JP2005018918A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに磁気記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とを互いに別々の工程で形成することにより、これらの先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれるようにする。フォトリソグラフィ処理を使用して主磁極層20を形成するためのフォトレジストパターンを形成する際に、フォトレジスト膜中において、狭幅の先端磁極層11に対応する小面積領域の露光範囲が広幅の後端磁極層12に対応する大面積領域の露光の影響を受けて拡大しにくくなるため、最終的に延在方向において一律な幅W1となるように先端磁極層11が高精度に形成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも記録用の誘導型磁気変換素子を備えた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびに上記した薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えばハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、単に「記録媒体」という。)の面記録密度の向上に伴い、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。この薄膜磁気ヘッドの記録方式としては、例えば、信号磁界の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)にする長手記録方式や、信号磁界の向きを記録媒体の面と直交する方向にする垂直記録方式が知られている。現在のところは長手記録方式が広く利用されているが、面記録密度の向上に伴う市場動向を考慮すれば、今後は長手記録方式に代わり垂直記録方式が有望視されるものと想定される。なぜなら、垂直記録方式では、高い線記録密度を確保可能な上、記録済みの記録媒体が熱揺らぎの影響を受けにくいという利点が得られるからである。
【0003】
垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドは、主に、記録用の磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を記録媒体に向けて放出することにより記録処理を実行する磁極層とを備えている。この磁極層の構成としては、例えば、主磁極層がヨーク層に部分的に乗り上げて磁気的に連結されたものや(例えば、特許文献1参照。)、主磁極層のトレーリング側にポールチップが配置されて磁気的に連結されたものなどが既に知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−197611号公報
【特許文献2】
特開2003−036503号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁極層は、一般に、エアベアリング面から後方に向かって延在し、記録媒体の記録トラック幅を画定する一定幅を有するトラック幅画定部分と、このトラック幅画定部分の後方に連結され、トラック幅画定部分の幅よりも大きな幅を有する拡幅部分とを含んで構成されている。この磁極層の幅がトラック幅画定部分から拡幅部分へ拡がる位置は、薄膜磁気ヘッドの性能を決定する重要な因子のうちの1つである「フレアポイント」であり、このフレアポイントとエアベアリング面との間の距離は「ネックハイト」である。垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドを安定に量産するためには、例えば、実質的に記録処理を実行する主要部分であるトラック幅画定部分を可能な限り高精度に形成する必要がある。
【0006】
しかしながら、狭幅のトラック幅画定部分と広幅の拡幅部分とを含む磁極層を一括して形成しようとすると、フォトリソグラフィ処理を使用して磁極層を形成するためのフォトレジストパターンを形成する際に、フォトレジスト膜中において、拡幅部分に対応する大面積領域の露光量がトラック幅画定部分に対応する小面積領域の露光量よりも著しく大きくなるため、小面積領域の露光範囲が大面積領域の露光の影響を受けて拡大しやすくなり、結果として、延在方向において一律な幅となるようにトラック幅画定部分を高精度に形成することが困難になるという問題があった。この問題は、特に、フレアポイントをエアベアリング面へ近づけることによりネックハイトを小さくし、すなわちトラック幅規定部分の長さを小さくするほど顕著になる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、磁極層を高精度に形成し、薄膜磁気ヘッドを安定に量産することが可能な薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造され、記録性能を安定に確保することが可能な薄膜磁気ヘッドを提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の第3の目的は、本発明の薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層とを備えたものであり、磁極層が、記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって記録トラック幅を画定する一定幅をもって延在する第1の磁極層部分と、この第1の磁極層部分の後方に磁気的に連結され、第1の磁極層部分よりも大きな幅を有する第2の磁極層部分とを含み、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一面内に含まれているものである。
【0011】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、磁極層を構成する第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一平面内に含まれているため、この特徴的な構成を有する磁極層を形成するために本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法を適用することが可能となり、量産性が安定に得られる。
【0012】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法は、磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層とを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であり、磁極層を形成する工程が、記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって記録トラック幅を画定する一定幅をもって延在するように第1の磁極層部分を形成する第1の工程と、第1の磁極層部分の後方に磁気的に連結され、第1の磁極層部分よりも大きな幅を有するように第2の磁極層部分を形成する第2の工程とを互いに別々の工程として含み、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一面内に含まれるようにしたものである。
【0013】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、磁極層を構成する第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別々の工程において形成されることにより、これらの第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一平面内に含まれるようになる。これにより、フォトリソグラフィ処理を使用して磁極層を形成するためのフォトレジストパターンを形成する際に、フォトレジスト膜中において、狭幅の第1の磁極層部分に対応する小面積領域の露光範囲が広幅の第2の磁極層部分に対応する大面積領域の露光の影響を受けて拡大しにくくなる。
【0014】
本発明に係る磁気記録装置は、記録媒体と、この記録媒体に磁気的に情報を記録する薄膜磁気ヘッドとを有し、この薄膜磁気ヘッドが、磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層とを備えたものであり、磁極層が、記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって記録トラック幅を画定する一定幅をもって延在する第1の磁極層部分と、この第1の磁極層部分の後方に磁気的に連結され、第1の磁極層部分よりも大きな幅を有する第2の磁極層部分とを含み、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一面内に含まれているものである。
