JP3629795B2 - アニオン交換体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアニオン交換体に関するものである。本発明のアニオン交換体は、アニオン交換体として、例えば、イオン交換樹脂、イオン交換膜、イオン交換繊維等に使用される。また、低温から高温の条件下で使用できるアニオン交換体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
強塩基性アニオン交換樹脂としては交換基として、トリメチルアンモニウム基を有するI型アニオン交換樹脂、及びアニオン交換基としてジメチルエタノールアンモニウム基を有するII型アニオン交換樹脂が主に使用されている。I型樹脂に比べ、II型アニオン交換樹脂は再生効率に優れているため、多くの分野で使用されている。しかしながら、II型アニオン交換樹脂は耐熱性に劣るため、使用温度の上限は40℃であった。この原因は、ベンゼン環とイオン交換基の正電荷が近接しているため、ベンジル位の水素の酸性度が高くなりアニオン交換基が脱離し易くなったと推定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
再生効率に優れ、耐熱性に優れ、樹脂から有機物の溶出が少ないアニオン交換体が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を克服するため検討を行った結果、本発明に達した。即ち、本発明は架橋性アニオン交換体であって、下記一般式(I)
【0005】
【化4】
【0006】
(一般式(I)中、Aは炭素数3〜6の直鎖状、環状又は分岐状アルキレン基、又は炭素数5〜7のアルコキシメチレン基を表わし、Xはアンモニウム塩に配位した対イオンを示す。)で表わされる繰り返し単位を構成要素として含有することを特徴とするアニオン交換体を、請求項1において要旨としている。
請求項2において、架橋性アニオン交換体であって、下記一般式(II)
【0007】
【化5】
【0008】
(一般式(II)中、Aは炭素数3〜6の直鎖状、環状又は分岐状アルキレン基、又は炭素数5〜7のアルコキシメチレン基を表わし、Xはアンモニウム塩に配位した対イオンを示す。構成単位Qは5〜99モル%、構成単位Pは0.1〜50モル%、−CH(W)−CH2−は第3の重合性単量体残基(Wは芳香族残基及び/又はエステル残基を示す。)を表わし、構成単位Rは0〜50モル%(架橋性アニオン交換体基準)である。)で示されることを特徴とする請求項1に記載のアニオン交換体を要旨としている。
【0009】
請求項3において、一般式(I)及び(II)で表わされる構成単位中、Aは炭素数3から5の直鎖状アルキレン基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアニオン交換体を要旨としている。
請求項4において、少なくとも一般式(III)
【0010】
【化6】
【0011】
(Aは炭素数3〜6の直鎖状、環状又は分岐状アルキレン基、又は炭素数5〜7のアルコキシメチレン基を表わし、Zは塩素、臭素、ヨウ素、水酸基を表わす)で表わされる繰り返し単位とポリエチレン性架橋性単量体を含有する懸濁溶液を重合開始剤の存在下、重合して球状架橋性重合体を得た後、ジメチルエタノールアミンと反応させることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のアニオン交換体の製造方法を要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、既に特開平07−289923号において、ベンゼン環とアニオン交換基(トリメチルアンモニウム基)の間に存在する置換基A(スペーサー基)を有するI型アニオン交換体は耐熱性に優れていることを報告している。I型アニオン交換体と同様、ジエタノールアンモニウム基を有するII型アニオン交換体においても、置換基A(スペーサー基)を導入することにより耐熱性に優れているのみならず、アニオン交換樹脂で問題となっていた樹脂からの有機物の漏出が少ないことを見い出した。この結果、高温で処理が可能となるばかりでなく、高温における使用だけでなく常温の使用においてもアニオン交換体からの溶出が少なくなることが分かった。
【0013】
本発明におけるアニオン交換体とは、一般式(I)で表わされる構造単位を含んでいることを特徴とする水不溶性架橋性共重合体である。このアニオン交換基が耐熱性の機能を発現するためには、置換基Aは炭素数3から6の直鎖状、環状又は分岐状アルキレン基、又は炭素数5〜7のアルコキシメチレン基で、特に、スペーサー基Aは炭素数3〜6の直鎖状アルキレン基又は炭素数5〜7のアルコキシメチレン基であることが好ましい。
【0014】
