JPH07289923A - 発電設備における熱水処理用アニオン交換体 - Google Patents

発電設備における熱水処理用アニオン交換体

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JPH07289923A
JPH07289923A JP7042107A JP4210795A JPH07289923A JP H07289923 A JPH07289923 A JP H07289923A JP 7042107 A JP7042107 A JP 7042107A JP 4210795 A JP4210795 A JP 4210795A JP H07289923 A JPH07289923 A JP H07289923A
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JP
Japan
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group
anion exchanger
hot water
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water treatment
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JP7042107A
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English (en)
Inventor
Teruo Onozuka
輝夫 小野塚
Manabu Shindo
学 進藤
Hideaki Kiba
秀明 木庭
Hirohisa Kubota
裕久 久保田
Shintaro Sawada
慎太郎 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Electric Power Co Inc
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Tohoku Electric Power Co Inc
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱水処理用架橋性アニオン交換体であって、
下記一般式(I) 【化1】 (一般式(I)中、Aは直接結合又は炭素数1から4の
直鎖状又は分岐状アルキレン基、Bは炭素数4から8の
直鎖状アルキレン基、R1 、R2 、R3 は同じか又は異
なっていてもよい炭素数1から4のアルキル基、或いは
アルカノール基を示し、Xはアンモニウム基に配位した
対イオンを示し、ベンゼン環Dは、アルキル基或いはハ
ロゲン原子で置換されていてもよい。)で表わされる構
成単位と不飽和炭化水素基含有架橋性単量体から誘導さ
れる構成単位とを含有する発電設備における熱水処理用
アニオン交換体。 【効果】 優れたイオン交換能力を有した上で、従来よ
りさらに優れた耐熱性を発揮し、従来のアニオン交換樹
脂を使用した場合に比し、熱損失を軽減できかつ熱ショ
ックによる性能劣化を抑制し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発電設備における熱水処
理用アニオン交換体に関するものである。詳しくは、耐
熱性の優れた新規な構造の架橋アニオン交換体を利用す
ることにより、従来のアニオン交換樹脂を使用した場合
に比し、熱損失を軽減できかつ熱ショックによる性能劣
化を抑制し得る、発電設備における熱水処理用アニオン
交換体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電諸設備においては、各種の熱水およ
び常温水について、脱塩処理、水質浄化処理等が必要と
される。例えば、原子力発電に利用される原子炉には、
沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)がある。そし
て前者は、原子炉で冷却水を加熱し蒸気に変換して直接
タービンへ供給する形式であり、後者は原子炉で一次冷
却水を加熱して蒸気発生器へ供給し、蒸気発生器にて2
次冷却水を加熱して変換しタービンへ供給する形式であ
る。
【0003】上記のいずれの原子炉においても、冷却水
の循環系には、イオン交換樹脂を充填した原子炉水復水
脱塩装置を設置し、炉水の放射性物質の除去および水質
の純度向上が図られている。また、上記の他、ほう酸除
去脱塩塔、ほう酸回収装置、使用済み燃料プール水浄化
装置、復水脱塩装置等においても、熱水時および水温上
昇時におけるイオン交換樹脂処理が行われている。さら
にまた、火力発電における大型貫流タイプのボイラー等
においても、復水脱塩設備が設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のイオン交換樹脂
の耐熱性は、一般的にH型カチオン交換樹脂の使用上限
温度は120℃、OH型アニオン交換樹脂は60℃であ
り、従ってこれらのイオン交換樹脂を組み合わせた脱塩
装置等では60℃以上の熱水を短期および長期にわたっ
て通水した場合、イオン交換樹脂が性能劣化を生じ、脱
塩性能が低下する。このため、発電諸設備における各種
熱水等の処理においては、60℃以上の熱水は60℃よ
り低い温度(通常は50℃以下)に冷却する必要があ
る。
【0005】本出願人は、上記実情に鑑み特開平5−0
57200号において、ベンゼン環に炭素数3から18
であるアルキレン基を介してトリメチルアンモニウム基
を結合した構造単位とするイオン交換体が優れたイオン
交換能力を有した上で優れた耐熱性を有していることを
示した。しかしながら、該構造を有するイオン交換体を
製造するにあたり、例えばクロルメチルスチレンとのマ
グネシウム複合体を製造する工程(グリニャール反応)
を有することは、製造の困難さおよび原料費高さ等によ
り製造コストを高めることになり、製造上不利となる。
【0006】本発明の目的は、製造が容易であり、従来
のアニオン交換樹脂に比し、さらに耐熱性に優れ、熱損
失を軽減できかつ熱ショックによる性能劣化を抑制し得
る、発電設備における熱水処理用アニオン交換体に関す
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題を解
決するためになされたものであり、その要旨は、熱水処
