JP3929866B2 - 垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも記録用の誘導型磁気変換素子を備えた垂直磁気記録ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えばハードディスクなどの磁気記録媒体(以下、単に「記録媒体」という。)の面記録密度の向上に伴い、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドに適用される磁気記録方式としては、例えば、信号磁界の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)にする長手記録方式と、記録媒体の面に対して直交する方向にする垂直記録方式とが知られている。現在のところは長手記録方式が広く利用されているが、面記録密度の向上に伴う市場動向を考慮すれば、今後、長手記録方式に代わり、垂直記録方式が有望視されるものと想定される。なぜなら、垂直記録方式では、高い線記録密度を確保可能な上、記録済みの記録媒体が熱揺らぎの影響を受けにくいという利点が得られるからである。
【0003】
垂直記録方式を利用した記録態様としては、例えば、(1)一端側においてギャップを挟んで互いに対向し、かつ他端側において互いに磁気的に連結されたヘッド(リング型ヘッド)と、主要部が単層膜構成の記録媒体とを用いる態様や、(2)記録媒体に対して垂直に配置されたヘッド(単磁極型ヘッド)と、主要部が2層膜構成の記録媒体とを用いる態様が提案されている。これらの態様のうち、単磁極型ヘッドと2層膜構成の記録媒体との組み合わせを用いる態様は、熱揺らぎに対する耐性が顕著に優れているため、薄膜磁気ヘッドの性能向上を実現し得るものとして注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドの記録性能を向上させるためには、例えば、記録用の磁界(垂直磁界)強度を確保し、安定した記録動作を確保するために、単磁極型ヘッドのうち、主要な磁束の流路となる主磁極層に対して、必要十分な量の磁束を供給する必要がある。
【0005】
この要請に対応可能な薄膜磁気ヘッドとしては、例えば、主磁極層と共に、エアベアリング面から一端面が後退し、主磁極層の一部と対向配置された補助磁極層と、主磁極層と補助磁極層との間に、これらの2つの層により挟まれるように配設された非磁性層とを備え、これらの主磁極層、非磁性層および補助磁極層により積層構造体が構成されたものが考えられる。この薄膜磁気ヘッドによれば、補助磁極層が、非磁性層を介して主磁極層と完全に分離されているにもかかわらず、主磁極層に対して補助的に磁束を供給する役割を担うため、主磁極層のみを備えて補助磁極層を備えていない場合と比較して、主磁極層に供給される磁束量が増加するのである。
【0006】
この薄膜磁気ヘッドでは、製造工程上の理由により、補助磁極層の前端位置(エアベアリング面に近い側の位置)がフレアポイントと必然的に一致する。このフレアポイントとは、磁束の流路となる磁極層(主磁極層を含む)の幅が、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅からこれより大きい幅に拡がる位置であり、薄膜磁気ヘッドの記録性能を決定する重要な因子のうちの1つである。
【0007】
しかしながら、上記にて紹介した薄膜磁気ヘッドの製造方法を利用した際には、補助磁極層の存在に基づき、主磁極層への磁束供給の観点において利点を有する反面、場合によっては、正常な記録動作が阻害されるおそれがある。なぜなら、フレアポイントを適正化する観点から、エアベアリング面に近い側にフレアポイントを設定する際、補助磁極層をエアベアリング面に近づけすぎると、補助磁極層の先端近傍に集中した磁束の影響を受けて、主磁極層のトレーリング側の垂直磁界分布が乱れる可能性があるからである。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、垂直磁界分布を安定化し、正常な記録動作を確保することが可能な垂直磁気記録ヘッドを提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、補助磁極層を備え、正常な記録動作を確保可能な本発明の薄膜磁気ヘッドを容易に製造することが可能な垂直磁気記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の垂直磁気記録ヘッドは、磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を所定の媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層と、を備え、磁極層が、記録媒体に対向する記録媒体対向面に露出するように配設された主磁極層と、この主磁極層の媒体進行方向における媒体流出側に、記録媒体対向面から一端面が後退すると共に主磁極層の一部と対向するように配設された補助磁極層と、主磁極層と補助磁極層との間に、これらの2つの層により挟まれるように配設された非磁性層と、を含む積層構造を有するものであり、主磁極層が、記録媒体対向面から後方に向かって順に、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する主磁極一定幅部分と、この主磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな一定幅を有する主磁極拡幅部分と、を含み、非磁性層が、主磁極層の平面形状と同一の平面形状を有し、補助磁極層が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、主磁極一定幅部分の幅と同一の一定幅を有する補助磁極一定幅部分と、この補助磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する補助磁極拡幅部分と、を含と共に、補助磁極一定幅部分が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、記録媒体対向面に対して一端面よりも後退した位置からその一端面に向かって次第に膜厚が薄くなる膜厚変化部分と、この膜厚変化部分の後方に連結されて一定の膜厚を有する膜厚一定部分とを含み、膜厚変化部分が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において、0よりも大きな膜厚を有するようにしたものである。
【0011】
本発明の垂直磁気記録ヘッドでは、記録媒体対向面から後方に向かって順に主磁極一定幅部分および主磁極拡幅部分を含んで主磁極層が構成され、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に補助磁極一定幅部分および補助磁極拡幅部分を含んで補助磁極層が構成されていると共に、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に膜厚変化部分および膜厚一定部分を含み、この膜厚変化部分が主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において0よりも大きな膜厚を有するように補助磁極一定幅部分が構成されているため、補助磁極層全体が一定の膜厚を有する場合よりも、一端面の面積が小さくなる。したがって、記録媒体対向面に補助磁極層を近づけた場合においても、補助磁極層の先端近傍に集中した磁束の影響が低減するため、補助磁極層内を流れる磁束に起因した垂直磁界分布への悪影響が抑制される。
【0012】
