JP2018131592A - 粘着剤用水系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エマルション樹脂を含む粘着剤用水系樹脂組成物において曲面密着性と保持力とを両立する方法を提供する。【解決手段】エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、該組成物は、更に、過硫酸塩又は重合開始剤を1ppb〜100ppm含む粘着剤用水系樹脂組成物。該粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層を有する粘着製品。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤用水系樹脂組成物に関し、より詳しくは、紙ラベルや粘着テープ等の粘着製品に好適に用いることができる粘着剤用水系樹脂組成物、及び、該粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層を有する粘着製品に関する。
エマルション樹脂を含む粘着剤用水系樹脂組成物は、環境への負荷が少なく人体にも安全であり、塗布後に水系分散媒が揮散してエマルション粒子同士が融着することで、高い粘着力を示す粘着剤層を形成することが可能である。このようなエマルション樹脂を含む粘着剤用水系樹脂組成物は、近年では粘着テープ、粘着シート、及び、ラベル等の多くの粘着製品の製造において粘着剤層を形成するために使用されるとともに、更なる性能の改善を目指して種々の研究がなされている。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといった難接着性のポリオレフィン系被着体と、段ボールのような粗面を有する被着体の両方に対して、良好な粘着特性を発揮することのできるエマルション型粘着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、特定のエマルション樹脂組成物において、重合開始剤として用いた過硫酸塩の残存含有量を200ppm以下とすることにより、室内用塗料、屋外用塗料、建材用塗料等の塗料や接着剤等のホルムアルデヒドの発散が問題となる用途において、その発散量を低いレベルに抑制でき、有用であることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第4795766号公報 特許第4109595号公報
上述したようにエマルション樹脂を含む樹脂組成物が粘着剤として用いられているが、特に粘着剤を紙ラベルや粘着テープ等の粘着製品に適用する場合に、被着体曲面への密着性(以下、「曲面密着性」とも言う。)と粘着剤層のずれに対する抵抗力(以下、「保持力」とも言う。)とを好適に両立するうえで更なる改良の余地があった。
なお、粘着剤の保持力を良好なものとすれば、粘着剤層の所定の位置からのずれ・はみ出しが充分に防止されることとなる。これにより、粘着製品を所望の寸法に裁断したり、基材等に切れ目等を入れたりするために用いる刃の劣化を充分に抑制することも可能であり、刃の交換等の設備のメンテナンスが少なくて済む。
上記特許文献1には、エマルション型粘着剤組成物において、水系架橋剤の添加量を所定の範囲内とすることで粘着剤の物理的特性を調整することが開示されている(段落〔0034〕等)。しかし、水系架橋剤の添加量によって曲面密着性と保持力とを両立しようとしても、曲面密着性には粘着剤の曲面への追従性、すなわち柔らかさが要求され、保持力には粘着剤の凝集力、すなわち硬さが要求されるため、両性能は互いにトレード・オフの関係にあり、水系架橋剤の添加量の調整のみによって両性能をバランス良く両立することは困難であった。
上記特許文献2には、特許文献2に記載の発明を粘着剤用水系樹脂組成物に適用することについて具体的には開示されていなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、エマルション樹脂を含む粘着剤用水系樹脂組成物において曲面密着性と保持力とを両立する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、環境への負荷が少なく人体にも安全なエマルション樹脂を含む粘着剤用水系樹脂組成物に着目し、該組成物を用いて得られる粘着剤層の曲面密着性と保持力とを両立することを種々検討し、その結果、特定のガラス転移温度を有し、(メタ)アクリル系ポリマーを含む組成物において、重合開始剤として用いた過硫酸塩の含有量を極少量に低減するという新規な粘着剤用水系樹脂組成物に想到した。本発明者は、この粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層が、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立できることを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、該組成物は、更に、過硫酸塩を1ppb〜100ppm含む粘着剤用水系樹脂組成物である。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立できる粘着製品を得ることができる。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<本発明の粘着剤用水系樹脂組成物>
(組成物中に残存する過硫酸塩)
上述した本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、重合開始剤として用いた過硫酸塩を1ppb〜100ppm含む。このように組成物中に残存する過硫酸塩を極少量とすれば、組成物を用いて得られる粘着剤層において、曲面密着性を充分に良好なものとしながら保持力が特に優れるものとなり、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立することができる。これは、ポリマー末端に結合せずに存在する過硫酸塩を含む粘着剤層が、ポリマー末端に結合した過硫酸塩由来の基を含む粘着剤層と比較して吸湿し易いため、水によって可塑化され、保持力と曲面密着性のバランスが崩れていたと推定されるところ、組成物中に残存する過硫酸塩を極少量とすることにより、得られる粘着剤層を吸湿しにくいものとし、上記バランスが崩れることを特異的に防止することができるためであると考えられる。
上記過硫酸塩の含有量は、保持力等をより優れたものとする観点から、例えば80ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、40ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが一層好ましく、10ppm以下であることが特に好ましく、1ppm以下であることが最も好ましい。なお、重合開始剤として過硫酸塩を用いた場合、過硫酸塩の含有量を充分に低減しても通常1ppb以上であり、この点において、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、重合開始剤として過硫酸塩を用いずに得た粘着剤用水系樹脂組成物と構成においても区別化される。
過硫酸塩の含有量は、実施例に記載の方法で測定されるものである。
上記過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、遊離した過硫酸塩を検出できないもの(0ppb)であっても、組成物中のエマルション樹脂が含む(メタ)アクリル系ポリマーがポリマー末端に過硫酸塩由来の基が結合した構造を有するものであれば、従来の、重合開始剤として過硫酸塩を用いずに得た粘着剤用水系樹脂組成物と構成においても区別化される。すなわち、本発明は、エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、ポリマー末端に過硫酸塩由来の基が結合した構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含み、該組成物は、過硫酸塩の含有量が100ppm以下である粘着剤用水系樹脂組成物でもある。
