JP3873827B2 - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置及び電子機器に係り、特に、反射半透過型の液晶装置に用いる場合に好適な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、外光を利用した反射型表示と、バックライト等の照明光を利用した透過型表示とのいずれをも視認可能とした反射半透過型の液晶表示パネルが知られている。この反射半透過型の液晶表示パネルは、そのパネル内に外光を反射するための反射層を有し、この反射層をバックライト等の照明光が透過できるように構成したものである。この種の反射層としては、液晶表示パネルの画素毎に所定面積の開口部(スリット)を備えたものがある。
【0003】
図16は、従来の反射半透過型の液晶表示パネル100の概略構造を模式的に示す概略断面図である。この液晶表示パネル100は、基板101と基板102とがシール材103によって貼り合せられ、基板101と基板102との間に液晶104を封入した構造を備えている。
【0004】
基板101の内面上には、画素毎に開口部111aを備えた反射層111が形成され、この反射層111の上に着色層112r,112g,112b及び表面保護層112pを備えたカラーフィルタ112が形成されている。カラーフィルタ112の表面保護層112pの表面上には透明電極113が形成されている。
【0005】
一方、基板102の内面上には透明電極121が形成され、対向する基板101上の上記透明電極113と交差するように構成されている。なお、基板101上の透明電極113上、及び、基板102上の透明電極121の上には、配向膜や硬質透明膜などが必要に応じて適宜に形成される。
【0006】
また、上記の基板102の外面上には位相差板(1/4波長板)105及び偏光板106が順次配置され、基板101の外面上には位相差板(1/4波長板)107及び偏光板108が順次配置される。
【0007】
以上のように構成された液晶表示パネル100は、携帯電話、携帯型情報端末などの電子機器に設置される場合、その背後にバックライト109が配置された状態で取付けられる。この液晶表示パネル100においては、昼間や屋内などの明るい場所では反射経路Rに沿って外光が液晶104を透過した後に反射層111にて反射され、再び液晶104を透過して放出されるので、反射型表示が視認される。一方、夜間や野外などの暗い場所ではバックライト109を点灯させることにより、バックライト109の照明光のうち開口部111aを通過した光が透過経路Tに沿って液晶表示パネル100を通過して放出されるので、透過型表示が視認される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の反射半透過型の液晶表示パネル100において、反射型表示を明るくするには反射層の開口面積を小さくすればよいが、反射層の開口面積が減少すると透過型表示の明るさが低下してしまう。特に、反射型表示で視認される反射光は液晶層を2度通過した光であるのに対して、透過型表示において透過光は液晶層を1度だけ通過するので、光透過状態において反射光と透過光の双方を共に有効に表示に利用し、明るく視認できるように光学的に構成することができない。例えば、通常は暗くなりやすい反射型表示において反射光を有効に液晶パネルから出射できるように光学的に構成されることが多いことから、透過型表示を実現する透過光の利用効率(液晶パネルに入射する光量に対する液晶パネルを透過して出射する光量の比)は低くなっており、これによって上記のように反射層の開口面積を低減しすぎると透過型表示が暗くなってしまう。
【0009】
したがって、反射型表示と透過型表示とを共に明るく構成することはきわめて困難であり、反射層の開口面積を低減させて反射型表示を明るくすると、透過型表示の明るさを確保するためにバックライトの照明光量を大きくする必要が生じ、その結果、液晶装置の小型化、薄型化、軽量化、或いは、消費電力の低減といった、携帯型電子機器において重要な目標の達成を妨げるという問題点がある。
【0010】
また、上述のように反射型表示では一般的に表示の明るさが不足しがちであるので、カラーフィルタ112の光透過率を高く設定して表示の明るさを確保する必要があるが、このようにすると、カラーフィルタを1回だけ透過する光に基づく透過型表示において十分な彩度を得ることができなくなる。
【0011】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、反射型表示の明るさと透過型表示の明るさとをより高い次元で両立させることのできる液晶装置の構造を提供することにある。また、反射型表示の明るさと透過型表示の彩度とを共に確保することの可能な構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、複数の画素が配列されてなるとともに、前記画素内に透過領域と反射領域を備える液晶装置であって、一方の前記基板上に配置され、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、光を反射する反射層と、前記反射層上に配置され、前記透過領域及び前記反射領域に重なる着色層と、前記着色層を覆い、前記反射領域に重なるとともに、前記透過領域に重なる部分には前記反射領域に重なる部分より薄い薄肉部を有し、実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さより厚いことを特徴とする液晶装置。
また、本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、複数の画素が配列されてなるとともに、前記画素内に透過領域と反射領域を備える液晶装置であって、一方の前記基板上に配置され、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、光を反射する反射層と、他方の前記基板上に配置された着色層と、前記着色層を覆い、前記反射領域に重なるとともに、前記透過領域に重なる部分には前記反射領域に重なる部分より薄い薄肉部を有し、実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さより厚いことを特徴とする。
本発明の実施の形態に係る液晶装置用基板は、基板と、前記基板上に配置され、開口部を有する反射層と、前記反射層上に配置された着色層と、前記着色層上に配置され、開口部もしくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部は前記反射層の前記開口部と重なる領域に配置され、前記保護層は表面に前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部からなる凹部を有する。
【0013】
ここで、より具体的には、前記保護層上に配置された配向膜を備え、前記配向膜は表面に凹部を有することが好ましい。
【0014】
この発明によれば、液晶装置用基板の着色層上の保護層に開口部若しくは薄肉部が形成されることによって表面に凹部が形成されているので、この表面凹部によって、反射半透過型の液晶装置を形成した場合に反射層の開口部上の液晶厚がその他の部分よりも厚くなる。したがって、反射型表示を実現する反射面上の領域の液晶厚よりも透過型表示を実現する開口部上の領域の液晶厚が厚くなるので、透過型表示を構成する透過光に作用する液晶のリタデーション値(液晶層透過時の光学的作用値)が、反射型表示を実現する反射光に作用する液晶のリタデーション値(液晶層往復時の合計の光学的作用値)に近くなるため、透過型表示における透過光の利用効率を従来よりも高めることができる。透過光の利用効率が高まることによって、透過型表示を得るための照明光量を低減することが可能になり、また、反射層の開口面積を低減して反射型表示をより明るくすることも可能になる。
【0015】
ここで、前記基板は表面に凹部を有し、該凹部上に前記反射層の前記開口部が配置されていることが好ましい。基板の表面の凹部上に反射層の開口部が位置することにより、反射層上に形成される着色層には凹部に対応する厚肉部を形成することが可能になるので、透過型表示の彩度を向上させることができる。また、この場合にはさらに、前記着色層は表面に前記基板の前記凹部に対応して凹部を有することが望ましい。基板表面の凹部に対応して着色層の表面にも凹部が形成されていることにより、上記保護層の開口部若しくは薄肉部によって形成される表面凹部をさらに深く形成することが容易にできるので、透過型表示に寄与する領域の液晶厚をさらに厚くすることが可能になり、透過型表示における透過光の利用効率をさらに向上できる。
【0016】
また、前記基板上に配置され、開口部若しくは薄肉部を有する下地層を備え、該下地層の前記開口部若しくは前記薄肉部上に前記反射層の前記開口部が配置され、該反射層上に前記着色層が配置され、前記下地層の前記開口部若しくは前記薄肉部に対応して前記着色層は表面に凹部を有することが好ましい。このようにすると、開口部若しくは薄肉部を備えた下地層の存在によって表面凹部をさらに深くすることが可能になるので、透過型表示における透過光の利用効率をさらに向上できる。
