JP4780676B2 - 水性感圧接着剤組成物およびその利用 - Google Patents

水性感圧接着剤組成物およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、アクリル系ポリマーを主体とする水性感圧接着剤(粘着剤)組成物および該組成物を用いた感圧接着シート(粘着シート)に関する。
アクリル系ポリマーが水に分散した態様の水分散型(水性)感圧接着剤組成物は、分散媒として水を用いることから、溶剤型の感圧接着剤組成物に比べて環境衛生上望ましい。また、このようなアクリル系水性感圧接着剤組成物は、より耐溶剤性等に優れた感圧接着剤層および該感圧接着剤層を有する感圧接着シートを形成しやすいという利点を有している。
このような状況のもと、より高性能な感圧接着シートを形成可能なアクリル系水性感圧接着剤組成物が求められている。例えば、接着性(粘着性)、凝集性(特に高温環境下における凝集性(高温凝集性))および端末剥がれ防止性という複数の特性をより高度なレベルでバランス良く発揮し得る感圧接着シートを与えるアクリル系水性感圧接着剤組成物が提供されれば有用である。
アクリル系水性感圧接着剤組成物の性能向上を図る手法の一つとして、該組成物を構成するポリマーの構造(平均分子量等)に関する検討が行われている。例えば特許文献1には、重量平均分子量100万以上の水分散系共重合体にオキサゾリン基を含有する水分散系架橋剤を配合した粘着剤組成物が記載されている。特許文献2には、重量平均分子量20万〜80万の水分散系共重合体(I)と、付加重合性オキサゾリンを含む単量体成分を重合してなる重量平均分子量20万〜80万の重合体(II)とを含有する感圧接着剤組成物が記載されている。他の従来技術文献として特許文献3〜5が挙げられる。
特開2004−189933号公報 特開平2−150482号公報 特開2003−073637号公報 特開平8−165464号公報 特開2001−131511号公報
しかし、上記従来の技術はいずれも、上述の3特性の良好なバランスをより高レベルで実現する感圧接着シートおよび該感圧接着シートの形成に適した水性感圧接着剤組成物として未だ満足できるものではなかった。
本発明は、接着性(粘着性)および凝集性(特に高温環境下における凝集性)が高く、かつ端末剥がれ防止性に優れた感圧接着シートであって、これら3つの特性をより高度なレベルでバランスよく実現することのできる感圧接着シートの提供を一つの目的とする。本発明の他の目的は、かかる感圧接着シートに具備される感圧接着剤層を形成する用途に適した水性感圧接着剤組成物を提供することである。関連する他の目的は、上記感圧接着剤層の形成に適した水性感圧接着剤組成物を製造する方法を提供することである。
本発明によると、アクリル系ポリマーを主体とし、該アクリル系ポリマーが水に分散している(水分散型の)水性感圧接着剤(以下、感圧接着剤を「粘着剤」、感圧接着シートを「粘着シート」ということがある。)組成物が提供される。その組成物の主体(主成分)たる前記アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとし且つシラノール基形成性モノマーを含むモノマー原料を重合(典型的にはエマルジョン重合)してなるアクリル系ポリマーである。該アクリル系ポリマーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の質量平均分子量(Mw)は凡そ65×10〜100×10である。また、前記モノマー原料は、該モノマー原料が上記シラノール基形成性モノマーを除いた組成で重合された場合において、酢酸エチル不溶分の質量割合(Ga)が凡そ7〜17%のポリマーを与えるモノマー原料である。上記組成物は、該組成物から形成される架橋後の感圧接着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合(Gb)が凡そ20%〜55%となるように構成されている。
ここで、上記酢酸エチル不溶分の質量割合(Ga)の特定対象であるポリマーは、上記モノマー原料がシラノール基形成性モノマーを除いた組成で重合された場合に得られるポリマー(以下、これを「指標ポリマー」ということもある。)である。この指標ポリマーの重合は、上記モノマー原料(アクリル系ポリマー用モノマー原料)に代えて該モノマー原料から上記シラノール基形成性モノマーを除いた組成のモノマー原料(指標ポリマー用モノマー原料)を使用する点以外は、上記モノマー原料から上記粘着剤組成物の主成分たるアクリル系ポリマーを得る際の重合と同一の条件で行われるものとする。ここで「同一の条件」とは、シラノール基形成性モノマーの有無を除く他の重合条件(例えば重合温度、重合時間、開始剤の種類および使用量、連鎖移動剤の種類および使用量等)が同一であることをいう。
上記粘着剤組成物は、上記シラノール基形成性モノマーを除いた組成で重合された場合においてGaが上記範囲にある指標ポリマーを与えるモノマー原料を重合してなるアクリル系ポリマーであって、上記Mwを有するアクリル系ポリマーを主体とする。該モノマー原料には、上記シラノール基形成性モノマーが、上記架橋後の粘着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合(Gb)が上記範囲となるような態様で含有されている。かかる粘着剤組成物によると、接着性(剥離強度等)、高温環境下における凝集性(高温凝集性)および端末剥がれ防止性の3つの特性を高度なレベルでバランス良く発揮する高性能な粘着剤(典型的には粘着剤層)が形成され得る。
前記シラノール基形成性モノマーは、シラノール基(Si−OH)を形成し得る官能基(シラノール基形成性官能基)を一分子内に少なくとも一つ(好ましくは二つ以上、例えば二つまたは三つ)有する重合性化合物であり得る。上記シラノール基形成性官能基の好適例として、加水分解によりシラノール基を形成する官能基(アルコキシシリル基等)が挙げられる。例えば、一分子内に炭素数1〜4のアルコキシシリル基を1個または2個以上有するシラノール基形成性モノマー(アルコキシシリル基含有モノマー)が好ましい。
好ましい一つの態様では、上記シラノール基形成性モノマーが(メタ)アクリロイル基を有するジアルコキシシラン(例えば、アルキルジアルコキシシラン)またはトリアルコキシシランである。かかるアルコキシシランの有する2個または3個のアルコキシ基は、それぞれ独立に、メトキシ基およびエトキシ基から選択されるいずれかであり得る。かかるシラノール基形成性モノマーは、アルキル(メタ)アクリレートとの共重合性がよく、また架橋反応性が良いので好ましい。前記アクリル系ポリマーにおけるシラノール基形成性モノマーの共重合割合は、例えば凡そ0.005〜0.035質量%とすることができる。
前記アクリル系ポリマーは、前記シラノール基形成性モノマーを含むモノマー原料を、該モノマー原料100質量部に対して凡そ0.025〜0.035質量部の連鎖移動剤を用いてエマルジョン重合に付すことにより得られたものであり得る。かかる態様で行われるエマルジョン重合によると、Mwが上述した好ましい範囲にあるアクリル系ポリマーが得られやすい。また、上記モノマー原料が上記シラノール基形成性モノマーを除いた組成で重合された場合において、Gaが上述した好ましい範囲にある指標ポリマーが得られやすい。このようにして得られたアクリル系ポリマーを含む組成物は、上記3特性をより高度なレベルでバランス良く実現する粘着剤を与えるものであり得る。
ここに開示される粘着剤組成物の好ましい一態様では、前記モノマー原料がメタクリル酸を含む。上記モノマー原料がアクリル酸およびメタクリル酸をともに含むことがより好ましい。かかる組成のモノマー原料を用いて得られた粘着剤組成物は、上記3特性が良好であることに加えて、ポリウレタンフォーム等のような弾性を有する発泡体(典型的にはシート状)を被着体の表面形状(曲面、粗面等であり得る。)に沿って弾性変形させ、該発泡体が元の形状に戻ろうとする反撥力に抗して該発泡体を上記弾性変形させた形状に保持する性能(すなわち、フォームの反撥力に耐える性能。以下「フォーム耐反撥性」ということもある。)に優れた粘着剤を与えるものであり得る。すなわち、接着性、高温凝集性、端末剥がれ防止性およびフォーム耐反撥性の4特性を高度なレベルでバランス良く実現する粘着剤を与えるものであり得る。
上記のようにアクリル酸およびメタクリル酸を含む組成のモノマー原料を用いる態様において、前記モノマー原料に含まれるアクリル酸とメタクリル酸との質量比(AA:MAA)は、例えば凡そ1:10〜10:1の範囲とすることができる。かかる組成のモノマー原料を用いて得られた粘着剤組成物は、上記4特性をより高度なレベルでバランス良く実現する粘着剤(特に、より良好な高温凝集性およびフォーム耐反撥性を示す粘着剤)を与えるものであり得る。
ここに開示されるいずれかの感圧接着剤組成物は、さらに粘着付与剤を含有することができる。その粘着付与剤の配合割合は、前記アクリル系ポリマー100質量部に対して例えば凡そ5〜40質量部(固形分基準)の範囲とすることができる。かかる組成の感圧接着剤組成物は、上記3特性をより高度なレベルでバランスよく実現する感圧接着剤および該感圧接着剤(典型的には感圧接着剤層)を備える高性能な感圧接着シートを与えるものであり得る。
本発明によると、ここに開示されるいずれかの感圧接着剤組成物を用いて形成された感圧接着剤層を備える感圧接着シートが提供される。かかる構成の感圧接着シートは、接着性(剥離強度等)、高温環境下における凝集性および端末剥がれ防止性という3つの特性を高度なレベルでバランス良く実現する高性能な感圧接着シートであり得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーは、所定のモノマー原料を重合(典型的にはエマルジョン重合)してなる重合体である。上記モノマー原料は、アルキル(メタ)アクリレート、すなわちアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを主モノマー(主構成単量体)とする。ここで「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包含する概念である。また、「アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとする」とは、上記モノマー原料の総量に占めるアルキル(メタ)アクリレートの含有量(二種以上のアルキル(メタ)アクリレートを含有する場合にはそれらの合計含有量)の割合が50質量%を超えることをいう。このアルキル(メタ)アクリレート含有割合は、例えば前記モノマー原料の50質量%を超えて99.8質量%以下の範囲であり得る。アルキル(メタ)アクリレートの含有割合が凡そ80質量%以上(典型的には凡そ80〜99.8質量%)であるモノマー原料が好ましく、凡そ85質量%以上(典型的には凡そ85〜99.5質量%)であるモノマー原料がより好ましい。モノマー原料に占めるアルキル(メタ)アクリレートの割合が凡そ90質量%以上(典型的には凡そ90〜99質量%)であってもよい。この割合は、該モノマー原料を重合して得られるアクリル系ポリマーにおけるアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合割合に概ね対応する。
