JP3847506B2 - ズームレンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ズームレンズに関し、特に、CCD等の電子撮像素子を用いたカメラに適したズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀塩35mmフィルム(通称ライカ版)カメラに代わる次世代カメラとしてデジタルカメラ(電子カメラ)が注目されてきている。特に対角画角60°程度の単焦点レンズから、これを広角端とした3倍程度のズームレンズが民生レンズでの主流になってきている。さらにハイクラスになると、より広角側あるいは望遠側へのニーズが高くなると同時に、一眼レフ式を用いた高級機用としてのニーズも高くなる。すると、当然画質も高いものが要求される。中でも、対角画角75°クラスの一眼レフに適したズームレンズについては、たとえば、特開平4−163415号や特開平5−27175号がある。
【0003】
これらは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群よりなり、広角端より望遠端への変倍を、第1群と第2群の間隔及び第3群と第4群の間隔は減少し、第2群と第3群の間隔及び第4群と結像面の間隔は増大するように、各群が移動するズームレンズを開示している。また、これらは広角端でのF値が2ないし2. 8程度と明るい。
【0004】
しかし、この当時には、一眼レフと言えども画素数は高々100万画素程度の性能確保の示唆しかされておらず、将来的には600万とも1000万とも言われている画素数の電子撮像素子の性能をフルに発揮させ得るレンズの獲得についての示唆はない。
【0005】
また、性能を確保しようとすると、当然サイズも大きくなりがちであり、この点も解決すべき課題である。
【0006】
また、フォーカスに関しては、駆動系にかかる負担やレイアウト、また、第1群の有効径を考慮すると、リアフォーカシングが望ましいが、上記の負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群よりなるズームレンズでのリアフォーカスを行おうとすると、収差の変動の問題、又は、第4群の倍率が等倍又はそれに近い倍率となるズーム領域が含まれ、フォーカスが不可能、又は、フォーカス群の移動量を大きく確保しなければないという課題が発生し好ましくかった。
【0007】
特開平4−264412号や特開平9−203861号では、上記の負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群と、変倍時固定の正の第5群からなるズームレンズを提示しているが、変倍に関する負担は物体側の4つのレンズ群が担当しており、また、フォーカシングに関しては特に示唆はない。
【0008】
また、特開平6−102455号では、上記の負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群と、変倍時においても移動する負の第5群から構成され、この第5群でフォーカシングを行うリアフォーカスズームレンズが提示されている。この光学系では、無限遠から近距離へのフォーカシング時に第5群を像側に移動させることも示されている。テレセントリックに近いことが要求されるCCD等の電子撮像素子に対応した光学系を構成するとき、最も像側のレンズ群が負のパワーであると、光学系全体が太くなり好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に電子撮像素子に対応した高性能大口径広角ズームレンズを提供することである。また、特に電子撮像素子に対応した高性能大口径広角ズームレンズのフォーカシング法を提供することである。また、600万画素クラスの小型電子撮像素子を用いた一眼レフ式カメラにも対応できる広角端対角画角75°(35mm版換算で、焦点距離28mmクラス)で3倍クラスの高性能大口径広角ズームレンズを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、
広角端より望遠端への変倍を、前記第1群と前記第2群の間隔及び前記第3群と前記第4群の間隔を減少させ、前記第2群と前記第3群の間隔及び前記第4群と結像面の間隔を増大させ、前記第3群と前記第5群の間隔を減少させ、前記第5群と前記結像面の間隔を増大させて行い、
物点移動の際の合焦は前記第5群で行い、その際、近距離から無限遠方向にフォーカシングさせる場合には、前記第5群を像側に移動し、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合には前記第5群を物体側に移動させ、以下の条件を満足することを特徴とするものである。
(1) −0.2<βV <0.8
(2) 0.6<ΔL5/ΔL4<1.2
(3) 0.05<D45/f5 <0.15
ただし、βV は広角端無限物点合焦時の前記第5群の倍率、ΔL4は前記第4群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、ΔL5は前記第5群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、D45は望遠端無限遠物点合焦時における前記第4群と前記第5群との光軸上空気間隔、f5 は前記第5群の焦点距離である。
【0011】
以下、本発明において上記構成をとる理由と作用について説明する。
【0012】
従来技術の項で指摘したように、負、正、負、正のズームレンズ構成は、広角化に適したタイプである。この第4群の機能を正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群に分け、変倍時の収差の変動を少なくすると共に、光学系全体を太くすることなくテレセントリック性を確保し、かつ、少ない移動量でかつ変倍全領域で、フォーカシング時の結像性能の劣化も少なく、リアフォーカス(最も像側のレンズ群でフォーカスする)を可能にする構成を発明した。
【0013】