【0017】
次に、本発明の液晶装置は、液晶層と、着色層と、開口部と前記液晶層および前記着色層を通過する光を反射する反射部とを有する反射層と、前記着色層を覆い、実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記保護層は前記反射層の前記開口部と重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有し、前記液晶層は前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって構成される凹部に配置されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、保護層の開口部もしくは薄肉部によって構成される凹部に液晶層が配置されていることによって、反射層の開口部が設けられている領域の液晶層の厚さを厚く構成することが可能になるので、透過型表示の明るさを向上させることができる。したがって、透過型表示を得るための照明光量を低減することが可能になり、また、反射層の開口面積を低減して反射型表示をより明るくすることも可能になる。
【0019】
また、本発明の別の実施の形態に係る液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、複数の画素が配列されてなるとともに、前記画素内に透過領域と反射領域を備える液晶装置であって、一方の前記基板上に配置され、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、光を反射する反射層と、前記反射層上に配置され、前記透過領域及び前記反射領域に重なる着色層と、前記着色層を覆い、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記透過領域における液晶層の厚さは、前記反射領域における液晶層の厚さより厚い。
また、本発明の実施の形態に係る液晶装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、前記一対の基板のうち一方の基板上に配置され、開口部と前記液晶層を通過した光を反射する反射部とを有する反射層と、前記反射層上に配置された着色層と、前記着色層を覆い、前記反射層の前記開口部と重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記液晶層は前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって構成される凹部に配置されている。
【0020】
この発明によっても、保護層の開口部もしくは薄肉部によって構成される凹部に液晶層が配置されていることによって、反射層の開口部が設けられている領域の液晶層の厚さを厚く構成することが可能になるので、透過型表示の明るさを向上させることができる。したがって、透過型表示を得るための照明光量を低減することが可能になり、また、反射層の開口面積を低減して反射型表示をより明るくすることも可能になる。
【0021】
さらに、本発明のさらに別の実施の形態に係る液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、複数の画素が配列されてなるとともに、前記画素内に透過領域と反射領域を備える液晶装置であって、一方の前記基板上に配置され、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、光を反射する反射層と、他方の前記基板上に配置された着色層と、前記着色層を覆い、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さより厚い。
また、本発明の実施の形態に係る液晶装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、前記一対の基板のうち一方の基板上に配置され、開口部と前記液晶層を通過した光を反射する反射部とを有する反射層と、前記一対の基板のうち他方の基板上に配置された着色層と、前記着色層を覆い、前記反射層の前記開口部と重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる保護層とを備え、前記液晶層は前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって構成される凹部に配置されている。
【0022】
この発明によっても、保護層の開口部もしくは薄肉部によって構成される凹部に液晶層が配置されていることによって、反射層の開口部が設けられている領域の液晶層の厚さを厚く構成することが可能になるので、透過型表示の明るさを向上させることができる。したがって、透過型表示を得るための照明光量を低減することが可能になり、また、反射層の開口面積を低減して反射型表示をより明るくすることも可能になる。
【0023】
本発明において、前記反射層の反射面と重なる領域における前記液晶層の厚さをaとし、前記反射層の開口部と重なる領域における前記液晶層の厚さをbとしたとき、bがaよりも大きく2a以下であることが好ましい。
【0024】
この発明によれば、反射層の開口部と重なる領域の液晶層の厚さbが、反射面と重なる領域の液晶層の厚さaよりも大きく、2a以下であると、透過型表示における光の利用効率を向上させることができる。
【0025】
実施の形態に係る本発明において、前記液晶層が所定のツイスト角Twを有するネマチック液晶で構成され、(1)70<Tw≦90のとき、a<b≦a+1.0[μm]、(2)50<Tw≦70のとき、a<b≦a+2.2[μm]、(3)30<Tw≦50のとき、a<b≦a+3.5[μm]、(4)0<Tw≦30のとき、a<b≦a+5.0[μm]、を満たすことが好ましい。一般に、ツイスト角Twが90度以下の場合には、開口部と重なる透過領域の液晶層の厚さbと、反射面と重なる反射領域の液晶層の厚さaとが等しい状態に較べて、液晶層の厚さbが厚さaよりも大きい上記の範囲内では透過率を高めることができる。例えば、透過領域の厚さbが透過表示における透過率について最適化されている場合には、上記の範囲内で反射表示の透過率を高めることができる。また、反射領域の厚さaが反射表示における透過率について最適化されている場合には、上記の範囲内で透過表示の透過率を高めることができる。
【0026】
また、前記一対の基板の少なくとも一方の基板は表面に凹部を有し、該凹部上に前記反射層の前記開口部が配置されていることが好ましい。特に、この凹部に対応して液晶が入り込む表面凹部を形成することにより、反射層の開口に重なる領域の液晶厚をさらに容易に厚く構成できる。
【0027】
この場合に、前記基板表面の凹部上に前記着色層の厚肉部を有することが好ましい。このようにすると、着色層の厚肉部を容易に形成できるとともに、厚肉部を設けたことにより透過型表示の彩度を向上できる。
【0028】
また、前記一対の基板の少なくとも一方の基板表面に配置され、前記反射層の前記開口部に重なる領域に開口部若しくは実質的に光が通過できる薄肉部を有する下地層を備えていることが好ましい。特に、この下地層の開口部若しくは薄肉部に対応して液晶が入り込む表面凹部を有することにより、反射層の開口部に重なる領域の液晶厚をさらに容易に厚く構成できる。この場合にも、前記下地層の前記開口部若しくは前記薄肉部上に前記着色層の厚肉部を有することが望ましい。
【0029】
さらに、前記反射層上に配置され、前記反射層の前記開口部に重なる領域に開口部若しくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる透明層を備えていることが好ましい。特に、この透明層の開口部若しくは薄肉部に対応して液晶が入り込む表面凹部を形成することにより、反射層の開口部に重なる領域の液晶厚をさらに容易に厚く構成できる。この場合にも、前記透明層の前記開口部若しくは前記薄肉部上に前記着色層の厚肉部が形成されていることが望ましい。
【0030】
上記の液晶装置においては、前記液晶層から見て前記反射層とは反対側に観察側の位相差板(好ましくは1/4波長板)及び偏光板を有し、前記反射層から見て前記液晶層とは反対側に背面側の位相差板(好ましくは1/4波長板)及び偏光板を有する場合がある。
【0031】
本発明の電子機器は、上記のいずれかの液晶装置と、該液晶装置を制御する制御手段とを備えたものである。特に、本発明の電子機器としては、携帯電話や携帯型情報端末などの携帯型電子機器であることが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る液晶装置用基板、液晶装置及び電子機器の実施形態について詳細に説明する。
【0033】
[第1実施形態]
まず、図1及び図2を参照して本発明の第1実施形態の液晶装置について説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置を構成する液晶パネル200の外観を示す概略斜視図であり、図2(a)は、液晶パネル200の模式的な概略断面図、図2(b)は、液晶パネル200を構成するカラーフィルタ基板210の拡大部分平面図である。
