JP3703667B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムを吸蔵放出可能な物質を負極及び正極の活物質とし、リチウムイオン導電性の非水電解質を用いるコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コイン型(ボタン型)非水電解質二次電池は、高エネルギー密度、軽量であるといった特徴により、機器のバックアップ用の電源としての用途が増加している。
従来のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池のほとんどは、何等かの形で負極の活物質にリチウムを加える必要があった。例えば、負極にリチウム−アルミニウム合金と正極に3V級のリチウム含有マンガン酸化物を用いた電池の場合、負極のアルミニウムにリチウムを圧着する必要があった。また、負極に炭素と正極に3V級のリチウム含有マンガン酸化物を用いた電池の場合、負極にリチウムを電気化学的にドープする必要があった。
【0003】
該電池においては、電池の気密、液密、および正・負極缶の絶縁を保つガスケットの材質が極めて重要である。従来ガスケット材質としては、耐薬品性、弾力性、耐クリープ性にすぐれ、成形性がよく、射出成形可能で安価なポリプロピレンが用いられてきた。
該電池は、主にメモリーバックアップ電源として用いる場合、該電池にハンダ付用の端子を溶接した後、メモリー素子とともにプリント基板上にハンダ付されることが多い。従来、プリント基板上へのハンダ付は、ハンダこてを用いて行なわれていたが、機器の小型化あるいは高機能化にともない、プリント基板の同一面積内に搭載される電子部品を多くする必要が生じハンダ付のためにハンダこてを挿入する隙間を確保することが困難となってきた。また、ハンダ付け作業もコストダウンのため自動化が求められていた。
【0004】
そこであらかじめプリント基板上のハンダ付を行う部分にハンダクリーム等を塗布しておきその部分に部品を載置するか、あるいは、部品を載置後ハンダ小球をハンダ付部分に供給し、ハンダ付部分がハンダの融点以上、例えば、200〜230℃となるように設定された高温雰囲気の炉内に部品を搭載したプリント基板を通過させることにより、ハンダを溶融させてハンダ付を行う方法が用いられている(以下リフローハンダ付という)。従来の構成のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池では、耐熱を考慮した材料が用いられていないため、リフローハンダ付時に電池としての機能が損なわれるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池のほとんどは、製造工程において何等かの形で負極正極の活物質にリチウムを加える必要があったため、製造上、取扱いにくいリチウムの金属を使わなければならなかった。
また、製造工程において何等かの形で負極正極の活物質にリチウムを加えたものはリフローハンダ付けにおいて安定性を欠いていた。
【0006】
例えば、3V級のリチウム含有マンガン酸化物Li4Mn5O12を正極とし、リチウム−アルミ合金を負極とするコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池では、リフローハンダ付時、ほとんどの組み合わせの電解液や耐熱性の電池部材において電解液とリチウム合金が反応して、急激な膨らみや破裂が起こってしまう。また、3V級のリチウム含有マンガン酸化物Li4Mn5O12を正極とし、リチウムを接触または電気化学的にドープした炭素を負極とするコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池においても、電解液とリチウムがドープした負極が反応して、急激な膨らみや破裂が起こってしまう。
【0007】
さらに、従来のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池では、電解液、セパレータ、ガスケットともリフロー温度に耐えうるものとなっていないため、沸騰や溶解が起こってしまうという問題があった。さらに、電解液、セパレータ、ガスケットともにリフロー温度に耐えうるものを選択してもリフロー温度後の内部抵抗が10倍近くまで増加したり、電池特性が損なわれる問題があった。
【0008】
それぞれの、電極や部材について、耐熱性のあるものに変更しただけでは、リフロー温度対応の電池を作製することはできない。例えば、リフロー温度での破裂、膨らみといった問題を解決しても、電池特性が著しく劣化するといったことが起こりやすかった。
これは、物質的に安定と思われるものであっても組合わせにおいて、最も安定となるような配慮、最も性能が引き出せるような配慮がされていないためである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の様な課題を解決するため、以下のような改善を実施することにより、初めてリフローハンダ付け後も満足な特性を有する電池を提供できるようになった。
(1)耐熱性のある電極や部材を選定した。
【0010】
▲1▼移動可能なリチウムを含む酸化物正極
移動可能なリチウムを含む酸化物であるLiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4からなる正極活物質として用いた。
▲2▼負極
アナタース型酸化チタン(TiO2)または、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、モリブデン酸化物、SiO、炭素等が利用できる。予め負極にリチウムを電気化学的にドープする場合は、リフロー温度での反応を低減するため、ドープ量を通常温度で使用する場合の9割以下とする必要がある。
【0011】
▲3▼部材
リフローハンダ付けを可能とする電池とするため、さらに、電池の構成要素である電解液、セパレータ、ガスケットにおいても耐熱性のあるものを用いた。
2.5V〜2.9Vの電池を構成する場合、負極としては、アナタース型酸化チタン(TiO2)または、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、モリブデン酸化物等を電極として用いた。3.0V以上の電池を構成する場合、負極としては、SiO、炭素等を電極として用いることができる。
