JP3147942B2 - 製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体 - Google Patents

製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体

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JP3147942B2 JP23867091A JP23867091A JP3147942B2 JP 3147942 B2 JP3147942 B2 JP 3147942B2 JP 23867091 A JP23867091 A JP 23867091A JP 23867091 A JP23867091 A JP 23867091A JP 3147942 B2 JP3147942 B2 JP 3147942B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製薬・化粧品用水製造
用架橋アニオン交換体に関するものであり、詳しくは、
精製処理された脱塩水にアミン臭が残存しないように改
良された製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】製薬・化粧品工業では、調製や洗浄に良
質で多量の水を必要とする。例えば、製薬工業におい
て、予備洗浄には、注射剤、点眼剤では殺菌した脱塩水
が使用され、外用液剤では脱塩水が使用される。一方、
化粧品工業においては、化粧品の原料用水として脱塩水
が使用される。上記のような製薬・化粧品用水は、ヒト
の健康に直接係わるだけに充分に精製された水でなけれ
ばならない。ところで、臭気は、極微量の成分によって
呈され、また、健康上、必ずしも問題となる訳ではない
が、製薬・化粧品用水としては、無臭気の水が望まれ
る。実際、例えば、化粧品用水規格の化粧品原料基準
(昭和42年8月8日、厚生省告示代322号)には、
臭気のないことが規定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イオン
交換樹脂を利用し脱塩水においては、以下に説明するよ
うに、アニオン交換樹脂に起因するアミン臭が脱塩水に
残存する場合がある。すなわち、脱塩処理に使用される
アニオン交換樹脂としては、官能基として、1〜3級ア
ミンや4級アンモニウム塩を有する種々の樹脂が知られ
ており、特に、ポリビニル芳香族化合物のベンジル基に
トリメチルアミンが共有結合した、トリメチルベンジル
アンモニウム塩タイプのアニオン交換樹脂は、イオン交
換能力が優れており広く用いられている。
【0004】ところが、従来のアニオン交換樹脂の場合
は、一般に耐熱性が充分でなく、例えば、トリメチルベ
ンジルアンモニウム塩タイプのものは、アンモニウム塩
が微量ながらも分解してアミンを生じ、これが、アミン
臭として脱塩水に残存する。特に、滅菌精製水の場合の
ように、紫外線殺菌処理を組み合わせ、しかも、殺菌効
果を高めるために比較的高温で紫外線殺菌処理を行った
後、そのままの高い温度で脱塩処理を行なう場合におい
ては、アンモニウム塩の分解反応が起こり易い。本発明
は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、
精製処理された脱塩水にアミン臭が残存しないように改
良された製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ある特定の構造
を有する架橋アニオン交換体が優れたイオン交換能力を
有した上で優れた耐熱性を発揮し得るとの知見を得、本
発明の完成に到った。すなわち、本発明の要旨は、特許
請求の範囲に記載の化学式[化1]で示される4級アン
モニウム基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含
有架橋性モノマーから誘導される単位単位を含有し、且
つ、全アニオン交換基の90%以上が上記の4級アンモ
ニウム基である架橋アニオン交換体より成ることを特徴
とする製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体に存
する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用する架橋アニオン交換体は新規物質であり、その特
徴は、前記の化学式[化1]で示される4級アンモニウ
ム基を有する構造単を含有し、且つ、全アニオン交換基
の90%以上が当該4級アンモニウム基である点に存す
る。
【0007】先ず、上記の架橋アニオン交換体の構造に
ついて説明する。化学式[化1]において、Rは炭素数
3〜18のアルキレン基を表し、具体的には、トリメチ
レン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン
等が挙げられる。そして、アルキレン基は、その連鎖中
に環状炭化水素を含有していてもよく、また、アルキル
基で置換されていてもよい。好ましいRは、炭素数3〜
10のアルキレン基である。また、下記の化学式[化
