JP2008014423A - 湿式摩擦クラッチ装置 - Google Patents

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忠史 尾坂
Hitoshi Konno
仁志 今野
Kentaro Shishido
健太郎 宍戸
Hiroshi Kuroiwa
弘 黒岩
Masaru Yamazaki
勝 山崎
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Abstract

【課題】クラッチを冷却し、かつ、引き摺りトルクを低減するクラッチ装置を提供する。
【解決手段】変速機構に配置される湿式摩擦クラッチであって、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクを冷却するために潤滑油を供給する潤滑手段と、潤滑手段に潤滑油の供給量を制御する開閉機構を備えたクラッチ装置において、クラッチが締結状態から解放状態に変化した場合、クラッチ解放から所定時間経過後に、開閉機構により、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクに供給する潤滑油の供給量を少なくする、あるいは供給停止するようにする。
【選択図】図9

Description

本発明は、湿式摩擦クラッチを用いた自動車用の変速機構において、クラッチ締結時と解放時とで、潤滑油の供給量を変化させるクラッチ装置に関する。
クラッチドラムと、クラッチドラム内の外周側で回転軸方向に交互に重なるように配置されたクラッチディスク及びクラッチプレートと、クラッチドラム内の内周側に配置されたクラッチピストンと、クラッチドラム内に設けられクラッチピストンの押力をクラッチディスク及びクラッチプレートに伝達する押圧力伝達プレートとを備えた湿式クラッチの潤滑構造が知られている(特許文献1参照)。
この装置では、押圧力伝達プレートの外周端部がクラッチドラムの内周に係止されており、押圧力伝達プレートの内周部がクラッチピストンに押圧されて押し出されたときに、押圧力伝達プレートの中間部でクラッチディスク及びクラッチプレートを回転軸方向に押圧するように構成されている。さらに、引き摺りトルクの低減を図るために、押圧力伝達プレートの内周側側面に、クラッチドラム内に供給される潤滑油の流れをガイドするガイド部が設けられている。押圧力伝達プレートの内周部が戻された位置にあるとき(クラッチ解放時)には、ガイド部が潤滑油をクラッチディスク及びクラッチプレートの側方外部に流出させることにより、クラッチディスクとクラッチプレートとの間に流入する潤滑油の量を少なくする。また、押圧力伝達プレートの内周部が押し出された位置にあるとき
(クラッチ締結時)には、ガイド部がクラッチディスク及びクラッチプレートの側方外部に流出する潤滑油の量を少なくすることにより、クラッチディスクとクラッチプレートとの間に流入する潤滑油の量を増やす。
また、引き摺りトルクの低減を図るために、変速機構の入力側に配置された湿式摩擦クラッチと、湿式摩擦クラッチを動作させるために移動する動作機構と、湿式摩擦クラッチに潤滑油を供給する油路とを備えたクラッチの潤滑装置において、動作機構の移動により油路の開度を変更する開閉機構を備えたものも知られている(特許文献2)。
この装置では、クラッチの締結と解放において特許文献1に記載された押圧力伝達プレートと同様な役割を果たすダイヤフラムスプリングの内周側に突出部を設け、この突出部で潤滑油を供給するポートの開閉を行う。すなわち、湿式摩擦クラッチが解放されているときは、ダイヤフラムスプリングの突出部によって潤滑油の供給ポートを閉じることにより、湿式摩擦クラッチ部への潤滑油の供給を止めている。
特開2001−99189号公報 特開平10−331869号公報
特許文献1及び2の装置では、クラッチを解放するのと同時に、クラッチ部への潤滑油の供給を低減したり、停止する構造になっている。クラッチを締結した状態から解放する場合、クラッチの解放により新たな熱の発生はなくなるが、解放前に発生した熱は解放後もクラッチ部に残る。この解放前に発生し解放後に残留する熱を確実に冷却することが望ましい。特許文献1及び2では、このような解放前に発生し解放後に残留する熱に対しては配慮が成されていなかった。
本発明の目的は、クラッチ解放時の引き摺りトルクを低減すると共に、クラッチ解放前に発生した熱に対してクラッチ解放後の冷却性能を高めることにある。
上記課題を解決するために、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを締結した状態では、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに潤滑油を供給し、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを解放した状態では、潤滑油の供給を停止又は締結時よりも供給量を少なくする潤滑油供給量変更機構を備えた湿式摩擦クラッチ装置において、潤滑油供給量変更機構は、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとが解放された後、予め設定された期間を経た後に、潤滑油の供給を停止又は締結時よりも供給量を少なくする状態に切り替え動作する。
本発明によれば、クラッチ解放後も駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに潤滑油を供給できるので、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに残留する熱を冷却することができ、冷却した後は、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとの引き摺りトルクを低減することができる。
本発明のクラッチ装置は、例えば自動車の手動変速機(マニュアルトランスミッション:MT)の変速動作をアクチュエータにより自動化した自動MTの湿式摩擦クラッチに用いられる。この湿式摩擦クラッチは、変速中の出力軸トルクが途切れないようにトルク伝達と回転数制御を行う。