ここで、過硫酸塩の含有量の好ましい上限値は上述した通りである。
また過硫酸塩の含有量の測定方法及び過硫酸塩の種類は、上述した通りである。
上記過硫酸塩由来の基が結合した構造は、重合開始剤として過硫酸塩を用いてモノマー成分を重合することにより形成される構造であればよい。
以下では、上述した技術的に密接に関連した各発明に共通する事項について説明する。
(エマルション樹脂)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、エマルション樹脂を含み、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含む。
エマルション樹脂は、通常はモノマー成分を乳化重合してなるものであるが、重合して得られたポリマーに乳化剤を添加してエマルション樹脂としたものであってもよい。なお、本明細書中、エマルション樹脂とは、粘着剤用水系樹脂組成物中においてエマルション粒子を形成するポリマーを言う。
上記エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−70〜0℃であることが好ましい。エマルション樹脂として、このようなガラス転移温度を有するものを用いると、粘着力をより優れたものとすることができる。上記エマルション樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは−65〜−15℃であり、更に好ましくは−60〜−30℃であり、特に好ましくは−55〜−45℃である。
また、本発明に係るエマルション樹脂が2種以上のエマルション樹脂を含む場合は、本発明に係るエマルション樹脂を調製するために用いた全てのモノマー組成から算出したTg(トータルTg)が上記範囲内であればよいが、2種以上のエマルション樹脂それぞれのTgがいずれも上記範囲内であることが好ましい。
例えば、上記エマルション樹脂が、ガラス転移温度が−70〜−45℃であるエマルション樹脂とともにガラス転移温度が−10〜10℃であるエマルション樹脂を含む形態が、本発明における好ましい形態の1つである。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。
上記エマルション樹脂は、(メタ)アクリル系ポリマーを含む。(メタ)アクリル系ポリマーとは、(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位を有するポリマーを言う。上記(メタ)アクリル系モノマーとは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有するモノマー又はそのようなモノマーの誘導体を言う。
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸系ポリマーを含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸系ポリマーとは、(メタ)アクリル酸系モノマー由来の構成単位を有するポリマーを言い、(メタ)アクリル酸系モノマーとは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、カルボン酸基(−COOH基)、カルボン酸塩基(−COOM基)、又は、その酸無水物基(−C(=O)−O−C(=O)−基)をもつモノマーである。上記Mは、金属塩、アンモニウム塩、又は、有機アミン塩を表す。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。有機アミン塩を形成する有機アミンとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンや、トリエチルアミンが好適である。上記(メタ)アクリル酸系モノマーは、(メタ)アクリル酸(塩)であることが好ましい。(メタ)アクリル酸(塩)は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有し、かつ、カルボン酸基(−COOH基)又はカルボン酸塩基(−COOM基)をもつモノマーである。
上記(メタ)アクリル系ポリマーを得るためのモノマー成分は、(メタ)アクリル酸系モノマー、及び、その他の共重合可能な不飽和モノマーを含んでなるものであることが好ましい。モノマー成分が(メタ)アクリル酸系モノマーを含むことにより、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物において、後述する各種添加剤の分散性が向上し、得られる粘着剤層の機能がより優れたものとなる。また、モノマー成分がその他の共重合可能な不飽和モノマーを含むことにより、ガラス転移温度やその他の物性等を調整しやすくなる。
上記(メタ)アクリル系ポリマーを得るためのモノマー成分は、エマルション樹脂の原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対して、(メタ)アクリル酸系モノマー0.01〜5質量%、及び、その他の共重合可能な不飽和モノマー95〜99.99質量%を含むことが好ましい。上記モノマー成分は、(メタ)アクリル酸系モノマーを0.05質量%以上、その他の共重合可能な不飽和モノマーを99.95質量%以下含むことがより好ましく、(メタ)アクリル酸系モノマーを0.1質量%以上、その他の共重合可能な不飽和モノマーを99.9質量%以下含むことが更に好ましい。また、上記モノマー成分は、(メタ)アクリル酸系モノマーを3質量%以下、その他の共重合可能な不飽和モノマーを97質量%以上含むことがより好ましい。このような範囲内とすることにより、モノマー成分が安定に共重合する。
その他の共重合可能な不飽和モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマー、その他の不飽和モノマーが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、カルボン酸エステル基をもつ(メタ)アクリル系モノマー、そのようなモノマーの誘導体であって例えばアルキレングリコール基、ヒドロキシ基、アリル基、エポキシ基、窒素原子、又は、ハロゲン原子等を更に有するモノマー、アクリルアミド基をもつ(メタ)アクリル系モノマー、ベンゾトリアゾール基をもつ(メタ)アクリル系モノマー、ベンゾフェノン基をもつ(メタ)アクリル系モノマー、ピペリジン基をもつ(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種又は2種以上を使用することができる。
上記カルボン酸エステル基をもつ(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カルボン酸エステル基をもつ(メタ)アクリル系モノマーの誘導体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール基をもつ(メタ)アクリル系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基をもつ(メタ)アクリル系モノマー;アリル(メタ)アクリレート等のアリル基をもつ(メタ)アクリル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基をもつ(メタ)アクリル系モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリクロロエチル(メタ)アクリレート、テトラクロロプロピル(メタ)アクリレート、オクタクロロペンチル(メタ)アクリレート等のハロゲン原子をもつ(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