【0034】
この液晶装置は、いわゆる反射半透過方式のパッシブマトリクス型構造を有する液晶パネル200に対して、必要に応じて図示しないバックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを適宜に取付けてなる。
【0035】
図1に示すように、液晶パネル200は、ガラス板や合成樹脂板等からなる透明な第1基板211を基体とするカラーフィルタ基板210と、これに対向する同様の第2基板221を基体とする対向基板220とがシール材230を介して貼り合わせられ、シール材230の内側に開口部230aから液晶232が注入された後、封止材231にて封止されてなるセル構造を備えている。
【0036】
第1基板211の内面(第2基板221に対向する表面)上には複数並列したストライプ状の透明電極216が形成され、第2基板221の内面上には複数並列したストライプ状の透明電極222が形成されている。また、上記透明電極216は配線218Aに導電接続され、上記透明電極222は配線228に導電接続されている。透明電極216と透明電極222とは相互に直交し、その交差領域はマトリクス状に配列された多数の画素を構成し、これらの画素配列が液晶表示領域Aを構成している。
【0037】
第1基板211は第2基板221の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部210Tを有し、この基板張出部210T上には、上記配線218A、上記配線228に対してシール材230の一部で構成される上下導通部を介して導電接続された配線218B、及び、独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部219が形成されている。また、基板張出部210T上には、これら配線218A,218B及び入力端子部219に対して導電接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体IC261が実装されている。また、基板張出部210Tの端部には、上記入力端子部219に導電接続されるように、フレキシブル配線基板263が実装されている。
【0038】
この液晶パネル200において、図2に示すように、第1基板211の外面には位相差板(1/4波長板)240及び偏光板241が配置され、第2基板221の外面には位相差板(1/4波長板)250及び偏光板251が配置されている。
【0039】
<カラーフィルタ基板210の構造>
次に、図2(a)及び(b)を参照して、本発明の液晶装置用基板に相当するカラーフィルタ基板210の構造を詳細に説明する。第1基板211の表面には、反射層212が形成されている。反射層212は、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金、銀、銀合金などの金属薄膜で構成することができる。反射層212には、上記画素毎に、反射面を有する反射部212rと、開口部212aとが設けられている。
【0040】
反射層212の上には画素毎に着色層214が形成され、その上をアクリル樹脂やエポキシ樹脂などの透明樹脂からなる表面保護層(オーバーコート層)215が被覆している。この着色層214と表面保護層215とによってカラーフィルタが形成される。
【0041】
着色層214は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色材を分散させて所定の色調を呈するものとされている。着色層の色調の一例としては原色系フィルタとしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の組合せからなるものがあるが、これに限定されるものではなく、補色系その他の種々の色調で形成できる。通常、基板表面上に顔料や染料等の着色材を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を除去することによって、所定のカラーパターンを有する着色層を形成する。ここで、複数の色調の着色層を形成する場合には上記工程を繰り返す。
【0042】
上記のように画素毎に形成された着色層214の間の画素間領域には黒色遮光膜(ブラックマトリクス或いはブラックマスク)214BMが形成されている。この黒色遮光膜214BMとしては、例えば黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いることができる。
【0043】
なお、着色層の配列パターンとして、図2(b)に示す図示例ではストライプ配列を採用しているが、このストライプ配列の他に、デルタ配列や斜めモザイク配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
【0044】
表面保護層215は、上記画素毎に、上記反射層212の開口部212aの直上領域(開口部212aと平面的に重なる領域)に開口部215aが形成されている。したがって、本実施形態の場合には、着色層214の表面は開口部215aにより上層構造に対して露出した状態となっている。
【0045】
表面保護層215の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極216が形成されている。透明電極216は図2(b)の図示上下方向に伸びる帯状に形成され、複数の透明電極216が相互に並列してストライプ状に構成されている。透明電極216の上にはポリイミド樹脂等からなる配向膜217が形成されている。
【0046】
透明電極216には、上記表面保護層215に開口部215aが形成されていることにより、その表面に凹部216aが形成される。この凹部216aは配向膜217に覆われているが、その凹部形状はそのままカラーフィルタ基板210の表面に反映し、カラーフィルタ基板210に画素毎に表面凹部210aを形成している。
【0047】
<対向基板220の構造>
一方、上記カラーフィルタ基板210と対向する対向基板220は、ガラス等からなる第2基板221上に、上記と同様の透明電極222、SiO2やTiO2などからなる硬質保護膜223、上記と同様の配向膜224を順次積層させたものである。
【0048】
<液晶層の構造>
図3に示すように、上記のように構成されたカラーフィルタ基板210と対向基板220との間に液晶232が充填されている。このとき、カラーフィルタ基板210の内面上には上述のように画素毎に表面凹部210aが形成されているので、液晶232はこの表面凹部210a内に入り込んだ状態(すなわち、上記表面保護層215の開口部215aの内側に入り込んだ状態)に構成される。このため、液晶層の厚さは、上記表面保護層215の開口部215aの形成された領域(すなわち、反射層212の開口部212aの形成された領域)において、それ以外の領域(すなわち反射部212rの形成された領域)に較べて厚く構成されていることとなる。
【0049】
以上のように構成された本実施形態において、対向基板220側から入射した外光は液晶232を透過してカラーフィルタを透過した後に反射部212rにて反射し、再び液晶232及び対向基板220を透過して出射する。このとき、反射光はカラーフィルタの着色層214を2回通過する。
【0050】
一方、着色層214は反射層212の開口部212aを覆っているので、例えばカラーフィルタ基板210の背後にバックライト等を配置して、背後から照明光を照射した場合には、当該照明光の一部が反射層212の開口部212aを通過して着色層214を透過し、液晶232及び対向基板220を通過して出射する。このとき、透過光は着色層214を1回だけ透過する。
【0051】
本実施形態では、第1基板211上に形成されたカラーフィルタの表面保護層215には、反射層212の開口部212aと重なる領域に、開口部215aが形成されていることにより、カラーフィルタ基板210に表面凹部210aが設けられ、この表面凹部210a内に液晶232が入り込んでいることにより液晶層の厚さが反射層の開口部212aと重なる領域において厚く構成されているため、透過型表示を構成する透過光に作用する液晶層のリタデーション(Δn・d、ここでΔnは屈折率異方性、dは厚さ)が増大し、その結果、透過型表示における透過光の利用効率を高めることができる。
【0052】
図12は、上記のように液晶の厚さを変えた場合の効果を説明するための説明図である。上記と同様に、開口部Raを備えた反射層Rの上に着色層Cを形成し、その上に透光層Tを形成し、この透光層Tに、反射層Rの開口部Ra上に開口部を設けることにより、開口部Raと平面的に重なる領域の液晶厚bを、それ以外の領域の液晶厚aの2倍にしたとする。ここで、説明の都合上、ホモジニアス方式の液晶セルが構成されているとする。そして、この液晶セルのリタデーションがΔn・a=λ/4、Δn・b=λ/2(Δnは液晶の光学異方性、λは光の波長)であるとする。
【0053】