2]で表されるようなシクロヘキシレン基等の環状飽和
炭化水素基を介在しているアルキレン基も好ましい。
【0008】
【化2】
【0009】化学式[化1]において、R1 〜R3 は、
それぞれ独立に炭素数1〜8の炭化水素基またはアルカ
ノール基を表す。炭化水素基としては、直鎖状または分
岐鎖状のアルキル基、アルケニル基等が挙げられ、具体
的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、オクチル基等のアルキル基、これらのアルキル基に
対応するアルケニル基等が挙げられる。そして、これら
は、例えば、シクロヘキシルメチル基のように、環状炭
化水素基を有していてもよい。また、アルカノール基と
しては、上記のアルキル基、アルケニル基等にヒドロキ
シル基を結合したもの各種のアルカノール基が挙げられ
る。
【0010】化学式[化1]において、X- としては、
アニオンであれば特に限定されない。具体的には、例え
ば、Cl- ,Br- ,I- 等のハロゲンイオン、硫酸イ
オン、NO3 - 、OH- 、p−トルエンスルホン酸イオ
ン等のアニオンが挙げられる。そして、アニオンが硫酸
イオンのように2価である場合は、化学式[化1]で表
される構造単位2分子に対してアニオン1分子が結合す
ることになる。
【0011】化学式[化1]において、ベンゼン環の置
換基のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙
げられ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、沃素等が
挙げられる。また、ベンゼン環が他の芳香環と縮合した
例としてはナフタレン環が挙げられる。そして、ベンゼ
ン環が置換基を有する場合には、当該置換基としては、
メチル基またはエチル基が好ましい。
【0012】ところで、特公平2−42542号公報に
は、本発明で使用する架橋アニオン交換体に類似した構
造の強アニオン交換樹脂が記載されている。そして、こ
の強アニオン交換樹脂は、−Cn 2n−Xで示されるハ
ロアルキル基(式中、Xは塩素または臭素原子、nは1
〜4の整数)を有する架橋共重合体に3級アミンを反応
させて得られるが、具体的に開示されているのは、上記
の整数nが1である強アニオン交換樹脂のみである。そ
して、整数nが3又は4の強アニオン交換樹脂について
は、開示された方法に準じて製造した場合、−(C
2 3 −Xまたは−(CH2 4 −Xで示されるハロ
アルキル基から誘導されるアニオン交換基を極く僅かに
しか有しないものである。上記の公報において、耐熱性
は問題にされてはいないが、上記のような強アニオン交
換樹脂では、充分な耐熱性は期待できない。
【0013】本発明で使用する架橋アニオン交換体にお
いては、全アニオン交換基の90%以上が前記の化学式
[化1]で示される4級アンモニウム基であることが必
要である。この点において、本発明で使用する架橋アニ
オン交換体は、公知のアニオン交換樹脂と異なってお
り、優れた耐熱性を有する。そして、全アニオン交換基
の実質的全量が上記の4級アンモニウム基であることが
好ましい。
【0014】本発明で使用する架橋アニオン交換体は、
前記の化学式[化1]で示される4級アンモニウム基と
共に不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導され
る構造単位を含有している。そして、不飽和炭化水素基
含有架橋性モノマーは、アニオン交換体を架橋重合とし
て得るための必須成分であり、従って、不飽和炭化水素
基含有架橋性モノマーについては、以下の製造方法にお
いて説明する。
【0015】次に、上記の架橋アニオン交換体の製造方
法について説明する。先ず、原料モノマーについて説明
する。前記の化学式[化1]で示される構造単位は、通
常、下記の化学式[化3]で示される前駆体モノマーと
して与えられる。
【0016】
【化3】
【0017】上記の化学式[化3]中、Rは化学式[化
1]における定義と同じであり、Zは、臭素、塩素、沃
素等のハロゲン原子またはトシル基等の置換活性のある
有機基を表す。そして、ベンゼン環は、アルキル基また
はハロゲン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳
香環と縮合していてもよい。
【0018】上記の化学式[化3]で示される前駆体モ
ノマーの母体モノマーとしては、スチレン、エチルビニ
ルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等の芳
香族ビニル化合物が挙げられるが、特にスチレンが好ま
しい
【0019】上記の前駆体モノマーは、通常、例えば、
「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリマー
・ケミストリー・エディション,20巻,1982年,
3015ページ」に記載されている公知の技術で製造し
得る。
【0020】例えば、クロルメチル化した母体モノマー
(例えばクロルメチルスチレン)にグリニヤール法を適