本発明の垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、磁束を発生させる薄膜コイルと、所定の媒体進行方向に移動する記録媒体に対向する記録媒体対向面に露出するように配設された主磁極層と、この主磁極層の媒体進行方向における媒体流出側に、記録媒体対向面から一端面が後退すると共に主磁極層の一部と対向するように配設された補助磁極層と、主磁極層と補助磁極層との間に、これらの2つの層により挟まれるように配設された非磁性層と、を含む積層構造を有し、薄膜コイルにおいて発生した磁束を記録媒体に向けて放出する磁極層と、を備えた垂直磁気記録ヘッドを製造する方法であり、磁極層を形成する工程が、主磁極層の前準備層としての前駆主磁極層および非磁性層の前準備層としての前駆非磁性層をこの順に形成して積層させる工程と、前駆非磁性層上に、前駆主磁極層および前駆非磁性層よりも後退して一端面を含む端面を有するように、補助磁極層の前準備層としての第1の前駆補助磁極層パターンを形成する工程と、この第1の前駆補助磁極層パターンのうちの端面に近い側の部分を選択的にエッチングすることにより、記録媒体対向面に対して端面よりも後退した位置からその端面に向かって次第に膜厚が薄くなる部分を含むように第2の前駆補助磁極層パターンを形成する工程と、エッチング用のマスクを使用して、前駆主磁極層、前駆非磁性層および第2の前駆補助磁極層パターンをエッチングしてパターニングすることにより、主磁極層、非磁性層および補助磁極層を形成する工程とを含み、主磁極層が、記録媒体対向面から後方に向かって順に、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する主磁極一定幅部分と、この主磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな一定幅を有する主磁極拡幅部分と、を含み、非磁性層が、主磁極層の平面形状と同一の平面形状を有し、補助磁極層が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、主磁極一定幅部分の幅と同一の一定幅を有する補助磁極一定幅部分と、この補助磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する補助磁極拡幅部分と、を含むようにすると共に、補助磁極一定幅部分が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、記録媒体対向面に対して一端面よりも後退した位置から一端面に向かって次第に膜厚が薄くなる膜厚変化部分と、この膜厚変化部分の後方に連結されて一定の膜厚を有する膜厚一定部分とを含み、膜厚変化部分が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において、0よりも大きな膜厚を有するようにしたものである。
【0013】
本発明の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、まず、主磁極層の前準備層としての前駆主磁極層および非磁性層の前準備層としての前駆非磁性層がこの順に形成されて積層される。続いて、前駆非磁性層上に、前駆主磁極層および前駆非磁性層よりも後退して一端面を含む端面を有するように、補助磁極層の前準備層としての第1の前駆補助磁極層パターンが形成される。続いて、第1の前駆補助磁極層パターンのうちの端面に近い側の部分が選択的にエッチングされることにより、記録媒体対向面に対して端面よりも後退した位置からその端面に向かって次第に膜厚が薄くなる部分を含むように第2の前駆補助磁極層パターンが形成される。最後に、エッチング用のマスクを使用して、前駆主磁極層、前駆非磁性層および第2の前駆補助磁極層パターンがエッチングされてパターニングされることにより、主磁極層、非磁性層および補助磁極層が形成される。この場合には、記録媒体対向面から後方に向かって順に、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する主磁極一定幅部分と、この主磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな一定幅を有する主磁極拡幅部分とを含むように主磁極層が形成される。また、主磁極層の平面形状と同一の平面形状を有するように非磁性層が形成される。さらに、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、一定幅を有する補助磁極一定幅部分と、この補助磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する補助磁極拡幅部分とを含むように補助磁極層が形成される。特に、補助磁極一定幅部分は、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、記録媒体対向面に対して一端面よりも後退した位置から一端面に向かって次第に膜厚が薄くなる膜厚変化部分と、この膜厚変化部分の後方に連結されて一定の膜厚を有する膜厚一定部分とを含み、この膜厚変化部分が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において0よりも大きな膜厚を有するように形成される。
【0015】
また、本発明の垂直磁気記録ヘッドでは、膜厚変化部分が、その膜厚が薄くなる領域に対応して位置する斜面を有し、この斜面と補助磁極層の延在面とのなす角度が、15度以上75度以下の範囲内であるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の垂直磁気記録ヘッドでは、磁極層が、全体として、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する一定幅領域と、この一定幅領域の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する拡幅領域とを含み、磁極層の幅が一定幅領域から拡幅領域へと拡がる拡がる位置が、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置によって規定されているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、めっき膜を成長させることにより、第1の前駆補助磁極層パターンを形成するのが好ましい。
【0019】
また、本発明の垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、イオンミリングを用い、第1の前駆補助磁極層パターンの延在面と直交する方向に対して35度±10度の角度をなす方向からイオンビームを照射しながら、第1の前駆補助磁極層パターンをエッチングするのが好ましい。また、磁極層が、全体として、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する一定幅領域と、この一定幅領域の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する拡幅領域とを含むようにし、磁極層の幅が一定幅領域から拡幅領域へと拡がる拡がる位置を、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置によって規定するのが好ましい。
【0020】
<薄膜磁気ヘッドの構成>
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成について説明する。図1は薄膜磁気ヘッドの断面構成を表しており、(A)はエアベアリング面20に平行な断面,(B)はエアベアリング面20に垂直な断面をそれぞれ示している。図2は図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部の斜視構成を拡大して表し、図3は薄膜磁気ヘッドの要部の平面構成を拡大して表している。なお、図1に示した上向きの矢印Bは、薄膜磁気ヘッドに対して記録媒体(図示せず)が相対的に進行する方向、すなわち記録媒体の進行方向を表している。
【0021】
以下の説明では、図1〜図3の各図中におけるX軸方向の距離を「幅」、Y軸方向の距離を「長さ」、Z軸方向の距離を「厚さ」と表記する。また、Y軸方向のうちのエアベアリング面20に近い側を「前方」、その反対側を「後方」とそれぞれ表記すると共に、特に、後方に向かうことを「後退する」と表記するものとする。これらの表記内容は、後述する図4以降においても同様とする。
【0022】
この薄膜磁気ヘッドは、例えば、記録・再生の双方の機能を実行可能な複合型ヘッドであり、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 3 ・TiC)などのセラミック材料よりなる基板1上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 3 ;以下、単に「アルミナ」という。)などの非磁性絶縁材料よりなる絶縁層2と、磁気抵抗(MR;Magneto-resistive )効果を利用して再生処理を実行する再生ヘッド100Aと、例えばアルミナなどの非磁性材料よりなる非磁性層7と、垂直記録方式により記録処理を実行する単磁極型の記録ヘッド100Bと、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料よりなるオーバーコート層16とがこの順に積層された構成をなしている。
【0023】
《再生ヘッドの構成》
