JP3675859B2 - レリーズ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、クラッチ、特にモータと伝動装置との間に設けられる摩擦クラッチのためのレリーズ装置であって、クラッチ作動部材を作動するためのレリーズ支承部を有し、レリーズ支承部が伝動装置側に設けられた保持部により保持されており、保持部の上に少なくとも1つの支え部材が設けられており、支え部材が保持部に対して軸方向に移動可能でかつ回動可能なレリーズ支承部のための作動部材を介してレリーズ支承部に作用する作動力を支えており、支え部材とこれに対して回動可能な作動部材との間に作動部材を軸方向に移動させるためのランプ装置が設けられている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなレリーズ装置は例えばFR−A−2658763号明細書に記載されている。
【0003】
しかしながらこの公知のレリーズ装置は比較的に費用のかかる構造を有し、このレリーズ装置の組立も部品の数が多いために困難でかつ時間をとる。
【0004】
【発明の課題】
本発明の課題は所要スペースが小さく、構造が簡単で、しかも組立が容易である、冒頭に述べた形式のレリーズ装置を提供することである。さらにこのレリーズ装置は特に簡単にかつ低コストで製作可能でなければならない。又、このレリーズ装置はこのレリーズ装置と協働するクラッチの全寿命に亙ってこのクラッチの申し分のない作動を保証するものでなければならない。本発明により構成されたレリーズ装置は特に有利な形式で、例えば西ドイツ国特許出願P4239291.8号、P4239689.6号、P4243667.6号およびP4317586.4号明細書に提案されているクラッチと関係させて使用することができる。したがって本発明の記述は本発明の1部でもある前記明細書と関連して理解されたい。
【0005】
クラッチ円板の摩擦ライニングの摩耗を少なくとも補償する統合された後調節装置を備えた前記形式のクラッチ装置もしくは摩擦クラッチにおいては、クラッチペダルの運動が連桿及び(又は)ワイヤを介して少なくとも1つのレリーズ支承部を介在させて摩擦クラッチの作動部材に伝達されるいわゆる機械的なレリーズシステムと関連して、全運動学的連鎖に存在する製作誤差に基づき、作動部材の負荷するレリーズ装置範囲が作動部材の負荷しようとする範囲に対して常に同じ軸方向の位置を有することが保証されず、摩擦クラッチのレリーズ距離もしくはで作動部材に伝達される作動距離に比較的に大きなばらつきが在るという問題が発生する。このばらつきによって当該クラッチの後調節装置の機能は少なくとも低下させられ、極端な場合にはこの後調節装置の後調節機能はもはや与えられなくなる惧れがある。
【0006】
本発明の別の課題は前述の欠点を回避することにもある。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明によれば前記課題もしくは目的は、レリーズ支承部の回転する支承リングにより保持された、クラッチ作動部材に接触するように定められた作動範囲と、伝動装置側に設けられた保持部分との間の力伝達経路に、補償装置が設けられ、この補償装置によって、クラッチ作動部材の、レリーズ装置により負荷される範囲において摩擦クラッチの寿命に亙って発生する軸方向の移動が少なくともほぼ補償されることによって達成された。本発明による補償装置の配置は、補償装置がきわめて簡単な形式でレリーズ装置に統合可能であるという利点を有している。
【0008】
特に有利であるのは、補償装置が保持部分とその上に配置された支え部材との間に配置されていることである。しかしながら補償装置は保持部分と伝動装置ケーシング又はその上に固定された保持部との間に設けられていることができる。
【0009】
レリーズ装置の機能にとっては、支え部材が軸方向で保持部分に対して移動可能であると特に有利である。この場合には支え部材は保持部分に対して回動不能であると一層有利である。さらに有利であるのは、支え部材がリング状に構成され、保持部分の円筒状の付加部に軸方向で滑動可能に受容されていることである。このためにはリング状の支え部材は半径方向内側範囲にスリーブ状の軸方向付加部を有し、この軸方向付加部が保持部分の上で案内されている。
【0010】
有利な形式で、レリーズ支承部に作用する軸方向のクラッチ作動力を受ける支え部材は作動部材と補償装置との間の力伝達経路に設けられていることができる。この場合、作動部材はレリーズ支承部を保持するかレリーズ支承部の構成部分を成すことができる。有利には形式でレリーズ支承部はいわゆる自動調心する軸受として構成しておくことができる。
【0011】
ランプ装置は少なくとも支え部材及び(又は)作動部材に設けられたランプとして形成されていることができる。このランプは円筒形又は球状の転動体と協働することができる。特に有利であるのは、支え部材が乗上げランプを有し、この乗上げランプが作動部材に設けられた対応乗上げランプと協働していることである。この場合には乗上げランプと対応乗上げランプとの間に転動体が配置されていることができる。このランプの乗上げ角度を適当に選択することでクラッチをレリーズするために必要なレリーズ力とクラッチを作動するために必要な力との間の比が所望の値に調節される。ランプはその長手方向の寸法に亙って変化する乗上げ角度を有し、クラッチの作動距離に亙って前述の力比が変化可能であり、種々の値を有するようにすることもできる。
【0012】
レリーズ装置の機能と構成にとっては、補償装置がランプメカニズムを有していると特に有利である。このランプメカニズムはレリーズ装置の軸方向に上昇する後調節ランプを有していることができる。ランプメカニズムの特に有利な構成は、ランプメカニズムがレリーズ装置の1つの構成部分に設けられた乗上げランプと別の構成部分に設けられた対応乗上げランプとを有し、乗上げランプと対応乗上げランプとが互いに相対的に回動可能であることにより達成される。この場合には、乗上げランプと対応乗上げランプは軸方向に緊締された場合に自縛作用を有するように構成されていることができる。この自縛作用は例えばランプの乗上げ角度及びランプの接触範囲の間にある摩擦値の適当な選択によって達成される。
【0013】
レリーズ装置の構成にとっては、ランプメカニズムの乗上げランプが保持部分に対し回動可能であるリング状の構成部分により保持されていると有利である。ランプメカニズムの対応乗上げランプは有利な形式で保持部分の上に設け、これに対して回動不能であることができる。さらに乗上げランプを有する構成部分は軸方向で保持部分に対して移動可能であると有利である。
【0014】
レリーズ装置の特に有利でかつ簡単な構成は、ランプメカニズムの乗上げランプを有するリング状の構成部分が支え部材と保持部分との間の力伝達経路に設けられていることである。この場合にはリング状の構成部分は直接的に支え部材を軸方向で支えることができる。この場合、支え部材は例えば薄板から成ることができるリング状の構成部分によって形成されていることができる。
【0015】
特にスペースをとらない構成形式もしくはコンパクトな構成形式は、補償装置を支え部材と作動部材との間に設けられたランプ装置の半径方向内側に配置することで達成される。さらにレリーズ装置の構成にとっては、軸方向で見て、補償装置が設けられている半径方向の範囲がレリーズ支承部のリング状の延在範囲と少なくともほぼ合致していることが有利である。したがって補償装置とレリーズ支承部はレリーズ装置の回転軸線から少なくともほぼ同じ間隔で配置されるようにしたい。補償装置のリング状の構成部分のスペースをとらない配置は、この構成部分が支え部材のスリーブ状の範囲の周囲に設けられていることによって保証される。
【0016】
別の発明的な思想によれば補償装置は、当該クラッチ装置のレリーズ方向で見てフリーホイル状に作用するかもしくは後調節し、レリーズ方向とは反対の方向では自縛作用を有するように構成することができる。このためには乗上げランプ及び(又は)対応乗上げランプは軸方向で見て3〜15°、有利には4から10°の上昇角度を有していることができる。有利な形式で後調節ランプは、摩擦係合による自縛作用が得られるように構成されている。したがっていずれにしても後調節ランプが自縛作用を有する係合を有し、不都合な戻り移動を回避するために付加的な手段が不要になることが保証されなければならない。しかしながら必要な場合には前述の如き付加的な手段を設けることも可能である。
【0017】
自動的な補償装置の申し分のない機能を保証するためには、乗上げランプ及び(又は)対応乗上げランプを保持する少なくとも一方の構成部分が後調節方向へばね負荷されていると有利である。この場合、ばね負荷は有利な形式で、他のばね、例えば圧着もしくは皿ばねと、冒頭に述べた特許明細書に開示されたクラッチにおいて圧着もしくは皿ばねを軸方向にたわみ可能に支えるために設けられたばね部材とが影響を受けないか実質的に影響を受けないように行うことができる。しかしながらランプメカニズムを緊締するばねは規定された軸方向の力成分がレリーズ支承部にクラッチ作動部材の方向に作用するように設計しておきたい。
【0018】
