JP3765795B2 - 飲料調製用カートリッジ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は飲料、好適にはエスプレッソコーヒーを調製するための水によって抽出可能の、一杯分の粒状物質を受け入れるよう適用されるカートリッジであって、底部部分およびこの底部部分と反対側にある開放端をもつカップまたはバケット形の主体部分と、主体部分の開放端に密封状に取り付けるよう適用されるカバー部材とを含んでなるカートリッジに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
かかるカートリッジは種々の異なった実施例で当業者には周知であり、特に エスプレッソコーヒーを調製すための一杯分のコーヒー粉末を入れているカートリッジは広く使用されている。かかるカートリッジの基本的利点の１つは、それらカートリッジはガス密封性であるので、その中に入れられている挽かれたコーヒーを長期間にわたって新鮮に保つという事実にある。カートリッジ内に受け入れられたコーヒー粉末からコーヒーを入れるために、主として半自動式エスプレッソコーヒー入れ機械が使用され、その際カートリッジは該機械のカートリッジホルダー内にそのカバーが外方に向いてた状態で装入される。次いで、カートリッジホルダーがコーヒー入れ機械内に手で挿入される。このコーヒー入れ機械は、カートリッジホルダーが該機械内に挿入される区域の範囲内にいわゆるコーヒー入れ用スパイクを、即ちカートリッジホルダーをコーヒー入れ機械内に挿入してカートリッジの底部が刺し通されたときにカートリッジ内部にコーヒー入れ用水を供給するための、径方向出口開口を含む中空の刺し通し部材を備えている。カートリッジホルダーの底部自体は収集トレイ上に置かれた複数の突出部を備えている。これらの突出部はカートリッジのカバーを刺し通し、そして加圧されたコーヒー入れ用水がカートリッジ内に供給されてそのカバーがカートリッジ内部の液圧の超過圧力によって突出部に押しつけられると直ぐにカバーに複数の開口を提供する。後続のコーヒー入れ作用の間、コーヒー入れ用水はコーヒー入れ用スパイクを通してカートリッジの内部に供給され、その結果、その水はカートリッジ内のコーヒー粉末を通して圧力下で流れ、最後にコーヒー飲料としてカバーの開口を通してカートリッジを出る。新しく入れられたコーヒーは収集トレイ内に収集され、飲料出口を通して該機械から流出する。カートリッジ内に入れられているコーヒー粉末の抽出のためのかかる段取りを含むコーヒー入れ機械は例えば文献EP 0,512,470 号に開示されている。
【０００３】
径方向に延びる出口開口をもつコーヒー入れ用スパイクの欠点は、コーヒー入れ用水の出口に関連するコーヒー入れ用スパイクの横断面積が汚染の影響によって比較的迅速に詰まるという事実から知ることができる。それ故、その１理由として、例えばコーヒー粉末内に含まれる脂肪、コーヒー粉末粒子、コーヒー入れ用水中の石灰等を挙げることができる。しかし、コーヒー入れ用スパイクが徐々に汚染されていくにつれて、入れられたコーヒー飲料の品質は徐々に低下していく。流体力学的観点に関する限りでは、上述の種類のコーヒー入れ用スパイクを使用する場合の問題はいわゆる無駄容積がカートリッジ内部に存在するという事実にあり、その結果、コーヒー粉末の一部は全く抽出されず、またはほんの僅かな程度にしか抽出されないということになる。
【０００４】
文献EP 0,521,188号はカートリッジ内に入れられたコーヒー粉末を抽出するための装置を開示している。カートリッジの内部にコーヒー入れ用水を供給するためのコーヒー入れ用スパイクの他に、水分配グリッドが好適実施例に設けられており、それはカートリッジの頂部に穴あけするためにその底部から突出する素子をもつ。コーヒー入れ用水は水分配グリッドによってカートリッジの頂部上に分配されかつカートリッジのカバーと突出素子間の間隙を通してカートリッジ内に流入することができる。
【０００５】
更に、文献EP 0,512,468号は本文中で言及され一杯分のコーヒー粉末を入れるよう適用されたカートリッジを開示している。このカートリッジは複合材料から作られ、フィルタを含まず、かつ減少した強度をもつ部分を含んでおらず、カートリッジの底部とカバーが抽出プロセスの始めに抽出流体によって及ぼされる圧力の影響で破壊するよにされている。
【０００６】