上記アクリルアミド基をもつ(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール基をもつ(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン基をもつ(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記ピペリジン基をもつ(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸系ポリマーの原料となるモノマー成分としては、上記(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーを、(メタ)アクリル酸系ポリマーの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対して、20質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましく、80質量%以上含有することが特に好ましい。また、上記(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーを、全モノマー成分100質量%に対して、99.99質量%以下含有することが好ましく、99.95質量%以下含有することがより好ましく、99.9質量%以下含有することが更に好ましい。
上記その他の不飽和モノマーとしては、窒素原子を有する不飽和モノマー、芳香環を有する不飽和モノマー、シラン基を有する不飽和モノマー、その他の多官能性不飽和モノマー等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種又は2種以上を使用することができる。
上記窒素原子を有する不飽和モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
上記芳香環を有する不飽和モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。
上記シラン基を有する不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等が挙げられる。
上記その他の多官能性不飽和モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、モノマー成分を重合してなるエマルション樹脂を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が、エマルション樹脂を2種以上含む場合、2種以上のエマルション樹脂を混合(ブレンド)して得られる混合物であってもよく、一連の製造工程の中で2種以上のポリマー鎖を含むものを製造(例えば、多段重合等)して得られる、2種以上のポリマー鎖が複合化したエマルション樹脂であってもよい。2種以上のエマルション樹脂を混合する場合、2種以上のエマルション樹脂の少なくとも1つが(メタ)アクリル系ポリマーであればよく、その他のエマルション樹脂は、ジエン系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー等の、(メタ)アクリル系ポリマー以外のポリマーであってもよい。また、一連の製造工程の中で2種以上のポリマー鎖を含むものを製造するためには、モノマー滴下条件等の製造条件を適宜設定すればよい。上記2種以上のポリマー鎖が複合化したものとは、例えば、コア部とシェル部とを有する形態が挙げられる。本発明に係るエマルション樹脂が、コア部とシェル部とを有する形態としては、例えば、本発明に係るエマルション樹脂が2種類の本発明に係るエマルション樹脂からなり、該2種類の本発明に係るエマルション樹脂の一方がコア部、他方がシェル部を形成しているものが挙げられる。なお、エマルション樹脂が(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られる(メタ)アクリル系ポリマーであるとは、例えば、(メタ)アクリル系モノマーが、エマルションのコア部を形成するモノマー成分、シェル部を形成するモノマー成分のいずれかに含まれていてもよく、これらの両方に含まれていてもよい。また、エマルション粒子を形成する2種以上のエマルション樹脂のうち少なくとも1種が、2種以上のポリマー鎖が複合化した形態であってもよい。
上記エマルション樹脂が、2種以上のポリマー鎖が複合化した形態である場合、一方のポリマー鎖と他方のポリマー鎖とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるもの(例えば、コア・シェル複合構造やミクロドメイン構造)であってもよい。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記エマルション樹脂の固形分の含有量は、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物の固形分100質量%中、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、該含有量は、99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。
なお、固形分とは、水系分散媒以外の成分を意味する。
上記エマルション樹脂は、重量平均分子量が3万〜500万であることが好ましい。エマルション樹脂がこのような重量平均分子量を有するものであると、本発明の効果をより充分に発揮できる。エマルション樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは5万以上であり、更に好ましくは8万以上であり、特に好ましくは10万以上である。また、該重量平均分子量は、より好ましくは400万以下であり、更に好ましくは300万以下である。
なお、エマルション樹脂の重量平均分子量(Mw)は、以下の条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されるものである。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
使用カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続したもの
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が0.2質量%となるように溶離液(テトラヒドロフラン)に溶解し、フィルターにてろ過したものを測定する。
上記エマルション樹脂の平均粒子径は80〜600nmであることが好ましい。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、粘着性能をより優れたものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは500nm以下である。また、平均粒子径は、より好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR−1000)を用いて測定することができる。
上記エマルション樹脂の製造方法は特に制限されないが、例えば、一般的な乳化重合法により製造することができる。また、該エマルション樹脂の製造方法は、乳化重合以外の方法、例えば、懸濁重合で重合されたポリマーに乳化剤を作用させてエマルションを形成するものであってもよい。