以下、本発明の実施例を図1〜図27により説明する。
図1は、本発明に係るクラッチ装置が搭載された変速機構1の一実施例を示したものである。変速機構1は、MTと同様の同期噛み合い式の変速ギア2と、エンジン3の動力を変速ギア2に伝達する発進クラッチ4と、シフト操作を行うためのシフト機構5を駆動するシフトセレクトアクチュエータ6と、発進クラッチ4の締結/解放動作を行う発進クラッチアクチュエータ7と、変速中の駆動力低下を抑えるためにトルク伝達を行うアシストクラッチ機構8と、これらのアクチュエータを制御する制御装置(図示せず)とからなり、変速操作を自動的に行うとともに変速中の出力軸トルクの途切れを無くし、変速ショックを小さく抑えたシステムである。
発進クラッチ4とアシストクラッチ機構8で用いられるクラッチは、上流側から下流側への動力の伝達量を調整する機構であり、動力を伝えない解放状態から、任意の動力を伝達する半締結状態、回転数を完全に一致させる締結状態の作動を行い、自動車をスムーズに走行させるために用いられる。クラッチは駆動側に回転方向に拘束された摩擦ディスクと、被駆動側に回転方向に拘束された摩擦ディスクとを有し、これらの摩擦ディスクどうしに押し付け力を与えて、ディスク間に発生する摩擦力により動力を伝達している。
次に、変速機構1に用いられるアシストクラッチ機構8の実施例について説明する。
図2は、アシストクラッチ機構8の断面図である。アシストクラッチ機構8は、エンジン3からの動力が伝達される入力軸20と、入力軸20に嵌め合わされる入力ハブ21と、次段に動力を伝達する出力ギア22と、摩擦材を両面に貼り付けた駆動側の摩擦ディスクであるクラッチディスク23と、被駆動側の摩擦ディスクであるプレート24と、クラッチディスク23を内径側で支えるクラッチハブ25と、プレート24を外径側で支えるクラッチドラム26と、クラッチディスク23とプレート24からなるクラッチに押し付け力を作用させるために、入力軸20の軸方向に直動運動するクラッチアクチュエータとしてのボールランプ機構27と、ボールランプ機構27の直動運動を押し付け力に変換する荷重ばね28と、ボールランプ機構27の押し付け力を荷重ばね28に伝達するプレッシャプレート29と、クラッチ解放時にプレッシャプレート29をボールランプ機構27側に押し戻すリターンスプリング30と、クラッチに潤滑油を供給する給油口が形成された給油口部材(以下、単に給油口という)31とから構成される。
入力軸20には、入力ハブ21がナット32により固定されている。この入力軸20と入力ハブ21には、回転方向の動きを拘束するように、それぞれの嵌め合い部分にスプライン20a,21aが形成されている。また、入力軸20の内側には軸方向の穴(孔)
33が開けられており、給油口31を挿入できるようにしている。また、給油口31からの潤滑油をクラッチディスク23とプレート24に供給できるように入力軸20の内周から外周に向かって、穴(潤滑油通路としての孔)34が開けられている。
入力ハブ21は、入力軸20の駆動力をクラッチハブ25に伝達する部品であり、入力ハブ21の外周にもスプライン21bが形成されている。
出力ギア22は、入力軸20にスリーブ35を介して回転自在に配置されている。また、出力ギア22の外周には、クラッチドラム26と接続するためのスプライン22aと、次段に動力を伝達するための歯車22bが形成されている。
クラッチディスク23の内周とクラッチハブ25の外周にはそれぞれスプライン23a,25aが形成されており、クラッチディスク23はクラッチハブ25と噛み合うように設置される。クラッチディスク23は、スプライン23a,25aにより、クラッチハブ25に対して回転方向の動きは拘束されるが、軸方向には自在に動くことができる。クラッチディスク23には、クラッチハブ25から入力軸20の動力が伝達される。また、クラッチハブ25には、潤滑油を内側から外側に流すための穴(潤滑油通路としての孔)
25bが設けられている。
プレート24の外周とクラッチドラム26の内周にはそれぞれスプライン24a,26bが形成されており、プレート24はクラッチドラム26と噛み合うように設置される。プレート24は、クラッチドラム26により回転方向の動きは拘束されるが、軸方向には自在に動くことができる。プレート24の動力は、クラッチドラム26に伝達される。また、クラッチドラム26は、プレート24の軸方向への移動のストッパの役目をしており、クラッチドラム26と荷重ばね28の間にクラッチディスク23とプレート24を挟み込み、ボールランプ機構27と荷重ばね28を用いて押し付けることにより伝達トルクを発生させている。
アシストクラッチ機構8は変速機構1内部に設置されるため、クラッチディスク23とプレート24が油に浸されている湿式摩擦クラッチである。このように油中で動作するため摩擦係数が小さく、必要な伝達トルクを得るためにクラッチディスク23とプレート
24を複数枚交互に組み合わせている。
クラッチドラム26の端部にはスプライン26aが形成されており、出力ギア22のスプライン22aと噛み合っている。また、クラッチドラム26の外周部分には、クラッチディスク23とプレート24間に流れる潤滑油を遠心力により排出できるように複数の排出穴(排出孔)44が開けられている。
ボールランプ機構27は、回転運動を直線運動に変換する機構であり、回転ランプ36と、並進ランプ37と、ボール38と、ランプガイド43とからなる。
回転ランプ36と並進ランプ37は、図3に示すように円形に彫られた勾配のついた凹溝39を持つ。回転ランプ36と並進ランプ37は、それぞれの凹溝39が向い合うように設置し、向い合った凹溝39にボール38を配置する。ボール38は、鉄製の玉であり、回転ランプ36と並進ランプ37の凹溝39と同程度の外径である。図3では、凹溝
39が3つあるので、3個のボール38を設置する。
ボールランプ機構27の動作を図4,図5を用いて説明する。図4はボール38を回転ランプ36と並進ランプ37の凹溝39の一番深い位置にある場合を示す図であり、図5は並進ランプ37を固定し、回転ランプ36を回転運動させた場合を示す図である。回転ランプ36を回転運動させた場合、ボール38が凹溝39の中を回転して移動し、凹溝
