JP3869766B2 - 垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴い、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。ハードディスク装置に適用される磁気記録方式としては、例えば、信号磁界の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)とする長手記録方式と、信号磁界の向きを記録媒体の面に対して垂直な方向とする垂直記録方式とが知られている。現在のところ長手記録方式が広く利用されているが、今後は長手記録方式に代わり垂直記録方式が有望視されている。垂直記録方式では、例えば、情報を記録済みの記録媒体が熱揺らぎの影響を受けにくく、かつ高い線記録密度を実現可能であるという利点が得られるからである。
【0003】
垂直記録方式を利用した記録態様としては、例えば、一端側においてギャップを介して互いに対向すると共に他端側において互いに磁気的に連結された2つの磁性層よりなるリングヘッドを用いて、単層構成の記録媒体に記録する態様や、単層構成のヘッド(単磁極ヘッド)を用いて、2層構成の記録媒体に記録する態様などが提案されている。これらのうち、単層構成のヘッドおよび2層構成の記録媒体を用いる態様は、例えば、熱揺らぎに対する耐性が顕著に優れているため、薄膜磁気ヘッドの性能向上を満たし得るものとして注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、垂直記録方式を利用した単層構成の薄膜磁気ヘッドの記録性能を向上させるためには、ヘッド(主磁極)から必要十分な磁束を放出し、可能な限り大きな垂直磁界の強度を増加させる必要がある。垂直磁界の強度を増加させるための手法としては、例えば、記録媒体に対向する記録媒体対向面(エアベアリング面)に平行な断面積がエアベアリング面に近づくにしたがって小さくなるように主磁極を構成する手法が挙げられる。この手法に関する具体例は、例えば、佐藤等により出願された明細書(出願番号:特願2000−343245)中に記載されている。この明細書中に記載された主磁極は、エアベアリング面に近づくにしたがって幅が狭められた構成をなしている。この主磁極によれば、その断面積の減少に応じて、主磁極内を流れる磁束が徐々に絞り込まれるため、主磁極の先端部まで磁束が到達する。
【0005】
また、例えば、日経エレクトロニクスNo.789(2001年2月12日号)の67頁には、磁極の下方部を部分的に削除した構造が紹介されている。
【0006】
しかしながら、垂直記録方式を利用した従来の薄膜磁気ヘッドでは、主磁極の構成に関する種々の検討がなされているにもかかわらず、今後益々急増することが予想される面記録密度の推移を考慮すると、垂直磁界の強度は未だ十分なものではなかった。垂直記録方式の実用性および将来性を証明し、この方式を利用した大容量のハードディスク装置の普及を図るためには、可能な限り大きな垂直磁界の強度を確保することが急務である。
【0007】
なお、上記した日経エレクトロニクスに紹介された磁極構造は、垂直磁界の強度を確保する上で有用であると想定される。しかしながら、磁極構造を具現化する上で重要となる具体的な製造方法が明らかにされていないため、その磁極構造が実際に製造可能であり、かつ実用性のあるものであるか否かは定かでない。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、垂直磁界の強度を確保し、記録性能を向上させることが可能な垂直磁気記録ヘッドを提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、既存の製造技術を利用して本発明の垂直磁気記録ヘッドを容易に製造可能な垂直磁気記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1〜第4垂直磁気記録ヘッドは、所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えたものであり、第2の磁性層が、記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含み、露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上であると共に、媒体流入側の第1の領域と、媒体流出側の第2の領域とを含むようにしたものである。第1の垂直磁気記録ヘッドでは、第1の領域の幅が第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、第2の領域の幅が第2の端縁からの距離によらず一定であり、第1の領域と第2の領域との境界部における幅寸法が不連続となっている。第2の垂直磁気記録ヘッドでは、第1の領域の幅および第2の領域の幅がそれぞれ第2の端縁からの距離によらず一定である。第3の垂直磁気記録ヘッドでは、第1の領域の幅および第2の領域の幅がそれぞれ第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、第1の領域と第2の領域との境界部における幅寸法が不連続となっている。第4の垂直磁気記録ヘッドでは、第1の領域の幅が第2の端縁からの距離によらず一定であり、かつ、第2の領域の幅が前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなっている。
【0011】
ここで、「媒体流出側」とは、記録媒体の進行を1つの流れと見た場合に、その流れの流出する側をいい、「媒体流入側」とは、その流れの流入する側をいう。
【0012】
本発明の第1〜第4の垂直磁気記録ヘッドでは、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上であるため、トラック幅規定部分へ流入した磁束は、ギャップ層近傍において、トラック幅規定層部分のうちの媒体流出側へ集中する。
【0015】
本発明の第1および第2の垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドを製造する方法であり、記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含むこととなるように、第2の磁性層を形成する工程を含み、露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となると共に、媒体流出側の第1の領域と、媒体流入側の第2の領域とを含むようにしたものである。第1の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、第1の領域の幅および第2の領域の幅がそれぞれ第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、第1の領域と前記第2の領域との境界部における幅寸法が不連続となるようにしている。第2の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、第1の領域の幅が第2の端縁からの距離によらず一定となり、かつ、第2の領域の幅が第2の端縁に近づくにしたがって小さくなるようにしている。
【0016】
本発明の第1および第2の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含むこととなるように第2の磁性層が形成される。このとき、トラック幅規定部分は、その露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となるように形成される。
【0017】
本発明の第3の垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドを製造する方法であり、ギャップ層上に2つの前駆磁性膜を順次積層する工程と、これらの2つの前駆磁性膜を加工して記録媒体対向面を形成することにより、記録媒体対向面に露出した第1の露出面を有する第1の磁性膜と、記録媒体対向面に露出した第2の露出面を有する第2の磁性膜とがこの順に積層された積層構造をなすように、第2の磁性層を形成する工程とを含み、第2の露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁を有すると共に、第1の露出面が、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁を有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上であると共に、第1の露出面の幅が第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、第2の露出面の幅が第2の端縁からの距離によらず一定であり、第1の露出面と第2の露出面との境界部における幅寸法が不連続となるようにしたものである。
【0018】
本発明の第3の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、ギャップ層上に2つの前駆磁性膜が順次積層されたのち、これらの2つの前駆磁性膜が加工されて記録媒体対向面が形成されることにより、記録媒体対向面に露出した第1の露出面を有する第1の磁性膜と、記録媒体対向面に露出した第2の露出面を有する第2の磁性膜とがこの順に積層された積層構造をなすように、第2の磁性層が形成される。このとき、第2の磁性層は、第2の露出面が進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁を有すると共に、第1の露出面が進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁を有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となるように形成される。
【0021】
本発明の第4の垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備え、第2の磁性層が、記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含む垂直磁気記録ヘッドを製造する方法であり、ギャップ層上に、トラック幅規定部分に対応する部分の断面の幅がギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、第2の磁性層の前準備層としての第1の前駆磁性層パターンを形成する工程と、この第1の前駆磁性層パターンのうち、ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように、所定の非磁性材料を用いて被覆層を形成する工程と、この被覆層をマスクとして用いて、第1の前駆磁性層パターンの延在面に対して直交する方向から所定の角度をなすような方向からイオンビームを照射しながら第1の前駆磁性層パターンを選択的にドライエッチングすることにより、トラック幅規定部分に対応する部分の断面の側端が湾曲するように第2の前駆磁性層パターンを形成する工程と、この第2の前駆磁性層パターンを露出面の方向から研磨して記録媒体対向面を形成することにより、トラック幅規定部分が露出面を構成することとなるように、第2の磁性層を形成する工程とを含み、トラック幅規定部分の露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となると共に、露出面の幅が第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、露出面の側端が湾曲するようにしたものである。
【0022】
本発明第4の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、まず、ギャップ層上に、トラック幅規定部分に対応する部分の断面の幅がギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように第2の磁性層の前準備層としての第1の前駆磁性層パターンが形成される。続いて、第1の前駆磁性層パターンのうち、ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように、所定の非磁性材料を用いて被覆層が形成される。続いて、被覆層をマスクとして用いて、第1の前駆磁性層パターンの延在面に対して直交する方向から所定の角度をなすような方向からイオンビームを照射しながら第1の前駆磁性層パターンが選択的にドライエッチングされることにより、トラック幅規定部分に対応する部分の断面の側端が湾曲するように第2の前駆磁性層パターンが形成される。続いて、第2の前駆磁性層パターンが露出面の方向から研磨されて記録媒体対向面が形成されることにより、トラック幅規定部分が露出面を構成することとなるように、第2の磁性層が形成される。このとき、トラック幅規定部分は、その露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となるように形成される。
【0023】
本発明の第5の垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備え、第2の磁性層が、記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含む垂直磁気記録ヘッドを製造する方法であり、ギャップ層上に、トラック幅規定部分に対応する部分の断面の幅がギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、第2の磁性層の前準備層としての第1の前駆磁性層パターンを形成する工程と、この第1の前駆磁性層パターンのうち、ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように、所定の非磁性材料を用いて被覆層を形成する工程と、この被覆層をマスクとして、所定のエッチャントを用いたウェットエッチングにより、第1の前駆磁性層パターンにおけるギャップ層に近い側の部分を選択的にエッチングすることにより、トラック幅規定部分に対応する部分のうちのギャップ層に近い部分の断面の幅がそのギャップ層からの距離によらずに一定となり、かつ、ギャップ層から遠い部分の断面の幅がそのギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、第2の前駆磁性層パターンを形成する工程と、この第2の前駆磁性層パターンを露出面の方向から研磨して記録媒体対向面を形成することにより、トラック幅規定部分が露出面を構成することとなるように、第2の磁性層を形成する工程とを含み、トラック幅規定部分の露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となると共に、媒体流入側の第1の領域と、媒体流出側の第2の領域とを含み、第1の領域の幅が第2の端縁からの距離によらず一定となり、かつ、第2の領域の幅が第2の端縁に近づくにしたがって小さくなるようにしたものである。
【0024】