【0012】
特に移動可能なリチウムを含む酸化物であるLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4やアナタース型酸化チタン、スピネル型チタン酸リチウムは、リフロー温度で急激な反応を起こしにくい。
(2)電極活物質をさらに熱的に安定なものとした。
電極活物質の安定性を種々の角度から検討したところ、微粉を減らすことが最もリフロー温度で安定することがわかった。
(3)電極の熱処理により電池特性の劣化を抑えた。
【0013】
電極活物質と導電助材と有機バインダーからなる電極を200℃〜450℃で熱処理して用いた。これにより、活物質、有機バインダー、導電助材の熱的に活性な部分(微粉、合成時の未反応部分等)を不活性にし、電解液と電極の濡れ性を改善した。
(4)電解液の選択耐熱部材の選択において、最適な組合わせを検討した。
【0014】
これらの技術の最適な組合わせにより、リフロー温度に耐えうるコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池を提供することができた。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、正極、負極の両方、又は一方を200〜450℃で熱処理した電極と耐熱性のある電解液、セパレータ、ガスケットを用いている。
正極活物質としては、リフロー温度で安定で、しかも可逆的にリチウムを出し入れできるものを選んだ。さらに、リフロー温度で耐えうる電解液との組み合わせで特性を損なわないものとすることが重要であった。
【0016】
正極活物質として用いる活物質としては、活性炭、チタン酸化物、リチウム含有チタン酸化物、モリブデン酸化物、マンガン酸化物、リチウム含有マンガン酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物が正極活物質と電解液との組み合わせにおいて良好であった。
特に、移動可能なリチウムを含む酸化物であるLiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4を用いることにより、製造工程で活物質にリチウムを加える必要がなく良好であった。 LiCoO2を正極として用いると、初期の電圧は約3V/vsLiであるが、電圧をかけること(充電)によりリチウムが移動し4V/vsLiとなる。移動したリチウムを吸蔵するように負極側にアナタース型酸化チタンやスピネル型チタン酸リチウムを用いると電池電圧が3〜2V程度の電池を作ることができる。
【0017】
リチウムやリチウムアルミ合金等を負極に用いた電池は、200℃を越えるリフロー温度において急激な反応が起こることが、われわれの実験により確認できた。一方、リチウムを原料の合成段階で焼成等により、予め含ませた酸化物であるLiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4の正極とリチウム金属以外の負極を用いた電池では、リフロー温度においても、電解液と急激に反応しないことがわかった。
【0018】
また、コバルトとニッケルは複合化することが可能でLiCoxNiyO2の形にしてもよい、さらに、コバルトまたはニッケルの一部をB、P、SiおよびMg等で置き換えることも可能である。
一方、負極は、組み合わせる正極によりそのまま用いたり、リチウムをドープして用いることができる。
【0019】
移動可能なリチウムを含む酸化物であるLiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4との組合わせにおいては、アナタース型酸化チタン(TiO2)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、モリブデン酸化物等の負極にリチウムをドープせずそのまま用いることができる。負極にSnO、SiOを用いる場合は、充放電時に充放電に関与しないリチウムが活物質に取り込まれるため、予めその分のリチウムを負極に加えておく必要がある。
【0020】
移動可能なリチウムを含まないLi4Mn5O12、MnO2、MoO3等の正極を用いる場合は、予め負極側にリチウムをドープしておく必要がある。ただし、通常の条件で、リチウムを接触または電気化学的にドープした炭素や酸化物を負極とすると電解液と負極が200℃を越えるリフロー温度において急激な反応が起こることが、われわれの実験により確認できた。そのため、リチウムを接触または電気化学的にドープした炭素や酸化物を負極の場合、ドープするリチウム量を減し、リフロー温度での反応を抑えることが必要である。ドープするリチウムの量は、常温で電池を使用する場合の9割以下にしなければならない。
【0021】
負極活物質として用いるリチウムを吸蔵放出可能なケイ素または錫の酸化物は公知であり、例えば前者は特開平6−325765号公報、後者は特開平6−275268号に記載されている。リフローハンダ付け温度に耐え得るためには、リチウムの含有量を少なめにする必要がある。
電極活物質中に含まれる微粉を極力減らすことも重要である。アナタース型酸化チタンやスピネル型チタン酸リチウム、ケイ素酸化物、錫酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物の場合、平均粒径が5μm以上で、5μm以下の粒径のものを50%以上含まないことが好ましいことが実験によりわかった。LiCoO2、LiNiO2、Li4Ti5O12またはLiMn2O4場合、平均粒径が5μm以上で、5μm以下の粒径のものを50%以上含まないことが好ましいことが実験によりわかった。より好ましくは、平均粒径が10μm以上で、10μm以下の粒径のものを50%以上含まないことがよい。
【0022】
平均粒径が5μm以下の場合や、5μm以下粒径のものを50%以上含む場合は、電解液と急激に反応して電池が膨らんでしまう場合があった。ただし、多少の微粉であれば、後に示す熱処理を行うことにより、電池への悪影響を減らすことができる。