39の浅い部分へ移動するため回転ランプ36と並進ランプ37は軸方向で互いの距離を開く方向へ移動することとなる。このようにして、ボールランプ機構27は回転運動を直線運動に変換することができる。図6に示すようにボールランプ機構27が最小ストロークの場合は、ボール38が回転ランプ36,並進ランプ37の最も深い溝の位置にあるときである。また、図7に示すようにボールランプ機構27が最大ストロークの場合は、ボール38が回転ランプ36,並進ランプ37の最も浅い溝の位置にあるときである。
回転ランプ36の外周には、中間ギア40,ピニオンギア41を介してモータ42の動力を得られるように歯車が形成されており、モータ42の駆動により回転ランプ36が回転するようにしている。モータ42は図示しないバッテリーや制御器によって印加電力が調整され、図示しない上位のクラッチ制御器によって制御される。モータ42は変速機内部の熱や潤滑油等の影響を受けないようにギアボックス10の外側に設置している。
並進ランプ37の内周には図示しない凸部を有しており、ランプガイド43の図示しない溝に嵌め合わせ、並進ランプ37が入力軸20回りに回転しないようにしている。ランプガイド43の図示しない溝は、並進ランプ37の凸部より若干大きくしており、並進ランプ37が滑らかに動くようにしている。
荷重ばね28は、プレッシャプレート29とクラッチディスク23の間に配置し、ボールランプ機構27の並進ランプ37の位置をクラッチディスク23とプレート24の押し付け力に変換するのに用いる。アシストクラッチ機構8の伝達トルクは、ボールランプ機構27と荷重ばね28による押し付け力に比例して増加する。なお、荷重ばね28は、図2に示すように皿ばねでもよいし、コイルばねでもよく、同様な効果が得られれば他のものであっても構わない。図2では、皿ばねを入力軸20の軸方向に2枚重ねて、荷重ばね28を構成している。
プレッシャプレート29は、並進ランプ37とともにスライド移動するように、プレッシャプレート29の内周が図示しない軸受を介して給油口31の外周に設置するようにしている。また、プレッシャプレート29は荷重ばね28とリターンスプリング30を保持するようにしている。
リターンスプリング30は、クラッチハブ25とプレッシャプレート29の間に設置している。ボールランプ機構27では、回転ランプ36と並進ランプ37間の距離を縮める方向には力を発生することはできないので、リターンスプリング30により与圧を加え、回転ランプ36と並進ランプ37間の距離を縮めるようにしている。なお、リターンスプリング30は、図2に示すように皿ばねでもよいし、コイルばねでもよく、同様な効果が得られれば他のものであっても構わない。図2では、皿ばねを入力軸20の軸方向に4枚重ねて、リターンスプリング30を構成している。
給油口31は、図示しない潤滑油ポンプに接続され、クラッチディスク23とプレート24を冷却するために潤滑油がクラッチ部に噴き出すようにしている。クラッチディスク23とプレート24は、クラッチの締結/解放動作により発熱するが、潤滑油で冷却するようにしている。
クラッチディスク23とプレート24の回転方向は、それぞれクラッチハブ25,クラッチドラム26により拘束されるが、軸方向には移動可能である。したがって、ボールランプ機構27,荷重ばね28により軸方向に力が作用した場合には、クラッチディスク
23とプレート24が軸方向に移動するので、クラッチディスク23とプレート24の締結力を変えることができる。
次にアシストクラッチ機構8の動作について説明する。
まず、ボールランプ機構27が最小ストロークの位置の場合、プレッシャプレート29とクラッチドラム26間の距離が最も大きい状態であり、クラッチ解放の状態である。このとき、荷重ばね28は自然長に戻っており、クラッチディスク23,プレート24へは、押し付け力が作用していない。したがって、入力軸20に伝達された動力は、入力ハブ21,クラッチハブ25を介してクラッチディスク23に伝達されるが、クラッチディスク23からプレート24へは動力が伝達されないので、入力軸20の動力は出力ギア22に伝達されない。なお、図2に示すようにボールランプ機構27が最小ストロークの時に荷重ばね28とプレッシャプレート29の間に所定の隙間を設けるようにしている。この隙間により、ボールランプ機構27と荷重ばね28によってクラッチディスク23とプレート24に押し付け力が作用しないクラッチ解放状態を作ることができる。
クラッチ解放状態からクラッチ締結状態に動作させる場合には、モータ42を駆動し、ピニオンギア41,中間ギア40を介して回転ランプ36が駆動される。回転ランプ36が回転すると、回転ランプ36とボール38と並進ランプ37により、並進ランプ37は軸方向に移動し、プレッシャプレート29とクラッチドラム26間の距離が小さくなる。そして、荷重ばね28が軸方向にたわみ、クラッチディスク23とプレート24に押し付け力が作用する。この押し付け力によりクラッチディスク23とプレート24との間に摩擦による伝達トルクが生じる。したがって、入力軸20に伝達された動力は、クラッチハブ25,クラッチディスク23,プレート24,クラッチドラム26,出力ギア22の順で伝えられる。なお、ボールランプ機構27のストロークの変化により荷重ばね28による押し付け力は変化するので、クラッチディスク23とプレート24との間の伝達トルクは変化する。
クラッチ締結状態からクラッチ解放状態に動作させる場合には、モータ42を逆回転に駆動し、ピニオンギア41,中間ギア40を介して回転ランプ36が逆回転する。回転ランプ36が逆回転されると、回転ランプ36とボール38と並進ランプ37により、並進ランプ37は軸方向に移動し、プレッシャプレート29とクラッチドラム26との間の距離が大きくなる。並進ランプ37の移動とともに、クラッチの押し付け力は減少し、クラッチディスク23とプレート24との間の伝達トルクも低下する。さらにモータ42を逆回転に駆動し続けると、クラッチディスク23とプレート24への押し付け力がなくなり、クラッチディスク23とプレート24の間の動力伝達が無くなる。このとき、プレッシャプレート29はリターンスプリング30によりクラッチディスク23,プレート24から離れる方向へ力を受けているので、プレッシャプレート29と並進ランプ37は回転ランプ36の方向に移動することができる。