一杯分の抽出可能の粒状物質、例えばコーヒー粉末を入れている既知のカートリッジの基本的欠点は、コーヒー入れ機械の端で、カートリッジ内に入れられたコーヒー粉末ができるだけ完全に抽出されること、即ちコーヒー入れ用水がコーヒー粉末の全体を通して均等に流れることを保証するために多くの努力がなされなければならないという事実から知ることができる。更に、抽出の始めに、抽出された流体によって及ぼされる圧力の影響下でのみ開くカートリッジでは、それらカートリッジが所望の場所で開かず、所望の個所に穴あけされないそいう危険性が存在し、その結果、そのコーヒー粉末は再び不十分に抽出されるということになる。最後に、更に他の欠点は、穴がしばしば大きすぎるという事実にある。このことは全く望ましくない。というのは、抽出する流体は十分に高い流れ抵抗に対抗せず、それによってコーヒー粉末がカートリッジを出て行き、コーヒー入れ機械を不必要に汚染するという危険も存在するからである。
【０００７】
文献EP 1,101,430号ははジグザグ配列とした一杯分用カートリッジを含んでいる飲料−フィルタ−カートリッジシステムを開示している。このカートリッジはフィルタ素子と多孔質の膜を夫々支持するための幾つかの段階を含む。飲料粉末はフィルタ素子と膜の間に受け入れられる。カートリッジのカバーとフィルタ素子の間と、カートリッジ底部と膜の間の両方に、空洞部が入口チューブと出口チューブを夫々横から挿入するように設けられている。
【０００８】
最後に、米国特許第2,778,739号は飲料浸出材料用のパッケージを開示している。このパッケージは金属インサート(insert)を入れているボール形(bowl-shaped)のハウジングを含んでいる。このハウジングの頂部は溶接されたカバーを備えている。上記のインサートは円形の外部の凹所と内部の中心凹所を含む。上記中心凹所は外部凹所より深く、かつ刺し通し部材を受け入れるよう適用され、その刺し通し部材によってパッケージの底部が穴あけされるようになっている。この刺し通し部材は同時に、コーヒー入れ用水を供給するのに役立つ。上記インサートは複数の開口を含み、それらの開口を通してコーヒー入れ用水をパッケージ内部に流入させることができる。パッケージカバーに穴あけするために追加の穴あけ手段が設けられる。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、飲料、好適にはエスプレッソコーヒー飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れるよう適用されるカートリッジであって、コーヒー入れ用水が中に入れられている抽出可能の物質を通って出来るだけ均等に流れ、それによってできるだけ完全に該物質抽出するようになしたカートリッジを提供することにある。
【００１０】
本発明の他の目的は、飲料、好適にはエスプレッソコーヒー飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れるよう適用されるカートリッジであって、関連するコーヒー入れ機械がカートリッジに関して夫々コーヒー入れ用水と飲料を分配及び／又は収集する手段とを備える必要がないようになして該コーヒー入れ機械ができるだけ簡単に保持されることができるようになしたカートリッジを提供することにある。
【００１１】
本発明の更に他の目的は、飲料、好適にはエスプレッソコーヒー飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れるよう適用されるカートリッジであって、カートリッジに実質的な構造改修をなす必要なしに、コーヒー入れ用水がカバーから底部へまたはその逆にカートリッジを通って流れることができるようになしたカートリッジを提供することにある。
【００１２】
上記および他の目的を達成するために本発明は、飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れるよう適用されるカートリッジであって、底部部分および上記底部部分と反対側の開放端をもつ実質上カップ形またはバケット形の主体部分と、上記主体部分の上記開放端に密封状に取り付けられるよう適用されるカバー部材とを含むカートリッジにおいて、中心の長手方向軸線と上記主体部分の内部の横断面寸法に実質上一致する寸法とを有する実質上ディスク形の輪郭をもつ少なくとも１つの流体ディレクタ(director member)部材を備え、上記流体ディレクタ部材は上記主体部分の内部に受け入れるよう適用されて成るカートリッジを提供する。
【００１３】