図11〜図13は、この発明の作用を説明するための図であり、図11は従来タイプでの第1レンズ群G1をフォーカス群として用いたケースで、図11(a)の状態から第1レンズ群G1を繰り出した図11(b)の状態から明らかなように、フォーカスにより第1群G1の有効径を大きくしなければならないのが分かる。図12は、従来タイプの像側に負レンズ群G1を配置して、負、正、負、正、負のズームレンズ構成とし、第1レンズ群G1をこれをフォーカス群とした場合で、テレセントリックな光学系では、第4群G4の有効径を大きくしなければならないことを示している。図13は本発明のズームレンズ構成を示したもので、効率的な光学系であることが分かる。なお、図13からは分からないが、第4群G4と第5群G5の変倍時の間隔のレイアウトで、特に非点収差、コマ収差、像面湾曲等の軸外収差の変動を少なくする効果もある。また、焦点検出法に関しては、三角測距や位相差法等により行ってもよいし、撮像素子からの情報に基づいたコントラスト法等によって行ってもよい。
【0014】
また、本発明において、以下の条件の何れかを満足すると、リアフォーカスのメリットを引き出すのが容易になり好ましい。
【0015】
(1) −0.2<βV <0.8
(2) 0.6<ΔL5/ΔL4<1.2
(3) 0.05<D45/f5 <0.15
ただし、βV は広角端無限物点合焦時の第5群の倍率、ΔL4は第4群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、ΔL5は第5群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、D45は望遠端無限遠物点合焦時における第4群と第5群との光軸上空気間隔、f5 第5群の焦点距離である。
【0016】
また、別個に各々以下の条件を満足すればベターである。
【0017】
(1') 0<βV <0.7
(2') 0.7<ΔL5/ΔL4<1.1
(3') 0.06<D45/f5 <0.12
また、別個に各々以下の条件まで満足すればベストである。
【0018】
(1") 0.2<βV <0.6
(2") 0.8<ΔL5/ΔL4<1.05
(3") 0.07<D45/f5 <0.1
上記の条件(1)は、広角端無限物点合焦時の第5群の倍率βV を規定するものである。上限の0.8を越えると、フォーカス時の移動量が大きくなりやすく、多くのスペースを要し好ましくない。下限の−0.2を越えると、第5群のパワーが強くなる上に径が大きくなる傾向にあるので、レンズの縁肉確保ができなくなり好ましくない。
【0019】
条件(2)は、第4群と第5群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量(それぞれΔL4、ΔL5)の比を規定したものである。近距離物点への合焦時のフォーカス群(第5群)の移動量は、広角端に対し望遠端にておおよそズーム比の2乗倍であるため、上限の1.2以下であることが必要であり、より望ましくは上限を1よりも小さくすることである。0. 9以下であればなお好ましい。一方、本ズームレンズの増倍作用は第4・ 5合成群が第3群へ接近することでその一部を担っており、主役の一つになっているが、下限の0.6を越えるようだと、第4群の第3群への接近の割に第4・ 5合成群の主点の接近が十分に得られず、変倍効果が少なくなり望ましくない。
【0020】
条件(3)は、望遠端無限遠物点合焦時における第4群と第5群との光軸上空気間隔D45を規定するものである。上限の0.15を越えると、変倍比の低下若しくは全長が長くなったり、変倍時の射出瞳位置の変動が大きくなりやすい等好ましくない。下限の0.05を越えると、フォーカスストロークが不十分で近距離撮影ができなくなる。
【0021】
また、第5群はフォーカス機能を有するが、フォーカスによる収差変動が大きいと好ましくない。また、第5群には射出側テレセントリック性を確保する役割もある。さらには、軸外諸収差が発生しやすい群でもある。したがって、第5群は非球面を含む正の単レンズ成分又は負レンズと正レンズの2枚(正の接合レンズ成分しても可)から構成するのが好ましい。あるいは、第5群の最も物体側の面の曲率半径をR51、最も像側の面の曲率半径をR52としたとき、
(4) −2<(R51+R52)/(R51−R52)<0.2
又は、
(4') −1.5<(R51+R52)/(R51−R52)<0
又は、
(4") −1.2<(R51+R52)/(R51−R52)<−0.2
を満足するのが好ましい。この範囲を何れかの方向に外れても、軸上収差と軸外収差のバランスが取れず、有効画面全域でフラットな特性を得ることが難しくなり好ましくない。
【0022】
以下に、本発明の第2の発明の高性能大口径広角ズームレンズについて説明する。
【0023】
このズームレンズは、物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、正レンズ、負メニスカスレンズ、負レンズと正メニスカスレンズの接合からなる負レンズ成分よりなり、以下の条件を満足するで広い画角に亘って高い結像性能を確保するものである。
【0024】
(5) −4.0<f1 /fW <−1.5
(6) 1.55<n1 <1.8
(7) 1.3<R4 /fW <3.5
(8) 37<ν1 <83
ただし、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、n1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質屈折率、R4 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径、ν1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質アッベ数である。
【0025】
又は、別個に各々以下の条件まで満足すれば好ましい。
【0026】
(5') −3.5<f1 /fW <−1.6
(6') 1.6<n1 <1.8
(7') 1.5<R4 /fW <3
(8') 39<ν1 <65