再生ヘッド100Aは、例えば、下部シールド層3と、シールドギャップ膜4と、上部シールド層5とがこの順に積層された構成をなしている。シールドギャップ膜4には、記録媒体に対向する記録媒体対向面(エアベアリング面)20に一端面が露出するように、再生素子としてのMR素子6が埋設されている。
【0024】
下部シールド層3および上部シールド層5は,例えば、いずれもニッケル鉄合金(NiFe(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%);以下、単に「パーマロイ(商品名)」という。)などの磁性材料により構成されており、それらの厚さはいずれも約1.0μm〜2.0μmである。シールドギャップ膜4は、MR素子6を周囲から電気的に分離するものであり、例えばアルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されている。MR素子6は、例えば、巨大磁気抵抗(GMR;Giant Magneto-resistive )効果またはトンネル磁気抵抗(TMR;Tunneling Magneto-resistive )効果などを利用して再生処理を実行するものである。
【0025】
《記録ヘッドの構成》
記録ヘッド100Bは、例えば、リターンヨーク層8と、開口9Kを有するギャップ層9により埋設された磁束発生用の薄膜コイル10と、開口9Kにおいてリターンヨーク層8と磁気的に連結されたヨーク層11と、このヨーク層11を介してリターンヨーク層8と磁気的に連結された主磁極層12と、この主磁極層12と共に非磁性層13を挟む補助磁極層14と、バッファ層15とがこの順に積層された構成をなしている。なお、図3では、非磁性層13およびバッファ層15の図示を省略している。ここで、主磁極層12、非磁性層13および補助磁極層14がこの順に積層された積層構造体が本発明における「磁極層」の一具体例に対応する。
【0026】
リターンヨーク層8は、主磁極層12から外部に放出された磁束を記録ヘッド100Bに取り込むためのものである。このリターンヨーク層8は、例えば、パーマロイ(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%)などの磁性材料により構成されており、その厚さは約1.0μm〜5.0μmである。
【0027】
ギャップ層9は、リターンヨーク層8上に配設され、開口9Kが設けられたギャップ層部分9Aと、このギャップ層部分9A上に配設され、薄膜コイル10の各巻線間およびその周辺領域を覆うギャップ層部分9Bと、ギャップ層部分9A,9Bを部分的に覆うギャップ層部分9Cとを含んで構成されている。ギャップ層部分9Aは、例えば、アルミナなどの非磁性絶縁材料により構成されており、その厚さは約0.1μm〜1.0μmである。ギャップ層部分9Bは、例えば、加熱されることにより流動性を示すフォトレジスト(感光性樹脂)やスピンオングラス(SOG)などにより構成されている。ギャップ層部分9Cは、例えば、アルミナやシリコン酸化物(SiO2 )などの非磁性絶縁材料により構成されており、その厚さはギャップ層部分9Bの厚さよりも大きくなっている。
【0028】
ヨーク層11は、リターンヨーク層8と主磁極層12とを磁気的に連結させるためのものであり、例えばパーマロイ(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%)などの磁性材料により構成されている。このヨーク層11は、例えば、その厚さ方向における表面の位置がギャップ層部分9Cの同方向における表面の位置と一致しており、すなわちギャップ層部分9Cと共に平坦面Mを構成している。
【0029】
薄膜コイル10は、例えば、銅(Cu)などの高導電性材料により構成されており、リターンヨーク層8とヨーク層11との連結部分を中心としてスパイラル状に巻回する巻線構造をなしている。なお、図1および図3では、薄膜コイル10を構成する複数の巻線のうちの一部のみを示している。
【0030】
主磁極層12、非磁性層13および補助磁極層14がこの順に積層された積層構造体(以下、単に「積層構造体」ともいう。)は、薄膜コイル10において発生した磁束を収容し、その磁束を記録媒体(図示せず)に向けて放出するものである。この積層構造体は、例えば、図3に示したように、全体として、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅W1を有する一定幅領域R1と、この一定幅領域R1よりも大きな幅W2(W2>W1)を有する拡幅領域R2とを含む平面形状を有している。この「平面形状」とは、主磁極層12、非磁性層13および補助磁極層14よりなる積層構造体の平面構成のシルエット形状の意であり、具体的には、図3において太線で示した領域の形状のことである。この積層構造体の幅が一定幅領域R1から拡幅領域R2へと拡がる位置は、薄膜磁気ヘッドの記録性能を決定する重要な因子のうちの1つである「フレアポイントFP」に相当する。主磁極層12と補助磁極層14とは、例えば、互いに異なる平面形状を有している。
【0031】
主磁極層12は、主要な磁束の流路となる部分である。この主磁極層12は、例えば、補助磁極層14の飽和磁束密度以上の飽和磁束密度を有する磁性材料、例えばパーマロイ(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%あるいはNi:45重量%,Fe:55重量%)、窒化鉄(FeN)または鉄コバルト系合金などにより構成されており、その厚さは約0.1μm〜0.5μmである。鉄コバルト系合金としては、例えば、鉄コバルト合金(FeCo),鉄コバルト合金窒化物(FeCoN),鉄コバルト合金酸化物(FeCoO),ニッケル鉄コバルト合金(CoFeNi)などが挙げられる。
【0032】
この主磁極層12は、一端面がエアベアリング面20に露出し、このエアベアリング面20から後方に向かって延在しており、例えば、エアベアリング面20に近い側から順に、先端部12Aと、この先端部12Aの後方に連結された後端部12Bとを含んで構成されている。先端部12Aは、主に、記録用の垂直磁界を発生させるために外部に磁束を放出する主要な磁束放出部分として機能するものである。この先端部12Aは、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅W1を有しており、その平面形状によって一定幅領域R1が規定されている。後端部12Bは、主に、薄膜コイル10において発生した磁束を収容するための主要な磁束収容部分として機能するものである。この後端部12Bは、例えば、先端部12Aの幅W1よりも大きな一定幅W2(W2>W1)を有しており、先端部12Aと後端部12Bとの連結位置によってフレアポイントFPが規定されている。なお、ギャップ層部分9Cのうち、先端部12Aの周辺領域は、部分的に掘り下げられている。
【0033】
非磁性層13は、主に、主磁極層12の形成時においてエッチング処理の進行を抑制するためのストッパ層として機能するものであり、主磁極層12と補助磁極層14との間に、これらの2つの層により挟まれるように配設されている。なお、ストッパ層としての非磁性層13の機能に関する詳細については、以下の「薄膜磁気ヘッドの製造方法」の項において説明する。この非磁性層13は、例えば、補助磁極層14よりもエッチング速度が遅い非磁性材料、具体的にはアルミナにより構成されており、その厚さは約0.015μm〜0.65μmである。この非磁性層13は、例えば、主磁極層12と同一の平面形状を有している。ここで、非磁性層13が本発明における「非磁性層」の一具体例に対応する。
【0034】
補助磁極層14は、主磁極層12の先端部12Aに磁束を供給する補助的な磁束の流路となる部分であり、非磁性層13を挟んで主磁極層12から完全に分離されている。この補助磁極層14は、例えば、パーマロイ(例えばNi:80重量%,Fe:20重量%あるいはNi:45重量%,Fe:55重量%)やニッケル鉄コバルト合金などの磁性材料により構成されており、その厚さは約0.1μm〜0.6μmである。
【0035】
この補助磁極層14は、一端面(前端面)Eがエアベアリング面20から後退し、すなわちエアベアリング面20から所定の距離(リセス距離V=約0.1μm〜1.0μm)だけ離れて拡幅領域R2に配設されている。この補助磁極層14は、フレアポイントFPから後方に向かって延在しており、例えば、フレアポイントFPに近い側から順に、先端部12Aと同様の一定幅W1を有する先端部14Aと、この先端部14Aの後方に連結され、先端部14Aよりも大きな幅を有する後端部14Bとを含んで構成されている。
【0036】