各流体ディレクタ部材は複数の開口と複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られている。
【００１４】
上述の如き種類の少なくとも１つの流体ディレクタ部材を、例えば粒状物質の上でカートリッジの入口側に備えることによって、入口穴の数と寸法に無関係に、粒状物質を抽出するためにカートリッジ内に供給される水の均等な分配が保証される。
【００１５】
好適には２つの流体ディレクタ部材が設けられ、第１のものは粒状物質の上流側に設けられて流体分配部材として役立ち、第２のものは粒状物質の下流側に設けられて、流体収集部材として役立つ。上述の如く、コーヒー入れ用水の均等な分配の他にかかる実施例は、粒状物質が２つの流体ディレクタ部材間に閉じ込められ、それによってその粒状物質の何れの粒子も入口穴及び／又は出口穴を通って脱出するのが、たとえこれらの穴が比較的大きくても、防止されるという利点をもつ。
【００１６】
特に好適な実施例では、カートリッジは第１の流体ディレクタ部材を含み、上記流体ディレクタ部材は複数の開口と、複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られており、この第１流体ディレクタ部材は上記粒状物質と上記主体部分の上記カバー部材間で上記カートリッジの内部に置かれており、それによって上記粒状物質を通して流れる水のための分配部材を構成している。上記打ち出し部の上記隆起部分は上記カバー部材上に載り、上記打ち出し部の隆起部分とカバー部材は上記流体チャンネルを画定している。
【００１７】
好適実施例では、カートリッジは更に、第２の流体ディレクタ部材を含み、上記第２の流体ディレクタ部材は複数の開口と、複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られており、上記第２の流体ディレクタ部材は上記粒状物質と上記主体部分の上記底部部分間で上記カートリッジの内部に置かれており、それによって上記粒状物質を通して流れる水のための収集部材を構成している。上記第２の流体ディレクタ部材の上記打ち出し部の上記隆起部分は上記底部部分上に載り、上記打ち出し部の隆起部分と底部部分が流体チャンネルを画定している。
【００１８】
第１と第２の流体ディレクタ部材の両者では、開口が打ち出し部の隆起部分間に作られた流体チャンネル内に置かれ、また第１と第２の流体ディレクタ部材の両者は、第１及び／又は第２の流体ディレクタ部材を刺し通し部材によって損傷させることなく、カバー部材及び／又は底部部分を刺し通す刺し通し部材を受け入れるために打ち出し部の隆起部分の方向と反対の方向に突出する少なくとも１つの凹所を含む。
以下、本発明のカートリッジの実施例を添付図面を参照して説明する。
【００１９】
【発明の実施の形態】
飲料を調製するための水によって抽出可能の、一杯分(single serving)の粒状物質を受け入れるように適用されるカートリッジの一般的デザインは図１に分解図で示されており、これについて以下でさらに詳細に説明する。たとえかかるカートリッジが飲料を調製するために水によって抽出可能の種々の異なった粒状物質に基本的に適用されるにしても、以下では、通常のコーヒーまたはいわゆるエスプレッソコーヒーを調製するためのコーヒー粉末を入れるのに特に適するカートリッジの実施例について説明する。
【００２０】
図１の下から上までに示されているように、カートリッジはバケット形またはカップ形の主ハウジング部分１と、下部の流体収集部材２と、上部の流体分配部材３、およびカバー４とを含む。流体収集部材２と流体分配部材３間で主ハウジング部分１内に受け入れられるコーヒー粉末は簡明化のためにこの図から省略されている。主ハウジング部分１とカバー４の両者はガス密封性の多層型の複合フォイル材料から構成されている。流体収集部材２と流体分配部材３の両者は一般的にディスク形をなし、好適には深絞り加工によって作られる。
【００２１】
底部から頂部に向かって直径が増大することによってわずかに円錐形をなしているカートリッジの主ハウジング部分１はより大きい直径をもつ周囲部分５を備え、カートリッジの主ハウジング部分１の壁の内側に環状肩部５ａをもつ。この肩部５ａは上部分配部材３用の支持体として役立つ。即ち上部分配部材３は、一旦カートリッジの主部分１内に挿入されると、肩部５ａ上に載る。カートリッジの主部分１は周囲リム６を含み、カバー４は例えば接着剤または溶接によってその周囲リム６に固定される。
