JP2015206423A - カム機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】動体の位相がずれることを抑制しつつ、大きな推力を出力することができるカム機構を提供する。【解決手段】互いに対向するとともに相対回転する入力部材と出力部材18とを有し、その対向する面にカム溝20が形成され、そのカム溝20に収容された転動体を挟み付けるように構成されたカム機構において、カム溝20は、入力部材と出力部材18との位相が所定量以下のときに転動体が転がり接触するカム溝20の底面における回転面に対する傾斜角度が、位相差が大きくなるにつれて大きくなるように形成された第1領域Aと、位相差が所定量以上のときに転動体が転がり接触するカム溝20の底面の回転面に対する傾斜角度が、第1領域Aにおける最も大きい傾斜角度よりも小さく形成された第2領域Bとを備えている。【選択図】図1

Description

この発明は、二つの部材が対向する面にカム溝を形成し、そのカム溝に転動体を収容するとともに、その転動体を二つの部材により挟み付けるように構成されたカム機構に関するものである。
特許文献1,2,3には、摩擦力によりトルクを伝達する多板クラッチを押圧して伝達トルク容量を増大させるように構成されたボールカム機構が記載されている。特許文献1に記載されたボールカム機構は、トルクを推力に変えて伝達するものであり、ボールカム機構の出力部材であるピストンが、多板クラッチの摩擦材を押圧するように構成されている。また、特許文献1に記載されたボールカム機構は、多板クラッチを解放させているときに、摩擦材とピストンとの間に介在するオイルの粘性抵抗が作用することを抑制するために、多板クラッチが解放されているときにおける摩擦材とピストンとの隙間が大きくなるように配置されている。
一方、多板クラッチが解放されているときにおける摩擦材とピストンとの隙間を大きくすると、多板クラッチを係合させるために入力部材を回転させ始めてから、ピストンと摩擦材とが接触し始めるまでの時間が長くなり応答性が低下する可能性がある。そのため、特許文献1に記載されたボールカム機構のカム溝には、多板クラッチが解放しているときにボールを収容する半円状の凹部と、摩擦材とピストンとが接触するときにボールが転がり接触する傾斜部とが形成され、その境界部分が段差になっている。したがって、入力部材が回転し始めると、ボールが段差を乗り越えて傾斜部を転がり接触するので、入力部材の回転量に対する出力部材の移動量の割合が大きくなり、ピストンと摩擦材とが接触するまでの時間を短縮することができる。また、ボールの位相がずれることを抑制するために、特許文献1に記載されたボールカム機構は、複数のボールを保持する保持器を備えている。
なお、特許文献2に記載されたボールカム機構は、円周方向の両側に向かうにつれて徐々にカム溝が浅くなるように形成されている。また、特許文献3に記載されたボールカム機構は、カム溝のうち推力を生じさせる領域の底面の傾斜角度を一定に形成している。
特開2009−220593号公報 特開2009−36341号公報 特開平4−88260号公報
ところで、二つの部材がそれぞれ対向する面に円周方向に所定の間隔を空けて複数のカム溝を形成し、それら各カム溝に一つずつ収容された転動体を上記二つの部材により挟み付けるように構成されたカム機構では、転動体を挟み付ける荷重が小さいと、いずれかの転動体の位相が他の転動体の位相からずれてしまう可能性がある。そのため、転動体の位相がずれることを抑制するために、特許文献1に記載されたように転動体を保持する保持器を設けると、部品点数が増加し、またはカム機構の軸長が増大し、あるいは転動体と保持器との摩擦による動力損失が増大する可能性がある。
そこで、カム溝の底面の傾斜角度が次第に大きくなるように形成することにより、転動体の位相がずれることを抑制することができる。しかしながら、カム溝の底面の傾斜角度が次第に大きくなるように形成すると、そのカム溝に沿って軸線方向に摺動する出力側の部材の推力が次第に小さくなる。したがって、摩擦力によりトルクを伝達する摩擦係合装置を、出力側の部材が押圧してその摩擦係合装置の伝達トルク容量を増大させるように、カム機構が設けられている場合には、出力側の部材が摩擦係合装置に接触した後に、大きな推力が要求される。そのため、上記のように転動体の位相がずれることを抑制するためにカム溝の底面の傾斜角度が次第に大きくなるように形成すると、摩擦係合装置を押圧するための十分な推力を出力することができない可能性がある。