次にクラッチディスク23とプレート24を冷却するための潤滑油の伝達経路について図8を用いて説明する。上記のようにアシストクラッチ機構8は締結/解放動作の際に発熱するので、クラッチを冷却するために潤滑油を循環させている。潤滑油がアシストクラッチ機構8内で図8に示す実線矢印のように流れることにより、クラッチディスク23およびプレート24を冷却している。図示しない潤滑油ポンプから供給された潤滑油は、給油口31から入力軸20の穴を通り、スリーブ35,クラッチハブ25の穴を通り、クラッチディスク23,プレート24間に供給される。そして、クラッチドラム26の排出穴44から潤滑油を排出し、ギアボックス10の図示しない排出口から図示しない潤滑油ポンプに潤滑油が戻される。
以上のように、アシストクラッチ機構8内に潤滑油は循環される。そして、潤滑油はクラッチ冷却に必要である。しかし、クラッチの解放状態において潤滑油が供給された場合には、潤滑油のせん断力により引き摺りトルクが発生する。その結果、引き摺りトルクの損失分に対応してエンジン3の燃費が低下する可能性がある。
引き摺りトルクを低減するために、クラッチ解放時に潤滑油を停止することが考えられるが、クラッチ解放と同時に潤滑油の供給を停止するのは、クラッチが十分に冷却されていないことがある。特に本発明の実施例のように自動MTの変速機構1では、クラッチ締結からクラッチ解放させる際にクラッチを滑らせる半締結状態を経過する。また、自動
MTではクラッチの数が自動変速機(オートマチックトランスミッション:AT)と比べると少なく、変速操作に使用されるクラッチは1つまたは2つである。変速する際(例えば、1速→2速,2速→3速)には、クラッチの締結/解放を繰り返すので、自動MTのクラッチはATと比べてクラッチが発熱しやすい。そのため、クラッチ冷却の点から、クラッチ解放後もしばらくの間、潤滑油の供給を続けることが好ましい。
潤滑油の供給を制御するために、ギアボックス10の外部に制御弁等を設ける方法が考えられるが、コストアップとなるため好ましくない。
そこで、本発明のクラッチ装置では、クラッチ解放直後は、クラッチ冷却のためクラッチディスク23とプレート24に潤滑油を供給し、クラッチ解放後所定時間経過した場合には、引き摺りトルク低減のためクラッチディスク23とプレート24に潤滑油を供給しないか、供給量を少なくすることにした。また、クラッチ解放時のクラッチディスク23とプレート24への潤滑油量を制御するために、クラッチアクチュエータとしてのボールランプ機構27に開閉機構45を設けることにし、潤滑油量制御のために特別なアクチュエータを設置しないことにした。
次に、本発明の開閉機構45を用いた潤滑油量制御の概要を説明する。図9は、ボールランプ機構27のストロークとボールランプ機構27による押圧力の関係を示した図である。この押圧力によりクラッチディスク23とプレート24の締結力が変化し、入力軸
20から出力ギア22への伝達トルクが変化する。ストロークが0からL1までは押圧力が0であり、クラッチ解放の状態である。ストロークがL1より大きくなると、クラッチの締結が始まり、ストロークがL2になるとクラッチ締結力が最大となる。また、ストロークがL1からL2まではクラッチ締結の状態である。このようにボールランプ機構27は、所定の伝達トルクを得るためにクラッチディスク23とプレート24の押圧力を求め、その押圧力にあったストローク制御(位置制御)を行う。ボールランプ機構27のストロークは、例えばモータ42の駆動軸に設置したエンコーダを用いてモータ42の回転数からストロークを求めるが、同様の効果が得られれば他の方法であっても構わない。
以上のように、クラッチ解放の状態では、ボールランプ機構27によりクラッチディスク23とプレート24に押圧力が作用していない。逆にクラッチ締結の状態では、ボールランプ機構27によりクラッチディスク23とプレート24に押圧力が作用している。
図9に示すようにストロークが0からL1の範囲をクラッチ解放の状態としているので、このストロークが0からL1の中間点であるL0の前後で「給油口閉」、「給油口開」と開閉機構45を切り替えることにしている。すなわち、ストロークが0からL0までを「給油口閉」の状態であり、L0からL1までが「給油口開」の状態である。なお、「給油口開」の状態とは、開閉機構45により潤滑油が給油口31の吐出口46より流れ出ている状態であり、「給油口閉」の状態とは開閉機構45により潤滑油が給油口31の吐出口46より流れ出ていないか、少なくなっている状態である。
図9から、クラッチアクチュエータであるボールランプ機構27は、クラッチディスク23(駆動側の摩擦ディスク)とプレート24(被駆動側の摩擦ディスク)とに押し付け力を作用させない状態で移動可能な範囲を有することが分かる。そして、この範囲内に、クラッチディスク23とプレート24とを締結した状態で、クラッチディスク23とプレート24とに供給する潤滑油の供給量を維持して移動する範囲と、この供給量を低減又は停止した状態で移動する範囲とを有する。また、供給量を維持する範囲はクラッチディスク23とプレート24とを締結する範囲に隣接している。
次にアシストクラッチ機構8に潤滑油量を制御する開閉機構45を設置した例を説明する。図10はクラッチ締結状態で開閉機構45が閉じているときの給油口31部分を示す断面図であり、図11は図10の円部を拡大した図である。図12はクラッチ解放状態で開閉機構45が閉じているときの給油口31部分を示す断面図であり、図13は図12の円部を拡大した図である。図14はクラッチ解放状態で開閉機構45が開いているときの給油口31部分を示す断面図であり、図15は図14の円部を拡大した図である。
