JP2003331836A - 非水電解質二次電池、及びその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池、及びその製造方法

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JP2003331836A JP2002135865A JP2002135865A JP2003331836A JP 2003331836 A JP2003331836 A JP 2003331836A JP 2002135865 A JP2002135865 A JP 2002135865A JP 2002135865 A JP2002135865 A JP 2002135865A JP 2003331836 A JP2003331836 A JP 2003331836A
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battery
electrolyte secondary
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Tsugio Sakai
次夫 酒井
Tsuneaki Tamachi
恒昭 玉地
Osamu Takahashi
修 高橋
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SII Micro Parts Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の鉛入りハンダ対応の耐熱ボタン型非水
電解質二次電池は、電解液、セパレータ、絶縁パッキン
グともリフロー処理温度の最高温度は230℃に耐えう
るものであるが、さらに高温の260℃にさらされる
と、電池の性能は著しく劣化するという問題があった。 【解決手段】 本発明は、電池の封止性能を向上した上
で、構成要素である正極活物質に従来のマンガンを主成
分とする酸化物から主にLi、Fe、Pで構成された酸
化物に変更する事により、リフロー処理温度を260℃
としても電池性能を損なわないボタン型非水電解質二次
電池を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムを吸蔵放
出可能な物質を負極及び正極の活物質とし、リチウムイ
オン導電性の非水電解質を用いるボタン型非水電解質二
次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】ボタン型非水電解質二次電池は、高エネ
ルギー密度、軽量であるといった特徴により、機器のバ
ックアップ用の電源としての用途が増加している。
【0003】例えば、機器の内蔵時計のバックアップ電
源として該電池を用いる場合、プリント基板上にハンダ
付を行う部分にハンダクリーム等を塗布しておき、その
部分に該電池を保持するホルダーやクロック用ICなど
の部品を載置し、200〜230℃となるように設定さ
れた高温雰囲気の炉内に部品を搭載したプリント基板を
通過させることにより、ハンダを溶融させて部品のハン
ダ付けを行う方法が用いられている(以下リフローハン
ダ付という)。ここで、リフローハンダ付けできるホル
ダーは高価であることから、ハンダ付用の端子を溶接し
た後、直接リフローハンダ付けできる電池のニーズが高
まってきた。そのため、特開平10−270088号公
報や、特開平10−302740号公報の様にリフロー
炉で加熱しても耐熱性のある電池を得る方法として、絶
縁パッキングに耐熱性のあるポリフェニレンスルファイ
ド樹脂を用い、さらに、ガラス繊維を添加するなどして
耐熱性を向上することができる。しかし、環境問題から
欧州を中心に鉛を規制する動きが有り、そのため鉛なし
のハンダ(Pbフリーハンダ)を用いる必要性が強まっ
た。従来の鉛入りのハンダを用いてリフローハンダ付け
を行う際のリフロー炉の処理温度は最高で約230℃で
あった。しかし、Pbフリーハンダは用いる材料により
融点が高くなり、リフロー処理の温度は約260℃が必
要となる。従来、絶縁パッキングの材料として耐熱グレ
ードのポリフェニレンスルファイド樹脂が開発された
が、260℃では十分な耐熱性とは言い切れず、そのた
め、特開2000−195494号公報の様に絶縁パッ
キングの材料としてポリエーテルエーテルケトン(以
下、PEEKと略す)樹脂が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の鉛
入りハンダ対応の耐熱ボタン型非水電解質二次電池にお
ける、電解液、セパレータ、絶縁パッキングは、いずれ
も最高温度230℃のリフロー処理温度に耐えうるもの
であるが、さらに高温の260℃にさらされると電池の
性能が著しく劣化してしまうという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明は、電池の封止性能を向上した上で、構成
要素である正極活物質に従来のマンガンを主成分とする
酸化物から主にLi元素、Fe元素、P元素で構成され
た酸化物に変更することとした。これにより、リフロー
処理温度を260℃としても電池性能を損なうことがな
くなった。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のリチウム電池において、
Li、Fe、Pのそれぞれの元素源となる、鉄を含む化
合物、リンを含む化合物、及びリチウムを含む化合物を
所定の混合比で混合し、焼成することで得られた材料
を、正極を構成する正極材料として用いる。さらに、L
i/Feの原子比は1〜3、且つ、P/Feの原子比は
1〜1.5を同時に満たすことが好ましい。それぞれの
元素となる材料はガス置換を施したグローブボックス中
で取り扱うことが好ましい。また、置換ガスとしては、
脱水した炭酸、窒素またはアルゴンガスが好ましい。
【0007】リチウム元素源としては、無水酢酸リチウ
ム、酢酸リチウム二水和物、水素化リチウム、臭化リチ
ウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム
四水和物、水酸化リチウム、水酸化リチウム水和物、ヨ
ウ化リチウム、シュウ酸リチウム、乳酸リチウム、硝酸