【0015】
本発明に係る磁気記録装置では、上記した本発明に係る薄膜磁気ヘッドを搭載しているため、量産性が安定に得られる。
【0016】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに直接接触して隣接していてもよいし、あるいは互いにシード層を介して間接的に隣接していてもよい。この場合には、第1の磁極層部分が第2の磁極層部分よりも高い飽和磁束密度を有しているのが好ましいと共に、第1の磁極層部分の延在方向と第2の磁極層部分のうちの第1の磁極層部分に対して両側に位置する前端縁とのなす角度が25°以上90°以下の範囲内であるのが好ましい。特に、磁極層が記録媒体をその表面と直交する方向に磁化させるための磁束を放出するように構成されていてもよい。
【0017】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の工程において一定幅を規定し、第2の工程において磁極層の幅が第1の磁極層部分から第2の磁極層部分へ拡がる拡幅位置を規定するのが好ましい。
【0018】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに直接接触して隣接するように磁極層を形成してもよい。この場合には、磁極層を形成する工程が、第2の磁極層部分をパターン形成することにより、その第2の磁極層部分の前端において磁極層の幅が第1の磁極層部分から第2の磁極層部分へ拡がる拡幅位置を規定する工程と、一定幅に対応する一定幅を有する部分が第2の磁極層部分の前方領域からその第2の磁極層部分に部分的に乗り上げるように前駆磁極層をパターン形成することにより、その前駆磁極層のうちの一定幅を有する部分において一定幅を規定する工程と、第2の磁極層部分および前駆磁極層と共にそれらの周辺領域を覆うように絶縁層を形成する工程と、少なくとも第2の磁極層部分が露出するまで絶縁層と共に第2の磁極層部分および前駆磁極層を平坦化し、前駆磁極層のうちの第2の磁極層部分に乗り上げた部分を選択的に除去することにより、第2の磁極層部分に直接接触して隣接するように第1の磁極層部分を形成する工程とを含むようにするのが好ましい。
【0019】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いにシード層を介して間接的に隣接するように磁極層を形成してもよい。この場合には、磁極層を形成する工程が、第2の磁極層部分をパターン形成することにより、その第2の磁極層部分の前端において磁極層の幅が第1の磁極層部分から第2の磁極層部分へ拡がる拡幅位置を規定する工程と、第2の磁極層部分およびその周辺領域を覆うようにシード層を形成する工程と、このシード層を使用してめっき膜を成長させ、一定幅に対応する一定幅を有する部分がシード層上を第2の磁極層部分の前方領域からその第2の磁極層部分に部分的に乗り上げるように前駆磁極層をパターン形成することにより、その前駆磁極層のうちの一定幅を有する部分において一定幅を規定する工程と、第2の磁極層部分および前駆磁極層と共にそれらの周辺領域を覆うように絶縁層を形成する工程と、少なくとも第2の磁極層部分が露出するまで絶縁層と共に第2の磁極層部分および前駆磁極層を平坦化し、前駆磁極層のうちの第2の磁極層部分に乗り上げた部分を選択的に除去することにより、第2の磁極層部分にシード層を介して間接的に隣接するように第1の磁極層部分を形成する工程とを含むようにするのが好ましい。特に、第2の磁極層部分をパターン形成する工程において、前端面が第2の磁極層部分の延在方向に対して後方に向かって傾くように第2の磁極層部分を形成するのが好ましい。
【0020】
本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第2の磁極層部分および前駆磁極層を平坦化する手段として研磨処理を使用するようにしてもよいし、あるいはエッチング処理を使用するようにしてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。図1は薄膜磁気ヘッドの断面構成を表しており、(A)はエアベアリング面に平行な断面を示し、(B)はエアベアリング面に垂直な断面を示している。また、図2は図1に示した薄膜磁気ヘッドの主要部の平面構成を表している。なお、図1に示した矢印Mは、薄膜磁気ヘッドに対して記録媒体(図示せず)が相対的に進行する方向(媒体進行方向)を表している。
【0023】
以下の説明では、図1および図2中に示したX軸方向の距離を「幅」、Y軸方向の距離を「長さ」、Z軸方向の距離を「厚さ)」と表記する。また、Y軸方向のうちのエアベアリング面に近い側を「前方」、その反対側を「後方」と表記する。これらの表記内容は、後述する図3以降においても同様とする。
【0024】
この薄膜磁気ヘッドは、例えば、記録・再生の双方の機能を実行可能な複合型ヘッドであり、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 O3 ・TiC)などのセラミック材料により構成された基板1上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 O3 ;以下、単に「アルミナ」という。)などの非磁性絶縁材料により構成された絶縁層2と、磁気抵抗効果(MR;Magneto−resistive )を利用して再生処理を実行する再生ヘッド部100Aと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料により構成された分離層7と、垂直記録方式の記録処理を実行する単磁極型の記録ヘッド部100Bと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されたオーバーコート層19とがこの順に積層された構成を有している。
【0025】
再生ヘッド部100Aは、例えば、下部リードシールド層3と、シールドギャップ膜4と、上部リードシールド層5とがこの順に積層された構成を有している。このシールドギャップ膜4には、記録媒体に対向する記録媒体対向面(エアベアリング面)50に一端面が露出するように、再生素子としてのMR素子6が埋設されている。
【0026】
下部リードシールド層3および上部リードシールド層5は、MR素子6を周囲から磁気的に分離するものであり、例えば、ニッケル鉄合金(NiFe(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%);以下、単に「パーマロイ(商品名)」という。)などの磁性材料により構成され、それらの厚さは約1.0μm〜2.0μmである。
【0027】
シールドギャップ膜4は、MR素子6を周囲から電気的に分離するものであり、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されている。
【0028】
MR素子6は、例えば、巨大磁気抵抗効果(GMR;Giant Magneto−resistive )またはトンネル磁気抵抗効果(TMR;Tunneling Magneto−resistive )などを利用して再生処理を実行するものである。
【0029】
記録ヘッド部100Bは、例えば、絶縁層9,13により周囲を埋設された磁極層30と、磁気的連結用の開口(バックギャップ14BG)が設けられたギャップ層14と、絶縁層18により埋設された薄膜コイル17と、ライトシールド層40とがこの順に積層された構成を有している。なお、図2では、記録ヘッド部100Bのうちの磁極層30(後述するシード層10を除く)、薄膜コイル17およびライトシールド層40のみを示している。
【0030】
磁極層30は、薄膜コイル17において発生した磁束を収容し、その磁束を記録媒体に向けて放出するものであり、エアベアリング面50から後方に向かって延在している。特に、磁極層30は、例えば、補助磁極層8と、シード層10と、主磁極層20とが積層された構成を有している。なお、絶縁層9,13は、磁極層30を周囲から電気的に分離するものであり、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されている。
【0031】
補助磁極層8は、主磁極層20の磁気ボリューム(磁束収容量)を確保するための補助的な磁束の収容部分として機能するものであり、主磁極層20のリーディング側においてエアベアリング面50から後退した位置から後方に向かって延在し、その主磁極層20にシード層10を介して磁気的に連結されている。この補助磁極層8は、例えば、主磁極層20と同様の磁性材料により構成されており、図2に示したように、幅W2を有する矩形状の平面形状を有している。
【0032】
シード層10は、後述する薄膜磁気ヘッドの製造工程においてめっき処理を行うために使用され、特に、主磁極層20(後述する先端磁極層11および後端磁極層12の双方)を形成するために使用されるものであり、例えば、後端磁極層12と同様の磁性材料により構成されている。
【0033】
