包装材料に詰めた、ビール、発泡酒、日本酒、リキュールなどの酒類、ジュース、お茶などの清涼飲料類、天然水などに貼付して用いられることも多くなっている。
【0003】
特に上記のリサイクル可能な包装材料に貼付して用いられる感圧接着シート類は、通常、このような被着体に貼着したのち一定時間経過後に該被着体から剥離することが多いが、このとき感圧接着剤の一部が被着体に残留する、所謂「のり残り」を起こすことがしばしばである。また、紙や合成紙、特に複層構造を有する合成紙を基材とする感圧接着シート類の場合には、基材の層間強度が弱いため層間剥離等により切断して、被着体に基材の一部と感圧接着剤とが残留する所謂「紙破れ」を生ずることが多い。
【0004】
さらに最近、上記飲料などの商品に貼られたラベルを集めて台紙等に貼りその商品のメーカーなどに送ると景品と引き替えてもらえる、商品キャンペーン用のラベルの使用もしばしば行われているが、その場合、一旦剥離したラベルを台紙に再貼着したとき、そのラベルのエッジ部分や周辺部分が捲れ上がる、所謂「エッジリフト」が生じやすいという問題があることが分かってきた。もし台紙等がそのまま投函できるハガキタイプのものであれば、エッジリフトを生じたラベルが投函時や郵送中にポストや他の郵便物に転着するなどの不都合が生じやすい。十分な凝集力と経時的にほぼ一定で且つ比較的小さい接着力とを必要とする再剥離型の感圧接着剤にとって、剥離再貼着後のエッジリフトを防止することは決して容易ではない。
【0005】
再剥離性を要する感圧接着シート類用の水性感圧接着剤組成物としては、従来から幾つかの提案が知られており、例えば、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びα,β−不飽和カルボン酸を必須単量体とし、必要に応じてこれらと共重合可能な単量体をそれぞれ特定量範囲乳化重合して得られる水系共重合体エマルジョンに対して、燐酸エステル化合物及びポリグリシジル化合物をそれぞれ特定量範囲配合した水系感圧接着剤については開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら上記特許文献1には、本発明におけるような高Tg(共)重合体の併用についてなど、何らの記載も示唆も存在しない。また該特許文献1に記載の水系感圧接着剤は、ポリグリシジル化合物の反応性に伴うポットライフの問題があり、さらにこの接着剤を用いた感圧接着シート類では、被着体からの剥離に際して比較的良好な再剥離性を示したが、台紙への再貼着時にエッジリフトが生じやすいという問題があることが分かった。
【0007】
また2種以上の(共)重合体粒子を含む水性感圧接着剤組成物も知られており、例えば、乾燥時間短縮に寄与する高固形分化によっても低粘度を維持し、テープ化などの際に良好な造膜性を有し、且つ高度な接着力と共に凝集力を有する水分散型感圧接着剤組成物を提供する目的で、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸を特定量範囲共重合したガラス転移点250゜K(約−23℃)以下で、且つ平均粒子径0.3〜1.0μm範囲のポリマー粒子a)と、本発明の高Tg(共)重合体の範囲と一部重複するガラス転移点310゜K(約+37℃)以下で、且つ平均粒子径0.01〜0.3μm未満のポリマー粒子b)とを特定の割合で混合してなる水分散型感圧性接着剤組成物についても開示されている(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら上記特許文献2に記載の感圧性接着剤組成物には、可塑剤等の併用についてなど何らの記載も示唆も存在せず、またこの組成物の具体的な開示である実施例には、「ポリマー粒子b)」として高々268゜K(約−5℃)のものまでしか開示されておらず、もとよりこの組成物は再剥離性の感圧接着剤層を形成するためのものではなく、勿論、感圧接着剤の再剥離性の課題についてなど何らの記載も示唆も存在しない。そして本発明者等の追試によれば、もしこの提案の感圧性接着剤組成物、特に「ポリマー粒子b)」として268゜Kのポリマー粒子を用いた実施例1の組成物を用いてもみても、得られる感圧接着剤は被着体への接着力が高くなりすぎて、被着体からの剥離に際して「のり残り」や「紙破れ」を生じるなど再剥離性を有するものではないことが判明した。なお該特許文献2の比較例3には、この発明で用いられるガラス転移点310゜K(約+37℃)以下のポリマーに代わって、ガラス転移点360゜K(約+87℃)のポリスチレン粒子が用いられることが開示されているが、この組成物には本発明において必須の可塑剤等が含まれておらず、そのためか被着体からの再剥離性と台紙などへの再貼着に際してのエッジリフト防止性とをバランスよく兼備させるということは極めて困難である。
【0009】
【特許文献1】
特開平1-234485号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭63-238179号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄第6〜13行、第5頁右下欄第8〜第6頁右下欄第14行)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、再剥離型感圧接着剤、特にアルミ缶、スチール缶、PETボトルなどリサイクル可能な包装材料を被着体とし、複層構造の合成紙などを基材とする再剥離型感圧接着シート類としての優れた諸性質、すなわち、優れたタック、適度な接着力と再剥離性とのバランス及び十分な凝集力を兼備し、剥離時には「のり残り」、「紙破れ」等の不具合を生ずることなくきれいに剥離できること、剥離した感圧接着シート類の再貼着に際して「エッジリフト」が生じないこと、さらに、得られる感圧接着シート類を紙管等に巻いたり、切断して積み重ねたりして貯蔵するとき接着剤のはみ出しを生じないことなどの、卓越した再剥離型感圧接着剤水性組成物を得るべく研究を行った。
【0011】
その結果、例えば、アクリル酸3重量%を共重合したガラス転移点(Tg)−50℃程度のアクリル系共重合体水性分散液の固形分100重量部に、スチレンを主体とするガラス転移点(Tg)+90℃程度の(共)重合体水性分散液の固形分約10重量部及びリン酸エステル系可塑剤約7重量部を配合して得た感圧接着剤組成物は、特にアルミ缶、スチール缶、PETボトルなどリサイクル可能な包装材料を被着体とし、複層構造の合成紙などを基材とする再剥離型感圧シート類などに用いる場合にも、上記の好ましい性質をことごとく兼備したものとなることを見出だし、さらに研究を進めて、本発明を完成した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(A)及び(B)、
(A) 分子内にカルボキシル基を有する、ガラス転移点(TgA)−40℃以下のアクリル系共重合体の微粒子 100重量部、
(B) メチルメタクリレート及び/又はスチレンを必須単量体として含む単量体に由来するガラス転移点(TgB)+30℃以上の(共)重合体の微粒子 1〜15重量部、並びに、
(C) リン酸エステル化合物及び/又は可塑剤(リン酸エステル化合物を除く) 1〜15重量部
を含んでなる再剥離型水性感圧接着剤組成物の提供を目的とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の再剥離型水性感圧接着剤組成物は、その主要成分として分子内にカルボキシル基を有する、ガラス転移点(TgA)−40℃以下のアクリル系共重合体の微粒子(A)を含んでなるものである。このようなアクリル系共重合体としては、アクリル酸エステル又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを50重量%以上含む単量体に由来する共重合体であることが好ましい。
【0014】
具体的には、本発明に用いられるアクリル系共重合体は、必須単量体として下記単量体(a1)及び(a2)、
【0015】
(a1) 下記一般式(1)で表され、その単独重合体のガラス転移点が−50℃以下であるアクリル酸エステル〔以下主単量体(a1)又は単に単量体(a1)ということがある〕、
H2C=CH−COOR1 (1)
(式中、R1は炭素数4〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す)
及び、
【0016】
(a2) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸〔以下不飽和カルボン酸(a2)又は単に単量体(a2)ということがある〕、
並びに、必要に応じて、
【0017】
(a3) 上記単量体(a1)及び(a2)と共重合可能な、該単量体(a1)及び(a2)以外の共単量体〔以下単に共単量体(a3)ということがある〕、
を乳化共重合してなるものであることが好ましい。
【0018】
なお、前記の「アクリル酸エステル又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを50重量%以上含む単量体に由来する共重合体」とは、上記主単量体(a1)並びに、上記共単量体(a3)の中のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの合計が、共重合体を形成する全単量体成分(a1)〜(a3)に対して50重量%以上を占める単量体が共重合されたものであることを意味するものである。
【0019】
前記の必須単量体成分である主単量体(a1)は、前記一般式(1)で表され、その単独重合体のガラス転移点が−50℃以下であるアクリル酸エステル単量体である。
【0020】
前記一般式(1)における基R1の例としては、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、i-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、i-ノニル基、n-デシル基などを挙げることができる。これらの中、n-ブチル基、n-オクチル基、i-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、i-ノニル基などの炭素数4〜9の直鎖もしくは分枝アルキル基が特に好ましい。
【0021】
このようなアクリル酸エステルの具体例としては、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート等を例示することができる。