この発明は上述した事情を背景としてなされたものであって、転動体の位相がずれることを抑制しつつ、大きな推力を出力することができるカム機構を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、軸線方向で互いに対向しかつ相対回転する第1カム部材と第2カム部材とを有し、前記第1カム部材における前記第2カム部材に対向した対向面に軸線方向に窪みかつ窪み深さが最も深い箇所から前記各カム部材の回転方向での一方の回転方向に向けて次第に浅くなる第1カム溝が形成され、前記第2カム部材における前記第1カム部材に対向した対向面に軸線方向に窪みかつ深さが最も深い箇所から前記各カム部材の回転方向での他方の回転方向に向けて次第に浅くなるように前記第1カム溝と対称形状の第2カム溝が形成され、前記各カム溝の間に転動体が挟み込まれ、前記第1カム部材と前記第2カム部材とが相対回転することにより一方のカム部材が軸線方向に移動するように構成されるとともに、摩擦力によりトルクを伝達する摩擦係合装置に対して前記一方のカム部材における前記対向面とは反対側の端面が軸線方向で所定の間隔を空けて配置され、前記各カム部材の位相差が所定量以上のときに、前記一方のカム部材が前記摩擦係合装置を押圧することにより該摩擦係合装置の伝達トルク容量を増大させるカム機構において、前記各カム溝は、前記位相差が所定量以下のときに前記転動体が転がり接触する前記各カム溝の底面における前記各カム部材の回転面に対する傾斜角度が、前記位相差が大きくなるにつれて大きくなるように形成された第1領域と、前記位相差が所定量以上のときに前記転動体が転がり接触する前記各カム溝の底面の前記回転面に対する傾斜角度が、前記第1領域における最も大きい傾斜角度よりも小さく形成された第2領域とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1領域と前記第2領域とは、前記各カム部材の円周方向に連なって形成され、前記第1領域と前記第2領域との境界部分で前記転動体が前記カム溝の底面に接触する際に、前記一方のカム部材と前記摩擦係合装置とが接触し始めるように形成されていることを特徴とするカム機構である。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記第2領域は、前記傾斜角度が一定に形成されていることを特徴とするカム機構である。
請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記位相差が大きくなるにつれて前記一方のカム部材が軸線方向に押圧される荷重が大きくなるように、前記第2領域における前記傾斜角度が回転方向に向けて次第に小さく形成されていることを特徴とするカム機構である。
この発明によれば、各カム部材が対向する面に複数のカム溝が形成され、そのカム溝に転動体が収容されるとともに、その収容された転動体が各カム部材に挟まれている。また、各カム部材の位相差が所定量以上のときに、軸線方向に所定の間隔を空けて配置された摩擦係合装置を一方のカム部材が押圧してその摩擦係合装置の伝達トルク容量を増大させる。そして、カム溝は、各カム部材の位相差が所定量以下のときに転動体が転がり接触するカム溝の底面の回転面に対する傾斜角度が、位相差が大きくなるにつれて大きくなるように形成された第1領域を備えている。そのため、摩擦係合装置をカム部材が押圧することにより生じる摩擦係合装置からの大きな反力を受けるまでの間であっても、転動体の位相がずれる方向に対向した荷重をカム溝から転動体に作用させ、転動体の位相がずれることを抑制することができる。その結果、転動体の位相を調整するための保持器などを設ける必要がないので、部品数を低減することやカム機構の軸長を短縮することができる。また、保持器と転動体との摩擦抵抗が生じることがないので、カム機構の荷重の伝達効率を向上させることができる。さらに、転動体とカム溝の底面とが滑ることによる摩擦抵抗を減少させることができるので、カム機構に入力されるトルクまたはカム機構でトルクを生じさせるために入力される動力を低減することができる。
また、カム溝は、各カム部材の位相差が所定量以上のときに転動体が転がり接触するカム溝の底面の回転面に対する傾斜角度が、第1領域における最も大きい傾斜角度よりも小さく形成された第2領域を更に備えているので、その第2領域で転動体がカム溝の底面に接触しているときには、カム機構から出力される推力を大きくすることができる。その結果、摩擦係合装置を押圧するための十分な推力を出力することができる。
さらに、第1領域と第2領域とを形成することにより、カム溝の底面の全域の傾斜角度を小さく形成したものよりも、カム溝の長さを短くすることができる。そのため、形成するカム溝の数を多くすれば、カム溝に収容される転動体に作用する面圧を低減することができる。その結果、転動体の剛性を低減すること、すなわち転動体を小型化することができるので、カム機構の軸長を短くすることができる。または、カム溝の長さを短くすることができるので、カム溝が形成される位置を内側にすることができる。その結果、カム溝に収容される転動体に作用する遠心力を低減することができるので、転動体が外側に離脱することを抑制することができる。さらにまた、カム溝の長さを短くすることにより、各カム部材の位相の変化量に対する出力側の部材の移動量を大きくすることができる。そのため、カム機構の応答性を向上させることができる。
さらに、第2領域における傾斜角度を一定に形成する場合には、第2領域におけるカム溝の底面の加工精度が低下することを抑制することができるので、出力される荷重がばらつくなどの性能の低下を抑制することができる。
一方、各カム部材の位相差が大きくなるにつれて一方のカム部材が軸線方向に押圧される荷重が大きくなるように、第2領域における傾斜角度を回転方向に向けて次第に小さく形成することにより、転動体が第1領域におけるカム溝の底面を転がって第2領域におけるカム溝の底面に移動する際に、出力側の部材が急激に軸線方向に移動することを抑制することができる。