本発明の第5の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、まず、ギャップ層上に、トラック幅規定部分に対応する部分の断面の幅がギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、第2の磁性層の前準備層としての第1の前駆磁性層パターンが形成される。続いて、第1の前駆磁性層パターンのうち、ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように、所定の非磁性材料を用いて被覆層が形成される。続いて、被覆層をマスクとして、所定のエッチャントを用いたウェットエッチングにより、第1の前駆磁性層パターンにおけるギャップ層に近い側の部分が選択的にエッチングされることにより、トラック幅規定部分に対応する部分のうちのギャップ層に近い部分の断面の幅がそのギャップ層からの距離によらずに一定となり、かつ、ギャップ層から遠い部分の断面の幅がそのギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、第2の前駆磁性層パターンが形成される。最後に、第2の前駆磁性層パターンが露出面の方向から研磨されて記録媒体対向面が形成されることにより、トラック幅規定部分が露出面を構成することとなるように、第2の磁性層が形成される。このとき、トラック幅規定部分は、その露出面が、進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となるように形成される。
【0028】
本発明の第1〜第4の垂直磁気記録ヘッドでは、トラック幅規定部分が、記録媒体対向面に平行な断面の面積が記録媒体対向面からの距離によらず一定である部分を有するしてもよい。
【0032】
また、本発明の第3の垂直磁気記録ヘッドでは、露出面における第2の領域の側端縁と第1の端縁との間の角度が、70度以上、かつ90度よりも小さいのが好ましい。
【0035】
また、本発明の第1〜第4の垂直磁気記録ヘッドでは、トラック幅規定部分が、媒体流入側から順に、第1の磁性膜と第2の磁性膜とを積層して構成されており、第1および第2の磁性膜の双方が露出面を構成しているようにしてもよいし、第1および第2の磁性膜のうち、第2の磁性膜のみが露出面を構成しているようにしてもよい。
【0036】
また、本発明の第1〜第4の垂直磁気記録ヘッドでは、第2の磁性膜が、第1の磁性膜よりも大きい飽和磁束密度を有するのが好ましい。
【0037】
また、本発明の第1〜第4の垂直磁気記録ヘッドでは、ギャップ層が、記録媒体対向面における第2の磁性層の厚みよりも大きい厚みを有するのが好ましい。
【0039】
本発明の第1の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、トラック幅規定部分の露出面における第2の領域の側端縁と第1の端縁との間の角度が、70度以上、かつ90度よりも小さくなるように、第2の磁性層を形成するのが好ましい。
【0042】
本発明の第3の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、第1の磁性膜を形成する工程が、フォトリソグラフィ処理を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより、ギャップ層上に、開口を有するフレームパターンを形成する工程と、このフレームパターンをマスクとして用いて、開口にめっき膜を選択的に成長させることにより、第1の磁性膜を形成する工程とを含むようにしてもよい。この場合には、開口におけるフレームパターンの内壁面をギャップ層の延在面に対して傾斜させることにより、ギャップ層に近い側から遠い側に向かって開口が広がるように、フレームパターンを形成してもよい。
【0044】
本発明の第4の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、第2の前駆磁性層パターンを形成する工程において、37.5°±7.5°の範囲内の角度をなすような方向からイオンビームを照射するのが好ましい。
【0045】
また、本発明の第4の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、スパッタリングを用いて被覆層を形成するのが好ましい。
【0047】
本発明の第5の垂直磁気記録の製造方法では、スパッタリングを用いて被覆層を形成するのが好ましい。
【0048】
また、本発明の第5の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、非磁性材料として、前駆磁性層パターンよりもエッチング速度が遅いものを用いるのが好ましい。非磁性材料としては、酸化アルミニウムを用いるのが好ましい。
【0049】
また、本発明の第5の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、エッチャントとして、第2塩化鉄水溶液を用いるのが好ましい。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
[第1の実施の形態]
<薄膜磁気ヘッドの構成>
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。図1は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表し、図2は図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部(主磁極)の斜視構成を拡大して表し、図3は図2に示した主磁極における露出面の平面構成を拡大して表している。なお、図1において、(A)はエアベアリング面に平行な断面を示し、(B)はエアベアリング面に垂直な断面を示している。図1に示した上向きの矢印Bは、薄膜磁気ヘッドに対して記録媒体が相対的に進行する方向、すなわち記録媒体の進行方向を表している。
【0054】
以下の説明では、図1〜図3の各図中におけるX軸方向を「幅方向」、Y軸方向を「長さ方向」、Z軸方向を「厚み(高さ)方向」と表記する。また、X軸方向を「側方」と表記すると共に、Y軸方向のうちのエアベアリング面に近い側(または後工程においてエアベアリング面となる側)を「前側または前方」、その反対側を「後側または後方」とそれぞれ表記するものとする。これらの表記内容は、後述する図4以降においても同様とする。
【0055】
この薄膜磁気ヘッドは、例えば、ハードディスク装置などの磁気記録再生装置に搭載され、記録・再生の双方の機能を実行可能な複合型ヘッドであり、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 3 ;以下、単に「アルミナ」という。)よりなる絶縁層2と、磁気抵抗(MR;Magneto-resistive )効果を利用した再生ヘッド100Aと、例えばアルミナよりなる非磁性層7と、垂直記録方式の記録ヘッド100Bと、例えばアルミナ等よりなる保護材としてのオーバーコート層15がこの順に積層された構成をなしている。
【0056】
《再生ヘッドの構成》
再生ヘッド100Aは、主に、例えば、下部シールド層3と、シールドギャップ膜4と、上部シールド層6がこの順に積層された構成をなしている。シールドギャップ膜4には、記録媒体に対向する記録媒体対向面(エアベアリング面)20に一面が露出するように、再生素子としてのMR素子5が埋設されている。
【0057】
下部シールド層3および上部シールド層6は,例えば、いずれもニッケル鉄合金(NiFe;以下、単に「パーマロイ(商品名)」という)等の磁性材料により構成されており、それらの厚みは共に約1.0μm〜2.0μmである。シールドギャップ膜4は、MR素子5をその周辺から電気的に分離するものであり、例えば、アルミナ等の非導電性非磁性材料により構成されている。MR素子5は、例えば、異方性磁気抵抗(AMR;Anisotropic Magneto-resistive )効果素子、巨大磁気抵抗(GMR;Giant Magneto-resistive )効果素子またはトンネル磁気抵抗(TMR;Tunneling Magneto-resistive )効果素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜により構成されている。
【0058】
《記録ヘッドの構成》
記録ヘッド100Bは、主に、例えば、補助磁極8と、ギャップ層9により埋設された磁束発生用の薄膜コイル10と、ギャップ層9に設けられた開口9CKに配設された連結部11を介して補助磁極8と磁気的に連結された主磁極12とがこの順に積層された構成をなしている
【0059】
補助磁極8は、例えば、パーマロイ等の高飽和磁束密度材料により構成されており、その厚みは約1.0μm〜2.0μmである。この補助磁極8は、例えば、ギャップ層9よりも記録媒体の進行方向Bと反対方向側、すなわち主磁極12よりも下側に配設されている。
【0060】
ギャップ層9は、補助磁極8上に配設され、開口9AKが設けられたギャップ層部分9Aと、このギャップ層部分9A上に配設され、薄膜コイル10の各巻線間よびその周辺領域を覆うように配設されたギャップ層部分9Bと、薄膜コイル10やギャップ層部分9A,9Bを覆うように配設され、開口9AKに対応する箇所に開口9CKが設けられたギャップ層部分9Cとを含んで構成されている。エアベアリング面20におけるギャップ層9の厚みは約2.0μm〜5.0μmであり、例えば、連結部11の厚み以上であり、かつエアベアリング面20における主磁極12の厚みより大きくなっている。
【0061】
ギャップ層部分9Aは、例えば、アルミナ等の非導電性非磁性材料により構成されており、その厚みは約0.1μm〜1.0μmである。ギャップ層部分9Bは、例えば、加熱により流動性を示すフォトレジスト(感光性樹脂)やスピンオングラス(SOG)等により構成されている。ギャップ層部分9Cは、例えば、ギャップ層部分9Bよりも耐食性、剛性および絶縁性に優れたアルミナやシリコン酸化物(SiO2 )などの非導電性非磁性材料により構成されている。
【0062】
連結部11は、例えば、パーマロイ等の高飽和磁束密度材料により構成されている。連結部11の寸法は、例えば、厚みが約2.0μm〜4.0μm,長さが約2.0μm〜10.0μm,幅が約5.0μm〜20.0μmである。
【0063】
薄膜コイル10は、例えば、銅等の導電性材料により構成されており、連結部11を中心としてスパイラル状に巻回する巻線構造をなしている。薄膜コイル10の寸法は、例えば、各巻線の厚みが約0.3μm〜2.0μm(具体的には約1.3μm),幅が約0.8μm,ピッチが約1.3μmである。なお、薄膜コイル10の寸法は必ずしも例示した場合に限らず、例えば、巻線の幅、ピッチおよび巻数等は任意に設定可能である。薄膜コイル10の上端の位置は、連結部11の上端の位置よりも低くなっている。なお、図1および図2では、薄膜コイル10を構成する複数の巻線のうちの一部のみを示している。図2では、薄膜コイル10と主磁極12との位置関係を明確にするために、薄膜コイル10を破線で示している。
【0064】
主磁極12は、例えば、ギャップ層9よりも記録媒体の進行方向Bと同一方向側、すなわち補助磁極8よりも上側に配設されている。この主磁極12は、ギャップ層部分9Cのうちの前方部分上に配設された下部磁極部分層12Aと、この下部磁極部分層12A上に配設された上部磁極部分層12Bと、この上部磁極部分層12B上に配設されたバッファ層14と共に下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bのそれぞれの後方部分を周囲から覆うように配設されたヨーク部分層12Cとを含んで構成されている。下部磁極部分層12Aの周辺領域には、例えばアルミナ等の非導電性非磁性材料よりなる埋込層13が埋め込まれており、下部磁極部分層12Aの上端の位置と埋込層13の上端の位置とは互いに一致している。
【0065】
下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bは、例えば、飽和磁束密度が約1.4T以上の高飽和磁束密度材料により構成されている。下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bを構成する高飽和磁束密度材料としては、例えば、ヨーク部分層12Cの構成材料よりも飽和磁束密度が大きいものが好ましい。また、特に、上部磁極部分層12Bを構成する高飽和磁束密度材料としては、例えば、下部磁極部分層12Aを構成する高飽和磁束密度材料よりも飽和磁束密度が大きいものがより好ましい。高飽和磁束密度材料としては、例えば、鉄および窒素を含む材料、鉄、ジルコニアおよび酸素を含む材料、鉄およびニッケルを含む材料等が挙げられ、具体的には、パーマロイ(Ni:45重量%,Fe:55重量%)、窒化鉄(FeN)、鉄コバルト合金(FeCo)、鉄を含む合金(FeM)、鉄およびコバルトを含む合金(FeCoM)のうちの少なくとも1種を選択可能である。ここで、上記した構造式(FeM,FeCoM)中のMは、例えば、ニッケル、窒素、炭素(C)、ホウ素(B)、珪素、アルミニウム、チタン(Ti)、ジルコニア、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銅のうちの少なくとも1種である
【0066】
下部磁極部分層12Aは、例えば、エアベアリング面20からこれより後方の所定の連結位置Nまで延在する先端部12A1と、この先端部12A1と連結位置Nにおいて磁気的に連結された後端部12A2とを含んで構成されている。下部磁極部分層12Aの寸法は、例えば、厚みが約0.2μm、長さが約2.0μm以上(具体的には約10.0μm)である。先端部12A1は、例えば、その幅が全域に渡って上端から下端に向かうにしたがって小さくなっており、また、側面が平面をなしている。先端部12A1の寸法は、例えば、上端幅が約0.2μm、下端幅が約0.1μm、長さが約0.1μm〜0.5μmである。後端部12A2は、例えば、後方において先端部12A1の幅より大きな一定幅(例えば2.0μm)をなし、前方において先端部12A1に近づくにしたがって幅が狭まるような構成をなしている。後端部12A2のうち、前方部分の側端が下部磁極部分層12Aの延在方向(Y軸方向)に対してなす角度αは、例えば、約45°以上、好ましくは約60°である。
【0067】
上部磁極部分層12Bは、例えば、エアベアリング面20側から順に、下部磁極部分層12Aの先端部12A1に対応する先端部12B1と、後端部12A2に対応する後端部12B2とを含んで構成されている。上部磁極部分層12Bの寸法は、例えば、厚みが約0.1μm、長さが約2.0μm以上(具体的には約10.0μm)である。先端部12B1は、記録媒体の記録トラック幅を規定する主要な部分であり、先端部12A1の幅より大きい一定幅をなしている。先端部12B1の幅は、例えば、約0.5μm以下、好ましくは約0.3μm以下である。後端部12B2は、例えば、下部磁極部分層12Aの後端部12A2とほぼ同様の構成をなしている。
【0068】
下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bは、例えば、共にエアベアリング面20に露出しており、先端部12A1,12B1のそれぞれの露出部により構成された露出面20Eを有している。特に、上部磁極部分層12Bは、その膜厚に対応する一端面がエアベアリング面20に露出している。露出面20Eのうち、媒体流出側に位置する上端縁(第1の端縁)G1の幅W1は、媒体流入側に位置する下端縁(第2の端縁)G2の幅W2よりも大きくなっている(W1>W2)。「媒体流出側」とは、進行方向Bに向かう記録媒体の進行を1つの流れと見た場合に、その流れの流出する側をいい、ここでは例えばギャップ層9から離れた側をいう。また、「媒体流入側」とは、その流れの流入する側をいい、ここでは例えばギャップ層9に近い側をいう。記録媒体の記録トラック幅は,主に、露出面20Eにおける上端縁G1の幅W1により規定される。また、露出面20Eのうち、例えば、先端部12A1に対応する領域(第1の領域)F1の幅は、ギャップ層9に近づくにしたがって幅W3から幅W2に小さくなり、この領域F1は逆台形(上端の長さが下端の長さより大きい台形)状をなしている。また、先端部12B1に対応する領域(第2の領域)F2は一定幅W1をなしており、この領域F2は矩形状をなしている。すなわち、領域F2における側端縁G3と上端縁G1との間の角度βは、例えば90°である。特に、上端縁G1の幅W1は、上端縁G1と下端縁G2との間の任意の中間部分、例えば領域F1と領域F2との境界部の幅W3以上となっている(W1≧W3)。なお、図3では、例えば、上端縁G1の幅W1が幅W3よりも大きい場合(W1>W3)を示している。