又は、別個に各々以下の条件まで満足すればさらに好ましい。
【0027】
(5") −3.2<f1 /fW <−1.7
(6") 1.65<n1 <1.8
(7") 1.7<R4 /fW <2.5
(8") 45<ν1 <56
条件(5)は、第1群全体の焦点距離f1 を全系の広角端での焦点距離fW にて規定したものである。上限の−1.5を越えると、上記負メニスカスレンズの凹面の曲率半径を著しく小さくしなければならず、レンズとして構成することが困難であると同時に軸外の各収差が悪化しやすい。下限の−4.0を越えると、収差補正には有利であるが、入射瞳が深くなりやすく(即ち、入射瞳位置が像面側の方に配置されやすく)第1群径が巨大化しやすい。
【0028】
条件(6)は、第1群の最も物体側の正レンズの媒質屈折率n1 に関する規定である。本発明の高性能大口径広角ズームレンズは負のペッツバール和になりやすい傾向がある。上限の1.8を越えると、ペッツバール和補正に不利な方向となり非点収差が悪化しやすい。下限の1.55を越えると、画角の大きいところでの高次収差が出やすい。
【0029】
条件(7)は、第1群の上記負メニスカスレンズの凹面の曲率半径R4 を規定したものである。この面のパワーは第1群全体のパワーに対し支配的であり、かつ、入射瞳位置に対しても支配的である。上限の3.5を越えると、入射瞳が深くなりやすく第1群径が巨大化しやすい。下限値1.3を越えると、レンズとして構成することが困難であると同時に軸外の各収差が悪化しやすい。
【0030】
条件(8)は、第1群の最も物体側の正レンズの媒質アッベ数ν1 に関する規定である。上限の83を越えると、軸上色収差や倍率色収差(像高に比例した横収差成分)の補正が困難で、下限の37を越えると、倍率色収差に著しい非線型性(色のディストーション)が加わり、画面周辺部にて著しい色ずれが出やすい。
【0031】
以下に、本発明の第3の発明の高性能大口径広角ズームレンズについて説明する。
【0032】
このズームレンズは、物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、正レンズ、負メニスカスレンズ、負レンズ、正メニスカスレンズより構成し、さらには,大きくなりがちな第1群径を小さくするために、第1群の負レンズと正メニスカスレンズとの間隔D6 に関して条件(9)を満足することを特徴とし、加えて、条件(10)から(13)を満足する大口径広角ズームレンズに関するものである。
【0033】
(9) 0.5<D6 /fW <1.2
(10) −4.0<f1 /fW <−1.5
(11) 1.55<n1 <1.8
(12) 1.3<R4 /fW <3.5
(13) 37<ν1 <83
ただし、D6 は第1群の負レンズと正メニスカスレンズとの間隔、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、n1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質屈折率、R4 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径、ν1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質アッベ数である。
【0034】
又は、別個に各々以下の条件まで満足すれば好ましい。
【0035】
(9' ) 0.6<D6 /fW <1.1
(10' ) −3.5<f1 /fW <−1.6
(11' ) 1.6<n1 <1.8
(12' ) 1.5<R4 /fW <3
(13' ) 39<ν1 <65
又は、別個に各々以下の条件まで満足すればさらに好ましい。
【0036】
(9" ) 0.7<D6 /fW <1.0
(10" ) −3.2<f1 /fW <−1.7
(11" ) 1.65<n1 <1.8
(12" ) 1.7<R4 /fW <2.5
(13" ) 45<ν1 <56
条件(9)の下限の0.5を越えると、第1群径が大きくなりやすく、上限の1.2を越えると、第1群径は小さくできるが、元々小さい第2群径が大きくなり初め、縁肉確保が困難あるいはそのためにレンズの巨大化や性能劣化を招きやすい。
【0037】
条件(10)から(13)までは第2の発明の条件(5)から(8)までと理由は同じである。
【0038】
以下に、本発明の第4の発明の高性能大口径広角ズームレンズについて説明する。この発明は、本発明の参考例である。
【0039】
このズームレンズは、物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、負メニスカスレンズ、負レンズ、正レンズと負レンズとの接合からなる負レンズ成分よりなり、以下の条件を満足する大口径広角ズームレンズに関するものである。
【0040】
(14) −4.0<f1 /fW <−1.5
(15) 1.3<R2 /fW <3.5
ただし、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、R2 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径である。
【0041】
又は、別個に各々以下の条件まで満足すれば好ましい。
【0042】
(14' ) −3.5<f1 /fW <−1.6
(15' ) 1.5<R2 /fW <3
又は、別個に各々以下の条件まで満足すればさらに好ましい。
【0043】
(14" ) −3.2<f1 /fW <−1.7
(15" ) 1.7<R2 /fW <2.5
条件(14)の理由は、条件(5)、(10)と、第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径R2 を規定する条件(15)の理由は、条件(7)、(12)と同じである。
【0044】
また、上記構成に加え、第1群に少なくとも1面の非球面を加えることにより、構成枚数を変えることなく結像性能を向上させることができる。
【0045】
