JP3643134B2 - インスタント紅茶の製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は冷水可溶性のインスタント紅茶の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
紅茶抽出物、特にインスタント紅茶は環境温度で混濁飲料を形成することが知られる。混濁は「茶クリーム」として既知のカフェインとポリフェノール間の複合体の沈澱により生ずる。このクリームは冷水に不溶であり、紅茶抽出物のある付加的処理は冷水可溶性にするため通常必要である。ＥＰ２０１０００号明細書は冷水可溶性のインスタント紅茶の製造方法を記載する。この方法は紅茶を抽出し、別に緑茶を抽出し、得た２抽出物を混合し、濃縮し、蒸発乾燥する。他方、この方法では第１紅茶抽出物に含まれる茶クリームの大部分は冷却沈澱により実際にその抽出物内で分離される。この方法の不利は経済的および工業的の双方で許容しえない２回の抽出を含むことであり、得られるインスタント茶の価格をさらに増大させることになるからである。
【０００３】
本発明により提示された課題は、茶クリームにより生ずる問題を１回の抽出を行なうことにより解決する方法を供することであった。緑茶と混合した紅茶を直接抽出することにより、もはや上記の意味の茶クリームは生ぜず、従って茶クリームを除去する付加的処理工程を供する必要性はもはや存在しない。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は冷水可溶性のインスタント紅茶の製造方法に関する。この方法では紅茶および緑茶の混合物を１〜２大気圧下に熱水により共−抽出し、得た抽出物を濃縮し、次いで乾燥して冷水可溶性の茶粉末を得る。
【０００５】
科学的理論に拘束されるものではないが、緑茶と一緒の抽出は紅茶に含まれるポリフェノールからカフェインを解複合化できるので緑茶のポリフェノールと別の複合体を形成し、こうして形成した複合体は冷水可溶性であり、従って他の処理は必要なく、冷水にはっきり溶解するインスタント粉末が直接得られると思われる。緑茶および紅茶は４：１〜２：１の範囲のある重量比で混合しなければならないことが分かった。緑茶の添加が多すぎる場合、紅茶の特徴的色調は低減するが、一方緑茶の添加が少なすぎる場合、緑茶から抽出される不十分な量のポリフェノールが紅茶のクリーム特徴の形成を回避する。
【０００６】
本発明に関し、「緑茶」とは茶灌木Ｃａｍｅｌｌｉａ ｓｉｎｅｎｓｉｓから得た物質、例えば新しく摘んだ茶葉、摘んだ直後に乾燥する生鮮緑茶葉、乾燥前に熱処理して酵素を失活させた生鮮緑茶葉およびこれらの葉の水性抽出物を指す。茶は紅茶にほとんど発酵変換を受けないと解すべきである。
【０００７】
本記載では、紅茶は緑茶の酵素酸化生成物である。
【０００８】
抽出に使用する熱水は必要な温度に予熱した水、または蒸気の直接注入により得た水でよい。水の温度は９０〜１３０℃、好ましくは１１０〜１３０℃、一層好ましくは１２０〜１２５℃である。
【０００９】
水の使用量は茶１部に対し２〜２５重量部、好ましくは５〜１２重量部である。抽出時間は３０分までがよく、２〜３０分が好ましい。
【００１０】
茶葉はパーコレーションまたは向流で茶葉の粒子が抽出物に入らないように濾過系を装着した１個以上の小室で茶葉を抽出する。濾過系を有する場合も、抽出物は濃縮前に遠心分離して茶から微細粒子を除去する。
【００１１】
熱茶抽出物の濃縮は抽出物が乾燥系に到達する時までに一層高い乾物含量を有するように真空で行なう。抽出物は１０〜３０％、好ましくは１５〜２５重量％の乾物含量に濃縮する。
濃縮抽出物は噴霧乾燥または凍結乾燥により乾燥する。
【００１２】
本発明の方法は通常１〜２大気圧下に行なう。その理由はより高圧下に行なう場合、不必要な生成物が抽出物に得られるからである。
【００１３】
本発明方法は１工程で行なうことができる。しかし、上記方法は新鮮量の水により反復する場合、収量は４０％に増加することが分かった。この場合、第１抽出は上記條件下で行ない、別の抽出は同じ條件下で新鮮水により行ない、２つの抽出物を併せ、濃縮し、乾燥する。抽出用水は有利には脱イオン水である。
【００１４】
本発明方法により冷水に完全に溶解する紅茶粉末が得られ、水により再構成して得た飲料はすぐれた安定性および官能性を有する。
【００１５】
本発明方法は次例により説明する。
例１
２００ｇの緑茶および１００ｇの紅茶の混合物の３００ｇの葉を抽出小室中に導入する。小室は蓋をして閉じ、その後４５００ｇの新鮮脱イオン水を小室に導入し、ポンプで閉鎖回路を循環させる。水は蒸気注入系により４５秒で１２０℃の温度に加熱する。背圧バルブは２バール圧を系に保証する。水は１５分間循環し、抽出物は連続再循環する。
１５分後、ポンプを停止し、２０００ｇの新鮮脱イオン水を導入して一部消費した葉を洗浄する。
抽出物はこの新鮮洗浄水と併せ、２０％の乾物含量に濃縮する。次に濃縮物は噴霧乾燥して粉末を形成し、これは濁らずに冷水に完全に可溶性である。得た収量は３８％で、すなわち１１４ｇのインスタント粉末を得る。
【００１６】
例２
手順は例１記載と同じであるが、第２抽出は４５００ｇの新鮮脱イオン水により上記例の第１抽出工程と同じ條件下で行なう。２抽出物は濃縮し、噴霧乾燥する。４０％の収量を得る。
【００１７】
例３
６０ｇの緑茶および２０ｇの紅茶の混合物を使用する。この混合物は抽出小室中に導入し、そこで第１抽出は１．５バール圧下で１５分間、１１０℃に加熱した１２００ｇの脱イオン水により行なう。
次に第２抽出は第１抽出と同じ條件下で１２００ｇの水により行なう。
２抽出物は併せ、濃縮し、噴霧乾燥する。
冷水に完全に可溶性の茶粉末を４０％の収量で得る。

Claims (6)

1. 紅茶と緑茶の葉の４：１〜２：１の重量比の混合物を１〜２大気圧下で熱水により共抽出し、得た抽出液を濃縮し、ついで乾燥して、冷水可溶性茶粉末を得ることを特徴とする、冷水可溶性のインスタント紅茶の製造方法。
2. 緑茶と紅茶の混合物は９０〜１３０℃の温度で抽出する、請求項１記載の方法。
3. 抽出は２〜３０分間行なう、請求項１または２に記載の方法。
4. 茶混合物は茶１部に対し２〜２５部の水により抽出する、請求項１から３のいずれか１項に記載の方法。
5. 抽出物は１０〜３０％の乾物含量に濃縮する、請求項１から４のいずれか１項に記載の方法。
6. 紅茶および緑茶の消費した葉を抽出して、得た２抽出液を濃縮する、請求項１から５のいずれか１項に記載の方法。