上記の状況では、液晶セルが光透過状態にある場合、透過型表示では、図12中の(A)に示すように、バックライト等からの照明光が偏光板P2を通過して直線偏光となり、位相差板(1/4波長板)D2を通過することにより例えば右回りの円偏光となった後にセル厚D2の液晶層を通過することから位相差がさらに1/2波長進んで左回りの円偏光となり、位相差板D1を通過して元の直線偏光になり、偏光板P1を通過する。
【0054】
また、上記と同じく液晶セルが光透過状態にあるとき、反射型表示では、図12中の(B)に示すように、外光が偏光板P1を通過して直線偏光となり、位相差板(1/4波長板)D1を通過することにより例えば右回りの円偏光になり、セル厚D1の液晶層を往復2度通過することから位相差がさらに1/2波長進んで左回りの円偏光となり、再び位相差板D1を通過することにより元の直線偏光に戻って偏光板P1を通過する。
【0055】
上記透過型表示において、仮に通過する液晶の厚さがa(図12中の(A)に示す液晶厚bの半分)であるとすると、そのリタデーションはλ/4となるので、図12中の(C)に示すように、照明光が偏光板P2、位相差板D2を経て液晶を通過した後の偏光状態は、当初とは直交する方向の直線偏光となり、その後、位相差板D1を通過して左回りの円偏光となり、さらに偏光板P1を通過する。このとき、偏光板P1を通過できる偏光成分は、上記の液晶の厚さがbのときに通過できる光量のほぼ半分となる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のような反射半透過型の液晶表示パネルの場合には、反射層の開口部と平面的に重なる領域の液晶厚bがそれ以外の領域の液晶厚aより厚くなると、光透過状態における光透過率が高くなり、特に、開口部と平面的に重なる領域の液晶厚bがそれ以外の領域の液晶厚aのほぼ2倍になると光透過量もまたほぼ2倍になる。
【0057】
液晶セルがホモジニアス方式ではなく、液晶層にツイストが存在すると透過率が向上しない場合もあるが、例えば40度ツイストの液晶では、開口部と平面的に重なる領域の液晶厚をそれ以外の2倍にすれば40%程度の透過率の向上が得られる。一般的に、反射層の開口部と重なる領域の液晶厚bは、反射面上の液晶厚aよりも大きく、2a以下であることが好ましい。このようにすることによって、透過型表示に対する透過光の利用効率が向上し、透過型表示を明るくすることができるので、例えば、バックライトの照明光量を低減することができるため、バックライトの小型化、薄型化、軽量化や消費電力の低減を図ることが可能になる。また、反射層の開口面積を従来よりも低減することができるので、反射型表示の明るさを向上させることも可能になる。
【0058】
また、ネマチック液晶で構成される液晶層にツイスト角Twが存在する場合には、液晶分子のツイストに起因する旋光性と液晶層厚に比例する複屈折の寄与によって、反射領域の液晶厚aと、透過領域の液晶厚bとの間の関係が決定されるため、上記のa<b≦2bの範囲内においてツイスト角Twに応じて最適な範囲が変化する。すなわち、以下の範囲内では、液晶厚bを液晶厚aよりも大きくすることによる透過率向上の効果が得られる。
▲1▼70<Tw≦90のとき、a<b≦a+1.0[μm]
▲2▼50<Tw≦70のとき、a<b≦a+2.2[μm]
▲3▼30<Tw≦50のとき、a<b≦a+3.5[μm]
▲4▼0<Tw≦30のとき、a<b≦a+5.0[μm]
【0059】
上記▲1▼〜▲4▼の場合について、図20には、反射領域の液晶厚aを最適化した状態で、透過領域の液晶厚bを変化させたときの液晶パネルが透過状態(例えばノーマリーホワイト型パネルでは電界無印加状態)である場合における透過領域の透過率を示す。これらの図を見れば判るように、上記▲1▼〜▲4▼のいずれの場合についても、液晶厚bが液晶厚aに近づくと急激に透過率が低下するとともに、液晶厚bが液晶厚aよりもある程度大きな値を超えるとやはり急激に透過率が低下する。上記の透過率の高い範囲の上限を決める数値(1.0〜5.0μm)は、ツイスト角Twが増加するに従って低下していく。これは、ツイスト角Twが大きくなるに従って光に対する液晶層の旋光性の寄与が大きくなるため、光に対する作用が液晶厚に比例しなくなるからであるものと考えられる。すなわち、ツイスト角Twが大きくなると、一般に液晶厚bを液晶厚aよりも大きくする効果が低下していくものと考えられる。
【0060】
また、図20(e)には、透過領域の透過率が最大になるツイスト角Twと、液晶厚bとの関係を示す。このグラフからわかるように、液晶厚bがaから約1.8aまで増加するに従って透過領域の透過率が最大になるツイスト角Twの値は徐々に増大し、bが約1.8aを越えると、透過率が最大になるツイスト角Twの値は急激に低下していく。このとき、a<b≦2aの範囲内では、ツイスト角Twの範囲が50≦Tw≦70のときに透過率が高くなる。
【0061】
なお、本実施形態では、反射層212の開口部212aと重なる領域において表面保護層215に開口部215a形成されているが、図2(b)に示すように着色層214は透明電極216によって完全に被覆されているので、着色層214は透明電極216により十分に保護することができる。
【0062】
なお、一般的に液晶パネルにおいて上記表面保護層215の厚さは3〜5μm程度であり、1500〜3000Å程度の厚さの透明電極216に較べてかなり厚く形成される。したがって、保護層に開口部や薄肉部を設けて液晶厚を厚くする方法はきわめて有効である。また、上記実施形態では記載していないが、表面保護層215(すなわち保護層)と透明電極216との間に、透明電極216の密着性を高め、パターニング性を向上させるために、SiO2やTiO2等からなる絶縁膜を形成してもよい。
【0063】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して本発明に係る第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、以下に説明するカラーフィルタ基板の構造を除いて上記第1実施形態と同様に構成されているので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0064】
図4に示すように、本実施形態においては、第1基板321上に、上記第1実施形態と同様に反射部312r及び開口部312aを備えた反射層312が形成され、この反射層312上に着色層314が形成され、その上にさらに表面保護層315が形成されている。この表面保護層315は第1実施形態と同様の素材で構成されているが、反射層312の開口部312a上に重なる領域に凹部315bが形成され、当該凹部315b下の部分が薄肉部315cとなっている点で、開口部の形成された第1実施形態の表面保護層とは異なる。表面保護層315上には第1実施形態と同様の透明電極316及び配向膜317が形成されている。
【0065】
この実施形態においては、反射層312の開口部312aと重なる領域に薄肉部315cが存在するが、基本的に表面保護層315は透明であるため、光学的には第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態においては、着色層314が開口部312aと重なる領域においても表面保護層315に覆われていることとなるので、着色層314をより確実に保護することが可能になる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、対向基板の構造を除いて上記第1実施形態と同様に構成されているので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0067】
この実施形態においては、対向基板において、第2基板321の内面(第1基板211に対向する表面)上に凹部321aが形成されている。この凹部321aはフォトリソグラフィ技術及び弗酸系のエッチング液を用いたエッチング処理によって容易に形成できる。そして、第2基板321には、上記凹部321aも含めた表面上に透明電極322、硬質保護層323、及び配向膜324が積層されている。
【0068】
本実施形態では、カラーフィルタ基板の内表面に表面凹部210aが形成されているだけでなく、この表面凹部210aと対向する位置において対向基板にも表面凹部320aが形成され、これらの表面凹部210a及び320aの双方に液晶232が入り込んでいる。したがって、反射層212の開口部212aと重なる領域において液晶層をさらに厚く形成することが可能になる。
【0069】
[第4実施形態]
次に、図6を参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、対向基板の構造を除いて上記第2実施形態と同様に構成されているので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0070】
この実施形態の対向基板は、第2基板421上に透光層425が形成され、この透光層425には、反射層312の開口部312aと平面的に重なる領域に開口部425aが設けられている。透光層425としては、SiO2やTiO2などの無機透明層や、アクリル樹脂やエポキシ樹脂などの有機樹脂層などで構成することができる。また、透光層は、可視光に対してほぼ透明であることが望ましい。例えば、可視光領域においてほぼ70%以上の光透過率を有し、可視光領域内における光透過率の変動範囲が10%以下であるものなどが好ましい。