上記エマルション樹脂の製造方法において、エマルションの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対して、重合開始剤である過硫酸塩の使用量が0.1〜20質量%であることが好ましい。
なお、上記エマルション樹脂を製造する際に、メルカプタン系化合物等の連鎖移動剤を用いてもよい。これにより、曲面密着性をより優れたものとすることができる。連鎖移動剤の市販品としては、例えばチオカルコール20(商品名、n−ドデシルメルカプタン、花王(株)製)が挙げられる。上記エマルション樹脂の製造方法において、エマルションの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対し、連鎖移動剤の使用量が0.001〜10質量%であることが好ましい。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を製造する際に、重合開始剤として用いた過硫酸塩を上述したように極少量とする方法としては、過硫酸塩を極少量とすることができる限り特に限定されず、過硫酸塩を従来公知の精製手法を利用して除去する方法や、過硫酸塩を還元・分解等する方法、これらを組み合わせた方法を用いることができる。例えば、過硫酸塩を還元・分解等する方法としては、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム等の還元剤や硫酸鉄等の分解剤を用いて、適宜加熱して過硫酸塩を還元・分解等することができる。ここで、還元剤(分解剤)を用いる場合、還元剤(分解剤)は、エマルションの原料(プレエマルション)中に含まれていてもよく、エマルションの原料の反応系への滴下終了後に添加(後添加)してもよく、これらの両方であってもよい。また、エマルションの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対し、還元剤(分解剤)の使用量が0.1〜10質量%であることが好ましい。
(水系分散媒)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、水系分散媒を含み、上記エマルション樹脂は、通常、水系分散媒中に溶解することなく分散している。本明細書中、水系分散媒は、水を含む限り、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の有機分散媒を含んでいてもよいが、水であることが好ましい。水系分散媒の量を調整することで、粘着剤用水系樹脂組成物の固形分の含有量を適宜調整できる。
なお、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物の固形分は、特に限定はされないが、例えば、20〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜75質量%であり、更に好ましくは30〜70質量%である。
(乳化剤成分)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に、乳化剤成分を含むことが好ましい。本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が乳化剤成分を含むとは、乳化重合時の乳化剤として該成分を含むものであってもよく、乳化重合以外の方法で重合されたポリマーに作用する乳化剤として該成分を含むものであってもよいが、乳化重合時の乳化剤として該成分を含むことが好ましい。乳化重合時の乳化剤は、通常の乳化剤(エマルション樹脂とは別の化合物)であってもよく、エマルション樹脂を形成するポリマーの一部を構成する構成単位となるものであってもよい。
上記乳化剤成分とは、その使用目的に関わらず、エマルション組成物中に含まれる、乳化剤として機能し得る剤のすべてを意味する。すなわち、エマルション組成物中の乳化剤成分は、乳化剤として機能し得るものである限り、その他の機能を併せ持つものであってもよい。
上記乳化剤成分としては、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、両性乳化剤、及び、高分子乳化剤の1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系乳化剤としては、例えば脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸(塩)、N−アシルアミノ酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、α−オレフィンスルホン酸(塩)、α−スルホアルキルエステル(塩)、アルキルスルホコハク酸(塩)、アシルイセチオン酸(塩)、N−アシル−N−アルキルタウリン(塩)、アルキル硫酸エステル(塩)、アルキルエーテル硫酸エステル(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸(塩)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸(塩)、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル(塩)等が好適なものとして挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記アニオン系乳化剤の市販品としては、例えば、ハイテノールLA−16(商品名、第一工業製薬(株)製)、ソフタノールMES−9(商品名、日本触媒社製)、ニューコール297(商品名、日本乳化剤社製)、ペレックスTA、ペレックスSS−H、エマールO(商品名、花王社製)等を挙げることができる。
上記アニオン系乳化剤のうち、反応性の不飽和二重結合を有するアニオン系乳化剤としては、例えば、アデカリアソープSR−10、アデカリアソープSR−20、アデカリアソープSR−30(商品名、(株)ADEKA製)等のエーテルサルフェート型反応性アニオン系乳化剤;ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−20(商品名、三洋化成工業社製)等のスルホコハク酸塩型反応性アニオン系乳化剤;ラテムルASK(商品名、花王社製)等のアルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系乳化剤;プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、アクアロンHS−10、アクアロンBC−10(商品名、第一工業製薬(株)製)等のポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、アクアロンKH−10(商品名、第一工業製薬(株)製)等のアリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩、アデカリアソープSE−10(商品名、(株)ADEKA製)等のアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩、アントックスMS−60(商品名、日本乳化剤(株)製)等のビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩、アデカリアソープER−20(商品名、(株)ADEKA製)等のアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、アクアロンRN−20(商品名、第一工業製薬(株)製)等のポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、アデカリアソープNE−10(商品名、(株)ADEKA製)等のアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン等が挙げられる。