【００２２】
収集部材２は、環状セグメントの形状をもつ複数の打ち出し部を備え、これらの打ち出し部は下部収集部材２の底面から突出する隆起部分９として示されている。一旦収集部材２がカートリッジの主部分１内に挿入されると、上記隆起部分９は主部分１の平らな底面上に載り、その結果複数の流体チャンネル１７が作られ、これらの流体チャンネルは収集部材２の中心の長手方向軸線から径方向外方にかつ収集部材２の中心の長手方向軸線を同心に巡って延びる。隆起部分９のそばに、即ちこうして作られた流体チャンネル１７の領域内に、収集部材２は複数の開口８を備える。収集部材２の中心はカートリッジの内部に向けられた、即ち隆起部分９とは反対の方向に向けられた円錐形状の凹所１０を含む。収集部材２のほヾ平らな中心部分は図１に示す如く半径範囲１１で上に向いた円筒形縁部分１２に併合する。このようなデザインによって、収集部材２の傾斜はそれがカートリッジの収集部材内に挿入されたときに回避される。
【００２３】
デザインに関する限り、上部分配部材３は実質上下部収集部材２と鏡像関係にある。更に、分配部材３は環状セグメントの形状をもつ複数の打ち出し部を含み、これらの打ち出し部は上部分配部材３の頂面から突出する隆起部分１３として示されている。これらの隆起部分１３によって複数の流体チャンネル１８は上部分配部材３の頂面に作られ、これらの流体チャンネル１８は分配部材３の中心の長手方向軸線に向かってかつこの長手方向軸線を同心に巡って延びる。隆起部分１８のそばに、即ちこうして作られた流体チャンネル１８の領域内に分配部材３はカートリッジの内部に向けられた、即ち隆起部分１３とは反対の方向に向けられた円錐形の凹所１５を含む。上部分配部材３の周囲に沿って、第１の平らな縁部分１９が設けられる。第１の平らな縁部分１９は流体チャンネル１８に関して隆起しており、かつその頂面は最上の部分と実質上面一になっている。実質上円筒形の第２の縁部分１６は第１の縁部分１９を取り囲み、図１に示す如く下方に延び、即ち上部分配部材３に備えた凹所１５と同じ方向に、かつ隆起部分１３とは反対の方向に延びている。
【００２４】
カートリッジの主部分１内に上部分配部材３を挿入したとき、分配部材３はカートリッジの主部分１の拡大した周囲部分５の肩部５ａ上に第２の縁部分１６の下縁で載る。
【００２５】
熱いコーヒー入れ用(brewing water)水が、以下で更に詳細に説明する如く、例えばコーヒーを調製するために圧力下でカートリッジ１に供給されるとき、上部分配部材３はコーヒー入れ用水のためのフィルタと分配手段の両用のために役立つ一方で、下部収集部材２は同様に調製されたコーヒー飲料のためのフィルタと収集手段の両用のための役立つ。
【００２６】
図２は一杯分のコーヒー粉末ＫＰを入れた組み立てられたカートリッジの縦断面図である。この図から分かる如く、コーヒー粉末ＫＰは下部収集部材２と上部分配部材３の間に閉じ込められている。更に、流体チャンネル１７が、カートリッジの主カップ形またはバケット形の主部分１の底に載っている下部収集部材２の隆起部分９によって作られていることは明らかに分かる。同様に、流体チャンネル１８はカートリッジの主部分１のカバー４の底面に載っている上部分配部材３の隆起部分９によって作られる。
【００２７】
カートリッジに穴あけするために、上部刺し通し部材２１と下部刺し通し部材２０が設けられ，これらは夫々カバー４とカートリッジの主部分１の底を押し通されるよう適用される。特に、刺し通し部材２０、２１は夫々上と下で、カバー４とカートリッジの主部分１の底を押し通され、かつ分配部材３と収集部材２中に設けられた凹所１５、１０は夫々刺し通し部材２１、２０を受け入れる。かくして、カバー４を刺し通したとき、上部分配部材３は刺し通し部材２１によって損傷を受けない。同様に、カートリッジの主部分１を刺し通したとき、下部収集部材２は刺し通し部材２０によって損傷を受けない。というのは、刺し通し部材２０、２１は夫々凹所１５、１０内に夫々延び入るからである。
【００２８】
好適には、カートリッジ中に入れられたコーヒー粉末ＫＰからコーヒーを入れるのに必要なコーヒー入れ用水は、文献EP 01 810 498号に詳細に説明されている如く、刺し通し部材２１によって設けられた穴を通して外からカートリッジの内部に供給され、そして調製されたコーヒー飲料は刺し通し部材２０によって設けられた穴を通してカートリッジから出る。しかし、コーヒー入れ用水が中心の入口穴に供給されかつコーヒー飲料がカートリッジの中心の出口穴を通してカートリッジを出ることは必須なことではない。しかし、入れられたコーヒー飲料が、収集部材２を設けることによって、出来るだけ妨害なしに出口開口に、またはもし適切であれば複数の出口開口に、流れることが出来ることは重要である。