リチウム、過塩素酸リチウム、硫酸リチウムを使用する
ことができる。
【0008】鉄元素源としては、クエン酸鉄(III)、
クエン酸アンモニウム鉄、酢酸鉄(II)、酸化水酸化鉄
(III)、シクロオクタテトラエン鉄トリカルボニル、
臭化鉄(II)水和物、シュウ酸鉄(III)アンモニウム
三水和物、シュウ酸鉄(II)二水和物、硝酸鉄(III)
水和物、ジカルボニルシクロペンタジエニル鉄ダイマ
ー、シクロペンタジエニル鉄、鉄アセチルアセトナー
ト、鉄ベンゾイルアセトナート、鉄ペンタカルボニル、
乳酸鉄(II)水和物、ビス(ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル)鉄、リン酸鉄アンモニウムを使用することが
できる。
【0009】リン元素源としては、亜リン酸、亜リン酸
ジイソプロピル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジ−n−
オクタデシル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジブチ
ル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸トリイソプロピル、
亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、次亜リン
酸、次亜リン酸アンモニウム、ピロリン酸、ピロリン酸
鉄(III)溶液、ベンジルリン酸ジエチル、リン酸二水
素アンモニウム、リン酸三アンモニウム三水和物、リン
酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸水素二アンモニウ
ム、リン酸トリフェニル、リン酸トリ−n−ブチル、リ
ン酸トリメチル、リン酸リチウムを使用することができ
る。より好ましくは、亜リン酸トリエチル、リン酸二水
素アンモニウムを用いる。
【0010】チタン元素源としては、酸化チタン(IV)
(アナターゼ型)、オルトチタン酸テトラエチル、オル
トチタン酸テトラ−n−ブチル、オルトチタン酸テトラ
イソプロピル、オルトチタン酸テトラ−イソ−プロピ
ル、オルトチタン酸エチル、チタニル(IV)アセチルア
セトナート、チタニル(IV)オキシアセチルアセトナー
ト、酸化チタン(IV)(ルチル型)、酸化チタン(IV)
(アナターゼ型)を用いることができる。より好ましく
は、酸化チタン(IV)(ルチル型)又はオルトチタン酸
テトラ−n−ブチルを用いることができる。
【0011】これらの、Li、Fe、P元素源を所定の
比で計りとり、アセトンやヘキサン等の溶媒で満たした
ボールミル等に入れ、十分な時間混合を行う。充分混合
した混合スラリー状の液体から溶媒を分離除去し、30
0℃〜900℃の温度で反応と焼成を行うことで生成物
が得られる。得られた生成物を粉砕し、正極活物質とし
た。
【0012】ここで、非水電解液に用いる溶媒として
は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート、1,2−ブチレンカーボネート、ビニレンカー
ボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−
ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2
−エトキシメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,
3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、エチルメチルカーボネート等の溶媒を単独
若しくは2種以上混合させて使用することができる。電
解液(非水溶媒)中に存在する主な不純物としては、水
分と、有機過酸化物(例えばグリコール類、アルコール
類、カルボン酸類)などが挙げられる。前記各不純物
は、黒鉛化物の表面に絶縁性の被膜を形成し、電極の界
面抵抗を増大させるものと考えられる。したがって、サ
イクル寿命や容量の低下に影響を与える恐れがある。ま
た、高温(60℃以上)貯蔵時の自己放電も増大する恐
れがある。このようなことから、非水溶媒を含む電解液
においては、前記不純物はできるだけ低減されることが
好ましい。具体的には、水分は50ppm以下、有機過
酸化物は1000ppm以下であることが好ましい。
【0013】また、非水電解液に用いる溶質としては、
例えば、LiPF、LiBF 、LiAsF
LiSbF、LiBiF、LiAlF、L
iGaF、LiInF、LiClO、Li
CFSO、LiN(CFSO、LiN
(CSO、LiC(CFSO
のリチウム化合物を使用することができ、リチウム二次
電池のサイクル特性をより向上させるため、好ましく
は、LiPF、LiBF、LiCFSO
LiN(CFSO、LiN(C
、LiC(CFSO、を用いるよ
うにする。
【0014】また、本発明の非水電解質二次電池におい
て、負極活物質として用いるリチウムを吸蔵放出可能な
ケイ素または錫の酸化物は公知であり、例えば前者は特
開平6−325765号公報、後者は特開平6−275
268号公報に記載されている。また、金属リチウム、
Li−Al,Li−In,Li−Pb,Li−Bi,L
i−Ga,Li−Sr,Li−Si,Li−Zn,Li
−Cd,Li−Ca,Li−Ba等のリチウム合金、リ
チウムイオンの吸蔵、放出が可能な黒鉛、コークス、有
機物焼成体等の炭素材料等を使用することができる。
【0015】支持塩においても、LiClO等の塩
素系のものよりフッ素を含有する支持塩である六フッ化
リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム
(LiBF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウ
ム(LiCFSO)が、熱的にも電気特性的にも安
定であった。
【0016】セパレータとしては、大きなイオン透過度
を持ち、所定の機械的強度を持ち絶縁性の膜が用いられ
る。耐有機溶剤性とリフロー温度での耐熱性が求められ
る。ガラス繊維が最も安定して用いることができるが、