上記モノマー原料を構成するアルキル(メタ)アクリレートは、下記式(1):
CH2=C(R1)COOR2 ・・・(1);
で表される化合物から選択される一種または二種以上であり得る。ここで、上記式(1)中のR1は水素原子またはメチル基である。また、該式(1)中のR2は炭素原子数1〜20のアルキル基である。上記R2の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基等が挙げられる。これらのうち炭素原子数が2〜14(以下、このような炭素原子数の範囲を「C2-14」と表すことがある。)のアルキル基が好ましく、C2-10のアルキル基(例えばブチル基、2−エチルヘキシル基等)がより好ましい。
好ましい一つの態様では、上記モノマー原料に含まれるアルキル(メタ)アクリレートの総量のうち凡そ70質量%以上(より好ましくは凡そ90質量%以上)が、上記式(1)におけるR2がC2-10(より好ましくはC4-8)のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルである。該モノマー原料に含まれるアルキル(メタ)アクリレートの実質的に全部がC2-10アルキル(より好ましくはC4-8アルキル)(メタ)アクリレートであってもよい。例えば、アルキル(メタ)アクリレートとしてブチルアクリレートを単独で含む組成、2−エチルヘキシルアクリレートを単独で含む組成、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートの二種を含む組成、等のモノマー原料であり得る。このようにアルキル(メタ)アクリレートとしてブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレートを含む組成のモノマー原料において、ブチルアクリレート(BA)と2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)との含有割合(質量比)は、例えば、BA/2EHA=0/100〜100/0(好ましくは0/100〜70/30、より好ましくは5/95〜60/40)程度であり得る。
上記モノマー原料は、主モノマーとしてのアルキル(メタ)アクリレートに加えて、シラノール基形成性モノマーを含む。換言すれば、ここに開示される粘着剤組成物の主体たるアクリル系ポリマーにはシラノール基形成性モノマーが共重合されている。該シラノール基形成性モノマーは、上記粘着剤組成物から形成される粘着剤にシラノール基の縮合反応(シラノール縮合)による架橋構造を導入可能な官能基を少なくとも一つ有するモノマーであり得る。上記シラノール基形成性モノマーの好適例としては、一分子内に少なくとも一つ(好ましくは二つ以上、例えば二つまたは三つ)のアルコキシシリル基を有するシラノール基形成性モノマー(アルコキシシリル基含有モノマー)が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとの共重合性の観点から、一分子内にアクリロイル基、メタクリロイル基(以下、アクリロイル基およびメタクリロイル基を併せて「(メタ)アクリロイル基」と表記することがある。)、ビニル基等のエチレン性不飽和基を1個または2個以上有するシラノール基形成性モノマーが好ましく、なかでも一分子内に(メタ)アクリロイル基およびアルコキシシリル基(例えば、一つの(メタ)アクリロイル基と二つまたは三つのアルコキシシリル基)を有するシラノール基形成性モノマーが好ましい。
かかるシラノール基形成性モノマーの具体例としては、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。また、上記以外のシラノール基形成性モノマーとして、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等を例示することができる。このようなシラノール基形成性モノマーは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記アクリル系ポリマーにおけるシラノール基形成性モノマーの共重合割合は、上記指標ポリマーの酢酸エチル不溶分の質量割合(Ga)と、上記アクリル系ポリマーのTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)とが、それぞれここに開示される好適な数値範囲内となり得るように設定することができる。また、架橋後の粘着剤の酢酸エチル不溶分の質量割合(Gb)がここに開示される好適な数値範囲内となり得るように設定することができる。例えば、上記モノマー原料の総量に占めるシラノール基形成性モノマーの割合を凡そ0.005〜0.035質量%(より好ましくは凡そ0.01〜0.03質量%)とすることにより、上記Ga,MwおよびGbが好適に実現され得る。
上記モノマー原料は、主モノマーとしてのアルキル(メタ)アクリレートおよび上記シラノール基形成性モノマーに加えて、任意成分としてその他のモノマー(共重合成分)を含有することができる。当該「その他のモノマー」は、ここで使用するアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な種々のモノマーから選択される一種または二種以上であり得る。例えば、一分子内に(メタ)アクリロイル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基を1個または2個以上有する各種のエチレン性不飽和単量体であり得る。
上記「その他のモノマー」として採用し得るモノマーとして、例えば、以下のような各種官能基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「官能基含有モノマー」ということもある。)が挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物;等の、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体。
N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;等の、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール、N−メチロールアクリルアミド;等の、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体。
ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート(すなわち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのアセト酢酸エステル)、2−アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテート(すなわち、1,4−ブタンジオールのアクリル酸・アセト酢酸ジエステル)、一分子内に(メタ)アクリロイル基とケト基(例えばアセチル基)とを有する化合物;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン等のビニルアルキルケトン(例えば、ビニル−C1-7アルキルケトン);アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルアセトアセトアミド等の、ケト基を有するエチレン性不飽和単量体。
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体。
グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体。
このような官能基含有モノマーは、一種のみを用いてもよく二種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましく使用される官能基含有モノマーとして、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(より好ましくはエチレン性不飽和モノカルボン酸)が挙げられる。なかでもアクリル酸および/またはメタクリル酸の使用が好ましい。
かかる官能基含有モノマーを含む組成のモノマー原料では、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する官能基含有モノマー(二種以上を含む場合にはそれらの合計)の含有割合を例えば凡そ12質量部以下(典型的には凡そ0.5〜12質量部)とすることができる。この割合がアルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して凡そ8質量部以下(典型的には凡そ1〜8質量部)であってもよい。