置換基Aがエチレン鎖の場合、正電荷を有するアンモニウム基はホフマン分解によって分解し脱離しやすいため、アニオン交換基として適切ではない。一方、置換基Aの炭素数が本発明を超える場合、架橋性共重合体の構成単位の分子量が大きくなるため、重量当たりの交換容量が小さくなる。ベンジル位に分岐状のアルキル基を有する場合には、酸化反応やラジカル反応に対して不安定になる傾向があるので、スペーサー基Aは直鎖のアルキレンあるいはアルコキシメチレン基であることが好ましい。また、正電荷の近傍に立体障害となるアルキル基が存在する場合には、その立体障害のため3置換アルキルアミノ基の置換基が脱離しやすい。
【0015】
多くの場合置換基Aは、製造上、スチレン残基のm又はp位に導入されることが望ましい。o位に導入された場合でも、ベンゼン環とポリエチレン鎖による立体的な影響は少ないことが考えられるが、架橋剤との共重合の際の立体障害を考慮するとm位、又はp位であることが好ましい。
【0016】
本発明のアニオン交換体の製法は、いくつかの方法がある。
例えば、下記一般式(III)(Zは、例えば、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。)で表わされる前駆単量体を合成し、少なくとも架橋剤とともに共重合して架橋性共重合体を得た後、ジメチルエタノールアミンと反応させて置換基Zをジメチルエタノールアミノ基で置換する方法、
【0017】
【化7】
【0018】
あるいは、クロロメチルスチレンと架橋剤の共重合或いはスチレンと架橋剤の共重合体のクロロメチル化体のようなクロロメチル化架橋性共重合体を、高分子修飾法によって置換基Aを導入する方法が挙げられる。一般に、アニオン交換体の交換容量を高くするためには、前者の方法が望ましい。相当する前駆体となる単量体、一般式(III)は、幾つかの方法で合成することができる。
【0019】
置換基Aがアルキレン基の場合、ハロアルキルスチレン(例えば、クロロメチルスチレン、クロロエチルスチレン、m及びp体の混合物であってもよい)、ハロゲノスチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレン)と、金属Mgの反応によって生成したグリニャール試薬を、1,ω−ジハロゲノアルカン(例えば、1,ω−ジブロモアルカン)に反応させ重合性単量体を得る方法が挙げられる。このカップリング反応の際、反応を効率的に行うため、ハロゲン化銅(塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅)、Li2CuCl4、アミン等の触媒を添加してもよい。
また、ω−ハロゲノアルキルベンゼン誘導体をアセチル化した後、ビニル基を合成する方法、ハロゲノ−ω−ハロゲノアルキルベンゼン誘導体のHeck反応によってビニル基を導入する方法等、多くの方法が挙げられる。
【0020】
高分子修飾法の場合は、クロロメチル化架橋ポリスチレンをn−BuLi等の強塩基によりベンジルアニオンを発生させ、1,ω−ジハロゲノアルカンとの反応によりアルキルスペーサー型架橋性共重合体を得る方法が挙げられる。
置換基Aがアルコキシメチレン基の場合は、ビニルベンジルアルコールと1,ω−ジハロゲノアルカンとの反応により、ハロゲノアルコキシメチルスチレン誘導体を得ることができる。
【0021】
一般式(I)で表わされる共重合体成分は、ポリエチレン性架橋性単量体、及び必要に応じて第3の重合性単量体との共重合で得られる一般式(II)で示される架橋性構造体とすることが好ましい。このポリエチレン性架橋性単量体は、水不溶性架橋性共重合体にするためには必須成分である。この架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、ポリビニルベンゼン、アルキルジビニルベンゼン、エチレングリコール(ポリ)(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。更に、一般式(III)で示される単量体を合成する際、副生するビスビニルフェニルエタン、ビスビニルベンジルエーテル等も架橋剤として使用できる。好ましくは、ジビニルベンゼンである。
【0022】
架橋性単量体の含有率が低い場合には、得られるアニオン交換体は高膨潤性重合体となるため、体積当たりの交換容量が低下する。一方、含有率が高い場合にも、イオン交換基を有する構成成分(I)の含有率が低くなるため、重量当たりの交換容量は低下する。従って、本発明のアニオン交換体を製造する際の不飽和炭化水素含有架橋性単量体の含有率は、アニオン交換体基準で0.1〜50モル%、好ましくは0.2〜25モル%で用いられる。
【0023】
本発明のアニオン交換体の機能を低減させない範囲において、第3の重合性単量体を添加することができる。その重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキルスチレン、ポリアルキルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル等が挙げられる。特に、第3の重合性単量体の一例としては、−CH(W)−CH2−で表すことができ、代表例として上記重合性単量体化合物類が挙げられる。なお、ここでWは芳香族残基及び/又はエステル残基を示す。