熱変形温度が230℃以上のポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリテトラフロロエチレンなどの樹脂を用いるこ
ともできる。セパレータの孔径は、一般に電池用として
用いられる範囲が用いられる。例えば、0.01〜10
μmが用いられる。セパレータの厚みは、一般に電池用
の範囲で用いられる例えば、5〜300μmが用いられ
る。
【0017】リフロー用の絶縁パッキングは、熱変形温
度が230℃より高い樹脂を用いることができる。例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミドが
使用可能である。特に、ポリエーテルケトン樹脂、ポリ
エーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミノビス
マレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、ポリアミド46樹脂から選ばれる少なくと
も一種の樹脂を樹脂材料とすることが好ましい。あるい
は、この材料に30重量%程度以下の添加量でガラス繊
維、マイカウイスカー、セラミック微粉末、またはセラ
ミック繊維等を添加しても良い。
【0018】電極形状は、電池の形状がボタン型の場
合、正極活物質や負極活物質の合剤をペレットの形状に
圧縮し用いられる。また、ボタン型のときは、シート状
に成形した電極を打ち抜いて用いてもよい。そのペレッ
トの厚みや直径は電池の大きさにより決められる。
【0019】電極合剤には、導電剤、結着剤、フィラー
等を添加することができる。導電剤の種類は特に限定さ
れず、金属粉末でもよいが、炭素系のものが特に好まし
い。炭素材料は最も一般的で、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗
片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラッ
ク、チャンネルブラック、サーマルブラック、ファーネ
スブラック、アセチレンブラック、炭素繊維等が使われ
る。
【0020】ペレットのプレス法は、一般に採用されて
いる方法を用いることができるが、特に金型プレス法が
好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜
5t/cmが好ましい。プレス温度は、室温〜30
0℃が好ましい。
【0021】炭素の添加量は、混合比は活物質の電気伝
導度、電極形状等により異なり特に限定されないが、負
極の場合1〜50重量%が好ましい。
【0022】炭素には平均粒径が0.5〜50μmの範
囲のものを用いる。好ましくは0.5〜15μmの範囲
にすると活物質間の接触性が良好になり、電子伝導のネ
ットワーク形成が向上し、電気化学的な反応に関与しな
い活物質が減少する。
【0023】結着剤は、電解液に不溶のものが好ましい
が、特に限定されるもではない。通常、結着剤には、ポ
リアクリル酸およびポリアクリル酸中和物、ポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、
ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジア
セチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピ
ロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EP
DM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ
素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂などの多糖類、熱可塑性樹脂、熱
硬化性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどが、1種ま
たはこれらの混合物として用いられる。結着剤の添加量
は、特に限定されないが、1〜20重量%が好ましい。
【0024】フィラーは、構成された電池において、化
学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いるこ
とができる。本発明の場合、炭素、ガラスなどの繊維が
用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、
0〜30重量%が好ましい。
【0025】電極活物質の集電体としては、電気抵抗の
小さい金属板が好まれる。例えば、正極には、材料とし
てステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、タ
ングステン、金、白金、焼成炭素などの他に、アルミニ
ウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタ
ンあるいは銀を処理させたものが用いられる。ステンレ
ス鋼は二相ステンレスが腐食に対して有効である。ボタ
ン電池の場合は電池の外部になる方にニッケルめっきす
ることが行われる。処理の方法としては、湿式めっき、
乾式めっき、CVD、PVD、圧着によるクラッド化、
塗布等がある。
【0026】負極には、材料としてステンレス鋼、ニッ
ケル、銅、チタン、アルミニウム、タングステン、金、
白金、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面に
カーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたも
の、Al−Cd合金などが用いられる。処理の方法とし
ては、湿式めっき、乾式めっき、CVD、PVD、圧着
によるクラッド化、塗布等がある。
【0027】電極の熱処理温度は、200〜450℃で
あることが望ましい。特に250〜350℃の範囲が好
ましい。熱処理方法は、熱風、真空、赤外線、遠赤外
線、電子線、低湿風を単独あるいは組み合わせて用いる
ことが好ましい。
【0028】電極活物質と集電体を導電性の接着剤によ
り固定することも可能である。導電性の接着剤として
は、溶剤に溶かした樹脂に炭素や金属の粉末や繊維を添
加したものや導電性高分子を溶解したもの等が用いられ
る。
【0029】ペレット状の電極の場合は、集電体と電極