【0022】
なお、ここでいう「単独重合体のガラス転移点(Tg)」には、L. E. ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」第11〜35頁に記載されている単量体のガラス転移点が適用される。
【0023】
前記単量体(a1)であるアクリル酸エステルの使用量は、単量体(a1)〜(a3)の合計100重量%に対して、50〜99.9重量%であるのがよく、より好ましくは61〜98重量%であり、特に好ましくは66.5〜96.5重量%であるのがよい。単量体(a1)の使用量が該下限以上であれば、得られる組成物に由来する感圧接着剤層の接着力が十分なものであり、またこの感圧接着剤層を商品キャンペーン用ラベルなどの再剥離型感圧接着シート類の感圧接着剤層として用いる場合、剥離ラベルの台紙への再貼着に際して「エッジリフト」等の不都合が生じにくいので好ましく、また、該上限量以下であれば、結果として後記する不飽和カルボン酸(a2)の共重合量が不足することがないため、得られる感圧接着剤層の凝集力が優れており、優れた再剥離性を有しているので好ましい。
【0024】
前記不飽和カルボン酸(a2)は、炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸であり、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸の利用がより好ましい。
【0025】
不飽和カルボン(a2)の使用量は、前記単量体(a1)〜(a3)の合計100重量%に対して、0.1〜5重量%の範囲であるのがよく、より好ましくは1〜4重量%、さらに好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲であるのがよい。該単量体(a2)の使用量が該上限量以下であれば、得られる感圧接着剤層が、高湿度の条件下でもその性質、特に接着力の経時変化を僅かな範囲に抑制することができるので好ましい。一方、該使用量が該下限量以上であれば、該感圧接着剤層が十分な凝集力を有しており、優れた再剥離性を示すので、該使用量範囲において適当に選択利用するのがよい。
【0026】
本発明に用いられるアクリル系共重合体は、これら必須単量体(a1)及び(a2)と共に、必要に応じて、これら単量体(a1)及び(a2)以外の共単量体(a3)が共重合されていてもよい。
【0027】
このような共単量体(a3)としては、例えば、下記一般式(2)、
H2C=CR2−X (2)
(ここで、R2は水素又はメチル基、XはCOOR3、OCOR4又はR5であって、R3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝アルキル基又はアルケニル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基或いは炭素数7〜10のアラルキル基、R4は水素又は炭素数2〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基、R5は炭素数6〜8のアリール基又はシアノ基を表す)
で示される単量体を挙げることができる。
【0028】
このような共単量体(a3)としては、例えば、上記一般式(2)におけるR2が水素原子で、XがCOOR3である前記主単量体(a)以外のアクリル酸エステルを挙げることができ、このような基R3の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ステアリル基、オレイル基、シクロヘキシル基、ベンジル基などを挙げることができる。
【0029】
そのような共単量体(a3)の具体例としては、前記(a1)以外のアクリル酸エステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、オレイルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート等(好ましくはメチルアクリレート)を挙げることができる。
【0030】
また共単量体(a3)としては、前記一般式(2)におけるR2がメチル基でXがCOOR3であるメタクリル酸エステルを挙げることができ、このような基R3の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、i-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、i-ノニル基、n-デシル基、i-デシル基、n-ドデシル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、シクロヘキシル基、ベンジル基などを挙げることができる。
【0031】
このようなメタクリル酸エステルの具体例としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、i-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、i-デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)等のメタクリル酸エステルなどを挙げることができる。
【0032】
さらに共単量体(a3)としては、前記一般式(2)におけるR2が水素原子でXがOCOR4である飽和脂肪酸ビニルエステルを挙げることができ、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)(好ましくは酢酸ビニル)を例示することができる。
【0033】
さらにまた共単量体(a3)としては、前記一般式(2)におけるR2が水素又はメチル基、XがR5で、R5がアリール基である、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;R5がシアノ基である、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;よりえらばれた共単量体も同様に利用できる。
【0034】
また共単量体(a3)としては、前記一般式(2)の単量体群以外の単量体、例えば、ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルマレート、ジ-n-オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ-n-ブチルフマレート、ジ-2-エチルヘキシルフマレート、ジ-n-オクチルフマレート等のマレイン酸もしくはフマル酸のジエステル;も使用可能である。
【0035】
さらに共単量体(a3)としては、必要に応じて、分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、前記単量体(a2)以外の単量体(以下、官能性共単量体ということがある)を共重合することもできる。
【0036】
このような官能性共単量体としては、官能基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシル基又はエポキシ基等を有する単量体を挙げることができ、また、分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体も使用できる。
【0037】
これら官能性共単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-i-ブトキシメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0038】
例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール等のヒドロキシル基含有単量体;
【0039】
例えば、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエチルアクリレート、2-メトキシエトキシエチルアクリレート、2-エトキシエトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエチルメタクリレート、2-メトキシエトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等の末端アルキル部分の炭素数が4以下の低級アルコキシル基含有単量体;
【0040】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル等のエポキシ基含有単量体;例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体;等の単量体群を挙げることができる。
【0041】
これら共単量体(a3)の共重合量は、前記単量体成分(a1)〜(a3)の合計100重量%に対して、通常45重量%以下、好ましくは1〜35重量%の範囲、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲であるのがよい。単量体(a3)の共重合量が該上限値以下であれば、得られるアクリル系共重合体が適度の柔らかさを保持しており、後記する高Tg(共)重合体を適宜の量添加して得られる組成物に由来する感圧接着剤層の接着力の再剥離性とエッジリフト改質性とのバランスが優れたものとなるので好ましい。また該下限値以上であれば、得られる感圧接着剤層に適度の接着力及び凝集力を付与することができるので、単量体(a3)を該共重合量範囲で使用することが好ましい。
【0042】
本発明に用いられるアクリル系共重合体は、そのガラス転移点(TgA)が−40℃以下であることが必要であり、−45℃以下であることが好ましく、−45〜−80℃の範囲であることがさらに好ましい。TgAが該上限温度を超えて高すぎては、得られる感圧接着剤層のタックが不足しがちとなるので好ましくない。
【0043】
なお、本発明において、アクリル系共重合体及び後記する高Tg(共)重合体のガラス転移点は下記により測定決定された値である。
【0044】
ガラス転移点:
厚さ約0.05mmアルミニウム箔製の、内径約5mm、深さ約5mmの円筒型のセルに、アクリル系共重合体水性分散液の試料約10mgを秤取し、100℃で2時間乾燥したものを測定試料とする。セイコー電子工業(株)製SSC-5000型示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)を用い、−150℃から昇温速度10℃/minで測定決定する。