特に、先端部14Aは、図2および図3に示したように、エアベアリング面20に対して前端面Eよりも後退した位置からその前端面Eに向かって次第に膜厚が薄くなる前方部分14AFと、この前方部分14AFの後方に連結され、一定の膜厚を有する後方部分14ARとを含んで構成されている。後方部分14ARの膜厚をT1とし、前方部分14AFのうちの前端面Eの膜厚をT2とした場合、膜厚T1に対する膜厚T2の比(膜厚比T2/T1)は、例えば、0≦T2/T1≦0.8、好ましくは0≦T2/T1≦0.5の範囲内である。なお、図1および図2では、膜厚比T2/T1≠0(0<T2/T1)の場合、すなわち前端面Eが一定の膜厚を有する場合を示している。前方部分14AFは、図2および図3に示したように、その膜厚が薄くなる領域に対応した位置に平坦な斜面Sを有している。この斜面Sと補助磁極層14の延在面(X軸およびY軸を含む平面)とのなす角度(傾斜角度)αは、例えば、15度≦α≦75度の範囲内、具体的には45度である。ここで、前方部分14AFが本発明における「膜厚変化部分」の一具体例に対応し、後方部分14ARが本発明における「膜厚一定部分」の一具体例に対応する。
【0037】
バッファ層15は、主磁極層12や補助磁極層14の形成時において、非磁性層13と同様にエッチング処理の進行を抑制するためのストッパ層として機能するものである。なお、ストッパ層としてのバッファ層15の機能に関する詳細については、後述する。このバッファ層15は、例えば、非磁性層13と同様の構成材料により構成されており、主磁極層12の先端部12Aと、補助磁極層14の先端部14Aおよび後端部14Bとの合成体に対応する平面形状を有している。
【0038】
<薄膜磁気ヘッドの動作>
次に、図1〜図3を参照して、薄膜磁気ヘッドの動作について説明する。
【0039】
この薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録時において、図示しない外部回路を通じて記録ヘッド100Bの薄膜コイル10に電流が流れると、薄膜コイル10において磁束が発生する。このとき発生した磁束は、ヨーク層11を通じて主磁極層12に収容されると共に、非磁性層13を経由して補助磁極層14にも収容される。主磁極層12に収容された磁束は後端部12Bから先端部12Aに流入し、一方、補助磁極層14に収容された磁束も同様に、後端部14Bから先端部14Aに流入する。このとき、主磁極層12内を後端部12Bから先端部12Aに流れる磁束は、主磁極層12の幅の減少(W2→W1)に伴い、フレアポイントFPにおいて絞り込まれて集束する。また、補助磁極層14内を後端部14Bから先端部14Aに流入した磁束は、先端部14Aのうちの前端近傍部に集中したのち、再び非磁性層13を経由して主磁極層12の先端部12Aに流入する。これにより、主に、先端部12Aのうちのトレーリング側部分に磁束が集中する。この磁束が先端部12Aから外部に放出されることにより、記録媒体の表面と直交する方向に磁界(垂直磁界)が発生し、この垂直磁界により記録媒体が垂直方向に磁化されるため、記録媒体に情報が磁気的に記録される。記録時に外部に放出された磁束は、リターンヨーク層8を通じて記録ヘッド100Bに帰還する。
【0040】
なお、上記した「トレーリング側」とは、記録媒体の進行方向B(図1参照)に向かう記録媒体の移動状態を1つの流れと見た場合に、その流れの流出する側(媒体流出側)をいい、具体的には、ここでは厚さ方向(Z軸方向)におけるギャップ層9から遠い側(上側)をいう。これに対して、流れの流入する側(相対流入側)、すなわちギャップ層9に近い側(下側)は、「リーディング側」と呼ばれている。
【0041】
一方、再生時においては、再生ヘッド100AのMR素子6にセンス電流が流れると、MR素子6の抵抗値が、記録媒体からの再生用の信号磁界に応じて変化する。この抵抗変化をセンス電流の変化として検出することにより、記録媒体に記録されている情報が磁気的に読み出される。
【0042】
<薄膜磁気ヘッドの作用および効果>
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、補助磁極層14が、前端面Eに向かって次第に膜厚が薄くなる前方部分14AFを含んで構成されているため、補助磁極層14全体が一定の膜厚を有する場合よりも、前端面Eの面積が小さくなる。この場合には、上記「発明が解決しようとする課題」の項において説明したように、エアベアリング面20に近い側にフレアポイントFPを設定し、補助磁極層14をエアベアリング面20に近づけた際、前端面Eの面積減少に伴い、補助磁極層14の先端近傍に集中した磁束の影響が低減する。したがって、本実施の形態では、補助磁極層14内を流れる磁束に起因する垂直磁界分布への悪影響が抑制され、主磁極層12のトレーリング側の垂直磁界分布が安定化するため、正常な記録動作を確保することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、補助磁極層14の先端部14Aに関して、後方部分14ARの膜厚T1に対する前方部分14AFの膜厚T2の比(膜厚比T2/T1)を0≦T2/T1≦0.8、好ましくは0≦T2/T1≦0.5の範囲内としたので、膜厚比T2/T1を適正化することにより、垂直磁界分布中のピーク磁界強度(記録対象トラック位置に対応する垂直磁界強度)が大きくなると共に、磁場勾配(記録対象トラック位置に対応する垂直磁界強度と記録済みトラック位置に対応する垂直磁界強度との差異)が確保される。したがって、この観点においても垂直磁界分布の安定化に寄与することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、補助磁極層14の斜面Sの傾斜角度αを15度≦α≦75度の適正な範囲内としたので、その斜面Sに沿って先端部14Aの断面積が次第に小さくなり、これにより補助磁極層14内を流れる磁束が断面積の減少に応じて適正に絞り込まれる。したがって、磁束の絞り込み作用を利用して、垂直磁界分布の乱れを誘発する補助磁極層14内の磁束集中傾向が抑制されるため、この観点においても垂直磁界分布の安定化に寄与することができる。なお、傾斜角度αが上記範囲より小さい場合には、後方部分14ARの断面積に対して前方部分14AFの断面積が極端に小さくなるため、先端部14A内を後方部分14ARから前方部分14AFに磁束が流れる際に、磁束飽和を生じるおそれがある。一方、傾斜角度αが上記範囲より大きい場合には、先端部14Aにおいて傾斜領域が少なくなり、これにより磁束の絞り込み作用が低減するため、補助磁極層14の先端近傍において磁束が集中する可能性が高くなる。
【0045】
<第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する変形例>
なお、本実施の形態では、補助磁極層14の先端部14Aに関して、図2に示したように、膜厚比T2/T1≠0とし、前端面Eが一定の膜厚を有するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、上記したように、膜厚比T2/T1=0(T2=0)としてもよい。この場合には、図4に示したように、前方部分14AFの前端近傍部が、尖ったナイフエッジとなる。
【0046】
また、本実施の形態では、補助磁極層14の先端部14Aに関して、図2に示したように、斜面Sが平坦な場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図5に示したように斜面Sが凹状に湾曲していてもよいし、あるいは凸状に湾曲していてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、非磁性層7を介して上部シールド層5とリターンヨーク層8とを分離し、これらの上部シールド層5とリターンヨーク層8とが互いに別体をなすようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、非磁性層7を設けず、上部シールド層5とリターンヨーク層8とを一体化させるようにしてもよい。この場合、上部シールド層5とリターンヨーク層8との一体化層(上部シールド層兼リターンヨーク)の厚さは、適宜設定可能である。
【0048】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法>
次に、図1〜図16を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図6〜図11は薄膜磁気ヘッドの製造工程における一連の工程の断面構成を表し、図12〜図16はそれぞれ図6〜図10に示した各工程に対応する斜視構成を表している。