上記官能基含有モノマーは、主モノマーたるアルキル(メタ)アクリレートおよび上記シラノール基形成性モノマーとともにモノマー原料の構成成分として用いられて、該モノマー原料から得られるアクリル系ポリマーに架橋点を導入するのに役立ち得る。すなわち、かかる官能基(架橋性官能基)は、必要に応じて該アクリル系ポリマーに配合される架橋剤の有する官能基および/またはアクリル系ポリマーの有する官能基(同種のまたは異種の官能基含有モノマーを共重合させることにより導入された架橋性官能基であり得る。)との間の架橋(典型的には熱架橋)反応に寄与する架橋点となり得る。したがって、上記官能基含有モノマーの種類およびその含有割合(共重合割合)は、使用する架橋剤の種類およびその量、架橋反応の種類、所望する架橋の程度(架橋密度)等を考慮して設定することができる。例えば、上記モノマー原料が上記シラノール基形成性モノマーを除いた組成で重合された場合に得られるポリマー(指標ポリマー)の酢酸エチル不溶分の質量割合(Ga)がここに開示される好適な数値範囲内となり得るように設定することができる。また、架橋後の粘着剤の酢酸エチル不溶分の質量割合(Gb)がここに開示される好適な数値範囲内となり得るように設定することができる。
上記「その他のモノマー」のさらに他の例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、すなわち一分子内に二以上の(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。このような多官能(メタ)アクリレートは、主モノマーたるアルキル(メタ)アクリレートとともにモノマー原料の構成成分として用いられて、該モノマー原料から得られるアクリル系ポリマーに分岐構造または架橋構造を導入するのに役立ち得る。多官能(メタ)アクリレートを含む組成のモノマー原料では、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する多官能(メタ)アクリレートの含有割合を例えば凡そ10質量%以下とすることができる。この割合がモノマー原料の凡そ5質量%以下であってもよい。多官能(メタ)アクリレートを使用するかどうか、また使用する場合における多官能(メタ)アクリレートの種類および含有割合は、例えば、上記GaおよびMwがここに開示される好適な数値範囲内となり得るように設定することが好ましい。多官能(メタ)アクリレートを実質的に含有しない組成のモノマー原料であってもよい。
上記「その他のモノマー」として使用し得るモノマーのさらにまた他の例として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の、環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;その他、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン等のエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。これらのモノマーの使用割合(二種以上を含む場合にはそれらの合計割合)は、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対して例えば凡そ10質量%以下とすることができる。この割合がモノマー原料の凡そ5質量%以下であってもよい。あるいは、これらのモノマーを実質的に含有しない組成のモノマー原料であってもよい。
上記モノマー原料の好適な組成の一例として、主モノマーとしてのアルキル(メタ)アクリレートおよび上記シラノール基形成性モノマーに加えてエチレン性不飽和モノカルボン酸を含有する組成であって、該エチレン性不飽和モノカルボン酸として少なくともメタクリル酸を含有する組成が挙げられる。アクリル酸(AA)とメタクリル酸(MAA)とを共に含む組成(典型的には、AAおよびMAAを含み、他のエチレン性不飽和モノカルボン酸を含まない組成)のモノマー原料がより好ましい。かかる組成のモノマー原料を用いて得られた粘着剤組成物は、接着性(剥離強度等)、高温凝集性および端末剥がれ防止性に加えて、さらにフォーム耐反撥性にも優れた粘着剤を与えるものであり得る。
エチレン性不飽和モノカルボン酸として上記のようにAAおよびMAAを共に含む組成のモノマー原料において、AAとMAAとの質量比(AA:MAA)は、例えば凡そ1:10〜10:1の範囲とすることができ、通常は凡そ1:4〜4:1の範囲とすることが好ましい。より高い高温凝集性およびフォーム耐反撥性を実現するという観点からは、AAとMAAとの質量比(AA:MAA)を凡そ1:2〜4:1の範囲とすることが好ましく、例えば凡そ1:1〜3:1の範囲とすることができる。
ここに開示される技術における粘着剤組成物の主成分たるアクリル系ポリマーは、上述のようなモノマー原料を重合(典型的にはエマルジョン重合)させてなるアクリル系ポリマーであって、上記指標ポリマーに占める酢酸エチル不溶分の質量割合(以下、「指標ポリマーのゲル分率」ということもある。)(Ga)が凡そ7%〜17%(例えば凡そ10%〜17%)である。このGaが高すぎると、上記アクリル系ポリマー(すなわち、シラノール基形成性モノマーを含む上記モノマー原料を同じ条件で重合してなるアクリル系ポリマー)を主体とする粘着剤組成物から形成された粘着剤または粘着シートにおいて、接着性(剥離強度)と高温凝集性と端末剥がれ防止性とを高レベルでバランスさせることが困難となる傾向にある。例えば、端末剥がれ防止性が低下しやすくなることがある。
上記「指標ポリマーのゲル分率(Ga)」は、次の方法により測定される。
<指標ポリマーのゲル分率(Ga)測定方法>
測定サンプルとしての指標ポリマー約0.1g(質量:Wa1mg)を、平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(質量:Wa2mg)で巾着状に包み、口を凧糸(質量:Wa3mg)で縛る。この包みを容量50mLのスクリュー管に入れ(1個の包みにつきスクリュー管1本を使用する。)、該スクリュー管に酢酸エチルを満たす。これを室温(典型的には23℃)で7日間放置した後、上記包みを取り出して130℃で2時間乾燥させ、該包みの質量(Wa4mg)を測定する。該ポリマーのゲル分率(Ga)は、各値を以下の式:
Ga[%]=[(Wa4−Wa2−Wa3)/Wa1]×100;
に代入することにより求められる。
上記テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜としては、日東電工株式会社から入手可能な商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」(平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ0.085mm)またはその相当品を使用することが望ましい。上記測定に使用する測定サンプルとしては、例えば、上記指標ポリマーの水性エマルジョン(典型的には、上記モノマー原料をシラノール基形成性モノマーが除かれた組成でエマルジョン重合に付して得られたポリマーの水性エマルジョン)を130℃で2時間乾燥させたものを用いるとよい。
また、ここに開示される技術における粘着剤組成物の主成分たるアクリル系ポリマーは、THF可溶分の質量平均分子量(以下、単に「質量平均分子量」ということもある。)(Mw)が、概ね65×10以上100×10以下の範囲にある。このMwが上記範囲よりも低すぎると、該アクリル系ポリマーを主体とする粘着剤組成物から形成された粘着剤または粘着シートにおいて、接着強度(剥離強度)と高温凝集性と端末剥がれ防止性とを高レベルでバランスさせることが困難となる傾向にある。例えば、高温凝集性および端末剥がれ防止性のいずれかまたは両方が不足しがちとなることがある。一方、Mwが上記範囲よりも高すぎる場合には、上記指標ポリマーのGaが上述した好ましい範囲よりも高くなりすぎる傾向にある。また、上記アクリル系ポリマーを主体とする粘着剤組成物から形成された粘着剤または粘着シートにおいて、初期接着強度やタック(べたつき)が低下傾向となることがある。
上記質量平均分子量(Mw)は、次の方法により測定される。
<質量平均分子量(Mw)測定方法>
測定サンプルとしてのアクリル系ポリマーを室温(典型的には23℃)にてTHFに7日間浸漬してTHF可溶分を溶出させる。その後、THF不溶分を濾別し、その濾液を必要に応じて濃縮または希釈して(いったん乾燥させた後、THFに再溶解させてもよい。)、THF可溶分を適当な濃度(例えば凡そ0.1〜0.3質量%程度。後述する実施例では0.2質量%とした。)で含むTHF溶液を調製する。このTHF溶液を平均孔径0.45μmのフィルターで濾過した濾液(分子量測定用の試料溶液)につき、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)装置により標準ポリスチレン基準の質量平均分子量を求め、その値をTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)とする。GPC装置としては、例えば、東ソー株式会社から入手可能な機種名「HLC−8120GPC」(カラム:TSKgel GMH−H(S))を用いることができる。上記測定に使用する測定サンプルとしては、例えば、上記アクリル系ポリマーの水性エマルジョンを130℃で2時間乾燥させたものを用いるとよい。
ここに開示される粘着剤組成物は、Mwが上述した所定の数値範囲内にあるアクリル系ポリマーが得られ、且つGaが上述した所定の数値範囲内にある指標ポリマーが得られるようにして、上記モノマー原料(すなわち、シラノール基形成性モノマーを含むモノマー原料)をエマルジョン重合に付して得られたものであり得る。上記Mwを満たすアクリル系ポリマーが得られ、且つ上記Gaを満たす指標ポリマーが得られる限りにおいて、上記エマルジョン重合の態様は特に限定されず、従来公知の一般的な乳化重合と同様の態様により、例えば公知の各種モノマー供給方法、重合条件(重合温度、重合時間、重合圧力等)、使用材料(重合開始剤、界面活性剤等)を適宜採用して行うことができる。例えば、モノマー供給方法としては、全モノマー原料を一度に重合容器に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等のいずれも採用可能である。モノマー原料の一部または全部をあらかじめ水と混合して乳化し、その乳化液を反応容器内に供給してもよい。