理用架橋性アニオン交換体であって、下記一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】(一般式(I)中、Aは直接結合又は炭素
数1から4の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表わし、
Bは炭素数4から8の直鎖状アルキレン基を表わし、R
1 、R 2 、R3 は同じか又は異なっていてもよい炭素数
1から4のアルキル基、或いはアルカノール基を示し、
Xはアンモニウム基に配位した対イオンを示し、ベンゼ
ン環Dは、アルキル基或いはハロゲン原子で置換されて
いてもよい。)で表わされる構成単位と不飽和炭化水素
基含有架橋性単量体から誘導される構成単位とを含有す
ることを特徴とする発電設備における熱水処理用アニオ
ン交換体に存する。以下、本発明について詳述する。
【0010】本発明におけるアニオン交換体とは、一般
式(I)で表わされる構造単位を含んでいることを特徴
とする水不溶性架橋共重合体である。アルキレン鎖Bの
炭素数は、イオン交換基の耐熱性を発現するために少な
くとも1以上であることが必要である。エチレン鎖であ
る場合には、ホフマン分解(E2脱離反応)が起こりや
すい。更に実用的な耐熱性を考慮すると、アルキレン鎖
はブチレン鎖以上であることが好ましい。しかしなが
ら、アルキレン鎖Bの鎖長が長くなった場合には、構成
単位(I)の分子量が大きくなるため、アニオン交換体
の単位重量当たりのイオン交換容量が減少し、交換容量
の減少につながる。それ故アルキレン鎖Bの炭素数は、
8以下であることが好ましい。更に好ましくは6以下で
ある。
【0011】アルキレン鎖Bとしては、例えば、メチレ
ン鎖、エチレン鎖、イソプロピレン鎖、ブチレン鎖、オ
クチレン鎖等の直鎖状アルキレン基、分岐状アルキレン
基、連鎖中にシクロヘキシル基、シクロペンチル基を含
有する環状アルキレン基が挙げられる。分岐状アルキレ
ン基のアルキル基は、どこに位置してもよい。好ましく
は直鎖のアルキレン基である。
【0012】一方、ベンゼン環に結合しているアルキレ
ン鎖Aは、ベンゼン環の酸化反応を抑制することにある
と考えられる。Aの炭素数が0(直接結合)であるフェ
ノキシ基の場合、ベンゼン環が酸化されやすく、イオン
交換基の脱落につながりやすい。従って、ベンゼン環に
結合しているアルキレン鎖Aの鎖長は、炭素数が1以上
である。しかしながら、Bと同様、Aの鎖長が長くなっ
た場合には、単位重量当たりのイオン交換基の減少につ
ながるため、アルキレン鎖Aの炭素数は4以下であるこ
とが好ましい。例えば、メチレン鎖、エチレン鎖、イソ
プロピレン鎖、ブチレン鎖等の直鎖状アルキレン基、分
岐状アルキレン基等が挙げられる。分岐状アルキレン基
のアルキル基は、どこに位置していてもよい。
【0013】製造法及び製造コストの点からは、アルキ
レン鎖Aは、メチレン鎖又はエチレン鎖であり、アルキ
レン鎖Bは、ブチレン鎖であることが好ましい。ここ
で、イオン交換基に結合したアルキレン鎖Bは耐熱性を
向上させるのに寄与し、ベンゼン環に結合したアルキレ
ン鎖Aはベンゼン環の酸化反応を抑制するのに寄与して
いると推定される。従って、イオン交換体の耐熱性を発
現するために特に重要なのは、イオン交換基に結合した
アルキレン鎖Bの鎖長である。
【0014】イオン交換基を有するアルコキシアルキレ
ン基は、製造上、多くはスチレン残基のp位に導入され
る。たとえこのアルコキシアルキレン基が、m位あるい
はo位に導入された場合でも、アンモニウム基とベンゼ
ン環の距離が数Å以上であるため、ベンゼン環とポリエ
チレン鎖により立体的な影響は少ない。従って、イオン
交換基を有するアルコキシアルキレン基は、ベンゼン環
のどの位置に置換されていてもよい。
【0015】本発明におけるアニオン交換体は、種々の
製造方法で作ることができる。下記一般式(II)(A
は直接結合又は炭素数1から4の直鎖状又は分岐状アル
キレン基を表わし、Bは炭素数4から8の直鎖状アルキ
レン基を表わし、Zはイオン交換基に変換し得る官能基
を表わす。例えば、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子
又はトシル基等が挙げられる。)で表わされる前駆体単
量体を合成させ、架橋剤及び必要に応じて第3の単量体
成分とともに共重合を行った後、アミンと反応させイオ
ン交換基に変換する方法、
【0016】
【化3】
【0017】一般式(III )で表わされる構造単位を
有する単量体を、架橋剤等とともに重合する方法が挙げ
られる。一般式(III )中、A,B,R1 〜R3 ,D及
びXは、一般式(I)におけるのと同義である。Xは、
イオン交換基に配位した対イオンであって、例えば、塩
化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硫酸イオ
ン、硝酸イオン、水酸基等が挙げられる。なお、硫酸イ
オンのように2価のアニオンである場合は、一般式
(I)の繰り返し単位2分子に対して、1つの対イオン
が配位する。
【0018】一般式(II)で表わされる前駆体となる重
合性単量体は、幾つかの方法で合成することができる。
クロロメチルスチレン(m及びp体の混合物であっても
よい)を、公知の技術(Polymer,1973,V
ol 14,330−332、Makromol.Ch
em.Rapid Commun.,7,143,19
86)に従って加水分解した後、1,ω−ジハロゲノア
ルカンを反応させる方法、或いは、公知の技術(Bul
l.Chem.Soc.Jpn.,1976,Vol
49,2500、)に従って、クロロメチルスチレンを
塩化水銀の存在下、テトラヒドロフランと反応させ、ω
−ハロゲノアルコキシアルキルスチレンを合成すること
ができる。更に、一般式(II)で表わされる単量体をア
ルキルアミン類でアミノ化し、アンモニウム基を有する
単量体(III )を合成することができる。勿論、一般式
(II)のベンゼン環Dは、アルキル基、或いはハロゲン
で置換されていてもよい。
【0019】本発明におけるアニオン交換体の製造にお
ける共重合体成分は、不飽和炭化水素含有架橋性単量
体、及び必要に応じて用いることができる第3の不飽和
炭化水素含有単量体である。この不飽和炭化水素含有架
橋性単量体は、水不溶性架橋共重合体を製造するために