上記ノニオン系乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が挙げられる。例えば、市販品としては、エマルゲン1118S(花王社製)等が挙げられる。また、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、(株)ADEKA製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン系乳化剤も用いることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記カチオン系乳化剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記両性乳化剤としては特に限定されず、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記高分子乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤成分は、更に、置換基を有していても良い。置換基としては、例えば、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルコキシスルホニル基、スルホアルキル基、アミノアルキル基、カルボン酸基、ポリアルキレンオキシド鎖含有基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。
中でも、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に、反応性の不飽和二重結合を有する乳化剤由来の成分を含むことが好ましい。なお、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物がエマルション樹脂を2種以上含む場合、反応性の不飽和二重結合を有する乳化剤由来の成分は、該エマルション樹脂の少なくとも1種に含まれていればよい。これにより、より優れた保持力を発揮することができる。
反応性の不飽和二重結合を有する乳化剤は、反応性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を含むことがより好ましい。
上記乳化剤成分は、従来公知の方法を適宜用いて得ることができる。また、上述したように乳化剤成分として市販品を用いたり、市販品に水系分散媒を添加して固形分濃度を適宜調整したものを用いたりすることも可能である。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、エマルション樹脂の原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対して、乳化剤成分の含有量が0.01〜20質量%であることが好ましい。該乳化剤成分の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、0.2質量%以上であることが一層好ましく、0.3質量%以上であることが特に好ましい。また、該乳化剤成分の含有量は、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、2質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書中、エマルション樹脂の原料として用いられた全モノマー成分には、乳化剤がエマルション樹脂を形成するポリマーの一部を構成する構成単位となったものを含めない。
上述した本発明の粘着剤用水系樹脂組成物中の乳化剤成分の含有量は、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物中の乳化剤(エマルション樹脂とは別の化合物)の量と、乳化剤がエマルション樹脂を形成するポリマーの一部を構成する構成単位となったものの量との合計量である。
なお、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物中の乳化剤(エマルション樹脂とは別の化合物)の量は、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層から抽出した成分を高速液体クロマトグラフで分析することにより求めることができる。
(顔料)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に、顔料を含んでいてもよい。顔料を用いて白色等に着色することにより、組成物を用いて得られる粘着剤層の視認性が良好なものとなる。
上記顔料は、例えば、無機着色剤、有機着色剤等の1種又は2種以上を使用することができる。該無機着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄等が挙げられる。該有機着色剤としては、染料、天然色素等が挙げられる。上記顔料は、中でも、無機着色剤であることが好ましく、例えば酸化チタンがより好ましい。
上記顔料は、平均粒子径が1〜50μmのものが好ましい。顔料の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記顔料の配合量としては、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、1〜100質量部とすることが好ましく、より好ましくは3〜80質量部であり、更に好ましくは5〜50質量部である。
(増粘剤)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に増粘剤を含んでいてもよい。
上記増粘剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体等が挙げられる。増粘剤の市販品としては、例えば、アデカノールUH−420(商品名、ポリウレタン系樹脂、(株)ADEKA製)が挙げられる。
上記増粘剤の配合量としては、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が粘着剤として所望の粘度となるように適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、例えば固形分で0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部が更に好ましい。
(消泡剤)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に消泡剤を含んでいてもよい。
消泡剤を用いた場合には、粘着剤層の調製時に生じる泡の発生を抑制することができる。消泡剤としては、特に限定されないが、例えばシリコーン系消泡剤、有機(非シリコーン)系消泡剤等が挙げられ、これら消泡剤の1種又は2種以上を使用することができる。消泡剤の市販品としては、例えば、ビックケミージャパン(株)製、品番:BYK−088、BYK−063、BYK−065、BYK−066N、BYK−067A、BYK−077、BYK−141等のシリコーン系消泡剤;ビックケミージャパン(株)製、品番:BYK−054、BYK−057、BYK−354、BYK−392、BYK−1752、BYK−1790、BYK−1791、BYK−1794等の有機(非シリコーン)系消泡剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物が消泡剤を含む場合、消泡剤の配合量は、適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対し、例えば固形分で0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。