重合温度としては、例えば20〜100℃(典型的には40〜80℃)程度の温度を採用することができる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート等のアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等のレドックス系開始剤;等が例示されるが、これらに限定されない。重合開始剤の使用量は、モノマー原料100質量部に対して、例えば0.005〜1質量部程度とすることができる。重合開始剤の供給方法としては、使用する重合開始剤の実質的に全量をモノマー原料の供給開始前に反応容器に入れておく(典型的には、反応容器内に該重合開始剤の水溶液を用意する)一括仕込み方式、連続供給方式、分割供給方式等のいずれも採用可能である。重合操作の容易性、工程管理の容易性等の観点から、例えば一括仕込み方式を好ましく採用することができる。
乳化剤(界面活性剤)としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系乳化剤;等を使用できる。かかる乳化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。乳化剤の使用量は、モノマー原料100質量部に対して、例えば凡そ0.2〜10質量部程度(好ましくは0.5〜5質量部程度)とすることができる。
上記重合(典型的にはエマルジョン重合)には、必要に応じて、従来公知の各種の連鎖移動剤(分子量調節剤あるいは重合度調節剤としても把握され得る。)を使用することができる。かかる連鎖移動剤は、例えば、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、グリシジルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等のメルカプタン類から選択される一種または二種以上であり得る。なかでもドデカンチオールの使用が好ましい。連鎖移動剤の使用量は、モノマー原料100質量部に対して例えば凡そ0.001〜0.5質量部程度とすることができ、該使用量が凡そ0.02〜0.05質量部程度としてもよい。例えば、連鎖移動剤の使用量を凡そ0.025〜0.035質量部とすることによって良好な結果が実現され得る。
かかるエマルジョン重合の態様は、上記MwおよびGaがここに開示される好ましい数値範囲内となるように設定され得る。これらの特性値(Mw,Ga)を調整する手段は特に限定されない。例えば、ポリマーの重合度(分子量)または分子構造に影響を与えることが知られている各種因子を適切に設定することにより、上記Mwおよび/またはGaの値を調整することができる。上記特性値の調整に利用し得る因子の具体例としては、連鎖移動剤の使用の有無、使用する場合にはその種類(使用する化合物)、使用量、反応容器への供給タイミング、等の連鎖移動剤に関連する因子;重合開始剤の種類(使用する化合物)、使用量、反応容器への供給様式(一括、連続、分割等)およびその供給タイミング、等の重合開始剤に関連する因子;モノマー原料を構成するモノマーの種類および組成比(例えば、上記官能基含有モノマーの使用の有無、使用する場合にはその種類、モノマー原料の総量に対する該官能基含有モノマーの質量比等)、モノマー原料を反応容器に供給する際の供給様式(一括、連続、分割等)、連続供給の場合における供給速度、等のモノマー原料に関連する因子;重合温度、重合時間、重合により得られる水性エマルジョンの固形分濃度、等が挙げられる。このような因子がMwまたはGaに及ぼす影響の一般的な傾向は、当業者の技術常識として把握され得るか、あるいは簡単な予備実験を行うこと等により容易に把握可能である。かかる技術常識および/または予備実験の結果を考慮してエマルジョン重合の態様(重合条件)を設定することにより、上記特性値(Mw,Ga)を好ましい範囲に調整することができる。
ここに開示される水性粘着剤組成物は、上記アクリル系ポリマーを主体とし、該アクリル系ポリマーが水に分散した形態の組成物である。ここで「アクリル系ポリマーを主体とする」とは、該組成物に含まれる不揮発分(固形分)に占めるアクリル系ポリマーの質量割合が50質量%を超えることをいう。この割合が70質量%を超える粘着剤組成物であってもよい。また、かかる水性粘着剤組成物に占める不揮発分(固形分)の割合は、例えば凡そ30〜80質量%(典型的には、凡そ40〜70質量%)の範囲であり得る。
ここに開示される粘着剤組成物は、慣用の方法で乾燥および架橋(典型的には熱架橋)されて、粘着剤(架橋後の粘着剤)を形成し得る。該組成物は、架橋後の粘着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合(以下、「粘着剤のゲル分率」ということもある。)(Gb)が凡そ20%〜55%となるように構成されている。Gbが30%〜55%(例えば凡そ35%〜55%)であってもよい。Gbが上記範囲よりも低すぎるかあるいは高すぎる場合には、該粘着剤または該粘着剤を有する粘着シートにおいて、接着強度(剥離強度)と高温凝集性と端末剥がれ防止性とを高レベルでバランスさせることが困難となる傾向にある。例えば、Gbが低すぎると高温凝集性が不足しがちとなりやすく、Gbが高すぎると端末剥がれ防止性が低下しやすくなることがある。
上記「粘着剤のゲル分率(Gb)」は、次の方法により測定される。
<粘着剤のゲル分率(Gb)測定方法>
剥離ライナー上に粘着剤組成物を付与(典型的には塗布)する。これを100℃で2分間乾燥させて上記剥離ライナー上に厚み約50μm〜100μmの粘着剤層を形成し、さらにこれを50℃の環境下に3日間保存する。その後、該粘着剤層から約0.1g(質量:Wb1mg)の粘着剤サンプルを採取し、それを平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(質量:Wb2mg)で巾着状に包み、口を凧糸(質量:Wb3mg)で縛る。この包みを容量50mLのスクリュー管に入れ(1個の包みにつきスクリュー管1本を使用する。)、該スクリュー管に酢酸エチルを満たす。これを室温(典型的には23℃)で7日間放置した後、上記包みを取り出して130℃で2時間乾燥させ、該包みの質量(Wb4mg)を測定する。粘着剤のゲル分率(Gb)は、各値を以下の式:
Gb[%]=[(Wb4−Wb2−Wb3)/Wb1]×100;
に代入することにより求められる。
上記テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜としては、上記商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」またはその相当品を使用することが望ましい。
上記ゲル分率(Gb)がここに開示される好ましい範囲となるように、上記アクリル系ポリマーの共重合組成等を設定することが好ましい。例えば、アクリル系ポリマーの製造に使用するモノマー原料におけるシラノール基形成性モノマーの含有割合を上述した好ましい範囲に設定することにより、上述した好ましいGbを有する粘着剤組成物が実現され得る。
エチレン性不飽和モノカルボン酸としてアクリル酸のみを含む組成のモノマー原料から得られた粘着剤組成物では、上記ゲル分率(Gb)が凡そ35%〜55%(より好ましくは凡そ40%〜50%)であることが好ましい。また、エチレン性不飽和モノカルボン酸としてメタクリル酸のみを含むか或いはアクリル酸およびメタクリル酸を含む(典型的には、アクリル酸およびメタクリル酸以外のエチレン性不飽和モノカルボン酸を含有しない)組成のモノマー原料から得られた粘着剤組成物では、Gbが凡そ20%〜45%(より好ましくは凡そ25%〜40%、さらに好ましくは凡そ30%〜40%)であることが好ましい。かかるGbを満たす粘着剤によると、接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性の3特性(さらには、フォーム耐反撥性を含めた4特性)がより高度にバランスよく実現され得る。
なお、ここに開示される技術における粘着剤組成物の主成分たるアクリル系ポリマーは、以下のようにして測定される酢酸エチル不溶分の質量割合(以下、「アクリル系ポリマーのゲル分率」ということもある。)(Gc)が凡そ20%〜55%の範囲にあることが好ましく、凡そ35%〜45%の範囲にあることがより好ましい。かかるGcを満たすアクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤組成物は、接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性の3特性(さらには、フォーム耐反撥性を含めた4特性)をより高度にバランスよく実現する粘着剤を与えるものであり得る。
<アクリル系ポリマーのゲル分率(Gc)測定方法>
測定サンプルとしてのアクリル系ポリマー約0.1g(質量:Wc1mg)を、平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜(質量:Wc2mg)で巾着状に包み、口を凧糸(質量:Wc3mg)で縛る。この包みを容量50mLのスクリュー管に入れ(1個の包みにつきスクリュー管1本を使用する。)、該スクリュー管に酢酸エチルを満たす。これを室温(典型的には23℃)で7日間放置した後、上記包みを取り出して130℃で2時間乾燥させ、該包みの質量(Wc4mg)を測定する。アクリル系ポリマーのゲル分率(Gc)は、各値を以下の式:
Gc[%]=[(Wc4−Wc2−Wc3)/Wc1]×100;
に代入することにより求められる。
上記テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質膜としては、上記商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」またはその相当品を使用することが望ましい。また、上記測定に供する測定サンプルとしては、例えば、アクリル系ポリマーの水性エマルジョンを130℃で2時間乾燥させたものを用いるとよい。
上記粘着剤組成物には、本発明の効果を顕著に損なわない限りにおいて、水性粘着剤組成物の分野において一般的な架橋剤、例えばヒドラジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、シランカップリング剤等から選択される架橋剤が追加的に配合されていてもよい。これらの架橋剤は単独でまたは二種以上を組み合わせて使用し得る。あるいは、かかる架橋剤が配合されない組成の粘着剤組成物であってもよい。