必要である。この単量体としては、ジビニルベンゼン、
ポリビニルベンゼン、アルキルジビニルベンゼン、ジア
ルキルジビニルベンゼン、エチレングリコール(ポリ)
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、(ポリ)エチレンビス(メタ)アク
リルアミド等が挙げられる。好ましくはジビニルベンゼ
ンである。その含有率が低い場合には、得られるアニオ
ン交換体は高膨潤性重合体となる。一方、含有率が高い
場合には、イオン交換基を有する構成成分(I)の含有
率が低くなるため、イオン交換容量が低下する。従って
本発明のアニオン交換体を製造する際の不飽和炭化水素
含有架橋性単量体の使用量は、アニオン交換体におい
て、不飽和炭化水素含有架橋性単量体から誘導される構
成単位が0.1%〜50モル%程度、好ましくは0.2
%〜25モル%となるように用いられる。
【0020】第3の不飽和炭化水素含有単量体は、本発
明におけるアニオン交換体の機能を低減させない範囲に
おいて用いることができる。その重合性単量体として
は、スチレン、アルキルスチレン、ポリアルキルスチレ
ン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル
酸、アクリロニトリル等が挙げられる。第3の不飽和炭
化水素含有単量体の使用量は、アニオン交換体において
第3の不飽和炭化水素含有単量体から誘導される構成単
位が0%〜50モル%、好ましくは0%〜20モル%と
なるように用いられる。
【0021】一般式(I)の構成単位を誘導しうる重合
性単量体の使用量はアニオン交換体において一般式
(I)に示される構成単位が5%〜99.9モル%、好
ましくは10〜99モル%となるように用いられる。こ
の場合、イオン交換容量を大きくするためには、一般式
(I)の含有率はできる限り高いことが好ましい。本発
明のアニオン交換体の有する重量当たりの交換容量(中
性塩交換容量)は、一般式(I)で表わされる構成要素
の分子量によっても異なる。すなわち、アルキレン鎖
A、B及びイオン交換基の置換基Rにより異なるが、一
般に、通常0.2meq/g〜5meq/gの範囲であ
る。(meq/gとは乾燥樹脂重量当たりのミリ当量を
表わす。)更に好ましくは、1.5meq/g〜4.5
meq/gの範囲である。体積当たりのイオン交換容量
は、膨潤度により異なるが、通常、0.3meq/ml
〜1.5meq/mlである。
【0022】本発明のアニオン交換体は一般式(I)の
構成単位を誘導し得る重合性単量体、架橋性単量体及び
要すれば第3の単量体を重合開始剤の存在下、重合する
ことによって製造される。重合開始剤としては、過酸化
ベンゾイル(BPO)、過酸化ラウロイル、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、ア
ゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名;
V−65(和光純薬))2,2′−アゾビス(2−メチ
ルプロピオンアミジン)・二塩酸塩(商品名;V−50
和光純薬、水溶性重合開始剤)等のアゾ系重合開始剤等
が用いられる。その含有率は、通常、全単量体に対し
て、0.1%〜5重量%である。重合温度は、重合開始
剤の半減期温度、含有率、単量体の種類等により異なる
が、通常は、40℃〜150℃、好ましくは50℃〜1
00℃で使用される。重合開始は、1時間〜30時間、
好ましくは、1時間〜15時間である。
【0023】これらの重合反応において、必要に応じ
て、上記各単量体成分に溶解する溶媒を添加していても
よい。これらの単量体に対して貧溶媒であるトルエン、
ヘキサン等非極性有機溶媒を添加し共重合を行った場合
には、多孔性構造を有するアニオン交換体が得られる。
一方、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の良
溶媒を添加した場合には、膨潤性のアニオン交換体が得
られる。これら溶媒の種類、添加量等により生成する多
孔性担体の物理構造が異なり、これらの溶媒を制御する
ことにより、目的とする多孔性担体を得ることができ
る。その他、例えば、溶媒として、水、メタノール、エ
タノール、アセトン等の溶媒、又はこれらの溶媒の混合
溶液が使用される。その添加量は、全単量体成分に対し
て、0%〜100重量%の範囲である。
【0024】一般式(II)及び下記一般式(IV)のZを
アンモニウム基−NR123 に変換する方法は、公
知の方法に従って行うことができる。
【0025】
【化4】
【0026】(式(IV)中、A,B,Zは前述と同義で
ある)Zが、ハロゲン原子の場合、適切な溶媒の存在
下、3級アミンを反応させアンモニウム基に変換するこ
とができる。Zがトシル基の場合にも同様に、上記反応
によりアンモニウム基に変換することができる。上記の
アンモニウム基を導入する際、樹脂を膨潤させるため、
溶媒を添加するのが一般的である。用いられる溶媒とし
ては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコ
ール類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類、ジクロロ
メタン、1,2−ジクロロエタン等の塩素系炭化水素
類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類、その他ジメチルホルムアミド、アセ
トニトリル等の溶媒が単独、又は混合溶液として用いら
れる。反応温度は、反応様式、官能基の種類、溶媒等に
より異なるが、通常は、20℃〜100℃である。一般
式(III )で表わされる重合性単量体を、架橋剤ととも
に重合することによりアニオン交換体を得ることもでき
る。
【0027】上記単量体は、一般式(II)で表わされる
重合性単量体と同様にして上記架橋性単量体と共重合す
ることができる。この場合、イオン交換基を有する単量
体を架橋剤とともに架橋重合するため、上記のように重
合後、アミノ化反応等を行わなくてもよい。その後、公
知の方法によって対イオンを各種のアニオン形に変換
し、本発明のアニオン交換体が得られる。
【0028】一般式(I)のベンゼン環は、イオン交換
基を有するアルコキシアルキレン基以外に、アルキル基
或いはハロゲン原子で置換されていてもよい。アルキル