本発明の第3の重合性単量体の添加量は、アニオン交換体基準で0〜50モル%、好ましくは0〜20モル%で用いられる。
【0024】
上記単量体の共重合によって得られるアニオン交換体は、ゲル型樹脂であってもポーラス型樹脂であってもよい。これらの重合反応において、必要に応じて、上記の各単量体成分に溶解する溶媒を添加してもよい。単量体に対して貧溶媒であるトルエン、ヘプタン、イソオクタン、2−エチルヘキサノール等の有機溶媒、又はポリスチレンを添加し共重合を行った場合には、多孔性構造を有するアニオン交換体が得られる。一方、ジクロロエタン、1,4−ジオキサン等上記の単量体の高分子に対して良溶媒を添加した場合には、膨潤性のアニオン交換体が得られる。これら溶媒の種類、添加量等により生成する多孔性担体の物理構造が異なり、これらの溶媒を制御することにより目的とする多孔性担体を得ることができる。その添加量は、全単量体成分に対して0〜150重量%の範囲である。
本発明において、一般式(I)の構成単位を含有する重合性単量体は、全単量体に対して5〜99モル%の範囲である。イオン交換容量をできる限り大きくするためには、一般式(I)の含有率はできる限り高いことが好ましい。
【0025】
これらの単量体の共重合は、過酸化物、あるいはアゾ系重合開始剤を用いる公知の方法で重合を行うことができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤等が用いられる。その使用量は、全単量体に対して、0.05〜3重量%である。重合温度は、重合開始剤の半減期温度、使用量、単量体の重合性等により異なるが40〜150℃、好ましくは50〜100℃で使用される。重合時間は1〜30時間、好ましくは、1〜15時間である。
【0026】
重合方法は、特に限定されるものではなく、公知の種々の方法がそのままあるいは組み合わせて採用することができる。球状のアニオン交換体は、水/油型又は油/水型の懸濁重合により製造される。特に、重合方法は上記で示した単量体成分を用い重合開始剤の存在下、浴比が1対2から1対6の範囲として懸濁重合法で行うことが好ましい。イオン交換樹脂として使用する場合、用途によってアニオン交換体の粒径は多少異なるが、その平均粒子径は100μm〜2mmの範囲である。
一般式(III)で示される前駆単量体或いはこれを架橋剤と共重合して得られる架橋性共重合体中、及び一般式(IV)
【0027】
【化8】
【0028】
の式中(置換基Rは、置換基Aと同等物の基を表す。)に表わされる官能基Zのアンモニウム基への変換は、公知の方法に従って行うことができる。上記のアンモニウム基を導入する際、重合体を膨潤させるため溶媒を加えるのが一般的である。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の塩素系炭化水素類、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、その他ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の溶媒が単独、又は混合溶液として用いられる。反応温度は、官能基の種類、溶媒の等により異なるが、20〜100℃である。
【0029】
末端官能基ZをII型の塩基に変換する方法は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、ハロゲン原子の場合、ジメチルエタノールアミンを反応させる方法、ジメチルアミンを反応させた後、酸化エチレンを反応させる方法がある。その後、公知の方法によって対イオンを各種のアニオン形に変換することによって、本発明のアニオン交換体が得られる。
【0030】
一般式(I)中のベンゼン環は、更にアルキル基、或いはハロゲンが置換されていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素等が挙げられる。
本発明のアニオン交換体は重合時種々の形状に成型することが可能である。例えば、粉砕し粉末状、溶液重合により塊状体、その他繊維状、膜状等種々の形状に成形することができる。
【0031】
本発明のアニオン交換体の有する重量当たりの交換容量(中性塩交換容量)は、0.2〜4.5meq/gの範囲である(meq/gとは乾燥樹脂重量当たりのミリ当量を表わす)。更に好ましくは、0.5〜4.0meq/gの範囲である。体積当たりのイオン交換容量は架橋度(水分含有率)により異なるが、通常、0.2〜1.5meq/mlである。
一般に、イオン交換体の交換容量が大きくなると、イオン交換基の膨潤圧や酸・塩基繰り返しの条件下で、アニオン交換体が破砕したり、又はアニオン交換体に亀裂が生じ易くなる。このため、重合条件、アミノ化条件を適切に行うことにより、これらを回避することが好ましい。
【0032】