【0045】
なお水性感圧接着剤組成物が、Tgが−40℃以下など感圧接着性のアクリル系共重合体(以下、感圧接着性共重合体ということがある)の微粒子の外に、その他の(共)重合体微粒子、可塑剤及び界面活性剤、さらに場合によっては、例えば、顔料、無機充填剤等のその他の添加剤を含んでいるときには、例えば、該感圧接着剤組成物を適宜イオン交換水等で希釈して低粘度化(例えば約50mPa・s以下)した後、遠心分離を行うことにより、各成分の比重の違いを利用してこれらを分離することが可能であり、本発明と同様な組成物にあっては、ガラス転移点の測定に用いるために、感圧接着性共重合体の微粒子及び高Tg(共)重合体の微粒子を分離採取することが可能である。
【0046】
本発明に好適に用いられるアクリル系共重合体の微粒子(A)は、その粒子径が200nm以上、好ましくは250nm以上、さらに好ましくは300〜800nmであるのがよい。該微粒子の平均粒子径が該下限値以上であれば、該アクリル系共重合体の微粒子(A)の水性分散液を、例えば60重量%程度などの高固形分にする場合にも、分散液の粘度が高くなりすぎて製造や配合の操作などの不都合が生じるといったことがなく、また重合中の安定性を保持するために多くの界面活性剤を必要とするなどの弊害も生じにくいので好ましい。
【0047】
なお本明細書において、分散粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された値であり、具体的には、粒子径に従って「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)及び/又は「ゼーターサイザー1000HS」(マルバーン社製)をそれぞれ用いて測定された重量平均径である。
【0048】
本発明に用いられるアクリル系共重合体は、その酢酸エチル(EAc)に対する溶解分が(以下、EAc溶解分ということがある)80重量%以下、さらには75重量%以下、特には30〜70重量%の範囲であることが好ましい。該溶解分が該上限値以下であれば、得られる組成物に由来する感圧接着剤層を商品キャンペーン用ラベルなどの再剥離型感圧接着シート類の感圧接着剤層として用いる場合、十分な凝集力を有しており、優れた再剥離性を示すので好ましい。
【0049】
さらに本発明に用いられるアクリル系共重合体は、そのEAc溶解分の重量平均分子量(Mw)が10万以上、さらには15万以上であることが好ましい。該重量平均分子量が該下限値以上であれば、得られる組成物に由来する感圧接着剤層が十分な凝集力を有しており、優れた再剥離性を示すので好ましい。
【0050】
なお本発明において、アクリル系共重合体のEAc溶解分は、以下の方法により測定決定した値である。
【0051】
酢酸エチルに対する溶解分( EAc 溶解分):
(イ) 試料フィルム作成
得られるアクリル系共重合体試料フィルムの厚さが約100μになるように、離型材上にアクリル系共重合体の水性分散液を塗布し、105℃にて90秒間乾燥して試料フィルムを作成する。
(ロ) 水抽出
上記(イ)の試料フィルムを約5cm×約15cmに切断し、予め重量を測定してある約1.5cmφのガラス棒に均一に巻き付けた後、秤量して試料フィルム重量(W1)を得る。このガラス棒に巻き付けた試料フィルムをソックスレー抽出用円筒濾紙中に入れ、ソックスレー抽出器を用いて6時間還流温度(約100℃)で水抽出を行う。得られた水抽出液を加熱乾固することにより水抽出物重量(w1)を得る。
(ハ) 酢酸エチル抽出
上記(ロ)と同様に、ガラス棒に巻き付けた試料フィルム(重量W2)を、ソックスレー抽出器を用いて6時間還流温度(約77℃)で酢酸エチル抽出を行う。得られた酢酸エチル抽出液を加熱乾固することにより酢酸エチル抽出物重量(w2)を得る。
(ニ) EAc溶解分の計算
酢酸エチルに対する溶解分は、次の式に従って計算される。
【0052】
【数1】
Figure 2004203997
【0053】
またEAc溶解分の重量平均分子量(Mw)は、この技術分野では慣用のゲル・パーミエーション(GPC)法に従って測定することができる。
【0054】
なお水性感圧接着剤組成物が、前記同様、感圧接着性共重合体の微粒子の外に各種の成分を含んでいるときには、同様に遠心分離を行うことにより、酢酸エチルに対する溶解分の測定に用いる感圧接着性共重合体の微粒子を分離採取することができる。
【0055】
本発明に用いられるアクリル系共重合体微粒子(A)の好適な製造方法としては、例えば、前記(a1)〜(a3)の単量体を、要すれば水溶性保護コロイドの存在下、適当な界面活性剤を重合用乳化剤として用いて、水性媒体中で乳化共重合する態様を挙げることができる。
【0056】
本発明において、使用し得る上記の界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;等を例示することができる。また後記するリン酸エステル化合物(C)に含まれるものであるが、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテルジブチル正リン酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルジアルキル正リン酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルジメチル正リン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルジアルキル正リン酸エステル塩類等を例示することができる。
【0057】
また、アニオン系界面活性剤類としては、例えば、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;例えば、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸エステルナトリウム塩等のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;等を例示することができる。また後記するリン酸エステル化合物(C)に含まれるものであるが、例えばモノラウリルリン酸エステルナトリウム塩、ジラウリルリン酸エステルナトリウム塩等のアルキル(又はアルケニル)リン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテルモノリン酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、モノノニルフェノールリン酸エステルナトリウム塩等のアルキルフェノールリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルモノリン酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩類等を例示することができる。
【0058】
さらに本発明の水性アクリル系重合体の乳化重合に際しては、アニオン系界面活性剤類として下記一般式(3)で示される、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型アニオン系界面活性剤も使用することができる。
【0059】
【化1】
Figure 2004203997
(式中、R6は1つ以上の芳香環を含む炭化水素基、M+はNa+、K+又はNH4 +等の対イオンを表す)
上記一般式(3)におけるR6は、下記3種の構造式で示されるジスチリルの何れか又はそれらの混合物から誘導されたものであることが好ましい。
【化2】
Figure 2004203997
上記のアニオン系界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖の長さ(nの値)としては、一般に4〜50の範囲であり、好ましく5〜45の範囲であるのがよい。これらアニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ハイテノールNF-13、ハイテノールNF-17〔商品名;以上第一工業製薬(株)製〕、ニューコール707SF、ニューコール710SF、ニューコール714SF、ニューコール723SF、ニューコール740SF〔商品名;以上日本乳化剤(株)製〕等を挙げることができる。
【0060】
また、これら乳化剤のアルキル基の水素の一部をフッ素で置換されたものも使用可能である。
【0061】
さらに本発明に用いられるアクリル系共重合体の乳化共重合に際しては、必要に応じて、分子内にラジカル重合可能な不飽和基を有する、所謂「反応性乳化剤」を使用することができる。
【0062】
このような反応性乳化剤としては、例えば、「エレミノールJS-2」、「エレミノールRS-30」〔以上、三洋化成工業(株)製〕、「アクアロンHS-10N」、「アクアロンHS-20N」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープSE-10N」〔旭電化工業(株)製〕、「ラテムルS-120」、「ラテムルS-120A」、「ラテムルS-180」、「ラテムルS-180A」〔以上、花王(株)製〕等のアニオン系反応性乳化剤;例えば、「アクアロンRN-20」、「アクアロンRN-30」、「アクアロンRN-50」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープNE-10」、「アデカリアソープNE-20」、「アデカリアソープNE-30」〔旭電化工業(株)製〕、「RMA-564」、「RMA-568」、「RMA-1114」〔以上、日本乳化剤(株)製〕等のノニオン系反応性乳化剤;などを挙げることができる。
【0063】
さらにまた、最近、アクリル系共重合体の水性分散液中に汎用されているアルキルフェニル基を含む界面活性剤が、排水中に含まれて河川等に排出されたとき、それら界面活性剤の加水分解によって生じるアルキルフェノールが、それら河川及びそれが流入する海の中に生息する生物、特に魚貝類に取り込まれて、それら生物の内分泌機能(エンドクリン)破壊物質(所謂、環境ホルモン)として作用することが知られるようになった。このようなアルキルフェノールは、これら魚介類の摂取を通して、又は直接それら河川等の水を使用する上水道の水を通して、人の体内に入る危険性が高いことが指摘されている。
【0064】
本発明においては、前記のノニオン系及びアニオン系界面活性剤の中から、上記のようなアルキルフェニル基を含まないものを選んで用いることにより上記の問題点を解消したアクリル系共重合体の水性分散液を得ることもできる。