基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、ハロゲ
ンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素等が挙げられ
る。イオン交換基を構成するアルキル基R1 ,R2 ,R
3 は、炭素数1から4のアルキル基、或いはヒドロキシ
エチル基等のアルカノール基である。この場合も、単位
重量当たりの交換容量の低下をできる限り少なくするた
め、メチル基であることが好ましい。
【0029】本発明におけるアニオン交換体は公知の方
法に準じて製造され、種々の形状に成形することができ
る。球状のアニオン交換体は、水/油型又は油/水型の
懸濁重合により製造される。上記で示した単量体成分を
用い重合開始剤の存在下、浴比が1対2から6の範囲と
なるよう懸濁重合を行うことが好ましい。本発明におけ
るアニオン交換体の平均粒子径は100μm〜2mmの
範囲である。その後、必要に応じて、懸濁重合後粉砕し
粉末状、溶液重合により塊状或いは粉末状、その他繊維
状、膜状等種々の形状に成形することもできる。
【0030】本発明の発電設備における熱水処理用アニ
オン交換体は、発電設備における各種の熱水処理に適用
し得る。脱塩方法としては、公知の何れかの方法によっ
てもよく、通常はカチオン交換樹脂と共に混床塔を形成
して使用される。本発明のアニオン交換体は、優れた耐
熱水性を有し、実施例にて示したとおり、特開平5−0
57200号公報に示されるイオン交換体と比べても、
100℃程度の高温においてもさらに長期にわたって使
用することが可能となる。
【0031】本発明の発電設備における熱水処理用アニ
オン交換体を使用した原子炉脱塩装置等においては、被
処理水の温度を100℃程度にまで充分に高めることが
できる。その結果、従来の耐熱性を有するアニオン交換
体に比し、無用の熱損失をさらに軽減でき、また、冷却
設備の小型化および負荷軽減ができ、経済的にさらに有
利となる。
【0032】原子力発電(BWR)の原子炉水脱塩装置
を例とし、従来のアニオン交換樹脂と本発明における熱
水処理用アニオン交換体との熱損失の比較を試算した結
果は、次のとおりである。従来のアニオン交換樹脂を使
用した場合、約280℃の原子炉水は、樹脂耐熱性の制
約から、再生熱交換器、非再生熱交換器により、約50
に冷却され、そして、原子炉脱塩装置で浄化した後、再
生熱交換器で約220℃に昇温されて原子炉に戻され
る。この場合の熱損失は、約6.2×104 キロカロリ
ー/炉水m3であり、主に非再生熱交換器で発生し、1
000MW級ユニットでは約10.6×106 キロカロ
リー(毎時4.1MW相当)である。
【0033】これに対し、本発明における熱水処理用ア
ニオン交換体を使用し、炉水脱塩装置の通水温度を10
0℃とした場合、熱損失が半減され、約0.2%の軽減
ができ、これは1000MW級ユニットでは毎時約1.
7MWの発電能力に相当する。また、熱ショックに関し
ては、原子炉が事故等で緊急停止(スクラム)した場
合、停止後に発生する蒸気は復水器に導かれて冷却され
る。この場合、復水が脱塩装置の許容温度(60℃)で
一時的にまたは長期にわたって通水されるため、復水脱
塩装置の充填イオン交換樹脂の熱劣化による性能低下が
生じ、イオン交換樹脂の全量交換が必要になる場合があ
る。これに対し、本発明におけるアニオン交換体を使用
した場合には、上記のような事態にも十分に対処しう
る。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。なお、以下の実施例において、本発明で使用さ
れるアニオン交換体を発電設備における熱水処理に適用
した際に発揮される耐熱性および交換容量を明らかにし
た。
【0035】〔製造例−1〕 (4−ブロモブトキシメチルスチレンの合成)300m
lの4ツ口フラスコに水酸化ナトリウム20g(0.5
mol)、水20mlを加え、撹拌し均一溶液とした。
溶液温度を室温に戻した後、ビニルベンジルアルコール
(m体、及びp体の混合物)13.42g(0.1mo
l)、1,4−ジブロモブタン32.39g(0.15
mol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.2
2g(0.01mol)をトルエン100mlに溶解
し、添加した。この混合溶液を激しく撹拌しながら、4
0℃で6時間反応させた。反応後、溶液を分離し、水で
充分洗浄した。この有機相に硫酸マグネシウムを加え乾
燥した後、トルエンを減圧下で留去して得た溶液をDP
PH(ジフェニルピクリル−2−ヒドラジル)存在下で
真空蒸留(bp 125〜128℃/16Pa)して、
無色透明溶液を得た。得られた溶液は、下記のNMR及
びIR吸収を有することによって4−ブロモブトキシメ
チルスチレンの構造を確認した。収量は15.0g、収
率は56%であった。
【0036】1H−NMRは日本電子製 EX−270
(270MHz、溶媒は全てCDCl3 を用いて測定し
た。TMS基準 δ;ppm。尚本化合物は、m体とp
体の混合物であるため、結合定数は算出できない。)、
赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)は島津製作所
製 FT−IR 4000を用いた。(( )内、b
r.は線幅が広い Sh.は鋭い Str.は大きな吸
収 med.は中程度の吸収であることを示す。)
【0037】1H−NMR;7.15−7.36(m:
芳香族水素)、6.61−6.73(m:ビニル基のα
位水素)、5.67−5.76(m:ビニル基のβ位水
素、5.17−5.23(m:ビニル基のβ位水素)、
4.42と4.41(s:ベンジル位のメチレン鎖)、
3.33−3.45(m:Brのα位とδ位のメチレン
鎖)、1.85−1.96(m:Brのβ位のメチレン
鎖)、1.64−1.74(m:Brのγ位のメチレン
鎖)。
【0038】IRスペクトル(NaCl法)2950
(sh.),2860(sh.),1630(s
h.),1440(med.),1360(me
d.),1250(med.),1110(st
r.),990(str.),910(str.),8
30(med.),800(med.),720(me
d.)。
【0039】〔製造例−2〕 (3−ブロモプロポキシメチルスチレンの合成)100
0mlの4ツ口フラスコに水酸化ナトリウム80g