【0069】
ヨーク部分層12Cは、主に、連結部11と下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bとを磁気的に連結させることにより磁束の流路を構成するものであり、その厚みは約1.0μm〜6.0μmである。このヨーク部分層12Cは、例えば、耐食性に優れ、かつ下部磁極部分層12Aや上部磁極部分層12Bの構成材料よりも高抵抗な、飽和磁束密度が約1.5〜2.3T程度の高飽和磁束密度材料により構成されている。なお、ヨーク部分層12Cの構成材料として、下部磁極部分層12Aや上部磁極部分層12Bの構成材料と同様の組成系のものを用いる場合には、下部磁極部分層12Aや上部磁極部分層12Bの構成材料よりもヨーク部分層12Cの構成材料について飽和磁束密度を小さくするために、鉄の含有割合を少なめにするのが好ましい。
【0070】
このヨーク部分層12Cは、下部磁極部分層12Aの後端部12A2や上部磁極部分層12Bの後端部12B2のそれぞれの両側面および後端面と磁気的に連結されている。ヨーク部分層12Cは、エアベアリング面20に露出しておらず、例えば、エアベアリング面20から約1.5μm以上後退している。
【0071】
先端部12A1,12B1により構成される集合体におけるエアベアリング面20に平行な断面の面積(以下、単に「断面積」という)S1は、例えば、エアベアリング面20からの距離によらず一定になっている。この断面積S1は、後端部12A2,12B2により構成される集合体におけるエアベアリング面20に平行な断面の面積(断面積)S2よりも小さくなっている(S1<S2)。すなわち、主磁極12は、連結様式に着目すると、先端部12A1,12B1の集合体と後端部12A2,12B2の集合体からなる連結構造体をなしている
【0072】
バッファ層14は、主に、上部磁極部分層12Bの形成時において、先端部12B1を高精度に形成するために用いられるものである。この先端部12B1の形成の高精度化に係るバッファ層14の機能に関する詳細については、後述する。このバッファ層14は、例えば、上部磁極部分層12Bの構成材料よりもエッチング速度が遅い材料により構成されている。バッファ層の構成材料としては、例えば、チタンまたはタンタルを含む材料や、アルミナまたはシリコン酸化物(SiO2 )などの無機系非導電性非磁性材料が挙げられる。バッファ層14は、例えば、上部磁極部分層12Bと同様の平面形状を有し、その厚みは約0,5μm以下(具体的には約0.3μm)である。
【0073】
<薄膜磁気ヘッドの動作>
次に、図1および図2を参照して、薄膜磁気ヘッドの動作について説明する。この薄膜磁気ヘッドでは、記録ヘッド100Bにより情報の記録が行われる。すなわち、情報の記録時に図示しない外部回路から薄膜コイル10に電流が流れると、これに応じて磁束が発生する。このとき発生した磁束は、補助磁極8および主磁極12に収容されたのち、主磁極12内をヨーク部分層12Cから下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの双方へ流入する。下部磁極部分層12Aへ流入した磁束は、さらにその先端部12A1へ流れ、上部磁極部分層12Bへ流入した磁束も同様に、さらにその先端部12B1へ流れる。記録動作時において、薄膜磁気ヘッドに対して相対的に記録媒体が進行方向Bに向かって移動すると、露出面20Eから外部へ放出された磁束により記録用の垂直磁界が発生し、この垂直磁界により記録媒体が部分的に磁化され、情報が記録される。
【0074】
一方、再生時においては、再生ヘッド100AのMR素子5にセンス電流を流す。MR素子5の抵抗値は、記録媒体からの再生用の信号磁界に応じて変化するので、その抵抗変化をセンス電流の変化によって検出することにより、磁気記録媒体に記録されている情報が読み出される。
【0075】
<第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの作用および効果>
以上説明したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、主磁極12の一部を構成する下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの特徴的な構成に基づき、主に、以下の理由により、垂直磁界の強度を確保し、記録性能を向上させることができる。
【0076】
すなわち、露出面20Eにおける上端縁G1の幅W1が、下端縁G2の幅W2よりも大きくなるようにしたので、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの双方の内部を流れてエアベアリング面20に到達した磁束は、露出面20Eのうち、記録動作時において主要な磁束の放出路となる領域F2に集中する。しかも、上端縁G1の幅W1は、上端縁G1と下端縁G2との間の中間部分の幅W3よりも大きいため、領域F2の面積が十分に確保され、領域F2の面積が十分でない場合に生じる磁束の放出不良が抑制される。したがって、エアベアリング面20近傍において磁束が領域F2に適正に集中するため、垂直磁界の強度が確保される。なお、上記したように、領域F2へ磁束を集中させる点を考慮すれば、上部磁極部分層12B(先端部12B1)の厚みは、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの総厚みの約1/3〜1/2であるのが好ましい。
【0077】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについての記録性能の向上は、垂直磁界の強度を調べた実験結果より明らかとなった。図4は、図3に示した露出面20Eに対する比較例としての露出面120Eの平面構成を表すものであり、図3に対応している。露出面120Eは、先端部12A1に対応する先端部112A1の露出部(領域F1)と、先端部12B1に対応する先端部112B1の露出部(領域F2)とにより構成されている。露出面120Eのうち、下端縁G2の幅W2は上端縁G1の幅W1に等しく(W2=W1)、領域F1は一定幅W1をなしている。領域F2の構成は、図3に示した場合と同様である。領域F1と領域F2との境界部の幅W3は、上端縁G1の幅W1に等しくなっている(W3=W1)。すなわち、露出面120Eは矩形状をなしている。露出面20Eを有する本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドおよび露出面120Eを有する比較例としての薄膜磁気ヘッドのそれぞれについて垂直磁界の強度を比較したところ、垂直磁界の強度は、本実施の形態において比較例よりも10%程度増加することが確認された。
【0078】
さらに、本実施の形態では、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの特徴的な構成に基づき、以下の理由により、記録トラック幅を可能な限り小さくすることができる。図5は、露出面20Eを有する本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する利点を説明するものであり、図3に対応している。図6は露出面120Eを有する比較例としての薄膜磁気ヘッドに関する欠点を説明するものであり、図4に対応している。
【0079】
すなわち、上記したように、記録媒体の記録トラック幅は、露出面20E(または露出面120E)における上端縁G1の幅W1により規定されるが、記録媒体の円周接線方向に対して記録ヘッド100Bが傾くと、実質的な記録トラック幅が幅W1より大きくなる場合がある。この記録ヘッド100Bが傾く現象は、一般に、「スキュー」と呼ばれている。記録トラック幅を可能な限り小さくするためには、記録トラック幅の拡大を招くスキューの影響を可能な限り抑制する必要がある。
【0080】
比較例(図6参照)では、露出面120E(領域F1,F2)の厚みをU1とし、先端部112A1,112B1の側面方向(図中のZ軸方向)が記録媒体の円周接線方向Hに対して角度(スキュー角度)ωだけ傾いたとすると、実質的な記録トラック幅TW1は、TW1=U1sinω+W1cosωとなる。
【0081】
これに対して、本実施の形態(図5参照)では、露出面20Eのうち、領域F2の厚みをU2とし、上記比較例の場合と同様のスキュー角度ωだけスキューが生じたとすると、実質的な記録トラック幅TW2は、TW2=U2sinω+W1cosωとなる。すなわち、記録トラック幅TW1,TW2を比較すると、厚みU1,U2についてU2<U1の関係があることから、本実施の形態において、比較例よりも記録トラック幅が小さくなる。したがって、スキュー発生時における記録トラック幅の増大を回避することができる。
【0082】
なお、上記した記録トラック幅TW1,TW2の比較結果から、スキューが生じた際の実質的な記録トラック幅TW1は、スキュー角度ωおよび領域F2の構成が一定であるとすると、主に、領域F1の構成に依存することが判る。このことから、例えば、下部磁極部分層12Aの延在面に対する垂線P1と領域F1の側端縁との間の角度τは、スキュー角度ω以上であることが好ましい。
【0083】
また、本実施の形態では、先端部12A1および先端部12B1により構成される集合体の断面積S1が、後端部12A2および後端部12B2により構成される集合体の断面積S2よりも小さくなるようにしたので(S1<S2)、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの双方により構成される磁束の流路は、エアベアリング面20に近づくにしたがって断面積の減少に応じて絞り込まれる。これにより、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの双方の内部を流れる磁束は、長さ方向(図中のY軸方向)において集束しながらエアベアリング面20に到達するため、磁束の飽和現象の発生が抑制され、エアベアリング面20まで必要十分な磁束が供給される。したがって、磁束の集束に伴う必要十分な磁束供給に係る観点から、この点においても垂直磁界の強度が確保される。
【0084】
また、本実施の形態では、上部磁極部分層12Bの構成材料の飽和磁束密度が、下部磁極部分層12Aの構成材料の飽和磁束密度よりも大きくなるようにしたので、先端部12A1,12B1へ流入した磁束は、先端部12A1よりも、主要な磁束の放出部分となる先端部12B1に集中する。したがって、先端部12B1への磁束集中に係る観点から、この点においても垂直磁界の強度の確保に寄与することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、ギャップ層9の厚みが主磁極12の厚みよりも大きくなるようにしたので、垂直方向の磁界成分が大きくなる。したがって、この観点においても、垂直磁界の強度の確保に寄与することができる。
【0086】
<第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成に関する変形例>
《変形例1−1》
なお、本実施の形態では、露出面20Eのうち、上端縁G1の幅W1が、領域F1と領域F2との境界部の幅W3よりも大きくなるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図7に示したように、上端縁G1の幅W1が幅W3に等しく(W1=W3)、かつ領域F2が幅W3に等しい一定幅W1をなすようにしてもよい。なお、図7に示した露出面20Eについての上記特徴部分以外の構成は、例えば、図3に示した場合と同様である。この場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0087】
《変形例1−2》
また、露出面20Eの構成は、例えば、図8に示したように、領域F1と領域F2との境界部の幅W3が下端縁G2の幅W2に等しく(W3=W2)、かつ領域F1が幅W3に等しい一定幅W2をなすようにしてもよい。なお、図8に示した露出面20Eについての上記特徴部分以外の構成は、例えば、図3に示した場合と同様である。この場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0088】
《変形例1−3》
また、露出面20Eは、例えば、図9に示したような構成をなしてもよい。すなわち、本実施の形態では、露出面20Eの領域F2における側端縁G3と上端縁G1との間の角度βが90°である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、図9に示したように、角度βが約70°以上、かつ90°よりも小さい範囲内であってもよい。この場合には、領域F2の幅が領域F1に近づくにしたがって小さくなり、領域F1と領域F2との境界部における幅寸法が不連続となる。なお、図9に示した露出面20Eについての上記特徴部分以外の構成は、例えば、図3に示した場合と同様である。この場合においても、露出面20Eのうち、主要な磁束の放出路をなす領域F2の面積が十分に確保されるため、垂直磁界の強度の確保に寄与することができる。
【0089】
《変形例1−4》
また、図9に示した変形例としての露出面20Eの構成は、例えば、図10に示したように、さらに、領域F2の幅が、領域F1に近づくにしたがって2段階に小さくなり、かつ、領域F1が一定幅W2をなすようにしてもよい。なお、図10に示した露出面20Eについての上記特徴部分以外の構成は、例えば、図9に示した場合と同様である。この場合においても、上記《変形例1−3》において説明した場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0090】
《変形例1−5》
また、露出面20Eの構成は、例えば、図11に示したように、領域F1が逆三角形状をなすようにしてもよい。なお、図11に示した露出面20Eについての上記特徴部分以外の構成は、例えば、図3に示した場合と同様である。この場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0091】
《変形例1−6》
また、露出面20Eの構成は、例えば、図12に示したように、露出面20Eのうち、領域F1と領域F2との境界部の幅W3が、下端縁G2の幅W2よりも小さくなるようにしてもよい(W3<W2)。なお、図12に示した露出面20Eについての上記特徴部分以外の構成は、例えば、図3に示した場合と同様である。この場合においても、上記実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。ただし、領域F1と領域F2との境界部の幅W3が下端縁G2の幅W2よりも小さくなり、露出面20Eの面積が小さくなると、露出面20Eから放出される磁束の放出量が低下する可能性があるため、磁束放出量の確保を考慮するならば、幅W3が幅W2以上(W3≧W2)であることが好ましい。
【0092】
《変形例1−7》