【0065】
このような界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、ポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルジアルキル正リン酸エステル類などを使用することができ、またアニオン系界面活性剤類としては、高級脂肪酸塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩類、アルキル(もしくはアルケニル)スルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類、アルキル(又はアルケニル)リン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、前記一般式(3)のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型界面活性剤などを使用することができる。
【0066】
これらの界面活性剤を重合用乳化剤として用いる場合には、これらを適宜組み合わせて使用するのがよく、その使用量としては一般に前記アクリル系共重合体100重量部に対して0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは0.5〜4重量部程度を例示できる。
【0067】
また、これらの界面活性剤は、重合用乳化剤として用いるほか、得られる感圧接着剤水性組成物の機械安定性の向上や離型材(シリコーン樹脂等で離型処理した紙又は合成樹脂フィルム)への塗工性の改良等を目的として、前記水性乳化共重合後にしばしば後添加される。例えば、転写法(該感圧接着剤組成物を離型材上に塗布して乾燥させ感圧接着剤層を形成させた後、該感圧接着剤層上に該基材を重ね加圧し、該基材上に該感圧接着剤層を転写する方法)が採用される場合には、前記アニオン系界面活性剤中に例示したスルホコハク酸エステル塩系アニオン系界面活性剤がしばしば用いられる。
【0068】
本発明に好適に用いられるアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液の製造に際して、以上述べた界面活性剤と共に併用することのできる前記の水溶性保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)類;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアガムなどの天然多糖類;などがあげられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。これらの水溶性保護コロイドの中、乳化共重合のしやすさ、得られる感圧接着剤層の凝集力の優秀さなどの観点より、PVA類を用いるのが好ましく、部分ケン化PVA及び/又は変性PVAであって、平均重合度が500以下のものを用いるのが特に好ましい。これら水溶性保護コロイドを併用するときには、前記単量体成分(a1)〜(a3)の合計100重量部当り0.1〜2重量部程度の量であるのがよい。
【0069】
更に、乳化共重合に際しては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類;t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物類、過酸化水素などの重合開始剤を使用することができる。これらも一種もしくは複数種併用のいずれの態様でも利用できる。これらの重合開始剤は、前記単量体(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1〜1重量部程度の量用いるのが好ましい。
【0070】
また、水性乳化共重合に際して、所望により、還元剤を使用することができる。その例としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩等の還元性有機化合物;チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物を例示できる。これら還元剤は、前記単量体(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.1〜1重量部程度の量用いるのが好ましい。
【0071】
更にまた、水性乳化共重合に際して、前記の重量平均分子量範囲の共重合体を得るために連鎖移動剤を使用するのが好ましく、このような連鎖移動剤としては、例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、2-エチルヘキシルチオグリコレート、2-メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタン等を挙げることができる。これら連鎖移動剤を使用する場合には、前記単量体(a1)〜(a3)の合計100重量部に対して、0.005〜0.5重量部程度の量用いるのが好ましい。
【0072】
本発明に用いるアクリル系共重合体微粒子(A)の乳化共重合において好適に採用される共重合温度は、約40〜100℃、特には約60〜90℃である。
【0073】
かくして得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液は、必要に応じてアンモニア水等によってpH調節することができる。このような分散液は、固形分濃度30〜70重量%、好ましくは45〜65重量%、粘度50〜3000mPa・s(B型回転粘度計、25℃、20rpm;粘度測定条件以下同様)、pH2〜8程度であるのがよい。
【0074】
本発明の再剥離型水性感圧接着剤組成物は、前述したようなアクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して、必須成分としてメチルメタクリレート及び/又はスチレンを必須単量体として含む単量体に由来するガラス転移点(TgB)+30℃以上、好ましくは+40℃以上、さらに好ましくは+50℃以上の(共)重合体〔高Tg(共)重合体〕の微粒子(B)を1〜15重量部、好ましくは3〜14重量部、さらに好ましくは5〜12重量部含んでなるものである。
【0075】
上記高Tg(共)重合体のガラス転移点(Tg)が該下限値より低いときには、得られる組成物に由来する感圧接着剤層の再剥離性に、十分な改善効果がみられないので好ましくない。また上記高Tg(共)重合体の配合量が上記下限値未満と少なすぎては、該高Tg(共)重合体の添加効果である再剥離性の改善効果が発揮されにくいので好ましくなく、該上限値を超えて多すぎては、前記のような「エッジリフト」を生じたり、感圧接着シート類の作製を転写塗工により行う場合、合成紙などの基材との密着性が不十分となることがあるので好ましくない。
【0076】
本発明に好適に用いられる高Tg(共)重合体は、必須単量体としてメチルメタクリレート及び/又はスチレン〔以下必須単量体(b1)又は単に単量体(b1)ということがある〕を50重量%以上、好ましくは60〜99.9重量%、さらに好ましくは70〜99.5重量%乳化(共)重合してなるものである。該必須単量体(b1)の(共)重合量限値以上であれば、このような高Tg(共)重合体を少量添加するだけで、得られる組成物に由来する感圧接着剤層に、前記のような「エッジリフト」等の不都合なしに再剥離性を向上させることができるので好ましい。また該上限値以下であれば、結果として後記する炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(b2)〔以下不飽和カルボン酸(b2)又は単に単量体(b2)ということがある〕の共重合が可能となり、その高Tg共重合体微粒子の重合時の安定性並びに、得られるその水性分散液及び該高Tg共重合体微粒子を配合した感圧接着剤組成物の貯蔵安定性が優れたものとなるのでさらに好ましい。
【0077】
本発明に用いられる高Tg(共)重合体には、上記の必須単量体(b1)と共に、必要に応じて、不飽和カルボン酸(b2)を共重合することができる。このような不飽和カルボン酸(b2)としては、前記アクリル共重合体における必須の単量体成分(a2)として例示した不飽和カルボン酸を用いることができ、単量体(a2)の場合と同様に、アクリル酸、メタクリル酸の利用がより好ましい。
【0078】
不飽和カルボン(b2)の使用量は、高Tg(共)重合体を構成する単量体成分〔必須単量体(b1)、該単量体(b2)及び後記の、必要に応じて用いられる共単量体(b3)〕の合計100重量%に対して10重量%以下であるのがよく、より好ましくは0.1〜8重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。該単量体(b2)の使用量が該上限量以下であれば、得られる組成物に由来する感圧接着剤層の特性、特に接着力の経時変化を、高湿度の条件下において僅かな範囲に抑制することができるので好ましい。一方、該使用量が該下限量以上であれば、高Tg共重合体微粒子の重合時の安定性及び得られるその水性分散液の貯蔵安定性が優れたものとなるので、該使用量範囲において適当に選択利用するのがよい。
【0079】
本発明に用いられる高Tg(共)重合体には、前記必須単量体(b1)、必要に応じて用いられる不飽和カルボン酸(b2)と共に、さらに必要に応じて、該単量体(b1)及び(b2)と共重合可能な、該単量体(b1)及び(b2)以外の共単量体〔以下共単量体(b3)又は単に単量体(b3)ということがある〕を共重合することができる。共単量体(b3)としては、前記アクリル共重合体における主単量体(a1)及び、必要に応じて用いられる共単量体(a3)〔但し必須単量体(b1)であるメチルメタクリレート及びスチレンを除く〕の中から適宜選択して用いることができる。
【0080】
具体的には、上記共単量体(b3)には、前記主単量体(a1)で例示された単量体、すなわち、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート等;
【0081】
前記共単量体(a3) で例示された単量体、すなわち、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、オレイルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル;例えば、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、i-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、i-デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメチルメタクリレート以外のメタクリル酸エステル;