(粘着付与樹脂)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更に粘着付与樹脂を含んでいてもよい。
粘着付与樹脂としては、軟化点が60℃以上の樹脂が好ましく、ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、シリコーン系樹脂、脂肪族系石油樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。粘着付与樹脂の市販品としては、例えば、スーパーエステルE(商品名、荒川化学工業社製)等が挙げられる。
上記粘着付与樹脂の配合量は、適宜調整すればよいが、本発明に係るエマルション樹脂の固形分100質量部に対して、例えば固形分で1〜10質量部が好ましく、2〜6質量部がより好ましい。
(その他の成分)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、更にその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、架橋剤;湿潤剤;粘性調節剤;改質剤;充填剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;紫外線安定剤;分散剤;ゲル化剤;可塑剤;安定剤;防腐剤;防カビ剤;帯電防止剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、その他の成分には、エマルション樹脂の原料として用いられたモノマー由来のオリゴマー及びモノマーや、連鎖移動剤、還元剤が残存したもの等も含まれる。なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水系分散媒等の揮発成分は含まれない。
上記顔料、増粘剤、消泡剤、粘着付与樹脂、及び、その他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明に係るエマルション樹脂と混合され得る。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物がその他の成分を含む場合、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物全体に対して、その他の成分の割合は、特に限定されないが、例えば10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
(pH)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物のpHとしては特に限定されないが、2〜10であることが好ましく、3〜9.5であることがより好ましく、7〜9であることが更に好ましい。本発明の粘着剤用水系樹脂組成物のpHは、エマルション樹脂に、アンモニア水、アルカリ金属水酸化物の水溶液、水溶性アミン類等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(粘度)
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物の粘度は、粘着剤として適切なものであればよいが、例えば1000〜100000mPa・sであることが好ましく、3000〜80000mPa・sであることがより好ましく、5000〜60000mPa・sであることが更に好ましく、7000〜40000mPa・sであることが一層好ましく、9000〜20000mPa・sであることが特に好ましい。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
以下では、上述した本発明に技術的に密接に関連する発明についても更に説明する。
(組成物中に残存する重合開始剤)
以上のように、粘着剤用水系樹脂組成物中に残存する過硫酸塩の含有量を極少量とすることにより、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立する本発明の効果を発揮できることを説明したが、重合開始剤として、過硫酸塩とともに、又は、その代わりに、過硫酸塩以外の重合開始剤を使用した場合であっても、粘着剤用水系樹脂組成物中に残存する重合開始剤の含有量を極少量とすることにより、同様の本発明の効果を発揮できる。なお、これは、組成物中に残存する重合開始剤を極少量とすることにより、過硫酸塩を極少量とする場合と同様に、得られる粘着剤層を吸湿しにくいものとし、上記バランスが崩れることを特異的に防止することができるためであると考えられる。したがって、上述した組成物中に残存する過硫酸塩の好ましい含有量範囲は、重合開始剤の好ましい含有量範囲と言い換えることができる。すなわち、本発明は、エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、該組成物は、更に、重合開始剤を1ppb〜100ppm含む粘着剤用水系樹脂組成物でもある。
組成物中に残存する重合開始剤の好ましい含有量範囲は、上述した、組成物中に残存する過硫酸塩の好ましい含有量範囲と同様である。なお、重合開始剤を用いた場合、重合開始剤の含有量を充分に低減しても通常1ppb以上であり、この点において、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、従来の、重合開始剤を用いずに得た粘着剤用水系樹脂組成物と構成上区別化される。
上記重合開始剤の含有量は、公知の方法で測定されるものである。
上記重合開始剤としては、上述した過硫酸塩の他、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル) 、2,2’−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロリド、 4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)、高分子アゾ系重合開始剤等のアゾ系重合開始剤;過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化p−クロロベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、遊離した重合開始剤を検出できないもの(0ppb)であっても、組成物中のエマルション樹脂が含む(メタ)アクリル系ポリマーがポリマー末端に重合開始剤由来の基が結合した構造を有するものであれば、従来の、重合開始剤を用いずに得た粘着剤用水系樹脂組成物と構成においても区別化される。すなわち、本発明は、エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、ポリマー末端に重合開始剤由来の基が結合した構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含み、該組成物は、重合開始剤の含有量が100ppm以下である粘着剤用水系樹脂組成物でもある。
ここで、重合開始剤の含有量の好ましい上限値は上述した通りである。
また重合開始剤の含有量の測定方法及び重合開始剤の種類は、上述した通りである。
上記重合開始剤由来の基が結合した構造は、重合開始剤を用いてモノマー成分を重合することにより形成される構造であればよい。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を製造する際に、重合開始剤を上述したように極少量とする方法としては、重合開始剤を極少量とすることができる限り特に限定されず、従来公知の精製手法を利用して除去する方法や、重合開始剤を還元・分解等する従来公知の方法、これらを組み合わせた方法を用いることができる。
<本発明の粘着製品>