主磁極層20は、主要な磁束の放出部分として機能するものであり、エアベアリング面50から後方に向かって延在している。この主磁極層20は、例えば、図2に示したように、エアベアリング面50から後方に向かって記録媒体の記録トラック幅を画定する一定幅W1(W1=約0.15μm)をもって延在する先端磁極層11(第1の磁極層部分)と、この先端磁極層11の後方に磁気的に連結され、先端磁極層11の幅W1よりも大きな幅W2(W2>W1)を有する後端磁極層12(第2の磁極層部分)とを含んでいる。これらの先端磁極層11と後端磁極層12とは互いに別体をなしており、先端磁極層11のトレーリング側の面11Mと後端磁極層12のトレーリング側の面12Mとは同一面内に含まれている。特に、先端磁極層11と後端磁極層12とは、例えば、互いに直接接触して隣接している。主磁極層20の幅が先端磁極層11(幅W1)から後端磁極層12(幅W2)へ拡がる位置は、薄膜磁気ヘッドの記録性能を決定する重要な因子のうちの1つである「フレアポイントFP(拡幅位置)」である。このフレアポイントFPとエアベアリング面50との間の距離は「ネックハイトNH」であり、例えば、約0.1μm〜1.0μmである。
【0034】
上記した「先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなしている」とは、先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別々の工程において形成されたものであり、1つの連続体(一体品)を構成していないことを意味している。また、「面11M,12Mが同一面内に含まれている」とは、面11M,12Mが同一の平面(X軸およびY軸を含む平面)の一部を構成していることを意味している。さらに、「トレーリング側」とは、図1に示した媒体進行方向Mに向かって進行する記録媒体の移動状態を1つの流れと見た場合に、その流れの流出する側(媒体進行方向側)をいい、ここでは厚さ方向(Z軸方向)における上側をいう。これに対して、流れの流入する側は「リーディング側」と呼ばれ、ここでは厚さ方向における下側をいう。
【0035】
先端磁極層11は、長さ方向(Y軸方向)においてほぼ一律な幅W1を有しており、例えば、パーマロイや鉄コバルト系合金(例えば鉄コバルト合金(FeCo)または鉄コバルトニッケル合金(FeCoNi))などにより構成されている。特に、先端磁極層11は、例えば、後端磁極層12よりも高い飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、具体的には鉄コバルト系合金により構成されている。
【0036】
後端磁極層12は、例えば、後方において一定幅W2を有し、かつ前方において先端磁極層11へ近づくにしたがって次第に幅が狭まっており、先端磁極層11と同様の磁性材料により構成されている。特に、後端磁極層12は、例えば、先端磁極層11よりも低い飽和磁束密度を有する磁性材料により構成されており、具体的にはパーマロイにより構成されている。図2に示したように、先端磁極層11の延在方向(Y軸方向)と、後端磁極層12のうちの先端磁極層11に対して両側に位置する前端縁WEとのなす角度θは、例えば、約25°以上90°以下の範囲内(25°≦θ≦90°)である。
【0037】
ギャップ層14は、磁極層30とライトシールド層40とを磁気的に分離するためのギャップを構成するものであり、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁材料により構成され、その厚さは約0.2μm以下である。
【0038】
薄膜コイル17は、記録用の磁束を発生させるものであり、例えば、バックギャップ14BGを中心としてスパイラル状に巻回する巻線構造を有し、銅(Cu)などの高導電性材料により構成されている。なお、図1および図2では、薄膜コイル17を構成する複数の巻線のうちの一部のみを示している。
【0039】
絶縁層18は、薄膜コイル17を覆って周囲から電気的に分離するものであり、バックギャップ14BGを塞がないようにギャップ層14上に配設されている。この絶縁層18は、例えば、加熱されることにより流動性を示すフォトレジスト(感光性樹脂)やスピンオングラス(SOG)などにより構成されており、その端縁近傍部分が丸みを帯びた斜面を有している。この絶縁層18の最前端の位置は、薄膜磁気ヘッドの記録性能を決定する重要な因子のうちの1つである「スロートハイトゼロ位置TP」である。このスロートハイトゼロ位置TPとエアベアリング面50との間の距離は「スロートハイトTH」であり、例えば、約0,3μm以下である。なお、図1および図2では、例えば、スロートハイトゼロ位置TPがフレアポイントFPに一致しており、すなわちスロートハイトTHとネックハイトNHとが互いに一致している場合を示している。
【0040】
ライトシールド層40は、磁極層30から放出された磁束の広がり成分を取り込み、その磁束の広がりを防止するものである。このライトシールド層40は、磁極層30のトレーリング側においてエアベアリング面50から後方に向かって延在し、エアベアリング面50に近い側においてギャップ層14により磁極層30から隔てられると共にエアベアリング面50から遠い側においてバックギャップ14BGを通じて磁極層30と隣接して磁気的に連結されている。特に、ライトシールド層40は、互いに別体をなす2つの構成要素、すなわち主要な磁束の取り込み口として機能するTH規定層15と、このTH規定層15から取り込まれた磁束の流路として機能するヨーク層16とを含んでいる。
【0041】
TH規定層15は、ギャップ層14に隣接し、エアベアリング面50からこのエアベアリング面50とバックギャップ14BGとの間の位置(より具体的にはエアベアリング面50と薄膜コイル17との間の位置)まで延在している。このTH規定層15は、例えば、パーマロイや鉄コバルト系合金などの磁性材料により構成されており、例えば、図2に示したように、磁極層30の幅W2よりも大きな幅W3(W3>W2)を有する矩形状の平面形状を有している。このTH規定層15には薄膜コイル17を埋設している絶縁層18が隣接しており、すなわちTH規定層15は絶縁層18の最前端位置(スロートハイトゼロ位置TP)を規定し、より具体的にはスロートハイトTHを規定する役割を担っている。
【0042】
ヨーク層16は、絶縁層18を覆うようにエアベアリング面50からバックギャップ14BGまで延在しており、前方においてTH規定層15に乗り上げて磁気的に連結されていると共に、後方においてバックギャップ14BGを通じて磁極層30に隣接して磁気的に連結されている。このヨーク層16は、例えば、TH規定層15と同様の磁性材料により構成されており、図2に示したように、TH規定層15と同様に幅W3を有する矩形状の平面形状を有している。
【0043】
次に、図1および図2を参照して、薄膜磁気ヘッドの動作について説明する。
【0044】
この薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録時において、図示しない外部回路を通じて記録ヘッド部100Bの薄膜コイル17に電流が流れると、その薄膜コイル17において磁束が発生する。このとき発生した磁束は、磁極層30を構成する補助磁極層8および主磁極層20に収容されたのち、主に、主磁極層20内を後端磁極層12から先端磁極層11へ流れる。この際、主磁極層20内を流れる磁束は、その主磁極層20の幅の減少に伴い、フレアポイントFPにおいて絞り込まれて集束するため、先端磁極層11のうちのトレーリング側の端縁(トレーリングエッジ)TE近傍に集中する。このトレーリングエッジTE近傍に集中した磁束が先端磁極層11から外部に放出されると、記録媒体の表面と直交する方向に記録磁界が発生し、この記録磁界により記録媒体が垂直方向に磁化されるため、記録媒体に磁気的に情報が記録される。なお、情報の記録時には、先端磁極層11から放出された磁束の広がり成分がライトシールド層40に取り込まれるため、その磁束の広がりが防止される。このライトシールド層40に取り込まれた磁束は、バックギャップ14BGを通じて磁極層30に環流される。
【0045】
一方、再生時においては、再生ヘッド部100AのMR素子6にセンス電流が流れると、記録媒体からの再生用の信号磁界に応じてMR素子6の抵抗値が変化する。そして、この抵抗変化がセンス電流の変化として検出されるため、記録媒体に記録されている情報が磁気的に読み出される。
【0046】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、補助磁極層8、シード層10および主磁極層20を含んで構成された磁極層30に関して、その主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれるようにしたので、この特徴的な構成を有する主磁極層20を形成するために、以下で説明する本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法を適用することが可能になる。したがって、量産性が安定に得られるため、記録性能を安定に確保することができる。