【0082】
例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等の飽和脂肪酸ビニルエステル;例えば、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン以外の芳香族ビニル単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;例えば、ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルマレート、ジ-n-オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ-n-ブチルフマレート、ジ-2-エチルヘキシルフマレート、ジ-n-オクチルフマレート等のマレイン酸もしくはフマル酸のジエステル;等が好適に使用されうる。
【0083】
さらに共単量体(b3)としては、アクリル系共重合体微粒子(A)の場合と同様、前記の官能性共単量体を用いることもできる。
【0084】
これら共単量体(b3)を適宜選択して用いることにより、得られる高Tg(共)重合体微粒子(B)に、必要に応じて、柔軟性やアクリル系共重合体微粒子(A)との親和性、所望により添加される架橋剤との反応性などを付与することができ、その共重合量は、前記単量体成分(b1)〜(b3)の合計100重量%に対して、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下であるのがよい。
【0085】
本発明に好適に用いられる高Tg共重合体微粒子(B)は、その粒子径が200nmより小さいものであるのがよく、好ましくは190nm以下、さらに好ましくは70〜180nmであるのがよい。該微粒子の平均粒子径が該下限値未満(又は以下)であれば、比較的少量の添加で前記「エッジリフト」を生じることなく再剥離性を向上させることができるので好ましい。
【0086】
本発明に用いられる高Tg共重合体微粒子(B)もまた、前記アクリル系共重合体微粒子(A)の場合と同様、前記(b1)〜(b3)の単量体を、必要に応じて水溶性保護コロイドの存在下、アクリル系共重合体微粒子(A)の場合と同様の界面活性剤、重合開始剤、必要に応じての還元剤等を用いて、水性媒体中で乳化共重合することにより製造することができる。またこれら材料の使用量範囲もアクリル系共重合体微粒子(A)の場合とほぼ同様である。さらに共重合温度もまた、ほぼ同様の温度範囲を採用することができる。
【0087】
かくして得られる高Tg共重合体微粒子(B)の水性分散液は、必要に応じてアンモニア水等によってpH調節することができる。このような分散液は、固形分濃度30〜70重量%、好ましくは45〜65重量%、粘度50〜3000mPa・s、pH2〜8程度であるのがよい。
【0088】
本発明の再剥離型水性感圧接着剤組成物は、以上述べたアクリル系共重合体の微粒子(A)及び高Tg(共)重合体の微粒子(B)と共に、該アクリル系共重合体微粒子(A)100重量部に対して、可塑剤及び/又は可塑剤以外のリン含有化合物(以下可塑剤等ということがある)(C)を1〜15重量部、好ましくは3〜12重量部、さらに好ましくは5〜10重量部含んでなるものである。該可塑剤等(C)の配合量が上記下限値未満と少なすぎては、得られる感圧接着剤層の接着力が高くなりすぎ、被着体への「のり残り」や、「ユポ」(商品名)など複層構造の合成紙基材の層間剥離を生じやすいので好ましくなく、該上限値を超えて多すぎては、前記のような「エッジリフト」を生じたり、被着体表面が汚染されたりする不都合が生じやすいので好ましくない。
【0089】
上記可塑剤等(C)としては、必ずしもその種類が限定されるものではなく、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ(n-オクチル)フタレート、ジ(i-ノニル)フタレート、ジ(n-デシル)フタレート、ジ(i-デシル)フタレート、ジ(トリデシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル系可塑剤;例えば、トリ(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ(n-オクチル)トリメリテート、トリ(i-デシル)トリメリテート等のトリメリット酸系可塑剤;例えば、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ(i-ブチル)アジペート、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート、ジ(i-デシル)アジペート、ビスブチルグリコールアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;
【0090】
例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の正リン酸エステル系可塑剤;例えば、グリセリントリアセテート、(2-エチルヘキシル)アセテート等の酢酸エステル系可塑剤;例えば、メチルアセチルリシノレート、ポリ(1,3-ブタンジオールアジペート)、エポキシ化大豆油等のその他の可塑剤;等の可塑剤群の中から適宜選択して使用することが可能である。
【0091】
本発明における可塑剤等(C)には、上記の可塑剤群の外に、前記の乳化重合にも使用可能なノニオン系及びアニオン系界面活性剤、すなわちポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルジアルキル正リン酸エステル類及びアルキル(又はアルケニル)リン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類等のリン含有化合物が含まれる。このようなリン含有化合物を乳化重合に用いるときには、本発明でいう可塑剤等(C)の使用量には、前記アクリル系共重合体微粒子(A)及び高Tg(共)重合体微粒子(B)に用いたリン酸エステル系界面活性剤の量が含まれることはいうまでもない。
【0092】
さらに本発明における可塑剤等(C)としては、一般に静電防止剤などで用いられるリン含有化合物、例えば、リン酸モノもしくはジメチル、リン酸モノもしくはジブチル、リン酸モノもしくはジ-2-エチルヘキシル、リン酸モノもしくはジイソデシル等を挙げることができる。
【0093】
本発明においては、得られる感圧接着剤組成物を再剥離型感圧接着剤シート類に用いるとき、各種被着体、例えばPETボトルなどのリサイクル可能な包装材料からの再剥離性を向上させる等の理由から、これら可塑剤群の内、正リン酸エステル系可塑剤の使用が好ましく、中でも、トリブチルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェートの使用が特に好ましい。
【0094】
これら可塑剤等(C)の添加方法としては、特に限定されるものではなく、例えば前記アクリル系共重合体微粒子(A)の共重合時(好ましくは乳化共重合時)に、単量体に混合するなどして添加する方法;共重合終了後、好ましくは得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液中に後添加する方法;など適宜公知の方法を採用することができる。
【0095】
本発明の再剥離型水性感圧接着剤組成物は、以上述べたアクリル系共重合体微粒子(A)、高Tg(共)重合体微粒子(B)及び可塑剤等(C)と共に、必要に応じ架橋剤として、水性エポキシ化合物を含有させることができる。
【0096】
上記の水性エポキシ化合物は特に限定されるものではなく、前記のアクリル系共重合体微粒子(A)、高Tg(共)重合体微粒子(B)及び可塑剤(C)と配合して感圧接着剤水性組成物とするに当たり、分散不良やカスの発生などのトラブルを生じないものなら何れも使用することができる。
【0097】
このような水性エポキシ化合物としては、水溶性もしくは水分散性エポキシ化合物、または、エポキシ化合物の乳化分散液などを例示できる。これらのうち、水溶性もしくは水分散性エポキシ化合物の使用が好ましい。
【0098】
なお、ここでいう「水溶性もしくは水分散性」とは、水100重量部中に5部添加し撹拌混合したときに、油滴となって分離したり、固形物を生じたりすることなく、外見上均一な水溶液または水分散液となる場合をいう。
【0099】
上記本発明に好適な水溶性もしくは水分散性エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等のモノ〜ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類;
【0100】
例えば、グリセロールのジもしくはトリグリシジルエーテルまたはそれらの混合物、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のモノ〜ポリグリセロールのジ〜ポリグリシジルエーテル類;例えば、トリメチロールプロパンのジもしくはトリグリシジルエーテルまたはそれらの混合物;例えば、ペンタエリスリトールのジ、トリもしくはテトラグリシジルエーテルまたはそれらの混合物;例えば、ソルビトールのジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサグリシジルエーテルまたはこれらの混合物;例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル;等を挙げることができる。
【0101】
これらの好適なエポキシ化合物としては、例えば、「デナコール」という商品名[ナガセ化成工業(株)製]で市販されているものの中から適宜選択して用いることができる。
【0102】
水性エポキシ化合物を併用する場合には、前記アクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは0.3〜3重量部用いるのが好ましい。該使用量が該上限値以下であれば、紙基材などの感圧接着シート類では、接着剤成分と基材との密着性が向上して、該シート類の剥離に際して「のり残り」や「紙破れ」などを引き起こしにくいので好ましく、該下限値以上であれば、得られる感圧接着シート類の再剥離性などの接着物性の向上が顕著に現れるので好ましい。