給油口31の開閉機構45は、給油口31とランプガイド43と並進ランプ37により構成する。給油口31とランプガイド43には図10に示すように給油口31の中心軸に対して垂直に同じ大きさの開閉口47を設けている。この開閉口47は、給油口31とランプガイド43を貫通している。開閉口47のランプガイド43側が開いている場合には、図14に示す実線矢印のように給油口31に流れる潤滑油がこの開閉口47から流れ出すことになる。この開閉口47の面積は、給油口31の吐出口46の面積より大きくしているので、吐出口46と開閉口47が開いていた場合には、開閉口47からの潤滑油流出量が吐出口46の潤滑油流出量より多くなるようにしている。これにより、クラッチディスク23とプレート24への潤滑油量が少なくなるので、引き摺りトルクを低減することができる。この状態は、「給油口閉」の状態である。
また、開閉口47のランプガイド43側が閉じている場合には、潤滑油が開閉口47から流れ出ることなく、図10に示す実線矢印のように給油口31の吐出口46から潤滑油は流れ出る。これにより、クラッチディスク23とプレート24へ潤滑油が流れるので、クラッチを冷却することができる。この状態は、「給油口開」の状態である。
並進ランプ37は、クラッチ解放/締結の際にスライド移動するので、この並進ランプ37により開閉口47を開閉することにしている。
図10,図11は、ボールランプ機構27のストロークが図9のL2の位置にある場合である。ボールランプ機構27が最大ストロークの場合であり、クラッチ締結している状態である。このとき並進ランプ37が開閉口47を塞いでいるので、潤滑油がこの開閉口47から流れ出さず、給油口31の吐出口46から潤滑油が流れるので、クラッチディスク23とプレート24に潤滑油を供給できる。なお、ボールランプ機構27のストロークが図9のL1からL2のとき、上記のようにクラッチが締結している状態で開閉口47が閉じている。
図12,図13は、ボールランプ機構27のストロークが図9のL0からL1の間にある場合である。これは、クラッチが解放している状態である。このとき並進ランプ37が開閉口47を塞いでいるので、潤滑油がこの開閉口47から流れ出さず、給油口31の吐出口46から潤滑油が流れるので、クラッチディスク23とプレート24に潤滑油を供給できる。
図14,図15は、ボールランプ機構27のストロークが図9の0の位置にある場合である。これは、ボールランプ機構27が最小ストロークの場合であり、クラッチが解放している状態である。このとき並進ランプ37が開閉口47を開放しているので、潤滑油がこの開閉口47から流れ出る。そのため、給油口31の吐出口46からの潤滑油流出量が減るので、クラッチディスク23とプレート24間の潤滑油が減り引き摺りトルクを低減できる。なお、ボールランプ機構27のストロークが図9の0からL0のとき、上記のようにクラッチが解放している状態で開閉口47が開いている。
給油口31とランプガイド43に開けられた開閉口47の位置は、上記のように並進ランプ37の移動に伴いクラッチの締結/解放状態と関連付けて開閉口47を開閉するように設定している。
上述したように、開閉機構45は、給油口31の吐出口46より流れ出しクラッチディスク23とプレート24とが設けられた伝達トルク生成部に供給される潤滑油の量を変える機構である。この意味において、開閉機構45は潤滑油供給量変更機構である。また、開閉口47は、給油口31の吐出口46から伝達トルク生成部に流れるべき潤滑油の少なくとも一部を、伝達トルク生成部に流すことなく潤滑油ポンプに戻すバイパス通路を構成している。潤滑油供給量変更機構45は、このバイパス通路を開閉して、給油口31の吐出口46から伝達トルク生成部に流れる潤滑油の量を変えている。
次にアシストクラッチ機構8に潤滑油量を制御する開閉機構45を設置した他の例を説明する。図16はクラッチ締結状態で開閉機構45が開いているときの給油口31部分を示す断面図であり、図17は図16の円部を拡大した図である。図18はクラッチ解放状態で開閉機構45が開いているときの給油口31部分を示す断面図であり、図19は図
18の円部を拡大した図である。図20はクラッチ解放状態で開閉機構45が閉じているときの給油口31部分を示す断面図であり、図21は図20の円部を拡大した図である。
給油口31の開閉機構45は、給油口31と給油ブロック48と回転ランプ36により構成する。給油口31には、図16に示すようにL字状の潤滑油の通路を設けている。給油ブロック48は、図示しない潤滑油ポンプと給油口31の間に配置し、図示しない潤滑油ポンプからの潤滑油を給油口31に供給するようにしている。給油ブロック48に設けた潤滑油の通路は、給油口31の中心軸より外側に設置し、給油口31のL字状の通路に潤滑油が流れるようにしている。回転ランプ36には、図22に示すように、給油ブロック48の潤滑油通路と給油口31の潤滑油通路とを連通又は遮断する給油口開閉孔51が開けられている。回転ランプ36が回転することにより、図23,図24,図25に示すように給油ブロック48の潤滑油通路は開閉することができる。図23,図24に示すように潤滑油通路が開いている場合には、潤滑油が給油口31から流れ出し、クラッチディスク23とプレート24間に潤滑油を供給することができるので、クラッチを冷却することができる。この状態は、「給油口開」の状態である。また、図25に示すように潤滑油通路が閉じている場合には、潤滑油が給油口31から流れ出さず、クラッチディスク23とプレート24間に潤滑油は供給されないので、引き摺りトルクを低減することができる。この状態は、「給油口閉」の状態である。
回転ランプ36は、クラッチ解放/締結の際に回転するので、この回転ランプ36の給油口開閉孔51により潤滑油の通路を開閉することにしている。
図16,図17は、ボールランプ機構27のストロークが図9のL2の位置にある場合である。ボールランプ機構27が最大ストロークの場合であり、クラッチ締結している状態である。このとき図23に示すように回転ランプ36は給油ブロック48の潤滑油通路を開放しており、潤滑油が給油口31の吐出口46から流れるので、クラッチディスク
23とプレート24に潤滑油を供給できる。なお、ボールランプ機構27のストロークが図9のL1からL2のとき、上記のようにクラッチが締結している状態で給油ブロック
48の潤滑油通路を開放している。
図18,図19は、ボールランプ機構27のストロークが図9のL0からL1の間にある場合である。これは、クラッチが解放している状態である。このとき図24に示すように回転ランプ36は給油ブロック48の潤滑油通路を開放しており、潤滑油が給油口31の吐出口46から流れるので、クラッチディスク23とプレート24に潤滑油を供給できる。