(2.0mol)、1,3−プロパンジオール500g
(6.5mol)、ハイドロキノン1.5gを仕込み8
0℃にて2時間反応させた。続いてクロルメチルスチレ
ン(m体、及びp体の混合物)250g(1.5mo
l)を30分で滴下し添加した。この混合溶液をさらに
反応させた後、水浴で室温に冷却し食塩水(20wt
%)300mlに投入した。有機相を分離し、水相をト
ルエンにて抽出した。有機相とトルエンを合わせ、硫酸
マグネシウムを加え乾燥した後、トルエンを減圧下で留
去して得た溶液をDPPH(ジフェニルピクリル−2−
ヒドラジル)存在下で真空蒸留(bp 101〜3℃/
56Pa)して目的の3−ヒドロキシプロポキシメチル
スチレンを得た。収率は60%であった。
【0040】得られた3−ヒドロキシプロポキシメチル
スチレン192g(1.0mol)と脱水精製したピリ
ジン55mlを300ml四口フラスコに仕込み、ドラ
イアイス−エタノールで−10℃に保ちながら三臭化リ
ン108g(0.4mol)を滴下した。滴下終了後、
室温で15h撹拌した。反応混合物を食塩水(20wt
%)250mlに投入し、トルエンにて抽出した。有機
相を水−8%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸
マグネシウムを加え乾燥した後、トルエンを減圧下で留
去して得た溶液をDPPH存在下で真空蒸留(bp 9
0〜91℃/45Pa)して目的の3−ブロモプロポキ
シメチルスチレンを得た。収率35%であった。得られ
た溶液は、 1H−NMRおよびIRスペクトルにて確認
を行った。
【0041】1H−NMR;7.18−7.40(m:
芳香族水素)、6.64−6.76(m:ビニル基のα
位水素)、5.70−5.79(m:ビニル基のβ位水
素)、5.20−5.28(m:ビニル基のβ位水
素)、4.50と4.49(s:ベンジル位のメチレン
水素)、3.48−3.62(m:エーテル酸素の隣接
するメチレン水素および末端Brの隣接するα位メチレ
ン水素)、2.06−2.16(m:Brのβ位のメチ
レン水素)。
【0042】IRスペクトル(NaCl法)2950
(sh.),2850(sh.),1440(we
k.),1360(med.),1250(me
d.),1110(str.),990(med.),
910(str.),800(sh.),720(me
d.)。
【0043】〔製造例−3〕 (5−ブロモペントキシメチルスチレンの合成)1Lの
4ツ口フラスコに、氷冷下、水酸化ナトリウム57g
(1.425mol)、脱塩水57mlを加え、1,5
−ジブロモペンタン98.33g(0.428mo
l)、テトラブチルアンモニウムブロマイド9.19g
(0.0285mol)をトルエン285mlの溶液を
加えた。溶液を50℃に設定し、ビニルベンジルアルコ
ール(m体、p体の混合物)38.25g(0.285
mol)、DPPH30mgのトルエン溶液70mlを
1時間かけて、滴下した。滴下中に原料の大部分が消失
した。この混合物を激しく撹拌しながら、60℃で8時
間反応させた。反応後、有機相を分離し、水で充分洗浄
した。この有機相に硫酸マグネシウムを加え乾燥した
後、トルエンを減圧下で留去して得た混合物をDPPH
存在下で真空蒸留(b.p.107−108℃/40P
a)して、無色透明溶液の液体を得た。得られた溶液
は、NMRによって構造を確認した。5−ブロモペント
キシメチルスチレンの収量は40.8g、収率は51%
であった。
【0044】1H−NMR;7.36−7.40(m:
芳香族水素)、7.22−7.31(m:芳香族水
素)、6.65−6.76(m:ビニル基のα位水
素)、5.70−5.78(m:ビニル基のβ位水
素)、5.20−5.26(m:ビニル基のβ位水
素)、4.48と4.47(s:ベンジル位のメチレン
水素)、3.44−3.48(m:Brのα位とε位の
メチレン水素)、3.36−3.41(m:酸素のα位
のメチレン水素)、1.80−1.91(m:酸素のβ
位のメチレン水素)、1.59−1.68(m:Brの
β位のメチレン水素)、1.47−1.54(m:Br
のγ位のメチレン水素)。
【0045】IRスペクトル(NaCl法)2940
(sh.),2860(sh.),1630(s
h.),1455(med.),1360(st
r.),1245(med.),1105(st
r.),990(med.),910(str.),8
30(med.),800(med.),715(me
d.),645(med.),560(med.)。
【0046】〔製造例−4〕 (6−ブロモヘキソキシメチルスチレンの合成)冷却
管、等圧滴下ロートを備えた1Lの4ツ口フラスコに、
氷冷下水酸化ナトリウム100g(2.5mol)、脱
塩水100mlを加え、均一溶液とした。溶液温度を室
温に戻し、1,6−ジブロモヘキサン331g(1.3
6mol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイ
ド16.2g(50.2mol)のトルエン500ml
溶液を加えた。溶液を50℃に設定し、ビニルベンジル
アルコール(m体、及びp体の混合物)49.7g(3
66mmol)、DPPH50mgのトルエン溶液10
0mlを90分かけ滴下した。懸濁状態になるように激
しく撹拌しながら、55℃で5時間反応させた。反応
後、有機相を分離し水で充分洗浄した。トルエンを減圧
下で留去して得た混合物をDPPH存在下で真空蒸留
(b.p.88〜92℃/200Pa)で、1,6−ジ
ブロモヘキサンを除去した。その後、シリカゲルカラム
(ワコーゲルC−200)クロマトグラフィーを用いて
精製した。6−ブロモヘキソキシメチルスチレンは、淡
黄色透明の粘稠な溶液であった。 1H−NMRによって
構造を確認した。6−ブロモヘキソキシメチルスチレン
の収率は70%であった。
【0047】1H−NMR;7.20−7.41(m:
芳香族水素)、6.64−6.76(m:ビニル基のα
位水素)、5.70−5.79(m:ビニル基のβ位水
素)、5.20−5.27(m:ビニル基のβ位水
素)、4.48と4.47(s:ベンジル位のメチレン
水素)、3.41−3.47(m:エーテル酸素の隣接
するメチレン水素)、3.34−3.41(m:末端B
rの隣接するメチレン水素)、1.82−1.92(b
r.m:Brのε位のメチレン水素)、1.57−1.