【００２９】
本実施例では、コーヒー入れ用水は図２に示す如くカートリッジを通して頂部から底部へ導かれることは想定されるだろう。しかし、コーヒー入れ用水をカートリッジを通して反対方向に即ち底部から頂部へ流れさせることは、図２に二重矢印２２により示されかつ符合表示される如く、容易に可能である。
【００３０】
流体チャンネル１８の影響下で、カートリッジ内に供給されたコーヒー入れ用水はカートリッジの全横断面積上に均等に分配される。そのときコーヒー入れ用水は上部分配部材３内に設けられた開口１４を通して流れ、カートリッジ内に入れられたコーヒー粉末ＫＰを通って流れ続ける。コーヒー粉末を通過しそれによってコーヒー粉末を抽出すると、このコーヒー入れ用水、即ちこの場合既にコーヒーを入れられた飲料は下部収集部材２内に設けられた開口８を通過して、収集部材２の底側に流れる。最後に、このコーヒー飲料はカートリッジの主部分１の底に置かれかつ収集部材の隆起部分９によって画定された流体チャンネル１７を通して刺し通し部材２０によって作られた中心の出口開口へ流れる。そこでその飲料はカートリッジを出て、図示していない手段に沿って（図示していない）飲料出口へ流れ続けて行く。
【００３１】
上述の如くデザインされた分配部材３と収集部材２をもつカートリッジを準備することによって、コーヒー入れ用水がカートリッジ内に入れられたコーヒー粉末全体を通して均一に流れて、全コーヒー粉末の均等な抽出を達成することが保証される。コーヒー入れ用水が底部から頂部までカートリッジを通して流れる場合、分配部材３と収集部材２の機能は交代され、その時下方の部材２は分配部材として作用し、上方の部材３は収集部材として作用する。このような関係においては、呼称“分配部材３”と“収集部材２”はコーヒー入れ用水が頂部から底部へ流れる作用の形態を指すものであるが、何れにしてもそれらに限定すべきでないことはいうまでもない。
【００３２】
何れの場合にも、隆起部分９、１３は夫々分配部材３と収集部材２の面積上に分配されていて、分配部材と収集部材２、３がそれらの全表面積にわたって夫々主部分１の底部とカバー４に載るようになっている。このことは、もしコーヒー入れ用水が中心の刺し通し穴を通してカートリッジ内に供給されるならば、この場合には上述の如く特に有利である。たとえもし実質的な外圧がカートリッジに及ぼされても、分配部材と収集部材３、２の上述の均等な支持によって、流体チャンネル１８、１７を構成する空洞部１３ａ、１７ａは開いた状態に保たれることが保証される。もし適切であれば、カートリッジ内部は、コーヒー粉末を通るコーヒー入れ用水のより均等な流れ及び／又はカートリッジ自身の剛性に寄与する垂直の分離壁（図示せず）を含むことができる。
【００３３】
分配部材２と収集部材３に設けられた開口８、１４の直径は好適には、単一のコーヒー粉末粒子の統計学的直径より小さく、更に好適には x-σ より小さくする。ここで x は粒子直径の実質的平均値で、σは標準偏差である。これによって、刺し通し穴の寸法とは無関係に、実際上粒子はカートリッジの内部から出られず、またはその内部から流出できないことが保証される。
【００３４】
図３はコーヒー粉末ＫＰを完全に装入していない本発明のカートリッジの第２の実施例の縦断面図である。補助フレーム部材２５を備えることによって、下部分配部材２４は、コーヒー粉末が分配部材２４と上部収集部材２６の間のスペースを完全に占めるような距離をカートリッジの底部７から置いた個所に保持される。これによってコーヒー粉末ＫＰが不均等に分配されてカートリッジ内に入ることを防止することができる。かかる不均等に分配されてカートリッジ内に入るという事態は、コーヒー入れ用水がカートリッジの内部に均等に分配されないという事実をもたらし、更に或る種の液圧的短絡をもたらす結果となる。それによってコーヒー入れ用水はコーヒー粉末を均等に抽出しなくなるだろう。この実施例では、コーヒー入れ用水はカートリッジの底部７からカートリッジの内部に供給されなければならない。というのは、下部分配部材２４はカートリッジの底部７に向かう方向に作用する高い液圧力をうけられないからである。
【００３５】