図20,図21は、ボールランプ機構27のストロークが図9の0の位置にある場合である。これは、ボールランプ機構27が最小ストロークの場合であり、クラッチが解放している状態である。このとき図25に示すように回転ランプ36は給油ブロック48の潤滑油通路を塞いでおり、潤滑油が給油口31の吐出口46から流れないので、クラッチディスク23とプレート24に潤滑油が供給されず、引き摺りトルクを低減できる。なお、ボールランプ機構27のストロークが図9の0からL0のとき、上記のようにクラッチが解放している状態で給油ブロック48の潤滑油通路を塞いでいる。
回転ランプ36に設けられた給油口開閉孔51は、上記のように回転ランプ36の駆動に伴いクラッチの締結/解放状態と関連付けて給油ブロック48の潤滑油通路を開閉できるように設定している。
図16〜図25の構成では、開閉機構45は伝達トルク生成部への潤滑油通路を開閉する。漏れを無視すれば、開閉機構45は、閉時に、伝達トルク生成部への潤滑油通路を遮断する。
次にクラッチ締結から解放時のボールランプ機構27の動作を図26に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップ101において、クラッチ締結状態から解放状態に変更する指令があったか否か判断する。クラッチを締結状態から解放状態にする指令がなかった場合には、ステップ101のままであり、クラッチを締結状態から解放状態にする指令があった場合には、ステップ102においてボールランプ機構27をクラッチ解放する方向(ボールランプ機構27のストロークが小さくなる方向)に駆動する。
次にステップ103において、ボールランプ機構27のストロークが所定位置Aに到達したか判断する。所定位置Aは、図9に示すボールランプ機構27のストロークでL0からL1の間の位置を設定している。ボールランプ機構27のストロークが所定位置Aに到達していない場合には、ステップ102に戻り、ボールランプ機構27を駆動し続ける。ボールランプ機構27のストロークが所定位置Aに到達した場合には、ステップ104でボールランプ機構27を停止する。このとき、クラッチは解放状態であり、「給油口開」の状態である。
次にステップ105において、ボールランプ機構27の停止時間が所定時間T経過したか判断する。所定時間Tは、クラッチを締結状態から解放状態に駆動した後、クラッチ冷却に必要な時間であり、あらかじめ求められたものである。ボールランプ機構27の停止時間が所定時間Tを経過していない場合には、ステップ104に戻りボールランプ機構
27の停止状態を保つ。ボールランプ機構27の停止時間が所定時間Tを経過した場合には、ステップ106においてボールランプ機構27をクラッチ解放する方向(ボールランプ機構27のストロークが小さくなる方向)に駆動する。本実施例では、所定時間Tをタイマで計測するものとする。
次にステップ107において、ボールランプ機構27のストロークが所定位置Bに到達したか判断する。所定位置Bは、図9に示すボールランプ機構27のストロークで0からL0の間の位置を設定している。ボールランプ機構27のストロークが所定位置Bに到達していない場合には、ステップ106に戻り、ボールランプ機構27を駆動し続ける。ボールランプ機構27のストロークが所定位置Bに到達した場合には、ステップ108でボールランプ機構27を停止する。このとき、クラッチは解放状態であり、「給油口閉」の状態である。
なお、ステップ105の所定時間Tは、潤滑油の温度やアシストクラッチ機構8の動作頻度によって変更するようにしている。潤滑油の温度が高かったり、アシストクラッチ機構8の動作頻度が多かったりした場合には、この時間Tを大きくするようにしている。
また、ステップ105においてクラッチが冷却できたか否かは所定時間Tにより判断したが、直接温度センサにより潤滑油温度を計測し、所定温度以下になった場合にはステップ106に移るようにしてもよい。
以上のようにして、クラッチ解放後、所定時間T経過後に「給油口開」の状態から「給油口閉」の状態としている。したがって、クラッチ解放直後はクラッチディスク23とプレート24間に潤滑油を供給するので、クラッチを冷却できる。クラッチ解放から所定時間T経過後は、クラッチディスク23とプレート24間の潤滑油の量を少なくする、あるいは潤滑油を供給しないので、引き摺りトルクを低減できる。
ここで、本実施例では、クラッチディスク23とプレート24に押し付け力を作用させるクラッチアクチュエータとしてボールランプ機構27を用いたが、クラッチディスク
23とプレート24に押し付け力を作用できるものであれば、ボールねじ,すべりねじ,リンク機構,油圧アクチュエータ等の他の構成であっても良い。
上述したように、開閉機構45は、クラッチディスク23とプレート24とが接触して伝達トルクを発生する伝達トルク発生部への潤滑油通路を連通/遮断する構成であってもよく、また伝達トルク発生部への潤滑油供給量を変更する構成であっても良い。
また、開閉機構45の開閉を所定時間T経過後に切り替えるために、タイマで時間で管理するほか、開閉口47を開閉するように構成した並進ランプ37の移動速度や給油口開閉孔51を設けた回転ランプ36の回転速度で管理しても良い。この場合、少なくともクラッチ解放後に並進ランプ37の移動速度や回転ランプ36の回転速度を制御すると良い。
クラッチが解放された状態とは、図9に示したように、ボールランプ機構27によるクラッチディスク23とプレート24への押し付け力が解除された状態である。上述したように、本発明に係る実施例によれば、クラッチの解放時点から明確な期間を置いて、開閉機構45の切り替えが行われる。すなわち、潤滑油供給量変更機構による潤滑油の供給量の切り替え(低減)が行われる。
上記の「明確な期間」とは、ゼロではなく、実質的な時間を有していることを意味する。「実質的な時間」とは、例えばこの時間内において、クラッチディスク23やプレート24の温度の減少が認められることを意味する。