有利であるのは、支え部材部材と作動部材との間のランプ装置のために許容された回動角度が制限されていることである。この制限は発生する摩耗を補償する補償装置によって可能である。このためには作動部材の回動角度は、ランプ装置によって得られるレリーズ支承部の軸方向の移動が、レリーズ装置により作動可能であるクラッチの目標レリーズ距離にほぼ相応するように設定される。特に簡単な形式で支え部材と作動部材との間の相対回動は後調節ランプの端部範囲に設けられたストッパによって制限されていることができる。回動制限は支え部材と作動部材との間に設けられた転動体が後調節ランプの端部範囲に接触することで保証される。
【0019】
さらに補償装置の後調節距離が例えばストッパで制限されていると有利である。この場合、距離制限はクラッチ円板の摩擦ライニングの最大許容摩耗において少なくとも有効であるように行われる。補償装置の後調節機能の制限は補償装置のリング状の構成部分と保持部分又は支え部材との間に制限ストッパを設けることにより行うことができる。
【0020】
レリーズ装置の特に簡単な組立は支え部材と保持部分との間にスナップ結合装置として構成された軸方向の距離制限装置が設けられていることで保証される。スナップ結合装置を形成するためには支え部材及び(又は)保持部分とにばね作用を有するかもしくは弾性的な範囲を設けることができる。この場合には前記範囲は付加的なもしくは高められた力を加えることによってのみ克服される。
【0021】
レリーズ装置の組立及び組込みにとっては、クラッチをレリーズ装置ではじめて作動するまでレリーズ支承装置が保持部分の上で所定の後退させられた位置に留まることを保証する装置が設けられていると有利である。
【0022】
この装置を介して、有利な形式で補償装置のランプメカニズムは機能準備位置に保持される。この機能準備位置でランプメカニズムはすでに後調節方向に緊締されていることができる。さらに補償装置の後調節機能も摩擦クラッチをはじめて作動した場合に解放されるようにすることができる。レリーズ装置の特に有利な構成は、前記装置が作動部材と補償装置の乗上げランプを保持するリング状の構成部分との間に設けられていると達成される。
【0023】
本発明のレリーズ装置は本発明の1実施態様によれば特に有利な形式で、押圧板を有し、該押圧板が回動不能ではあるが、軸方向に制限されて移動可能に対応押圧板と結合可能である摩擦クラッチと組合わせて用いることができる。この対応押圧板は例えばはずみ車によって形成することができる。摩擦クラッチは押圧板と対応押圧板との間に締込み可能なクラッチ円板の方向に負荷する圧着ばねを有している。この場合にはクラッチはクラッチ円板の摩擦ライニングを摩耗を補償する後調節装置を有している。この後調節装置は圧着ばねの力による押圧板の実質的に変わらない負荷を可能にする。さらに摩擦クラッチはレリーズ装置により断ち継ぎのために負荷可能な作動部材を有している。この場合、少なくとも摩擦ライニングの摩耗に関連して作動部材はレリーズ運動の方向で軸方向に移動可能である。摩擦クラッチの構成とレリーズ装置の機能とにとっては、摩擦クラッチの圧着ばねがクラッチケーシングに2腕レバーの形式で旋回可能に支えられている皿ばねによって形成されていると有利である。この場合には皿ばねは軸方向で、皿ばねとケーシングとの間に設けられた転動支承部に向かってばね負荷されており、摩擦クラッチのレリーズ力の経過は、ライニングが摩耗した場合に、皿ばねとケーシングとの間に設けられた転動支承部に対するばね負荷により生ぜしめられた、発生するレリーズ力に抗して作用する力が克服されるように増大する。したがってライニングが摩耗した場合には摩擦クラッチのためのレリーズ力の経過のレベルは大きくなり、皿ばねをケーシング側の転動支承部に向かって圧迫する対応力もしくは支え力はレリーズ過程の間に一時的に克服され、両方の前記力の間に再び平衡状態が与えられる。特に有利であるのは摩擦クラッチの寿命に亙って、クラッチ作動部材、例えば皿ばね舌状部が少なくともクラッチ円板の摩擦ライニングにおいて発生する摩耗に相応して軸方向に移動可能に摩擦クラッチが構成されていることである。
【0024】
さらに特に有利であるのは、レリーズ装置と協働する摩擦クラッチが、個々のはずみ質量体の間に振動減衰装置を備えた多部分から成るはずみ車の構成部分である対応押圧板の上に取付けられていることである。
【0025】
【実施例】
図1と図2に示されたレリーズ装置1は軸方向で、図示されていない自動車の伝動装置2と摩擦クラッチ3との間に作用的に配置されている。
【0026】
レリーズ装置1は軸方向で不動な保持部分4を有している。この保持部分4は軸方向で伝動装置ケーシング2に支えられ、該伝動装置ケーシング2にねじ結合部5を介して結合可能である。保持部分4は図示の実施例の場合には中空に構成されたプラスチック部分として製造され、このプラスチック部分は組立られた状態で伝動装置入力軸6を取囲む。保持部分4は円錐台状に形成された範囲7を有し、この範囲7は軸方向で伝動装置ケーシング2へ拡大されている。さらに保持部分4はスリーブ状に構成された範囲8を有し、この範囲8の上にはリング状の支え構成部分9が受容されている。この支え構成部分9は摩擦クラッチ3をレリーズするために必要な力を受け保持部分4に伝達する。リング状の支え構成部分9は半径方向内側にスリーブ状の付加部10を有している。この付加部10はスリーブ状の範囲8の上に軸方向で滑動可能に受容されている。
【0027】
図示の実施例の場合にはリング状の構成部分によって形成された作動部材11は支え構成部分9に対して回動可能でかつ軸方向に移動可能である。このためには支え構成部分9と作動部材11との間にはランプ装置12が設けられている。ランプ装置12はリング状の作動部材11に設けられた乗上げランプ13を有し、この乗上げランプ13は転動体15を介在させて、支え構成部分9に設けられた対向乗上げランプ14と協働する。ランプ13,14は周方向に向けられかつ両方の構成部分9と11との間に軸方向運動を生ぜしめるために軸方向に傾斜させられている。図示の実施例ではランプ13,14は薄板成形部材として構成された構成部分9と11に設けられた圧刻部によって形成されている。乗上げランプ13,14は構成部分9と11との軸方向延びる範囲に一体成形されている。
【0028】
リング状の作動部材11は、レリーズ支承部16を保持している。この場合、レリーズ支承部16は回転しない支承リング17の摩擦緊締の形をした力接続に抗して、制限された制動可能性を有している。クラッチ3と一緒に回転する支承リング18は摩擦クラッチ3のレリーズ部材19に係合する。
【0029】
図2から判るように図示の実施例では作動部材11はボーデンワイヤもしくはケーブル20を介して作動可能である。このためにはケーブル20の外套21は支え構成部分9に支えられ、外套21内に受容されたケーブルもしくはワイヤ22は作動構成部分11と作動力を伝達するために作用的に結合されている。このためには作動構成部分11はワイヤ22のための掛止範囲23を有している。
【0030】
さらに図2から判るように支え構成部分9は3角形の張出し部9aを有し、この張出し部9aはボーデンワイヤ20の外套21を保持している。
【0031】
図示された実施例においてはレリーズ部材19はクラッチ皿ばね25の半径方向内側に向けられた舌状部19によって形成されている。クラッチ3と一緒に回転する支承リング18は摩擦クラッチ3の断ち継ぎを保証するためにクラッチレリーズ部材19の作動範囲19aと協働する負荷範囲18aを保持している。作動範囲19aは皿ばね舌状部19の半径方向内方にある舌端部によって形成されている。
【0032】
摩擦クラッチ3のための作動力を軸方向で受けるかもしくはケーシング2へ伝達する保持部分4と、回転する支承リング18により保持された負荷範囲18aとの間の力伝達経路には補償装置26が存在している。この補償装置26は摩擦クラッチ3の寿命に亙って、発生するクラッチ作動部材19もしくはクラッチ作動部材の作動範囲19の軸方向の移動を少なくともほぼ補償することができる。これによってレリーズ装置1の負荷範囲18aが摩擦クラッチ3の作動範囲19aに対して常に申し分なく位置せしめられ、したがってランプ装置12によって与えられる摩擦クラッチ3のレリーズ距離は実質的に一定に保たれる。摩擦クラッチ3のレリーズ部材19もしくは作動範囲19aの前述の移動は主として、摩擦クラッチ3の寿命に亙ってクラッチ円板28の摩擦ライニング27の範囲に発生する摩耗に帰因する。
【0033】
図1から判るように、支え構成部分9と作動部材11は軸方向で内外に嵌合している。このためには作動部材11は鉢形の範囲11aを形成し、該範囲11aは横断面で見てU字形の支え構成部分9を受容する。この場合には支え構成部分9のU字形横断面の底部範囲は鉢形の範囲11aの底部範囲に軸方向で隣接している。ランプ13,14は作動部材11と支え構成部分9との半径方向外側の軸方向の延在部29,30の範囲に設けられている。
【0034】
回動可能な作動部材11の力導入範囲23は作動部材11の軸方向の延在範囲29と一体である軸方向の舌状部31に設けられている。図示の実施例においては作動部材11はボーデンケーブルもしくはワイヤ20を介して作動される。しかしながら他の作動部材、例えば液圧式又は空気力式又は電気に駆動されかつ適当な結合手段を介して作動部材11を負荷するかもしくは回動させる調節モータを使用することもできる。このような調節モータは場合によってはレリーズ装置のすぐ近くに配置できる。この場合にはこのような調節モータを例えば支え構成部分9に設けることも有意義である。