特に限定するものではないが、上記架橋後の粘着剤のTHF可溶分の質量平均分子量(Mx)は、標準ポリスチレン基準として、例えば凡そ10×10〜80×10程度(好ましくは20×10〜60×10程度)であり得る。このMxは、上記アクリル系ポリマーのTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)と同様の方法により測定することができる。Mxが上記範囲よりも低すぎると、該粘着剤またはこれを有する粘着シートにおいて、接着性(粘着性、例えば剥離強度)と高温凝集性と端末剥がれ防止性とのバランスが崩れやすくなる場合がある。例えば、高温凝集性が不足しがちとなる。一方、Mxが上記範囲よりも高すぎる粘着剤では、初期接着強度やタック(べたつき)が低下傾向となることがある。このMxは、例えば、アクリル系ポリマーを製造する際における連鎖移動剤の使用の有無、連鎖移動剤を使用する場合にはその種類(使用する化合物)および使用量、シラノール基形成性モノマーの種類、モノマー原料の総量に対するシラノール基形成性モノマーの質量比、官能基含有モノマーの使用の有無、官能基含有モノマーを使用する場合にはその種類、モノマー原料の総量に対する該官能基含有モノマーの質量比等の因子によって調整され得る。
ここに開示される粘着剤組成物の好ましい一つの態様では、該組成物がさらに粘着付与剤を含有する。かかる粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂等の各種粘着付与剤樹脂から選択される一種または二種以上を用いることができる。上記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジンの他、安定化ロジン(例えば、前記ロジンを不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジン)、重合ロジン(例えば、前記ロジンの多量体、典型的には二量体)、変性ロジン(例えば、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸により変性された不飽和酸変性ロジン等)等が挙げられる。上記ロジン誘導体樹脂としては、前記ロジン系樹脂のエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物等が挙げられる。上記石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、これらの水素化物等が例示される。上記テルペン系樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂等が挙げられる。上記ケトン系樹脂としては、例えば、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等の脂肪族ケトン;シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の脂環式ケトン等)とホルムアルデヒドとの縮合によるケトン系樹脂が例示される。
高温環境下における凝集性を高めるという観点等から、例えば軟化点が凡そ140℃以上(典型的には140〜180℃)の粘着付与剤を好ましく採用し得る。かかる軟化点を有する粘着付与剤の市販品としては、荒川化学工業株式会社から入手可能な商品名「スーパーエステルE−865」、「スーパーエステルE−865NT」、「スーパーエステルE−650」、「スーパーエステルE−786−60」、「タマノルE−100」、「タマノルE−200」、「タマノル803L」、「ペンセルD−160」、「ペンセルKK」;ヤスハラケミカル株式会社から入手可能な商品名「YSポリスターS」、「YSポリスターT」、「マイティエースG」;等が例示されるが、これらに限定されない。軟化点が凡そ160℃以上(典型的には160〜180℃)の粘着付与剤を採用することにより、より高性能な粘着剤層を与える粘着剤組成物が提供され得る。例えば、高温環境下における凝集性と他の特性(剥離強度、端末剥がれ防止性等)とがより高度なレベルでバランスした粘着剤組成物が提供され得る。このような粘着付与剤は、一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
かかる粘着付与剤は、典型的には、アクリル系ポリマーの水性エマルジョンに添加して用いられる。粘着付与剤の添加態様は特に限定されない。通常は、該粘着付与剤が水に分散された水分散液(粘着付与剤エマルジョン)の形態で添加することが適当である。
粘着付与剤の配合割合は、不揮発分(固形分)基準で、アクリル系ポリマー100質量部に対して例えば凡そ50質量部以下とすることができる。通常は、上記配合割合を凡そ40質量部以下とすることが適当である。粘着付与剤含有量の下限は特に限定されないが、通常はアクリル系ポリマー100質量部に対して凡そ1質量部以上とすることにより良好な結果が得られる。ここに開示される粘着剤組成物の好ましい一つの態様では、該粘着付与剤の配合割合(含有割合)を、アクリル系ポリマー100質量部に対して固形分基準で凡そ5〜40質量部(典型的には凡そ5〜30質量部、例えば凡そ15〜30質量部)とする。かかる割合で粘着付与剤を用いた粘着剤組成物によると、上述した好ましいGbとなるように架橋された粘着剤または該粘着剤を備える粘着シートにおいて、接着性(剥離強度)、高温環境下における凝集性および端末剥がれ防止性という3つの特性がより高レベルでバランスよく実現され得る。
ここに開示される粘着剤組成物は、任意成分として、上記アクリル系ポリマー以外のポリマー成分を含有することができる。かかるポリマー成分としては、ゴムまたはエラストマーの性質をもつポリマーが好ましく、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、ポリイソブチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリビニルアルキルエーテル(例えば、ポリビニルイソブチルエーテル)等を例示することができる。これらのうち一種を単独で用いてもよく二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなポリマー成分は、例えば、該ポリマー成分が水に分散したエマルジョンの形態で、上記アクリル系ポリマーの水性エマルジョンに配合して用いられ得る。該ポリマー成分の含有量(配合割合)は、不揮発分(固形分)基準で、アクリル系ポリマー100質量部に対して通常は凡そ50質量部以下(例えば凡そ5〜50質量部)とすることが適当である。かかるポリマー成分の配合割合を5質量部以下としてもよく、該ポリマー成分を実質的に含有しない組成の粘着剤組成物であってもよい。
ここに開示される粘着剤組成物は、pH調整等の目的で使用される酸または塩基(アンモニア水等)を含有するものであり得る。該組成物に含有され得る他の任意成分としては、粘度調整剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、顔料、染料等の着色剤、安定剤、防腐剤、老化防止剤等の、水性粘着剤組成物の分野において一般的な各種の添加剤が例示される。このような添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
本発明に係る粘着シートは、ここに開示されるいずれかの粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を備える。かかる粘着剤層をシート状基材(支持体)の片面または両面に有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、あるいは該粘着剤層が剥離ライナー上に設けられた形態等の基材レスの粘着シートであってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。なお、上記粘着剤層は連続的に形成されたものに限定されず、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
ここに開示される粘着シートは、例えば、図1〜図6に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。このうち図1,図2は、両面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図1に示す粘着シート11は、基材1の両面に粘着剤層2が設けられ、それらの粘着剤層2が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー3によってそれぞれ保護された構成を有している。図2に示す粘着シート12は、基材1の両面に粘着剤層2が設けられ、それらの粘着剤層のうち一方が、両面が剥離面となっている剥離ライナー3により保護された構成を有している。この種の粘着シート12は、該粘着シート12を巻回することにより他方の粘着剤層を剥離ライナー3の裏面に当接させ、該他方の粘着剤層もまた剥離ライナー3によって保護された構成とすることができる。
図3,図4は、基材レスの粘着テープの構成例である。図3に示す粘着シート13は、基材レスの粘着剤層2の両面が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー3によってそれぞれ保護された構成を有する。図4に示す粘着シート14は、基材レスの粘着剤層2の一面が、両面が剥離面となっている剥離ライナー3により保護された構成を有し、これを巻回すると粘着剤層2の他面が剥離ライナー3に当接して該他面もまた剥離ライナー3で保護された構成とできるようになっている。
図5,図6は、片面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図5に示す粘着シート15は、基材1の片面に粘着剤層2が設けられ、その粘着剤層2の表面(接着面)が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー3によって保護された構成を有する。図6に示す粘着シート16は、基材1の一面に粘着剤層2が設けられた構成を有する。その基材1の他面は剥離面となっており、粘着シート16を巻回すると該他面に粘着剤層2が当接して該粘着剤層の表面(接着面)が基材1の他面で保護された構成とできるようになっている。