また、「明確な期間」は予め設定されることになるが、上述したように、タイマによって計測管理される時間であっても良いし、移動体がある位置から他の位置に移動する時間又はそのときの距離によって設定されるような物理量であっても良い。また、「明確な期間」は温度がある温度から他の温度に変化する時間又はそのときの温度差によって設定されるような物理量であっても良い。
また、上記ではトルクアシスト機構を用いた自動MTに本発明のクラッチ装置を搭載した例を説明したが、図27に示すデュアルクラッチ方式の自動MTにも適用できる。
図27は、本発明のクラッチ装置を搭載できるデュアルクラッチトランスミッション
(以下、DCTと略す)の断面を示した図である。図7ではDCT入力軸201にDCTドラム207がスプラインで軸方向に移動自由かつ回転方向を拘束されて連結され、DCTドラム207はDCT中間プレート223に保持されている。DCTドラム207にはA系統の第一の摩擦ディスク205AとA系統の第二の摩擦ディスク206Aからならクラッチパックが保持されており、クラッチパックに与えられる押し付け力に応じたトルクが伝達されてA系統のハブ204Aを介してA系統のクラッチ出力軸208Aにトルクを伝える。また、DCTドラム207にはB系統の第一の摩擦ディスク205BとB系統の第二の摩擦ディスク206Bからなるクラッチパックが保持されており、クラッチパックに与えられる押し付け力に応じたトルクが伝達されてB系統のクラッチ出力軸208Bにトルクを伝える。クラッチパックの一端はDCTドラム207に拘束され、他の端はアクチュエータの作動部に接する構造となっており、クラッチパックはアクチュエータとDCTドラム207の間ではさみこまれて押し付け力を得る構造である。DCTはA系統のクラッチ出力軸208Aに伝達される回転トルクとB系統のクラッチ出力軸208Bに伝達される回転トルクを内部のギヤを用いて変速し、図示しない車両の走行状態に適した速度およびトルクへと変換して出力する。
クラッチ機構の動作は、上記したアシストクラッチ機構8の動作と同様でありボールランプ機構を用いて図示しない制御器およびモータにより制御される。クラッチ機構がトルクを伝達する際、DCT入力軸201とDCTドラム207はスプラインで連結されているので、DCT入力軸201は軸方向に移動自由となり、DCT入力軸201が軸方向に変動してもクラッチのDCTドラム207に影響は出ず、クラッチ機構の伝達トルクの変動を防止できる。結果として自動車の駆動トルクの変動を防止し、乗り心地の良い自動車を構成できるとすることができる。
本発明に係る実施例によれば、駆動側の摩擦ディスク(クラッチディスク23)と被駆動側の摩擦ディスク(プレート24)とを完全に解放した状態、すなわちクラッチアクチュエータによって駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに作用させる押し付け力を解除した状態でも、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを締結した状態と同じように、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとの締結部に潤滑油を供給できるように構成することが可能である。従って、何らかの理由で、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを完全に解放した状態において、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとの締結部に潤滑油の供給が必要になった場合には、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを完全に解放した状態のまま、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとの締結部に潤滑油を供給することができる。
本発明に係る実施例によれば、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを完全に解放した状態において、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとの締結部に供給する潤滑油の量(流量)を締結時と変えない第1の状態と、締結時に対して減少又は潤滑油の供給を停止する第2の状態とが存在する。従って、駆動側の摩擦ディスクや被駆動側の摩擦ディスクの発熱状態(温度)をセンサで検知しながら、発熱量が多い場合又は温度が高い場合に、クラッチを開放状態にしたまま第1の状態を実現して、潤滑油を駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに供給するようにしても良い。また、所定時間Tを変化させて、潤滑油を供給する時間を変化させても良い。
上述の実施例によれば、開閉機構45をクラッチアクチュエータであるボールランプ機構27で駆動するようにしたので、部品点数の増加を抑えることができ、コストアップにならない。
本発明のクラッチ装置が搭載された変速機構を示した図。 本発明のクラッチ装置の一実施例であるアシストクラッチ機構の断面図。 回転ランプまたは並進ランプを説明する図。 ボールを回転ランプと並進ランプの凹溝の一番深い位置にある場合を示す図。 並進ランプを固定し、回転ランプを回転運動させた場合を示す図。 ボールランプ機構が最小ストロークの場合を示した図。 ボールランプ機構が最大ストロークの場合を示した図。 クラッチディスクとプレートを冷却するための潤滑油の伝達経路を説明する図。 ボールランプ機構のストロークと押圧力の関係を示した図。 クラッチ締結状態で開閉機構が閉じているときの給油口部分を示す断面図。 図10の円部を拡大した図。 クラッチ解放状態で開閉機構が閉じているときの給油口部分を示す断面図。 図12の円部を拡大した図。 クラッチ解放状態で開閉機構が開いているときの給油口部分を示す断面図。 図14の円部を拡大した図。 クラッチ締結状態で別なる開閉機構が開いているときの給油口部分を示す断面図。 図16の円部を拡大した図。 クラッチ解放状態で別なる開閉機構が開いているときの給油口部分を示す断面図。 図18の円部を拡大した図。 クラッチ解放状態で別なる開閉機構が閉じているときの給油口部分を示す断面図。 図20の円部を拡大した図。 別なる開閉機構の回転ランプの給油口開閉穴を説明する図。 別なる開閉機構の回転ランプによって潤滑油通路の状態を示す図。 別なる開閉機構の回転ランプによって潤滑油通路の別なる状態を示す図。 別なる開閉機構の回転ランプによって潤滑油通路のさらに別なる状態を示す図。 本発明のクラッチ装置においてクラッチ締結から解放時のボールランプ機構の動作を示すフローチャート。 本発明のクラッチ装置を搭載できるデュアルクラッチトランスミッションの断面を示した図。