また、本実施の形態では、先端部12A1,12B1により構成される集合体の断面積S1がエアベアリング面20からの距離によらず一定となるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。図13は、下部磁極部分層12Aの構成に関する変形例を表すものであり、図2に対応している。なお、図13では、例えば、露出面20Eが、上記《変形例1−2》において説明した構成(図8参照)をなす場合について示している。この下部磁極部分層12Aは、例えば、先端部12A1のうちの前方部分の幅がエアベアリング面20に近づくにしたがって狭まるように構成されている。言い換えれば、先端部12A1の構造は、例えば、直方体から、図中のZ軸方向における面を底面とする2つの三角柱T1を除去した場合の残存構造に相当する。先端部12A1のうちの前方部分の断面積S3は、エアベアリング面20に近づくにしたがって小さくなる。このような構成をなす下部磁極部分層12Aによれば、先端部12A1の前方部分において、先端部12A1内を流れる磁束が断面積S3の減少に応じて集束されるため、上記実施の形態の場合よりも垂直磁界の強度を大きくすることができる。なお、図13に示した下部磁極部分層12Aについての上記した特徴部分以外の構成は、例えば、図2に示した場合と同様である。
【0093】
《変形例1−8》
また、下部磁極部分層12Aは、図13に示した場合に限らず、例えば、図14に示したような構成をなしてもよい。図14は、下部磁極部分層12Aの構成に関する他の変形例を表すものである。この下部磁極部分層12Aの先端部12A1の構造は、例えば、直方体から、図中のY軸方向における面を底面とする2つの四角錘T2を除去した場合の残存構造に相当し、先端部12A1のうちの前方部分の断面積S4は、エアベアリング面20に近づくにしたがって小さくなる。この場合においても、上記《変形例1−7》において説明した場合と同様の作用により、上記実施の形態の場合よりも垂直磁界の強度を大きくすることができる。なお、図14に示した下部磁極部分層12Aについての上記した特徴部分以外の構成は、例えば、図2に示した場合と同様である。
【0094】
《変形例1−9》
また、本実施の形態では、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの双方がエアベアリング面20に露出するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図15に示したように、上部磁極部分層12Bのみがエアベアリング面20に露出して露出面20Eを構成し、下部磁極部分層12Aがエアベアリング面20から距離Rだけ後退(リセス)するようにしてもよい。露出面20Eは、図15に示したように一定幅(W1)をなすようにしてもよいし、あるいはギャップ層9に近づくにしたがって小さくなるようにしてもよい。ただし、記録トラック幅をばらつきなく規定する点を考慮するならば、露出面20Eは一定幅をなすのが好ましい。この記録トラック幅をばらつきなく規定することが可能になる理由については、後述する(図31,図32参照)。この場合には、下部磁極部分層12Aのリセス構造に基づき、先端部12A1内をエアベアリング面20に向かって流れる磁束が先端部12B1に円滑に流入することとなる。これにより、先端部12B1に磁束が集中するため、垂直磁界の強度をより大きくすることができる。なお、距離Rは、上記した磁束の集中を良好に確保する観点から、約0.1μm〜2.0μmの範囲内であるのが好ましい。図15に示した下部磁極部分層12Aについての上記した特徴部分以外の構成は、例えば、図2に示した場合と同様である
【0095】
《変形例1−10》
また、図15に示した下部磁極部分層12Aは、例えば、図16に示したように、エアベアリング面20に近い側の端面(リセス面)20ERが、下部磁極部分層12Aの延在面(図中のX軸およびY軸を含む面)に対して傾斜するようにしてもよい。この場合には、リセス面20ERが下部磁極部分層12Aの延在面と直交する上記《変形例1−9》の場合よりも、リセス面20ER近傍において先端部12A1から先端部12B1に流入する磁束の流れを円滑化することができる。
【0096】
《変形例1−11》
また、本実施の形態では、主磁極12が、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの積層構造をなすようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図17および図18に示したように、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの集合体に対応する単層構成の磁極部分層12ABをなすようにしてもよい。図17および図18は主磁極12の構成に関する変形例を表すものである。図17は磁極部分層12ABにおける露出面20Eの平面構成を示し、図3に対応している。また、図18は磁極部分層12ABの斜視構成を拡大して示し、図2に対応している。この磁極部分層12ABは、上記実施の形態において説明した先端部12A1,12B1の集合体に対応する先端部12AB1と、後端部12A2,12B2の集合体に対応する後端部12AB2とを含んで構成されている。露出面20Eのうち、上端縁G1は幅W1をなし、下端縁G2は幅W2をなしている。露出面20Eの幅はギャップ層9に近づくにしたがって小さくなっており、すなわち、露出面20Eは逆台形状をなしている。この磁極部分層12ABを含む主磁極12を構成することにより、主磁極12の構成および形成を簡略化することができる。
【0097】
また、本変形例では、磁極部分層12ABの露出面20Eが逆台形状をなすようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば逆三角形状をなすようにしてもよい。
【0098】
なお、本実施の形態では、上記《変形例1−1》から《変形例1−11》において説明した一連の変形の他、これらの各変形内容を互いに組み合わせることも可能である。
【0099】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法>
次に、図1〜図3および図19〜図30を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図19〜図24は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造工程における各工程の断面構成を表している。また、図25〜図30は薄膜磁気ヘッドの製造工程における各工程の平面構成を表し、このうち図25,図26,図27,図28および図29は、それぞれ図19,図20,図22,図23および図24に対応している。なお、図19〜図24では、図25〜図29におけるA−A線に沿った断面構成を示している。
【0100】
以下では、まず、薄膜磁気ヘッド全体の製造方法について簡単に説明したのち、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法が適用される主磁極12の要部(下部磁極部分層12A,上部磁極部分層12B)の形成方法について詳細に説明する。なお、薄膜磁気ヘッド全体の製造方法および主磁極12の要部の形成方法を説明する際には、各構成要素の形成材料、形成位置および構造的特徴等は、上記「薄膜磁気ヘッドの構成」の項において既に詳述したので、その説明を随時省略する。
【0101】
《薄膜磁気ヘッドの製造方法》
この薄膜磁気ヘッドは、主に、例えば薄膜プロセスおよび研磨処理等を用いて各構成要素を順次積層することにより製造される。すなわち、まず、基板1上に絶縁層2を形成したのち、この絶縁層2上に、下部シールド層3と、MR素子5を埋設するシールドギャップ膜4と、上部シールド層6とをこの順に形成することにより、再生ヘッド100Aを形成する。
【0102】
続いて、再生ヘッド100A上に非磁性層7を形成したのち、この非磁性層7上に、補助磁極8と、開口9AKを有するギャップ層部分9Aと、薄膜コイル10と、この薄膜コイル10を覆うギャップ層部分9Bと、ギャップ層部分9A,9Bを覆い、開口9CKを有するギャップ層9Cと、開口9CKを埋め込む連結部11と、バッファ層14が部分的に挟まれた主磁極12とをこの順に形成することにより、記録ヘッド100Bを形成する。
【0103】
最後に、記録ヘッド100B上にオーバーコート層15を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。なお、上記した薄膜磁気ヘッドを構成する一連の構成要素は、例えば機械加工や研磨加工を用いてエアベアリング面20が形成されることにより最終的に形成される。
【0104】
《主磁極の要部の形成方法》
主磁極12の要部を形成する際には、まず、図19および図25に示したように、ギャップ層9の一部を構成するギャップ層部分9Cを形成したのち、このギャップ層部9C上に、例えばスパッタリングにより、電解めっき法におけるシード層となる電極膜(図示せず)を形成する。この電極膜の構成材料としては、例えば、後工程において形成される下部磁極部分層12Aや上部磁極部分層12Bの構成材料と同様の高飽和磁束密度材料を用いるようにする。
【0105】
続いて、この電極膜上に、例えばフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜(図示せず)を形成したのち、高精度のフォトリソグラフィ処理を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより、図19および図25に示したように、めっき処理を行う際に用いるフレームパターン(外枠)30(図25中、濃い網掛領域)を形成する。フレームパターン30を形成する際には、例えば、下部磁極部分層12Aの平面形状に対応した開口30Kを設けるようにすると共に、この開口30Kのうち、先端部12A1に対応する部分の下端幅が、後工程において形成される露出面20Eのうちの下端縁G2の幅W2(図3参照)に対応するようにする。また、フレームパターン30を形成する際には、例えば、フォトリソグラフィ処理時において露光角度および露光量等を調整し、開口30Kにおけるフレームパターン30の内壁面30KMを下地のギャップ層部分9C(図25中、淡い網掛領域)の表面に対して傾斜させることにより、上方に向かって開口30Kが広がるようにする。なお、フレームパターンの形成位置については、例えば、開口30Kのうち、下部磁極部分層12Aのうちの先端部12A1と後端部12A2との連結部に対応する部分を、連結位置Nに位置合わせする。
【0106】
続いて、先に形成した電極膜をシード層として用いると共にフレームパターン30をマスクとして用いて、例えばパーマロイ等の高飽和密度材料を用いて開口30Kにめっき膜を選択的に成長させることにより、図20および図26に示したように、前駆磁性層パターン12AX(図26中、淡い網掛領域)を形成する。この前駆磁性層パターン12AXは、後工程において研磨処理を施されることにより前駆磁性層パターン12AY(図22,図27参照)となる前準備層である。前駆磁性層パターン12AXのうち、先端部12A1に対応する対応部分12AX1の下端は、幅W2をなす。前駆磁性層パターン12AXを形成する際には、例えば、その形成厚みが下部磁極部分層12Aの形成厚みよりも大きくなるようにする。もちろん、前駆磁性層パターン12AXの形成厚みを下部磁極部分層12Aの形成厚みよりも大きくし得るように、フレームパターン30を形成する際、その厚みを前駆磁性層パターン12AXの形成厚みより大きめに予め調整しておく。
【0107】
続いて、フレームパターン30を除去したのち、前駆磁性層パターン12AXをマスクとして用いて、例えばイオンビームエッチングにより、電極膜のうち、前駆磁性層パターン12AXの形成領域以外の部分を選択的にエッチングして除去する。
【0108】
続いて、図21に示したように、ギャップ層部分9Cおよび前駆磁性層パターン12AXを覆うように、例えばアルミナ等の非導電性非磁性材料よりなる埋込層13を形成する。この埋込層13を形成する際には、例えば、その厚みが前駆磁性層パターン12AXの厚みより大きくなるようにする。
【0109】
続いて、例えば化学機械研磨(CMP)法により、例えば、少なくとも前駆磁性層パターン12AXが露出するまで埋込層13および前駆磁性層パターン12AXを研磨する。この研磨処理により、図22および図27に示したように、研磨後の前駆磁性層パターン12AXの残存部分よりなる前駆磁性層パターン12AY(図27中、淡い網掛領域)が形成される。前駆磁性層パターン12AYを形成する際には、先端部12A1に対応する対応部分12AY1の上端が幅W3をなすように、研磨量を調整する。前駆磁性層パターン12AYおよび研磨後の埋込層13(図27中、濃い網掛領域)の表面は、全体に渡って平坦となる。
【0110】
続いて、図23および図28に示したように、前駆磁性層パターン12AYおよび埋込層13の平坦面上に、例えば、スパッタリングまたはめっき処理により、前駆磁性層パターン12AYの形成材料より飽和磁束密度が大きい高飽和磁束密度材料を用いて、前駆磁性層12BX(図28中、淡い網掛領域)を形成する。
【0111】
続いて、図23および図28に示したように、前駆磁性層12BX上に、例えば、前駆磁性層12BXの形成材料よりもエッチング速度が遅いアルミナなどの非導電性非磁性材料を用いて、バッファ層14(図28中、濃い網掛領域)を選択的に形成する。バッファ層14を形成する際には、例えば、上部磁極部分層12Bの平面形状に対応する平面形状を有するようにすると共に、上部磁極部分層12Bの先端部12B1に対応する部分が、幅W3より大きい幅W1をなすようにする。
【0112】
続いて、バッファ層14をマスクとして用いて、例えばリアクティブイオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)により、埋込層13が露出するまで前駆磁性層12BXに選択的にエッチング処理を施す。このエッチング処理により、図24および図29に示したように、エッチング処理後の前駆磁性層12BXの残存部分よりなる前駆磁性層パターン12BYが選択的に形成される。前駆磁性層パターン12BYのうち、先端部12B1に対応する対応部分12BY1は幅W1をなす。なお、前駆磁性層パターン12BYを形成する際に用いるエッチング手法としては、RIEに代えてイオンビームエッチングを用いるようにしてもよいが、エッチング処理に要する時間の短縮を考慮するならば、RIEを用いるようにするのが好ましい
【0113】
最後に、例えば、機械加工や研磨工程によって図29中の上方から前駆磁性層パターン12AY,12BYを研磨することにより、図30に示したように、エアベアリング面20およびこのエアベアリング面20に露出した露出面20Eを形成する。この研磨処理により、研磨処理後の前駆磁性層パターン12AYの残存部分として、露出面20Eのうちの領域F1(第1の露出面)を有するように下部磁極部分層12Aが形成されると共に、研磨処理後の前駆磁性層パターン12BYの残存部分として、領域F2(第2の露出面)を有するように上部磁極部分層12Bが形成される。これにより、主磁極12の要部が完成する
【0114】
<第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する作用および効果>