このような粘着シートを構成する基材としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等のフォーム基材;クラフト紙、クレープ紙、和紙等の紙;綿布、スフ布等の布;ポリエステル不織布、ビニロン不織布等の不織布;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;等を、粘着シートの用途に応じて適宜選択して用いることができる。上記プラスチックフィルムとしては、無延伸フィルムおよび延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムのいずれも使用可能である。また、基材のうち粘着剤層が設けられる面には、下塗剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。基材の厚みは目的に応じて適宜選択できるが、一般的には概ね10μm〜500μm(典型的には10μm〜200μm)程度である。
上記粘着剤層は、例えば、ここに開示されるいずれかの水性粘着剤組成物を基材または剥離ライナーに付与(典型的には塗布)し、該組成物を乾燥させることにより形成され得る。粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて行うことができる。特に限定するものではないが、粘着剤組成物の塗布厚は、乾燥後に形成される粘着剤層の厚みが例えば凡そ2μm〜150μm(典型的には凡そ5μm〜100μm)となる程度の塗布厚とすることができる。架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。基材の種類にもよるが、例えば凡そ40〜120℃程度の乾燥温度を採用することができる。なお、基材付き粘着シートの場合、基材に直接粘着剤組成物を付与して粘着剤層を形成してもよく、剥離ライナー上に形成した粘着剤層を基材に転写してもよい。
本発明により提供される粘着シートは、複数の特性を同時に高レベルで実現する高性能な粘着シートであり得る。例えば、接着性(剥離強度等)、凝集性(特に高温環境下における凝集性)および端末剥がれ防止性(曲面接着性)という3つの特性を、より高いレベルでバランスよく実現する粘着シートであり得る。ここで、高温環境下における凝集力は、例えば、後述のように80℃における保持力(耐熱保持力)を測定することによって把握することができる。また、上記端末剥がれ防止性は、粘着シートの曲面等への接着性(被着体の表面形状に追随して接着する性能)を表す指標となり得る性質であって、例えば、後述する端末剥がれ性試験により把握することができる。
本発明により提供される粘着シートは、上記3特性に加えて、さらにフォーム耐反撥性をも同時に高レベルで実現する高性能な粘着シートであり得る。該フォーム耐反撥性は、粘着シートの粗面接着性を表す指標となり得る性質であって、例えば、後述のようにフォーム基材を屈曲させて貼り付けるフォーム耐反撥性試験により把握することができる。
このような優れた効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、例えば以下のように推察される。すなわち、ここに開示される粘着剤組成物は、質量平均分子量(Mw)65×10〜100×10を満たし且つ上記指標ポリマーのゲル分率(Ga)が7%〜17%以下となるアクリル系ポリマーを主体とし、且つ架橋後においてゲル分率(Gb)20%〜55%の粘着剤を与えるように構成されている。上記指標ポリマーのゲル分率(Ga)は、該粘着剤組成物から得られる粘着剤または粘着シートの端末剥がれ防止性に大きく影響し得る。また、上記アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)および架橋後の粘着剤のゲル分率(Gb)は、高温凝集性および端末剥がれ防止性に大きく影響し得る。上記Ga,MwおよびGbのいずれをも満たす粘着剤組成物によると、所望の接着性を確保しつつ高温凝集性および端末剥がれ防止性を高めることができ、これにより上記3特性のバランスに優れた粘着剤または粘着シートを形成する粘着剤組成物が実現されたものと考えられる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
また、アクリル系ポリマーのTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)は、上述した方法により調製した分子量測定用試料溶液につき、東ソー株式会社から入手可能なゲル透過クロマトグラフィ(GPC)装置、機種名「HLC−8120GPC」を用いて以下の条件で測定を行い、ポリスチレン基準の質量平均分子量として求めた。
[GPC測定条件]
試料溶液注入量:10μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
溶離液:THF
流速:0.6mL/分
測定温度:40℃
カラム:TSKgel GMH−H(S)
検出器:示差屈折計
<例1>
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(重合開始剤)(和光純薬工業株式会社から入手可能な商品名「VA−057」を使用した。)0.1部およびイオン交換水35部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。これを60℃に保ち、ここにブチルアクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート70部、アクリル酸(AA)4部、シラノール基形成性モノマーとしての3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社から入手可能な商品名「KBM−503」を使用した。)0.02部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.033部およびポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)2部をイオン交換水40部に添加して乳化したもの(すなわち、モノマー原料のエマルジョン)を3時間かけて徐々に滴下して乳化重合反応を進行させた。モノマー原料エマルジョンの滴下終了後、さらに3時間同温度に保持して熟成させた。これに10%アンモニウム水を添加して液性をpH7.5に調整した。このようにして、アクリル系ポリマーの水分散液(エマルジョン)を得た。以下、このアクリル系ポリマーエマルジョンを「エマルジョンE1」ということがある。このエマルジョンE1を構成するアクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)を上記条件で測定した。
一方、上記で使用したモノマー原料から3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(シラノール基形成性モノマー)を除いた組成で上記モノマー原料のエマルジョンを調整した点以外は上記エマルジョンE1の作製と同様にして、該エマルジョンE1を構成するアクリル系ポリマーに対応する指標ポリマーの水分散液(エマルジョン)を得た。該エマルジョンを構成する指標ポリマーにつき、上記方法を適用して酢酸エチル不溶分の質量割合(ゲル分率)(Ga)を測定した。
上記エマルジョンE1に対し、該エマルジョンに含まれるアクリル系ポリマー100部当たり20部(固形分基準)の粘着付与剤のエマルジョン(荒川化学工業株式会社から入手可能な商品名「スーパーエステルE−865NT」、軟化点160℃の重合ロジン樹脂の水分散液)を添加して、例1に係る粘着剤組成物を得た。
上質紙をシリコーン系剥離剤で処理してなる剥離ライナーに上記粘着剤組成物を塗布した。これを100℃で2分間乾燥して該剥離ライナー上に厚さ約70μmの粘着剤層を形成することにより、該粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。上記基材レスの粘着シートを作製から3日間50℃の環境下に保存した後、該粘着シートから粘着剤サンプルを採取し、上述した方法によって架橋後の粘着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合(ゲル分率)(Gb)を測定した。
また、上記粘着剤組成物を用いて不織布を基材とする両面粘着シートを作製した。すなわち、上記と同様にして剥離ライナー上に厚さ約70μmの粘着剤層を形成したものを二枚用意し、それらを不織布(日本大昭和板紙株式会社から入手可能な不織布、商品名「精練用紙」)の両面に貼り合わせて両面粘着シートを得た。この両面粘着シートの両粘着面は、該粘着シートの作製に使用した剥離ライナーによってそのまま保護されている。
<例2>
例1で使用したモノマー原料において3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの使用量を0.015部に変更し、ドデカンチオールの使用量を0.03部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE2」ということがある。)を得た。上記エマルジョンE2に対し、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して例2に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例3>
例1と同じ組成のモノマー原料を使用し、ただし例1では該モノマー原料のエマルジョンを3時間かけて滴下したところ、本例では該エマルジョンを4時間かけて滴下した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE3」ということがある。)を得た。上記エマルジョンE3に例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例3に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例4>