この発明におけるカム溝の形状の一例を説明するための断面図である。 クラッチが解放している際に入力部材と出力部材とにボールが挟まれた状態を説明するための断面図である。 クラッチが係合し始めた際に入力部材と出力部材とにボールが挟まれた状態を説明するための断面図である。 一つのボールの位相が他のボールの位相からずれた場合に、その位相がずれたボールに作用する荷重の向きを説明するための断面図である。 クラッチが完全に係合している際に入力部材と出力部材とにボールが挟まれた状態を説明するための断面図である。 この発明におけるカム溝の形状の他の例を説明するための断面図である。 この発明に係るカム機構の構成の一例を説明するための断面図である。
この発明に係るカム機構は、摩擦力によりトルクを伝達するように構成された従来知られているクラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を押圧することにより、その摩擦係合装置の伝達トルク容量を増大させる推力発生機構として使用することができる。
図7には、複数のプレートを軸線方向に交互に配置して形成された従来知られている多板クラッチ1に、ボールカム機構2が推力を付与することにより、多板クラッチ1の伝達トルク容量を増大させるように構成された例を示している。この多板クラッチ1およびボールカム機構2は、変速機などのハウジング3の内部に設けられている。具体的には、第1円筒部4と、第1円筒部4の一方側の開口部から外側に形成されたフランジ部5と、フランジ部5の外周部に一方の端部が連結された第2円筒部6と、第1円筒部4の他方側の開口部を閉じる底面部7と、第1円筒部4よりも内側に所定の間隔を空け、かつ一方の端部が底面部7に連結された円筒状の突出部8とによりハウジング3が形成され、その第1円筒部4と突出部8との間の空間に、ボールカム機構2が設けられ、第2円筒部6の内側に多板クラッチ1が設けられている。
ここで、図7に示す多板クラッチ1の構成を簡単に説明する。図7に示す多板クラッチ1は、図示しない入力軸に連結された環状の第1回転部材9および図示しない出力軸に連結された環状の第2回転部材10がトルクを伝達する状態と、トルクの伝達を遮断した状態とを選択的に切り替えるものである。具体的には、第1回転部材8の側面には、ハウジング3の底面部7側に向けて軸線方向に突出した円筒状の第1クラッチドラム11が形成され、その第1クラッチドラム11の外側には、環状に形成された複数のドライブプレート12が一体に回転するように嵌合されている。このドライブプレート12は、後述するドリブンプレート13と接触することによりトルクを伝達するものであり、ドライブプレート12とドリブンプレート13とが交互に配置される。したがって、ドライブプレート12同士は、ドリブンプレート13が挟まれる程度の隙間を空けて互いに所定の間隔を空けて配置されている。
一方、第2回転部材10の側面には、ハウジング3の底面部7側に軸線方向に突出するとともに、ドライブプレート12の外径よりも内径が大きい円筒状の第2クラッチドラム14が形成されている。その第2クラッチドラム14の内側には、環状に形成された複数のドリブンプレート13が、ドライブプレート12と交互に配置され、かつ第2クラッチドラム14と一体に回転するように嵌合されている。なお、ドライブプレート12とドリブンプレート13とのいずれか一方のプレートの両側面には、摩擦材15が一体に形成されている。
したがって、図7に示す多板クラッチ1は、ドライブプレート12とドリブンプレート13とを接触させるように軸線方向に押圧されることにより、ドライブプレート12とドリブンプレート13とが押圧される荷重と摩擦係数とに応じたトルクを伝達することができる。すなわち、ドライブプレート12とドリブンプレート13とが接触する荷重を制御することにより、多板クラッチ1の伝達トルク容量が制御される。具体的には、ドライブプレート12とドリブンプレート13とが押圧される荷重を増大させることにより、多板クラッチ1の伝達トルク容量が増大させられる。
そのため、図7に示す例では、多板クラッチ1を押圧する荷重を制御するようにボールカム機構2が設けられている。すなわち、多板クラッチ1に要求される伝達トルク容量に応じて多板クラッチ1を押圧する荷重を制御し、多板クラッチ1がトルクの伝達を遮断するときには、多板クラッチ1から離隔して、多板クラッチ1を押圧する荷重を「0」にするようにボールカム機構2が構成されている。
図7に示すボールカム機構2は、入力部材16のトルクを軸線方向の推力に変換して出力部材18から出力するように構成されており、入力部材16における出力部材18に対向した面には、軸線方向に窪んだ複数のカム溝19が、円周方向に所定の間隔を空けて形成され、出力部材18における入力部材16に対向した面にも同様に、軸線方向に窪んだ複数のカム溝20が、円周方向に所定の間隔を空けて形成され、それらのカム溝19,20の底面にボール17が転がり接触するように構成されている。具体的には、カム溝19,20の間にボール17を収容した状態で、入力部材16と出力部材18とがボール17を挟み付けるように取り付けられている。なお、ここに示す例では、ボール17を使用したボールカム機構を例に挙げて説明しているが、カム溝と転がり接触するように構成されていればよく、ローラなどの他の部材であってもよい。また、出力部材18が傾くことを抑制するために、円周方向に所定の間隔を空けて三つ以上のカム溝19を形成するとともに、カム溝19と同様に円周方向に所定の間隔を空けてカム溝19と同数のカム溝20を形成し、それらカム溝19,20のそれぞれにボール17を設けることが好ましい。