【0049】
以下では、まず、薄膜磁気ヘッド全体の製造方法の概略について説明したのち、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法が適用される要部、すなわち主磁極層12、非磁性層13および補助磁極層14よりなる積層構造体の形成方法について詳細に説明する。なお、薄膜磁気ヘッドの製造方法および要部の形成方法を説明する際には、各構成要素の形成材料、形成位置および構造的特徴等については上記「薄膜磁気ヘッドの構成」の項において既に詳述したので、その説明を随時省略するものとする。
【0050】
《薄膜磁気ヘッドの製造方法》
この薄膜磁気ヘッドは、主に、めっき処理やスパッタリングなどの成膜技術、フォトリソグラフィ技術などのパターニング技術、ならびにドライエッチングなどのエッチング技術等を含む薄膜プロセスを利用して、各構成要素を順次形成して積層させることにより製造される。すなわち、まず、基板1上に絶縁層2を形成したのち、この絶縁層2上に、下部シールド層3と、MR素子6を埋設したシールドギャップ膜4と、上部シールド層5とをこの順に積層させることにより、再生ヘッド100Aを形成する。
【0051】
続いて、再生ヘッド100A上に非磁性層7を形成したのち、この非磁性層7上に、リターンヨーク層8と、開口9Kを有し、薄膜コイル10を埋設するギャップ層9(ギャップ層部分9A,9B,9C)と、開口9Kにおいてリターンヨーク層8と連結されたヨーク層11と、ヨーク層11を介してリターンヨーク層8と磁気的に連結された主磁極層12と、非磁性層13と、補助磁極層14と、バッファ層15とをこの順に積層させることにより、記録ヘッド100Bを形成する。
【0052】
最後に、記録ヘッド100B上にオーバーコート層16を形成したのち、機械加工や研磨加工を利用してエアベアリング面20を形成することにより、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0053】
《薄膜磁気ヘッドの要部の形成方法》
薄膜磁気ヘッドの要部を形成する際には、ヨーク11を形成し、このヨーク11とギャップ層部分9Cとにより平坦面Mを構成したのち、まず、図6および図12に示したように、平坦面M上に、例えばスパッタリングを利用して、高飽和磁束密度材料よりなる前駆主磁極層12Xと、例えばアルミナよりなる前駆非磁性層13Xとをこの順に形成して積層させる。前駆主磁極層12Xは、後工程においてパターニングされることにより主磁極層12となる前準備層であり、同様に、前駆非磁性層13Xは後工程において非磁性層13となる前準備層である。
【0054】
続いて、図6および図12に示したように、例えばめっき法を利用して、前駆非磁性層13X上の、拡幅領域R2(図3参照)に対応する領域に、高飽和磁束密度材料よりなる前駆補助磁極層パターン14Xを選択的に形成する。この前駆補助磁極層パターン14Xは、後工程において補助磁極層14となる前準備層である。
【0055】
めっき法を利用した前駆補助磁極層パターン14Xの形成手順は、以下の通りである。すなわち、まず、前駆非磁性層13X上に、電解めっき処理を行うためのシード層となる電極膜(図示せず)を形成したのち、この電極膜上に、例えばポジティブ型のフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。電極膜の形成材料としては、例えば、前駆補助磁極層パターン14Xの形成材料と同様の材料を用いるようにする。続いて、前駆補助磁極層パターン14Xの平面形状に対応したパターン開口を有する露光用のマスク(図示せず)を使用して、そのパターン開口を通じてフォトレジスト膜を選択的に露光したのち、その露光領域を現像することにより、めっき処理を行うために必要なフォトレジストパターン31を形成する。最後に、フォトレジストパターン31をマスクとして使用すると共に、先工程において形成した電極膜をシード層として使用して選択的にめっき膜を成長させることにより、前駆補助磁極層パターン14Xを形成する。前駆補助磁極層パターン14Xを形成する際には、図12に示したように、前駆補助磁極層パターン14Xが、最終的に形成される補助磁極層14の前端面E(図2参照)を含む前端面(端面)Gを有し、その前端面Gの位置がフレアポイントFP(設定位置)に一致することとなるように、フォトレジストパターン31を位置合わせする。前駆補助磁極層パターン14Xを形成したのちには、フォトレジストパターン31を除去し、前駆補助磁極層パターン14Xの形成領域以外の領域に残存する不要な電極膜をエッチングして除去する。ここで、前駆補助磁極層パターン14Xが本発明における「第1の前駆補助磁極層パターン」の一具体例に対応する。
【0056】
引き続き、薄膜磁気ヘッドの要部の形成方法について説明する。
【0057】
前駆補助磁極層パターン14Xを形成したのち、例えばイオンミリングを利用し、前駆補助磁極層パターン14Xの前方部分(前端面Gに近い側の部分)を選択的にエッチングする。具体的には、例えば、図12に示したように、前駆補助磁極層パターン14Xの延在面(X軸およびY軸を含む平面)に対する垂線Pから比較的小さな角度(照射角度)θ=約35度±10度をなす方向からイオンビームを照射しながらエッチング処理を行う。このエッチング処理により、主に、幅方向のエッチング作用よりも厚さ方向のエッチング作用が優先され、この厚さ方向のエッチング作用に基づいて前駆補助磁極層パターン14Xの前方部分が上方から選択的に削られると共に、フレアポイントFPから後方に向かってエッチング量が次第に減少するため、図7および図13に示したように、補助磁極層14の斜面S(図2参照)を含む斜面Lを有し、その斜面Lに対応する部分の膜厚が前端面Gよりも後退した位置からその前端面Gに向かって次第に薄くなるように、前駆補助磁極層パターン14Yが形成される。この前駆補助磁極層パターン14Yを形成する際には、例えば、膜厚比T2/T1が0≦T2/T1≦0.8の範囲内となり、かつ斜面Lと前駆補助磁極層パターン14Yの延在面(X軸およびY軸を含む平面)とのなす傾斜角度αが約15≦α≦75度の範囲内となるように、エッチング量を調整する。なお、前駆補助磁極層パターン14Yが形成される際、フレアポイントFPよりも前方の領域では、エッチングレートの遅いアルミナよりなる前駆非磁性層13Xがストッパ層として機能するため、エッチングの影響を受けて前駆非磁性層13Xが僅かに掘り下げられる程度に留まる。これにより、エッチング処理の過剰進行が抑制されるため、エッチング対象でない前駆主磁極層12Xまでエッチング処理が及ぶことが防止される。ここで、前駆補助磁極層パターン14Yが本発明における「第2の前駆補助磁極層パターン」の一具体例に対応する。
【0058】
続いて、図8および図14に示したように、前駆非磁性層13Xの露出面および前駆補助磁極層パターン14Yの表面を覆うように、全体に、例えばスパッタリングを利用して、例えばアルミナよりなる前駆バッファ層15Xを形成する。この前駆バッファ層15Xは、後工程においてバッファ層15となる前準備層であり、前駆非磁性層13Xおよび前駆補助磁極層パターン14Yにより構成された下地構造に対応して、段差部Dを含むように形成される。
【0059】
続いて、図8および図14に示したように、フォトリソグラフィ処理を利用して、前駆バッファ層15X上の、一定幅領域R1および拡幅領域R2(図3参照)の双方に対応する領域に、フォトレジスト膜よりなるエッチング用のマスク層32を選択的に形成する。このマスク層32を形成する際には、例えば、最終的に形成される補助磁極層14の平面形状にほぼ対応して、先端部14Aと同様の一定幅W1を有する先端部32Aと、この先端部32Aよりも大きな幅を有する後端部32Bとを含むパターン形状をなすようにし、特に、後工程においてエアベアリング面20となる位置から段差部Dを経由して後方まで先端部32Aが延在するようにする。ここで、マスク層32が本発明における「マスク」の一具体例に対応する。
【0060】
続いて、マスク層32を使用し、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)を利用して前駆バッファ層15Xをパターニングする。このエッチング処理により、図9および図15に示したように、マスク層32とほぼ同様の平面形状を有するようにバッファ層15が形成される。このバッファ層15が形成される際には、前駆バッファ層15Xと共にマスク層32自体もエッチングされるため、その厚さが目減りする。バッファ層15の形成時点でマスク層32が残存するようにしてもよいし(図9,図15参照)、あるいは残存しないようにしてもよい。