以上説明したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、前駆磁性層パターン12AY,12BYをそれぞれ別工程により形成したのち、これらの前駆磁性層パターン12AY,12BYをそれぞれ加工することにより下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bを形成するようにしたので、下部磁極部分層12Aの構造と上部磁極部分層12Bの構造とをそれぞれ独立して設定することが可能になる。したがって、本実施の形態では、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bのそれぞれの構造の自由度を大きくすることが可能となり、多様な構造的特徴を有する薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0115】
なお、以下では、本実施の形態において説明した2段階の形成工程(前駆磁性層パターン12AY,12BYの形成工程)を経て下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bを別個に形成する手法を略称して、「2段階形成法」という。
【0116】
また、本実施の形態では、2段階形成法を用いて下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bを形成する際、特に、成膜処理(前駆磁性層12BXの形成)およびパターニング処理(マスク14を用いた前駆磁性層12BXのパターニング)を用いて上部磁極部分層12Bを形成するようにしたので、例えば成膜処理およびパターニング処理を用いて下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bを一体形成する場合よりも、パターニングされる要素(前駆磁性層12BX)の厚みが薄くなる。この場合には、パターニング用のマスク14の厚みも薄くて済むため、マスク14を高精度に形成することが可能になる。しかも、比較的薄いマスク14を用いてパターニング処理を行うことにより、比較的厚いマスク14を用いる場合よりも、パターニング精度が向上する。したがって、本実施の形態では、一定幅W1をなすように上部磁極部分層12Bを高精度かつ微細に形成することができる。
【0117】
また、本実施の形態では、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bを形成する際、従来にない特別な技法を何ら用いることがないため、既存の製造技術を利用して、薄膜磁気ヘッドを容易に製造することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、露出面20Eにおける領域F2が一定幅W1をなすようにしたので、以下の理由により、所望の目標幅となるように記録トラック幅をばらつきなく規定することができる。図31は、図3に示した構成の露出面20Eを有する本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における利点を説明するものであり、図32は、図17に示した構成の露出面20Eを有する変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法における問題点を説明するものである。
【0119】
変形例(図32参照)では、上記したように、磁極部分層12ABが単層構成をなすため、下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの積層構成をなす本実施の形態の場合よりも形成工程の簡略化の観点において利点を有する。しかしながら、例えば、厚みがU2、上端縁G1の幅がW1をなす露出面20Eを有するように磁極部分層12ABを形成しようとしたところ、形成時の厚み制御に係る誤差等に起因して、露出面20Eの形成厚みがU2より小さいU3(U3<U2)になると、上端縁G1の幅はW1より小さいW4(W4<W1)となってしまう可能性がある。この場合には、記録トラック幅をばらつきなく目標幅(W1)通りに規定することが困難となる。
【0120】
これに対して、本実施の形態(図31参照)では、露出面20Eにおける領域F2が一定幅W1をなし、矩形状をなすため、上部磁極部分層12Bの形成時において形成厚みに誤差が生じ、露出面20Eの厚みがU2より小さいU3になったとしても、その誤差が上部磁極部分層12Bの厚みの範囲内である限り、上端縁G1の幅W1は一定に維持される。したがって、本実施の形態では、変形例とは異なり、上端縁G1の幅W1の変動が防止されるため、記録トラック幅がばらつきなく目標幅となるように規定される。この記録トラック幅の規定に係る観点から言えば、領域F2における側端縁G3と上端縁G1との間の角度βは、90°であることが好ましい。
【0121】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0122】
図33〜図36は、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するものである。本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、上記第1の実施の形態において説明した2段階形成方法に代えて、エッチング処理を利用して主磁極の要部を形成するものである。図33〜図35は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造工程における各工程の断面構成を表し、図36は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造される薄膜磁気ヘッドの要部(主磁極)の斜視構成を拡大して表している。なお、図33〜図36では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一部分には同一の符号を付している。
【0123】
<薄膜磁気ヘッドの構成>
まず、図36を参照して、薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。この薄膜磁気ヘッドは、上記第1の実施の形態において説明した下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bの集合体に対応する磁極部分層41ABを含んで構成されている。この磁極部分層41ABは、例えば、上記第1の実施の形態における先端部12A1,12B1の集合体に対応する先端部41AB1と、後端部12A2,12B2の集合体に対応する後端部41AB2とを含んでいる
【0124】
磁極部分層41AB1の露出面20Eは、例えば、上記第1の実施の形態の《変形例1−11》において図17に示した場合と同様に逆台形状をなしている。
先端部41ABの前方部分は、例えば、上端の幅がエアベアリング面20からの距離によらず一定であり、下端の幅がエアベアリング面20に近づくにしたがって小さくなっている。言い換えれば、先端部41AB1の構造は、直方体から、図中のY軸方向における面を底面とする2つの三角錘T3を除去した場合の残存構造に相当する。後端部41AB2は、例えば、後端部12A2,12B2とほぼ同様の構成をなしている。
【0125】
先端部41AB1の前方部分における露出面20Eに平行な断面積S5は、露出面20Eに近づくにしたがって小さくなっており、この断面積S5は、後端部41AB2における露出面20Eに平行な断面積S6よりも小さくなっている(S5<S6)。
【0126】
なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する磁極部分層41AB以外の構成は、例えば、上記第1の実施の形態の場合(図1,図2参照)と同様である。なお、図36では、磁極部分層41ABと共に、上記第1の実施の形態において説明したバッファ層14に対応するバッファ層42を示している。
【0127】
<本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法>
次に、図33〜図35を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。なお、以下では、主に、磁極部分層41ABの形成工程についてのみ説明し、薄膜磁気ヘッドを構成する他の構成要素の形成工程については、上記第1の実施の形態において説明したので、その説明を省略する。
【0128】
磁極部分層41ABを形成する際には、まず、ギャップ層部分9Cを形成したのち、図33に示したように、ギャップ層部9C上に、例えばスパッタリングにより、例えばパーマロイ等の高飽和磁束密度材料を用いて前駆磁性層41ABXを形成する。
【0129】
続いて、図33に示したように、前駆磁性層41ABX上に、例えばスパッタリングにより、例えば前駆磁性層41ABXの形成材料よりもエッチング速度が遅いアルミナなどの非導電性非磁性材料を用いて、前駆バッファ層42Xを形成する。
【0130】
続いて、図33に示したように、前駆バッファ層42X上に、例えばめっき処理により、例えばパーマロイ等よりなるパターニング用のマスク43を選択的に形成する。マスク43を形成する際には、例えば、後工程において形成される磁極部分層41ABの平面形状に対応する平面形状を有するようにすると共に、先端部41AB1に対応する部分が幅W1をなすようにする。なお、マスク43の形成材料は、必ずしも上記したパーマロイに限られず、所定のパターン形状となるように加工可能であり、かつマスクとして機能し得る程度の硬さ等を有する限り、自由に変更可能である。
【0131】
続いて、マスク43を用いて、例えばRIEにより、前駆バッファ層42Xおよび前駆磁性層41ABXに対して選択的にエッチング処理を施す。このエッチング処理により、図34に示したように、前駆バッファ層42Xがパターニングされることによりバッファ層42が選択的に形成されると共に、前駆磁性層41ABXがパターニングされることにより前駆磁性層パターン41ABYが選択的に形成される。この前駆磁性層パターン41ABYは、先端部41AB1に対応する対応部分41ABY1(幅W1)を含むように形成される
【0132】
続いて、バッファ層42をマスクとして用いて、前駆磁性層パターン41ABYの延在面と直交する線(垂線)P1から角度(照射角度)θ1=約45°以上、具体的には約45.0°〜80.0°をなす方向からイオンビームを照射しながら、前駆磁性層パターン41ABYに対してエッチング処理を施す。エッチング処理を行う際には、例えば、垂線P1と平行な前駆磁性層パターン41ABYの中心線P2を軸として、前駆磁性層パターン41ABYを回転させるようにする。このエッチング処理により、図35に示したように、先端部41AB1に対応する対応部分41ABZ1を含む前駆磁性層パターン41ABZが選択的に形成される。エッチング時には、前駆磁性層パターン41ABYを構成する幅広の後方部分(後端部41AB2に対応する部分)の存在により、主に、対応部分41ABY1のうちの先端側の側面部のみが選択的にエッチングされ、その先端側の側面部以外の部分がエッチングされにくくなると共に、対応部分41ABY1に対するエッチング量は、下方および後方に向かうにしたがって小さくなる。なお、エッチング時には、図36に示したように、対応部分41ABY1のみでなく、前駆磁性層パターン41ABYのうちの後方部分の側面部も部分的にエッチングされる
【0133】
最後に、上記第1の実施の形態において図30に示した場合と同様に、機械加工や研磨工程により前駆磁性層パターン41ABZを研磨してエアベアリング面20を形成することにより、図36に示したように、逆台形状の露出面20Eを有する磁極部分層41ABが形成される。なお、磁極部分層41ABを形成する際には、例えば、先端部41AB1内における磁束の流れを円滑にする観点から、先端部41AB1のうちの前方部分(幅が変化する部分)の長さLが、上端縁G1の幅W1の約1倍〜2.5倍、好ましくは約2倍となるようにするのが好ましい。
【0134】
<第2の実施の形態に係る作用および効果>
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、先端部41AB1の断面積S5が後端部41AB2の断面積S6よりも小さくなると共に、露出面20Eが逆台形状をなすように磁極部分層41ABを構成したので、上記第1の実施の形態の場合と同様の作用により、垂直磁界の強度を確保できると共に、スキュー発生時の弊害を防止することができる。
【0135】
特に、本実施の形態では、先端部41AB1の前方部分の断面積S5が露出面20Eに近づくにしたがって小さくなるようにしたので、上記第1の実施の形態における《変形例1−7,1−8》(図13,図14参照)にて説明した場合と同様の作用により、垂直磁界の強度をより大きくすることができる。具体的に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドおよび《変形例1−11》にて説明した変形例としての薄膜磁気ヘッド(図17,図18参照)のそれぞれについて垂直磁界の強度を調べたところ、垂直磁界の強度は、本実施の形態において変形例よりも3〜4%程度増加することが確認された。
【0136】
また、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、ドライエッチング処理により前駆磁性層パターン41ABYに対してアンダーカットが施されるため、最終的にアンダーカット構造の露出面20Eを有する磁極部分層41ABが形成される。したがって、成膜手法を用いただけでは形成が困難な構造をなす磁極部分層41ABを形成することが可能になり、多様な構造的特徴を有する薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0137】
なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法に関する上記以外の動作、作用、効果および変形等は、例えば、上記第1の実施の形態と同様である。
【0138】
<第2の実施の形態に係る変形例>
なお、本実施の形態では、イオンビームエッチングを利用して、上記第1の実施の形態やその変形例において説明した各種構造を有する磁極部分層や、その他の構造を有する磁極部分層を形成することもできる。
【0139】
《変形例2−1》
例えば、上記第1の実施の形態における《変形例1−11》では、図17に示したように、領域F1の側端縁G4が直線状をなすように露出面20Eを形成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図37に示したように、側端縁G4が凸状に湾曲するように露出面20Eを形成することも可能である。
図37は露出面20Eの構成に関する変形例を表すものであり、図3に対応している。また、図38〜図41は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に対する変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するものであり、図33〜図35に対応している。
【0140】
側端縁G4が凸状に湾曲するような露出面20Eは、以下の手順により形成可能である。すなわち、まず、ギャップ層部分9Cを形成したのち、図38に示したように、ギャップ層部9C上に、例えばスパッタリングにより、例えばパーマロイ等の高飽和磁束密度材料を用いて、前駆磁性層51ABXを形成する。
【0141】
続いて、図38に示したように、前駆磁性層51ABX上に、例えば、前駆磁性層51ABXの形成材料よりもエッチング速度が遅いアルミナなどの非導電性非磁性材料を用いて、バッファ層52を選択的に形成する。バッファ層52を形成する際には、例えば、上記第1の実施の形態において説明したバッファ層14と同様の平面形状を有するようにすると共に、上端縁G1に対応する部分が幅W1より大きい幅W5(W5>W1)をなすようにする。
【0142】