【0035】
補償装置26はランプ装置12の半径方向内側に配置されている。図示の実施例では補償装置26は横断面がU字形に構成された支え構成部分9によって制限されたリング状の空間内に受容されている。
【0036】
図3の拡大されて示されたレリーズ装置1から判るように補償装置26は図4と5に示されたリング状の構成部分32の形をした後調節部材を有している。リング状の後調節部材32は図示の実施例の場合、半径方向でずらされた、周方向に延びる、軸方向で上昇する乗上げランプ33,34の2つの対偶を有している。これら対偶は構成部材32の周方向に分配されている。特に図5から判るように半径方向内側の乗上げランプ33は半径方向外側に配置された乗上げランプ34に対して周方向に、しかもランプ長さもしくはランプピッチの半分だけずらされている。図4から判るように乗上げランプ33,34の両方の対偶は図示の実施例の場合には、単にそれぞれ2つのランプ33もしくは34だけを有しているにすぎない。しかしながら周方向に3つ又はそれ以上のランプが設けられていてもよい。しかしながらこの場合には所定の後調節距離のためにはランプ角度は相応に急傾斜になる。後調節ランプ32は図1及び図3から判るように端面35で直接的に支え構成部分9に支えられている。この端面35は円錐台形に構成され、支え構成部分9の底9aの範囲に一体成形された、適当に形成された円錐台形の支え面36に接触する。接触しあう面35,36の円錐台形の構成によって後調節部材32は支え構成部分に対してセンタリングされる。リング状の後調節部材32は支え構成部分9に一体成形された、スリーブ状の付加部10を取囲んでいる。この付加部10は保持部分4の上でセンタリングされている。乗上げランプ33,34は軸方向でレリーズ支承部16から離れる方向に延びている。後調節部材32は周方向で、しかも後調節回転方向に、すなわち図6と7に示された保持部分4の対応ランプ37,38にランプ33,34が乗上げることにより後調節リング32がクラッチレリーズ部材19に向かって軸方向に、すなわち、軸方向に伝動装置ケーシング2から離れる方向へ移動させられる。
【0037】
図6と図7とから判るように対応乗上げランプ37,38は同様に、半径方向と周方向とに互いにずらされた乗上げランプの対偶から成っている。この場合、各対偶は2つのランプ37もしくは38を有している。後調節部材32のランプ33,34と保持部分4のランプ37,38は互いに調和させられており、互いに軸方向で係合している。周方向でずらされたランプによって後調節部材32と保持部分4との間に申し分のない中心的な案内があることが保証される。
【0038】
クラッチ3もしくはレリーズ支承部16の回転軸線を垂直に通って延びる平面で見た対応乗上げランプ37,38の傾斜角度39は乗上げランプ33,34の角度40に相応している。
【0039】
図示の実施例では保持部分4と後調節部材32は耐熱性のプラスチック、例えばサーモプラストから製作される。この耐熱性のプラスチックは付加的に繊維で補強されていることができる。これによってこの構成部分は簡単な形式で射出成形部分として製作できる。保持部分4に設けられた対応乗上げランプ37,38は固有の、例えばリング状の構成部分から形成されていることもできる。このリング状の構成部分は例えば保持部分4における、長さが適当に選択されたスリーブ状の範囲8に被せ嵌められ、場合によっては保持部分4と回動不能に結合されていることができる。
【0040】
乗上げランプ33,34と対応乗上げランプ37,38は周方向で見て、押圧板41及び対応押圧板42の摩擦面と摩擦ライニング27とにおいて発生する摩耗の後調節を摩擦クラッチ3の総寿命に亙って保証する回動角を両方の構成部材4と32の間に乗上げランプ33,34と対応乗上げランプ37,38とが許すように構成されている。特に有利な形式でランプ33,34,37,38はこれらが付加的に個々の構成部分に存在する軸方向の製作誤差とそれによってもたらされる組込みもしくは位置誤差を補償するように構成しておくことができる。このような構成で作動範囲19aと保持部分4のための伝動装置ケーシングの支え範囲との間のすべての軸方向の製作誤差は補償される。考慮されるべき製作誤差に基づき補償装置26によって保証される軸方向の後調節距離は乗用車において使用した場合には、構成部の摩擦面と摩擦ライニングとにおいて発生する摩耗に基づき必要である後調節距離が1.3mmと〜2.5mmとの間の大きさでしかないにも拘わらず、4mmと12mmとの間である必要ある。ランプ33,34とランプ37,38との間の後調節角はランプの数に応じて30170°との間であることができる。ランプ33,34,37,38の傾斜角39もしくは40は3°〜15°の間、有利には5°〜9°の間であることが可能である。この場合、ランプの実際の角度39,40は、所定の回動角に対しては同じ高さ差が橋絡されなければならないので、このランプの半径方向の寸法に亙って変化することができる。すなわち、これはランプ角度39もしくは40は直径の増大に伴って減少することを意味する。
【0041】
部材32の後調節のために必要な周方向の力の負荷は、図示の実施例の場合、コイルばねに似たばね43によって形成された少なくとも1つの蓄力器で保証される。ばね43の個々の巻条は後調節部材32を取囲む。後調節部材32に受容されたばね43は後調節部材32と支え構成部分9との間に、後調節部材32が後調節方向で力を負荷するように張設されている。このためには図3において右側に示されたばね43の端部巻条44は後調節部材32に対して回動不能で、左側に示された端部巻条45は支え構成部分9に対して回動不能に支えられている。軸方向でその間にある巻条46は端部巻条44,45の間に必要な相対回動もしくは回動力に相応してバイアスがかけられている。ばね43のバイアスにより、係合しているランプ33,34と37,38とによっては軸方向の力が後調節部材32、ひいては保持部分4に対して回動不能ではあるが、しかし軸方向に移動可能な支え構成部分9に導入される。この軸方向の力は後調節部材32、支え構成部分9、作動部材11、転動体15、レリーズ支承部16から成るレリーズ装置1の部分Aを、保持部分4を有するレリーズ装置1の部分Bに対して軸方向に、しかもレリーズ支承部16の負荷範囲18aがレリーズ部材19の作動範囲19aに接触するまで移動させることができる。したがって補償装置19によっては、回転する支承リング18に設けられた負荷範囲18aが規定された力でレリーズ部材の作動範囲19aに対して押圧されるので、常に所定の所望の支承前荷重が存在する。この前荷重は10〜70Nであることができる。さらに図示の補償装置26の配置は、この補償装置26が回転方向で定置、すなわち回動不能であるという利点を有している。したがってこの場合には補償装置を形成する構成部分の機能を妨げる遠心力が発生しない。
【0042】
図6から判るように保持部分4のスリーブ状の範囲は外側の図面の範囲に軸方向に延びる半径方向の突起47を有している。この突起47は保持部分4と支え構成部分9を軸方向で組立てる場合に図2に示された細長い凹部48に係合する。凹部48はスリーブ状の付加部10内側の周面に設けられている。突起47と凹部48は両方の構成部分4と9との間に回動不能な結合を保証する。スリーブ状の範囲8は自由端49(図3)の範囲において、少なくとも部分的に、スリーブ状の付加部10をスリーブ状の範囲8の上に被せ嵌めることを高められた軸方向力を加えることで可能にする範囲50を有するように構成しておくことができる。これによって支え構成部分9を保持部分4の上に取付けたあとで、この両方の構成部分の間に軸方向の確保が得られる。スリーブ状の付加部10を管状の範囲8に被せ嵌める場合には範囲50は半径方向内方へ押されなければならず、これは管状の範囲8の適当な弾性的な構成により保証される。
【0043】
補償装置26が存在することでランプ装置12によって保証しようとする支承部16のためのレリーズ運動はクラッチ3を作動するために必要な程度に制限される。このためには支え構成部分9と作動部分11との間の回動角は制限される。これはランプ13,14がその間に設けられた転動体15に対して、必要なレリーズ距離を保証する所定の回動角に達した場合に球がランプ13,14の乗上げ範囲13a,14aに接触もしくは当接し、これにより構成部分9と11との間に形状接続による回動阻止がえられるように設定されている。したがって球15は図2に示されたレリーズ装置1の静止位置でもレリーズ装置が一杯に作動された位置でも、適当に配属されたストッパ13a,14aに当接する。
【0044】
有利な形式で乗上げランプ13,14もしくは転動体15の転動路は、両方の構成部分9と11とを軸方向で組合わせたあとで両方の構成部分9と11とが球15を介在させて自動的に保持される構成ユニットが生じるように当該構成部分9,11に設けておくことができる。このためには転動路13,14は球15の適当な軸方向の組立方向で、こららの球15のために軽いアンダカット部を形成するように構成しておくことができる。このアンダカット部は転動路への球の押し込みが構成部分9と11とのわずかな弾性的な変形で可能であるように設計されている。この弾性的な変化を生ぜしめるために両方の構成部分9,11を組立てる場合には所定の軸方向の押圧力が必要である。
