JP4179536B2 - リフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池 - Google Patents

リフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムを吸蔵放出可能な物質を負極及び正極の活物質とし、リチウムイオン導電性の非水電解質を用いるコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池に関し、特に、リフローハンダ付けに対応する耐熱非水電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイン型(ボタン型)非水電解質二次電池は、高エネルギー密度、軽量であるといった特徴により、機器のバックアップ用の電源としての用途が増加している。従来のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池のほとんどは、正極に3V級のリチウム含有マンガン酸化物が用いられており、それにより高容量、良好なサイクル特性が確保されていた。このような電池において、電池の気密、液密、および正・負極缶の絶縁を保つガスケットの材質が極めて重要である。そこで、ガスケット材質としては、耐薬品性、弾力性、耐クリープ性にすぐれ、成形性がよく、射出成形可能で安価なポリプロピレンが用いられてきた。
【0003】
二次電池をメモリーバックアップ電源として用いる場合には、該電池にハンダ付用の端子を溶接した後、メモリー素子とともにプリント基板上にハンダ付されることが多い。従来、プリント基板上へのハンダ付は、ハンダこてを用いて行なわれていた。しかし、機器の小型化あるいは高機能化にともなって、プリント基板の同一面積内に搭載する電子部品を多くする必要が生じたため、ハンダこてを挿入する隙間を確保することが困難となってきた。また、ハンダ付け作業もコストダウンのため自動化が求められていた。
【0004】
そこで、あらかじめプリント基板上のハンダ付を行なう部分にハンダクリーム等を塗布しておきその部分に部品を載置するか、あるいは、部品を載置した後ハンダ小球をハンダ付部分に供給し、ハンダ付部分がハンダの融点以上、例えば、200〜260℃となるように設定された高温雰囲気の炉内に部品を搭載したプリント基板を通過させることにより、ハンダを溶融させてハンダ付を行なう方法が用いられている(以下リフローハンダ付という)。
【0005】
正極にリチウム含有マンガン酸化物を用いた従来のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池では、耐熱を考慮した材料が用いられていないため、リフローハンダ付時に電池としての機能が損なわれるという欠点があった。従来のリチウム含有マンガン酸化物の合成法には、原料粉末を焼成反応しているもの(例えば、特許文献1参照)、水熱合成を行なうもの(例えば、特許文献2参照)、あるいは、リチウム溶融剤とマンガン化合物を混合して加熱処理により合成しているものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−238510号公報(第2−3頁)
【0007】
【特許文献2】
特開平11−233112号公報(第2−3頁)
【0008】
【特許文献3】
特許3170587号公報(第2−3頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の3V電圧のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池のほとんどは、正極にマンガン酸化物やリチウム含有マンガン酸化物を用い、負極にリチウム−アルミ合金やリチウムを含有する炭素や酸化物を用いていた。
【0010】
例えば、市販されている3V級のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池では、リチウム含有マンガン酸化物LiMn12を正極とし、リチウム−アルミ合金を負極としているが、このような二次電池では、リフローハンダ付時、ほとんどの組み合わせの電解液や耐熱性の電池部材において電解液とリチウム合金または、リチウム含有マンガン酸化物が反応して、急激な膨らみや破裂、内部抵抗の上昇が起こってしまう。
【0011】
特に、マンガン酸化物またはリチウム含有マンガン酸化物の正極だけをコイン電池内に電解液と共に封入し、リフロー温度で加熱した場合、破裂はしないものの、コイン型ケースが膨らむ傾向にあった。活性なリチウムを含む負極とマンガン酸化物またはリチウム含有マンガン酸化物の正極の組み合わせが、急激な膨らみや破裂、内部抵抗の上昇を助長していたものと思われる。詳細なメカニズムは不明であるが、特にリチウム含有マンガン酸化物がリフロー温度で活性であり、急激な反応を起こすものと考えられている。
【0012】
さらに、従来のコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池では、電解液、セパレータ、ガスケットともリフロー温度に耐えうるものとなっていないため、沸騰や溶解が起こってしまうという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