続いて、バッファ層52をマスクとして用いて、前駆磁性層51ABXの延在面と直交する線(垂線)P1から角度(照射角度)θ2=約40°±30°をなす方向からイオンビームを照射しながら、全体にエッチング処理を施す。このエッチング処理によって前駆磁性層51ABXがパターニングされることにより、図39に示したように、対応部分51ABY1を含む前駆磁性層パターン51ABYが選択的に形成される。エッチング速度が遅いバッファ層52を介して、斜め上方から前駆磁性層51ABXにエッチング処理が施されることにより、対応部分51ABY1は、上端が幅W5より小さい幅W1(W1<W5)をなし、下端が幅W1より小さいW6(W6<W1)をなすように形成される。なお、エッチング時には、主に、横方向のエッチング成分によりバッファ層52の側方部が部分的に除去されると共に、縦方向のエッチング成分によりギャップ層部分9Cが部分的に掘り下げられる
【0143】
続いて、図40に示したように、例えばスパッタリングにより、例えば前駆磁性層パターン51ABYの形成材料よりもエッチング速度が遅いアルミナなどの非導電性非磁性材料を用いて、全体に被覆層53を形成する。被覆層53を形成する際には、前駆磁性層パターン51ABYの上方部分の周囲が十分な厚みの被覆層53により覆われるように、成膜時間を比較的長めに調整するようにする
【0144】
続いて、バッファ層52および被覆層53をマスクとして用いて、前駆磁性層パターン51ABYの延在面に対する垂線P1から比較的小さい角度、例えば角度(照射角度)θ3=約37.5°±7.5°をなす方向からイオンビームを照射しながら前駆磁性層パターン51ABYに対してエッチング処理を施す。このエッチング処理により、図41に示したように、対応部分51ABZ1を含む前駆磁性層パターン51ABZが選択的に形成される。エッチング速度が遅いバッファ層52および幅広の被覆層53を介して、斜め上方から前駆磁性層パターン51ABYにイオンビームが照射されることにより、対応部分51ABY1の側面部に対するエッチング量が下方に向かうにしたがって減少するため、対応部分51ABZ1は、上端が幅W1、下端がW6より小さいW2をなし、その幅がギャップ層9に近づくにしたがって小さくなるように形成される。特に、対応部分51ABZ1の側端面は、例えば、凸状に湾曲する
【0145】
最後に、上記第1の実施の形態において図30に示した場合と同様に、機械加工や研磨工程により前駆磁性層パターン51ABZを研磨することにより、図37に示したように、側端縁G4が凸状に湾曲した露出面20Eが形成される。
【0146】
この場合には、主に、幅広の被覆層53の存在により、イオンビームの照射角度θ2を比較的大きくする必要がなく、比較的小さな照射角度θ3でイオンビームを照射した場合においても前駆磁性層パターン51ABYにアンダーカットが施される。したがって、ドライエッチング処理を利用した場合においても、比較的簡略なエッチング条件において前駆磁性層パターン51ABZを形成することが可能になり、多様な構造的特徴を有する薄膜磁気ヘッドをより容易に製造することができる。
【0147】
なお、露出面20Eの側端縁G4は必ずしも凸状に湾曲しなければならないものではなく、例えば、凹状に湾曲するようにしてもよい。
【0148】
《変形例2−2》
また、例えば、上記第1の実施の形態における《変形例1−4》において説明した露出面20E(図10参照)は、ウェットエッチングを利用して形成可能である。図42および図43は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に対する他の変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明するものであり、図33〜図35に対応している。
【0149】
図10に示した露出面20Eは、以下の手順により形成可能である。すなわち、まず、上記《変形例2−1》において図38および図39に示した形成工程を利用して、図42に示したように、前駆磁性層パターン51ABYに対応する前駆磁性層パターン61ABYおよびバッファ層52に対応するバッファ層62を形成する。前駆磁性層パターン61ABYは、対応部分61ABY1を含むように形成される
【0150】
続いて、図42に示したように、例えばスパッタリングにより、例えばアルミナ等の高耐食性を有する非磁性材料を用いて、全体に被覆層63を形成する。被覆層63を形成する際には、例えば、上記《変形例2−1》において被覆層53を形成した場合とは異なり、前駆磁性層パターン61ABYの上方部分の周囲を覆う被覆層63の厚みが薄くなるように、成膜時間を比較的短めに調整するようにする
【0151】
続いて、前駆磁性層パターン61ABYのみを選択的に溶解可能なエッチャントEに、先工程までに形成した前駆磁性層パターン61ABYを含む形成物を浸漬させることにより、バッファ層62および被覆層63をマスクとして用いて、前駆磁性層パターン61ABYに対してウェットエッチング処理を施す。エッチャントEとしては、例えば、前駆磁性層パターン61ABYがパーマロイ等の鉄系合金よりなる場合には、第2塩化鉄水溶液を用いるようにする。このエッチング処理により、前駆磁性層パターン61ABYのうち、エッチャントEに不溶なアルミナ等よりなる被覆層63により覆われていない下方部分のみが局所的にエッチングされ、図43に示したように、対応部分61ABZ1を含む前駆磁性層パターン61ABZが形成される。対応部分61ABZ1は、上端が幅W1、下端がW6より小さいW2をなし、図10に示した露出面20Eに対応する断面形状を有するように形成される。なお、ウェットエッチング時には、エッチング量を調整するために、例えば、エッチャントEの組成、濃度および浸漬時間等を調整するようにする
【0152】
最後に、上記第1の実施の形態において図30に示した場合と同様に、機械加工や研磨工程により前駆磁性層パターン51ABZを研磨して露出面20Eを形成することにより、図10に示した構成の露出面20Eが形成される。
【0153】
この場合には、ウェットエッチング処理を利用することにより、ドライエッチング処理を利用した場合よりも、前駆磁性層パターン61ABYに対して局所的に顕著なアンダーカットが施されることとなるため、顕著なアンダーカット構造を有する前駆磁性層パターン61ABZが形成される。したがって、ドライエッチング処理では形成が困難な構造をなす前駆磁性層パターン61ABZを形成することが可能となり、より多様な構造的特徴を有する薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0154】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。すなわち、上記各実施の形態で示した薄膜磁気ヘッドの構成やその製造方法に係る詳細等は、必ずしも上記各実施の形態において説明したものに限られるものではなく、(1)露出面における媒体流出側の端縁の幅が媒体流入側の端縁の幅よりも大きく、かつ、媒体流出側の端縁の幅がこの端縁および媒体流入側の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上であるか、または、(2)下部磁極部分層がエアベアリング面から離れた位置から延在し、かつ、上部磁極部分層の膜厚に対応する一端面が露出面をなすように主磁極を構成することにより、この主磁極の構成に基づいて垂直磁界量の強度を確保し、薄膜磁気ヘッドの記録性能を向上させることが可能な限り、自由に変更可能である。
【0155】
具体的には、例えば、上記第1の実施の形態において説明した2段階形成法および上記第2の実施の形態において説明したドライエッチング法を併用して、例えば、図44および図45に示したように、上記各実施の形態において示した構成以外の特徴的な各種構成を有する磁極部分層を形成することも可能である。図44および図45は、磁極部分層の構成に関する他の変形例を表すものであり、いずれも図36に対応している。
【0156】
図44では、例えば、2段階形成法を利用して下部磁極部分層71A(先端部71A1,後端部71A2)および上部磁極部分層71B(先端部71B1,後端部71B2)を形成する際、下部磁極部分層71Aの形成手法としてドライエッチング法を利用した場合について示している。下部磁極部分層71Aは、例えば図36に示した磁極部分層41ABと同様の構成をなし、上部磁極部分層71Bは、例えば図2に示した上部磁極部分層12Bと同様の構成をなしている。露出面20Eは、矩形と逆台形とが組み合わされた六角形状をなす。この場合においても、上記各実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。なお、図44に示したバッファ層72は、図36に示したバッファ層42に対応するものである。
【0157】
図45では、例えば、図44に示した下部磁極部分層71Aおよび上部磁極部分層71Bを形成する際、下部磁極部分層71Aの下方に追加磁極部分層71D(先端部71D1,後端部71D2)を形成する工程を追加した場合について示している。この追加磁極部分層71Dは、エアベアリング面20からリセスしている点を除き、例えば、上部磁極部分層71Bとほぼ同様の構成をなしている。
露出面20Eは、図44に示した場合と同様に六角形状をなす。この場合においても、上記各実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0158】
また、上記の他、図46〜図51に示した構成をなすように磁極部分層を形成してもよい。図46,図48,図50は、磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表すものであり、いずれも図18に対応している。図47,図49,図51は、それぞれ図46,図48,図50に示した磁極部分層のうちの要部(先端部)の露出面および断面の構成を表すものであり、各図中の(A)〜(F)は図46,図48,図50中に示した位置A〜Fに対応している。
【0159】
図46に示した磁極部分層12ABでは、例えば、先端部12AB1の露出面20Eは、図47(A)に示したように、図17に示した場合と同様に逆台形状をなしており、露出面20Eに平行な先端部12AB1の断面Mの形状は、図47(B)〜(F)に示したように、長さ方向(図中のY軸方向)における位置B〜Fにおいて、露出面20Eに近づくにしたがって面積が次第に小さくなるように変化している。すなわち、例えば、断面Mは、媒体流出側に位置する上端縁D1(第1の断面端縁)と、媒体流入側に位置する下端縁D2(第2の断面端縁)と、幅方向に位置する側端縁D3とを有しており、上端縁D1の幅W7またはその両端の角度(例えば上端縁D1と側端縁D3とがなす角度)γの少なくとも一方が露出面20Eに近づくにしたがって小さくなっている。断面Mにおける上端縁D1を底辺とする高さVは、例えば、露出面20Eからの距離によらず、位置A〜Fにおいて一定である。なお、具体的な寸法例としては、上端縁G1の幅W1(図47(A))が0.15μm、上端縁D1の幅W7(図47(B)〜(F))が図47(B)〜(F)の順に0.15μm,0.15μm,0.18μm,0.20μm,0.22μmであり、角度γ(図47(A))が81°,角度γ(図47(B)〜(F))が図47(B)〜(F)の順に82°,83°,85°,87°,87°である。上記寸法例において、露出面20E近傍における上端縁D1の幅Wを一定(0.15μm)にしているのは、研磨加工等を使用して露出面20Eを含むエアベアリング面を形成した際に、研磨量に多少の誤差が生じたとしても、記録トラック幅を規定することとなる目標幅(0.15μm)を担保するためである。このため、例えば、上端縁D1の幅Wを一定とする区間は、エアベアリング面の形成時における形成誤差(研磨誤差)に基づいて決定されるのが好ましい。
【0160】
図48に示した磁極部分層12ABは、例えば、先端部12AB1のうちの前方側下方部が選択的に除去された構成をなしており、図49(A)に示したように、先端部12AB1の露出面20Eは逆三角形状をなしているが、露出面20Eに平行な先端部12AB1の断面Mの形状は、図49(B)〜(D)に示したように、長さ方向(図中のY軸方向)における位置B〜Dにおいて、露出面20Eに近づくにしたがって面積が次第に小さくなるように変化している。すなわち、例えば、断面Mにおける上端縁D1の幅W7は位置によらず一定であり、下端縁D2の幅W8は露出面20Eに近づくにしたがって小さくなっている。より具体的には、断面Mの形状は、露出面20Eに近づくにしたがって、矩形(図49(D))から逆台形(図49(C))を経て逆三角形(図49(B))に変化しており、特に、断面Mにおける上端縁D1を底辺とする高さVは、断面Mが逆三角形状をなす区間において、露出面20Eに近づくにしたがって媒体流出側に小さくなっている。
【0161】
図50に示した磁極部分層12ABは、例えば、露出面20Eに平行な先端部12AB1の断面Mの形状が、矩形(図51(D))から、矩形と逆台形とが組み合わされてなる六角形(図51(C))を経て、矩形と逆三角形とが組み合わされてなる五角形(図51(B))に変化している点を除き、図48に示した場合と同様の構成的特徴を有するものである。すなわち、図50に示した磁極部分層12ABにおいても、断面Mにおける上端縁D1を底辺とする高さVは、断面Mが五角形をなす区間において、露出面20Eに近づくにしたがって媒体流出側に小さくなっている。
【0162】
なお、図46〜図51に示した一連の磁極部分層12ABの断面Mは、例えば、上記実施の形態において説明した露出面20Eと同様の構成的特徴を有している。すなわち、上端縁D1の幅W7は、下端縁D2の幅W8よりも大きく、かつ上端縁D1および下端縁D2の間の任意の中間位置における断面Mの幅W9以上となっている。
【0163】
図46〜図51に示した一連の磁極部分層12ABは、主に、上記第2の実施の形態において説明したドライエッチング法を使用して、そのエッチング範囲ならびにエッチング量等の条件を調整することにより形成可能である。具体的には、例えば、上記第2の実施の形態において説明したように、前駆磁性層パターン41ABYをエッチングする際、幅広の後方部分の存在によりエッチング時に影となる部分が生じ、これにより場所によってエッチング量に差異が生じることを利用すれば、その後方部分の形状や大きさを調整して意図的にエッチング量を制御することにより、図46〜図51に示したような特徴的な構成をなすように磁極部分層12ABを形成可能となる。なお、エッチング量を制御可能な後方部分の形状に関するパラメータとしては、例えば、図46,図48,図50に示した磁極部分層12ABの幅が広がり始める部分の角度、すなわち磁極部分層12ABの延在方向(図中のY軸方向)に対して後端部12AB2の前方側の側端縁がなす角度δ(フレア角度)が挙げられる。このフレア角度δは、例えば、45°〜90°、好ましくは60°である。これらの図46〜図51に示したいずれの場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0164】
なお、本発明では、特に、下部磁極部分層および上部磁極部分層の構成や先端面の形状は、必ずしも上記実施の形態や変形例等に示した構造的特徴を精密に有していなければならないわけではなく、薄膜磁気ヘッドの記録性能の向上に係る効果を得ることが可能な限りにおいて、辺部に多少の歪みを有していてもよいし、あるいは角部に多少の丸みを有していてもよい。
【0165】