電極の熱処理温度は、200〜450℃であることが望ましい。特に250〜350℃の範囲が好ましい。200℃以下では、電池特性の向上がほとんど認められなかった。350℃以上では、電池特性の向上はあるものの有機バインダーの分解が進みすぎ、電極自体の強度が落ち、形状を保持することがかなり困難であった。
【0023】
熱処理方法は、熱風、ヒーター、赤外線、遠赤外線、電子線、低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。熱処理雰囲気は、大気、酸素、真空、不活性雰囲気が電極の種類により用いられる。LiMn2O4の場合は、大気または、酸素濃度の高い雰囲気での熱処理の方が良好であった。ただし、大気または、酸素濃度の高い雰囲気での熱処理で温度を上げすぎると、有機バインダーが燃焼したり、導電助材の酸化が起こり電池特性が落ちる場合があるため注意しなければならない。
【0024】
熱処理の効果は、活物質、有機バインダー、導電助材の熱的に活性な部分(微粉、合成時の未反応部分等)が加熱により変化し、リフロー温度でも安定になったことにあると推測できる。また、200℃以上の加熱は有機物に大きな変化を与える。有機バインダーは、熱処理により大きく電解液との濡れ性が向上する。これは、200℃付近で分解が始まるため、有機バインダーの表面の官能基等が改質されたか、有機バインダーの一部が分解し多孔質になったためと考えられる。
【0025】
また、実際のリフロー温度より高温の熱処理を事前に電極に対し施すことは、非常に有効である。これは、リフロー温度で有機バインダーが分解等の反応を起こしガス等が発生することを防ぐためである。あらかじめ、リフロー温度以上の温度で電極を熱処理しておけば、リフロー温度で起こる反応は事前に終結するため、ガス等が発生することはない。通常のリフロー温度は220℃程度であるためそれ以上の温度で、リフロー時間より長い時間熱処理をすれば問題ない。鉛を含まないハンダを用いた場合のリフローは通常より高温となるため、250℃程度の熱処理が必要となる。
【0026】
リフローハンダ付けに耐えるためには、電解液は、前述したように、耐熱を有する非水溶媒の常圧での沸点が200℃以上のものを用いなければならない。常圧での沸点が200℃以上の電解液で用いられるプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)は、沸点の低いものに比べ粘性が高く、電極に染み込みにくい。これらを用いた電解液を用いた場合、電池特性がよくないばかりか、製造工程においても電極に染み込ませるための時間をかなり考慮しなければならない。しかし、本発明のように予め、電極を200℃以上で熱処理しておけば、電解液との濡れ性が大幅に改善し、電池特性も向上する。
【0027】
電解液(非水溶媒)中に存在する主な不純物としては、水分と、有機過酸化物(例えばグリコール類、アルコール類、カルボン酸類)などが挙げられる。前記各不純物は、黒鉛化物の表面に絶縁性の被膜を形成し、電極の界面抵抗を増大させるものと考えられる。したがって、サイクル寿命や容量の低下に影響を与える恐れがある。また高温(60℃以上)貯蔵時の自己放電も増大する恐れがある。このようなことから、非水溶媒を含む電解液においては前記不純物はできるだけ低減されることが好ましい。具体的には、水分は50ppm以下、有機過酸化物は1000ppm以下であることが好ましい。
【0028】
支持塩においても、LiClO4等の塩素系のものよりフッ素を含有する支持塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)が、熱的にも電気特性的にも安定であった。
セパレーターとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち絶縁性の膜が用いられる。耐有機溶剤性とリフロー温度での耐熱性が求められる。ガラス繊維が最も安定して用いることができるが、熱変形温度が230℃以上のポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフロロエチレンなどの樹脂を用いることもできる。セパレーターの孔径は、一般に電池用として用いられる範囲が用いられる。例えば、0.01〜10μmが用いられる。セパレーターの厚みは、一般に電池用の範囲で用いられる例えば、5〜300μmが用いられる。
【0029】
ガスケットは、熱変形温度が230℃以上の樹脂がポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミドがリフロー温度での破裂等がなく、しかもリフロー後の保存においてもガスケットの変形による漏液などの問題がなかった。
この樹脂材料としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド46樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる樹脂が好ましい。
【0030】
または、この材料に10重量%程度以下の添加量でガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を添加したものであっても、本実験と同様の効果を発揮することが実験によって判明している。
電極形状は、電池の形状がコインやボタンの場合、正極活物質や負極活物質の合剤をペレットの形状に圧縮し用いられる。また、薄型のコインやボタンのときは、シート状に成形した電極を打ち抜いて用いてもよい。そのペレットの厚みや直径は電池の大きさにより決められる。
【0031】
電極合剤には、導電剤や結着剤やフィラーなどを添加することができる。導電剤の種類は特に限定されず、金属粉末でもよいが、炭素系のものが特に好ましい。炭素材料はもっとも一般的で、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、炭素繊維等が使われる。また、金属では、銅、ニッケル、銀等の金属粉、金属繊維が用いられる。導電性高分子も使用される。
【0032】
ペレットのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜5ton/cm2が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