65(br.m:Brのβ位のメチレン水素)、1.3
6−1.47(br.m:Brのγ位とδ位のメチレン
水素)。
【0048】IRスペクトル(KBr法);2950
(sh.),2850(sh.),1440(we
k),1360(med.),1250(med.),
1110(str.),990(med.),910
(str.),800(sh.),720(me
d.)。
【0049】〔実施例−1〕窒素ガス導入管、冷却管を
備えた500mlの4ツ口フラスコに脱塩水200m
l、2%ポリビニルアルコール水溶液50mlを加え、
窒素を導入し、溶存酸素を除去した。一方、4−ブロモ
ブトキシメチルスチレン46.4g、ジビニルベンゼン
1.72g(工業用;純度56%)、及びAIBN0.
4gを溶解したモノマー相を調製し、水相と同様、溶存
酸素を除去した。モノマー溶液をフラスコに入れ、15
0rpmで撹拌し、モノマーの液滴を形成した。室温で
30分撹拌後、70℃に昇温し、70℃で18時間撹拌
した。重合後、ポリマーを取り出し、樹脂を水洗後、メ
タノールで3回洗浄した。重合収率は93%で、仕込み
架橋度4モル%の淡黄色透明球状の樹脂を得た。
【0050】冷却管を備えた500mlの4ツ口フラス
コに、上記樹脂を入れ、1,4−ジオキサン500ml
を加え、室温で撹拌した。この溶液に30%トリメチル
アミン水溶液200mlを加え、50℃で10時間反応
を行ってトリメチルアンモニウム基を導入した。反応
後、ポリマーを取り出し、充分水洗した。このアニオン
交換樹脂の対イオンを臭化物イオンから塩化物イオン
(Cl形)に変換するため、樹脂量に対して10倍量の
4%塩化ナトリウム水溶液を通液した。Cl形の樹脂の
下記性能を測定した。なお平均粒子径は750μmであ
った。
【0051】
【表1】 中性塩分解容量 3.42 meq/g 中性塩分解容量 0.832meq/ml 水分含有率 57.0 % 膨潤度 4.11 ml/g 実施例−1で得られたアニオン交換樹脂のIRスペクト
ルは下記の通りであった。
【0052】(KBr法)(対イオンXは、Cl形であ
る)3450(br.),2950(sh.),287
0(sh.),1640(br.),1480(st
r.),1360(med.),1110(st
r.),970(med.),910(med.),8
00(med.)。 (KBr法)(対イオンXは、OH形である)3400
(br.),2950(sh.),2870(s
h.),1650(br.),1480(str.),
1450(str.),1370(med.),109
0(str.),970(med.),910(me
d.),790(med.)。
【0053】〔実施例−2〕4−ブロモブトキシメチル
スチレンを44.7g、ジビニルベンゼン(工業用)を
2.60gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
い、仕込み架橋度6モル%、平均粒子径730μmのア
ニオン交換樹脂を得た。重合収率は91%であった。
【0054】
【表2】 中性塩分解容量 3.21 meq/g 中性塩分解容量 0.919meq/ml 水分含有率 51.0 % 膨潤度 3.49 ml/g
【0055】〔実施例−3〕4−ブロモブトキシメチル
スチレンを42.9g、ジビニルベンゼン(工業用)を
3.46gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
い、仕込み架橋度8モル%、平均粒子径750μmのア
ニオン交換樹脂を得た。重合収率は93%であった。
【0056】
【表3】 中性塩分解容量 3.32 meq/g 中性塩分解容量 1.02 meq/ml 水分含有率 44.5 % 膨潤度 3.25 ml/g
【0057】〔実施例−4〕クロロメチルスチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体は、文献(Polymer,1
4,July 1973 330−332)に従って、
ジビニルベンゼンの含有率が4モル%となるように調製
されたモノマー溶液を用いて重合し製造した。更に、上
記文献に従って、そのクロロメチル基を酢酸エステル誘
導体とした後、水酸化ナトリウム溶液で加水分解してヒ
ドロキシメチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体と
した。
【0058】1リットルの4ツ口フラスコに、上記共重
合体50g、1,4−ジオキサン500ml、1,4−
ジブロモブタン200g(0.926mol)を加え、
50℃で30分撹拌し、ポリマーを膨潤させた。この中
へ、ナトリウムメトキシド31g(0.574mol)
を加え、70℃で10時間反応した。反応後、ポリマー
を取り出し、メタノールで充分洗浄した後、ポリマーを
水洗した。
【0059】500mlの4ツ口フラスコに、上記樹
脂、メタノール500mlを加え、室温で撹拌した。こ
の溶液に30%のトリメチルアミン水溶液200mlを
加え、50℃で10時間アミノ化反応を行った。反応
後、ポリマーを取り出し、充分水洗した。対イオンをC
l形に変換するため、樹脂量に対して10倍量の4%塩
化ナトリウム水溶液を通液した。得られた樹脂の平均粒
子径は560μmであった。
【0060】
【表4】 中性塩分解容量 2.32 meq/g 中性塩分解容量 0.71 meq/ml 水分含有率 44.5 % 膨潤度 3.25 ml/g
【0061】〔実施例−5〕5−ブロモペントキシメチ
ルスチレンを46.4g、ジビニルベンゼン(工業用)
を3.6gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
い、仕込み架橋度4モル%、平均粒子径700μmのア
ニオン交換樹脂を得た。重合収率は90%であった。
【0062】
【表5】 中性塩分解容量 2.61 meq/g 中性塩分解容量 0.74 meq/ml 水分含有率 51.5 % 膨潤度 3.54 ml/g
【0063】〔実施例−6〕5−ブロモペントキシメチ
ルスチレンを44.7g、ジビニルベンゼン(工業用)
を2.47gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
い、仕込み架橋度6モル%、平均粒子径720μmのア
ニオン交換樹脂を得た。重合収率は91%であった。
【0064】
【表6】 中性塩分解容量 3.00 meq/g 中性塩分解容量 0.93 meq/ml 水分含有率 51.7 % 膨潤度 3.25 ml/g
【0065】〔実施例−7〕6−ブロモヘキソキシメチ
ルスチレンを46.4g、ジビニルベンゼン(工業用)
を1.56gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
い、仕込み架橋度4モル%、平均粒子径680μmのア
ニオン交換樹脂を得た。重合収率は89%であった。
【0066】
【表7】 中性塩分解容量 3.00 meq/g 中性塩分解容量 0.87 meq/ml 水分含有率 57.5 % 膨潤度 3.47 ml/g
【0067】〔実施例−8〕ジビニルベンゼンの含有率
が3.2モル%となるように調製されたモノマー溶液を
用いてクロロメチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体を製造した。得られた共重合体の収率は83%であっ
た。また、このもののジメチルホルムアミド(DMF)
に対する膨潤度は、6.90ml/g(乾燥共重合体)
であった。
【0068】300mlの4ツ口フラスコに、ジメチル
ホルムアミド20ml、1,4−ブタンジオール17.