なお、上記それぞれの発明につき、以下のような屈折率配置にすれば、収差補正はより良くなる。第1群の焦点距離の絶対値f1abs、第1群の後側主点位置(第1群の後側主点と第1群の最像側面との光軸上の距離)の絶対値Hb1absについて以下の条件を満たすのがよい。
【0046】
(16) 0.15<Hb1abs/f1abs<0.9
又は、
(16' ) 0.2<Hb1abs/f1abs<0.8
又は、
(16" ) 0.25<Hb1abs/f1abs<0.7
条件(16)の上限値0.9を越えると、第2群への入射光線高が高くなりすぎ、第2群の正レンズの縁肉確保や球面収差補正が困難になる。下限値0.15を越えると、入射瞳が深くなりすぎて前玉径が大きくなりやすい。
【0047】
次に、第1群と第2群との相互関係において以下の条件を満たすのがよい。ただし、f2 は第2群の焦点距離である。
【0048】
(17) 0.7×10-2mm-1<Hb1abs/(f1abs・f2
<6×10-2mm-1
又は、
(17' ) 0.8×10-2mm-1<Hb1abs/(f1abs・f2
<5×10-2mm-1
又は、
(17" ) 0.9×10-2mm-1<Hb1abs/(f1abs・f2
<4×10-2mm-1
条件(17)の上限値6×10-2mm-1を越えると、変倍時の球面収差の変動特に色の球面収差が大きくなりやすい。下限の0.7×10-2mm-1を越えると、全長や前玉径が大きくなりやすい。
【0049】
そして、第3群については、接合された凹レンズ成分と負の単レンズの2つのレンズ成分にて構成し、以下の条件を満たすのがよい。
【0050】
(18) 0.1<f31/f32<1
ただし、f31は第3群の接合された凹レンズ成分の焦点距離、f32は第3群の負の単レンズの焦点距離である。
【0051】
又は、
(18' ) 0.2<f31/f32<0.9
又は、
(18" ) 0.3<f31/f32<0.8
条件(18)の上限値1を越えると、第4群への主光線高が高くなり、軸外収差の補正が困難になる。下限の0.1を越えると、第3群内での球面収差、特に色の球面収差が大きくなりやすい。
【0052】
以上3つの条件(16)、(17)、(18)の中、複数個を満たすのはなおよい。無論、(16)に代えて(16' )、(16" )、又は、(17)に代えて(17' )、(17" )、又は、(18)に代えて(18' )、(18" )とする等の変更があって構わない。
【0053】
また、第1の発明から第4の発明まで共通して言えることは、広角端から望遠端にかけて変倍する際、第1群は広角端よりも望遠端にて像側に移動し、第2群と第4群が常に物体側に移動し、第3群が固定であるズーム方式が好ましいという点である。さらに、第2群と第4群が一体に移動するのも鏡枠構成上有利であり、光学的にも成立させやすい。開口絞り位置は、第3群近傍、つまり、第3群の物体側又は像側の空気間隔中か、第3群中に固定するのがよい。また、開口絞りを第2群と一体としてもよい。
【0054】
なお、上記に示した各構成は、変倍比が2.7以上のズームレンズに好適である。また、各構成は、広角端の画角2ωが70°以上のズームレンズに好適である。また、各構成は、開口絞りが開放時のFナンバーが全変倍域で3.5以下、さらには2.8以下の明るいズームレンズに好適である。
【0055】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のズームレンズの実施例1〜4について説明する。各実施例のズームレンズのレンズデータは後記する。長さの単位はmmである。なお、実施例4は本発明の参考例である。
【0056】
図1〜図4に実施例1〜4のズームレンズの広角端でのレンズ配置を示す断面図を示す。各群の広角端から望遠端へのズーミングに伴う移動軌跡も矢印で模式的に示してある。なお、図1〜図4においては、何れも第5群G5と像面の間に3枚の平行平板が配置されているが、これらは、物体側から順に、ファインダー用分割プリズム、ローパスフィルター、IRカットフィルターである。
【0057】
実施例1は、焦点距離7.00〜21.00、画角76.3°〜29.4°、Fナンバー2.04〜2.73のズームレンズであり、図1に示すように、第1群G1は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、両凹負レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズとからなり、第2群G2は、両凹負レンズと両凸正レンズとの接合レンズと、両凸正レンズとからなり、その後に絞りSが位置し、第3群G3は、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹負レンズとの接合レンズからなり、第4群G4は、両凸正レンズ1枚からなり、第5群G5は、両凸正レンズと像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズからなる。非球面は、第1群G1の接合レンズの物体側の面、第2群G2の両凸正レンズの物体側の面、第4群G4の両凸正レンズの像面側の面の3面に用いられている。広角端から望遠端への変倍の際、図に矢印で示すように、絞りSと第3群G3は固定で、第1群G1は像面側に移動し、第2群G2は物体側に移動し、第4群G4、第5群G5は物体側に移動する。その間、第1群G1と第2群G2の間隔、及び、第3群G3と第4群G4の間隔、及び、第3群G3と第5群G5の間隔は減少し、第2群G2と第3群G3の間隔、及び、第4群G4と像面の間隔、及び、第5群G5と像面の間隔は増大する。物点移動の際の合焦は第5群G5で行い、その際、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合は物体側に移動させる。
【0058】