例1で使用したモノマー原料において3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの使用量を0.04部に変更し、ドデカンチオールの使用量を0.036部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE4」ということがある。)を得た。上記エマルジョンE4に例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例4に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例5>
例1で使用したモノマー原料において3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの使用量を0.06部に変更し、ドデカンチオールの使用量を0.036部に変更した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE5」ということがある。)を得た。このエマルジョンE5に例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例5に係る粘着剤組成物を得た。該粘着剤組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
上記アクリル系ポリマーエマルジョンE2〜E5の各々を構成するアクリル系ポリマーにつき、例1と同様にMwを測定した。また、上記エマルジョンE2〜E5の各々につき、例1と同様に各エマルジョンを構成するアクリル系ポリマーに対応する指標ポリマーのエマルジョンを作製し、該指標ポリマーのGaを求めた。このとき、エマルジョンE3に対応する指標ポリマーの作製においては、シラノール基形成性モノマーを除いた組成のモノマー原料エマルジョンの滴下時間をエマルジョンE3と同様に4時間とした。また、例2〜例5に係る各粘着剤組成物から得られた粘着剤のゲル分率(Gb)を例1と同様にして測定した。
例1〜例5で作製した両面粘着シートを作製から3日間50℃の環境下に保存してエージングを行った後、以下の特性を評価した。
[剥離強度測定]
両面粘着シートの一面を覆う剥離ライナーを剥がして粘着剤層を露出させ、これを厚さ25μmのPETフィルムに貼り付けて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして試験片を作製した。上記試験片の他面から剥離ライナーを剥がし、該試験片を被着体としてのSUS304ステンレス板に、2kgのローラを1往復させる方法で圧着した。これを23℃に30分間放置した後、JIS Z0237に準じ、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下、引張試験機を使用して引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で剥離強度(N/20mm幅)を測定した。
[高温凝集性試験]
両面粘着シートの一面を覆う剥離ライナーを剥がして粘着剤層を露出させ、これを厚さ25μmのPETフィルムに貼り付けて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを幅10mm、長さ100mmのサイズにカットして試験片を作製した。上記試験片の他面から剥離ライナーを剥がし、該試験片を被着体としてのベークライト板に、幅10mm、長さ20mmの接着面積にて、2kgのローラを1往復させる方法で圧着した。このベークライト板を80℃の環境下に垂下して30分間放置した後、試験片の自由端に500gの荷重を付与し、JIS Z0237に準じて、該荷重が付与された状態で80℃の環境下に1時間放置した後における試験片のずれの大きさ(距離)を測定した。
[端末剥がれ試験]
両面粘着シートの一面を覆う剥離ライナーを剥がして粘着剤層を露出させ、これを厚さ0.5mm、幅10mm、長さ90mmのアルミニウム板に貼り合わせて試験片を作製した。その試験片の長手方向をφ50mmの丸棒に沿わせて弧状に曲げた後、該試験片の他面から剥離ライナーを剥がし、ラミネータを用いてポリプロピレン板に圧着した。これを23℃の環境下に24時間放置し、次いで70℃で2時間加温した後に、ポリプロピレン板表面から浮きあがった試験片端部の高さ(mm)を測定した。
例1〜例5に係る粘着剤組成物の調製に使用したエマルジョンの種類、該エマルジョンを構成するアクリル系ポリマーのTHF可溶分の質量平均分子量(Mw)、該アクリル系ポリマーに対応する指標ポリマーの酢酸エチル不溶分の質量割合(Ga)および架橋後の粘着剤の酢酸エチル不溶分の質量割合(Gb)、ならびに上記評価試験の結果を表1に示す。
Figure 0004780676
表1に示されるように、Mwが65×10〜100×10であり且つ指標ポリマーのGaが7%〜17%(より具体的には10%〜17%)であるアクリル系ポリマーを主体とする粘着剤組成物を用いて形成されたGb20〜55%(より具体的には30%〜55%、さらには35%〜50%、特に40%〜50%)の粘着剤層を有する例1〜3に係る粘着シートは、いずれも12N/20mm以上(さらには13N/20mm以上)の剥離強度を示し、高温凝集性試験において試験片の途中落下がみられず(さらに1時間後におけるずれの大きさが2.5mm以下、特に1.5mm以下であり)、端末剥がれ試験における剥がれ高さが2mm以下(さらには1.5mm以下)であった。すなわち、接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性を高度なバランスで実現するものであった。
これに対して、例4,5に係る粘着シートは、剥離強度および高温凝集性は例1〜3と概ね同程度であるが、端末剥がれ防止性が大きく劣るものであった。すなわち、例1〜3に係る粘着シートに比べて上記3特性(接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性)のバランスに欠けるものであった。
なお、ここに開示される粘着剤組成物は、経時変化(例えば、Gb、接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性のうち一または二以上の特性の経時変化)の少ない粘着剤および該粘着剤を備える粘着シートを形成するものであり得る。このことを支持する実施例を以下に示す。
すなわち、例1に係る基材レスの粘着シートおよび両面粘着シートを作製から7日間70℃の環境下に保存した後、上記と同様にしてGb、剥離強度測定、高温凝集性試験および端末剥がれ性試験を行った。その結果、剥離強度、高温凝集性および端末剥がれ防止性のいずれについても表1に示される結果(3日間50℃の環境下に保存した粘着シートを用いた評価結果)と同程度の性能が維持されており、またGbの低下も認められなかった。
<例6>
例1と同じ組成のモノマー原料を使用し、例1と同様にしてアクリル系ポリマーのエマルジョン(以下、「エマルジョンE6」ともいう。)を得た。このエマルジョンE6に、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例6に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例7>
例1で使用したモノマー原料において、AA4部に代えて、AA3部およびメタクリル酸(MAA)1部を使用した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE7」ともいう。)を得た。このエマルジョンE7に、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例7に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例8>
AA4部に代えてAA2部およびMAA2部を使用した点以外は例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE8」ともいう。)を得た。このエマルジョンE8に、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例8に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例9>
AA4部に代えてAA1部およびMAA3部を使用した点以外は例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE9」ともいう。)を得た。このエマルジョンE9に、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例9に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
上記アクリル系ポリマーエマルジョンE6〜E9の各々を構成するアクリル系ポリマーにつき、上記方法によりMwおよび酢酸エチル不溶分の質量割合(ゲル分率)(Gc)を測定した。また、例6〜例9に係る各粘着剤組成物から得られた粘着剤のゲル分率(Gb)を例1と同様にして測定した。これらMw,GcおよびGbの測定結果を表2に示す。この表2には、例6〜例9に係る粘着剤組成物の調製に使用したアクリル系ポリマーエマルジョンの種類と、各エマルジョンの作製に用いたモノマー原料に含まれるアクリル酸およびメタクリル酸の量とを併せて示している。なお、上記エマルジョンE6〜E9の各々につき、例1と同様に各エマルジョンを構成するアクリル系ポリマーに対応する指標ポリマーのエマルジョンを作製し、それらの指標ポリマーのゲル分率(Ga)を求めたところ、いずれの指標ポリマーも凡そ14%であった。
Figure 0004780676
例6〜例9で作製した両面粘着シートを作製から3日間50℃の環境下に保存してエージングを行った後、該両面粘着シートを用いて上記と同様に剥離強度、高温凝集性および端末剥がれを評価した。さらに、上記両面粘着シートを用いて以下の方法によりフォーム耐反撥性を評価した。それらの結果を表3に示す。
[フォーム耐反撥性試験]