64g(0.195mol)、純度60%水素化ナトリ
ウム2.61g(0.065mol)を加え、室温にて
1時間撹拌した後、80mlのジメチルホルムアミドに
て膨潤させた上記共重合体10gを添加し、乾燥窒素気
流下にて60℃で25時間反応させた。反応後、ヒドロ
キシブトキシ化した共重合体を取り出し、水洗しアセト
ンにて充分洗浄した後、再び水洗し、真空乾燥した。
【0069】300mlの4ツ口フラスコ中で、ヒドロ
キシブトキシ化した共重合体5gを室温にてジメチルホ
ルムアミド30mlで膨潤した後、ピリジン5.75g
を加え氷冷した。氷冷下、撹拌しながら塩化チオニル
8.70g(0.073mol)を30分かけて滴下し
た後、70℃にて5時間反応させた。反応後、水酸基を
クロル化した共重合体を取り出し、水洗しアセトンにて
充分洗浄した後、再び水洗した。
【0070】ステンレス製の密閉容器にクロル化した共
重合体5gを入れ、さらにトリメチルアミン30%水溶
液25ml、メタノール10mlを加え、加圧下80℃
にて6時間アミノ化反応を行った。反応後、ポリマーを
取り出し、充分水洗した。対イオンをCl形に変換する
ため、ポリマーに対して10倍量の4%塩化ナトリウム
水溶液を通液した。得られた樹脂の性能は以下のとおり
である。
【0071】
【表8】 中性塩分解容量 2.46 meq/g 中性塩分解容量 0.58 meq/ml 水分含有率 63.3 %
【0072】〔比較例−1〕 (メチレン鎖を有する4モル%I型ゲル型アニオン交換
樹脂);実施例−1で4−ブロモブトキシメチルスチレ
ンの代わりにクロロメチルスチレンを用いた以外は、実
施例−1と同様に行った。
【0073】〔比較例−2〕 (エチレン鎖を有する4モル%I型ゲル型アニオン交換
樹脂);実施例−1で4−ブロモブトキシメチルスチレ
ンの代わりに2−ブロモエチルスチレン(公知の方法に
従って、ブロモエチルベンゼンを原料として合成し
た。)を用いた以外は、実施例−1と同様に行った。
【0074】〔比較例−3〕 (ブチレン鎖を有する4モル%架橋I型アニオン交換樹
脂);実施例−1において、4−ブロモブトキシメチル
スチレンの代わりに4−ブロモブチルスチレンを使用し
た以外は、全く同様に行った。
【0075】〔比較例−4〕 (ブチレン鎖を有する6モル%架橋I型アニオン交換樹
脂);実施例−2において、4−ブロモブトキシメチル
スチレンの代わりに4−ブロモブチルスチレンを使用し
た以外は、全く同様に行った。
【0076】〔比較例−5〕 (ヘプチレン鎖を有する4モル%架橋I型アニオン交換
樹脂);実施例−1において、4−ブロモブトキシメチ
ルスチレンの代わりに7−ブロモヘプチルスチレンを使
用した以外は、全く同様に行った。
【0077】〔比較例−6〕3−ブロモプロポキシメチ
ルスチレンを46.4g、ジビニルベンゼン(工業用)
を1.83gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
ない、仕込み架橋度4モル%、平均粒子径610μmの
アニオン交換樹脂を得た。重合収率は86%であった。
【0078】
【表9】 中性塩分解容量 3.38 meq/g 中性塩分解容量 0.74 meq/ml 水分含有率 60.8 % 膨潤度 4.57 ml/g
【0079】〔比較例−7〕3−ブロモプロポキシメチ
ルスチレンを44.7g、ジビニルベンゼン(工業用)
を2.74gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
ない、仕込み架橋度6モル%、平均粒子径650μmの
アニオン交換樹脂を得た。重合収率は83%であった。
【0080】
【表10】 中性塩分解容量 3.33 meq/g 中性塩分解容量 0.88 meq/ml 水分含有率 52.6 % 膨潤度 3.80 ml/g
【0081】(アニオン交換樹脂の耐熱試験)実施例−
1、2、5〜7で製造されたアニオン交換体、及び比較
例1〜7のアニオン交換樹脂を用いた。アニオン交換樹
脂に10倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し対イ
オンをCl形とした後、これらの樹脂50mlをはかり
とり、500mlの2N−水酸化ナトリウム水溶液を通
液しOH形に再生し、体積を測定した。
【0082】得られた樹脂をガラス製オートクレーブ管
に入れ、OH形の樹脂の体積の0.8倍量の脱塩水を加
えた。管内の溶存酸素を除去するため、50℃に加温し
た状態で窒素ガスを1時間通じた。このオートクレーブ
管をオイルバスに浸し、100℃で30日間もしくは9
0日間静置した後、樹脂を取り出し、500mlの2N
−水酸化ナトリウム水溶液を通液しOH形に再生した。
再生後の樹脂の体積を測定した。更に、5倍量の4%塩
化ナトリウム水溶液を通液し、対イオンをCl形に変換
した。このときの樹脂の体積、及び樹脂の一般性能を測
定し、イオン交換基の残存率を計算した。その耐熱試験
結果を表−1に示した。
【0083】
【表11】
【0084】(1)アニオン交換樹脂のイオン交換基
は、全てトリメチルアンモニウム基である。 (2)スペーサー:アニオン交換基とベンゼン環を結合
する官能基をいう。 (3)残存率:残存率は以下の式で表わされる。 残存率(%)=(耐熱試験後の中性塩分解容量meq/
ml×試験後のCl形の樹脂体積)÷(耐熱試験前の中
性塩分解容量meq/ml×試験前のCl形の樹脂体
積)×100 ・空欄は未実施 表−1より、本発明のアニオン交換体は従来のものと比
べ耐熱性に優れていることがわかる。
【0085】(アニオン交換樹脂の耐熱試験2)発電設
備における熱水処理用装置を模し、循環式加熱水通水試
験装置を作製した。下記の条件で、95℃の高温水を1
カ月間通水した後、残存する交換容量を測定した。アニ
オン交換樹脂に10倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を
通液し対イオンをCl形とし、これらの樹脂400ml