本発明のアニオン交換体は耐熱性に優れたII型アニオン交換体であるため、広い用途が考えられる。例えば、一般水処理の他、糖液の脱色、純水製造用が挙げられる。
本発明のアニオン交換体は耐熱性に優れているため、高温でアニオン交換体を使用する場合にも有利である。更に、本発明のアニオン交換体は後記実施例から明らかなように、アニオン交換樹脂の欠点である樹脂から有機物の溶出が小さく、異臭もないという利点があり、高温時のみならず、常温においても利用価値が大きい。
【0033】
【発明の効果】
本発明のアニオン交換体は、再生効率や耐熱性に優れ、有機物の溶出も少ないため、汎用の水処理用アニオン交換体、純水の製造、糖液の脱色等に使用することができる。本発明のアニオン交換体は、アニオン交換樹脂、アニオン交換繊維、アニオン交換膜として使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、製造例及び実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は要旨を越えない限り、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。
【0035】
製造例−1
窒素ガス導入管、ジムロート型冷却管、枝管付き等圧滴下ロート、撹拌羽根を備えた1000mlの分液ロート型4っ口フラスコに金属マグネシウム52.5g(2.16グラム原子)、テトラヒドロフラン(以下、THFという。)360mlを入れ、溶液を30℃に設定した。このフラスコに滴下ロートを用いてp−クロロスチレン(CS)251g(1.81モル)のTHF溶液350mlを内温が40℃以上にならないように、2時間かけて滴下し、クロロスチレンのグリニャール試薬を得た。
【0036】
上記の反応器の下に、窒素ガス導入管、ジムロート型冷却管、枝管付き等圧滴下ロート、撹拌羽根を備えた2000mlの4っ口フラスコを連結した。この中へ、1,4−ジブロモブタン1060g(4.91モル、2.71当量/CS)、THF600ml、カップリング触媒Li2CuCl4 7.5g(0.034モル、1.9モル%/CS)を加え溶液を調製した。このフラスコの溶液中に、上記で調製したCSのグリニャール溶液を、室温で1時間で滴下した。終了後、溶液を水にあけ、分液し、水相を除去した。有機相を減圧下で留去し、大過剰に使用した1,4−ジブロモブタン(b.p.52℃/0.5mmHg)、未反応のp−クロロスチレンを留去し、最後に目的物である4−ブロモブチルスチレン(淡黄色透明溶液,b.p.130℃/0.2mmHg)を得た。
【0037】
製造例−2
4−ブロモブトキシメチルスチレンの合成
300mlの4っ口フラスコに水酸化ナトリウム20g(0.5モル)、水20mlを加え、溶液を攪拌し均一溶液とした。溶液温度を室温に戻した後、ヒドロキシメチルスチレン(m体,及びp体の混合物)13.42g(0.1モル)、1,4−ジブロモブタン32.39g(0.15モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.22g(0.01モル)をトルエン100mlに溶解し、4っ口フラスコに入れた。この混合溶液を激しく攪拌しながら、40℃で6時間反応させた。反応後、溶液を分離し、水で充分洗浄した。この有機相に硫酸マグネシウムを加え乾燥した後、トルエンを減圧下で留去して得た溶液をDPPH(ジフェニルピクリル−2−ヒドラジル)存在下で真空蒸留(沸点 112〜117℃/0.6mmHg)して、無色透明溶液を得た。4−ブロモブトキシメチルスチレンの収量は15.0g、収率は56%であった。
【0038】
実施例−1
窒素ガス導入管、冷却管を備えた500mlの4っ口フラスコに脱塩水200ml、2%ポリビニルアルコール水溶液50mlを加え、窒素を導入し、溶存酸素を除去した。一方、製造例−1で得られた4−ブロモブチルスチレン54.0g(0.226モル)、ジビニルベンゼン(DVB)1.55g(0.00952モル)(ジビニルベンゼン含有率80%)、及びベンゾイルパーオキシド(BPO)(含有率75%)0.47gを溶解したモノマー溶液を調製した。モノマー溶液を上記フラスコに入れ、220rpmで攪拌し懸濁液とした。室温で30分攪拌後、70℃に昇温し、70℃で18時間攪拌した。重合後、ポリマーを取り出し、樹脂を水洗後、メタノールで1回洗浄した。重合収率は93%で、仕込み架橋度4%の淡黄色透明球状重合体を得た。この架橋性重合体を減圧下50℃で6時間乾燥した。
【0039】
冷却管を備えた500mlの4っ口フラスコに上記の樹脂を入れ、1,4−ジオキサン200mlを加え、室温で攪拌した。この溶液にジメチルエタノールアミン41g(0.46モル)を加え、50℃で6時間反応を行った。反応後ポリマーを取り出し、充分水洗した。次いで、樹脂量に対して10倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し、このアニオン交換樹脂の対イオンを臭化物イオンから塩化物イオン(Cl形)に変換した。アニオン交換樹脂の性能測定は、ダイヤイオンマニュアル(三菱化学)に従って測定した。