【0047】
特に、本実施の形態では、先端磁極層11が後端磁極層12よりも高い飽和磁束密度を有するようにしたので、先端磁極層11において記録処理の実行を妨げる磁束飽和が生じず、かつ後端磁極層12において磁束の流出に起因した意図しない書き込みが生じないように、先端磁極層11および後端磁極層12の双方において磁束の流れが適性化される。したがって、主磁極層20全体として安定な磁束の流れが得られるため、この観点においても記録特性の安定確保に寄与することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、先端磁極層11の延在方向と後端磁極層12の前端縁WEとの間の角度θが25°≦θ≦90°の条件を満たすようにしたので、先端磁極層11と後端磁極層12との間に幅方向の段差が形成され、フレアポイントFPにおいて磁束が適性に集束する。したがって、後端磁極層12から先端磁極層11へ必要十分な磁束が供給されるため、この観点においても記録特性の安定確保に寄与することができる。
【0049】
次に、図1〜図11を参照して、図1および図2に示した薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図3〜図8は薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明するためのものであり、いずれも図1に対応する断面構成を示している。図9〜図11は製造途中の薄膜磁気ヘッドの主要部の平面構成を表しており、それぞれ図3、図4および図8に対応している。
【0050】
以下では、まず、図1を参照して薄膜磁気ヘッド全体の製造工程の概略について説明したのち、図1〜図11を参照して薄膜磁気ヘッドの主要部(主磁極層20)の形成工程について詳細に説明する。なお、薄膜磁気ヘッドの一連の構成要素の材質、寸法および構造的特徴等に関して既に詳述したものについては、その説明を随時省略するものとする。
【0051】
この薄膜磁気ヘッドは、主に、めっき処理やスパッタリングなどの成膜技術、フォトリソグラフィ処理などのパターニング技術、ならびにドライエッチングなどのエッチング技術等を含む既存の薄膜プロセスを使用して、各構成要素を順次形成して積層させることにより製造される。すなわち、図1に示したように、まず、基板1上に絶縁層2を形成したのち、この絶縁層2上に、下部リードシールド層3と、MR素子6を埋設したシールドギャップ膜4と、上部リードシールド層5とをこの順に積層させることにより、再生ヘッド部100Aを形成する。続いて、再生ヘッド部100A上に分離層7を形成したのち、この分離層7上に、絶縁層9,13により周囲を埋設された磁極層30(補助磁極層8、シード層10および主磁極層20(先端磁極層11,後端磁極層12))と、バックギャップ14BGを有するギャップ層14と、薄膜コイル17を埋設した絶縁層18と、ライトシールド層40(TH規定層15,ヨーク層16)とをこの順に積層させることにより、記録ヘッド部100Bを形成する。最後に、記録ヘッド部100B上にオーバーコート層19を形成したのち、機械加工や研磨加工を利用してエアベアリング面50を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0052】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法の趣旨は、磁極層30のうちの主磁極層20を形成するために、その主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とを互いに別々の工程において形成することにより、図1に示したように、先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一面内に含まれるようにするものである。特に、この薄膜磁気ヘッドの製造方法は、先端磁極層11を形成する工程において、記録トラック幅を画定する一定幅W1を規定し、後端磁極層12を形成する工程において、主磁極層20の幅が先端磁極層11から後端磁極層12へ拡がるフレアポイントFPを規定することを特徴としている。
【0053】
すなわち、主磁極層20を形成する際には、分離層7上に絶縁層9により埋設されるように補助磁極層8をパターン形成したのち、まず、図3に示したように、例えばスパッタリングを使用して、補助磁極層8およびその周辺領域を覆うように、めっき処理を行うためのシード層10を形成する。
【0054】
続いて、シード層10上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、引き続きフォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターニングすることによりフォトレジストパターンを形成したのち、このフォトレジストパターンと共にシード層10を使用してめっき膜を成長させることにより、図3に示したように、シード層10上に後端磁極層12をパターン形成する。この後端磁極層12を形成する際には、例えば、図9に示したように、後方において一定幅W2を有し、かつ前方において次第に幅が狭まる六角形状の平面形状を有するようにすると共に、特に、前端縁FEの幅W4が後工程において形成される先端磁極層11の幅W1とほぼ等しくなるようにし、より具体的には幅W4が幅W1に一致するようにする(W4=W1)。また、例えば、図3に示したように、後端磁極層12の前端においてフレアポイントFPを規定するために、目標とするフレアポイントFPに前端が位置するようにし、より具体的には、後工程においてエアベアリング面50が形成される位置(図1参照)よりも約0.1μm〜1.0μmだけ後退して前端が位置するようにする。さらに、例えば、後端磁極層12の厚さT1が最終的に形成される主磁極層20の厚さT(図8参照)よりも大きくなるようにする(T1>T)。
【0055】
続いて、後端磁極層12を形成するために使用したフォトレジストパターンを除去し、新たに他のフォトレジストパターン(図示せず)を形成したのち、この他のフォトレジストパターンと共に引き続きシード層10を使用してめっき膜を成長させることにより、図4に示したように、先端磁極層11を形成するための前駆磁極層111をパターン形成する。この前駆磁極層111を形成する際には、例えば、図10に示したように、先端磁極層11の一定幅W1に対応する一定幅、具体的には幅W1よりも大きな一定幅W0(W0>W1)を有する先端部111A(一定幅部分)と、この先端部111Aの後方に磁気的に連結され、先端部111Aの幅W0よりも大きな幅W5(W5>W0)を有する後端部111Bとを含み、図4に示したように、その先端部111Aが後端磁極層12の前方領域からその後端磁極層12上に乗り上げるようにする。また、例えば、図4に示したように、上記した後端磁極層12の厚さT1と同様に、前駆磁極層111の厚さT2が最終的に形成される主磁極層20の厚さT(図8参照)よりも大きくなるようにする(T2>T)。
【0056】
続いて、例えばイオンミリングを使用し、後端磁極層12および前駆磁極層111をマスクとしてシード層10にエッチング処理を施すことにより、図5に示したように、主に垂直方向(厚さ方向)のエッチング作用を利用し、シード層10のうちの後端磁極層12および前駆磁極層111に対応する部分以外の部分をエッチングして掘り下げることにより選択的に除去し、絶縁層9を露出させる。この際には、例えば、シード層10をエッチングすると共に前駆磁極層111もエッチングし、主に幅方向のエッチング作用を利用して先端部111Aをエッチングすることにより、その先端部111Aの幅をW0からW1まで狭める。これにより、先端部111Aの一定幅W1に基づいて、記録トラック幅を画定する一定幅W1が規定される。
【0057】
続いて、図6に示したように、例えばスパッタリングを使用して、後端磁極層12および前駆磁極層111と共にそれらの周辺領域を覆うように絶縁層13を形成する。この絶縁層13を形成する際には、例えば、後端磁極層12および前駆磁極層111を完全に覆って埋設させると共に、特に、その厚さが後端磁極層12の厚さと前駆磁極層111の厚さとの総和よりも大きくなるようにする。
【0058】
続いて、図7に示したように、後端磁極層12および前駆磁極層111を平坦化する。具体的には、研磨処理、例えばCMP法を使用して全体に研磨処理を施すことにより、少なくとも後端磁極層12が露出するまで絶縁層13と共に後端磁極層12および前駆磁極層111を研磨して平坦化する。この研磨処理により、前駆磁極層111のうちの後端磁極層12に乗り上げた部分が選択的に除去されるため、図8に示したように、研磨面に基づいてトレーリングエッジTEが規定され、図11に示したように、幅W1を有する先端磁極層11が後端磁極層12に直接接触して隣接するように形成される。これにより、先端磁極層11(幅W1)および後端磁極層12(幅W2)を含む主磁極層20が完成する。この主磁極層20では、先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれることとなる。なお、先端磁極層11を形成する際には、例えば、研磨精度の誤差に起因して後端磁極層12が露出せず、前駆磁極層111のうちの後端磁極層12に乗り上げた部分が意図せずに残存してしまうことを防止するために、最終的に形成される主磁極層20の厚さTが後端磁極層12の厚さT1や前駆磁極層111の厚さT2よりも小さくなるまで研磨処理を行うようにするのが好ましい(T<T1,T2)。