炭素の添加量は、活物質の電気伝導度、電極形状等により異なり特に限定されないが、負極の場合1〜50重量%が好ましく、特に2〜40重量%が好ましい。
【0033】
炭素の粒径は平均粒径で0.5〜50μmの範囲、好ましくは0.5〜15μmの範囲、より好ましくは0.5〜6μmの範囲にすると活物質間の接触性が良好になり、電子伝導のネットワーク形成が向上し、電気化学的な反応に関与しない活物質が減少する。
結着剤は、電解液に不溶のものが好ましいが特に限定されるもではない。通常、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸中和物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素樹脂、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの多糖類、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどが1種またはこれらの混合物として用いられる。 結着剤の添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好ましい。本発明では、ポリアクリル酸を用いた電極を熱処理して用いた場合、他に比較し、良好な結果を示した。
【0034】
フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。本発明の場合、炭素、ガラスなどの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
電極活物質の集電体としては、電気抵抗の小さい金属板が好まれる。例えば、正極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、タングステン、金、白金、焼成炭素などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが用いられる。ステンレス鋼は二相ステンレスが腐食に対して有効である。コイン、ボタン電池の場合は電池の外部になる方にニッケルめっきすることが行われる。処理の方法としては、湿式めっき、乾式めっき、CVD、PVD、圧着によるクラッド化、塗布等がある。
【0035】
負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、タングステン、金、白金、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの、Al−Cd合金などが用いられる。処理の方法としては、湿式めっき、乾式めっき、CVD、PVD、圧着によるクラッド化、塗布等がある。
【0036】
電極活物質と集電体を導電性の接着剤により固定することも可能である。導電性接着剤としては、溶剤に溶かした樹脂に炭素や金属の粉末や繊維を添加したものや導電性高分子を溶解したもの等が用いられる。
ペレット状の電極の場合は、集電体と電極ペレットの間に導電性接着剤を塗布し電極を固定する。この場合の導電性接着剤には熱硬化型の樹脂が含まれる場合が多い。
【0037】
コイン、ボタン電池の場合ガスケットと正・負極缶の間にアスファルトピッチ、ブチルゴム、フッ素系オイル、クロロスルホン化ポリエチレン、エポキシ樹脂等の1種または混合物のシール剤が用いられる。シール剤が透明の場合は着色して、塗布の有無を明確にすることも行われる。シール剤の塗布法としては、ガスケットへのシール剤の注入、正・負極缶への塗布、ガスケットのシール剤溶液へのディッピング等がある。
【0038】
本発明の非水電解質二次電池の用途には、特に限定されないが、例えば、携帯電話、ページャー等のバックアップ電源、発電機能を有する腕時計の電源等がある。
本発明の電池は除湿雰囲気または、不活性ガス雰囲気で組み立てることが望ましい。また、組み立てる部品も事前に乾燥することが好ましい。ペレットやシートおよびその他の部品の乾燥又は脱水方法としては、一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質ではそれぞれ50ppm以下にすることがサイクル性の点で好ましい。
【0039】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
【実施例】
本実施例は、下記のようにして作製した正極、負極及び電解液を用いた。また、電池の大きさは外径6.8mm、厚さ2.1mmであった。電池断面図を図1に示した。
(実施例1〜6、比較例1)
正極は次の様にして作製した。市販のLi0.36MnO2.43(P入り)を平均粒径が20μmで、10μm以下の粒径のものを20%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比Li0.36MnO2.43:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、大気中で250℃で12時間熱処理をした。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0041】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。リチウムの量はSiOが1molに対し3.6molとなる量を貼り付けた。
【0042】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイド(実施例1)、ポリエチレンテレフタレート(実施例2)、ポリエーテルエーテルケトン(実施例3)、ポリアリレート(実施例4)、ポリアミド(実施例5)、ポリイミド(実施例6)、ポリプロピレン(比較例1)の樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0043】
(実施例7〜9、比較例2)