リフロー温度での反応性の低いマンガン酸化物または、リチウム含有マンガン酸化物について、さまざまの種類を検討した結果、リチウム塩からなる融剤を溶融状態下で加熱処理して作製されたリチウム含有マンガン酸化物が著しい耐リフロー温度特性をしめした。そして、リチウム塩からなる融剤を溶融状態下で加熱処理して作製したリチウム含有マンガン酸化物を正極活物質として用いた結果、高容量のフローハンダ付け可能な非水電解質二次電池が実現できた。
【0014】
本発明のリチウム含有マンガン酸化物を作製するにあたって、出発物質をマンガン酸化物、マンガン水酸化物等のマンガン化合物とした場合、リチウム塩からなる融剤を硝酸リチウムとすることが有効であった。この場合、融剤の中で完全にマンガン化合物をリチウム含有マンガン酸化物に反応させるため、反応に比較的長い時間を要した。
【0015】
また、本発明のリチウム含有マンガン酸化物を作製するにあたって、出発物質をリチウム含有マンガン酸化物(リフロー温度で反応性の高いもの)とした場合には、出発物質が高容量のリチウム含有マンガン酸化物であるため、表面をリフロー温度での反応性の低いリチウム含有マンガン酸化物に変えればよい、従って反応は比較的短時間でよい。また、出発物質にLiMn12を用いた場合は、容量、サイクル特性とも良好であった。
【0016】
さらに、電池の構成要素である電解液、セパレータ、ガスケットにおいても耐熱性があり、しかも電極との組み合わせにおいても電池性能損なわないものを見つけ出した。それにより、正極にリチウム含有マンガン酸化物を用いたリフローハンダ付け可能な非水電解質二次電池を提供することができた。
【0017】
このように、本発明の非水電解質二次電池は、正極の正極活物質に、リチウム塩からなる融剤の溶融状態下でマンガン化合物を加熱処理して形成されたものを用いることで、リフローハンダ付けが可能となった。
【0018】
また、本発明による非水電解質二次電池の製造方法は、リチウム塩からなる融剤の溶融状態下でマンガン化合物を加熱処理してリチウム含有マンガン酸化物を形成する工程と、前記リチウム含有マンガン酸化物を活物質として正極を形成する工程と、前記正極と、負極と、非水溶媒、支持塩を含む電解液と、セパレータとを、ガスケットを用いて密封する工程と、を備えることとする。
【0019】
また、リチウム含有マンガン酸化物の形成工程において、用いるリチウム塩の融点以上の温度で加熱処理することとした。また、リチウム含有マンガン酸化物を形成する工程の前に、大気中で熱処理されたマンガン化合物を用いることとした。
【0020】
また、リチウム含有マンガン酸化物を形成する工程が、マンガン化合物とリチウム塩を混合後にペレット成形を行い、このペレットを加熱してリチウム含有マンガン酸化物を形成する工程であることとした。あるいは、リチウム含有マンガン酸化物を形成する工程が、マンガン化合物を大気中で熱処理した後に、リチウム塩と混合してペレット成形を行い、このペレットを加熱してリチウム含有マンガン酸化物を形成する工程であることとした。
【0021】
さらに、ここで用いられる非水溶媒は常圧での沸点が200℃以上であり、支持塩はフッ素を含有し、セパレータはガラス繊維または熱変形温度230℃以上の樹脂からなり、ガスケットは熱変形温度230℃以上の樹脂からなることとした。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の非水電解質二次電池について以下に説明する。非水電解質二次電池を高容量にするためには、高容量の正極活物質であるマンガン酸化物または、リチウム含有マンガン酸化物を用いることが不可欠である。そして、種々のマンガン酸化物、リチウム含有マンガン酸化物について鋭意検討を重ねた結果、著しい耐リフロー温度特性を示すリチウム含有マンガン酸化物を見いだした。このリチウム含有マンガン酸化物は、マンガン化合物をリチウム塩からなる融剤の溶融状態下で加熱処理することにより作製される。すなわち、このようにして作製したリチウム含有マンガン酸化物を正極活物質として用いることにより、高容量のフローハンダ付け可能な非水電解質二次電池が実現することを見出した。リチウム含有マンガン酸化物を作製するにあたって、出発物質をマンガン酸化物、マンガン水酸化物等のマンガン化合物とした場合、リチウム塩からなる融剤を硝酸リチウムとすることが有効であった。ここで、原料化合物として用いられるマンガン化合物としては炭酸塩、オキシ水酸化物、水酸化物、含水酸化物、酸化物などが好ましい。
【0023】
本発明に用いるリチウム含有マンガン酸化物を合成するためには融剤の選択が極めて重要である。融剤としては、融点が比較的低く、溶融状態で酸化性のある硝酸リチウムが用いられる。これはまた、マンガン化合物と反応するリチウム化合物としても同時に用いられる。添加する融剤の量は、融剤が溶けて反応を促進するという目的からすると、原料マンガン化合物1モルに対して、5モル量以上、好ましくは5〜25モル量、より好ましくは15〜20モル量添加すればよい。
【0024】
また、合成の際に融剤の攪拌を行なうことで、マンガン化合物と融剤の接触及び温度の均質性を得ることができるため、均質な反応生成物を得るのに有効である。また、合成の際に超音波ホモジナイザーを用いても同様な効果が得られる。
【0025】