【0061】
続いて、マスク層32、バッファ層15および前駆補助磁極層パターン14Yをマスクとして使用し、引き続きRIEを利用したエッチング処理を施して前駆非磁性層13Xを連続的にパターニングする。このエッチング処理により、図9および図15に示したように、バッファ層15と前駆補助磁極層パターン14Yとの合成体に対応する平面形状を有するように非磁性層13が形成される。
【0062】
続いて、マスク層32、バッファ層15、前駆補助磁極層パターン14Yおよび非磁性層13をマスクとして使用し、例えばイオンミリングを利用して前駆主磁極層12Xをパターニングする。このエッチング処理により、フレアポイントFPよりも前方の領域において、前駆主磁極層12Xのうち、先端部32Aに対応する部分以外の領域が選択的に掘り下げられることにより、図10および図16に示したように、フレアポイントFPにおいて互いに磁気的に連結された先端部12Aおよび後端部12Bを含むように主磁極層12が形成される。この際、フレアポイントFPよりも後方の領域では、前駆補助磁極層パターン14Yのうち、マスク層32に対応する部分以外の領域が途中まで選択的に掘り下げられることとなる。図10および図16では、主磁極層12の形成時点でマスク層32が消失し、バッファ15が露出した状態を示している。
【0063】
最後に、バッファ層15をマスクとして使用し、引き続きイオンミリングを利用したエッチング処理を施して前駆補助磁極層パターン14Yをパターニングする。このエッチング処理により、フレアポイントFPよりも後方の領域において、前駆補助磁極層パターン14Yのうち、バッファ層15に対応する部分以外の領域が選択的に除去されることにより、図11および図2に示したように、前駆補助磁極層パターン14Yの前端面Gの一部として前端面Eが形成され、かつ斜面Lの一部として斜面Sが形成されると共に、フレアポイントFPから順に先端部14Aおよび後端部14Bを含むように補助磁極層14が形成される。この補助磁極層14では、図2に示したように、前端面Eに向かって次第に膜厚が薄くなる前方部分14AFと、一定の膜厚を有する後方部分14ARとを含むように先端部14Aが構成される。主磁極層12が形成される際には、フレアポイントFPよりも後方の領域において、非磁性層13のうち、バッファ層15に対応する部分以外の領域が途中まで選択的に掘り下げられ、かつフレアポイントFPよりも前方の領域において、先端部12A周辺のギャップ層部分9Cが選択的に掘り下げられると共に、バッファ層15の厚さが目減りする。これにより、主磁極層12、非磁性層13および補助磁極層14よりなる積層構造体が完成する。
【0064】
なお、上記《薄膜磁気ヘッドの要部の形成方法》の項では、説明の便宜上、エッチングによるパターニング処理が完了した時点で主磁極層12、非磁性層13、補助磁極層14およびバッファ層15が完成する旨を記載しているが、これらの一連の構成要素は、実際には、パターニング処理が完了したのち、エアベアリング面20の形成工程を経て最終的に完成する。
【0065】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する作用および効果>
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法では、前端面Eに向かって次第に膜厚が薄くなる前方部分14AFを含む、特徴的な構成の補助磁極層14を形成するために、成膜処理やパターニング処理を含む既存の薄膜プロセスしか使用しない。したがって、補助磁極層14を備え、正常な記録動作を確保可能な本発明の薄膜磁気ヘッドを容易に製造することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、エッチング速度が遅い前駆バッファ層15Xをパターニングしてバッファ層15を形成するためのエッチング手法として、物理的エッチング作用および化学的エッチング作用の双方を利用したRIEを使用するようにしたので、物理的エッチング作用のみを利用したイオンミリングを使用する場合と比較して、バッファ層15を短時間で形成することができる。
【0067】
なお、上記「薄膜磁気ヘッドの製造方法≪薄膜磁気ヘッドの要部の形成方法≫」では、前駆補助磁極層パターン14Xをパターニングして前駆補助磁極層パターン14Yを形成する際、膜厚比T2/T1を0≦T2/T1≦0.8の範囲内としたが、特に、主磁極層12の形成精度を確保するためには、前端面G(のちの前端面E)が一定の膜厚が有するようにし、膜厚比T2/T1を0<T2/T1≦0.8の範囲内とするのが好ましい。なぜなら、上記したように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、前駆補助磁極層パターン14Yの前端面Gの位置に基づいてフレアポイントFPが規定されることとなるため、前駆補助磁極層パターン14Yの先端形状をナイフエッジ(膜厚比T2/T1=0)に近づけようとして膜厚比T2/T1を小さめに設定した場合、エッチング加工上の誤差等に起因して前駆補助磁極層パターン14Xの先端近傍を削り過ぎると、図17に示したように、前駆補助磁極層パターン14Yの前端面Gが後退し、フレアポイントFPが当初の設定位置からずれるおそれがあるからである。したがって、エッチング加工上の誤差等を考慮した上で、フレアポイントFPを目標通りに設定することを目指すならば、膜厚比T2/T1を比較的大きめ(T2/T1≠0)に設定するのが好ましいのである。
【0068】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する変形例>
なお、本実施の形態では、パターニング処理を行う際のエッチング手法としてイオンミリングやRIEを利用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、イオンミリングに代えてRIEを用い、一方、RIEに代えてイオンミリングを用いるようにしてもよい。もちろん、全てのパターニング処理に、イオンミリングまたはRIEのいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。
【0069】
【実施例】
次に、本発明の薄膜磁気ヘッドの諸特性を調べた実験結果について説明する。本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造された薄膜磁気ヘッドについて諸特性を調べたところ、図18〜図20に示した結果が得られた。
【0070】
図18は垂直磁界分布を説明するためのものであり、「横軸」は記録位置を示し、「縦軸」は垂直磁界強度(103 /(4π)A/m)を示している。記録位置とは、記録媒体の同一トラック上における記録位置であり、横軸中の記録位置N1,N2は、図1に示した主磁極層12のトレーリング側端位置,補助磁極層14のトレーリング側端位置に対応する位置をそれぞれ示している。すなわち、記録位置N1が現在の記録位置を表し、記録位置N2が既に記録済みの記録位置を表している。なお、図18中の線18A(破線)は比較例の薄膜磁気ヘッド(補助磁極層14の膜厚比T2/T1=1;図21参照)について示し、線18B(実線)は本発明の薄膜磁気ヘッド(膜厚比T2/T1≠1;図2参照)について示している。
【0071】
垂直磁界強度は、一般に、現在の記録位置近傍において最大(ピーク)となり、かつ既に記録済みの記録位置において次第に小さくなるように分布する。この場合、図18に示した結果から判るように、現在の記録位置N1およびその近傍では、比較例(18A)と本発明(18B)との間で垂直磁界のピーク強度がほぼ同等となるが、既に記録済みの記録位置N2では、比較例(18A)よりも本発明(18B)において垂直磁界強度が小さくなる。このことから、本発明において、現在の記録位置と既に記録済みの記録位置との間で垂直磁界強度の差異が大きくなり、垂直磁界分布が安定化することが確認された。
【0072】
図19は垂直磁界のピーク強度の変化を説明するためのものであり、「横軸」は膜厚比T2/T1を示し、「縦軸」は垂直磁界のピーク強度(103 /(4π)A/m)を示している。なお、図19中の記号「□」は第1の比較例の薄膜磁気ヘッド(補助磁極層14なし),記号「◇」は第2の比較例の薄膜磁気ヘッド(補助磁極層14あり,膜厚比T2/T1=1;図21参照)を示し、記号「●」は本発明の薄膜磁気ヘッド(補助磁極層14あり,膜厚比T2/T1≠1;図2参照)を示している。
【0073】