正極は次の様にして作製した。市販のLi0.36MnO2.43(P入り)を平均粒径が20μmで、10μm以下の粒径のものを20%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比Li0.36MnO2.43:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、大気中で250℃で12時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0044】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、250℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。リチウムの量はSiOが1molに対し3.6molとなる量を貼り付けた。
【0045】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4(実施例7)、LiPF6(実施例8)、LiCF3SO3(実施例9)、LiClO4(比較例2)を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
【0046】
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
(実施例10〜14)
正極は次の様にして作製した。市販のLi0.36MnO2.43(P入り)を平均粒径が20μmで、10μm以下の粒径のものを20%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比Li0.36MnO2.43:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、大気中で250℃で12時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0047】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。リチウムの量はSiOが1molに対し3.6molとなる量を貼り付けた。
【0048】
電解液7は、PC(実施例10)、γ−BL(実施例11)、PC、ECの体積比1:1混合溶媒(実施例12)、γ−BL、EC、DMEの体積比1:1:1混合溶媒(実施例13)、γ−BL、EC、DECの体積比1:1:1混合溶媒(実施例14)にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
【0049】
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
(実施例15〜16)
正極は次の様にして作製した。市販のLi0.36MnO2.43(P入り)平均粒径が20μmで、10μm以下の粒径のものを20%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比Li0.36MnO2.43:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、大気中で250℃で12時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0050】
負極は、次の様にして作製した。市販のSnOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比70.5:21.5:7の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、250℃で12時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。リチウムの量はSnOが1molに対し3.1molとなる量を貼り付けた。
【0051】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布(実施例15)、テフロンを素材とするシート(実施例16)を用いた。
【0052】
(実施例17〜18)
正極は次の様にして作製した。市販の活性炭に導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてテフロンを重量比活性炭:アセチレンブラック:テフロン=80:10:10の割合で混合して厚さ0.8mmのシートを作製し、直径3.95mmに打ち抜いた。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、250℃で12時間減圧加熱乾燥した。
【0053】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合(実施例17)、または市販のSnOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比70.5:21.5:7の割合で混合(実施例18)して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、大気中で250℃で12時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。リチウムの量はSiOが1molに対し3.6mol、SnOが1molに対し3.1molとなる量を貼り付けた。
【0054】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0055】
(実施例19〜28)
正極は次の様にして作製した。市販のLiMn2O4(実施例19)、市販のLiCoO2(実施例20)、市販のMnO2(実施例21)、市販のMoO3(実施例22)、焼成して作成したLiCo0.5Ni0.5O2(実施例23)、LiNiO2(実施例24)、LiTiO2(実施例25)、Li1.33Ti1.66O4(実施例26)、MoO2.71(実施例27)、市販のNb2O5(実施例28)を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比正極活物質:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、LiMn2O4、LiCoO2、 LiCo0.5Ni0.5O2、 LiNiO2、MnO2、MoO3、MoO2.71、Nb2O5は大気中で、LiTiO2とLi1.33Ti1.66O4は減圧中で350℃で7時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0056】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。