本発明に用いるリチウム含有マンガン酸化物を得るためには、融剤とマンガン化合物を十分に混合した後、300〜500℃で加熱すればよい。所定時間加熱後、試料を水洗し融剤を溶かして所定リチウムマンガン酸化物と分離する。更に乾燥することによって前駆体の形状を保持したままのLiMn12のスピネル型リチウムマンガン酸化物が得られる。乾燥は通常70℃以上で行えばよい。
【0026】
また、マンガン化合物のみの熱処理を行った後に、融剤と混合して加熱処理することも可能である。このとき、マンガン化合物の熱処理温度を、マンガン化合物が分解する温度以上、かつ、前駆体であるマンガン化合物の形状を保持できる温度以下にすることが望ましい。実際の熱処理温度はマンガン化合物により異なるが、300〜500℃の範囲であった。
【0027】
マンガン化合物の分解反応により気体が発生する場合は、融剤から発生する気体を逃すことが必要となり、特に分解反応が激しい場合は融剤の飛散が懸念される。このような場合、マンガン化合物のみの熱処理を先に行なえば、分解反応もスムーズに行なわれ、更に融剤の飛散も無いので工業上有用である。但し、先にマンガン化合物を分解反応させることにより融剤との化学反応性は落ちるため、融剤との反応温度は、直接マンガン化合物と融剤を熱処理する温度に比べて、高い温度が必要となる。
【0028】
更に、マンガン化合物と融剤、あるいは事前に熱処理されたマンガン化合物と融剤を混合し、ペレット成形した後に加熱処理することも可能である。マンガン酸化物と融剤の量は、マンガン化合物に対して融剤が十分に多く、融剤の溶融状態において、融剤がマンガン化合物を覆う状態になればよい。
【0029】
融剤としては、蒸発性があり、かつ比較的融点が低く、酸化性のある硝酸リチウムが良好であった。またこの方法では、融剤の中で完全にマンガン化合物をリチウム含有マンガン酸化物に反応させるため、反応に比較的長い時間を有した。
【0030】
また、本発明のリチウム含有マンガン酸化物を作製するにあたって、出発物質をリチウム含有マンガン酸化物(リフロー温度で反応性の高いもの)とした場合、出発物質が高容量のリチウム含有マンガン酸化物であるため、表面をリフロー温度での反応性の低いリチウム含有マンガン酸化物に変えればよい、従って反応は比較的短時間でよい。出発物質に従来の方法で作製したLiMn12を用いた場合は、容量、サイクル特性とも良好であった。
【0031】
リチウム塩からなる融剤の溶融状態下での加熱処理温度は、リチウム塩の融点からさらに300℃までの間が有効であった。ただし、融剤の温度は沸点および分解温度を超えない範囲でなければならない。
【0032】
リチウム塩からなる融剤の溶融状態下で加熱処理により作製したリチウム含有マンガン酸化物がなぜリフローハンダ付け温度にさらされても、特性が落ちないかの詳細なメカニズムは不明であるが、以下のような推測がなされる。
(1)二酸化マンガン等のリチウム含有マンガン酸化物以外を出発原料として用いた場合
活物質が二次電池正極として、十分に機能するためには、二酸化マンガンがリチウム含有二酸化マンガンに変化しなければならない。そのため、300℃以上の温度と比較的長い熱処理時間が必要である。さらに、出発物質の表面では、熱に強いLiMnOのような物質ができていることが推測される。そのため、熱処理時間が必要以上に長くなると、表面のみならず、内部にまでLiMnOができてしまい電池特性が悪くなるものと考えられる。
(2)リチウム含有マンガン酸化物を出発原料として用いた場合
リチウム含有マンガン酸化物を出発原料として用いた場合、活物質が二次電池正極として、十分に機能するため反応時間は短時間でよい。表面を熱に強いLiMnOのような物質に変えればよいだけであるため、短時間熱処理すればよいことになる。
【0033】
また、出発原料として、マンガン化合物のマンガンの価数が4価以下のものを用いた方が、効率よく本発明のリチウム含有マンガン酸化物を得られやすい傾向にあった。
【0034】
負極としては、リチウム−アルミニウム等のリチウム合金、リチウムをドーピングした炭素、リチウムをドーピングした金属酸化物(例えば、SiO、WO、WO等)、リチウムをドーピングしたSiが有効であった。特に、WO、WO、SiO、SiおよびLi−Al合金を負極活物質に用いることにより、高容量が達成できるため好ましい。
【0035】
リフローハンダ付けを行なうには、電解液として、常圧での沸点が200℃以上の非水溶媒を用いることがリフロー温度で安定であることがわかった。リフロー温度は260℃程度に上がる場合があるが、その温度で電池内部の圧力が上がっているせいか常圧での沸点が204℃のγ−ブチロラクトン(γBL)を用いた場合でも電池の破裂はなかった。正負極との組み合わせにおいて、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(γBL)、メチルテトラグライム、スルホラン、3−メチルスルホランから選ばれる単独または複合物で用いることが良好であった。
【0036】