図7に示す入力部材16は、環状に形成されており、ハウジング3の突出部8の外側、かつ第1円筒部4の内側に嵌め込まれている。この入力部材16は、図示しない油圧源から供給される油圧に応じてトルクを発生させるアクチュエータとして機能するように構成されている。具体的には、ハウジング3の底面部7における外周側には、円周方向に所定の間隔を空けて複数の壁部21が軸線方向に突出して形成され、かつ入力部材16における底面部7側の端面には、壁部21同士の間に挿入される複数の突起部22が形成されている。すなわち、壁部21と突起部22とは、軸線方向で重なる位置に形成され、円周方向で交互に配置されている。したがって、壁部21と突起部22との間にオイルが供給されることにより、突起部22が円周方向に押圧されてトルクが生じる。また、入力部材16はハウジング3と相対回転するように突出部8に嵌合させられるので、入力部材16の端面とハウジング3の底面部7との間には、スラストベアリング23が設けられている。さらに、壁部21と突起部22との間に供給されるオイルが漏洩することを抑制するために、入力部材16の内周面および外周面には、それぞれOリングなどのシール部材24,25が設けられている。なお、図7に示す例では、入力部材16がアクチュエータとして機能するように構成されているが、図示しないモータなどにより入力部材16にトルクを伝達するように構成されていてもよい。
一方、出力部材18は、入力部材16から軸線方向の押圧力を受けて移動するものであり、図7に示す例では、軸線方向に移動することができ、かつ回転不能にハウジング3に取り付けられている。具体的には、出力部材18は、環状に形成されており、その外周面と第1円筒部4の内周面とがスプラインなどにより係合させられている。なお、出力部材18の内周面は、突出部8に嵌合させられている。また、出力部材18は、ドライブプレート12またはドリブンプレート13を押圧するように構成されており、出力部材18におけるカム溝20が形成された面とは反対側の端面には、ドライブプレート12とドリブンプレート13とが半径方向で重なっている位置を押圧する円筒状の押圧部26が形成されている。
上述したようにボール17が入力部材16と出力部材18とに形成されたカム溝19,20に収容されている。また、多板クラッチ1がトルクの伝達を遮断しているときには、出力部材18がドリブンプレート13から離隔し、かつ突起部22と壁部21との間に油圧が供給されない。そのため、出力部材18が入力部材16から離隔してしまうと、ボール17がカム溝19,20から離脱してしまうので、図7に示す例では、出力部材18を常時、入力部材16側に押圧するリターンスプリング27が設けられている。なお、図7に示す例では、リターンスプリング27として皿バネを設けているが、圧縮バネなどの他の弾性部材を配置していてもよい。また、図7に示す例では、リターンスプリング27の外周部分の位置決めをするためにスナップリング28が設けられている。
上述したように図7に示すボールカム機構2は、入力部材16のトルクがボール17を介して出力部材18を軸線方向に押圧する荷重として伝達される。したがって、出力部材18がドリブンプレート13に接触するまでの間は、出力部材18が入力部材16から押圧される荷重に対抗した反力は、リターンスプリング27のばね荷重のみとなる。このリターンスプリング27は、上述したようにボール17がカム溝19,20から離脱することを抑制するように作用させるためのものであり、比較的小さな荷重に設定されている。また、図7に示す例では、円周方向に複数のボール17が設けられており、そのカム溝19,20やボール17には、加工精度などに基づく不可避的な個体差がある。したがって、出力部材18がドリブンプレート13に接触するまでの間は、ボール17を挟み付ける荷重が小さいので、いずれか一つのボール17がカム溝19,20を滑って、他のボール17との位相がずれてしまう可能性がある。そのため、図7に示すカム溝19,20は、ボール17が円周方向に滑ってしまうことを抑制することができるように構成されている。
一方、出力部材18がドリブンプレート13に接触しているときには、リターンスプリング27のばね荷重に加えてドリブンプレート13の剛性などに応じた反力が作用するので、上述したようにボール17がカム溝19,20から離脱しにくいが、出力部材18がドリブンプレート13を押圧するために要求される荷重が大きい。そのため、図7に示すカム溝19,20は、出力部材18がドリブンプレート13に接触するときに、出力部材18が入力部材16から押圧される荷重が大きくなるように、言い換えると、入力部材16のトルクに対して出力部材18が押圧される荷重が大きくなるように構成されている。