【0057】
リチウムの量は実施例19、20、23、24の場合、SiOが1molに対し2.0molとなる量を貼り付け、実施例21、22、25、26、27、28の場合、SiOが1molに対し3.6molとなる量を貼り付けた。
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
【0058】
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
(実施例29〜32)
正極は次の様にして作製した。市販のLiMn2O4(実施例29)、市販のLiCoO2(実施例30)、焼成して作成したLiCo0.5Ni0.5O2(実施例31)、LiNiO2(実施例32)を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比、正極活物質:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、LiMn2O4、LiCoO2、 LiCo0.5Ni0.5O2、 LiNiO2は大気中で250℃で7時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0059】
負極は、次の様にして作製した。市販のTiO2を粉砕したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比88.5:9:2.5の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、250℃で7時間減圧加熱乾燥した。
【0060】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0061】
(実施例33〜36)
正極は次の様にして作製した。市販のLiMn2O4(実施例33)、市販のLiCoO2(実施例34)、焼成して作成したLiCo0.5Ni0.5O2(実施例35)、LiNiO2(実施例36)を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比、正極活物質:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、LiMn2O4、LiCoO2、LiCo0.5Ni0.5O2、 LiNiO2は大気中で250℃で7時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0062】
負極は、次の様にして作製した。市販のMoO2を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比88.5:9:2.5の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、減圧中で250℃で8時間加熱乾燥した。
【0063】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0064】
(実施例37〜40)
正極は次の様にして作製した。市販のLiMn2O4(実施例37)、市販のLiCoO2(実施例38)、焼成して作成したLiCo0.5Ni0.5O2(実施例39)、LiNiO2(実施例40)を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比、正極活物質:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、LiMn2O4、LiCoO2、LiCo0.5Ni0.5O2、 LiNiO2は大気中で250℃、7時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0065】
負極は、次の様にして作製した。焼成して作製したMoO2.71を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比88.5:9:2.5の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、減圧中で250℃、7時間加熱乾燥した。
【0066】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0067】
(実施例41〜44)
正極は次の様にして作製した。市販のLiMn2O4(実施例37)、市販のLiCoO2(実施例38)、焼成して作成したLiCo0.5Ni0.5O2(実施例39)、LiNiO2(実施例40)を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比、正極活物質:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、LiMn2O4、LiCoO2、LiCo0.5Ni0.5O2、 LiNiO2は大気中で250℃で7時間熱処理した。その後150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0068】
負極は、次の様にして作製した。焼成して作製したLi4Ti5O12を平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比88.5:9:2.5の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、減圧中で250℃で7時間加熱乾燥した。
【0069】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0070】
(比較例3)