また、上記有機溶媒の他にポリマーを用いることもできる。ポリマーとしては、従来より一般に使用されているものを用いることができ、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコールジアクリレート架橋体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフォスファゼン架橋体、ポリプロピレングリコールジアクリレート架橋体、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート架橋体、ポリプロピレングリコールメチルエーテルアクリレート架橋体等が好ましく用いられる。
【0037】
電解液(非水溶媒)中に存在する主な不純物としては、水分と、有機過酸化物(例えばグリコール類、アルコール類、カルボン酸類)などが挙げられる。前記各不純物は、黒鉛化物の表面に絶縁性の被膜を形成し、電極の界面抵抗を増大させるものと考えられる。したがって、サイクル寿命や容量の低下に影響を与える恐れがある。また高温(60℃以上)貯蔵時の自己放電も増大する恐れがある。このようなことから、非水溶媒を含む電解液においては、前記不純物はできるだけ低減されることが好ましい。具体的には、水分は50ppm以下、有機過酸化物は1000ppm以下であることが好ましい。
【0038】
支持塩としては、フッ素を含有する支持塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビスパーフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CFSO))が、熱的にも電気特性的にも安定であった。非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜3.0モル/1とすることが望ましい。
【0039】
特に有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン(γBL)の混合溶媒を用い、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)または、ホウフッ化リチウム(LiBF)用いた場合、良好な結果が得られた。
【0040】
セパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち絶縁性の膜が用いられる。リフローハンダ付け用としては、ガラス繊維が最も安定して用いることができるが、熱変形温度が230℃以上のポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂を用いることもできる。セパレータの孔径は、一般に電池用として用いられる範囲が用いられる。例えば、0.01〜10μmが用いられる。セパレータの厚みは、一般に電池用の範囲で用いられる例えば、5〜300μmが用いられる。
【0041】
ガスケットも通常ポリプロピレン等が用いられるがリフローハンダ付けを行なう場合は、熱変形温度が230℃以上の樹脂がポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、がリフロー温度での破裂等がなく、しかもリフロー後の保存においてもガスケットの変形による漏液などの問題がなかった。
【0042】
この他、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂が使用できる。また、この材料に30重量%程度以下の添加量でガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を添加したものであっても、本実験と同様の効果を発揮することが実験によって判明している。
【0043】
また、ガスケットの製造方法としては、射出成形法、熱圧縮法等がある。射出成形法はガスケットの成形方法としては最も一般的である。射出成形後に形状や結晶性を高めるために、真空、大気、または、不活性雰囲気等で、0.5から10時間程度の間、融点以下の温度で熱処理することも有効である。ただし、コストダウン等により成形精度を犠牲にする場合は、液体シール剤を用い気密を補うことが必須となる。
【0044】
熱圧縮法は、成形品のガスケット形状よりも厚みの厚い板材を素材成形品として融点以下で熱圧縮成形を行い、最終成型品を得る方法である。一般に素材成形品から融点以下の温度で熱圧縮成形により成形された熱可塑性樹脂の成形品に温度を加えると、元の素材成形品の形状に戻ろうとする性質がある。これにより、本来であれば外缶及び内缶(金属)とガスケット(樹脂)の間に隙間ができるあるいは缶とガスケットの間に封止に十分な応力が得られなくなるはずの非水電解質二次電池にこのガスケットを用いることで、熱処理(リフローハンダ付け等)によるガスケットの膨張で外缶及び内缶(金属)とガスケット(樹脂)との間に隙間ができず、あるいは、缶とガスケットとの間に封止に充分な応力が得られるようになる。また、経時的に元の素材成形品の形状に戻ろうとする性質があり、リフローハンダ付け以外の電池においても効果がある。
【0045】
特にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)を用いたガスケットにおいては、シート状の材料を加熱加圧して作製するコンプレッション成形のものの方が射出成形で作製したものより、封口性が良好であった。これは、PFAがゴム弾性を有していることと、射出成型品はリフロー温度で収縮するのに対し熱圧縮成形品はリフロー温度で成形前のシートの厚さに戻ろうとするため、封口部分の内圧が上昇しより一層の封口気密が達成できる。