符号の説明
1…変速機構、2…変速ギア、3…エンジン、4…発進クラッチ、5…シフト機構、6…シフトセレクトアクチュエータ、7…発進クラッチアクチュエータ、8…アシストクラッチ機構、9…制御装置、10…ギアボックス、11…アクスル、12…タイヤ、20…入力軸、21…入力ハブ、22…出力ギア、23…クラッチディスク、24…プレート、25…クラッチハブ、26…クラッチドラム、27…ボールランプ機構、28…荷重ばね、29…プレッシャプレート、30…リターンスプリング、31…給油口、32…ナット、33,34,52…穴、35…スリーブ、36…回転ランプ、37…並進ランプ、38…ボール、39…凹溝、40…中間ギア、41…ピニオンギア、42…モータ、43…ランプガイド、44…排出穴、45…開閉機構、46…吐出口、47…開閉口、48…給油ブロック、49…通路、50…通路、51…給油口開閉孔、201…DCT入力軸、204A…A系統のハブ、205A…A系統の第一の摩擦ディスク、205B…B系統の第一の摩擦ディスク、206A…A系統の第二の摩擦ディスク、206B…B系統の第二の摩擦ディスク、207…DCTドラム、208A…A系統のクラッチ出力軸、208B…B系統のクラッチ出力軸、223…DCT中間プレート。

Claims (7)

  1. 駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを締結した状態では、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに潤滑油を供給し、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを解放した状態では、潤滑油の供給を停止又は締結時よりも供給量を少なくする潤滑油供給量変更機構を備えた湿式摩擦クラッチ装置において、
    前記潤滑油供給量変更機構は、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとが解放された後、予め設定された期間を経た後に、潤滑油の供給を停止又は締結時よりも供給量を少なくする状態に切り替え動作することを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。
  2. 請求項1に記載の湿式摩擦クラッチ装置において、前記期間はタイマによって計測されることを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。
  3. 請求項1に記載の湿式摩擦クラッチ装置において、前記期間は温度センサによって計測されることを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。
  4. 請求項1に記載の湿式摩擦クラッチ装置において、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに押し付け力を作用させるクラッチアクチュエータを備え、前記クラッチアクチュエータは駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに押し付け力を作用させない状態で移動可能な範囲を有し、前記範囲内に、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを締結した状態で駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに供給する潤滑油の供給量を維持する範囲と、前記供給量を低減又は停止する範囲とを有し、前記供給量を維持する範囲は駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを締結する範囲に隣接することを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。
  5. 請求項1に記載の湿式摩擦クラッチ装置において、前記期間は時間によって設定され、前記時間を潤滑油の温度又はクラッチ装置の動作頻度によって変更するようにしたことを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。
  6. 請求項1に記載の湿式摩擦クラッチ装置において、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに流れるべき潤滑油の少なくとも一部を、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに流すことなく潤滑油を供給する潤滑油ポンプに戻すバイパス通路を有し、前記潤滑油供給量変更機構は前記バイパス通路を開閉することにより駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに供給する潤滑油の供給量を変えることを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。
  7. 請求項1に記載の湿式摩擦クラッチ装置において、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとを完全に解放した状態で、駆動側の摩擦ディスクと被駆動側の摩擦ディスクとに供給する潤滑油の供給量を締結時と変えない第1の状態と、締結時に対して供給量を低減又は停止する第2の状態とを有することを特徴とする湿式摩擦クラッチ装置。




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