実施例2は、焦点距離7.00〜21.00、画角76.3°〜29.4°、Fナンバー2.01〜2.54のズームレンズであり、図2に示すように、第1群G1は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、両凹負レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズとからなり、第2群G2は、両凹負レンズと両凸正レンズとの接合レンズと、両凸正レンズとからなり、その後に絞りSが位置し、第3群G3は、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹負レンズとの接合レンズからなり、第4群G4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸正レンズとの接合レンズからなり、第5群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。非球面は、第1群G1の接合レンズの物体側の面、第2群G2の両凸正レンズの物体側の面、第5群G5の両凸正レンズの物体側の面の3面に用いられている。広角端から望遠端への変倍の際、図に矢印で示すように、絞りSと第3群G3は固定で、第1群G1は像面側に移動し、第2群G2は物体側に移動し、第4群G4、第5群G5は物体側に移動する。その間、第1群G1と第2群G2の間隔、及び、第3群G3と第4群G4の間隔、及び、第3群G3と第5群G5の間隔は減少し、第2群G2と第3群G3の間隔、及び、第4群G4と像面の間隔、及び、第5群G5と像面の間隔は増大する。物点移動の際の合焦は第5群G5で行い、その際、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合は物体側に移動させる。
【0059】
実施例3は、焦点距離7.00〜21.00、画角76.3°〜29.4°、Fナンバー2.01〜3.17のズームレンズであり、図3に示すように、第1群G1は、物体側に強い凸面を向けた両凸正レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、両凹負レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとからなり、第2群G2は、両凹負レンズと両凸正レンズとの接合レンズと、両凸正レンズとからなり、その後に絞りSが位置し、第3群G3は、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹負レンズとの接合レンズと、両凹負レンズとからなり、第4群G4は、両凹負レンズと両凸正レンズとの接合レンズとからなり、第5群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ1枚からなる。非球面は、第1群G1の両凹負レンズの物体側の面、第2群G2の両凸正レンズの物体側の面、第5群G5の両凸正レンズの物体側の面の3面に用いられている。広角端から望遠端への変倍の際、図に矢印で示すように、絞りSと第3群G3は固定で、第1群G1は像面側に移動し、第2群G2は物体側に移動し、第4群G4、第5群G5は物体側に移動する。その間、第1群G1と第2群G2の間隔、及び、第3群G3と第4群G4の間隔、及び、第3群G3と第5群G5の間隔は減少し、第2群G2と第3群G3の間隔、及び、第4群G4と像面の間隔、及び、第5群G5と像面の間隔は増大する。物点移動の際の合焦は第5群G5で行い、その際、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合は物体側に移動させる。
【0060】
実施例4は、焦点距離7.00〜21.00、画角76.3°〜29.4°、Fナンバー2.01〜2.82のズームレンズであり、図3に示すように、第1群G1は、物体側に強い凸面を向けた負メニスカスレンズ2枚と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹負レンズとの接合レンズとからなり、第2群G2は、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズと像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズと、両凸正レンズとからなり、その後に絞りSが位置し、第3群G3は、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹負レンズとの接合レンズと、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズとからなり、第4群G4は、物体側に強い凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸正レンズとの接合レンズと、両凸正レンズとからなる。非球面は、第1群G1の2枚目の負メニスカスレンズ像面側の面、第2群G2の両凸正レンズの物体側の面、第4群G4の両凸正レンズの物体側の面の3面に用いられている。広角端から望遠端への変倍の際、図に矢印で示すように、絞りSと第3群G3は固定で、第1群G1は像面側に移動し、第2群G2は物体側に移動し、第4群G4は物体側に移動する。その間、第1群G1と第2群G2の間隔、及び、第3群G3と第4群G4の間隔は減少し、第2群G2と第3群G3の間隔、及び、第4群G4と像面の間隔は増大する。物点移動の際の合焦は、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合は、広角端においては、第1群G1と第2〜4群G2〜G4との間隔を縮めるように両者を移動させ、中間焦点距離、望遠端においては、第1群G1を物体側に移動させる。
【0061】
以下に、上記各実施例のレンズデータを示すが、記号は上記の外、fは全系焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角、r1 、r2 …は各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は各レンズのd線のアッベ数である。なお、非球面形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直行する方向にとると、下記の式にて表される。
【0062】