【0046】
コイン、ボタン電池の場合には、ガスケットと正・負極缶の間にアスファルトピッチ、ブチルゴム、フッ素系オイル、クロロスルホン化ポリエチレン、エポキシ樹脂等の1種または混合物の液体シール剤が用いられる。液体シール剤が透明の場合は着色して、塗布の有無を明確にすることも行われる。シール剤の塗布法としては、ガスケットへのシール剤の注入、正・負極缶への塗布、ガスケットのシール剤溶液へのディッピング等がある。
【0047】
電極形状は、電池の形状がコインやボタンの場合、正極活物質や負極活物質の合剤をペレットの形状に圧縮し用いられる。また、薄型のコインやボタンのときは、シート状に成形した電極を打ち抜いて用いてもよい。そのペレットの厚みや直径は電池の大きさにより決められる。
【0048】
ペレットのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜5t/cmが好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
【0049】
電極合剤には、導電剤や結着剤やフィラーなどを添加することができる。導電剤の種類は特に限定されないが、金属粉末でも良く、特に、炭素系のものが特に好ましい。炭素材料はもっとも一般的で、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、炭素繊維等が使われる。また、金属では、銅、ニッケル、銀等の金属粉、金属繊維が用いられる。導電性高分子も使用される。
【0050】
炭素の添加量は、混合比は活物質の電気伝導度、電極形状等により異なり特に限定されないが、負極の場合1〜50重量%が好ましく、特に2〜40重量%が好ましい。
【0051】
炭素の粒径は平均粒径で0.5〜50μmの範囲、好ましくは0.5〜15μmの範囲、より好ましくは0.5〜6μmの範囲にすると活物質間の接触性が良好になり、電子伝導のネットワーク形成が向上し、電気化学的な反応に関与しない活物質が減少する。
【0052】
結着剤には、電解液に不溶のものが好ましいが、特に限定されるもではない。通常は、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸中和物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの多糖類、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどが1種またはこれらの混合物として用いられる。結着剤の添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好ましい。
【0053】
フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。本発明の場合、炭素、ガラスなどの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
【0054】
電極活物質の集電体としては、電気抵抗の小さい金属板が好まれる。例えば、正極には、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、タングステン、金、白金、焼成炭素などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが材料として用いられる。ステンレス鋼は二相ステンレスが腐食に対して有効である。コイン、ボタン電池の場合は電池の外部になる方にニッケルめっきすることが行われる。処理方法には、湿式めっき、乾式めっき、CVD、PVD、圧着によるクラッド化、塗布等がある。
【0055】
負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、タングステン、金、白金、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの、Al−Cd合金などが用いられる。処理方法には、湿式めっき、乾式めっき、CVD、PVD、圧着によるクラッド化、塗布等がある。
【0056】
電極活物質の集電体となる正極、負極の缶には基板とのコンタクトを取るための端子が溶接される。端子材料には、ステンレス鋼や鉄にニッケルめっき、金めっき、ハンダめっきの施されたものが用いられる。缶への溶接は、抵抗溶接、レーザー溶接等により行われる。
【0057】
電極活物質と集電体を導電性の接着剤により固定することも可能である。導電性の接着剤としては、溶剤に溶かした樹脂に炭素や金属の粉末や繊維を添加したものや導電性高分子を溶解したもの等が用いられる。
【0058】
ペレット状の電極の場合は、集電体と電極ペレットの間に塗布し電極を固定する。この場合の導電性接着剤には熱硬化型の樹脂が含まれる場合が多い。
【0059】
本発明の非水電解質二次電池の用途には、特に限定されないが、例えば、携帯電話、ページャー等のバックアップ電源、発電機能を有する腕時計の電源等がある。
【0060】
本発明の電池は除湿雰囲気または、不活性ガス雰囲気で組み立てることが望ましい。また、組み立てる部品も事前に乾燥するとこが好ましい。ペレットやシートおよびその他の部品の乾燥又は脱水方法としては、一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質ではそれぞれ50ppm以下にすることが充放電サイクル性向上の点で好ましい。