【0045】
補償装置26の後調節距離はストッパにより制限することができる。このような制限はリング状の後調節部材32と保持部分4との間で、例えばこれらの構成部分の間の回動角が制限されることで行うことができる。
【0046】
レリーズ装置の新しい状態もしくは組立又は発送状態では、ランプ33,34,37,38を形成する軸方向の突起は軸方向でもっとも遠くまで内外に係合している。これは、リング状の後調節部材32が後退させられた位置にあることを意味する。保持部分4のこの位置ではばねのバイアスもしくは変形はもっとも大きい。
【0047】
部分Bの上に被せ嵌めるレリーズ装置1の部分Aは、後調節部材32とこれに周方向に作用するばね43をも有している。このばね43はレリーズ装置1の、あらかじめ組立てられた部分Aにおいて緊張された状態に保たれるので、部分AとBとが組立てられたあとでは簡単な軸方向の結合によって補償装置26は運転準備状態にもたらされる。補償装置26もしくは後調節部材32はバイアスのかけられた、運転準備状態に、レリーズ装置1によりクラッチ3がはじめて作動されるまで後調節もしくは補償ばね43を緊張させられた位置に保つ装置26で保持される。これによってレリーズ装置1の部分Bの上に部分Aを取付けあたとで、レリーズ支承部16が所定の後退させられた位置に保たれることが保証される。この位置では負荷範囲18aは作動範囲19aに対し軸方向の間隔もしくは軸方向の遊びを有している。この軸方向の間隔もしくは軸方向の遊びは摩擦クラッチ43がはじめて作動され、これによって補償装置26が錠止解除されるかもしくは解放された場合に克服もしくは補償される。摩擦クラッチ3をはじめて作動することは有利にはモータが回転しない場合又は変速段が入れられた場合に行われる。何故ならば摩擦クラッチ3をはじめて作動する場合に摩擦クラッチ43が一杯にレリーズされることは常には保証されないからである。はじめての作動は自動車製造者により又は工場で行うことができる。
【0048】
図示の実施例では装置51は舌状部52の形をした錠止部材を有している。この舌状部52は後調節部材32により保持され、この場合には後調節部材32と一体に形成されている。少なくとも舌状部52の足範囲53は舌状部52が後調節部材32に対して半径方向に旋回可能である。したがって足範囲53はヒンジと似たように作用する。しかしながら舌状部52はその全長に亙って変形可能な曲げビームとして構成しておくことができる。少なくとも2つの舌状部52のそれぞれ外側の範囲54はそれぞれ作動部材11により保持されたストッパ55に当接する。ストッパ55は作動部材11と一体に構成された軸方向の舌部56で形成されている。この舌部56は自由端部範囲にそれぞれ1つの、半径方向内方に向けられた舌部区分57を有している。この舌部区分57は各舌状部52のための軸方向の支持を形成する。この場合、周方向での舌状部52の耐屈曲性と耐曲げ性は、舌状部52がばね43によって加えられた力が軸方向と周方向で大きな変形なしで受止めることができるように設定される。図2と図4とから判るように両方の舌状部52は直径方向で向き合って配置されている。装置51はこの装置51によって伝達可能なモーメントが、バイアスのかけられたばね43によって加えられたモーメントよりも大きくなるように構成されていなければならない。このためには、舌状部52と舌部56との間に、周方向に有効である、摩擦接続又は形状接続であることのできる、適当なモーメントに設計された付加的な結合が存在していると有利である。摩擦クラッチ3をはじめて作動した場合に作動部材11は後調節部材32に対して回動させられ、これによってストッパ55が舌状部52を解放し、補償装置26が一杯に機能できるようになる。舌状部52は半径方向内方へ旋回させられた位置52a(図3)をとる。
【0049】
レリーズ装置1の部分Aを組立てる場合には、例えば端部範囲に脚部を備えたばね43がまず一方では補償もしくは後調節部材32に掛止され、他方では支え構成部分9に掛止される。次いでばね43には、両方の構成部分32と9との間の適当な相対運動によってバイアスがかけられる。このバイアスのかけられた位置で後調節部材32は支え構成部分9に対して錠止装置51で位置決めされる。レリーズ装置1の部分Aと部分Bとの間の角度的に正しい組立の間に、ランプ33,34と対応ランプ37,38が係合させられ、これによって補償装置26がまだ錠止はされているが、しかし後調節機能のために準備位置を占める。
【0050】
特に図1と図3とから判るように、例えば摩擦ライニング27における摩耗に基づき行われる補償装置26の後調節に際しては、レリーズ装置1の部分A全体が部分Bに対して軸方向に移動させられる。これによりレリーズ装置1に係合しかつこのレリーズ装置1に隣接するワイヤ20も相応に軸方向に移動させられる。ワイヤの調節は有利にはワイヤが係合もしくは支えられている両方の構成部分9と11との間でワイヤが緊張力を発生させないかもしくは実質的に発生させないように行われると有利である。したがってワイヤは作動されていない場合には力が作用していないと有利である。図1から判るようにレリーズ装置1が作動されていない状態で両方の構成部分9と11との係合もしくは支え範囲23,24は互いに相対的に所定の間隔58だけずらされていると有利である。この場合、間隔58は有利には摩擦クラッチ3のためのレリーズ力が最大であると実質的に零であるように設定されている。
【0051】
さらに有利であるのはランプもしくは転動路13,14がその周方向の長さに亙って変化する乗上げ角度を有し、構成部分11を回動させるために必要な作動力の経過がそのつどの使用に適合させることができることである。したがってランプ装置12によって行われる力の伝達は作動距離に亙って変化するようになっていると有利である。これにより作動機構20を介してレリーズ装置1に導入されたレリーズ力経過は少なくとも一層一様にすることができる。これはランプ装置12の伝達特性を作動範囲19aにおいてレリーズ距離に亙って必要な力経過に合わせることで行うことができる。したがってこれは範囲19aにおけるレリーズ力経過が増大した場合に、ランプ装置12により生ぜしめられた伝達比が大きくなり、これによってレリーズ部材20により与えようとする作動力が小さくならなければならない。
【0052】
ランプもしくは転動路13,14は軸方向で見て、少なくともその周方向の寸法の部分範囲に亙ってコンカーブ及び(又は)コンベックスな経路を有していることができる。
【0053】
図1からは、補償装置26が配置されている半径方向のリング状の範囲がレリーズ支承部16のリング状の半径方向の延在範囲と少なくともほぼ合致させられていることが判る。
【0054】
図示の実施例においては、支え部材構成部分9と作動構成部分11とは薄板成形部分であって、この薄板成形部分は少なくとも転動路もしくはランプ13,14の範囲で硬化されている。しかし、この構成部分9,11の1つは、以下に詳説する、減少された作動力を有する摩擦クラッチと組合される場合には特に、少なくともほぼプラスチックから製作することもできる。構成部分9,11の少なくとも1つをプラスチック部分として構成する場合には、ランプ13,14を形成するために金属製の成形部分もしくは滑子をプラスチック内に埋め込むと有利である。これらの金属製の部分も硬化させられていることができる。ランプ13,14を形成するために硬化された部分を使用することは薄板成形部分の場合にも行うことができる。
【0055】
乗上げランプ33,34と対応乗上げランプ37,38の互いに接触する支え面は、後調節方向ではランプ33,34がランプ37,38に対して自動的に後調節できるが、反対の回転方向ではランプ33,34と37,38とが軸方向で緊締された場合に付加的な形状接続的な自縛作用が存在するように互いに調和させておくことができる。このためにはランプ33,34及び(又は)ランプ37,38は適当な粗面度又は形状を有していることができる。例えばランプ33,34と37,38との間に、軸方向に支え合うランプの間にある伝力もしくは摩擦接続による自縛作用が振動に基づき消滅した場合にランプ33,34がランプ37,38に対して後調節方向に抗して回動することを阻止するラスタの如きものを設けることができる。
【0056】
本発明のレリーズ装置1は特に、レリーズ部材19もしくは作動範囲19aが摩擦ライニング27において発生する摩耗に関連して軸方向に摩耗に相応して、しかも有利には押圧板41と同じ軸方向に移動させられる摩擦クラッチと共に使用することが想定されている。前述の如き軸方向の移動によっては半径方向に延びるレリーズ部材19がクラッチ3の回転軸線に対して垂直な仮想平面に対して実質的に同じ角度的な位置を維持することが保証される。
【0057】
このようなクラッチは図1に部分的に示され、以下これについて簡単に説明する。しかしながら、レリーズ装置1は例えば西ドイツ国特許出願P4239291.8号、P4239689.6号、P4243667.6号及びP4317586.4号明細書に記述又は開示されている摩擦クラッチと関連して用いることができることをまず指摘しておく。前述の特許出願明細書は完全に本発明の内容に属するものであるので、本出願に統合されて見られるべきものである。