Figure 0003847506
ただし、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4、A6、A8、A10 はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。
【0063】
Figure 0003847506
Figure 0003847506
Figure 0003847506
【0064】
Figure 0003847506
Figure 0003847506
Figure 0003847506
【0065】
Figure 0003847506
Figure 0003847506
Figure 0003847506
【0066】
Figure 0003847506
Figure 0003847506
Figure 0003847506
【0067】
上記実施例1〜4の無限遠合焦時の収差図をそれぞれ図5〜図8に示す。各収差図中、(a)は広角端での収差、(b)は中間焦点距離での収差、(c)は望遠端での収差である。これら図中、SAは球面収差、ASは非点収差、DTは歪曲収差、CCは倍率色収差である。なお、FIYは像高である。
【0068】
次に、上記実施例1〜4の前記条件式(1)〜(18)に関するパラメータの値を下記の表に示す。
【0069】
Figure 0003847506
【0070】
また、上記実施例1〜4のその他の条件式に関する値を次に示す。
実施例1
ΔL5/ΔL4 1.004
45/f5 0.0838
(R51+R52)/(R51−R52) −0.346
1 /fW −2.89
4 /fW 2.342
Hb1abs/f1abs 0.278
Hb1abs/(f1abs・f2 ) 0.0107
変倍比 3.0
広角端画角2ω 76.3°
実施例2
ΔL5/ΔL4 0.991
45/f5 0.0887
(R51+R52)/(R51−R52) −0.556
1 /fW −2.755
4 /fW 2.243
Hb1abs/f1abs 0.283
Hb1abs/(f1abs・f2 ) 0.0118
変倍比 3.0
広角端画角2ω 76.3°
実施例3
ΔL5/ΔL4 0.987
45/f5 0.0873
(R51+R52)/(R51−R52) −1.076
1 /fW −1.864
4 /fW 1.839
6 /fW 0.857
Hb1abs/f1abs 0.683
Hb1abs/(f1abs・f2 ) 0.0380
31/f32 0.738
変倍比 3.0
広角端画角2ω 76.3°
実施例4
1 /fW −2.235
2 /fW 2.024
Hb1abs/f1abs 0.520
Hb1abs/(f1abs・f2 ) 0.0279
31/f32 0.327
変倍比 3.0
広角端画角2ω 76.3° 。
【0071】
以上のような本発明の大口径広角ズームレンズは、例えば図9に示すような電子カメラ11の撮影用対物光学系12に用いることができる。図9中、(a)は前側から見た電子カメラ11の斜視図、(b)は後側から見た電子カメラ11の斜視図、(c)は電子カメラ11の光学系を示す光路図であり、電子カメラ11は、撮影用光路を有する撮影光学系12、撮影光学系12の光路中に配され、ファインダー用光路を分離させるハーフミラープリズム13、ハーフミラープリズム13により形成されたファインダー用の像を正立正像させるダハ反射面を有するペンタプリズム14、接眼レンズ15、レリーズボタン16、ストロボ17、液晶表示モニタ18、CCD19、CCD19に入射した像を電気信号に変換するコントローラ20、撮像した像を電気的に記録する記録媒体(例えば、PCカード)に記録するデータ書き込み装置21等を含んでいる。
【0072】
また、撮影光学系12の光路では、ハーフミラープリズム13のCCD19側にローパスフィルター22とIRカットフィルター23を配してある。
【0073】
また、本発明の大口径広角ズームレンズは、例えば図10に示すようなビデオカメラ24(概念図)の撮影用対物光学系12に用いることができる。図10はビデオカメラ24の光学系を示す光路図であり、ビデオカメラ24は、撮影用光路を有する撮影光学系12、撮影光学系12による像を撮像するCCD19、CCD19により撮像された像を表示するLCD(液晶表示素子)25、LCD25からの像を観察者眼球へと導く接眼レンズ15、撮影のON/OFF切換えスイッチ26、録音マイク27、液晶表示モニタ18、CCD19に入射した像を電気信号に変換するコントローラ20、撮像した像を電気的に記録する記録媒体(例えば、磁気テープ、デジタルビデオテープ、DVD)に記録可能なデータ書き込み装置21等を含んでいる。
【0074】
また、撮影光学系12の光路中にローパスフィルター22とIRカットフィルター23を配してある。
【0075】
以上の本発明のズームレンズは、例えば次のように構成することができる。
【0076】
〔1〕 物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、物点移動の際の合焦は第5群で行うことを特徴とするズームレンズ。
【0077】
〔2〕 物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、広角端より望遠端への変倍を、第1群と第2群の間隔及び第3群と第4群の間隔は減少し、第2群と第3群の間隔及び第4群と結像面の間隔は増大し、物点移動の際の合焦は第5群で行うことを特徴とするズームレンズ。
【0078】
〔3〕 物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、広角端より望遠端への変倍を、第1群と第2群の間隔及び第3群と第4群の間隔は減少し、第2群と第3群の間隔及び第4群と結像面の間隔は増大し、物点移動の際の合焦は第5群で行い、その際、近距離から無限遠方向にフォーカシングさせる場合には、第5群を像側に移動し、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合には第5群を物体側に移動することを特徴とするズームレンズ。