【0061】
ペレット自体の加熱は特に有効で、180〜280℃の範囲の温度がよい。加熱時間は、1時間以上が適当であり、真空、大気、不活性ガス雰囲気を選択することができる。加熱温度は、リフローハンダ付け温度以上を目安にし、有機結着剤の強度を考慮し、加熱条件を決める必要がある。リフローハンダ付け温度以上でそれぞれの部材を組み立て前に加熱することにより、リフローハンダ付け温度に電池がさらされても急激な反応が起こりにくくなる。また加熱により、電解液のペレットの含浸性が向上し、融点が高く、粘度の高い電解液を用いる本発明においては、電池特性向上において非常に有利である。
【0062】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0063】
【実施例】
(実施例1)
本実施例は、正極活物質原料として融剤として塩化リチウムを用いて熱処理したLiMn12を用い、負極活物質としSiOを用いた場合である。下記のようにして作製した正極、負極及び電解液を用いた。また、電池の大きさは外径4.8mm、厚さ1.4mmであった。図1に電池の断面の模式図を示す。図示するように、正極ペレット101は電極集電体102を介して金属製の正極ケース103に接触している。同様に、負極ペレット104は電極集電体102を介して金属製の負極ケース105に接触している。負極ペレット104にはリチウムホイル106が接触しているが、リチウムホイル106は電池組立後数日以内に負極ペレット104にリチウムイオンとして吸収される。正極ケース103と負極ケース105の内部には電解液107が存在し、正極ケース103と負極ケース105は絶縁体であるガスケット108を挟んで組み合わされ密閉されている。密閉された電池内において、正極ペレット101と負極ペレット104の間にはセパレータ109が設けられており、セパレータが正極と負極の間のショートを防いでいる。また、電池の封止性を高めるために、液体シール剤110を正極ケース103及び負極ケース105とガスケット108との間に塗布している。更に、正極ケース101には金属製の正極端子111が、負極ケース105には負極端子112が取り付けられている。
【0064】
実施例1として正極活物質は次のようにして作成した。はじめに原料となるリチウム含有マンガン酸化物(LiMn12)を次のように作製した。
【0065】
MnO(CMD)とLiOH・HOをモル比で5:4の割合で、ジルコニアボールを用いボールミルで20時間混合した。次にこの混合物を酸素濃度約30〜35%の雰囲気で、500℃−24時間焼成した。焼成したものを、平均粒径約10μmに粉砕した。
【0066】
このようにして作製したリチウム含有マンガン酸化物(LiMn12)2gを出発原料として用い、市販の塩化リチウム20gを混ぜ、30mlの坩堝に入れ、400℃、72時間加熱した。加熱終了後、純水で内容物を溶解しながら沈殿物を回収した。回収した沈殿物を60℃で乾燥した。
【0067】
正極合剤は次の様にして作製した。上記の沈殿物を粉砕したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比沈殿物:グラファイト:ポリアクリル酸=90:7:3の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤5mgを2ton/cmで直径2.4mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット101を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体102を用いて正極ケース103に接着し一体化した(正極ユニット化)後、250℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0068】
負極合剤は、次の様にして作製した。市販のSiOを粉砕したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極合剤とした。合剤2.6mgを2ton/cmで直径2.4mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット104を、炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体2を用いて負極ケース105に接着し一体化した(負極ユニット化)後、250℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムフォイル106を直径2mm、厚さ0.22mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。
厚さ0.2mmのガラス繊維からなる不織布を乾燥後φ3mmに打ち抜きセパレータ109とした。ガスケット108は、PPS製のものを用いた。電解液107は、エチレンカーボネート(EC):γ−ブチロラクトン(γBL)の体積比1:1混合溶媒にホウフッ化リチウム(LiBF)を1モル/l溶解したもの6μL、電池缶内に入れた。正極ユニットと負極ユニットを重ねかしめ封口することにより電池を作製した。