【0058】
図1に示されたクラッチ装置はケーシング59を備えた摩擦クラッチ3とケーシング59に回動不能に結合された、軸方向に制限されて移動可能な押圧板41とを有している。軸方向で押圧板41とカバー59との間には圧着皿ばね25が張設されており、この圧着皿ばね25はケーシング59によって保持されたリング状の旋回支承部60を中心として旋回可能であり、押圧板41をケーシング59に固定的に結合された対応押圧板61、例えばはずみ車に向かって負荷する。これによってクラッチ円板28の摩擦ライニング27は押圧板41と対応押圧板42との間に締込まれる。
【0059】
押圧板41はケーシングに周方向もしくは接線方向に向けられた板ばね62を介して回動不能に結合されている。図示の実施例ではクラッチ円板28はいわゆるライニングばねセグメント63を有している。このライニングばねセグメント63は摩擦クラッチ3を接続する場合に漸進的なトルク形成を保証する。このためにはライニングばねセグメント63は両方の摩擦ライニング27が互いに接近する方向に制限されて軸方向に移動することを介して、摩擦ライニング27に作用する軸方向力を漸進的に上昇させることを可能にする。しかしながら、摩擦ライニング27が軸方向で実質的に剛性に保持円板に取付けられているクラッチ円板を使用することもできる。
【0060】
図示の実施例においては皿ばね25は圧着力を作用させるリング状の基体25aを有し、この基体25aからは半径方向内方へ向かって作動舌部19が延びている。皿ばね25は半径方向でさらに外側に位置する範囲で押圧板41を負荷し、半径方向でさらに内方に位置する範囲で旋回支承部60を中心として傾動可能に組込まれている。
【0061】
旋回支承部60は2つの旋回支承部部分64,65を有し、その間に皿ばね25が軸方向に保持もしくは締込まれている。皿ばね25の、押圧板41に向いた側に設けられた旋回支承部部分64は軸方向でケーシング59に向かって力で負荷されている。このためには旋回支承部部分64は外側の縁部範囲67でケーシング59に弾性的に支えられて半径方向内方に一体成形された旋回支承部部分64を作動皿ばね25に対し、ひいてはケーシング59の方向に軸方向で負荷する皿ばねもしくは皿ばね状の構成部分66の一部として構成されている。軸方向で押圧板41と作動皿ばね25との間に設けられた皿ばね66はリング状の範囲を有し、この範囲の内縁から半径方向内方へ延びる舌部が設けられ、この舌部が旋回支承部部分64を形成している。
【0062】
皿ばね状の構成部分もしくは皿ばね66はセンサばねとして構成され、このセンサばねは所定の作業工程に亙って少なくともほぼ一定の力を生ぜしめるかもしくは比較的に平らな力−距離経過を有している。このセンサばね66を介して舌部先端19aに作用するクラッチレリーズ力は少なくともほぼ受け止められる。この場合にはクラッチ3を作動した場合に皿ばね25によって旋回支承部部分64に生ぜしめられた最大力と、センサ皿ばね66によってこの旋回支承部部分64に生ぜしめられた対応力との間には少なくともほぼ力の平衡が形成される。
【0063】
ケーシング側の旋回支承部部分65は後調節装置68を介してケーシング59に支えられている。この後調節装置68は旋回支承部部分64と65とが押圧板41に向かってもしくは対応押圧板42に向かって軸方向で移動した場合に不都合な遊びが旋回支承部部分65とケーシング59との間もしくは旋回支承部部分65と皿ばね25との間に発生しないことを保証する。これにより、摩擦クラッチ3を作動する場合に不都合な死行程もしくは空行程が発生しないことが保証され、摩擦クラッチ3の申し分のない効率、ひいては申し分のない作動が与えられる。旋回支承部部分64,65の軸方向の移動は押圧板41と対応押圧板の摩擦面並びに摩擦ライニング27の軸方向の摩耗に際して行われる。
【0064】
図1と図1のaに示された後調節装置68はリング状の構成部分69の形をした、ばね負荷された後調節部材を有している。この後調節部材は周方向に延びる、軸方向に上昇する乗上げランプ70を有し、この乗上げランプは構成部分69の周方向に分配されている。後調節部分69はクラッチ3内に乗上げランプがケーシング底部59aに向くように組込まれている。
【0065】
後調節リング69は周方向で、しかも後調節回転方向で、すなわち、ランプ70がカバー底部59aに圧刻された対応ランプ71に乗上げた場合に後調節リング69を押圧板41に向かって、すなわち軸方向で半径方向のケーシング区分59aから離れる方向に軸方向に移動させる方向にばね負荷されている。
【0066】
乗上げランプ70と71もしくは後調節リング69とクラッチケーシング59との間の不都合な移動を回避するためには乗上げランプ70,71の少なくとも一方の範囲に他方のランプに引っ掛かる小さな突起もしくは粗面を設けることができる。この突起もしくは粗面は、摩耗補償のための後調節が可能であるが、ランプ相互間の滑りが阻止されるように設計されていることができる。特に有利であるのは、両方の乗上げランプ70と71とがランプ面に高められた粗面度をもたらす加工で処理されることである。このような粗面度は放射加工、例えばボール放射又はサンド放射によって与えることができる。特に有利であるのは、放射加工のためにエッジのある粒子、すなわちシャープなばりのある粒子、例えば石英砂を使用することである。このような粒子を使用することにより、わずかな放射もしくは放射強さで迅速な粗面化が得られる。これによって放射加工費を低減させ、ランプが大きな面に亙って変形することを回避することができる。球状の放射物を使用することはできるがランプの間に所望の保持効果を達成するためにはきわめて強い放射加工が必要であるのであまり有利ではない。しかもこの場合には必要とされる加工強度が高いことに基づきランプに不都合な変形も発生する。不都合な戻りを回避するための乗上げランプの本発明による粗面化はランプを備えた後調節装置において一般的に使用することができる。特に補償装置26の乗上げランプも前述の如く構成するかもしくは処理することができる。さらに不都合な戻りを回避するためにはかならずしもランプが前述のように構成もしくは処理されなければならないことはない。重要であるのは他方の構成部分に対して回動可能な補償構成部分が支えられる何らかの構成部分に対して、距離を補償するために該補償構成部分が本発明にしたがって構成された面結合もしくは面支持を有していることである。したがってランプ面70とは反対の背面側で構成部分に支えられている回動可能な後調節部材もしくは後調節リング69の場合にはこの背面及び(又は)この背面と協働する他の構成部分の面が粗面化されていることもできる。後調節装置68もしくは補償装置26の判における不都合な前述の移動もしくは戻りは特に、個々の構成部分の間に生じるマイクロ振動に帰因する。この振動もしくはマイクロ振動は周波数が高く、特にはずみ車72と結合された内燃機関の駆動車の軸方向及び曲げ運動で生ぜしめられる。この振動ははずみ車に伝達されるので、はずみ車が軸方向及び振子運動を行い、この軸方向及び振子運動ははずみ車72と結合されたクラッチ3とクラッチ作動部材19を介してレリーズ装置1とに伝達される。
【0067】
旋回支承部60もしくは後調節装置68の自動的な後調節の作用形式と後調節装置68の別の構成の可能性とは既に述べた西ドイツ国特許出願明細書に記載されている。この特許出願の開示は本願発明と関連させて考慮されるべきである。これはこれらの特許明細書に開示された特徴と作用形式は本発明と関連してもしくは本発明において応用できることを意味する。さらに図1に示されているように対応押圧板42が互いに相対的に振動減衰された複数の質量体を有するはずみ車72の構成部分であると有利である。この場合には一方のはずみ質量体73はモータの出力軸と結合可能で他方のはずみ質量体61は対応押圧板42によって形成されている。両方のはずみ質量体61,73は軸受74を介して互いに回動可能に位置決めされている。振動減衰装置75は両方のはずみ質量体61と73の間で有効でありかつ周方向で回転弾性的な部材、例えばコイルばねを有している。
【0068】
図8に示されたレリーズ装置101は直接的に固定部材105によってケーシングに軸方向に不動に結合されるリング状の支え構成部分109を有している。同様にリング状の作動構成部分111は支え構成部分109に対して回動可能でかつ軸方向に移動可能である。このためには支え構成部分109と作動構成部分111との間にランプ装置112が設けられている。このランプ装置112は図1、図3及び図5のランプ装置12と同じように構成されかつ作用可能である。作動構成部分111は軸方向の付加部111aを有し、この付加部111aは支え構成部分109の軸方向に延びる範囲109aで取囲まれている。
【0069】
レリーズ装置101はさらに保持部分107により保持されかつ保持部分107に対して制限されて半径方向に移動可能なレリーズ支承部116を有している。この半径方向の移動可能性によって、摩擦クラッチの作動部材と一緒に回転する支承リング118はこの作動部材の回転軸に対してセンタリングされる。
【0070】
保持部分107とランプリングとして構成された作動構成部分111との間には補償装置126が設けられている。この補償装置126は図1から図7までの補償装置26と似た形式で、レリーズ装置101と協働する摩擦クラッチの寿命に亙って発生するクラッチ作動部材(図1の19)の軸方向の移動に相応してレリーズ支承部116の後調節を行う。