図４はこの場合もコーヒー粉末ＫＰを完全に装入していない本発明のカートリッジの第３の実施例を示す。肩部５ａとカバー４上に載る補助フレーム部材３０を備えることによって、上部収集部材２９は、コーヒー粉末が上部分配部材２９と下部収集部材２８の間のスペースを完全に占めるような距離をカートリッジのカバー４から置いた個所に保持される。この実施例では、コーヒー入れ用水はカバー４を通してカートリッジの内部に供給される。
【００３６】
図５はこの場合もコーヒー入れ用水ＫＰを完全には装入していない、第３実施例と同様の本発明のカートリッジの第４実施例を示す。補助フレーム部材３２を備えることによって、上部収集部材３１は、コーヒー粉末が上部収集部材３１と下部分配部材２８の間のスペースを完全には占めないような距離をカートリッジのカバー４から置いた個所に保持される。しかしこの実施例では、フレーム３２は環状の内部部分３３と複数の垂直突っ張り材（図５には図示せず）を備えることによって、剛性となるようデザインされる。かくしてコーヒー入れ用水は、中実の矢印によって表示される如く、底部からカートリッジ内に供給することができる。作業に際してフレーム３２はカートリッジのカバー４上には載らないが、コーヒー入れ機械（図示せず）に備えた適当な素子上に載るのは言うまでもない。更に、コーヒー入れ用水は他の側から、即ちカバー４を通してカートリッジ内に供給することができるのは言うまでもない。
【００３７】
図６はこの場合もコーヒー入れ用水ＫＰを完全に装入していない第２実施例と同様の、本発明のカートリッジの第５の実施例の縦断面図である。この実施例では、下部収集部材３６は耐圧性の剛性フレーム３５によってカートリッジの底部７上に支持される。
【００３８】
最後に、図７は図６の線VII-VII に沿って取ったカートリッジの第５実施例の部分横断面図である。この図では、環状内部部分３３とフレーム５の垂直突っ張り材３７を明瞭に見ることができる。
【００３９】
もし分配部材または収集部材が夫々カートリッジの底部７とカバー４から或る一定の距離をおいて置かれるならば、刺し通し部材２０または２１を受け入れるために、夫々収集部材および分配部材に夫々凹所１０、１５を設ける必要はない。というのは、刺し通し部材２０または２１は、これらの部材の１つまたは他の１つに損傷を与えることなしに、夫々カートリッジと分配部材および収集部材の底部７とカバー４の間の自由スペース内に延び入ることができるからである。
【００４０】
刺し通し部材２０または２１を受け入れるための中心の円錐形状の凹所１０、１５の代わりに、例えば円錐形断面をもつ環状の凹所を備えることができる。かかる環状の凹所は円形経路に沿って分配された複数の刺し通し部材を備える場合に有用であろう。更に、円錐形状の凹所の代わりに、例えば半球形の凹所または直方体の形をなす凹所を備えることができる。刺し通し部材によるカバーまたはカートリッジの底部の刺し通しを簡単化するために、カートリッジの底部またはカバーは減少した強度の区域を備えることができる。しかし、かかる減少した強度の区域はガス密封性の多層型の複合フォイルの層が傷つけられないようにデザインされなければならない。これらの上述のすべての実施例は明確には図示していない。
【００４１】
本発明によりデザインされた上述のカートリッジでは、多数の利点が実現される：
・ 分配部材を備えることによって、カートリッジの内部に入るコーヒー入れ用水はカートリッジの全断面積にわたって均等に分配される結果、コーヒー粉末の均等な抽出が行われる。同じことはたとえカートリッジがコーヒー粉末を完全に装入されていなくても、当て嵌まる。
・ コーヒー粉末粒子の脱出または流出は大幅に回避され、その結果、コーヒー入れ機械の汚染がかなり減少する。その限りにおいて、カートリッジの刺し通し穴の寸法の重要性は副次的なものとなる。
・ 刺し通し穴の寸法はコーヒー入れ用水の流速に関してあまり重要でない。というのは、コーヒー入れ用水は、刺し通し穴の寸法とは無関係であるが流体ディレクタ(diredtor)部材中の開口の寸法によって決まる一定の流れ抵抗にぶっつかる(hits)するからである。
・ 図２、５および６に示す実施例のコーヒー粉末カートリッジは普遍的に使用することができる。というのは、それはコーヒー入れ用水がカートリッジを通して流れる方向は問題でなく、頂部から底部へ、またはその逆に流れることができるからである。
・ 単一の刺し通し穴のみが分配部材に面する側と収集部材に面する側の両方に設けられさえすれえばよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 まだ空の状態にあるカートリッジの分解図である。