そのカム溝19,20の形状の一例について図1を参照して説明する。なお、入力部材16に形成されたカム溝19は、入力部材16の回転方向での一方の回転方向に向けて次第にカム溝19の深さが浅くなるように形成され、出力部材18に形成されたカム溝20は、入力部材16の回転方向での他方の回転方向に向けて次第にカム溝20の深さが浅くなるようにカム溝19と対称形状に形成されている。また、入力部材16に形成されたカム溝19同士および出力部材18に形成されたカム溝20同士も同一の形状に形成されている。そのため、以下の説明では、出力部材18に形成されたカム溝20のうち一つのカム溝の形状を図1に示す例を参照して説明し、入力部材16に形成されたカム溝19の形状の説明を省略する。
図1は、そのカム溝20の形状を説明するための断面図を示しており、図1に示す上下方向が円周方向であり、左右方向が軸線方向である。図1に示すカム溝20の一方の端部は、後述するように出力部材18が最も入力部材16側に移動しているときに、ボール17の外周面の一部が面接触または線接触することにより、ボール17の移動を制限するように形成されている。そのため、カム溝20の一方の端部の曲率半径が、ボール17の外径とほぼ同一に形成されている。なお、以下の説明では、ボール17の移動が制限されているときに、ボール17と接触するカム溝20の底面のうち最も深さが深く形成された部分を第1接触部29と記す。
上記第1接触部29よりも図1に示す下側のカム溝20の底面は、入力部材16と出力部材18との位相差が大きくなることによりボール17が転がり接触する部分である。具体的には、出力部材18が最も入力部材16に接近している状態から、押圧部26がドリブンプレート13に接触するまでの間に、ボール17が転がり接触する第1領域Aと、押圧部26がドリブンプレート13に接触してから多板クラッチ1の係合圧が最大になるまでの間に、ボール17が転がり接触する第2領域Bとが形成されている。すなわち、入力部材16と出力部材18との位相差が所定量以下のときには、ボール17が第1領域Aでカム溝20の底面に転がり接触し、入力部材16と出力部材18との位相差が所定量以上のときには、ボール17が第2領域Bでカム溝20の底面に転がり接触する。
第1領域Aにおけるカム溝20の底面は、第1接触部29から第1領域Aと第2領域Bとの境界位置(以下、第2接触部30と記す。)に近づくにつれて、カム溝20の底面における入力部材16の回転面に対する傾斜角度、または出力部材18における入力部材16に対向した端面に対する傾斜角度が次第に大きくなるように形成されている。すなわち、第1領域Aのうち第1接触部29の傾斜角度が最小になり、第2接触部30の傾斜角度が最大になるように形成されている。言い換えると、第1領域Aにおけるカム溝20の底面の曲率半径が、第1接触部29から第2接触部30に近づくにつれて次第に小さくなるように形成されている。なお、図1では、傾斜角度を「θ」と示している。
一方、第2領域Bにおけるカム溝20の底面は、第2接触部30の傾斜角度よりも小さい傾斜角度になるように形成されている。具体的には、第2接触部30から離れるにつれて傾斜角度が小さくなるように、言い換えると、入力部材16の回転方向とは反対側の回転方向に向けて傾斜角度が小さくなるように形成されている。なお、第2領域Bにおける第2接触部30とは反対側の端部を、以下の説明では第3接触部31と記す。
つぎに、図1に示すようにカム溝20を形成したボールカム機構2の作用について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、第1接触部29と同一の形状に形成された入力部材16におけるカム溝19の部分を、第4接触部32と、第2接触部30と同一の形状に形成された入力部材16におけるカム溝19の部分を、第5接触部33と、第3接触部31と同一の形状に形成された入力部材16におけるカム溝19の部分を、第6接触部34と、出力部材18がドリブンプレート13に接触するまでの間にボール17が入力部材16におけるカム溝19に接触する領域を第3領域Cと、出力部材18がドリブンプレート13に接触しているときにボール17が入力部材16におけるカム溝19に接触する領域を第4領域Dと記す。
図2は、出力部材18が入力部材16側に最も接近している状態を示している。具体的には、出力部材18にリターンスプリング27のばね力のみが作用しているときに入力部材16と出力部材18とにボール17が挟まれている状態、または入力部材16に生じているトルクに応じて出力部材18が押圧される荷重が、リターンスプリング27のばね力よりも小さいときに入力部材16と出力部材18とにボール17が挟まれている状態を示している。すなわち、入力部材16側に出力部材18を押圧する荷重が、入力部材16から出力部材18を離隔させる荷重よりも大きいときに、入力部材16と出力部材18とにボール17が挟まれている状態を示している。