【0071】
補償装置126は2つの後調節リング126a,126bを有し、これらの後調節リングは周方向に延びる、軸方向に上昇する乗上げランプを有している。この乗上げランプは図1から7までのレリーズ装置の乗上げランプ33,34,37,38と同じように配置され、構成されかつ作用可能である。後調節リング126aはリング状の作動構成部分111により保持されかつ有利にはこれと回動不能に結合されている。プラスチックから成る後調節リング126aを作動構成部分111で軸方向で確保することは軸方向のスナップ結合130を介して行うことができる。同様にプラスチックから成る後調節リング126bは軸方向でレリーズ支承部107に支えられている。レリーズ支承部保持体107は作動構成部分111と回動不能に結合されているが、しかし作動構成部分に対して軸方向の移動可能性を有している。この後調節リング126bは周方向で後調節リング126a、作動構成部分111並びレリーズ支承部保持体7に対して回動可能である。後調節装置126の後調節機能を保証するためには、後調節リング126bは周方向で少なくとも1つの蓄力器143で負荷されている。少なくとも1つのコイルばねによって形成された蓄力器はその長手方向軸線に相応して周方向に彎曲されている。コイルばね143は半径方向で後調節リング126bの軸方向の区分131によって支えられている。軸方向の区分131は周方向に延びる半径方向の溝もしくは槽を形成している。この溝もしくは槽はコイルばね143の軸方向の案内も保証する。コイルばね143はレリーズ支承部保持体107と回動可能な後調節リング126bとの間に張設されている。コイルばね143を支えるためにレリーズ支承部保持体107は少なくとも1つの軸方向の付加部107aを有し、この付加部107aにコイルばね143が周方向で支えられる。図8から分かるように蓄力器もしくはばね143はランプ装置112の半径方向内方に配置され、このランプ装置112とほぼ同じ軸方向の高さに位置している。
【0072】
ランプリングとして構成された作動構成部分111の作動は図9から判るように線材もしくは彎曲部材144を介して行われる。結合部材として役立つ線材彎曲部材144は両方の枢着点の間でほぼ直線的であり、実施的に固有弾性を有していないか又は図9から判るように、レリーズ部材側の枢着点145と作動部材側の枢着点146との間に、発生する作動力に関連した弾性もしくは弾性的なたわみ性を有するように成形されていてもよい。図9においては線材彎曲部材144はこのために両方の枢着点145と146との間にZ字形に構成されている。
【0073】
線材彎曲部材144は概略的に示された伝動装置吊鐘部材壁147に設けられた開口148を通って延びている。これによってレリーズ装置101もしくは作動構成部分111と図9においてはクラッチペダルもしくはアクタによって負荷可能なボーデンケーブルによって形成されている作動部材149との間の作用結合が簡易化される。彎曲部材144とボーデンケーブル148との間の結合は伝動装置吊鐘部材147の外側から行うことができる。このような構成はボーデンケーブルが伝動装置吊鐘部材147の内部に発生する汚れ、例えばライニング摩耗に基づき発生する汚れに対してかつ伝動装置吊鐘部材内に発生する高い温度に対して保護されるという利点を有する。
【0074】
彎曲部材144はさらに、アクタもしくはクラッチ作動ペダルを振動に対して遮断することを可能にする。レリーズシステムにおけるこのような振動は内燃機関のクランク軸の軸方向振動とこの振動によって励起された圧着板(図1の41)の固有振動とによって励起される。
【0075】
さらに、レリーズ部材もしくはレリーズ装置の本発明の構成は、一般的なレリーズシステムに存在する、伝動装置側に支承された、レリーズ支承部を負荷するためのレリーズレバーが不要になるという利点を有する。これによって比較的に重い、固有振動する単個構成部分が除かれる。さらにレリーズ支承部が3つの球(図3の15)を介して遊びなく案内されていることによりレリーズ支承部の傾動運動が回避される。
【0076】
舌部先端19aの軸方向の移動を後調節するための構成ユニットもしくはランプ装置12,112はクランク軸長さ、はずみ車高さ、はずみ車に対する皿ばね舌部位置、レリーズシステム長さ及び伝動装置壁に対する間隔から生じる軸方向の長さの誤差補償も同時に行うことができる。
【0077】
図10にはランプ装置12と112のための2つのランプ構成が概略的に示されている。この両方の図から判るようにレリーズ距離150に亙って変化するランプ角度151によって伝達比がレリーズ距離152に亙って変化させられるかもしくは変化する。図10の左側の図においては一定のランプ角度151が存在している。図10の右側の図ではこのランプ角度はレリーズ路150に亙って変化する。レリーズ距離150に亙るランプ角度経過は右側の図では符号151aを備えている。ランプ装置12,112の範囲に変化する伝達比を使用することにより、レリーズ力経過はそのつどの使用態様に適合させることができる。
【0078】
図9の横の図11から判るようにレリーズ装置における枢着点145と作動部材149における枢着点149との間の結合を行う部材はコイルばね状の蓄力器もしくは蓄エネルギ器144aによって形成することもできる。ばね部材144aはコイル引っ張りばねとして構成された範囲145aを有し、この範囲145aの端部はそれぞれ脚部145bもしくは146bに移行している。範囲145aの巻条は規定されたバイアスで互いに接触することができるので、脚部145a、146bに作用する規定された力を克服したあとではじめてばね範囲145aは弾性的に変化することができる。これによって内燃機関の所定の回転数範囲において発生する、作動部材149に通常伝達される振動は減衰されるかもしくは作動部材、例えばボーデンワイヤ149から遮断される。弾性的な構成部分144aの規定されたバイアスは使用例に応じて100〜350Nの間であることができる。
【0079】
図12に示したレリーズ部材においては伝動装置ケーシングと結合可能な支え構成部材209並びに作動部材もしくは作動構成部分211はプラスチックから製作されている。このためには特に有利な形式でサーモプラスト、例えばポリアミドが適している。この場合にはサーモプラストは繊維で補強されていることができる。このためにはグラスファイバ及び(又は)炭素繊維が適している。
【0080】
後調節リング126bは同様に前述の如きプラスチックから製作することができる。
【0081】
球215の形をした転動体は直接的にプラスチック部分209と211とに支えられている。しかしながら、プラスチック部分209と211の少なくとも1つが挿入体、例えば金属から成る挿入体を備え、この挿入体で球215のための転動路を形成することもできる。補償装置226のランプは図12の実施例においてはそれぞれ自縛作用を有するねじとして構成されている。有利な形式で多条のねじ山を用いることができる。互いに協働する、軸方向の後調節を保証するねじは一方ではリング状の作動構成部分211の半径方向内側の制限面にかつ他方ではリング状の後調節リング126bの半径方向の外側の制限面に設けられている。補償もしくは後調節装置のねじ状のランプのリード角もしくはランプ角は所望の伝達比に応じて、伝動装置入力軸206の回転軸線に対して垂直な平面に対して6〜20°、有利には12〜18°の大きさを有している。補償装置226のねじ山もしくはランプのリード角は有利には、ランプの軸方向の緊締に際して自縛作用が存在するように選定されている。したがって後調節ばね243によって後調節リング226bに生ぜしめられた周方向力に基づき補償装置226の負荷が除かれた場合にだけ後調節が行われる。ばね243はコイルばねとして構成され、このコイルばねは一方の端部で後調節リング226bにかつ他方の端部で支えもしくは作動部分209に回動不能な結合を有している。このためにはばね243は端部範囲に構成部分211と226bに対する回転を防止するために半径方向の脚を有している。コイルばね243は後調節リング226bの半径方向内方に配置されている。この場合、コイルばね243の長手軸線は軸206の回転軸線に対して平行に延びている。周方向にバイアスのかけられたコイルばね243によっては当該摩擦クラッチが接続された状態で、クラッチの皿ばね舌部219に対し、回転するレリーズ支承リング218により規定された軸方向の負荷がかけられることが保証される。
【0082】