【0040】
実施例−2
実施例−1で得られたブロモブチルスチレンとジビニルベンゼンの架橋性共重合体を用いて、60℃で6時間ジメチルエタノールアミンで反応を行った以外は,実施例−1と同様に行った。
【0041】
実施例−3
窒素ガス導入管、冷却管を備えた500mlの4っ口フラスコに脱塩水200ml、2%ポリビニルアルコール水溶液50mlを加え、窒素を導入し、溶存酸素を除去した。一方、4−ブロモブトキシメチルスチレン44.7g、ジビニルベンゼン5.4g(工業用;純度56%)、及びAIBN0.4gを溶解したモノマー相を調製し、水相と同様、溶存酸素を除去した。モノマー溶液をフラスコに入れ、150rpmで攪拌し、モノマーの液滴を形成した。室温で30分攪拌後、70℃に昇温し、70℃で18時間攪拌した。重合後、ポリマーを取り出し、樹脂を水洗後、メタノールで3回洗浄した。重合収率は91%で、仕込み架橋度6%の淡黄色透明球状を得た。
【0042】
冷却管を備えた500mlの4っ口フラスコに、上記樹脂を入れ、ジオキサン400mlを加え、室温で攪拌した。この溶液にジメタノールアミン120gを加え、50℃で6時間反応を行った。反応後、ポリマーを取り出し、充分水洗した。このアニオン交換樹脂の対イオンを臭化物イオンから塩化物イオン(Cl形)に変換するため、樹脂量に対して10倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液した。Cl形で樹脂の一般性能を測定した。平均粒子径は、730μmであった。
【0043】
比較例−1
比較例として、ダイヤイオンSA20A(ジメチルエタノールアンモニウム基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体)(ダイヤイオンは,三菱化学の登緑商標)を用いた。
【0044】
比較例−2
比較例として、ダイヤイオンSA21A(ジメチルエタノールアンモニウム基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体)を用いた。
【0045】
[アニオン交換樹脂の耐熱試験方法]
アニオン交換樹脂を10倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し対イオンをCl形とした後、樹脂50mlを秤り採った。これらの樹脂を1Lの2N−水酸化ナトリウム水溶液でOH形に再生し、体積を測定した。
再生した樹脂をガラス製オートクレーブ管に入れ、OH形の樹脂の体積の0.8倍量の脱塩水を加えた。管内の溶存酸素を除去するため、50℃に加温した状態で窒素ガスを1時間通じた。このオートクレーブ管をオイルバスに浸し、80℃、又は100℃で30日間静置した。耐熱試験後、回収した樹脂を500mlの2N−水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、OH形樹脂としてその体積を測定した。更に、5倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し、脱塩水で水洗しCl形樹脂としてその体積を測定した。試験前後の樹脂の一般性能を測定し、下式に従って、中性塩分解容量の残存率を計算し、アニオン交換体の耐熱性の尺度とした。80℃の試験結果を、表−1に、100℃の試験結果を表−2に示した。
【0046】
【数1】
残存率(%)=(耐熱試験後の中性塩分解容量meq/ml ×試験後のCl形の樹脂体積)÷(耐熱試験前の中性塩分解容量meq/ml ×試験前のCl形の樹脂体積)×100
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
[アニオン交換樹脂の水洗性試験]
アニオン交換樹脂80ml(Cl形)を内径15mmのガラスカラムに充填し、1N−NaOH 400mlで、各温度(25℃、70℃)で再生した。その後、2BVの脱塩水で押し出し、脱塩水でSV20で洗浄した。樹脂体積に対して、脱塩水を20、40、60、80、100BV通液した時点の水を回収し、TOC及び電気伝導度の測定をした。樹脂の水洗性の試験結果を表−3に示した。
【0050】
【表3】
【0051】
表−1、及び表−2より、本発明の樹脂は耐熱性に優れていることがわかった。表−3より、本発明の樹脂は室温の通水ばかりでなく、70℃における通水でもアニオン交換樹脂からの溶出成分(有機物)の漏洩が少ないことがわかった。
Claims (4)
- 一般式(I)及び(II)で表わされる構成単位中、Aは炭素数3から5の直鎖状アルキレン基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアニオン交換体。
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