上述したようにカム溝19,20の底面は、入力部材16および出力部材18の端面に対して傾斜して形成されている。そのため、ボール17が上記第1接触部29に接触する位置以外で出力部材18におけるカム溝20の底面に接触していると、出力部材18が入力部材16側に押圧されることにより、ボール17には、出力部材18におけるカム溝20の底面から、出力部材18の円周方向における第1接触部29側に向けた荷重が作用する。そのようにボール17に荷重が作用すると、入力部材16におけるカム溝19の底面には、ボール17から入力部材16を図2における上側に押圧するように円周方向の荷重が作用する。また、出力部材18は回転不能にハウジング3に連結されている。したがって、出力部材18が入力部材16側に押圧されると、入力部材16が図2における上側に回転する。そのように入力部材16が回転すると、入力部材16と出力部材18との間隔が、ボール17の直径よりも大きくなる。そのため、出力部材18が入力部材16側に移動する。
なお、入力部材16が上述するように回転するとともに、出力部材18が軸線方向に移動する際には、ボール17が入力部材16のカム溝19および出力部材18のカム溝20を転がる。そのため、上述したように入力部材16側に出力部材18を押圧する荷重が、入力部材16から出力部材18を離隔させる荷重よりも大きいときには、ボール17が第1接触部29および第4接触部32に接触する位置まで転がる。以下の説明では、ボール17が第1接触部29および第4接触部32に接触している状態を、初期状態と記す。
図2に示す初期状態のときに、突起部22と壁部21との間にオイルを供給すると、突起部22が供給されたオイルの圧力により円周方向に押圧されるので、その油圧に応じたトルクが入力部材16に生じる。そのように入力部材16にトルクが生じると、カム溝19の底面とボール17とが接触している部分では、ボール17の中心に向けた荷重が作用する。そのようにボール17に荷重が作用すると、ボール17とカム溝20とが接触している部分におけるカム溝20の底面の法線方向に荷重が作用する。上述したように出力部材18は、ハウジング3に回転不能に連結されているので、上記のようにカム溝20の底面の法線方向に荷重が作用すると、その荷重のうち軸線方向の成分の荷重が出力部材18を押圧することになる。そのため、出力部材18が入力部材16から離隔する。そのように出力部材18が入力部材16から離隔するとともに、ボール17の中心に向けて入力部材16におけるカム溝19の底面から荷重が作用するため、ボール17は、第3領域Cを第4領域D側に向けて転がり、かつ第1領域Aを第2領域B側に向けて転がる。なお、上記のように出力部材18は、ハウジング3に回転不能に連結されており、入力部材16はハウジング3に相対回転可能に連結されている。そのため、入力部材16は出力部材18と相対回転する。そして、初期状態における入力部材16と出力部材18との位相差を基準として、出力部材18が離隔するように入力部材16が回転することにより、その位相差が大きくなる。
図3は、出力部材18が入力部材16から離隔することにより、押圧部26がドリブンプレート13に接触した時点で、入力部材16と出力部材18とにボール17が挟まれている状態を示している。上述したように第2接触部30は、第1領域Aと第2領域Bとの境界部分であり、同様に第5接触部33は、第3領域Cと第4領域Dとの境界部分であり、押圧部26がドリブンプレート13に接触した時点で、第2接触部30および第5接触部33にボール17が接触する。すなわち、初期状態から、第2接触部30および第5接触部33にボール17が接触している状態までの出力部材18の移動量が、初期状態における押圧部26とドリブンプレート13との隙間と同一になるように、カム溝20の深さ方向における第1接触部29と第2接触部30との偏差L1、およびカム溝19の深さ方向における第4接触部32と第5接触部33との偏差L2が定められている。
一方、出力部材18がドリブンプレート13に接触するまでの間は反力が小さいので、カム溝19,20やボール17の加工誤差などがあると、いずれか一つのボール17とカム溝19またはカム溝20とに滑りが生じる場合がある。そのため、図1に示すように第1領域Aおよび第3領域Cにおけるカム溝19,20の底面の傾斜角度が次第に大きくなるように形成することにより、その滑りを抑制するように構成されている。ここで、ボール17の滑りを抑制することができる作用について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、滑りが生じたボール17を第1ボール17aと、滑りが生じていないボール17を第2ボール17bと記す。図4には、第1ボール17aが滑って、第2ボール17bとの位相がずれた状態を示しており、なお、第2ボール17bの位置を破線で示している。具体的には、カム溝19またはカム溝20の加工誤差などによりカム溝19とカム溝20との隙間が大きく形成されている場合、または第1ボール17aの外径が第2ボール17bの外径よりも小さく形成されている場合など、第1ボール17aが第2ボール17bよりも第1領域Aにおける第1接触部29側で、かつ第3領域Cにおける第5接触部33側でカム溝19,20に接触している状態を示している。
図4に示すようにボール17は、カム溝19からボール17の中心に向けた荷重を受ける。また、ボール17がカム溝20を押圧する荷重の反力も同様にボール17の中心に向けてカム溝20からボール17に作用する。したがって、図4に示すようにボール17に滑りが生じていない場合には、第2ボール17bと接触するカム溝19,20の部分同士の傾斜角度は同一であって、かつカム溝19における接触部の底面とカム溝20における接触部の底面とが平行になるので、第2ボール17bに入力部材16と出力部材18とから作用する荷重は、同一直線上で、かつ対向して作用する。