図12による構成においては、回動可能な作動リング211はランプ装置212のための転動路も、補償装置226のためのランプもしくはねじ状の成形部も有している。後調節部材もしくは後調節リング226bは錠止結合装置228の1部分である範囲227を保持するかもしくは有している。この錠止結合装置228を介して後調節リング226bはレリーズ装置201を組込むために支え構成部分209に対し後退させられた位置に保持される。錠止結合装置228の対応輪郭229は支え構成部分209に設けられている。この対応輪郭229は錠止輪郭227の背後に半径方向で係合する半径方向の突起もしくは掛止部を有する舌部229によって形成されている。レリーズ装置201をはじめて作動することによって錠止結合装置228は克服されるかもしくは錠止解除され、これによってランプ装置226は機能できるようになる。このためには舌部229は半径方向で弾性的に変形可能である。後調節もしくは支承部保持リング226bはさらに作動範囲230を有し、この作動範囲230を介してリング226bは例えば手で回動させることができる。この作動範囲230を介して後調節リング226bは、例えば作動装置とモータとから取外したあとで、手によって再び後退させられているかもしくはバイアスのかけられた位置にもたらされる。この位置で次いで再び錠止結合装置228が作用させられるので、後調節リング226bは後退させられた位置に留められる。
【0083】
レリーズ運動に際してランプ装置212の範囲において両方の構成部分209と211との間で発生するギャップ219はシールもしくはカバーによって少なくともほぼ閉鎖された状態に保たれる。このためには両方のリング状の部分209と211は、軸方向でオーバラップするか内外に嵌合する軸方向の範囲を有していることができる。このような範囲は図13に示され、符号309aと311aが付けられている。
【0084】
図示の実施例においてはレリーズメカニズムはねじを介して伝動装置ケーシングに固定されている。しかしながらこのようなねじ結合に加えてもしくはこのようなねじ結合の代わりに、軸方向の差込み結合又は摩擦接続を使用して、これによって各レリーズ装置の伝動装置側の組立てを著しく簡易化しかつ低コストにすることができる。例えば保持もしくは支え構成部分7,109,209は軸方向の一体成形部もしくは付加部を有し、この一体成形部もしくは付加部が伝動装置側の切欠き内に差込まれるかもしくは押込まれ、これによって摩擦及び(又は)形状接続を形成することができる。
【0085】
さらに図12に示された実施例においては作動部材もしくは作動彎曲部材244と作動リング211との間に相対運動を可能にする差込み結合もしくはスナップ結合245が設けられている。このスナップ結合215は作動リング211に設けられた球頭状の範囲246を有し、この範囲246が作動部材244に設けられた、適当に合わせられた反応範囲247と協働させられるようになっている。球状に構成された面を有する対応範囲247は所定の弾性を有するプラスチックの部分248に一体成形されている。このプラスチック部分248は作動部材244と固定的に結合されている。しかしながらクリップとして役立つ構成部分248は金属、例えばばね鋼から製作されていることもできる。
【0086】
図8と図12とから判るようにレリーズ装置もしくはレリーズメカニズム101,202が有利な形式でラジアルシールリング153,253によって形成できるシールを保持しているかもしくはあらかじめ組立てられて有していると特に有利である。このシールリングはレリーズ装置101もしくは201を当該の伝動装置に取付けられたあとで、一方では伝動装置ケーシング(図1の2)のシール面における半径方向外側のシール範囲に接触し、他方では伝動装置入力軸6,206の半径方向内側のシール範囲に接触する。これによって伝動装置ケーシングの簡単でかつ費用的に有利なシールを行うことができる。
【0087】
図13においては自動調心するレリーズ支承部316は支承部保持リング326bに皿ばね状の構成部分354によって保持されている。皿ばね状の構成部分354は該構成部分354の半径方向内側の範囲に一体成形された軸方向の舌部もしくは付加部355を有している。この舌部355は構成部分326bにより保持された円板状のリングの対応輪郭356と共に、自動錠止作用を有する軸方向の差込み結合を形成する。円板356は平らに構成され、プラスチックから製作された構成部分326bに軸方向のスナップ結合357を介して結合されている。
【0088】
本発明によるレリーズ装置のランプ装置の、有利には3つの球により形成される個々の転動体は、有利な形式でいわゆるケージを介して周方向で互いに相対的に規定された位置に保たれていることができる。転動体が相互に相対的に前述の如き角度的な位置に保たれることにより、球が互いに相対的に角度位置を変えることが阻止される。これによってランプ装置の転動路を保持する構成部分が伝動装置入力軸の回転軸線に対して互いに相対的に傾動しないことが保証される。
【0089】
本発明は図示しかつ記述した実施例に限定されるものではなく、本発明と前述の特許明細書に記載された特徴もしくは部材並びに作用形式との組合せで形成できるヴァリエーションを含むものである。又、図と関連して記述した個々の特徴もしくは作用形式はそれ自体独立した発明を成すものである。したがって出願人はこれまで明細書に開示した別の特徴を発明の権利範囲として請求することを保留しておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチ装置のための本発明のレリーズ装置装置の断面図。図1のaは図1のII−II線に沿った部分的な展開図。
【図2】図1の矢印Iの方向から図1のレリーズ装置を見た図。
【図3】図1のレリーズ装置の拡大図。
【図4】図1のレリーズ装置に設けられた補償装置の後調節部材を示した図。
【図5】図4の後調節部材のランプの展開図(見た方向は図4の矢印Vの方向)。
【図6】図1のレリーズ装置において使用された保持部分を示した図。
【図7】図6の保持部分のランプの展開図(見た方向は矢印VIIの方向)。
【図8】本発明のレリーズ装置の変化実施例を示した図。
【図9】レリーズ装置とレリーズ装置のための作動部材との間の本発明による結合の可能性を示した図。
【図10】転動体のために異なって構成された乗上げランプを有する2つのスイッチを示した図。
【図11】レリーズ装置と作動部材との間の別の結合の可能性を示した図。
【図12】本発明のレリーズ装置の別の実施例を示した図。
【図13】本発明のレリーズ装置の付加的な構成の可能性を示した図。
【符号の説明】
1 レリーズ装置、 2 伝動装置、 3 摩擦クラッチ、 4 保持部分、5 ねじ結合部、 6 伝動装置入力軸、 9 支え構成部分、 11 作動構成部分、 12 ランプ装置、 16 レリーズ支承部、 25 クラッチ皿ばね、 26 補償装置、 32 後調節部材、 41 押圧板、 42 対応押圧板、 43 ばね、 68 後調節装置、 69 後調節リング、 70,71 乗上げランプ、 72 はずみ車、 101 レリーズ装置、 105 固定部材、 107 保持部分、 109 支え構成部分、 111 作動構成部分、 112 ランプ装置、 126 補償装置、 209 支え構成部分、211 作動構成部分、 212 ランプ装置、 226 補償装置、 228 錠止装置

Claims (41)

  1. モータと伝動装置との間に設けられる摩擦クラッチのためのレリーズ装置(1)であって、クラッチ作動部材(19)を作動するためのレリーズ支承部(16)を有し、レリーズ支承部(16)が伝動装置側に設けられた保持部(4)により保持されており、保持部(4)の上に少なくとも1つの支え部材(9)が設けられており、支え部材(9)が、保持部(4)に対して軸方向に移動可能でかつ回動可能なレリーズ支承部(16)のための作動部材(11)を介して、レリーズ支承部(16)に作用する作動力を支えており、支え部材(9)とこれに対して回動可能な作動部材(11)との間に作動部材(11)を軸方向に移動させるためのランプ装置(12)が設けられており、さらにレリーズ支承部(16)の回転する支承リング(18)により保持された、クラッチ作動部材(19)に接触するために規定された作動範囲(18a)と保持部(4)との間の力伝達経路に補償装置(26)が存在しており、この補償装置(26)で、摩擦クラッチの寿命に亙って発生した、クラッチ作動部材(19)の、レリーズ装置(1)によって負荷された範囲(19a)の軸方向の移動が少なくともほぼ補償可能であることを特徴とする、レリーズ装置。
  2. 補償装置(26)が保持部(4)とその上に設けられた支え部材(9)との間に設けられている、請求項1記載のレリーズ装置。
  3. 支え部材(9)が軸方向で保持部(4)に対して移動可能である、請求項1又は2記載のレリーズ装置。
  4. 支え部材(9)が保持部(4)に対し回動不能である、請求項1から3までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  5. 保持部(4)が円筒形の付加部(8)を有し、この付加部(8)の上にリング状の支え部材(9)が軸方向に滑動可能に受容されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  6. リング状の支え部材(9)が半径方向内方範囲においてスリーブ状の軸方向の付加部(10)を有し、この付加部(10)が保持部(4)の上で案内されている、請求項5記載のレリーズ装置。