用してポリアルキレンジハライドを反応させることによ
り得ることができる。ここで言うポリアルキレンジハラ
イドとは、通常、炭素数2〜17のアルキレン基を有す
るものが挙げられ、特に、炭素数が2〜9のアルキレン
基を有するものが好適に使用される。炭素数が上記範囲
よりも少ないポリアルキレンジハライドを使用した場合
は、得られる架橋アニオン交換体の耐熱性が充分ではな
く、また、炭素数が上記範囲よりも多いポリアルキレン
ジハライドを使用した場合は、得られる架橋アニオン交
換体の単位重量当りの交換容量が小さくて工業的観点か
らは実用的でない。
【0021】また、前駆体モノマーは、上記の他、クロ
ル化した母体モノマー(クロルスチレン)にグリニヤー
ル法を適用してポリアルキレンジハライドを反応させる
方法によっても得ることができる。この場合は、ポリア
ルキレンジハライドとしてはアルキレン基の炭素数が3
〜18、好ましくは3〜10のものが使用される。
【0022】不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーとし
ては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニ
ルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート等が挙げられる。これらの中ではジビニ
ルベンゼンが好ましい。
【0023】上記のような前駆体モノマー及び架橋性モ
ノマー以外に、必要に応じ、付加重合性モノマーを共重
合成分として使用することもできる。付加重合性モノマ
ーの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル等のメタクリル酸エス
テル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、ア
クリル酸、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、エチルビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニ
ルナフタレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられ
る。
【0024】本発明における架橋アニオン交換体は、上
記の原料モノマーを使用して架橋共重合体を得、次い
で、前駆体モノマーの有する構造単位「−R−Z」の部
位にアンモニウム基を導入することにより製造される。
上記の架橋共重合体は、公知の方法に準じて製造され、
通常は、球状架橋共重合体として製造される。すなわ
ち、重合開始剤の存在下に、前記の化学式[化3]で示
される前駆体モノマーと不飽和炭化水素基含有架橋性モ
ノマー及び必要に応じて用いられる付加重合性モノマー
を懸濁重合し、球状架橋共重合体を製造する。
【0025】そして、不飽和炭化水素基含有架橋性モノ
マーの使用割合は、得られるアニオン交換体の不溶化に
重要な影響を与える。通常、不飽和炭化水素基含有架橋
性モノマーの使用割合が低い場合はアニオン交換体の不
溶化が出来ず、また、逆に、使用割合が高い場合はアニ
オン交換体のイオン交換成分の比率が低くなるために実
用上意味を持たない。従って、上記の懸濁重合におい
て、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーの使用割合
は、原料モノマー全量に対し、通常0.1〜55重量%
の範囲、好ましくは0.5〜25重量%の範囲とされ
る。そして、前駆体モノマーの使用割合は、原料モノマ
ー全量に対し、通常は20〜100重量%の範囲、付加
重合性モノマーの使用割合は、原料モノマー全量に対
し、通常0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%の
範囲とされる。
【0026】重合開始剤としては、過酸化ジベンゾイ
ル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられ、原料
モノマー全量に対し、通常0.1〜5重量%の範囲で使
用される。そして、重合温度は、重合開始剤の種類や濃
度によっても異なるが、通常は40〜100℃の範囲か
ら適宜選択される。
【0027】架橋共重合体にアンモニウム基を導入する
方法としては、公知の方法が挙げられる。例えば、溶媒
中に架橋共重合体を懸濁し、NR1 2 3 (式中、R
1 〜R3 は前記化学式[化1]におけると定義と同じ)
で表わされる置換アミンを反応させる方法が挙げられ
る。この導入反応の際に用いられる溶媒としては、例え
ば、水、アルコール、トルエン、ジオキサン、ジメチル
ホルムアミド等が挙げられ、これらは、単独または混合
溶媒として用いられる。また、反応温度は、置換アミン
の種類や溶媒の種類により大きく異なるが、通常は20
〜100℃の範囲から適宜選択される。
【0028】本発明で使用する架橋アニオン交換体は、
架橋共重合体にアンモニウム基を導入した後、その塩型
を各種アニオン型変換したものであり、斯かる変換は、