【0059】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、補助磁極層8、シード層10および主磁極層20を含んで構成された磁極層30に関して、その主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とを互いに別々の工程で形成することにより、これらの先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれるようにしたので、以下の理由により、主磁極層20を高精度に形成し、薄膜磁気ヘッドを安定に量産することができる。
【0060】
すなわち、本実施の形態に対する比較例として、例えば、先端磁極層11と後端磁極層12とを一工程で一体に形成する場合には、フォトリソグラフィ処理を使用して主磁極層20を形成するためのフォトレジストパターンを形成する際に、1つのフォトレジスト膜中に、狭幅の先端磁極層11に対応する小面積領域と広幅の後端磁極層12に対応する大面積領域との双方が含まれるため、上記「発明が解決しようとする課題」の項において説明したように、小面積領域の露光範囲が大面積領域の露光の影響を受けて拡大しやすくなる。この場合には、最終的に延在方向において一律な幅W1となるように先端磁極層11を形成しようとしても、実際には、例えば、図12に示したように、長さ方向(Y軸方向)において先端磁極層11の幅がW1からこれよりも大きなW11(W11>W1)へ次第に拡がってしまい、先端磁極層11を高精度に形成することが困難になる。特に、上記したように先端磁極層11の幅が拡がると、図12に示したように、フレアポイントFPが目標位置よりも後方にずれてしまうため、フレアポイントFPを制御することも困難になる。なお、図12に示した「(フレアポイント)FP」は、当初の目標位置を表している。
【0061】
これに対して、本実施の形態では、先端磁極層11と後端磁極層12とを互いに別々の工程で形成することにより、フレアポイントFPと記録トラック幅を画定する一定幅W1とが別々の工程において規定される。具体的には、図3に示したように、後端磁極層12の前端においてフレアポイントFPが規定されると共に、図5に示したように、後端磁極層12とは別個の工程において形成された前駆磁極層111のうちの先端部111Aの幅W1に基づいて、記録トラック幅を画定する一定幅W1が規定される。この場合には、後端磁極層12を形成するために使用されるフォトレジストパターンと前駆磁極層111を形成するために使用されるフォトレジストパターンとが互いに別々の工程において形成され、後端磁極層12に対応する大面積領域と前駆磁極層111に対応する小面積領域とが1つのフォトレジスト膜中に含まれないため、小面積領域の露光範囲が大面積領域の露光の影響を受けにくくなり、すなわち小面積領域の露光範囲が拡大しにくくなる。これにより、図11に示したように、最終的に延在方向において一律な幅W1となるように先端磁極層11を形成することが可能になる。もちろん、この場合には、先端磁極層11が一律な幅W1を有することとなるため、フレアポイントFPを所望の目標位置に設定することが可能となり、フレアポイントFPが容易に制御される。したがって、本実施の形態では、主磁極層20を高精度に形成し、薄膜磁気ヘッドを安定に量産することが可能になるのである。
【0062】
上記の他、本実施の形態では、研磨処理を使用して前駆磁極層111を研磨することにより先端磁極層11が形成されるため、研磨面に基づいて主磁極層20のトレーリングエッジTEが規定される。このトレーリングエッジTEは、主磁極層20のうちの実質的な記録箇所であり、記録密度を確保する上で十分に平坦てあることが必要とされる。この点に関して、本実施の形態では、研磨処理を併用せずに例えばめっき処理のみを使用して先端磁極層11を形成する場合とは異なり、研磨処理による平坦加工特性を利用してトレーリングエッジTEが高精度に平坦化されるため、この観点においても主磁極層20の高精度形成に寄与することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、研磨後の平坦面(面11M,12Mを含む平坦面)上に極薄(約0.2μm厚以下)のギャップ層13が形成されるため、凹凸を有する非平坦面上に極薄のギャップ層13を形成する場合とは異なり、ギャップ層13の形成厚さを高精度に制御することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、図6〜図8に示したように、後端磁極層12および前駆磁極層111を平坦化するための手段としてCMP法に代表される研磨処理を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、後端磁極層12および前駆磁極層111を平坦化することにより先端磁極層11および後端磁極層12を含む主磁極層20を形成し得る限り、研磨処理に代えて他の手法を使用してもよい。この「他の手法」としては、例えば、イオンミリングに代表されるエッチング処理が挙げられる。このイオンミリングを使用する場合には、例えば、図6に示した絶縁層13をアルミナに代えてフォトレジストとした上で、後端磁極層12および前駆磁極層111に対するエッチング速度と絶縁層13に対するエッチング速度とが互いにほぼ等しくなるようなエッチング条件においてエッチング処理を行えば、図8に示したように、研磨処理を使用した場合と同様に主磁極層20を形成することが可能になる。この「エッチング条件」とは、例えば、後端磁極層12や前駆磁極層111の延在面(X軸およびY軸を含む平面)に対する垂線(Y軸方向の線)とイオンビームの照射方向との間の角度が約65°〜70°となる条件である。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、図10に示したように、一定幅W0を有する先端部111Aとこの先端部111Aの幅W0よりも大きな幅W5を有する後端部111Bとを含むように前駆磁極層111を形成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図13に示したように、全体が一定幅W0を有するように前駆磁極層111を形成してもよい。この場合には、フォトレジストパターンの形成時に、フォトレジスト膜中に狭幅の先端部111Aに対応する小面積領域のみが含まれることとなり、広幅の後端部111Bに対応する大面積領域が含まれなくなるため、その小面積領域が大面積領域の露光の影響を受けることなく高精度に露光される。したがって、前駆磁極層111の幅W0をより高精度に制御することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0067】
図14は本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表しており、(A)はエアベアリング面に平行な断面を示し、(B)はエアベアリング面に垂直な断面を示している。なお、図14では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
【0068】
この薄膜磁気ヘッドは、補助磁極層8、シード層10および主磁極層20を含んで磁極層30が構成され、主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに直接接触して隣接していた上記第1の実施の形態とは異なり、補助磁極層8、シード層10および主磁極層20と共に他のシード層110を含んで磁極層30が構成され、先端磁極層11と後端磁極層12とが互いにシード層11を介して隣接している点を除き、上記第1の実施の形態において説明した薄膜磁気ヘッドと同様の構成を有している。
【0069】
本実施の形態では、シード層10は、主磁極層20全体(先端磁極層11および後端磁極層12の双方)を形成するために使用されるものであった上記第1の実施の形態とは異なり、主磁極層20のうちの後端磁極層12のみを形成するために使用されるものである。一方、シード層110は、シード層10と同様に後述する薄膜磁気ヘッドの製造工程においてめっき処理を行うために使用されるものであり、特に、先端磁極層11のみを形成するために使用されるものである。このシード層110は、例えば、先端磁極層11と同様の磁性材料により構成されている。
【0070】