【0103】
水性エポキシ化合物の配合方法としては、得られる接着剤組成物のポットライフの観点から、前記アクリル系共重合体微粒子(A)、高Tg(共)重合体の微粒子(B)及び可塑剤(C)を含む水性分散物中に、該組成物の塗工作業の直前〜8時間前に行うのが好ましい。
【0104】
本発明の再剥離型感圧接着剤水性組成物は、特に制限されることなく、合成樹脂フィルム、合成紙、紙、布、不織布、木板など各種の成形物(中でもシート状の成形物)を基材として使用することができるが、特に合成樹脂フィルム用及び合成紙用として好適に使用することができ、中でも「ユポ」(商品名)として知られるポリプロピレンの層を含む複数の合成樹脂層の積層物である合成紙に用いることが、本発明組成物の卓越した特性を生かす上で特に好ましい。感圧接着剤層はこれら成形物表面の少なくとも一部に形成され、例えば不織布などを芯材として用いその両面に感圧接着剤層が形成される、所謂「両面テープ」などが知られているが、通常はフィルム等のシート状物の一表面上に形成される。
【0105】
本発明の再剥離型感圧接着剤水性組成物を用いて、感圧接着層を形成させる方法としては、上記の成形物基材の表面に該感圧接着剤組成物を直接塗布して乾燥させる直接法が採用できる。
【0106】
更に転写法、すなわち、シリコーン等で離型処理した紙または合成樹脂フィルム等の離型材上に、感圧接着剤組成物を塗布して乾燥させ感圧接着剤層を形成させた後、該感圧接着剤層上に該基材を重ね加圧し、各種基材上に該感圧接着剤層を転写する方法も利用できる。このような転写法では、離型材上への塗工時にハジキが生じ易いため、このハジキを防止する目的で、例えば、前記スルホコハク酸エステル系アニオン系界面活性剤を使用することができる。
【0107】
前記の転写法では、通常、各種の増粘剤を用いて本発明の組成物を増粘して用いる。このような増粘剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、前記PVA類、前記セルロース誘導体、アルカリ性で増粘する水性分散型ポリ(メタ)アクリル酸系共重合体増粘剤等を例示することができる。これらの増粘剤の使用量は、所望の粘度に応じて適宜きめることができ、前記アクリル系共重合体100重量部に対して固形分として0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。
【0108】
また、本発明の感圧接着剤組成物は、必要に応じて、pH調整剤、湿潤剤及び防カビ剤等を添加して使用することができる。
【0109】
更に、本発明の感圧接着剤組成物は、所望の性能を損なわない限り、従来から用いられている合成ゴムラテックス、天然ゴムラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル共重合体エマルジョンまたはその他合成樹脂エマルジョンを添加して使用することができる。
【0110】
本発明の再剥離型感圧接着剤水性組成物は、一般に、固形分濃度30〜70重量%、粘度100〜15000mPa・s、pH3〜8程度がよく、また、転写法に用いる場合には、固形分濃度30〜70重量%、粘度3000〜15000mPa・s、pH4〜8.5が好適である。
【0111】
本発明の再剥離型感圧接着剤組成物に由来する感圧接着剤層が形成された成形物、特に合成樹脂フィルムや合成紙などのシート状物は、その再剥離性の優秀さにより商品イメージや美観を高めるために商品に貼付される各種ラベルとして、特にラベル再貼着時のエッジリフトの少なさなどの特性から、商品のキャンペーン用ラベルとして、ビール、発泡酒、日本酒、リキュールなどの酒類、ジュース、お茶などの清涼飲料類、天然水などを詰めたアルミニウム鋼製の缶、ステンレス鋼製の缶又はポリエチレンテレフタレート製ボトルなどに用いるために適している。
【0112】
【実施例】
以下、比較例、参考例と共に実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明する。なお、感圧接着シート試験片の作成並びに、該試験片を用いる各種の接着物性試験法は以下の方法に従った。
【0113】
(1) 感圧接着シート試験片の作成
離型材上に、乾燥後の感圧接着剤層が18〜22g/m2になるように感圧接着剤水性組成物のサンプルを塗布し、105℃、90秒間熱風循環式乾燥器にて乾燥後、「ユポSGS80」〔商品名;ユポコーポレーション(株)製〕に転写して感圧接着シートを作成する。
【0114】
(2) 接着力試験
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名「東洋紡エステルE5001」;東洋紡績(株)製〕をポリエチレン(PE)板上に両面テープで貼付固定し、メタノールを含ませたガーゼでPETフィルム表面を拭いて前処理を行い、これを被着体とする。この被着体に、前(1)項で作成した試験片をJIS Z-0237の方法にしたがって圧着し、30分後、23℃、50%RH、剥離速度300mm/minの条件下で、その剥離強度(g/25mm)を測定する。
【0115】
剥離強度の値は700〜1000g/25mmの範囲であることが好ましく、800〜900g/25mmの範囲であることがさらに好ましい。
【0116】
(3) タック試験
J. Dow法に準じて、傾斜角30゜の斜面に長さ100mmに切断した前(1)項作成の試験片を貼りつけ、斜面上方100mmの位置より値径x/32インチの大きさのスチールボールをころがし、試料上で停止する最大径のボールの大きさxで表示する。
【0117】
(4) 凝集力試験
JIS R-6253に規定する#280の耐水研磨紙で磨いたSUS 304のステンレス鋼板(以下、SUSと略称することがある)に、前(1)項作成の試験片の貼着面積が25×25mm2になる様に貼りつけ、2kgローラーを10往復して圧着する。これを40℃、65%RHの雰囲気下で1kgの静荷重を試料にかけ、荷重が落下するまでの時間を測定する。
【0118】
(5) 再剥離性試験
前(1)項で作成した試験片を20mm×15mmの大きさに切断し、市販の飲料が入ったスチール缶に貼り合わせてから、75℃、90%RHの恒温恒湿器中に7日間放置した後、取り出し4時間後にそれぞれ手剥離によって剥離して、そのときの剥離状態を次の基準に従って評価する。
【0119】
評価基準
○;糊残りせず、きれいに剥離することができる
△;一部糊残り有り
×;半分以上の面積に糊残り有り
【0120】
(6) 再貼付性試験
前(1)項で作成した試験片を15mm幅に切断し、前(2)項で用いたと同様の被着体(PET)に貼り付け、2kgのローラーを2往復して圧着する。24時間後、23℃、50%RH、剥離速度30mm/minの条件下で剥離したものを20mm幅(試片20mm×15mm)に切断し、予め13mmφのPE棒に市販のPPC用紙〔商品名;OAペーパー(中性紙);NBSリコー(株)製〕を巻いて作成した試験棒に、この試片を巻き付けて貼付し、23℃、50%RHの条件下で24時間後、試験片四隅の試験棒から浮いた部分の長さをそれぞれ測定し、その合計値の半分の値(mm)を求めて次のように評価する。
【0121】
評価基準
○;5mm未満
△;10mm未満
×;10mm以上
【0122】
〔アクリル系共重合体微粒子の作製〕
製造例A1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内にイオン交換水40重量部、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.02重量部、還元剤としてメタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)0.02重量部を仕込み、内温を75℃に昇温させた。
【0123】
一方、別の容器にイオン交換水22重量部、重合用乳化剤としてノニオン系界面活性剤「DSK NL-600」〔ポリオキシエチレン(n=60)ラウリルエーテル(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製〕(NL-600)を1.0重量部、及びアニオン系界面活性剤「ハイテノールNF-17」〔ポリオキシエチレン(n=17.5)ジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩(有効成分濃度95重量%);第一工業製薬(株)製〕(NF-17)を1.05重量部(有効成分約1.0重量部)仕込んで溶解し、次いでこれに2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)27重量部、ブチルアクリレート(BA)63.5重量部、メチルメタクリレート(MMA)6.5重量部、アクリル酸(AA)3.0重量部及び連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタン(nDM)0.027重量部からなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体プレミックスを得た。
【0124】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌し、内容物温度を75℃に保ちながら、上記単量体プレミックス、5重量%APS水溶液7.3重量部及び5重量%SMBS水溶液7.3重量部をそれぞれ逐次添加して重合を開始させ、約3時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で更に約1時間攪拌を継続してから冷却し、アンモニア水を用いてpH調整をして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。
【0125】
この分散液は、固形分57.5重量%、pH4.6、粘度101mPa・s、粒子径369nmであった。また、このアクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)は-52℃、EAc溶解分は49重量%、該溶解分の重量平均分子量(Mw)は約36万であった。
【0126】
製造例A2及びA3