本発明は更に、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層を有する粘着製品でもある。
上記粘着剤層は、平均厚みが1〜1000μmであることが好ましい。1μm以上とすることで、粘着剤層に求められる機能をより充分に発揮することができる。また、1000μm以下とすることで、乾燥性がより良好なものとなり、良好な粘着剤層を形成することができる。粘着剤層の平均厚みは、より好ましくは、3μm以上であり、更に好ましくは、8μm以上である。また、粘着剤層の平均厚みは、より好ましくは、100μm以下である。
平均厚みは、マイクロメーターにより任意に5点を測定して算出されるものである。
本発明の粘着製品は、粘着剤層のみから構成されるものであってもよいが、必要に応じて更に基材、離型材を有していてもよい。本発明の粘着製品が更に基材を有する場合、上記粘着剤層は、基材の表面上に形成される。基材の材質は特に限定されず、紙;プラスチック材料;繊維材料;鋼板等の金属材料等のいずれであってもよい。例えば基材が紙であることは、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物の好ましい使用形態の1つである。紙としては、特に限定されないが、例えば上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グロス紙、グラシン紙等が挙げられ、これらの1種、又は、2種以上が積層されたもの等を用いることができる。
なお、上記粘着剤層上に更に離型材を形成してもよい。離型材は、基材とは別に貼り付けられ、粘着製品の使用時に粘着剤層を露出させるために剥離されるものである。離型材としては、例えば、K−80HS(商品名、サンエー化研社製)等の離型紙やフッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂フィルムが挙げられる。
基材や離型材の厚さは、適宜設計することができる。
例えば、本発明の粘着剤用水系樹脂組成物を例えば基材上に塗布し、必要に応じて加熱して乾燥することにより、本発明の粘着製品を好適に得ることができる。なお、離型材上に粘着剤層を形成した後、粘着剤層を基材上に移しても構わない。
本発明の粘着剤用水系樹脂組成物は、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
本発明の粘着製品は、粘着剤層を形成するための粘着剤用水系樹脂組成物中に残存する過硫酸塩(重合開始剤)が極少量に低減されたものであるため、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立できるものであり、粘着テープ、粘着シート、ラベル等として好適に用いることができる。粘着テープとしては、基材の片面に粘着剤層を有する片面テープや、基材の両面に粘着剤層を有する両面テープが挙げられる。また、粘着テープは、養生テープであってもよい。本発明の粘着製品は、上記したように、紙ラベルとして特に好適に用いられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
以下において、粘着剤用水系樹脂組成物中の過硫酸塩の含有量は以下のように測定した。
<過硫酸塩の含有量の測定方法>
残存開始剤である過硫酸イオン(S −2)はダイオネクス社製Thermoイオンクロマトグラフ DX−320(カラム:ダイオネクス社製AS−16)を用いて測定した。
各種樹脂性状は以下のように評価した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション樹脂約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TVB−10」)を用いて、25℃、12rpmの条件下で測定した。
<ポリマーのガラス転移温度(Tg)>
ポリマーのTgは、各段で用いたモノマー組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。
Figure 2018131592
式中、Tg′は、ポリマーのTg(絶対温度)である。W′、W′、・・・Wn′は、全モノマー成分に対する各モノマーの質量分率である。T、T、・・・Tnは、各モノマー成分からなるホモポリマー(単独ポリマー)のガラス転移温度(絶対温度)である。
なお、全ての段で用いたモノマー組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
上記計算式(1)により重合性モノマー成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−54℃
アクリル酸(AA):106℃
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):55℃
1.エマルション樹脂の合成例
(合成例1)
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水19部を仕込んだ。滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)4.8部、ブチルアクリレート(BA)91.5部、メチルメタクリレート(MMA)1部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2.5部、アクリル酸(AA)0.2部、n−ドデシルメルカプタン0.1部(花王(株)製、商品名:チオカルコール20)、脱イオン水28.5部、単量体成分に反応性を有するアニオン系乳化剤0.5部((株)ADEKA製、固形分25%、商品名:アデカリアソープSR−20)からなるプレエマルションを調製した。
得られたプレエマルションのうち0.4%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃まで昇温し、8%過硫酸アンモニウム水溶液(8%APS)0.1部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、プレエマルションの残部と8%APS5部と4%二亜硫酸ナトリウム水溶液(4%SMBS)5部を320分間にわたって均一にフラスコ内に滴下した。
滴下終了直後に4%二亜硫酸ナトリウム水溶液(4%SMBS)5部を添加した後に、70℃で480分間熟成した。その後、室温で冷却し、200メッシュの金網で濾過することにより、合成例1のエマルション樹脂(固形分60%、Tg−52℃)が得られた。
(合成例2〜9)
下記表1に示したように組成を変更した以外は、合成例1と同様にして合成例2〜9のエマルション樹脂を得た。なお、合成例2〜4、7〜9のエマルション樹脂のTgは−52℃であり、合成例5のエマルション樹脂のTgは−61℃であり、合成例6のエマルション樹脂のTgは−59℃である。
なお、各合成例では、初期(初期状態)においてプレエマルションのうち0.4%を前記フラスコ内に添加し、滴下時にプレエマルションの残部を滴下しているが、下記表1ではプレエマルションについてはこれらの使用量の合計を別途「プレエマルション」の項目をたてて示した。
下記表1中、25%SR−20は、上記した単量体成分に反応性を有するアニオン系乳化剤((株)ADEKA製、固形分25%、商品名:アデカリアソープSR−20)を意味し、25%LA−16は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製、固形分25%、商品名:ハイテノールLA−16)を意味する。
Figure 2018131592
2.実施例の製造方法
(実施例1)