また、上記各実施の形態では、図1に示したように、ギャップ層部分9C上に下部磁極部分層12Aおよび上部磁極部分層12Bがこの順に積層され、薄膜磁気ヘッドに対して記録媒体が相対的に上方(進行方向B)に向かって進行するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図52に示したように、記録媒体が下方(進行方向B)に向かって進行し、この記録媒体の進行方向に対応して、ギャップ層部分9C上に上部磁極部分層12Bおよび下部磁極部分層12Aがこの順に積層されるようにしてもよい。この場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0166】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明したが、本発明は、例えば、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや、記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。また、本発明は、書き込み用の素子および読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドについても適用可能である。
【0167】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドによれば、トラック幅規定部分の露出面における第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上であるようにしたので、磁束の放出路となる露出面の面積が十分に確保されると共に、トラック幅規定部分に流入した磁束は、露出面のうち、主要な磁束の放出路となる、より幅が広い第1の端縁側に集中する。したがって、記録媒体対抗面まで必要十分な磁束が供給されるため、垂直磁界の強度を確保し、記録性能を向上させることができる。また、スキュー発生時における記録トラック幅の増大を回避することもできる。特に、露出面の第2の領域の幅が第2の端縁からの距離によらず一定となるようにすれば、第2の領域の幅が第2の端縁に近づくにしたがって小さくなる場合とは異なり、形成時の厚み誤差によりトラック幅規定部分の形成厚みが目標厚みよりも薄くなったとしても、記録トラック幅を規定することとなる、露出面における第1の端縁の幅が一定に維持される。したがって、記録トラック幅をばらつきなく規定することができる。
【0169】
また、請求項11ないし請求項13記載のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、トラック幅規定部分の露出面における第1の端縁の幅が第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、第1の端縁の幅が第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における露出面の幅以上となるように第2の磁性層を形成したので、記録性能の向上について利点を有する本発明の垂直磁気記録ヘッドを、既存の製造技術を利用して容易に製造することができる。
【0170】
また、請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、ギャップ層上に2つの前駆磁性膜を順次積層したのち、これらの2つの前駆磁性膜を加工して記録媒体対向面を形成することにより、記録媒体対向面に露出した第1の露出面を有する第1の磁性膜と記録媒体対向面に露出した第2の露出面を有する第2の磁性膜とがこの順に積層された積層構造をなすように第2の磁性層を形成したので、第1の磁性膜の構造と第2の磁性膜の構造とをそれぞれ独立して設定することが可能になる。したがって、第1の磁性膜および第2の磁性膜のそれぞれの構造の自由度を大きくし、多様な構造的特徴を有するように、本発明の垂直磁気記録ヘッドを製造することができる。
【0172】
また、請求項17ないし請求項19のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、ギャップ層上に形成した第1の前駆磁性層パターンのうち、ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように所定の非磁性材料を用いて被覆層を形成し、この被覆層をマスクとして用いて、第1の前駆磁性層パターンの延在面に対して直交する方向から所定の角度をなすような方向からイオンビームを照射しながら第1の前駆磁性層パターンを選択的にドライエッチングすることにより第2の前駆磁性層パターンを形成したのち、この第2の前駆磁性層パターンを加工して記録媒体対向面を形成することにより、トラック幅規定部分が露出面を構成することとなるように第2の磁性層を形成したので、被覆層の存在により、第1の前駆磁性層パターンの延在面に対して直交する方向から比較的大きな角度をなすような方向からイオンビームを照射する必要がなく、比較的小さな角度をなすような方向からイオンビームを照射することにより第1の前駆磁性層パターンにアンダーカットが施される。したがって、ドライエッチング処理を利用した場合においても、比較的簡略なエッチング条件において第2の磁性層を形成することが可能になり、多様な構造的特徴を有する本発明の垂直磁気記録ヘッドをより容易に製造することができる。
【0173】
また、請求項20ないし請求項24のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、ギャップ層上に形成した第1の前駆磁性層パターンのうち、ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように所定の非磁性材料を用いて被覆層を形成し、この被覆層をマスクとして所定のエッチャントを用いたウェットエッチングにより、第1の前駆磁性層パターンにおけるギャップ層に近い側の部分を選択的にエッチングすることにより第2の前駆磁性層パターンを形成したのち、この第2の前駆磁性層パターンを加工して記録媒体対向面を形成することにより、トラック幅規定部分が記録媒体対向面に露出した露出面を有することとなるように第2の磁性層を形成するようにしたので、ウェットエッチング処理を利用することにより、ドライエッチング処理を利用した場合よりも、第2の前駆磁性層パターンに対して顕著なアンダーカットが施されることとなり、顕著なアンダーカット構造を有する第2の磁性層が形成される。したがって、ドライエッチング処理では形成が困難な構造をなすように第2の磁性層を形成することが可能となり、より多様な構造的特徴を有するように、本発明の垂直磁気記録ヘッドを製造することができる。
【0178】
また、請求項記載の垂直磁気記録ヘッドまたは請求項12記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、露出面における第2の領域の側端縁と第1の端縁との間の角度が70°以上、かつ90°よりも小さい範囲内となるようにしたので、露出面のうち、主要な磁束の放出路となる第2の領域の幅を第2の端縁に近づくにしたがって小さくなるようにした場合においても、第2の領域の面積が十分に確保される。したがって、この観点においても、垂直磁界の強度の確保に寄与することができる。
【0179】
また、請求項記載の垂直磁気記録ヘッドによれば、第1および第2の磁性膜のうち、第2の磁性膜が露出面を構成するようにしたので、第1の磁性膜は記録媒体対向面から後退することとなり、第1の磁性膜内を記録媒体対向面に向かって流れる磁束は、記録媒体対向面近傍において第2の磁性膜に円滑に流入することとなる。したがって、記録媒体対向面近傍において、主要な磁束の放出部分となる第2の磁性膜に磁束が集中するため、垂直磁界の強度をより大きくすることができる。
【0180】
また、請求項記載の垂直磁気記録ヘッドによれば、第2の磁性膜が第1の磁性膜よりも大きい飽和磁束密度を有するようにしたので、第1の磁性膜および第2の磁性膜の内部を流れる磁束は、主要な磁束の放出部分となる第2の磁性膜に集中する。したがって、この観点においても、垂直磁界の強度の確保に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部の斜視構成を拡大して表す斜視図である。
【図3】図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部の露出面の平面構成を拡大して表す平面図である。
【図4】図3に示した露出面に対する比較例としての露出面の平面構成を表す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについての利点を説明するための平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例としての薄膜磁気ヘッドについての欠点を説明するための平面図である。
【図7】露出面の構成に関する変形例を表す平面図である。
【図8】露出面の構成に関する他の変形例を表す平面図である。
【図9】露出面の構成に関するさらに他の変形例を表す平面図である。
【図10】露出面の構成に関するさらに他の変形例を表す平面図である。
【図11】露出面の構成に関するさらに他の変形例を表す平面図である。
【図12】露出面の構成に関するさらに他の変形例を表す平面図である。
【図13】下部磁極部分層の構成に関する変形例を表す斜視図である。
【図14】下部磁極部分層の構成に関する他の変形例を表す斜視図である。
【図15】下部磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表す斜視図である。
【図16】下部磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表す斜視図である。
【図17】露出面の構成に関するさらに他の変形例を表す平面図である。
【図18】下部磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表す斜視図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図20】図19に続く工程を説明するための断面図である。
【図21】図20に続く工程を説明するための断面図である。
【図22】図21に続く工程を説明するための断面図である。
【図23】図22に続く工程を説明するための断面図である。
【図24】図23に続く工程を説明するための断面図である。
【図25】図19に示した断面図に対応する平面図である。
【図26】図20に示した断面図に対応する平面図である。
【図27】図22に示した断面図に対応する平面図である。
【図28】図23に示した断面図に対応する平面図である。
【図29】図24に示した断面図に対応する平面図である。
【図30】図29に続く工程を説明するための平面図である。
【図31】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法についての利点を説明するための平面図である。
【図32】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に対する変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法についての問題点を説明するための平面図である。
【図33】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図34】図33に続く工程を説明するための断面図である。
【図35】図34に続く工程を説明するための断面図である。
【図36】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部の斜視構成を表す斜視図である。
【図37】露出面の構成に関するさらに他の変形例を表す平面図である。
【図38】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図39】図38に続く工程を説明するための断面図である。
【図40】図39に続く工程を説明するための断面図である。
【図41】図40に続く工程を説明するための断面図である。
【図42】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する他の変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図43】図42に続く工程を説明するための断面図である。
【図44】磁極部分層の構成に関する変形例を表す斜視図である。
【図45】磁極部分層の構成に関する他の変形例を表す斜視図である。
【図46】磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表す斜視図である。
【図47】図46に示した磁極部分層のうちの要部の露出面および断面の構成を表す図である。
【図48】磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表す斜視図である。
【図49】図48に示した磁極部分層のうちの要部の露出面および断面の構成を表す図である。
【図50】磁極部分層の構成に関するさらに他の変形例を表す斜視図である。
【図51】
50に示した磁極部分層のうちの要部の露出面および断面の構成を表す図である。
【図52】薄膜磁気ヘッドの構成に関する変形例を表す図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4…シールドギャップ膜、5…MR素子、6…上部シールド層、7…非磁性層、8…補助磁極、9…ギャップ層、9A,9B,9C…ギャップ層部分、10…薄膜コイル、11…連結部、12…主磁極、12A,71A…下部磁極部分層、12A1,12B1,12AB1,71A1,71B1,71D1…先端部、12A2,12B2,12AB2,71A2,71B2,71D2…後端部、12AB…磁極部分層、12AX,12AY,12BY,41ABY,41ABZ,51ABY,51ABZ,61ABY,61ABZ…前駆磁性層パターン、12AX1,12AY1,12BY1,41ABY1,41ABZ1、51ABY1,51ABZ1,61ABY1,61ABZ1…対応部分、12B,71B…上部磁極部分層、12BX,41ABX,51ABX…前駆磁性層、12C…ヨーク部分層、13…埋込層、14,42,52,72…バッファ層、15…オーバーコート層、20…エアベアリング面、20E…露出面、20ER…リセス面、30…フレームパターン、42X…前駆バッファ層、43…マスク、53,63…被覆層、71D…追加磁極部分層、100A…再生ヘッド、100B…記録ヘッド、B…記録媒体の進行方法、D3…側端縁、E…エッチャント、F1,F2…領域、G1,D1…上端縁、G2,D2…下端縁、G3,G4…側端縁、H…記録媒体の円周接線方向、M…断面、N…連結位置、P1…垂線、P2…中心線、S1,S2,S3,S4,S5,S6…断面積、TW2…記録トラック幅、θ1,θ2,θ3…照射角度、ω…スキュー角度。

Claims (24)

  1. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドであって、
    前記第2の磁性層は、
    前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含み、
    前記露出面は、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上であると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅が前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、前記第2の領域の幅が前記第2の端縁からの距離によらず一定であり、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における幅寸法が不連続となっている