はかりとり、4000mlの2N−水酸化ナトリウム水
溶液を通液しOH形に再生した。再生後の体積を測定し
た。
【0086】得られた樹脂をカラムに充填し、95℃に
加熱した脱イオン水を80リッター/hの通水速度にて
30日間通水した。耐熱試験後、樹脂を取り出し、40
00mlの2N−水酸化ナトリウム水溶液を通液しOH
形に再生した。再生後の樹脂の体積を測定した。更に、
5倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し、対イオン
をCl形に変換した。このときの樹脂の体積、及び樹脂
の一般性能を測定した。その試験結果を表−2に示し
た。
【0087】
【表12】 (1)アニオン交換樹脂のイオン交換基は、全てトリメ
チルアンモニウム基である。 (2)スペーサー:トリメチルアンモニウム基とベンゼ
ン環とを結合する官能基をいう。 (3)残存率:残存率は以下の式で表わされる。 残存率(%)=(耐熱試験後の中性塩分解容量meq/
ml(Cl形)×試験後のCl形の樹脂体積)÷(耐熱
試験前の中性塩分解容量meq/ml(Cl形)×試験
前のCl形の樹脂体積)×100 (4)同条件で試験した市販樹脂(三菱化成社製 ダイ
ヤイオンSA10A)
【0088】(脱塩試験)実施例2で製造した架橋アニ
オン交換体を用いて試験を行った。実施例2のアニオン
交換体に10倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し
対イオンをCl形とした後、450mlをはかりとっ
た。これを、内径30mm長さ1000mmの円筒形カ
ラムに充填し、1350mlの1N−水酸化ナトリウム
水溶液を通液した。この後、脱塩水を2700mlを5
0分かけて通水し、下記組成の水溶液を再生形カチオン
交換樹脂1000mlに接触させた後通液して、カラム
出口で電気伝導度を測定した。 試験水 ナトリウムイオン 210ppm カルシウムイオン 140ppm シリカ 87.5ppm 硫酸イオン 210ppm 塩素イオン 140ppm (各濃度は、炭酸カルシウム換算) 結果 処理水の電気伝導度は、定常で0.3μS/
cmを示し、1.0μS/cmに達するまで実施例2の
イオン交換体1000mlあたり試験水103リッター
を脱塩することができた。
【0089】
【発明の効果】以上説明した本発明の発電設備における
熱水処理用アニオン交換体によれば、優れたイオン交換
能力を有した上で、従来よりさらに優れた耐熱性を発揮
し、従来のアニオン交換樹脂を使用した場合に比し、熱
損失を軽減できかつ熱ショックによる性能劣化を抑制し
得る。従って、本発明の工業的価値は顕著である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木庭 秀明 神奈川県横浜市栄区小山台二丁目8番26号 (72)発明者 久保田 裕久 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 澤田 慎太郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱水処理用架橋性アニオン交換体であっ
    て、下記一般式(I) 【化1】 (一般式(I)中、Aは直接結合又は炭素数1から4の
    直鎖状又は分岐状アルキレン基を表わし、Bは炭素数4
    から8の直鎖状アルキレン基を表わし、R1 、R 2 、R
    3 は同じか又は異なっていてもよい炭素数1から4のア
    ルキル基、或いはアルカノール基を示し、Xはアンモニ
    ウム基に配位した対イオンを示し、ベンゼン環Dは、ア
    ルキル基或いはハロゲン原子で置換されていてもよ
    い。)で表わされる構成単位と不飽和炭化水素基含有架
    橋性単量体から誘導される構成単位とを含有することを
    特徴とする発電設備における熱水処理用アニオン交換
    体。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示される構成単位を5〜
    99.9モル%、不飽和炭化水素基含有架橋性単量体か
    ら誘導される構成単位を50〜0.1モル%及び前記構
    成単位とは異なる不飽和炭化水素基含有単量体を0〜5
    0モル%含有することを特徴とする請求項1に記載の熱
    水処理用アニオン交換体。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aが炭素数1から2のアルキレン基であり、Bが炭素数
    4から8の直鎖状アルキレン基であることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の熱水処理用アニオン交換体。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aがメチレン基であり、Bが炭素数4から6の直鎖状ア
    ルキレン基であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の熱水処理用アニオン交換体。
  5. 【請求項5】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aがメチレン基であり、Bがn−ブチレン基であること
    を特徴とする請求項3に記載の熱水処理用アニオン交換
    体。
  6. 【請求項6】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aがエチレン基であり、Bがn−ブチレン基であること
    を特徴とする請求項3に記載の熱水処理用アニオン交換
    体。
JP7042107A 1994-03-01 1995-03-01 発電設備における熱水処理用アニオン交換体 Pending JPH07289923A (ja)

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