後端磁極層12の前端面12FMは、その後端磁極層12の延在方向(Y軸方向)に対して後方に向かって傾いており、先端磁極層11の後端面RMは、後端磁極層12の前端面12FMに対応して後方に向かって傾いている。シード層10は、後端磁極層12の配設領域に対応してフレアポイントFPよりも後方にのみ配設されており、シード層110は、フレアポイントFPよりも前方の領域から後端磁極層12の前端面12FMに乗り上げるように配設されている。すなわち、シード層110のうちの前端面12FMに乗り上げた部分は、その前端面12FMと後端面11RMとにより挟まれており、上記したように、先端磁極層11と後端磁極層12とは互いにシード層110を介して隣接している。
【0071】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、補助磁極層8、シード層10,110および主磁極層20を含んで構成された磁極層30に関して、その主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれるようにしたので、上記第1の実施の形態と同様に、以下で説明する本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法を適用することが可能になる。したがって、この場合においても安定な量産性が得られるため、安定した性能を確保することができる。
【0072】
次に、図14〜図20を参照して、図14に示した薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図15〜図20は薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明するためのものであり、いずれも図14に対応する断面構成を示している。
【0073】
本実施の形態において主磁極層20を形成する際には、上記第1の実施の形態と同様の工程(図3参照)を経て、めっき処理を行うためのシード層10を形成し、引き続きシード層10と共にフォトレジストパターン(図示せず)を使用してめっき膜を成長させることにより後端磁極層12(厚さT1)を形成することにより、その後端磁極層12の前端においてフレアポイントFPを規定したのち、例えばイオンミリングを使用し、後端磁極層12をマスクとしてシード層10にエッチング処理を施す。このエッチング処理により、図15に示したように、主に垂直方向のエッチング作用を利用し、シード層10のうちの後端磁極層12に対応する部分以外の部分をエッチングして掘り下げることにより、そのシード層10のうちの不要部分を選択的に除去して絶縁層9を露出させる。このエッチング処理を行う際には、例えば、シード層10をエッチングすると共に後端磁極層12もエッチングし、その後端磁極層12の前端面12FMを厚さ方向に連続的に後退させることにより、その前端面12FMが後端磁極層12の延在方向(Y軸方向)に対して後方に向かって傾くようにする。
【0074】
続いて、図16に示したように、例えばスパッタリングを使用して、後端磁極層12およびその周辺領域を覆うように、先に形成したシード層10とは異なる他のシード層110を形成する。
【0075】
続いて、シード層110と共にフォトレジストパターン(図示せず)を使用してめっき膜を成長させることにより、図17に示したように、先端磁極層11を形成するための前駆磁極層111(厚さT2)をパターン形成する。この前駆磁極層111を形成する際には、先端部111A(幅W0)および後端部111B(幅W5>W0;図10参照)を含み、その先端部111Aがシード層110上を後端磁極層12の前方領域からその後端磁極層12上に乗り上げるようにする。
【0076】
続いて、例えばイオンミリングを使用し、前駆磁極層111をマスクとしてシード層110にエッチング処理を施すことにより、図18に示したように、主に垂直方向のエッチング作用を利用し、シード層110のうちの前駆磁極層111に対応する部分以外の部分をエッチングして掘り下げることにより、そのシード層110のうちの不要部分を選択的に除去して絶縁層9を露出させる。この際には、例えば、シード層110をエッチングすると共に前駆磁極層111もエッチングし、主に幅方向のエッチング作用を利用して先端部111Aをエッチングすることにより、その先端部111Aの幅をW0からW1まで狭める。これにより、先端部111Aの一定幅W1に基づいて、記録トラック幅を画定する一定幅W1が規定される。
【0077】
続いて、図19に示したように、例えばスパッタリングを使用して、後端磁極層12および前駆磁極層111と共にそれらの周辺領域を覆うように絶縁層13を形成する。
【0078】
続いて、後端磁極層12、シード層110および前駆磁極層111を平坦化する。具体的には、例えばCMP法を使用して全体に研磨処理を施すことにより、少なくとも後端磁極層12が露出するまで絶縁層13と共に後端磁極層12、シード層110および前駆磁極層111を研磨して掘り下げる。この研磨処理により、前駆磁極層111およびシード層110の双方のうちの後端磁極層12に乗り上げた部分が選択的に除去されるため、図20に示したように、研磨面に基づいてトレーリングエッジTEが規定され、幅W1を有する先端磁極層11(厚さT)がシード層110を介して後端磁極層12に隣接するように形成される。この際、シード層110はフレアポイントFPよりも前方の領域から後端磁極層12の前端面12FMに乗り上げ、先端磁極層11の後端面11RMは後端磁極層12の前端面12FMに対応して傾く。これにより、先端磁極層11(幅W1)および後端磁極層12(幅W2)を含む主磁極層20が完成する。この主磁極層20では、先端磁極層11と後端磁極層12とが互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれることとなる。
【0079】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、補助磁極層8、シード層10,110および主磁極層20を含んで構成された磁極層30に関して、その主磁極層20を構成する先端磁極層11と後端磁極層12とを互いに別々の工程において形成することにより、これらの先端磁極層11および後端磁極層12が互いに別体をなし、それぞれのトレーリング側の面11M,12Mが同一平面内に含まれるようにしたので、上記第1の実施の形態と同様の作用により、主磁極層20を高精度に形成し、薄膜磁気ヘッドを安定に量産することができる。
【0080】
特に、本実施の形態では、図15に示したように、後端磁極層12の前端面12FMが後方に向かって傾くようにしたので、上記第1の実施の形態と比較して、以下の理由により、後工程において前駆磁極層111を形成する際に利点を得ることができる。すなわち、上記第1の実施の形態において図3に示したように、前端面12FMが後端磁極層12の延在方向に対してほぼ垂直であり、その後端磁極層12の延在方向に対して傾いていない場合には、例えば、図4に示したように、前駆磁極層111を形成するための図示しないフォトレジストパターンを形成するためにフォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターン露光する際に、そのフォトレジスト膜中において後端磁極層12とシード層10との接触するコーナーC1近傍が後端磁極層12の陰になって十分に露光されにくくなるため、フォトレジスト膜を高精度にパターン露光することが困難になる場合がある。この結果、コーナーC1近傍において未露光のフォトレジスト膜が残存しやすくなり、最終的に形成されるフォトレジストパターンの形成精度が低下してしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態において図15に示したように、前端面12FMが後方に向かって傾いている場合には、例えば、図17に示したように、フォトレジスト膜のパターン露光時に、上記したコーナーC1に対応するコーナーC2が後端磁極層12の陰になりにくくなって十分に露光されるため、フォトレジスト膜を高精度にパターン露光することが可能になる。この結果、コーナーC2近傍に未露光のフォトレジスト膜が残存しにくくなり、最終的に形成されるフォトレジストパターンの形成精度が向上するという利点が得られるのである。
【0081】
なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する上記以外の構成、動作、作用および効果ならびに薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する上記以外の作用、効果および変形例は上記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0082】
以上をもって、本発明の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドについての説明を終了する。
【0083】
次に、図21および図22を参照して、本発明の薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置の構成について説明する。図21は磁気記録装置の切り欠き概観構成を表し、図22は磁気記録装置の主要部の外観構成を拡大して表している。この磁気記録装置は、上記第1および第2の実施の形態において説明した薄膜磁気ヘッドを搭載したものであり、例えばハードディスクドライブである。