【0071】
上記透光層425上には透明電極422及び配向膜424が積層されているが、対向基板の内面には上記開口部425aを反映した表面凹部420aが形成される。そして、この表面凹部420aに液晶232が入り込むように構成されている。この実施形態でも、カラーフィルタ基板と対向基板の双方の内面に表面凹部310a、420aが設けられているので、反射層312の開口部312aと平面的に重なる領域の液晶厚bを反射面上の領域の液晶厚aよりも容易に大きく構成することが可能である。
【0072】
[第5実施形態]
次に、図7を参照して本発明に係る第5実施形態について説明する。この実施形態において、カラーフィルタ基板の構造のみが第1実施形態と異なるので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0073】
この実施形態では、第1基板411の表面上に凹部411aが形成され、基板表面上に反射層414が形成されている。反射層414は反射面を有する反射部414rと、開口部414aとを備えている。反射層414は、この凹部411aに開口部412aが位置するように形成されている。反射層412上には着色層414が形成され、この着色層414上には表面保護層415が形成されている。
【0074】
本実施形態の着色層414は、反射層412の開口部412aを介して第1基板411の凹部411aに入り込むように形成されており、これによって開口部412aと重なる領域において厚肉部414aが設けられている。また、この厚肉部414aの表面部分には、上記凹部411aと対応するように凹部414bが形成されている。
【0075】
表面保護層415には上記と同様に開口部415aが形成され、この上に透明電極416及び配向膜417が順次積層されている。このため、カラーフィルタ基板の表面に設けられた表面凹部410aは、着色層414の凹部414bによって、第1実施形態よりもさらに深く形成されている。
【0076】
また、第1基板411の凹部411aによって着色層414には厚肉部414aが反射層412の開口部412aと重なる領域に設けられているので、反射型表示の明るさを犠牲にすることなく、透過型表示の彩度を向上させることが可能になる。
【0077】
[第6実施形態]
次に、図8を参照して本発明に係る第6実施形態について説明する。この実施形態においては、カラーフィルタ基板の構造のみが第1実施形態と異なるので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0078】
この実施形態では、第1基板511上に下地層513が形成され、この下地層513には開口部513aが設けられている。下地層513は上記第4実施形態の透光層と同様の素材を用いることができるが、透光性を有しない素材であっても構わない。また、この下地層513が透光性を有する場合には、上記開口部513aの代りに、上面側に凹部を構成する薄肉部を形成してもよい。
【0079】
下地層513上には反射層512が形成され、この反射層512には、反射面を備えた反射部512rと、下地層513の開口部513a上に位置する開口部512aとが設けられる。また、反射層512上には着色層514が形成され、着色層514上には表面保護層515が形成される。表面保護層515には、反射層512の開口部512aと重なる領域に開口部515aが設けられている。この上にはさらに透明電極516及び配向膜517が形成される。
【0080】
本実施形態では、上記各実施形態と同様に、上記表面保護層515の開口部515aによってカラーフィルタ基板の表面に表面凹部510aが形成されるが、反射層512の開口部と重なる領域において下地層513の開口部513aに起因して着色層514の表面に凹部514bが形成されていることにより、上記表面凹部510aは第1実施形態よりも深く形成されている。
【0081】
また、下地層513の開口部513aによって着色層514には厚肉部514aが反射層512の開口部512aと重なる領域に設けられているので、反射型表示の明るさを犠牲にすることなく、透過型表示の彩度を向上させることが可能になる。
【0082】
[第7実施形態]
次に、図9を参照して本発明に係る第7実施形態について説明する。この実施形態においては、カラーフィルタ基板の構造のみが第1実施形態と異なるので、同様の部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0083】
この実施形態では、第1基板611上に反射層612が形成され、この反射層612には反射面を備えた反射部612rと、開口部612aとが形成される。反射層612上には透光層613が形成されている。透光層613は、上記第4実施形態の透光層と同様の素材で形成することができる。この透光層613には開口部613aが形成され、この開口部613aは、反射層612の開口部612aと重なるように設けられている。
【0084】
透光層613上には着色層614が形成され、着色層614上には表面保護層615が形成される。この表面保護層615には上記各実施形態と同様の開口部615aが設けられている。この開口部615aは、上記反射層612の開口部612a及び上記透光層613の開口部613aと平面的に重なるように位置している。表面保護層615上には透明電極616及び配向膜617が順次積層されている。
【0085】
以上の構造によって、カラーフィルタ基板には表面凹部610aが形成され、この表面凹部610aによって反射層612の開口部612aの設けられた領域の液晶厚が周囲より厚くなるように構成されている。
【0086】
本実施形態では、上記各実施形態と同様に、上記表面保護層615の開口部615aによってカラーフィルタ基板の表面に表面凹部610aが形成されるが、反射層612の開口部と重なる領域において透光層613の開口部613aに起因して着色層614の表面に凹部614bが形成されているので、表面凹部610aは、第1実施形態よりも深く形成されている。
【0087】
また、透光層613の開口部613aによって着色層614には厚肉部614aが反射層612の開口部612aと重なる領域に設けられているので、反射型表示の明るさを犠牲にすることなく、透過型表示の彩度を向上させることが可能になる。
【0088】
[第8実施形態]
次に、図10を参照して本発明に係る第8実施形態について説明する。この実施形態においては、第1基板711上に反射層712が形成され、この反射層712には反射面を備えた反射部712rと、開口部712aとが設けられている。反射層712上にはSiO2,TiO2などの絶縁膜713が形成され、この絶縁膜713上に透明電極716が形成されている。透明電極716上には配向膜717が形成されている。なお、反射層712が画素毎に分離して形成されている場合には、反射層712上に絶縁膜713を介することなく直接透明電極716を形成しても構わない。
【0089】
一方、第2基板521上には着色層523が形成され、画素間領域には黒色遮光層523BMが形成されている。着色層523上には表面保護層525が形成され、この表面保護層525には開口部525aが設けられている。この開口部525aは、上記第1基板711上の反射層712の開口部712aと平面的に重なるように構成されている。表面保護層525上には透明電極522が形成され、その上にはさらに配向膜524が形成されている。
【0090】
本実施形態では、反射層712の形成された第1基板711とは反対側の第2基板521上にカラーフィルタの着色層523が形成され、この上に表面保護層525が形成されて、その開口部525aによって表面凹部520aが構成されるようになっている。この実施形態においても、反射層712の開口部712aと重なる領域における液晶厚が他の部分よりも厚く構成されているので、上記各実施形態と基本的に同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
[第9実施形態]
次に、図11(a)〜(e)及び図15を参照して、本発明に係る液晶装置或いは液晶装置用基板の製造方法の実施形態について詳細に説明する。本実施形態において製造する液晶装置は、図1に示す上記第1実施形態の液晶パネル200を備えたものである。最初に、図15を参照して、図1に示す液晶パネル200の概略構造について説明する。図15は、図1に示す液晶パネル200における半導体IC及びフレキシブル配線基板の実装前の状態を模式的に図示するものであり、図面上、寸法は図示の都合上適宜に調整し、構成要素も適宜に省略してある。
【0092】
液晶パネル200は、第1基板211上に上記反射層212、着色層214、表面保護層215の積層構造の上に透明電極216が形成されたカラーフィルタ基板210と、これに対向する対向基板220とがシール材230にて貼り合わされ、内部に液晶232が配置されたものである。この透明電極216は上述のように配線218Aに接続され、この配線218Aがシール材230と第1基板211との間を通過して基板張出部210Tの表面上に引き出されている。また、基板張出部210T上には入力端子部219もまた形成されている。