【0079】
〔4〕 物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、広角端より望遠端への変倍を、第1群と第2群の間隔及び第3群と第4群及び第3群と第5群の間隔は減少し、第2群と第3群の間隔及び第4群と結像面及び第5群と結像面の間隔は増大し、第5群を移動させることにより被写体へのフォーカシングを行うことを特徴とするズームレンズ。
【0080】
〔5〕 物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、物点移動の際の合焦は第5群で行う光学系において、以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【0081】
(1) −0.2<βV <0.8
(2) 0.6<ΔL5/ΔL4<1.2
(3) 0.05<D45/f5 <0.15
ただし、βV は広角端無限物点合焦時の第5群の倍率、ΔL4は第4群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、ΔL5は第5群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、D45は望遠端無限遠物点合焦時における第4群と第5群との光軸上空気間隔、f5 第5群の焦点距離である。
【0082】
〔6〕 前記第5群が非球面を含む正の単レンズ成分又は接合された正のレンズ成分からなることを特徴とする上記1から5の何れか1項記載のズームレンズ。
【0083】
〔7〕 前記第5群が正レンズ成分を含み、該正レンズ成分のシェープファクターが以下の条件を満足することを特徴とする上記1から6の何れか1項記載のズームレンズ。
【0084】
(4) −2<(R51+R52)/(R51−R52)<0.2
ただし、R51は第5群の最も物体側の面の曲率半径、R52は第5群の最も像側の面の曲率半径である。
【0085】
〔8〕 物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、正レンズ、負メニスカスレンズ、負レンズと正メニスカスレンズの接合からなる負レンズ成分よりなり、以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【0086】
(5) −4.0<f1 /fW <−1.5
(6) 1.55<n1 <1.8
(7) 1.3<R4 /fW <3.5
(8) 37<ν1 <83
ただし、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、n1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質屈折率、R4 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径、ν1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質アッベ数である。
【0087】
〔9〕 物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、正レンズ、負メニスカスレンズ、負レンズ、正メニスカスレンズよりなり、以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【0088】
(9) 0.5<D6 /fW <1.2
(10) −4.0<f1 /fW <−1.5
(11) 1.55<n1 <1.8
(12) 1.3<R4 /fW <3.5
(13) 37<ν1 <83
ただし、D6 は第1群の負レンズと正メニスカスレンズとの間隔、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、n1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質屈折率、R4 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径、ν1 は第1群の最も物体側の正レンズの媒質アッベ数である。
【0089】
〔10〕 物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、負メニスカスレンズ、負レンズ、正レンズと負レンズとの接合からなる正メニスカスレンズ成分よりなり、以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【0090】
(14) −4.0<f1 /fW <−1.5
(15) 1.3<R2 /fW <3.5
ただし、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、R2 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径である。
【0091】
〔11〕 物体側から順に、少なくとも負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群を含み、前記第1群が物体側から順に、負メニスカスレンズ、負レンズ、正レンズと負レンズとの接合からなる正メニスカスレンズ成分よりなり、少なくとも1面の非球面を含み、以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【0092】
(14) −4.0<f1 /fW <−1.5
(15) 1.3<R2 /fW <3.5
ただし、f1 は第1群の焦点距離、fW は全系の広角端での焦点距離、R2 は第1群の負メニスカスレンズの凹面の曲率半径である。
【0093】
〔12〕 前記第1群の焦点距離の絶対値f1abs、前記第1群の後側主点位置の絶対値Hb1absとしたとき、以下の条件を満たすことを特徴とする上記1から11の何れか1項記載のズームレンズ。
【0094】
(16) 0.15<Hb1abs/f1abs<0.9
〔13〕 前記第1群と第2群に関して、以下の条件を満たすことを特徴とする上記1から11の何れか1項記載のズームレンズ。