【0084】
この磁気記録装置は、図21に示したように、例えば、筐体200の内部に、情報が記録される記録媒体としての複数の磁気ディスク201と、各磁気ディスク201に対応して配置され、先端にヘッドスライダ210が取り付けられた複数のアーム202とを備えている。磁気ディスク201は、筐体200に固定されたスピンドルモータ203を中心として回転可能になっている。アーム202は、動力源としての駆動部204に接続されており、筐体200に固定された固定軸205を中心として、ベアリング206を介して旋回可能になっている。駆動部204は、例えば、ボイスコイルモータなどの駆動源を含んで構成されている。なお、図21では、例えば、固定軸205を中心として複数のアーム202が一体的に旋回するモデルを示している。
【0085】
ヘッドスライダ210は、図22に示したように、アーム202の旋回時に生じる空気抵抗を減少させるために凹凸構造が設けられた略直方体状の基体211のうち、エアベアリング面220と直交する一側面(図22中、手前側の面)に、垂直記録方式の薄膜磁気ヘッド212が配設された構成を有している。この薄膜磁気ヘッド212は、例えば、上記実施の形態において説明した構成を有するものである。なお、図22では、ヘッドスライダ210のうちのエアベアリング面220側の構造を見やすくするために、図21に示した状態とは上下を反転させた状態を示している。
【0086】
なお、薄膜磁気ヘッド212の詳細な構成については、上記各実施の形態において既に詳細に説明したので、その説明を省略する。
【0087】
この磁気記録装置では、情報の記録時においてアーム202が旋回することにより、磁気ディスク201のうちの所定の領域(記録領域)までヘッドスライダ210が移動する。そして、磁気ディスク201と対向した状態において薄膜磁気ヘッド212が通電されると、上記各実施の形態において説明したように動作することにより、薄膜磁気ヘッド212が磁気ディスク201に情報を記録する。
【0088】
この磁気記録装置では、本発明の薄膜磁気ヘッド212を備えるようにしたので、記録性能を安定に確保することができる。
【0089】
なお、この磁気記録装置に関する上記以外の構成、動作、作用および効果は上記各実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、上記実施の形態では、本発明を単磁極型ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、リング型ヘッドに適用してもよい。また、上記実施の形態では、本発明を複合型薄膜磁気ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや、記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。もちろん、本発明を、書き込み用の素子および読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドについても適用可能である。
【0091】
また、上記実施の形態では、本発明を垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本発明を長手記録方式の薄膜磁気ヘッドに適用することも可能である。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る薄膜磁気ヘッドによれば、磁極層を構成する第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一平面内に含まれるようにしたので、この特徴的な構成を有する磁極層を形成するために本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法を適用することが可能となる。したがって、量産性が安定に得られるため、記録性能を安定に確保することができる。
。
【0093】
また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁極層を構成する第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とを互いに別々の工程で形成することにより、これらの第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの媒体進行方向側の面が同一平面内に含まれるようにしたので、第1の磁極層部分と第2の磁極層部分とを一工程で一体に形成する場合と比較して、フォトリソグラフィ処理を使用して磁極層を形成するためのフォトレジストパターンを形成する際に、フォトレジスト膜中において、狭幅の第1の磁極層部分に対応する小面積領域の露光範囲が広幅の第2の磁極層部分に対応する大面積領域の露光の影響を受けて拡大しにくくなる。したがって、最終的に延在方向において一律な幅となるように第1の磁極層部分を形成することが可能になるため、磁極層を高精度に形成し、薄膜磁気ヘッドを安定に量産することができる。
【0094】
また、本発明に係る磁気記録装置によれば、本発明の薄膜磁気ヘッドを搭載したので、記録性能を安定に確保することができる。
【0095】
また、上記の他、本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、第1の磁極層部分が第2の磁極層部分よりも高い飽和磁束密度を有するようにすれば、第1の磁極層部分よび第2の磁極層部分の双方において磁束の流れが適性化され、磁極層全体として安定な磁束の流れが得られるため、この観点においても記録特性の安定確保に寄与することができる。
【0096】
また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドでは、第1の磁極層部分の延在方向と第2の磁極層部分のうちの第1の磁極層部分に対して両側に位置する前端縁とのなす角度が25°以上90°以下の範囲内であるようにすれば、拡幅位置において磁束が適性に集束し、第2の磁極層部分から第1の磁極層部分へ必要十分な磁束が供給される。したがって、この観点においても記録特性の安定確保に寄与することができる。
【0097】
また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第2の磁極層部分をパターン形成する際に、前端面が第2の磁極層部分の延在方向に対して後方に向かって傾くようにすれば、前駆磁極層を形成するためのフォトレジストパターンを形成するためにフォトリソグラフィ処理を使用してフォトレジスト膜をパターン露光する際に、そのフォトレジスト膜を高精度にパターン露光することが可能になるため、結果としてフォトレジストパターンを高精度に形成することができる。
【0098】
また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、研磨処理を使用して第2の磁極層部分および前駆磁極層を平坦化するようにすれば、研磨面に基づいて磁極層の媒体進行方向側の端縁(トレーリングエッジ)が規定されるため、その端縁が高精度に平坦化される。したがって、この観点においても磁極層の高精度形成に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した薄膜磁気ヘッドの主要部の平面構成を表す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造工程における一工程を説明するための断面図である。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面図である。
【図8】図7に続く工程を説明するための断面図である。
【図9】図3に示した断面構成に対応する製造途中の薄膜磁気ヘッドの主要部の平面構成を表す平面図である。
【図10】図4に示した断面構成に対応する製造途中の薄膜磁気ヘッドの主要部の平面構成を表す平面図である。
【図11】図8に示した断面構成に対応する製造途中の薄膜磁気ヘッドの主要部の平面構成を表す平面図である。
【図12】薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する問題点を説明するための平面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する変形例を説明するための平面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造工程における一工程を説明するための断面図である。
【図16】図15に続く工程を説明するための断面図である。
【図17】図16に続く工程を説明するための断面図である。
【図18】図17に続く工程を説明するための断面図である。
【図19】図18に続く工程を説明するための断面図である。
【図20】図19に続く工程を説明するための断面図である。