図19に示した結果から判るように、第1の比較例(□)のピーク強度は11400×103 /(4π)A/m、第2の比較例(◇)のピーク強度は11633×103 /(4π)A/m、本発明のピーク強度は11445×103 /(4π)A/m〜11595×103 /(4π)A/mであった。このことから、第1の比較例よりも、第2の比較例および本発明において、十分な垂直磁界強度が得られることが確認された。
【0074】
図20は垂直磁界の磁場勾配の変化を説明するためのものであり、「横軸」は膜厚比T2/T1を示し、「縦軸」は磁場勾配([103 /(4π)A/m]/μm)を示している。磁場勾配とは、記録媒体の同一トラック上における、単位長さ(現在の記録位置と既に記録済みの記録位置との間の間隔)当たりの垂直磁界強度の差異である。なお、図20中の記号「□」,「◇」および「●」は、図19と同様の事項を示している。
【0075】
図20に示した結果から判るように、第1の比較例(□)のピーク強度は30333×103 /(4π)A/m、第2の比較例(◇)のピーク強度は30177×103 /(4π)A/m、本発明のピーク強度は30317×103 /(4π)A/m〜30460×103 /(4π)A/mであった。このことから、第2の比較例よりも、第1の比較例および本発明において、十分な磁場勾配が得られることが確認された。
【0076】
図19および図20に基づいて確認された結果をまとめると、本発明では、膜厚比T2/T1が0≦T2/T1≦0.8の範囲内において、垂直磁界のピーク強度を確保し、かつ第1の比較例(補助磁極層なし)とほぼ同等以上の磁場勾配を確保可能なことが明らかとなった。特に、本実施の形態では、膜厚比T2/T1が0≦T2/T1≦0.5の範囲内において、第1の比較例よりも大きな磁場勾配を確保可能となる。さらに、本実施の形態では、上記した主磁極層12の形成精度を確保可能な範囲(0<T2/T1≦0.8)も加味すれば、膜厚比T2/T1を0<T2/T1≦0.8、さらに0<T2/T1≦0.5の範囲内とするのが好ましい。
【0077】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、上記実施の形態では、本発明を「単磁極型ヘッド」に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、「リング型ヘッド」に適用してもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、本発明を複合型薄膜磁気ヘッドに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや、記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。また、本発明は、書き込み用の素子および読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドについても適用可能である。さらに、本発明は、垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドに限らず、長手記録方式の薄膜磁気ヘッドについても適用可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドによれば、記録媒体対向面から後方に向かって順に主磁極一定幅部分および主磁極拡幅部分を含むように主磁極層を構成し、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に補助磁極一定幅部分および補助磁極拡幅部分を含むように補助磁極層を構成すると共に、特に、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に膜厚変化部分および膜厚一定部分を含み、この膜厚変化部分が主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において0よりも大きな膜厚を有するように補助磁極一定幅部分を構成したので、補助磁極層全体が一定の膜厚を有する場合よりも、一端面の面積が小さくなる。これにより、記録媒体対向面に補助磁極層を近づけた際、補助磁極層の先端近傍に集中した磁束の影響が低減するため、補助磁極層内を流れる磁束に起因した垂直磁界分布への悪影響が抑制される。したがって、主磁極層のトレーリング側の垂直磁界分布が安定化するため、正常な記録動作を確保することができる。
【0080】
また、請求項ないし請求項のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法によれば、記録媒体対向面から後方に向かって順に主磁極一定幅部分および主磁極拡幅部分を含むように主磁極層を形成し、主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に補助磁極一定幅部分および補助磁極拡幅部分を含むように補助磁極層を形成すると共に、特に、補助磁極一定幅部分が主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に膜厚変化部分および膜厚一定部分を含み、この膜厚変化部分が主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において0よりも大きな膜厚を有するようにするために、成膜処理やパターニング処理を含む既存の薄膜プロセスしか使用しないため、補助磁極層を備え、正常な記録動作を確保可能な本発明の薄膜磁気ヘッドを容易に製造することができる。特に、膜厚変化部分が主磁極一定幅部分と主磁極拡幅部分との連結位置に位置する一端面において0よりも大きな膜厚を有するようにすることにより、第1の前駆補助磁極層パターンをエッチングして第2の前駆補助磁極層パターンを形成する際、過剰エッチングに起因してフレアポイントが当初の設定位置からずれることを防止することができる。
【0083】
また、請求項記載の垂直磁気記録ヘッドによれば、斜面と補助磁極層の延在面とのなす角度を15度以上75度以下の範囲内としたので、この角度を適正化することにより、補助磁極層内における磁束の絞り込み作用を利用して、垂直磁界分布の乱れを誘発する補助磁極層内の磁束集中傾向が抑制される。したがって、この観点においても垂直磁界分布の安定化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの断面構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部の斜視構成を拡大して表す斜視図である。
【図3】図1に示した薄膜磁気ヘッドの要部の平面構成を拡大して表す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成に関する変形例を表す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構成に関する他の変形例を表す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面図である。
【図8】図7に続く工程を説明するための断面図である。
【図9】図8に続く工程を説明するための断面図である。
【図10】図9に続く工程を説明するための断面図である。
【図11】図10に続く工程を説明するための断面図である。
【図12】図6に示した断面構成に対応する斜視図である。
【図13】図7に示した断面構成に対応する斜視図である。
【図14】図8に示した断面構成に対応する斜視図である。
【図15】図9に示した断面構成に対応する斜視図である。
【図16】図10に示した断面構成に対応する斜視図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する不慮の問題点を説明するための斜視図である。
【図18】垂直磁界分布に関する実験結果を表す図である。
【図19】垂直磁界のピーク強度の変化に関する実験結果を表す図である。
【図20】垂直磁界の磁場勾配の変化に関する実験結果を表す図である。
【図21】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例としての薄膜磁気ヘッドの斜視構成を拡大して表す斜視図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4…シールドギャップ膜、5…上部シールド層、6…MR素子、7,13…非磁性層、8…リターンヨーク層、9…ギャップ層、9A,9B,9C…ギャップ層部分、10…薄膜コイル、11…ヨーク層、12…主磁極層、12A,14A,32A…先端部、12B,14B,32B…後端部、12X…前駆主磁極層、13X…前駆非磁性層、13Y…前駆非磁性層パターン、14…補助磁極層、14AF…前方部分、14AR…後方部分、14X,14Y…前駆補助磁極層パターン、15…バッファ層、15X…前駆バッファ層、16…オーバーコート層、20…エアベアリング面、31…フォトレジストパターン、32…マスク層、100A…再生ヘッド、100B…記録ヘッド、B…記録媒体の進行方向、D…段差部、E,G…前端面、FP…フレアポイント、L,S…斜面、M…平坦面、P…垂線、R1…一定幅領域、R2…拡幅領域、V…リセス距離、α…傾斜角度、θ…照射角度。