一方、図4に示す第1ボール17aのように滑りが生じて第2ボール17bとの位相がずれた場合には、入力部材16から第1ボール17aが受ける荷重の向きと、出力部材18から第1ボール17aが受ける荷重の向きとが交差する。具体的には、入力部材16から第1ボール17aが受ける荷重のうちの円周方向の成分と、出力部材18から第1ボール17aが受ける荷重のうちの円周方向の成分とが同一方向に作用する。より具体的には、第1ボール17aの位相と第2ボール17bの位相とが一致するように第1ボール17aに円周方向の荷重が作用する。すなわち、第2ボール17bとの位相がずれる方向と対向した方向に入力部材16および出力部材18から第1ボール17aに荷重が作用する。言い換えると、第1ボール17aのように位相がずれると、迅速にその位相のずれを是正するように荷重が作用する。したがって、第1領域Aおよび第3領域Cとは、ボール17の位相を合わせる調芯機能を有している。
そのため、上述したようにカム溝19,20の底面の傾斜角度を次第に大きくするように形成することにより、ボール17の位相を合わせるためのリテーナなどを設けることなく、カム溝19,20に挟まれたボールの位相がずれることを抑制することができる。その結果、リテーナなどを設ける必要がないので、リテーナなどを設けた場合よりも、部品数を低減することやボールカム機構2の軸長を短縮することができる。また、リテーナなどの部材とボール17との摩擦抵抗などが生じることがないので、荷重の伝達効率を向上させることができる。さらに、上述したように位相がずれることを抑制することができるので、ボール17とカム溝19,20とが滑ることによる摩擦抵抗を減少させることができる。その結果、入力部材16にトルクを生じさせるための油圧を低減させることができる。
なお、図4では、第1ボール17aが第2ボール17bよりも第1接触部29側および第5接触部33側で接触している状態を示しているが、第1ボール17aが第2ボール17bよりも第2接触部30側および第4接触部32側で接触している場合には、第1ボール17aには、図4における上向きの荷重が作用する。したがって、上述した作用および効果を奏することができる。
上述したように第1領域Aおよび第3領域Cにおけるカム溝19,20をボール17が転がることにより出力部材16がドリブンプレート13に接触すると、出力部材18に作用する反力が比較的大きくなり、上述したようにボール17の位相がずれにくくなる。一方、ドリブンプレート13を押圧するために要求される推力、すなわち、出力部材18を押圧するために要求される荷重が大きくなる。そのため、上述したように第2領域Bおよび第4領域Dにおける傾斜角度を、第2接触部30および第5接触部33の傾斜角度よりも小さく形成して、ボール17から出力部材18が受ける荷重のうちの軸線方向の成分が大きくなるように、すなわち、ドリブンプレート13を押圧するための推力が大きくなるように構成されている。また、図1に示す例では、第1領域Aから第2領域Bにボール17が移動する際に、出力部材18が急激に移動することを抑制するために、第2領域における傾斜角度が、入力部材16の回転方向とは反対側の方向に向けて次第に小さくなるように形成している。そして、第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20をボール17が転がることにより、ドリブンプレート13を出力部材18が完全に押圧すると、図5に示すようにボール17が第3接触部31および第6接触部34に接触する。このように出力部材18がドリブンプレート13を完全に押圧する際には、最も大きな推力が要求されるので、第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20の底面のうち、第3接触部31および第6接触部34の傾斜角度が最も小さく形成されている。
上述したように第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20の底面の傾斜角度を、第2接触部30や第5接触部33の傾斜角度よりも小さくすること、すなわち、第1領域Aおよび第3領域Cにおけるカム溝19,20の底面のうち、最も傾斜角度が大きい部分よりも、第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20の底面の傾斜角度を小さくすることにより、入力部材16に生じるトルクに対する出力部材18が押圧される荷重を大きくすることができる。その結果、供給する油圧を低減することができる。