  7. 支え部材(9)が作動部材(11)と補償装置(26)との間の力伝達経路に設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  8. 作動部材(11)の上にレリーズ支承部(16)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  9. ランプ装置(12)が少なくとも支え部材(9)に設けられた乗上げランプ(14)によって形成され、この乗上げランプ(14)が作動部材(11)に設けられた対応乗上げランプ(13)と協働している、請求項1から8までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  10. 乗上げランプ(14)と対応乗上げランプ(13)との間に転動体(15)が設けられている、請求項9記載のレリーズ装置。
  11. 補償装置(26)ランプメカニズム(33,34,37,38)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  12. ランプメカニズム(33,34,37,38)がレリーズ装置の軸方向に上昇する後調節ランプを有している、請求項11記載のレリーズ装置。
  13. ランプメカニズム(33,34,37,38)が互いに相対的に回動可能である乗上げランプ(33,34)と対応乗上げランプ(37,38)とを有している、請求項11または12記載のレリーズ装置。
  14. 対応乗上げランプ(37,38)が保持部(4)に設けられ、保持部(4)に対して回動不能である、請求項11から13までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  15. 乗上げランプ(33,34)がリング状の構成部分(32)により保持され、該構成部分(32)が保持部(4)に対して回動可能である、請求項13又は14記載のレリーズ装置。
  16. 乗上げランプ(33,34)を有する構成部分(32)が軸方向で保持部(4)に対して移動可能である、請求項13から15までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  17. 乗上げランプ(33,34)を有するリング状の構成部分(32)が支え部材(9)と保持部(4)との間の力伝達経路に設けられている、請求項15又は16記載のレリーズ装置。
  18. 乗上げランプ(33,34)を有するリング状の構成部分(32)が支え部材(9)を直接的に軸方向で支えている、請求項15から17までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  19. 補償装置(26)が支え部材(9)と作動部材(11)との間に設けられたランプ装置(12)の半径方向内側に設けられている、請求項1から18までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  20. 軸方向で見て、補償装置(26)が設けられている半径範囲が、少なくともほぼレリーズ支承部(16)のリング状の半径方向の延在範囲と合致している、請求項1から19までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  21. 支え部材(9)のスリーブ状の範囲(10)の周囲に補償装置(26)のリング状の構成部分(32)が設けられている、請求項5から20までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  22. 補償装置(26)の後調節ランプが、後調節ランプの摩擦係合によって自縛作用が得られるような上昇角度(40)を有している、請求項12から21までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  23. 後調節装置が3〜15度、有利には4から10度の上昇角度を有している請求項12から22までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  24. 上げランプと対応乗上げランプとが後調節方向で少なくとも1つのばね(43)により互いに相対的に緊締されている、請求項13から23までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  25. ばねがコイルばね状のばね(43)であり、このばね(43)の巻条が補償装置(26)のリング状の構成部分の周囲を取囲んでいる、請求項24記載のレリーズ装置。
  26. ばね(43)が補償装置(26)のランプメカニズム(33,34,37,38)を介して軸方向の力成分をレリーズ支承部(16)にクラッチ作動部材(19)の方向に生ぜしめる、請求項24又は25記載のレリーズ装置。
  27. 支え部材(9)と作動部材(11)との間のランプ装置(12)に許容された回動角が制限されている、請求項1から26までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  28. レリーズ支承部(16)にランプ装置(12)によって与えられる軸方向の移動が、レリーズ装置(1)によって作動可能なクラッチ(3)の目標レリーズ距離に相応するように、作動部材(11)の回動角が選択されている、請求項1から27までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  29. 支え部材と作動部材との間の相対回動が後調節ランプ(13,14)の端部範囲に設けられたストッパ(13a,14a)により制限されている、請求項1から28までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  30. 支え部材と作動部材との後調節ランプの間に設けられた転動体(15)が後調節ランプ(13,14)の端部範囲に接触することで回動制限が保証されている、請求項29記載のレリーズ装置。
  31. 補償装置(26)の後調節距離がストッパ(50)により制限されている、請求項1から30までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  32. 制限が補償装置(26)のリング状の構成部分(32)と保持部(4)又は支え部材(9)との間で行われる、請求項31記載のレリーズ装置。
  33. 支え部材(9)と保持部(4)との間にスナップ結合として構成され軸方向の距離制限装置(50)が存在している、請求項1から32までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  34. レリーズ装置(1)でクラッチ(3)がはじめて作動されるまで、レリーズ支承部(16)が保持部(4)の上で所定の後退させられた位置をとることを保証する手段(51)が設けられている、請求項1から33までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  35. 前記手段(51)によって補償装置(26)のランプメカニズムが機能準備位置に保持される、請求項34記載のレリーズ装置。
  36. 補償装置(26)の後調節機能が摩擦クラッチをはじめて作動したばあいにはじめて解放される、請求項1から35までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  37. 前記手段(51)が、作動部材(11)と乗上げランプを保持するリング状の構成部分(32)との間に設けられている、請求項34から36までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  38. 押圧板(41)を有し、該押圧板(41)が回動不能ではあるが、しかし軸方向に制限されて移動可能に対応押圧板(42)と結合可能であって、少なくとも1つの圧着ばね(25)が押圧板(41)を、押圧板と対応押圧板との間に締込み可能なクラッチ円板に向かって負荷しているクラッチのレリーズ装置であって、クラッチが少なくともクラッチ円板の摩擦ライニングの摩耗を補償する後調節装置を有しており、この後調節装置によって圧着ばねによる押圧板の力負荷は実地において変化しないようになっており、さらにクラッチを断ち継ぐ作動部材(19)がレリーズ装置により負荷可能であり、摩擦ライニングの摩耗に関連して作動部材がレリーズ運動の方向で軸方向に移動させられる、請求項1から37までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
  39. 皿ばね(25)として形成された圧着ばねがクラッチケーシング(59)に2腕レバー形式で旋回可能に支えられており、皿ばねが皿ばねとケーシングとの間に設けられた転動支承部(65)の方向に軸方向にばね負荷されており、ばね負荷により与えられた、発生するレリーズ力に抗して働く力が克服されるように、摩擦クラッチのレリーズ力経過がライニングの摩耗に際して強められる、請求項38記載のレリーズ装置。
  40. クラッチ(3)の寿命に亙って、作動部材(19)、例えば皿ばね舌状部が、クラッチ円板の摩擦ライニングにおいて発生した摩耗に少なくとも相応して軸方向に移動させられる、請求項39記載のレリーズ装置。
  41. 対応押圧板(42)が統合された振動減衰器(75)を備えた、多部分から成るはずみ車(72)として構成されている、請求項1から40までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
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