Claims (7)

  1. 磁束を発生させる薄膜コイルと、この薄膜コイルにおいて発生した磁束を所定の媒体進行方向に移動する記録媒体に向けて放出する磁極層と、を備え、
    前記磁極層が、前記記録媒体に対向する記録媒体対向面に露出するように配設された主磁極層と、この主磁極層の前記媒体進行方向における媒体流出側に、前記記録媒体対向面から一端面が後退すると共に前記主磁極層の一部と対向するように配設された補助磁極層と、前記主磁極層と前記補助磁極層との間に、これらの2つの層により挟まれるように配設された非磁性層と、を含む積層構造を有する垂直磁気記録ヘッドであって、
    前記主磁極層が、前記記録媒体対向面から後方に向かって順に、前記記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する主磁極一定幅部分と、この主磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな一定幅を有する主磁極拡幅部分と、を含み、
    前記非磁性層が、前記主磁極層の平面形状と同一の平面形状を有し、
    前記補助磁極層が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、前記主磁極一定幅部分の幅と同一の一定幅を有する補助磁極一定幅部分と、この補助磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する補助磁極拡幅部分と、を含むと共に、
    前記補助磁極一定幅部分が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、前記記録媒体対向面に対して前記一端面よりも後退した位置からその一端面に向かって次第に膜厚が薄くなる膜厚変化部分と、この膜厚変化部分の後方に連結されて一定の膜厚を有する膜厚一定部分と、を含み、
    前記膜厚変化部分が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置に位置する前記一端面において、0よりも大きな膜厚を有する
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッド。
  2. 前記膜厚変化部分が、その膜厚が薄くなる領域に対応して位置する斜面を有し、
    この斜面と前記補助磁極層の延在面とのなす角度が、15度以上75度以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録ヘッド。
  3. 前記磁極層が、全体として、前記記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する一定幅領域と、この一定幅領域の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する拡幅領域と、を含み、
    前記磁極層の幅が前記一定幅領域から前記拡幅領域へと拡がる拡がる位置が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置によって規定されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直磁気記録ヘッド。
  4. 磁束を発生させる薄膜コイルと、
    所定の媒体進行方向に移動する記録媒体に対向する記録媒体対向面に露出するように配設された主磁極層と、この主磁極層の前記媒体進行方向における媒体流出側に、前記記録媒体対向面から一端面が後退すると共に前記主磁極層の一部と対向するように配設された補助磁極層と、前記主磁極層と前記補助磁極層との間に、これらの2つの層により挟まれるように配設された非磁性層と、を含む積層構造を有し、前記薄膜コイルにおいて発生した磁束を前記記録媒体に向けて放出する磁極層と、
    を備えた垂直磁気記録ヘッドの製造方法であって、
    記磁極層を形成する工程が、
    前記主磁極層の前準備層としての前駆主磁極層および前記非磁性層の前準備層としての前駆非磁性層をこの順に形成して積層させる工程と、
    前記前駆非磁性層上に、前記前駆主磁極層および前記前駆非磁性層よりも後退して前記一端面を含む端面を有するように、前記補助磁極層の前準備層としての第1の前駆補助磁極層パターンを形成する工程と、
    この第1の前駆補助磁極層パターンのうちの前記端面に近い側の部分を選択的にエッチングすることにより、前記記録媒体対向面に対して前記端面よりも後退した位置からその端面に向かって次第に膜厚が薄くなる部分を含むように第2の前駆補助磁極層パターンを形成する工程と、
    エッチング用のマスクを使用して、前記前駆主磁極層、前記前駆非磁性層および前記第2の前駆補助磁極層パターンをエッチングしてパターニングすることにより、前記主磁極層、前記非磁性層および前記補助磁極層を形成する工程と
    を含み、
    前記主磁極層が、前記記録媒体対向面から後方に向かって順に、前記記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する主磁極一定幅部分と、この主磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな一定幅を有する主磁極拡幅部分と、を含み、
    前記非磁性層が、前記主磁極層の平面形状と同一の平面形状を有し、
    前記補助磁極層が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、前記主磁極一定幅部分の幅と同一の一定幅を有する補助磁極一定幅部分と、この補助磁極一定幅部分の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する補助磁極拡幅部分と、を含むようにすると共に、
    前記補助磁極一定幅部分が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置から後方に向かって順に、前記記録媒体対向面に対して前記一端面よりも後退した位置から前記一端面に向かって次第に膜厚が薄くなる膜厚変化部分と、この膜厚変化部分の後方に連結されて一定の膜厚を有する膜厚一定部分と、を含み、
    前記膜厚変化部分が、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置に位置する前記一端面において、0よりも大きな膜厚を有するようにする
    ことを特徴とする垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  5. めっき膜を成長させることにより、前記第1の前駆補助磁極層パターンを形成する
    ことを特徴とする請求項記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  6. イオンミリングを用い、前記第1の前駆補助磁極層パターンの延在面と直交する方向に対して35度±10度の角度をなす方向からイオンビームを照射しながら、前記第1の前駆補助磁極層パターンをエッチングする
    ことを特徴とする請求項4または請求項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
  7. 前記磁極層が、全体として、前記記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する一定幅領域と、この一定幅領域の後方に連結されてそれよりも大きな幅を有する拡幅領域と、を含むようにし、
    前記磁極層の幅が前記一定幅領域から前記拡幅領域へと拡がる拡がる位置を、前記主磁極一定幅部分と前記主磁極拡幅部分との連結位置によって規定する
    ことを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の垂直磁気記録ヘッドの製造方法。
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