【0069】
(実施例2〜11)
実施例1同様の方法で、他の活物質、電解液、電池部材を用いたものを作製し評価した。
【0070】
活物質を作製するにあたっては、出発原料の10倍の重量の融剤を用い、所定の温度の溶融状態下で加熱処理した。
【0071】
正極合剤、負極合剤の比率および電池の作製方法は実施例1と同様とした。
【0072】
表1にGBL/ECと記入したのはGBL:EC=1:1、LiBF4 1mol/L、PC/EC/DMEと記入したものはPC:EC:DME=1:1:1、LiBF 1mol/Lの電解液を示す。
【0073】
以上の様に作製した電池それぞれ10個についてリフロー温度に電池が耐えうるかを調べるため、予備加熱180℃、10分、加熱240℃、1分での加熱によるリフローテストを行った。加熱後のサンプルは、膨らみを調べるため電池高さ測定、内部抵抗の測定、サイクル特性の測定を行った。高さはダイヤルゲージを用いて測定した。内部抵抗は交流法(1kHz)により測定した。サイクル特性における充放電条件は、充電は最大電流0.05mA、定電圧値3.3V、充電時間30時間の定電流定電圧方式で行い、放電は0.025mAの定電流で終止電圧1.8Vで行った。過放電サイクルについては、終止電圧を0Vとした。
【0074】
結果を表1に示した。
【0075】
【表1】
Figure 0004179536
【0076】
表1において、◎は良好な特性を示すもの、○は実用上問題のないもの、△は電池のわずかな膨らみ電池特性の劣化等多少問題があるものがあるもの、×は特性上問題があり実用レベルにないものである。
【0077】
比較例1に、実施例1で原料として用いたリチウム含有マンガン酸化物(LiMn12)を活物質として用いた場合を示した。
【0078】
このリチウム含有マンガン酸化物(LiMn12)を正極活物質として用いたものは、リフローテストで0.1mm以上電池が膨らみ、10個中10個が破裂した。表1には示していないが、4V級のリチウム含有マンガン酸化物LiMn2O4を用いた場合は、リフローテストで膨らみや内部抵抗の上昇はそれほど見られなかったが、リフローによる容量の劣化が激しく実用レベルにはなかった。
【0079】
比較例2に、市販の二酸化マンガン(MnO)を熱処理して得られたものを活物質として用いた場合を示した。
【0080】
この二酸化マンガン(MnO)を正極活物質として用いたものは、リフローテストで0.1mm以上電池が膨らみ、10個中10個が破裂した。
【0081】
比較例3のPC:EC:DME=1:1:1、 LiBF4 1mol/Lの電解液を用いたものもリフロー後の特性は良くなかった。ほとんどのものがリフローテスト後破裂していることがわかった。これは低沸点溶媒であるDME(ジメチルエーテル)が電解液に入っていたため、リフロー温度で急激な体積膨張があったためと考えられる。
【0082】
実施例1〜16の電池の膨らみは、全て0.03mm以下で問題のないレベルであった。内部抵抗についても、リフローテスト後はテスト前のプラスマイナス20%以内に入り問題のないレベルであった。
図2に実施例1の充放電曲線を示した。
【0083】
実施例2には、融剤に塩化リチウムを用いた場合を示した。この場合は、熱処理温度が高く、短時間の処理で効果が現れた。
【0084】
実施例3〜7に出発原料に二酸化マンガン(MnO)を用い、温度を変化させ正極活物質を作製した例を示した。熱処理時間は168時間とした。できたサンプルの分析を行なうとリチウムが検出され、二酸化マンガンは、リチウム含有マンガン酸化物に変化したと考えられる。熱処理時間が短いと検出されるリチウム量が減り、十分な反応が起きないものと考えられる。その場合、サイクル特性の劣化が激しかった。最低でも48時間以上は必要である。熱処理温度が低いと、電池が多少膨らみリフロー熱処理後内部抵抗が上昇する傾向がある。また、温度が高いと容量の減少があった。実施例3の300℃と実施例7の450℃はほぼ熱処理の上限と下限を示しており、より好ましくは、320℃から400℃の範囲であった。
【0085】
本実施例に詳細は示していないが、他のリチウムを含有しないマンガン化合物を出発原料とした場合も、同様の温度範囲が効果的であった。
【0086】
実施例8〜11に示したように、負極にSi、WO,WO、Li−Alを用いた場合も良好な結果を示した。 WO、WOを用いた電池は、電池電圧が低く、1.8Vカットでは他に比べ容量が多少低くなった。しかし、WO、WOを用いた電池は、SiO、Siに比べると過放電サイクル特性が良好であった。Li−Alを用いたものは、リチウム合金負極の特性上過放電サイクル特性は、あまり良くなかった。
【0087】
実施例12にセパレータとしてPPS不織布を用いた電池を作製した。特性は実施例2と同様であった。PPS不織布もリフローハンダ付けに対応できることが確認できた。電池の軽量化コストダウンの効果が得られる。
【0088】
実施例13にガスケットとしてPFAを用いた電池を作製した。ガスケットはコンプレッション成形により作製したものを用いた。特性は実施例1と同様であった。PFAガスケットもリフローハンダ付けに対応できることが確認できた。また、封口の気密性が良いためガスケットに液体シール剤を塗布する必要がなかった。