また、カム溝19,20の深さは、出力部材18とドリブンプレート13との隙間に応じて定められ、かつ要求される最も大きい推力を出力するためのカム溝19,20の傾斜角度は、多板クラッチ1に要求される伝達トルク容量に基づいて定められる。したがって、カム溝19,20の全域の傾斜角度を上記多板クラッチ1に要求される伝達トルク容量に基づいて定められる傾斜角度に形成すると、カム溝19,20の円周方向の長さが長くなる可能性があるが、上述したように第1領域Aおよび第3領域Cに連なって第2領域Bおよび第4領域Dを形成することにより、カム溝20の円周方向の長さを短くすることができる。そのため、入力部材16および出力部材18に形成するカム溝19,20の数を増加させることができるので、ボール17の一つあたりに作用する面圧を低減することができる。その結果、ボール17の強度を低減することができるので、ボール17の外径を小さくすることができ、ひいてはボールカム機構2の軸長を短くすることができる。または、カム溝19,20の円周方向の長さを短くすることができるので、カム溝19,20を内周側に形成することができる。そのため、ボール17に作用する遠心力を低減することができるので、ボール17が外周側に離脱することを抑制することができる。さらに、カム溝19,20の円周方向の長さを短くすることができるので、入力部材16の単位回転量あたりの出力部材18の移動量を大きくすることができる。その結果、ボールカム機構2の応答性を向上させることができる。
上述した例では、第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20の底面の傾斜角度が次第に小さくなるように形成されているが、第2領域Bおよび第4領域Dは、出力部材18を大きな荷重で押圧することができればよいので、図6に示すように第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20の底面の傾斜角度を、上述した第3接触部31および第6接触部34と同一の傾斜角度に形成してもよい。すなわち、大きな荷重を出力させるための傾斜角度、より具体的には、第3接触部31や第6接触部34における傾斜角度まで遷移させる領域を備えていなくてもよい。
図6に示すように第2領域Bおよび第4領域Dにおけるカム溝19,20の底面の傾斜角度を、上述した第3接触部31および第6接触部34と同一の傾斜角度に形成することにより、加工精度が低下することを抑制することができる。そのため、出力部材18を押圧する荷重がばらつくなどの性能の低下を抑制することができる。
1…多板クラッチ、 2・・・ボールカム機構、 16・・・入力部材、 17・・・ボール、 18・・・出力部材、 19,20・・・カム溝、 29,30,31・・・(出力部材に形成されたカム溝の底面とボールとが接触する)接触部、 32,33,34・・・(入力部材に形成されたカム溝の底面とボールとが接触する)接触部、 A,C・・・(出力部材がドリブンプレートに接触するまでにボールが転がり接触する)領域、 B,D・・・(出力部材がドリブンプレートに接触した後にボールが転がり接触する)領域。

Claims (4)

  1. 軸線方向で互いに対向しかつ相対回転する第1カム部材と第2カム部材とを有し、前記第1カム部材における前記第2カム部材に対向した対向面に軸線方向に窪みかつ窪み深さが最も深い箇所から前記各カム部材の回転方向での一方の回転方向に向けて次第に浅くなる第1カム溝が形成され、前記第2カム部材における前記第1カム部材に対向した対向面に軸線方向に窪みかつ深さが最も深い箇所から前記各カム部材の回転方向での他方の回転方向に向けて次第に浅くなるように前記第1カム溝と対称形状の第2カム溝が形成され、前記各カム溝の間に転動体が挟み込まれ、前記第1カム部材と前記第2カム部材とが相対回転することにより一方のカム部材が軸線方向に移動するように構成されるとともに、摩擦力によりトルクを伝達する摩擦係合装置に対して前記一方のカム部材における前記対向面とは反対側の端面が軸線方向で所定の間隔を空けて配置され、前記各カム部材の位相差が所定量以上のときに、前記一方のカム部材が前記摩擦係合装置を押圧することにより該摩擦係合装置の伝達トルク容量を増大させるカム機構において、
    前記各カム溝は、前記位相差が所定量以下のときに前記転動体が転がり接触する前記各カム溝の底面における前記各カム部材の回転面に対する傾斜角度が、前記位相差が大きくなるにつれて大きくなるように形成された第1領域と、前記位相差が所定量以上のときに前記転動体が転がり接触する前記各カム溝の底面の前記回転面に対する傾斜角度が、前記第1領域における最も大きい傾斜角度よりも小さく形成された第2領域とを備えていることを特徴とするカム機構。
  2. 前記第1領域と前記第2領域とは、前記各カム部材の円周方向に連なって形成され、前記第1領域と前記第2領域との境界部分で前記転動体が前記カム溝の底面に接触する際に、前記一方のカム部材と前記摩擦係合装置とが接触し始めるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカム機構。
  3. 前記第2領域は、前記傾斜角度が一定に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカム機構。
  4. 前記位相差が大きくなるにつれて前記一方のカム部材が軸線方向に押圧される荷重が大きくなるように、前記第2領域における前記傾斜角度が回転方向に向けて次第に小さく形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカム機構。
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