【0093】
図11(a)〜(e)は、図15に示す液晶パネルを構成するカラーフィルタ基板210を形成するための製造工程を示すものである。
【0094】
まず、図11(a)に示すように、第1基板211上には、図1に示す液晶表示領域Aに相当する領域に、上記の反射層212、黒色遮光層214BM、着色層214を順次形成していく。ここで、開口部212aを備えた反射層212は、蒸着法やスパッタリング法にて金属材料等を基板上に被着させた後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング法を用いてパターニングすることにより形成される。また、黒色遮光層214BM及び着色層214は、顔料や染料等の着色材を分散させた透明樹脂等からなる感光性樹脂を塗布し、これに露光、現像処理を順次施すことによって形成する。ここで、複数の色の着色層214を配列形成する場合には、色毎に上記工程を繰り返す。
【0095】
ここで、上記液晶表示領域A以外の領域(上記基板張出領域210Tを含む)には基本的に上記の積層構造は形成されていない。
【0096】
次に、図11(b)に示すように、第1基板211上に全面的に透光保護層215Xを形成する。この透光保護層215Xは、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、フッ素樹脂などで構成することができる。これらの樹脂は流動性を有する未硬化状態で基板上に塗布され、乾燥、光硬化、熱硬化などの適宜の手段で硬化される。塗布方法としては、スピンコート法や印刷法などを用いることができる。
【0097】
次に、上記透光保護層215Xにフォトリソグラフィ技術及びエッチング法を用いてパターニングを施し、図11(c)に示すように、液晶表示領域Aに限定された表面保護層215を形成する。このとき、これと同時に表面保護層215には開口部215aが形成される。この工程によって、透光保護層215Xから液晶表示領域A以外の領域B、すなわち、図15に示すシール材230の外側に配置される領域(基板張出部210Tを含む。)とほぼ同じ領域上から透光性素材が除去される。
【0098】
本発明においては、表面保護層215に上記開口部215aや凹部315b或いは薄肉部315c(第2実施形態参照)を形成することに特徴を有するが、上記のように表面保護層215のパターニングと同時に開口部や凹部或いは薄肉部を形成することができるので、従来工程に較べて工数を増やす必要もなく、パターニング時のパターン形状を変更するだけで、何ら手間をかけずに製造することができる。
【0099】
次に、図11(d)に示すように、基板上に全面的にITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明導電層216Xを形成する。この透明導電層216Xはスパッタリング法により成膜できる。そして、この透明導電層216Xに対してフォトリソグラフィ技術及びエッチング法を用いてパターニングを施し、図11(e)に示すように透明電極216、配線218A、入力端子部219を一度に形成する。なお、図示していないが、図1に示す配線218Bも上記工程にて同時に形成される。
【0100】
上記の液晶装置用基板の製造方法としては、基板上に、開口部を有する反射層を形成する工程と、前記反射層上に着色層を形成する工程と、前記着色層上に、前記反射層の前記開口部に重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有し実質的に光が通過できる保護層を形成する工程とを含み、前記保護層を形成する工程では、前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって前記保護層の表面に凹部を形成する。これによれば、保護層に開口部もしくは薄肉部を設けてその表面に凹部を形成することにより、この基板を用いて反射半透過型の液晶装置を構成した場合に、反射層の開口部が設けられた領域の液晶層の厚さを他の領域よりも厚く構成することが可能になる。より具体的には、一般に、着色層上に形成される保護層は他の層構造(反射層や透明電極など)に較べて厚いので、液晶層を部分的に厚く形成するに足る凹部を容易に形成することが可能である。
【0101】
ここで、前記保護層を形成する工程は、前記着色層の非形成領域に重なる領域および前記反射層の前記開口部に重なる領域から前記保護層を構成する素材の少なくとも一部を除去する処理段階を含み、該処理段階によって前記保護層の前記開口部若しくは前記薄肉部が形成されることが好ましい。保護層を形成する際に、基板上の着色層の非形成領域において透光素材の少なくとも一部を除去する処理段階(パターニング段階)を含む場合には、この処理段階において同時に上記開口部若しくは薄肉部を形成することにより、製造工程の工数を何ら増加させることなく、パターニングのパターンを変更するだけで対応できる。
【0102】
特に、液晶装置の製造方法としては、基板上に、開口部を有する反射層を形成する工程と、着色層を形成する工程と、前記着色層上に、前記反射層の前記開口部に重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる保護層を形成する工程と、前記保護層上に液晶を配置する工程とを含み、前記液晶を配置する工程では、前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって構成される凹部内に前記液晶を入り込ませる。これによれば、開口部もしくは薄肉部を備えた保護層によって凹部を構成し、この凹部内に液晶を入り込ませることによって、反射層の開口部が設けられた領域において液晶層を厚く形成できる。特に、新たな層を設ける必要もない上に、保護層は十分な厚さを備えているので、透過型表示における光の利用効率を高めるに足る液晶層の厚さ変化を容易に形成することができる。
【0103】
また、本発明の別の液晶装置の製造方法としては、一対の基板のうち一方の基板上に、開口部を有する反射層を形成する工程と、前記反射層上に着色層を形成する工程と、前記着色層上に、前記反射層の前記開口部に重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる保護層を形成する工程と、前記一対の基板間に液晶を配置する工程とを含み、前記液晶を配置する工程では、前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって構成される凹部内に前記液晶を入り込ませる。
【0104】
さらに、本発明のさらに別の液晶装置の製造方法としては、一対の基板のうち一方の基板上に、開口部を有する反射層を形成する工程と、前記一対の基板のうち他方の基板上に着色層を形成する工程と、前記着色層上に、前記反射層の前記開口部に重なる領域に開口部もしくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる保護層を形成する工程と、前記一対の基板間に液晶を配置する工程とを含み、前記液晶を配置する工程では、前記保護層の前記開口部もしくは前記薄肉部によって構成される凹部内に前記液晶を入り込ませる。
【0105】
上記いずれかの製造方法においては、前記保護層を形成する工程は、前記着色層の非形成領域に重なる領域および前記反射層の前記開口部に重なる領域から前記保護層を構成する素材の少なくとも一部を除去する処理段階を含み、該処理段階によって前記保護層の前記開口部若しくは薄肉部を形成することが好ましい。
【0106】
[実施例]
次に、図17を参照して、上記各実施形態に適用可能な、より詳細な実施例について説明する。図17は、カラーフィルタ基板の断面構造の一部を模式的に示す拡大部分断面図及びこれに対応する領域のカラーフィルタの概略平面図である。ここで、上記拡大部分断面図は概略平面図のP−Q線に沿った断面を示すものである。
【0107】
この実施例においては、基板1401上に透光層1414が形成されている。この透光層1414は、光を透過することの可能な素材(透光性素材)、例えば透明素材で構成されている。特に、有機絶縁素材で構成されることが好ましい。この透光層1414の表面1414aには、山部と谷部の規則的な又は不規則的な繰り返しパターンからなる凹凸パターンが形成されている。この凹凸パターンは、透明素材を選択的にエッチング等で除去することにより凹凸形状を構成したり、さらに加熱等によって上記凹凸形状を形成した透明素材に流動性を付与してその凹凸形状を滑らかな曲面状に構成したりすることによって形成できる。この透光層1414の厚さは例えば約2μmである。また、透光層1414を形成する代わりに、基板1401の表面にエッチング等で凹凸パターンを形成してもよい。さらに、このような透光層1414を設けたり、基板1401の表面に凹凸パターンを形成したりする代わりに、後述する反射層よりも観察側に拡散層、散乱層などを配置してもよい。
【0108】