正極は次の様にして作製した。 市販のLi0.36MnO2.43(P入り)を平均粒径が20μmで、10μm以下の粒径のものを20%以上含まないように粉砕整粒したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比Li0.36MnO2.43:グラファイト:ポリアクリル酸=88.5:9:2.5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット1を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0071】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを平均粒径が15μmで、5μm以下の粒径のものを10%以上含まないように粉砕整粒したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極極合剤とした。合剤を2ton/cm2で直径4.05mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット4を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムホイル6を直径4mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。
【0072】
電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:1混合溶媒にLiBF4を1mol/l溶解したものを用いた。
ガスケット8は、ポリフェニレンサルファイドの樹脂で作成されたものを用いた。
セパレータ9は、ガラス繊維不織布を用いた。
【0073】
この様にして作製された電池を正・負極缶表面が図2に示す温度推移となるようなリフローハンダ付を行なった時の交流内部抵抗(1kHz、1mA)の変化を表1及び表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
表1及び表2において本発明品と従来品とを比較する。本発明品はリフローハンダ付において短絡することがなく、内部抵抗の変化も3倍以内におさえられ電池性能が損なわれず耐熱性が改善されてリフローハンダ付が可能となる。
【0077】
【発明の効果】
電解液を耐熱性があり、しかもリフロー温度での反応性の少ない溶媒と電解質の組合わせを考慮し構成すること、電極活物質材料をリフロー温度で反応性を抑えるようにしたこと(材料の選択、微粉を少なくすること、リチウムドープ量の調整)、および組立の前に電極の熱処理を行うこと、熱処理で特性の改善される有機バインダーとすること、耐熱セパレータ、ガスケットにすること等を種々の検討の中から見出し、これらの技術をバランスよく組み合わせることによりにより飛躍的にリフロー温度での安定性を向上することができた。
【0078】
これによりリフローハンダを行っても内部抵抗の増加が少なく電池性能を損なわないコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるボタン電池の断面図を示す図である。
【図2】リフローハンダ付時の正・負極缶表面温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 正極ペレット
2 電極集電体
3 正極ケース
4 負極ペレット
5 負極ケース
6 リチウムホイル
7 電解液
8 ガスケット
9 セパレータ
Claims (6)
- 電極活物質と導電助材と有機バインダーからなる正極および負極、非水溶媒と支持塩からなる耐熱電解液、耐熱セパレータ、耐熱ガスケット等の部材からなる非水電解質電池において、正極、負極の両方又は一方を200℃〜450℃で熱処理して用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記正極が正極活物質として、活性炭を用い、前記負極が負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能なケイ素の酸化物または錫の酸化物を用いたことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極が正極活物質として、LiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4を用い、前記負極が負極活物質として、アナタース型構造を有するチタン酸化物またはスピネル構造を有するチタン酸リチウムを用いたことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極または負極に用いられる活物質の平均粒径が5μm以上で、5μm以下の粒径のものを50%以上含まない、かつ前記耐熱電解液に用いられる前記非水溶媒の常圧での沸点が200℃以上であり、かつ前記支持塩がフッ素を含有し、かつ前記耐熱セパレータがガラス繊維または熱変形温度230℃以上の樹脂からなり、かつ前記耐熱ガスケットが熱変形温度230℃以上の樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記有機バインダーがポリアクリル酸からなり、かつ前記常圧での沸点が200℃以上の非水溶媒が、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)から選ばれる単独または複合物であり、かつ前記支持塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)から選ばれる単独または複合物であり、かつ前記熱変形温度が230℃以上の樹脂がポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミドらから選ばれる単独または複合物であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記正極、負極の両方又は一方を200℃〜450℃で熱処理する雰囲気を大気中または真空中で行うことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
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