【図２】 本発明のカートリッジの第１実施例の中心縦断面図である。
【図３】 本発明のカートリッジの第２実施例の中心縦断面図である。
【図４】 本発明のカートリッジの第３実施例の中心縦断面図である。
【図５】 本発明のカートリッジの第４実施例の中心縦断面図である。
【図６】 本発明のカートリッジの第５実施例の中心縦断面図である。
【図７】 図６の線VII-VII上に沿って取ったカートリッジの第５実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
１ 主体ハウジング部分
２ 流体収集部材
３ 流体分配部材
４ カバー
７ 流体調合水
９ 隆起部分
１０、１５ 凹所
１３ 隆起部分
１７、１８ 流体チャンネル
２０、２１ 刺し通し部材
２４、２８ 分配部材
２５ 補助フレーム部材
３０ フレーム部材

Claims (18)

1. 飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れるよう適用されるカートリッジであって、底部部分および上記底部部分と反対側の開放端をもつ実質上カップ形またはバケット形の主体部分と、上記主体部分の上記開放端に密封状に取り付けられるよう適用されるカバー部材とを含むカートリッジにおいて、中心の長手方向軸線と上記主体部分の内部の横断面寸法に実質上一致する寸法とを有する実質上ディスク形の輪郭をもつ少なくとも１つの流体ディレクタ部材を備え、上記流体ディレクタ部材は上記主体部分の内部に受け入れるよう適用され、上記流体ディレクタ部材は複数の開口と複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られていることを特徴とするカートリッジ。
2. 飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れているカートリッジにおいて、
   底部部分および上記底部部分と反対側の開放端をもつ実質上カップ形またはバケット形の主体部分と、
   上記主体部分の上記開放端に密封状に取り付けられたカバー部材と、
   中心の長手方向軸線と上記主体部分の内部の横断面寸法に実質上一致する寸法とを有する実質上ディスク形の輪郭をもつ流体ディレクタ部材とを含み、
   上記流体ディレクタ部材は複数の開口と、複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られており、
   上記流体ディレクタ部材は上記粒状物質と上記主体部分の上記底部部分間で上記カートリッジの内部に置かれており、それによって上記粒状物質を通して流れる水のための収集部材を構成していることを特徴とするカートリッジ。
3. 上記打ち出し部の上記隆起部分は上記底部部分上に載り、上記流体チャンネルは上記打ち出し部の上記隆起部分と上記底部部分によって画定されることを特徴とする請求項２に記載のカートリッジ。
4. 飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れているカートリッジにおいて、
   底部部分および上記底部部分と反対側の開放端をもつ実質上カップ形またはバケット形の主体部分と、
   上記主体部分の上記開放端に密封状に取り付けられたカバー部材と、
   中心の長手方向軸線と上記主体部分の内部の横断面寸法に実質上相当する寸法とを有する実質上ディスク形輪郭をもつ流体ディレクタ部材とを含み、
   上記流体ディレクタ部材は複数の開口と、複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られており、
   上記流体ディレクタ部材は上記粒状物質と上記主体部分の上記カバー部材間で上記カートリッジの内部に置かれており、それによって上記粒状物質を通して流れる水のための分配部材を構成することを特徴とするカートリッジ。
5. 上記打ち出し部の上記隆起部分は上記カバー部材上に載り、上記流体チャンネルは上記打ち出し部の上記隆起部分と上記カバー部材によって画定されることを特徴とする請求項４に記載のカートリッジ。
6. 上記流体ディレクタ部材は１つ以上の刺し通し素子は上記流体ディレクタ部材を刺し通すことなく上記主体部分の上記カバー部材を刺し通すことができることを特徴とする請求項５に記載のカートリッジ。
7. 飲料を調製するための、水によって抽出可能の一杯分の粒状物質を入れているカートリッジにおいて、