【0095】
(17) 0.7×10-2mm-1<Hb1abs/(f1abs・f2
<6×10-2mm-1
ただし、f1absは第1群の焦点距離の絶対値、Hb1absは第1群の後側主点位置の絶対値、f2 は第2群の焦点距離である。
【0096】
〔14〕 前記第3群が接合された凹レンズ成分と負の単レンズの2つのレンズ成分にて構成されており、以下の条件を満たすことを特徴とする上記1から11の何れか1項記載のズームレンズ。
【0097】
(18) 0.1<f31/f32<1
ただし、f31は第3群の接合された凹レンズ成分の焦点距離、f32は第3群の負の単レンズの焦点距離である。
【0098】
〔15〕 以下の条件式(16)、(17)、(18)の中、複数の条件式を満足することを特徴とする上記1から11の何れか1項記載のズームレンズ。
【0099】
(16) 0.15<Hb1abs/f1abs<0.9
(17) 0.7×10-2mm-1<Hb1abs/(f1abs・f2
<6×10-2mm-1
(18) 0.1<f31/f32<1
ただし、f1absは第1群の焦点距離の絶対値、Hb1absは第1群の後側主点位置の絶対値、f2 は第2群の焦点距離、f31は第3群の接合された凹レンズ成分の焦点距離、f32は第3群の負の単レンズの焦点距離である。
【0100】
〔16〕 広角端から望遠端にかけて変倍する際、第1群は広角端よりも望遠端にて像側に移動し、第2群と第4群が常に物体側に移動し、第3群が固定であることを特徴とする上記1から15の何れか1項記載のズームレンズ。
【0101】
〔17〕 前記第2群と第4群が一体に移動することを特徴とする上記16記載のズームレンズ。
【0102】
〔18〕 開口絞りを有し、該開口絞りが第2群と一体に移動するか又は第3群近傍に固定であることを特徴とする上記1から17の何れか1項記載のズームレンズ。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれ、特に電子撮像素子に対応した高性能大口径広角ズームレンズを提供することができる。また、特に電子撮像素子に対応した高性能大口径広角ズームレンズのフォーカシング方式を提供することができる。また、600万画素クラスの小型電子撮像素子を用いた一眼レフ式カメラに適した広角端対角画角75°(35mm版換算で、焦点距離28mmクラス)で3倍クラスの高性能大口径広角ズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のズームレンズの広角端でのレンズ配置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例2のズームレンズの広角端でのレンズ配置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例3のズームレンズの広角端でのレンズ配置を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例4のズームレンズの広角端でのレンズ配置を示す断面図である。
【図5】実施例1の無限遠合焦時の収差図である。
【図6】実施例2の無限遠合焦時の収差図である。
【図7】実施例3の無限遠合焦時の収差図である。
【図8】実施例4の無限遠合焦時の収差図である。
【図9】本発明のズームレンズが適用可能な電子カメラの概略の構成を示す図である。
【図10】本発明のズームレンズが適用可能なビデオカメラの概略の構成を示す図である。
【図11】従来タイプのズームレンズで第1レンズ群をフォーカス群として用いた場合の概念図である。
【図12】従来タイプのズームレンズで像側に負レンズ群を配置してこの群をフォーカス群として用いた場合の概念図である。
【図13】本発明のズームレンズ構成を示す概念図である。
【符号の説明】
G1…第1群
G2…第2群
G3…第3群
G4…第4群
G5…第5群
S …絞り
11…電子カメラ
12…撮影用対物光学系
13…ハーフミラープリズム
14…ペンタプリズム
15…接眼レンズ
16…レリーズボタン
17…ストロボ
18…液晶表示モニタ
19…CCD
20…コントローラ
21…データ書き込み装置
22…ローパスフィルター
23…IRカットフィルター
24…ビデオカメラ
25…LCD(液晶表示素子)
26…ON/OFF切換えスイッチ
27…録音マイク

Claims (1)

  1. 物体側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、負の屈折力を有する第3群、正の屈折力を有する第4群、正の屈折力を有する第5群よりなり、
    広角端より望遠端への変倍を、前記第1群と前記第2群の間隔及び前記第3群と前記第4群の間隔を減少させ、前記第2群と前記第3群の間隔及び前記第4群と結像面の間隔を増大させ、前記第3群と前記第5群の間隔を減少させ、前記第5群と前記結像面の間隔を増大させて行い、
    物点移動の際の合焦は前記第5群で行い、その際、近距離から無限遠方向にフォーカシングさせる場合には、前記第5群を像側に移動し、無限遠方向から近距離方向にフォーカシングさせる場合には前記第5群を物体側に移動させ、以下の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
    (1) −0.2<β V <0.8
    (2) 0.6<Δ L5 /Δ L4 <1.2
    (3) 0.05<D 45 /f 5 <0.15
    ただし、β V は広角端無限物点合焦時の前記第5群の倍率、Δ L4 は前記第4群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、Δ L5 は前記第5群の無限物点合焦状態での広角端から望遠端にかけての移動量、D 45 は望遠端無限遠物点合焦時における前記第4群と前記第5群との光軸上空気間隔、f 5 は前記第5群の焦点距離である。
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