ペレットの間に塗布し電極を固定することができる。こ
の場合の導電性接着剤には熱硬化型の樹脂が含まれる場
合が多い。
【0030】ボタン電池の場合、絶縁パッキングと正極
ケース・負極ケースの間にアスファルトピッチ、ブチル
ゴム、フッ素系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、
エポキシ樹脂等の1種または混合物のシール剤が用いら
れる。シール剤が透明の場合は着色して、塗布の有無を
明確にすることも行われる。シール剤の塗布法として
は、絶縁パッキングへのシール剤の注入、正・負極缶へ
の塗布、絶縁パッキングのシール剤溶液へのディッピン
グ等がある。
【0031】本発明の非水電解質二次電池の用途には、
特に限定されないが、例えば、PDA、携帯電話、ペー
ジャー等のバックアップ電源、発電機能を有する腕時計
の電源等がある。
【0032】本発明の電池は除湿雰囲気または、不活性
ガス雰囲気で組み立てることが望ましい。また、組み立
てる部品も事前に乾燥するとこが好ましい。ペレットや
シートおよびその他の部品の乾燥又は脱水方法として
は、一般に採用されている方法を利用することができ
る。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び
低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好まし
い。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に10
0〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で
2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や
電解質ではそれぞれ50ppm以下にすることがサイク
ル性の点で好ましい。
【0033】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明する。
【0034】
【実施例】以下、本発明に係るリチウム電池について実
施例をあげて具体的に説明する。また、本実施例の非水
電解質二次電池によれば、高温環境条件に曝した場合に
おいても、その放電容量が低下することを防止できるこ
とを、比較例をあげて明らかにする。なお、この発明に
係る非水電解質二次電池は下記の実施例に示したものに
限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲にお
いて適宜変更して実施できるものである。 <電池の作製>本実施例は、下記のようにして作製した
正極、負極及び電解液を用いた。また、電池の大きさは
外径4.8mm、厚さ1.4mmであった。電池断面図
を図1に示した。
【0035】(実施例1) 正極活物質は次のように合
成した。リチウム、鉄、リンを含む元素として、炭酸リ
チウム、シュウ酸鉄(二)二水和物、リン酸二水素アン
モニウムをそれぞれ、”Li/Feの原子比=1”且
つ”P/Feの原子比=1”を満たすように計量し、ア
セトン溶媒で満たしたボールミル等に入れ、約24時間
混合を行う。充分混合した混合スラリー状の液体からロ
ータリーアスピレーターを用い、混合用の分散媒として
用いたアセトンを減圧して分離し、得られた緑白色の粉
末を約300℃で加熱分解後、再度粉砕し、約600℃
で反応と焼成を行う事で黄色の生成物を得た。得られた
生成物を粉砕し、正極活物質とした。
【0036】正極は次の様にして作製した。前述の粉末
を粉砕し、導電剤として黒鉛を、結着剤としてテフンロ
粉末を用いた。正極活物質:導電剤:バインダー=5
0:45:5の割合で混合して正極合剤とし、次にこの
正極合剤を2ton/cmで直径2.4mmのペレッ
トに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極
ペレット1を、炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電
極集電体2を用いて正極ケース3に接着し一体化する。
その後、除水した温風中において250℃で12時間熱
処理し、さらに、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0037】また、正極ケース3の内面において絶縁パ
ッキング8と接する部位にアスファルトピッチを溶解し
たブチルゴム系の液体シール剤10が塗布されている。
【0038】負極は、次の様にして作製した。市販のS
iOを自動乳鉢により粒径44μm以下に粉砕整粒した
ものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電
剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸
をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負
極合剤とした。この負極合剤を2ton/cmで直
径2.4mmのペレットに加圧成形して負極ペレットを
作製した。その後、この様にして得られた負極ペレット
4は炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤から
なる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体化
した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、
ペレット上にリチウムフォイル6を直径2mmに打ち抜
いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極と
した。
【0039】電解液7は、γ−BL、ECの体積比1:
1混合溶媒にLiBFを1モル/l溶解したものを
用いた。
【0040】絶縁パッキング8は、ポリエーテルエーテ
ルケトンの樹脂で作成されたものを用いた。絶縁パッキ
ング8の凹部の内側にはアスファルトピッチを溶解した
ブチルゴム系の液体シール剤11を予め塗布しておい
た。
【0041】セパレータ9には、ガラス繊維不織布を用
いた。
【0042】(実施例2) ”Li/Feの原子比=1.