【図21】本発明の薄膜磁気ヘッドを搭載した磁気記録装置の切り欠き外観構成を表す斜視図である。
【図22】図21に示した磁気記録装置の主要部の外観構成を拡大して表す斜視図である。
【符号の説明】
1…基板、2,9,13,18…絶縁層、3…下部リードシールド層、4…シールドギャップ膜、5…上部リードシールド層、6…MR素子、7…分離層、8…補助磁極層、10,110…シード層、11…先端磁極層、11M,12M…面、11RM…後端面、12…後端磁極層、12FM…前端面、14…ギャップ層、14BG…バックギャップ、15…TH規定層、16…ヨーク層、17…薄膜コイル、19…オーバーコート層、20…主磁極層、30…磁極層、40…ライトシールド層、50,220…エアベアリング面、100A…再生ヘッド部、100B…記録ヘッド部、111…前駆磁極層、111A…前端部、111B…後端部、200…筐体、201…磁気ディスク、202…アーム、203…スピンドルモータ、204…駆動部、205…固定軸、206…ベアリング、210…ヘッドスライダ、211…基体、212…薄膜磁気ヘッド、FP…フレアポイント、M…媒体進行方向、NH…ネックハイト、TE…トレーリングエッジ、TH…スロートハイト、TP…スロートハイトゼロ位置、WE…前端縁。
Claims (16)
- 磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層と、を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
前記磁極層が、前記記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって記録トラック幅を画定する一定幅をもって延在する第1の磁極層部分と、この第1の磁極層部分の後方に磁気的に連結され、前記第1の磁極層部分よりも大きな幅を有する第2の磁極層部分とを含み、
前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの前記媒体進行方向側の面が同一面内に含まれている
ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いに直接接触して隣接している
ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いにシード層を介して間接的に隣接している
ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁極層部分が、前記第2の磁極層部分よりも高い飽和磁束密度を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁極層部分の延在方向と、前記第2の磁極層部分のうちの前記第1の磁極層部分に対して両側に位置する前端縁とのなす角度が、25°以上90°以下の範囲内である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記磁極層が、前記記録媒体をその表面と直交する方向に磁化させるための磁束を放出するように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層と、を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
前記磁極層を形成する工程が、前記記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって記録トラック幅を画定する一定幅をもって延在するように第1の磁極層部分を形成する第1の工程と、前記第1の磁極層部分の後方に磁気的に連結され、前記第1の磁極層部分よりも大きな幅を有するように第2の磁極層部分を形成する第2の工程とを、互いに別々の工程として含み、
前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの前記媒体進行方向側の面が同一面内に含まれるようにする
ことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の工程において、前記一定幅を規定し、
前記第2の工程において、前記磁極層の幅が前記第1の磁極層部分から前記第2の磁極層部分へ拡がる拡幅位置を規定する
ことを特徴とする請求項7記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いに直接接触して隣接するように、前記磁極層を形成する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁極層を形成する工程が、
前記第2の磁極層部分をパターン形成することにより、その第2の磁極層部分の前端において、前記磁極層の幅が前記第1の磁極層部分から前記第2の磁極層部分へ拡がる拡幅位置を規定する工程と、
前記一定幅に対応する一定幅を有する部分が前記第2の磁極層部分の前方領域からその第2の磁極層部分に部分的に乗り上げるように前駆磁極層をパターン形成することにより、その前駆磁極層のうちの前記一定幅を有する部分において前記一定幅を規定する工程と、
前記第2の磁極層部分および前記前駆磁極層と共にそれらの周辺領域を覆うように、絶縁層を形成する工程と、
少なくとも前記第2の磁極層部分が露出するまで前記絶縁層と共に前記第2の磁極層部分および前記前駆磁極層を平坦化し、前記前駆磁極層のうちの前記第2の磁極層部分に乗り上げた部分を選択的に除去することにより、前記第2の磁極層部分に直接接触して隣接するように、前記第1の磁極層部分を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項9記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いにシード層を介して間接的に隣接するように、前記磁極層を形成する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁極層を形成する工程が、
前記第2の磁極層部分をパターン形成することにより、その第2の磁極層部分の前端において、前記磁極層の幅が前記第1の磁極層部分から前記第2の磁極層部分へ拡がる拡幅位置を規定する工程と、
前記第2の磁極層部分およびその周辺領域を覆うように、シード層を形成する工程と、
このシード層を使用してめっき膜を成長させ、前記一定幅に対応する一定幅を有する部分が前記シード層上を前記第2の磁極層部分の前方領域からその第2の磁極層部分に部分的に乗り上げるように前駆磁極層をパターン形成することにより、その前駆磁極層のうちの前記一定幅を有する部分において前記一定幅を規定する工程と、
前記第2の磁極層部分および前記前駆磁極層と共にそれらの周辺領域を覆うように、絶縁層を形成する工程と、
少なくとも前記第2の磁極層部分が露出するまで前記絶縁層と共に前記第2の磁極層部分および前記前駆磁極層を平坦化し、前記前駆磁極層のうちの前記第2の磁極層部分に乗り上げた部分を選択的に除去することにより、前記第2の磁極層部分に前記シード層を介して間接的に隣接するように、前記第1の磁極層部分を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項11記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第2の磁極層部分をパターン形成する工程において、前端面が前記第2の磁極層部分の延在方向に対して後方に向かって傾くように、前記第2の磁極層部分を形成する
ことを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第2の磁極層部分および前記前駆磁極層を平坦化する手段として、研磨処理を使用する
ことを特徴とする請求項10または請求項12に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第2の磁極層部分および前記前駆磁極層を平坦化する手段として、エッチング処理を使用する
ことを特徴とする請求項10または請求項12に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 記録媒体と、この記録媒体に磁気的に情報を記録する薄膜磁気ヘッドとを有し、
この薄膜磁気ヘッドが、磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層と、を備えた磁気記録装置であって、
前記磁極層が、前記記録媒体に対向する記録媒体対向面から後方に向かって記録トラック幅を画定する一定幅をもって延在する第1の磁極層部分と、この第1の磁極層部分の後方に磁気的に連結され、前記第1の磁極層部分よりも大きな幅を有する第2の磁極層部分とを含み、
前記第1の磁極層部分と前記第2の磁極層部分とが互いに別体をなし、それぞれの前記媒体進行方向側の面が同一面内に含まれている
ことを特徴とする磁気記録装置。
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