両面粘着シートの一面を覆う剥離ライナーを剥がして粘着剤層を露出させて厚さ10mmのウレタンフォーム(イノアック株式会社から入手可能な商品名「ECSフォーム」)にハンドローラーで貼り合わせ、これを幅10mm、長さ50mmに裁断して試験片を作製した。該試験片の他面から剥離ライナーを剥がして粘着剤層を露出させ、厚さ2mmのアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂板(ABS板)の一方の面に上記試験片を、幅10mm、長さ10mmの接着面積となるように、2kgのローラーを一往復させて圧着した。次いで、該試験片の残りの部分(幅10mm、長さ40mm)をABS板の他方の面に折り曲げて貼り合わせた。これを23℃の環境下に24時間放置し、さらに70℃の環境下に2時間放置した後に、上記一方の面側(接着面積が幅10mm、長さ10mmの側)において、ABS板から浮き上がった試験片の端部の高さ(mm)を測定した。
Figure 0004780676
表3に示されるように、例6〜例9に係る粘着シートはいずれも、12N/20mm以上(さらには12.5mm以上)の剥離強度を示し、高温凝集性試験において試験片の途中落下がみられず、端末剥がれ試験における剥がれ高さが2mm以下(さらには0.5mm以下)であった。すなわち、接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性の3特性を高度なバランスで実現するものであった。また、エチレン性不飽和モノカルボン酸としてAAのみを含むモノマー原料から得られた例6に係る粘着シートに比べて、エチレン性不飽和モノカルボン酸としてAAとMAAとを併用した例7〜例9に係る粘着シートでは、フォーム耐反撥性の顕著な改善がみられた。具体的には、例7〜例9に係る粘着シートはいずれもフォーム耐反撥性試験における剥がれ高さが5mm以下(さらには2mm以下)であった。このように、例7〜例9に係る粘着シートは、いずれも接着性、高温凝集性、端末剥がれ防止性およびフォーム耐反撥性の4特性を高度なレベルでバランスよく実現するものであった。なお、AAとMAAとを併用した例において、AAおよびMAAの合計使用量は変えずにAA:MAAの質量比を3:1〜1:3の範囲で変化させた例7〜9(すなわち、モノマー原料におけるAA:MAAの質量比以外の条件が同じ粘着剤を備えた粘着シート)では、AA:MAAが大きくなるにつれて高温凝集性およびフォーム耐反撥性が向上する傾向がみられた。AA:MAAの質量比が1:1〜3:1である例7および例8では特に良好な結果が得られた。
<例10>
例9と同じ組成のモノマー原料を使用し、ただし例9では該モノマー原料のエマルジョンを3時間かけて滴下したところ、本例では該エマルジョンを4時間かけて滴下した。その他の点については例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE10」ともいう。)を得た。このエマルジョンE10に、例1と同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例10に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例11>
AA4部に代えてAA2部およびMAA3部を使用した点以外は例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE11」ともいう。)を得た。このエマルジョンE11に、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例11に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
<例12>
AA4部に代えてAA3部およびMAA3部を使用した点以外は例1と同様にしてアクリル系ポリマーエマルジョン(以下、「エマルジョンE12」ともいう。)を得た。このエマルジョンE12に、例1で用いたものと同じ粘着付与剤エマルジョンを同割合で添加して、例12に係る粘着剤組成物を得た。該組成物を用いて例1と同様の手法により両面粘着シートを作製した。
上記アクリル系ポリマーエマルジョンE10〜E12の各々を構成するアクリル系ポリマーにつき、エマルジョンE6〜E9と同様にしてMwおよびGcを測定した。また、上記エマルジョンE10〜E12の各々につき、例1と同様に各エマルジョンを構成するアクリル系ポリマーに対応する指標ポリマーのエマルジョンを作製し、該指標ポリマーのGaを求めた。このとき、エマルジョンE10については、シラノール基形成性モノマーを除いた組成のモノマー原料のエマルジョンの滴下時間を4時間とした。さらに、例10〜例12に係る各粘着剤のゲル分率(Gb)を例1と同様にして測定した。これらMw,GcおよびGbの測定結果を表4に示す。なお、指標ポリマーのGaは、エマルジョンE10〜E12のいずれについても凡そ14%であった。この表4には、例10〜例12に係る粘着剤組成物の調製に使用したアクリル系ポリマーエマルジョンの種類と、各エマルジョンの作製に用いたモノマー原料に含まれるアクリル酸およびメタクリル酸の量とを併せて示している。
Figure 0004780676
例10〜例12で作製した両面粘着シートを作製から3日間50℃の環境下に保存してエージングを行った後、該両面粘着シートを用いて例6〜例9に係る粘着シートと同様に剥離強度、高温凝集性、端末剥がれおよびフォーム耐反撥性を評価した。それらの結果を表5に示す。
Figure 0004780676
表5に示されるように、AAとMAAとを併用して得られた例10〜例12に係る粘着シートはいずれも、約12N/20mm以上の剥離強度を示し、高温凝集性試験において試験片の途中落下がみられず、端末剥がれ試験における剥がれ高さが2mm以下(さらには0.5mm以下)であり、かつフォーム耐反発性試験における剥がれ高さが5mm以下であった。すなわち、接着性、高温凝集性、端末剥がれ防止性およびフォーム耐反撥性の4特性を高度なレベルでバランスよく実現するものであった。
表5に示されるように、AAとMAAとの合計量が5部以上ではフォーム反撥性が低下傾向となる場合があった。また、モノマー原料に含まれるAAの量を4部から2部に変更した点以外は例6と同様にして作製した粘着シートは、例6に係る粘着シートに比べて高温凝集性が低いことが確認された。これらの結果は、アルキル(メタ)アクリレート100部に対してエチレン性不飽和モノカルボン酸(好ましくはAAおよびMAA)を合計で3部〜4.5部程度含有するモノマー原料の使用が特に好ましいことを支持している。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
以上に説明したとおり、本発明の水性感圧接着剤組成物によると、接着性、高温凝集性および端末剥がれ防止性を高レベルでバランスよく実現可能な粘着剤層および該粘着剤層を備えた粘着シートを形成することができる。例えば、比較的厚い(例えば凡そ50μm〜100μm程度の厚さの)粘着剤層であって上記3特性をいずれも高レベルで実現する粘着剤層を備えた粘着シートを形成することができる。本発明の組成物は、このような粘着剤層を有する粘着シート、例えば両面粘着シート(両面テープを含む。)を製造する用途に好適である。また、本発明によると、接着性、高温環境下における凝集性および被着体の表面形状への追随性(曲面接着性)を高レベルでバランスよく実現した粘着シートが提供される。かかる粘着シートは、このような特性を活かして、例えば車両内装材用の粘着テープ(車両内装材固定用の両面粘着シート等)として好適に利用される。
本発明に係る粘着シートの一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1:基材
2:粘着剤層
3:剥離ライナー
11,12,13,14,15,16:粘着シート

Claims (6)

  1. アクリル系ポリマーを主体とし、該アクリル系ポリマーが水に分散している水性感圧接着剤組成物であって、
    前記アクリル系ポリマーは、以下の条件:
    アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとする;
    前記アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対してエチレン性不飽和モノカルボン酸0.5〜12質量部を含有する;および、
    シラノール基形成性モノマーを含有する;
    を満たすモノマー原料を、アゾ系の重合開始剤を使用して、前記アクリル系ポリマーのテトラヒドロフラン可溶分の質量平均分子量が65×10〜100×10 となり且つ前記モノマー原料から前記シラノール基形成性モノマーを除いた組成で重合さた場合において酢酸エチル不溶分の質量割合が7〜17%のポリマーを与える条件でエマルジョン重合に付して得られたものであり、
    前記感圧接着剤組成物から形成される架橋後の感圧接着剤に占める酢酸エチル不溶分の質量割合が20〜55%である水性感圧接着剤組成物。
  2. 前記シラノール基形成性モノマーは、(メタ)アクリロイル基を有するジアルコキシシランまたはトリアルコキシシランであって、該アルコキシシランの有する2個または3個のアルコキシ基はそれぞれ独立にメトキシ基およびエトキシ基から選択されるいずれかである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記アクリル系ポリマーには、前記シラノール基形成性モノマーが0.005〜0.035質量%の割合で共重合されている、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記アクリル系ポリマーは、前記シラノール基形成性モノマーを含むモノマー原料を、該モノマー原料100質量部に対して0.025〜0.035質量部の連鎖移動剤を用いてエマルジョン重合に付すことにより得られたものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記アクリル系ポリマー100質量部に対して5〜40質量部の粘着付与剤をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の水性感圧接着剤組成物を用いて形成された感圧接着剤層を備える、感圧接着シート。
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