実施例14〜16にガスケットとしてLCP、PEEK、PENを用いた電池を作製した。特性は実施例2と同様であり、リフローハンダ付けに対応できることが確認できた。
(実施例17〜21)
実施例17〜21は、出発原料として、マンガン価数4以下のマンガン化合物(オキシ水酸化マンガン(MnO(OH)、MnO(OH)2)、一酸化マンガン(MnO)、三酸化二マンガン(Mn2O3)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4))、融剤として硝酸リチウムを用いて実施例1と同様な方法で正極活物質を作成し、電池を作成した。
比較例4〜6は、正極活物質原料として、マンガン価数5以上のマンガン化合物(マンガン酸ナトリウム(Na3MnO4)、マンガン酸カリウム(K2MnO4)、七酸化二マンガン(Mn2O7)を用いて、実施例17〜21と同様にして作成した。
結果を表2に示した。
【0089】
【表2】
Figure 0004179536
【0090】
表2において、◎は良好な特性を示すもの、○は実用上問題のないもの、△は電池のわずかな膨らみや電池特性の劣化等多少問題があるもの、×は特性上問題があり実用レベルではないものである。
【0091】
実施例17〜21に示したように、正極活物質原料として2価〜4価のマンガン化合物を用いた場合の結果は良好であった。
【0092】
特に3価のオキシ水酸化マンガン(MnO(OH))を用いたものは、熱安定性、容量共に他より優れていた。オキシ水酸化マンガン(MnO(OH))を用いた電池の内部抵抗の上昇率は、実施例18、19、20、21のものに比べ30%程低く、熱に強いことを示していた。
【0093】
比較例4〜6に示したように、正極活物質原料として5〜7価のマンガン化合物を用いた場合は、電池の膨らみ、内部抵抗の上昇、容量劣化が激しく、実用レベルではなかった。
【0094】
実施例22では、オキシ水酸化マンガンを先に加熱処理を行った後に融剤で熱処理を行なった。また、実施例23には先の加熱処理温度と、融剤との熱処理温度が異なる場合を示す。実施例24は、オキシ水酸化マンガンを融剤と混合してペレット成形したものを加熱処理したものである。また、実施例25はオキシ水酸化マンガンを先に加熱処理した後に、これを融剤と混合しペレット成形品を加熱処理したものである。更に、実施例26は、実施例25と同様な方法で先の熱処理と融剤との熱処理温度が異なる場合である。以下の表3に実施例22〜実施例26の結果を示す。
【0095】
【表3】
Figure 0004179536
【0096】
表3から明らかなように、実施例22〜実施例26に示したような、マンガン化合物を先に熱処理を行った後に、融剤で熱処理する方法、更にマンガン化合物あるいは加熱分解したマンガン化合物と融剤をペレット成形して熱処理を行なう方法で合成した電極剤を有する電池の特性は、良好である。
【0097】
【発明の効果】
以上詳述した様に、本発明は、正極活物質原料としてマンガン化合物をリチウム塩からなる融剤の溶融状態下で加熱処理されたものを用いることにより、従来困難とされていたリフローハンダ付けに対応した耐熱非水電解質二次電池を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコイン型リチウム二次電池の断面図
【図2】実施例1の電池における充放電特性。
【符号の説明】
101 正極ペレット
102 電極集電体
103 正極ケース
104 負極ペレット
105 負極ケース
106 リチウムホイル
107 電解液
108 ガスケット
109 セパレータ
110 液体シール剤
111 正極端子
112 負極端子

Claims (5)

  1. 正極と、負極と、非水溶媒、支持塩を含む電解液と、セパレータと、ガスケットを備えるとともに、前記正極の正極活物質が、リチウム塩からなる融剤の溶融状態下でマンガン化合物を加熱処理して形成されたものからなるリフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池。
  2. 前記リチウム塩が硝酸リチウムまたは塩化リチウムであることを特徴とする請求項1に記載のリフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池。
  3. 前記マンガン化合物がリチウム含有マンガン酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載のリフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池。
  4. 前記マンガン化合物がLiMn12であることを特徴とする請求項1または2に記載のリフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池。
  5. 前記負極の活物質がSiO、Si、WO、WOおよびLi−Al合金から選ばれる一種以上の活物質であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリフローハンダ付け用コイン型非水電解質二次電池。
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