5”且つ”P/Feの原子比=1.5”を満たすように
計量し、正極活物質の合成を行い生成物を得た。それ以
外は全て、実施例1と同様に電池を組み立てた。
【0043】(比較例1) ”Li/Feの原子比=2”
且つ”P/Feの原子比=1”を満たすように計量し、
正極活物質の合成を行い生成物を得た。それ以外は全
て、実施例1と同様に電池を組み立てた。
【0044】(比較例2) ”Li/Feの原子比=1”
且つ”P/Feの原子比=2”を満たすように計量し、
正極活物質の合成を行い生成物を得た。それ以外は全
て、実施例1と同様に電池を組み立てた。
【0045】(比較例3) ”Li/Feの原子比=2”
且つ”P/Feの原子比=2”を満たすように計量し、
正極活物質の合成を行い生成物を得た。それ以外は全
て、実施例1と同様に電池を組み立てた。
【0046】(比較例4) ”Li/Feの原子比=0.
5”且つ”P/Feの原子比=0.5”を満たすように
計量し、正極活物質の合成を行い生成物を得た。それ以
外は全て、実施例1と同様に電池を組み立てた。
【0047】(実施例3) 正極活物質は次のようにして
合成した。リチウム、鉄、リン、チタン、含む元素とし
て、炭酸リチウム、シュウ酸鉄(二)二水和物、リン酸
二水素アンモニウム、酸化チタン(IV)(アナターゼ
型)をそれぞれ、”Li/(Fe1-n n)の原子比=
1”且つ”P/(Fe1-n n)の原子比=1”を満た
すし、且つ、n=0.5を満たすように計量し、アセト
ン溶媒で満たしたボールミル等に入れ、約24時間混合
を行う。充分混合した混合スラリー状の液体からロータ
リーアスピレーターを用い、混合用の分散媒として用い
たアセトンを減圧下で分離し、得られた粉末を約300
℃で加熱分解後、再度粉砕し、約600℃で反応と焼成
を行う事で生成物を得た。得られた生成物を粉砕し、正
極活物質とした。それ以外は全て、実施例1と同様に電
池を組み立てた。
【0048】(実施例4) 正極活物質は次のようにして
合成した。リチウム、鉄、リン、チタン、含む元素とし
て、炭酸リチウム、シュウ酸鉄(二)二水和物、リン酸
二水素アンモニウム、酸化チタン(IV)(アナターゼ
型)をそれぞれ、”Li/(Fe1−n)の原子比
=1”且つ”P/(Fe1−n)の原子比=1”を
満たし、且つ、n=0.75を満たすように計量して正
極活物質の合成を行い、生成物を得た。それ以外は全て
実施例1と同様に電池を組み立てた。
【0049】(実施例5) 正極活物質は実施例1と同様
に合成し、正極は実施例1と同様に作製した。負極4は
金属アルミニウムを負極ケース5に抵抗溶接により溶接
し一体化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。
炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる
電極集電体2を用いなかった。さらに、金属アルミニウ
ム電極上にリチウムフォイル6を直径2mmに打ち抜い
たものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とし
た。それ以外は全て、実施例1と同様に電池を組み立て
た。
【0050】(実施例6) 正極活物質は実施例1と同様
に合成し、正極は実施例1と同様に作製した。負極は次
の様にして作製した。市販の金属ケイ素(Si)をボー
ルミルにより粒径44μm以下に粉砕整粒したものを作
用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤として
グラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞ
れ重量比45:40:15の割合で混合して負極極合剤
とした。合剤を2ton/cmで直径2.4mmの
ペレットに加圧成形したものを用いた。
【0051】その後、この様にして得られた負極ペレッ
ト4は炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤か
らなる電極集電体2を用いて負極ケース5に接着し一体
化した後、150℃で8時間減圧加熱乾燥した。さら
に、ペレット上にリチウムフォイル6を直径2mmに打
ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電
極とした。それ以外は全て、実施例1と同様に電池を組
み立てた。
【0052】(生成物の評価) 実施例1で得られた正
極活物質について熱重量分析(TG−DTA)を行った
ところ、約300℃までに急激な重量減少が生じ、52
0℃までに重量減少は安定化する。そのため、実施例で
示される活物質の合成は300℃以上で行うことが好ま
しいと考えられる。また、より好ましくは520℃以上
である。
【0053】(電池の評価) 以上の様に作製した電池
それぞれ10個についてリフロー温度に電池が耐えうる
かを調べるため、5個はリフローせず容量測定を行い、
残りの5個は容量測定を行った。リフローによる加熱
は、予備加熱180℃、10分、加熱260℃、1分で
行った。サンプルの放電による容量の測定は、放電電流
を0.025mAの定電流を用い、放電終止電圧は2.