上記透光層1414上には、Al、Al合金、銀、APC合金等の銀合金などで構成された反射層1411が形成されている。この反射層1411は、スパッタリング法や蒸着法等で形成できる。反射層1411は、上記透光層1414の表面上に形成されることによってその反射面が凹凸状に構成される。この反射層1411の厚さは例えば約0.2μmである。この反射層1411には画素領域毎に開口部1411aが設けられる。
【0109】
上記透光層1414及び反射層1411上には、公知の感光性樹脂材料等で構成されたカラーフィルタ1412が形成されている。このカラーフィルタ1412には、上記開口部1411a上に形成された濃色部1412rc(赤濃色部),1412gc(緑濃色部),1412bc(青濃色部)と、反射層1411上に形成された淡色部1412r(赤淡色部),1412g(緑淡色部),1412b(青淡色部)とを有する着色層が含まれる。
【0110】
また、各画素領域の間には、上記淡色部1412r,1412g,1412b上に、上記濃色部1412rc,1412gc,1412bcが積層されてなる重ね遮光部1412BMが形成されている。この重ね遮光部1412BMにおいては、例えば、下層から順に淡色部1412bが約1.0μm、淡色部1412gが約0.5μm、淡色部1412rが約0.5μmとなるように構成される。
【0111】
上記のように構成された着色層上には、アクリル樹脂その他の有機樹脂等からなる透光素材で構成された保護層1412pが形成される。保護層1412pは、上記淡色部1412r,1412g,1412b上に形成されるが、濃色部1412rc,1412gc,1412bc上には形成されていない。保護層1412pは、例えば、全面的に無機層若しくは有機層を形成した後にフォトリソグラフィ法等によって開口部1411aの直上領域の上にある部分を選択的に除去することによって形成できる。保護層1412pの素材としては、透明なアクリル樹脂やエポキシ樹脂などの有機樹脂の他に、SiO2やTiO2などの透明な無機物を用いることもできる。保護層1412pの厚さは例えば約2.2μmである。
【0112】
上記保護層1412p上には、透明導電体で形成された透明電極1413が形成される。透明電極1413は、上記保護層1412p上に形成されることによって保護層1412pの有無をそのまま反映し、保護層1412pが存在する部分上と存在しない部分上との間に主たる高低差Δhを有する。この高低差Δhは、例えば約2.0μmである。また、隣接する透明電極1413の間隙部分は上記重ね遮光部1412BM上に配置されている。隣接する透明電極1413の図示の間隙は約8〜10μm程度となっている。
【0113】
本実施形態では、重ね遮光部1412BMが濃色部1412rc,1412gc,1412bcを積層することによって構成されているため、淡色部を積層した場合に較べてこの積層構造の透過率を低減できるため、画素領域間の遮光をより完全に行うことが可能になっている。また、重ね遮光部1412BMが画素領域内に形成された淡色部1412r,1412g,1412bのいずれかの上にそのまま積層されているため、重ね遮光部1412BMの配置された領域の光透過率をさらに低減できるとともに、上記高低差Δhを容易に設けることが可能になっている。なお、上記重ね遮光部1412BMは淡色部上に3層積層した構造を有するが、2層又は1層のみを積層させた構造を有していても構わない。
【0114】
本実施例では、上記の各例示で示した厚さ寸法で構成した場合、カラーフィルタ基板の全体の厚さが5.2〜5.3μmとなり、反射領域の液晶層の厚さを3.25μmとして、TN型液晶パネル或いはSTN型液晶パネルを構成することが可能になる。このようにすると、透過領域の液晶層の厚さは5.25μmとなる。ここで、液晶層はネマチック液晶で構成され、そのツイスト角Twは約60度であり、上記▲2▼の条件を満たした状態となっている。そして、透過領域の液晶層の厚さが反射領域の液晶層の厚さに対して60%程度増加していることから、液晶層のリタデーション値を最適化することにより、反射表示と透過表示における透過率を共に向上させることができるため、明るい表示を得ることが可能になる。
【0115】
次に、図18及び図19を参照して本発明に係る上記実施例のカラーフィルタ1412の構成例について説明する。なお、この構成例は、上記実施例以外の上記各実施形態のカラーフィルタにも同様に適用できる。図18は、上記カラーフィルタの濃色部の透過光の分光特性を示す分光特性図(a)、同透過光のCIE(1931)表色系のxy色度図(b)及び同透過光のCIE(1976)表色系のa*b*色度図(c)であり、図19は、上記カラーフィルタの淡色部の透過光の分光特性を示す分光特性図(a)、同透過光のCIE(1931)表色系のxy色度図(b)及び同透過光のCIE(1976)表色系のa*b*色度図(c)である。ここで、上記各図は、同じC光源を用いて各濃色部又は各淡色部に光を一回透過させた透過光の分光透過率及び色度座標を求めた結果を示すものである。
【0116】
図18に示すように、赤濃色部(R)の主な透過領域は600〜700nmであり、この領域の平均透過率は約90%であり、特に640〜700nmの領域で透過率が最大(約95%)になっている。緑濃色部(G)の主な透過領域は495〜570nmであり、この領域の平均透過率は約85%であり、特に510〜550nmの領域で透過率が最大(約90%)になっている。青濃色部(B)の主な透過領域は435〜500nmであり、この領域の平均透過率は約85%であり、特に445〜480nmの領域で透過率が最大(約88%)となっている。
【0117】
また、CIE表色系(1931)のY値は、赤濃色部(R)で24〜26、緑濃色部(G)で70〜72、青濃色部(B)で29〜31程度である。CIE表色系(1976)のL*値は、赤濃色部(R)で56〜58、緑濃色部(G)で86〜88、青濃色部(B)で60〜62程度である。
【0118】
さらに、色度図上における上記赤濃色部(R)、緑濃色部(G)及び青濃色部(B)の色相に対応する3点を頂点とする三角形の面積は、約0.05(xy色度図上)及び約7000(a*b*色度図上)である。
【0119】
一方、図19に示すように、赤淡色部(R)の主な透過領域は585〜700nmであり、この領域の平均透過率は約93%であり、特に590〜700nmの領域で透過率が最大(約96%)になっている。緑淡色部(G)の主な透過領域は480〜600nmであり、この領域の平均透過率は約92%であり、特に500〜580nmの領域で透過率が最大(約94%)になっている。青淡色部(B)の主な透過領域は430〜510nmであり、この領域の平均透過率は約89%であり、特に440〜500nmの領域で透過率が最大(約92%)となっている。
【0120】
また、CIE表色系(1931)のY値は、赤淡色部(R)で46〜48、緑淡色部(G)で89〜91、青淡色部(B)で44〜46である。CIE表色系(1976)のL*値は、赤濃色部(R)で73〜75、緑濃色部(G)で95〜97、青濃色部(B)で72〜74程度である。
【0121】
さらに、色度図上における上記赤淡色部(R)、緑淡色部(G)及び青淡色部(B)の色相に対応する3点を頂点とする三角形の面積は、約0.01(xy色度図上)及び約1700(a*b*色度図上)である。
【0122】
上記のように、光濃度に関する濃色部と淡色部との光学特性上の関係は、視感透過率乃至明度に相当するY値或いはL*値において淡色部の方が濃色部よりも大きい。ここで、淡色部の値は濃色部の値の1.2〜2.5倍程度であることが好ましい。また、彩度に対応する色度図上の三角形の面積については、濃色部の色度図上の三角形の面積は淡色部の色度図上の三角形の面積よりも大きい。ここで、濃色部の色度図上の三角形の面積は、淡色部の色度図上の三角形の面積の3〜8倍程度であることが好ましい。
【0123】
なお、光濃度としては、上記のような光学特性上の指標だけでなく、製造条件や構造によって定義することもできる。例えば、カラーフィルタの着色層を形成する際に着色層中に分散した状態で混入される、顔料や染料等の着色材の量の大小関係がある。すなわち、濃色部においては、淡色部よりも単位体積当たりの着色材の量(重量若しくは体積)が大きいことになる。
【0124】
上記のように、カラーフィルタの着色層に、透過領域に配置される濃色部と反射領域に配置される淡色部とを設けることによって、透過表示と反射表示とにそれぞれ適した色表示を実現することができるので、上記実施例においては反射領域の液晶厚aと透過領域の液晶厚bとを上記範囲に設定したことによる透過率の向上効果をさらに有効に利用することができ、高品位のカラー表示を実現することが可能になる。
【0125】
[電子機器の実施形態]
最後に、上記液晶パネルを含む液晶装置を電子機器の表示装置として用いる場合の実施形態について説明する。図13は、本実施形態の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、上記と同様の液晶パネル200と、これを制御する制御手段1200とを有する。ここでは、液晶パネル200を、パネル構造体200Aと、半導体IC等で構成される駆動回路200Bとに概念的に分けて描いてある。また、制御手段1200は、表示情報出力源1210と、表示処理回路1220と、電源回路1230と、タイミングジェネレータ1240とを有する。