製造例A1において、表1に示すように単量体の組成を変えて得られるアクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)を変える以外は製造例A1と同様にして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。単量体の組成、重合用乳化剤の組成及び連鎖移動剤の使用量を表1に、得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の特性値及びその水性分散液の特性値を第2表に示す。
【0127】
製造例A4〜A6
製造例A1において、表1に示すようにAAの使用量を変え又はこれを用いず、得られる共重合体のTgがほぼ同じになるように、そのAAの増減分をMMAの増減で加減する以外は製造例A1と同様にして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。単量体の組成、重合用乳化剤の組成及び連鎖移動剤の使用量を表1に、得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の特性値及びその水性分散液の特性値を第2表に示す。
【0128】
製造例A7及びA8
製造例A1において、MMAを用いる代わりにメチルアクリレート(MA)又は酢酸ビニル(VAc)を用い、得られる共重合体のTgがほぼ同じになるようにHEAの使用量を変える以外は製造例A1と同様にして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。単量体の組成、重合用乳化剤の組成及び連鎖移動剤の使用量を表1に、得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の特性値及びその水性分散液の特性値を第2表に示す。
【0129】
製造例A9
製造例A1において、反応器内に予め重合用乳化剤であるNL-600及びNF-17を0.1重量部ずつ加えて溶解させ、その分だけ単量体プレミックス用の容器に仕込む重合用乳化剤の量を減らし、さらに粘度が高くなり過ぎないように、反応器内へのイオン交換水の初期仕込量を40重量部から60重量部に変え、さらに逐次添加用のAPS水溶液及びSMBS水溶液としてそれぞれ5重量%水溶液を7.3重量部用いる代わりに、それぞれ2.5重量%水溶液を14.6重量部用いて固形分を下げる以外は製造例A1と同様にして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。単量体の組成、重合用乳化剤の組成及び連鎖移動剤の使用量を表1に、得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の特性値及びその水性分散液の特性値を第2表に示す。
【0130】
製造例A10及びA11
製造例A1において、表1に示すように連鎖移動剤nDMの使用量を変え又はこれを用いる以外は製造例A1と同様にして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。単量体の組成、重合用乳化剤の組成及び連鎖移動剤の使用量を表1に、得られるアクリル系共重合体微粒子(A)の特性値及びその水性分散液の特性値を第2表に示す。
【0131】
製造例A12
特開平1-234485号公報の実施例2に開示されている単量体組成及び乳化剤組成に基づいてアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を作製した。すなわち、製造例A1で用いたものと同様の反応器内に、イオン交換水40重量部、重合開始剤としてAPS 0.1重量部を仕込み、内温を70℃に昇温させた。
【0132】
一方、別の容器にイオン交換水34重量部、重合用乳化剤としてノニオン系界面活性剤「エマルゲン950」〔ポリオキシエチレン(n=50)ノニルフェニルエーテル(有効成分濃度100重量%);花王(株)製〕(E-950)を1.0重量部、及びアニオン系界面活性剤「ネオゲンR」〔ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度95重量%);第一工業製薬(株)製〕(N-R)1.0重量部(有効成分0.95重量部)を仕込んで溶解し、次いでこれにEHA 88重量部、MMA 10重量部、AA 2.0重量部及び連鎖移動剤としてnDM 0.05重量部からなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体プレミックスを得た。
【0133】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌し、内容物温度を80℃に保ちながら、上記単量体プレミックス、5重量%APS水溶液7.3重量部及び5重量%SMBS水溶液7.3重量部を逐次添加して重合を開始させ、約8時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で更に約2時間攪拌を継続してから冷却し、アンモニア水を用いてpH調整をして、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液を得た。
【0134】
この分散液は、固形分57.7重量%、pH4.5、粘度86mPa・s、粒子径547nmであった。また、このアクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)は-60℃、EAc溶解分は62重量%、該溶解分の重量平均分子量(Mw)は約41万であった。
【0135】
【表1】
Figure 2004203997
【0136】
【表2】
Figure 2004203997
【0137】
〔高Tg(共)重合体微粒子(B)の作製〕
製造例B1
製造例A1で用いたものと同様の反応器内に、イオン交換水38重量部、重合開始剤としてAPS 0.015重量部、還元剤としてSMBS 0.015重量部を仕込み、内温を75℃に昇温させた。
【0138】
一方、別の容器にイオン交換水25重量部、重合用乳化剤としてアニオン系界面活性剤「NF-17」を2.8重量部(有効成分2.66重量部)仕込んで溶解し、次いでこれにスチレン(St)97重量部及びAA3重量部からなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体プレミックスを得た。
【0139】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌し、内容物温度を80℃に保ちながら、上記単量体プレミックス、2.5重量%NaPS水溶液20.4重量部及び2.5重量%SMBS水溶液20.4重量部をそれぞれ逐次添加して重合を開始させ、約4時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で更に約2時間攪拌を継続してから冷却し、共重合体微粒子(B)の水性分散液を得た。この分散液は、固形分49.8重量%、pH2.1、粘度75mPa・s、粒子径114nmであった。またこの共重合体微粒子のガラス転移点は99℃であった。
【0140】
製造例B2
製造例B1で用いたものと同様の反応器内に、イオン交換水64重量部、アニオン系界面活性剤「NF-17」0.2重量部(有効成分0.19重量部)、重合開始剤として過硫酸カリウム(KPS)0.21重量部、還元剤としてSMBS 0.21重量部を仕込み、内温を50℃に昇温させた。
【0141】
一方、別の容器にイオン交換水34重量部、重合用乳化剤としてアニオン系界面活性剤「NF-17」を2.8重量部(有効成分2.66重量部)仕込んで溶解し、次いでこれにMMA 84重量部、エチルアクリレート(EA)13重量部及びメタクリル酸(MAA)3重量部からなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体プレミックスを得た。
【0142】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌し、内容物温度を57℃に保ちながら、まず、上記単量体プレミックスの5重量%を添加重合し、次いで残りの単量体プレミックス、2.5重量%NaPS水溶液及び2.5重量%SMBS水溶液を逐次添加して重合を開始させ、約4時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で更に約1.5時間攪拌を継続してから冷却し、共重合体微粒子(B)の水性分散液を得た。
【0143】
この分散液は、固形分45.1重量%、pH2.3、粘度68mPa・s、粒子径125nmであった。また、この重合体微粒子のガラス転移点は77℃であった。
【0144】
製造例B3〜B5
製造例B2において、単量体としてMMA 84重量部、EA 13重量部及びMAA 3重量部を用いる代わりに、表3に示すように単量体の組成を変えて得られる共重合体微粒子のTgを変えた以外は製造例B2と同様にして、共重合体微粒子の水性分散液を得た。単量体の組成並びに分散液及び共重合体微粒子の各種物性値を第3表に示す。
【0145】
製造例B6
製造例B2において、単量体プレミックスの全量を逐次添加する以外は製造例B2と同様にして、共重合体微粒子の水性分散液を得た。単量体の組成並びに分散液及び重合体微粒子の各種物性値を第3表に示す。
【0146】
【表3】
Figure 2004203997
【0147】
〔感圧接着剤組成物の作製〕
実施例1
製造例A1で得たアクリル系共重合体微粒子(A)の水分散液174重量部(アクリル系共重合体として約100重量部)と、製造例B1で得た高Tg共重合体微粒子(B)の水分散液20.1重量部(高Tg共重合体微粒子として約10重量部)とを混合し、アルカリ増粘剤及びアンモニア水を添加してpH約7.0、粘度約6000mPa・sにしてから、可塑剤等(C)としてトリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)を6.6重量部加えて、粘度8000mPa・s、pH7.6、固形分49.8重量%の水性感圧接着剤組成物を得た。
【0148】
この組成物を用いて、前記(1)項の方法に従い感圧接着シート試験片を作成し、以下、試験法(2)〜(6)に従って感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0149】
実施例2〜4及び比較例1〜2
実施例1において、高Tg共重合体微粒子(B)である製造例B1の共重合体微粒子の使用量を変え、又はこれを用いない以外は実施例1と同様にして水性感圧接着剤組成物を得た。得られた感圧接着剤組成物の配合組成を表4に、それらの特性値(粘度、pH及び固形分)を表5に示す。
【0150】