0Vで行った。リフローを行わない電池の容量をQn
(mAh)とし、リフローによる加熱を行った電池の容
量をQr(mAh)とする。Qr/Qnを維持率(ε)
と定め、評価結果を下記の表1にまとめる。
【0054】
【表1】 表1より、維持率は実施例1〜実施例5及び比較例1〜
比較例4においても、いずれも電池性能が損なわれず耐
熱性が改善されてリフローハンダ付が可能となる。しか
し、比較例1〜4に示す電池の初期容量Qnは実施例1
〜実施例5に比較して、約70〜90%ほど低い値とな
った。
【0055】
【発明の効果】本発明は、電池の封止性能を向上した上
で、構成要素である正極活物質に従来のマンガンを主成
分とする酸化物から主にLi、Fe、Pで構成された酸
化物に変更することにより、リフロー処理温度を260
℃としても性能が著しく劣化しない電池を実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるボタン電池の断面図を
示す図である。
【符号の説明】
1 正極ペレット 2 電極集電体 3 正極ケース 4 負極ペレット 5 負極ケース 6 リチウムフォイル 7 電解液 8 絶縁パッキング 9 セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 修 宮城県仙台市青葉区上愛子字松原45−1 株式会社エスアイアイ・マイクロパーツ内 Fターム(参考) 5H011 AA02 GG02 HH02 KK04 5H029 AJ14 AK03 AL07 AL12 AM03 AM04 AM07 BJ03 BJ12 CJ02 CJ05 DJ03 EJ12 HJ02 HJ14 5H050 AA19 BA16 BA17 CA08 CB08 CB12 FA02 GA02 GA07 HA02 HA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LiまたはLi合金、およびリチウムイ
    オンを吸蔵放出可能な負極および正極と、 常圧での沸点が230℃以上の非水溶媒と融点が230
    ℃以上の非水溶媒支持塩を含んだ電解液と、 熱変形温度が230℃以上の樹脂材料で形成された絶縁
    パッキングと、 前記正極の活物質が、主にLi元素、Fe元素、P元素
    で構成された酸化物であることを特徴とする非水電解質
    二次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極の活物質として、Lix(Fe
    1-n n)y(PO4)z(M=Fe又はTi、1<x/y=
    z/y<1.5、0=<n<0.5)であることを特徴と
    する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 前記正極の活物質として、LiFe(P
    O4)(x/y=z/y=1)であることを特徴とする請求項1
    に記載の非水電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 前記正極の活物質として、LiFe
    (PO4)(x/y=z/y=3/2)であることを特徴とする請
    求項1に記載の非水電解質二次電池。
  5. 【請求項5】 Fe元素含む化合物、P元素を含む化合
    物、及びLi元素を含む化合物を主に含んだ混合物を用
    いて正極活物質を作製する工程と、 前記正極活物質と導電剤と結着剤を混合して正極合剤を
    作製する工程と、 前記正極合剤を用いて正極を形成する工程と、を備える
    ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記正極活物質におけるLi/Feの原
    子比は1〜3であり、且つ、P/Feの原子比は1〜
    1.5であることを特徴とする請求項5に記載の非水電
    解質二次電池の製造方法。
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