   底部部分および上記底部部分と反対側の開放端をもつ実質上カップ形またはバケット形の主体部分と、
   上記主体部分の上記開放端に密封状に取り付けられたカバー部材と、
   中心の長手方向軸線と上記主体部分の内部の横断面寸法に実質上相当する寸法とを有する実質上ディスク形輪郭をもつ第１の流体ディレクタ部材とを含み、
   上記流体ディレクタ部材は複数の開口と、複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られており、
   上記第１の流体ディレクタ部材は上記粒状物質と上記主体部分の上記カバー部材間で上記カートリッジの内部に置かれており、それによって上記粒状物質を通して流れる水のための分配部材を構成しており、
   上記打ち出し部の上記隆起部分は上記カバー部材上に載り、上記流体チャンネルは上記打ち出し部の上記隆起部分と上記カバー部材によって画定されており、
   更に、中心の長手方向軸線と上記主体部分の内部の横断面寸法に実質上一致する寸法とを有する実質上ディスク形の輪郭をもつ第２の流体ディレクタ部材を含み、
   上記第２の流体ディレクタ部材は複数の開口と、複数の打ち出し部をもち、上記打ち出し部の各々は隆起部分をもち、複数の連通する流体チャンネルが上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られており、
   上記第２の流体ディレクタ部材は上記粒状物質と上記主体部分の上記底部部分間で上記カートリッジの内部に置かれており、それによって上記粒状物質を通して流れる水のための収集部材を構成しており、
   上記第２の流体ディレクタ部材の上記打ち出し部の上記隆起部分は上記底部部分上に載り、上記流体チャンネルは上記打ち出し部の上記隆起部分と上記底部部分によって画定されていることを特徴とするカートリッジ。
8. 第１と第２の流体ディレクタ部材の両方は、上記第１と第２の流体ディレクタ部材を損傷させることなしに、上記カバー部材及び／又は上記底部部分を刺し通す刺し通し部材を受け入れるために上記打ち出し部の上記隆起部分の方向と反対の方向に突出する少なくとも１つの凹所を含むことを特徴とする請求項７に記載のカートリッジ。
9. 上記開口は上記打ち出し部の上記隆起部分間に作られた上記流体チャンネル内に置かれることを特徴とする請求項１、２、４および７の何れか1項に記載のカートリッジ。
10. 上記打ち出し部と上記流体チャンネルは夫々、実質上上記流体ディレクタ部材の全面上に均等に分配されることを特徴とする請求項１、２、４および７の何れか1項に記載のカートリッジ。
11. 上記流体チャンネルの第１の部分は上記中心の長手方向軸線から径方向外方に延び、上記流体チャンネルの第２の部分は上記中心の長手方向軸線の回り同心に延びることを特徴とする請求項１０に記載のカートリッジ。
12. 上記流体ディレクタ部材は１つ以上の刺し通し素子が上記流体ディレクタ部材を刺し通すことなしに、上記主体部分の上記底部部分および上記カバー部材を夫々刺し通すことができるようにデザインされまたはカートリッジ内に置かれることを特徴とする請求項１、２、４および７の何れか1項に記載のカートリッジ。
13. 上記流体ディレクタ部材は更に、上記打ち出し部の上記隆起部分の方向と反対の方向に突出する少なくとも１つの凹所を含むことを特徴とする請求項１２に記載のカートリッジ。
14. 上記流体ディレクタ部材は１つの中心凹所を含むことを特徴とする請求項１３に記載のカートリッジ。
15. 上記中心の凹所は実質上円錐形、半球形または立方体形状をなすことを特徴とする請求項１４記載のカートリッジ。
16. 上記流体ディレクタ部材は上記主体部分の底部からまたは上記カバー部材から或る距離をおいて上記カートリッジの内部に置かれることを特徴とする請求項１又は１２に記載のカートリッジ。
17. 上記開口は上記粒状物質の１粒子の直径の統計学的平均値より小さい寸法をもつことを特徴とする請求項１、２、４および７の何れか1項に記載のカートリッジ。
18. 上記カートリッジの上記主体部分の上記底部部分及び／又は上記カバー部材は上記カートリッジの上記底部とカバーの刺し通しを夫々容易ならしめるために減少した機械的強度をもつ区域を備えたことを特徴とする請求項１、２、４および７の何れか1項に記載のカートリッジ。

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