またこれら組成物を用いて、実施例1と同様に感圧接着シート試験片を作成し、感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0151】
実施例5〜6及び比較例3〜4
実施例1において、可塑剤等(C)であるTOPの使用量を変え、又はこれを用いない以外は実施例1と同様にして水性感圧接着剤組成物を得た。得られた感圧接着剤組成物の配合組成を表4に、それらの特性値(粘度、pH及び固形分)を表5に示す。
【0152】
またこれら組成物を用いて、実施例1と同様に感圧接着シート試験片を作成し、感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0153】
実施例7〜8
実施例1において、可塑剤等(C)としてTOPを6.6重量部用いる代わりに、トリス(クレジル)ホスフェート(TCP)6.6重量部及びジ(2-エチルヘキシル)フタレート(DOP)6.6重量部をそれぞれ用いる以外は実施例1と同様にして水性感圧接着剤組成物を得た。得られた感圧接着剤組成物の配合組成を表4に、それらの特性値(粘度、pH及び固形分)を表5に示す。
【0154】
またこれら組成物を用いて、実施例1と同様に感圧接着シート試験片を作成し、感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0155】
実施例9〜12及び比較例5
実施例1において、高Tg共重合体微粒子(B)として製造例B1の共重合体微粒子を10重量部用いる代わりに、製造例B2〜B6の共重合体微粒子をそれぞれ10重量部用いる以外は実施例1と同様にして水性感圧接着剤組成物を得た。得られた感圧接着剤組成物の配合組成を表4に、それらの特性値(粘度、pH及び固形分)を表5に示す。
【0156】
またこれら組成物を用いて、実施例1と同様に感圧接着シート試験片を作成し、感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0157】
実施例13〜21及び比較例6〜7
実施例1において、アクリル系共重合体微粒子(A)として製造例A1の共重合体微粒子を用いる代わりに、製造例A2〜A11の共重合体微粒子をそれぞれ用いる以外は実施例1と同様にして水性感圧接着剤組成物を得た。得られた感圧接着剤組成物の配合組成を表4に、それらの特性値(粘度、pH及び固形分)を表5に示す。
【0158】
またこれら組成物を用いて、実施例1と同様に感圧接着シート試験片を作成し、感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0159】
参考例
特開平1-234485号公報の実施例2に準じて、すなわち製造例A11の共重合体微粒子を100重量部用い、高Tg共重合体微粒子(B)を用いず、可塑剤等(C)としてGAFAC RM-410〔商品名;東邦化学工業(株)製;アルキルフェノール型リン酸エステル〕(RM-410)2.0重量部を用い、さらに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエステル(PEGDGE)1.0重量部をもちいて水性感圧接着剤組成物を得た。得られた感圧接着剤組成物の配合組成を表4に、その特性値(粘度、pH及び固形分)を表5に示す。
【0160】
またこの組成物を用いて、実施例1と同様に感圧接着シート試験片を作成し、感圧接着シートの物性測定を行った。得られた感圧接着シートの諸物性を第5表に示す。
【0161】
なおこの参考例に用いた感圧接着剤組成物を室温(約23℃)で3日間放置したところ、異常増粘して塗工不能となった。
【0162】
【表4】
Figure 2004203997
【0163】
【表5】
Figure 2004203997
【0164】
【発明の効果】
本発明の再剥離型感圧接着剤水性組成物は、アルミ缶、スチール缶、PETボトルなどリサイクル可能な包装材料を被着体とし、複層構造の合成紙などを基材とする再剥離型感圧接着シート類に用いるとき、優れた諸性質、すなわち、優れたタック、適度な接着力と再剥離性とのバランス及び十分な凝集力を兼備し、剥離時には「のり残り」、「紙破れ」等の不具合を生ずることなくきれいに剥離することができる。そして特に最近盛んに行われるようになった、飲料などの商品に貼られたラベルを集めて台紙等に貼りその商品のメーカーなどに送って景品と交換する、所謂商品キャンペーン用ラベルとして用いるとき、剥離ラベルの再貼着に際して「エッジリフト」などの不都合を生じないという卓越した性能を発揮する。

Claims (21)

  1. 下記(A)〜(C)、
    (A) 分子内にカルボキシル基を有する、ガラス転移点(TgA)−40℃以下のアクリル系共重合体の微粒子 100重量部、
    (B) メチルメタクリレート及び/又はスチレンを必須単量体として含む単量体に由来するガラス転移点(TgB)+30℃以上の(共)重合体の微粒子 1〜15重量部、並びに、
    (C) 可塑剤及び/又は可塑剤以外のリン含有化合物 1〜15重量部
    を含んでなる再剥離型水性感圧接着剤組成物。
  2. アクリル系共重合体が、アクリル酸エステル又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを50重量%以上含む単量体に由来する共重合体である請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  3. アクリル系共重合体が、下記単量体(a1)〜(a3)、
    (a1) 下記一般式(1)で表され、その単独重合体のガラス転移点が−50℃以下であるアクリル酸エステル 50〜99.9重量%、
    H2C=CH−COOR1 (1)
    (式中、R1は炭素数4〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基を示す)
    (a2) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.1〜5重量%、並びに
    (a3)上記単量体(a1)及び(a2)と共重合可能な、該単量体(a1)及び(a2)以外の共単量体 45重量%以下、
    〔但し、単量体(a1)〜(a3)の使用量の合計を100重量%とする〕
    を乳化共重合してなるものである請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  4. 共単量体(a3)が下記一般式(2)、
    H2C=CR2−X (2)
    (ここで、R2は水素又はメチル基、XはCOOR3、OCOR4又はR5であって、R3は炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝アルキル基又はアルケニル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基或いは炭素数7〜10のアラルキル基、R4は水素又は炭素数2〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基、R5は炭素数6〜8のアリール基又はシアノ基を表す)
    で示されるものである請求項3に記載の感圧接着剤組成物。
  5. 共単量体(a3)が、メチルメタクリレート、メチルアクリレート及び酢酸ビニルから選ばれる単量体を含む請求項3に記載の感圧接着剤組成物。
  6. アクリル系共重合体が、アルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含まない界面活性剤の存在下に乳化共重合される請求項3に記載の感圧接着剤組成物。
  7. アクリル系共重合体の微粒子の粒子径が200nm以上である請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  8. アクリル系共重合体の酢酸エチルに対する溶解分が80重量%以下である請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  9. アクリル系共重合体の、酢酸エチルに対する溶解分の重量平均分子量が10万以上である請求項8に記載の感圧接着剤成物。
  10. ガラス転移点(TgB)+30℃以上の(共)重合体が、下記単量体(b1)〜(b3)、
    (b1) メチルメタクリレート及び/又はスチレン 50重量%以上、
    (b2) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 10重量%以下、並びに
    (b3)上記単量体(b1)及び(b2)と共重合可能な、該単量体(b1)及び(b2)以外の共単量体 40重量%以下、
    〔但し、単量体(b1)〜(b3)の使用量の合計を100重量%とする〕
    を乳化共重合してなるものである請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  11. ガラス転移点(TgB)+30℃以上の(共)重合体の微粒子の粒子径が200nmより小さい請求項1又は10に記載の感圧接着剤組成物。
  12. 可塑剤及び/又は可塑剤以外のリン含有化合物(C)が正リン酸エステル系可塑剤である請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  13. 感圧接着剤組成物が合成樹脂フィルム用の再剥離型水性感圧接着剤組成物である請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
  14. 表面の少なくとも一部に請求項1〜12に記載の感圧接着剤組成物に由来する感圧接着剤層が形成されてなる成形物。
  15. 成形物がシート状物である請求項14に記載の成形物。
  16. シート状物が合成樹脂フィルムである請求項15に記載の成形物。
  17. シート状物が合成紙である請求項15に記載の成形物。
  18. 合成紙が複数の合成樹脂の層を含む請求項17に記載の成形物。
  19. 合成樹脂の少なくとも一部がポリプロピレンである請求項18に記載の成形物。
  20. シート状物が商品に貼付されるラベルである請求項15に記載の成形物。
  21. ラベルがアルミニウム鋼製の缶、ステンレス鋼製の缶又はポリエチレンテレフタレート製ボトル貼付用のラベルである請求項20に記載の成形物。
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