【0126】
表示情報出力源1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1220に供給するように構成されている。
【0127】
表示情報処理回路1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給する。駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0128】
図14は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話を示す。この携帯電話2000は、ケース体2010の内部に回路基板2001が配置され、この回路基板2001に対して上述の液晶パネル200が実装されている。ケース体2010の前面には操作ボタン2020が配列され、また、一端部からアンテナ2030が出没自在に取付けられている。受話部2040の内部にはスピーカが配置され、送話部2050の内部にはマイクが内蔵されている。
【0129】
ケース体2010内に設置された液晶パネル200は、表示窓2060を通して表示面(上記の液晶表示領域A)を視認することができるように構成されている。
【0130】
尚、本発明の液晶装置及び電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態に示す液晶パネルは単純マトリクス型の構造を備えているが、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置にも適用することができる。また、上記実施形態の液晶パネルは所謂COGタイプの構造を有しているが、ICチップを直接実装する構造ではない液晶パネル、例えば液晶パネルにフレキシブル配線基板やTAB基板を接続するように構成されたものであっても構わない。
【0131】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、透過型表示における透過光の利用効率を従来よりも高めることができるため、透過型表示を得るための照明光量を低減することが可能になり、また、反射層の開口面積を低減して反射型表示をより明るくすることも可能になる。また、着色層上の保護層に開口部若しくは薄肉部を構成するだけでよいので、工程を複雑化することなく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1実施形態の液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図2】 第1実施形態のパネル構造を模式的に示す概略断面図(a)及びカラーフィルタ基板の平面構造を示す拡大部分平面図(b)である。
【図3】 第1実施形態の液晶パネルにおける画素内の構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
【図4】 本発明に係る第2実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図5】 本発明に係る第3実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図6】 本発明に係る第4実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図7】 本発明に係る第5実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図8】 本発明に係る第6実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図9】 本発明に係る第7実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図10】 本発明に係る第8実施形態の液晶装置の画素内の構造を模式的に示す概略断面図である。
【図11】 本発明に係る液晶装置の製造方法に関する第9実施形態を示す概略工程図(a)〜(e)である。
【図12】 本発明に係る液晶装置の表示原理を示す概略説明図である。
【図13】 本発明に係る電子機器の実施形態における構成ブロックを示す概略構成図である。
【図14】 上記電子機器の実施形態の一例として携帯電話の外観を示す斜視図である。
【図15】 第1実施形態の液晶パネルの主要構造を模式的に示す概略断面図である。
【図16】 従来の反射半透過型の液晶パネルの構造を模式的に示す概略断面図である。
従来構造の反射半透過型の液晶表示パネルの構造を模式的に示す概略断面図である。
【図17】 より具体的な構造を示すための実施例のカラーフィルタ基板の拡大部分断面図及びカラーフィルタの平面図である。
【図18】 上記実施例に形成されるカラーフィルタの濃色部における分光透過率を示す図、xy色度図及びa*b*色度図である。
【図19】 上記実施例に形成されるカラーフィルタの淡色部における分光透過率を示す図、xy色度図及びa*b*色度図である。
【図20】 液晶層のツイスト角Twの範囲別に透過領域の液晶厚bと透過領域の透過状態における透過率との関係を示すグラフ(a)〜(d)、並びに、透過領域の透過率が最大になるツイスト角Twと液晶厚bとの関係を示すグラフ(e)である。
【符号の説明】
200 液晶パネル
210 カラーフィルタ基板
210a 表面凹部
211 第1基板
212 反射層
212a 開口部
214 着色層
215 表面保護層
215a 開口部
216 透明電極
220 対向基板
221 第2基板
222 透明電極
Claims (11)
- 一対の基板間に液晶層を挟持してなり、複数の画素が配列されてなるとともに、前記画素内に透過領域と反射領域を備える液晶装置であって、
一方の前記基板上に配置され、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、光を反射する反射層と、
前記反射層上に配置され、前記透過領域及び前記反射領域に重なる着色層と、
前記着色層を覆い、前記反射領域に重なるとともに、前記透過領域に重なる部分には前記反射領域に重なる部分より薄い薄肉部を有し、実質的に光が通過できる保護層とを備え、
前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さより厚いことを特徴とする液晶装置。 - 一対の基板間に液晶層を挟持してなり、複数の画素が配列されてなるとともに、前記画素内に透過領域と反射領域を備える液晶装置であって、
一方の前記基板上に配置され、前記反射領域に重なるとともに前記透過領域には重ならず、光を反射する反射層と、
他方の前記基板上に配置された着色層と、
前記着色層を覆い、前記反射領域に重なるとともに、前記透過領域に重なる部分には前記反射領域に重なる部分より薄い薄肉部を有し、実質的に光が通過できる保護層とを備え、
前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さより厚いことを特徴とする液晶装置。 - 前記反射領域における前記液晶層の厚さをaとし、前記透過領域における前記液晶層の厚さをbとしたとき、
bがaよりも大きく2a以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。 - 前記一対の基板の少なくとも一方の基板は表面に凹部を有し、該凹部上に前記透過領域が重なることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 前記着色層は前記基板の前記凹部上に厚肉部を有することを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
- 前記一対の基板の少なくとも一方の基板表面に配置され、
前記透過領域に開口部若しくは実質的に光が通過できる薄肉部を有する下地層を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。 - 前記着色層は前記下地層の前記開口部若しくは前記薄肉部上に厚肉部を有することを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
- 前記反射層上に配置され、前記透過領域に開口部若しくは薄肉部を有する実質的に光が通過できる透明層を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 前記着色層は前記透明層の前記開口部若しくは前記薄肉部上に厚肉部を有することを特徴とする請求項8に記載の液晶装置。
- 前記液晶層から見て前記反射層とは反対側に観察側の位相差板及び偏光板を有し、前記反射層から見て前記液晶層とは反対側に背面側の位相差板及び偏光板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載された液晶装置と、該液晶装置を制御する制御手段とを備えた電子機器。
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