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  2. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドであって、
    前記第2の磁性層は、
    前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含み、
    前記露出面は、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上であると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅および前記第2の領域の幅がそれぞれ前記第2の端縁からの距離によらず一定である
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  3. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドであって、
    前記第2の磁性層は、
    前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含み、
    前記露出面は、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上であると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅および前記第2の領域の幅がそれぞれ前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における幅寸法が不連続となっている
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  4. 前記露出面における前記第2の領域の側端縁と前記第1の端縁との間の角度が、70度以上、かつ90度よりも小さい
    ことを特徴とする請求項3記載の垂直磁気記録ヘッド。
  5. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドであって、
    前記第2の磁性層は、
    前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含み、
    前記露出面は、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上であると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅が前記第2の端縁からの距離によらず一定であり、かつ、前記第2の領域の幅が前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなっている
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  6. 前記トラック幅規定部分は、前記記録媒体対向面に平行な断面の面積が前記記録媒体対向面からの距離によらず一定である部分を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  7. 前記トラック幅規定部分は、前記媒体流入側から順に、第1の磁性膜と第2の磁性膜とを積層して構成されており、
    前記第1および第2の磁性膜の双方が、前記露出面を構成している
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  8. 前記トラック幅規定部分は、前記媒体流入側から順に、第1の磁性膜と第2の磁性膜とを積層して構成されており、
    前記第1および第2の磁性膜のうち、前記第2の磁性膜のみが、前記露出面を構成している
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  9. 前記第2の磁性膜は、前記第1の磁性膜よりも大きい飽和磁束密度を有する
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  10. 前記ギャップ層は、前記記録媒体対向面における前記第2の磁性層の厚みよりも大きい厚みを有する
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  11. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドの製造方法であって、
    前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含むこととなるように、前記第2の磁性層を形成する工程を含み、
    前記露出面が、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上となると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅および前記第2の領域の幅がそれぞれ前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における幅寸法が不連続となる
    ようにしたことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  12. 前記トラック幅規定部分の前記露出面における前記第2の領域の側端縁と前記第1の端縁との間の角度が、70度以上、かつ90度よりも小さくなるようにする
    ことを特徴とする請求項11記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  13. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドの製造方法であって、
    前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含むこととなるように、前記第2の磁性層を形成する工程を含み、
    前記露出面が、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上となると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅が前記第2の端縁からの距離によらず一定となり、かつ、前記第2の領域の幅が前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなる
    ようにしたことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  14. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備えた垂直磁気記録ヘッドの製造方法であって、
    前記ギャップ層上に2つの前駆磁性膜を順次積層する工程と、
    これらの2つの前駆磁性膜を加工して前記記録媒体対向面を形成することにより、前記記録媒体対向面に露出した第1の露出面を有する第1の磁性膜と、前記記録媒体対向面に露出した第2の露出面を有する第2の磁性膜とがこの順に積層された積層構造をなすように、前記第2の磁性層を形成する工程と
    を含み、
    前記第2の露出面が、前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁を有すると共に、前記第1の露出面が、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁を有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上であると共に、
    前記第1の露出面の幅が前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、前記第2の露出面の幅が前記第2の端縁からの距離によらず一定であり、前記第1の露出面と前記第2の露出面との境界部における幅寸法が不連続となる
    ようにしたことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  15. 前記第1の磁性膜を形成する工程は、
    フォトリソグラフィ処理を用いてフォトレジスト膜をパターニングすることにより、前記ギャップ層上に、開口を有するフレームパターンを形成する工程と、
    このフレームパターンをマスクとして用いて、前記開口にめっき膜を選択的に成長させることにより、前記第1の磁性膜を形成する工程と
    を含むことを特徴とする請求項14記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  16. 前記開口における前記フレームパターンの内壁面を前記ギャップ層の延在面に対して傾斜させることにより、前記ギャップ層に近い側から遠い側に向かって開口が広がるように、前記フレームパターンを形成する
    ことを特徴とする請求項15記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  17. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備え、前記第2の磁性層が、前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含む垂直磁気記録ヘッドの製造方法であって、
    前記ギャップ層上に、前記トラック幅規定部分に対応する部分の断面の幅が前記ギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、前記第2の磁性層の前準備層としての第1の前駆磁性層パターンを形成する工程と、
    この第1の前駆磁性層パターンのうち、前記ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように、所定の非磁性材料を用いて被覆層を形成する工程と、
    この被覆層をマスクとして用いて、前記第1の前駆磁性層パターンの延在面に対して直交する方向から所定の角度をなすような方向からイオンビームを照射しながら前記第1の前駆磁性層パターンを選択的にドライエッチングすることにより、前記トラック幅規定部分に対応する部分の断面の側端が湾曲するように、第2の前駆磁性層パターンを形成する工程と、
    この第2の前駆磁性層パターンを前記露出面の方向から研磨して前記記録媒体対向面を形成することにより、前記トラック幅規定部分が前記露出面を構成することとなるように、前記第2の磁性層を形成する工程と
    を含み、
    前記トラック幅規定部分の前記露出面が、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上となると共に、
    前記露出面の幅が、前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなり、かつ、前記露出面の側端が湾曲する
    ようにしたことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  18. 前記第2の前駆磁性層パターンを形成する工程において、
    37.5°±7.5°の範囲内の角度をなすような方向からイオンビームを照射する
    ことを特徴とする請求項17記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  19. スパッタリングを用いて前記被覆層を形成する
    ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  20. 所定の進行方向に移動する記録媒体を備えた磁気記録再生装置に用いられ、
    前記記録媒体に対向する記録媒体対向面およびその近傍において互いに対向する磁極部分を有すると共に前記記録媒体対向面から離れた位置において互いに磁気的に連結された第1および第2の磁性層と、前記互いに対向する磁極部分の間に配設されたギャップ層と、前記第1および第2の磁性層の間にこれらの第1および第2の磁性層から絶縁された状態で配設された薄膜コイルとを備え、前記第2の磁性層が、前記記録媒体対向面に露出した露出面を有すると共に前記記録媒体の記録トラック幅を規定するトラック幅規定部分を含む垂直磁気記録ヘッドの製造方法であって、
    前記ギャップ層上に、前記トラック幅規定部分に対応する部分の断面の幅が前記ギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、前記第2の磁性層の前準備層としての第1の前駆磁性層パターンを形成する工程と、
    この第1の前駆磁性層パターンのうち、前記ギャップ層から遠い側の部分の周囲を覆うように、所定の非磁性材料を用いて被覆層を形成する工程と、
    この被覆層をマスクとして、所定のエッチャントを用いたウェットエッチングにより、前記第1の前駆磁性層パターンにおける前記ギャップ層に近い側の部分を選択的にエッチングすることにより、前記トラック幅規定部分に対応する部分のうちの前記ギャップ層に近い部分の断面の幅がそのギャップ層からの距離によらずに一定となり、かつ、前記ギャップ層から遠い部分の断面の幅がそのギャップ層に近づくにしたがって小さくなるように、第2の前駆磁性層パターンを形成する工程と、
    この第2の前駆磁性層パターンを前記露出面の方向から研磨して前記記録媒体対向面を形成することにより、前記トラック幅規定部分が前記露出面を構成することとなるように、前記第2の磁性層を形成する工程と
    を含み、
    前記トラック幅規定部分の前記露出面が、
    前記進行方向における媒体流出側に位置する第1の端縁と、前記進行方向における媒体流入側に位置する第2の端縁とを有し、前記第1の端縁の幅が前記第2の端縁の幅よりも大きく、かつ、前記第1の端縁の幅が前記第1および第2の端縁の間の任意の中間位置における前記露出面の幅以上となると共に、
    前記媒体流入側の第1の領域と、前記媒体流出側の第2の領域とを含み、前記第1の領域の幅が前記第2の端縁からの距離によらず一定となり、かつ、前記第2の領域の幅が前記第2の端縁に近づくにしたがって小さくなる
    ようにしたことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  21. スパッタリングを用いて前記被覆層を形成する
    ことを特徴とする請求項20記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  22. 前記非磁性材料として、前記前駆磁性層パターンよりもエッチング速度が遅いものを用いる
    ことを特徴とする請求項20または請求項21に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  23. 前記非磁性材料として、酸化アルミニウムを用いる
    ことを特徴とする請求項22記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  24. 前記エッチャントとして、第2塩化鉄水溶液を用いる
    ことを特徴とする請求項20ないし請求項23のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
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