合成例1のエマルション樹脂100部をよく撹拌し、25%水溶液のアンモニア水で中和した。続いて、粘着付与樹脂であるスーパーエステル(登録商標)E−788(荒川化学工業社製;固形分50%)を固形分で4.0部となるように加え、さらに増粘剤「アデカノールUH−420」((株)ADEKA製)0.5〜5部を粘度の様子を見ながら、2段階的もしくは3段階に分けて添加し(添加後、粘度を安定にするために30分〜60分撹拌を続ける)、粘度を調整して、固形分60%、pH8.0、粘度13,000mPa・s(25℃、B型粘度計での測定値)のエマルション型粘着剤組成物を得た。
このエマルション型粘着剤組成物を用いて、乾燥後の厚さが16.5μmとなるように、離型紙(「K−80HS」;サンエー化研社製)に塗布し、105℃で90秒間乾燥することで粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面(乾燥後の塗布面)に、基材となる市販のグロス紙(90g/m)を貼り合わせ、23℃、65%RH雰囲気下で3日間養生し、粘着シート(離型紙付き)を作製した。
(実施例2〜7)
合成例1のエマルション樹脂を合成例2〜7のエマルション樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート(離型紙付き)を作製した。
(比較例1、2)
合成例1のエマルション樹脂を合成例8、9のエマルション樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート(離型紙付き)を作製した。
3.粘着特性等の評価方法
<曲面密着性>
被着体として、ポリプロピレン製(上記表1の曲面密着性の欄にPPと表記)の直径15mmの丸棒及びポリエチレン製(上記表1の曲面密着性の欄にPEと表記)の直径15mmの丸棒を用いた。
粘着シートを温度が23℃、相対湿度が65%の雰囲気中で、被着体の円周に沿って、半周分の長さに相当する幅20mmの試験片を被着体の曲面に貼り付け、7日間静置した後、試験片の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて曲面密着性を評価した。
(評価基準)
25点:端部の剥がれ無し
20点:端部の剥がれが0.5mm未満
15点:端部の剥がれが0.5mm〜5mm
0点:端部の剥がれが5mmより大きい
<保持力>
保持力の測定方法は、JIS:Z0237:2009粘着テープ・粘着シート試験方法に記載の方法に準じて行った。具体的には、被着体としてステンレス鋼板を用い、当該ステンレス鋼板の表面の汚れを拭き取った後、その面をアセトンで洗浄し、オーブンで乾燥させ、温度が23℃、相対湿度が65%の雰囲気中で当該被着体を24時間以上保管した。
粘着シートを25mm幅に裁断し、得られた試験片を温度が23℃、相対湿度が65%の雰囲気中にて前記ステンレス鋼板上に載せ、当該試験片上から質量が2kgであるゴムローラーで1往復させることによって試験片を圧着させた。圧着させた試験片を温度が40℃、相対湿度が65%の雰囲気中に20分間放置した後、1kgの錘を粘着シートの端部に取り付けて吊り下げて当該雰囲気中で1000分間静置し、粘着シートが剥がれ落ちるのに要する時間および試験開始から1000分間経過時の粘着シートの位置ずれ長さを測定し、以下の評価基準に基づいて保持力を評価した。
(評価基準)
50点:1200分経過時に粘着シートが剥がれ落ちていない
40点:800分以上、1200分未満で粘着シートが剥がれ落ちる
30点:400分以上、800分未満で粘着シートが剥がれ落ちる
0点:400分未満で粘着シートが剥がれ落ちる
<総合評価>
各物性における評価得点を合計することにより、総合評価を行なった。なお、曲面密着性(PP、PE)がいずれも15点以上、保持力が30点以上の評価であり、総合評価が60点以上である粘着シートは、曲面密着性と保持力とをバランス良く両立しており、合格である。また、曲面密着性(PP、PE)及び保持力の観点からは、評価得点の合計が高いものほどより優れると言える。なお、各物性のいずれかに0点の評価が1つでもある粘着シートは、不合格である。
実施例1〜7の粘着シートは、粘着剤層を形成するエマルション型粘着剤組成物中の残存APS量が100ppm以下(0.1〜90ppmの範囲内)であり、いずれも難接着性のポリオレフィン系被着体に対する曲面密着性と保持力とをバランス良く両立している。比較例1の粘着シートは、曲面密着性は良好であるが、該残存APS量が170ppmであり、水による可塑化が起こったため、保持力が低下したと考えられる。比較例2の粘着シートは、該残存APS量が200ppmであり、該残存APS量が多い系で保持力を上げるために、エマルション樹脂の製造時に連鎖移動剤(チオカルコール20)を使用せず分子量を高めているが、その結果、保持力は良好であるが曲面密着性が低下したと考えられる。すなわち、該残存APS量が多い場合は、保持力と曲面密着性とのバランスがとれなくなった。
なお、本実施例に係るエマルション樹脂は、いずれも重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液を用いて(メタ)アクリル系モノマーを重合して得ているため、(メタ)アクリル系ポリマーの末端に過硫酸アンモニウム由来の基が結合した構造を有するものである。

Claims (6)

  1. エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、
    該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、
    該組成物は、更に、過硫酸塩を1ppb〜100ppm含むことを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物。
  2. エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、
    該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、ポリマー末端に過硫酸塩由来の基が結合した構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含み、
    該組成物は、過硫酸塩の含有量が100ppm以下であることを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物。
  3. エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、
    該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、(メタ)アクリル系ポリマーを含み、
    該組成物は、更に、重合開始剤を1ppb〜100ppm含むことを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物。
  4. エマルション樹脂及び水系分散媒を含む粘着剤用水系樹脂組成物であって、
    該エマルション樹脂は、ガラス転移温度が−80〜10℃であり、ポリマー末端に重合開始剤由来の基が結合した構造を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含み、
    該組成物は、重合開始剤の含有量が100ppm以下であることを特徴とする粘着剤用水系樹脂組成物。
  5. 前記組成物は、更に、反応性の不飽和二重結合を有する乳化剤由来の成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤用水系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤用水系樹脂組成物を用いて得られる粘着剤層を有することを特徴とする粘着製品。
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