公知の方法によって容易になし得る。そして、架橋アニ
オン交換体としては、特に、前記の化学式[化1]で示
される4級アンモニウム基を有する構造単位を20〜9
9.5重量%、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーか
ら誘導される構造単位を0.1〜55重量%及びその他
の付加重合性モノマーから誘導される構造単位を0〜2
5重量%含有するものが好ましい。
【0029】また、本発明で使用する架橋アニオン交換
体としては、前記の化学式[化1]において、Xを水酸
化物イオンとした状態において、0.1N水酸化ナトリ
ウム水溶液中、100℃、60時間加熱した際に、交換
容量残存率が90%以上で且つ体積保持率が90%以上
であるという条件を満たすものが特に好ましい。
【0030】また、架橋アニオン交換体の形状は、特に
限定されず、上記したビーズ状の他、公知の方法で多孔
性を付与し、また、繊維状、粉状、板状、膜状のような
各種形状に変更することもできる。
【0031】本発明の製薬・化粧品用水製造用架橋アニ
オン交換体は、製薬・化粧品用水の如何なる製造方法に
も適用し得る。そして、本発明の製薬・化粧品用水製造
用架橋アニオン交換体は、優れた耐熱水を有し、例え
ば、以下の実施例にて明らかな通り、100℃程度の高
温においても長期間に亙って安定である。従って、本発
明の製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体によれ
ば、精製処理された脱塩水にアミン臭が残存することが
殆どない。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 製造例1 <ω−ハロアルキルスチレンの合成>窒素置換したジエ
チルエーテル中、クロルメチルスチレン100gと金属
マグネシウムとを0℃で3時間撹拌下し、マグネシウム
複合体とした。次いで、窒素置換テトラハイドロフラン
で溶媒置換した後、0℃で1,3−ジブロモプロパン及
びLi2 CuCl4 を含むテトラヒドロフラン中にマグ
ネシウム複合体を滴下し、0℃で5時間、反応を続け
た。蒸留により得られた生成物を分取したところ、0.
3Torr、120℃の条件で4−ブロモブチルスチレ
ンが得られ、原料クロルメチルスチレンを基準とする収
率は35%であった。4−ブロモブチルスチレンの同定
は、「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・ポリ
マー・ケミストリー・エディション,20巻,1982
年,3015ページ」に記載のNMR法により行った。
【0033】<架橋化ω−ハロアルキルスチレンの合成
>上記の4−ブロモブチルスチレン96.4重量部およ
び工業グレードのジビニルベンゼン(純度55%、残り
の主成分はエチルビニルベンゼン)3.6重量部に1.
0重量部のアゾビスイソブチロニトリルを加え、窒素雰
囲気下、70℃で18時間、懸濁重合を行ない、ポリマ
ービーズ(架橋化4−ブロモブチルスチレン)を90%
の収率で得た。
【0034】<架橋アニオン交換体の合成>上記の架橋
化4−ブロモブチルスチレン100重量部をジオキサン
300重量部中に懸濁させて撹拌を行い、2時間膨潤さ
せた。次いで、ブロモ基に対して3モル等量のトリメチ
ルアミンを滴下し、50℃で10時間反応を続け、架橋
アニオン交換体を得た。得られた架橋アニオン交換体を
脱塩水を用いて充分に洗浄した後、塩型をクロル型に変
換した。上記のようにして得られた架橋アニオン交換体
(以下、「サンプルA」と称する)の一般性能は、次の
通りであった。 交換容量 0.79meq/ml 3.77meq/g 水 分 67.4% なお、上記一般性能の測定は、「本田ら編著、イオン交
換樹脂、廣川書店、17〜56ページ」に記載の方法に
よった。
【0035】製造例2 製造例1の架橋化ω−ハロアルキルスチレンの合成にお
いて、4−ブロモブチルスチレンの使用量を92.7重
量部に変更し、工業グレードのジビニルベンゼンの使用
量を7.3重量部に変更した以外は、製造例1と同様な
方法により架橋アニオン交換体を得た。上記のようにし
て得られた架橋アニオン交換体(以下、「サンプルB」
と称する)の一般性能は、次の通りであった。 交換容量 1.10meq/ml 3.65meq/g 水 分 54.1%
【0036】製造例3 製造例1のω−ハロアルキルスチレンの合成において、
1,3−ジブロモプロパンの代りに、1,6−ジブロモ
ヘキサンを用いた以外は、製造例2と同様な方法により
架橋アニオン交換体を得た。上記のようにして得られた
架橋アニオン交換体(以下、「サンプルC」と称する)
の一般性能は、次の通りであった。 交換容量 1.16meq/ml 3.07meq/g 水 分 44.1% なお、中間体である7−ブロモヘプチルスチレンは0.
4Torr、120℃の条件で蒸留分取された。
【0037】製造例4 製造例1のω−ハロアルキルスチレンの合成において、
1,3−ジブロモプロパンの代りに、1,4−ビス(ブ
ロモメチル)シクロヘキサンを用いた以外は、製造例1
と同様な方法により架橋アニオン交換体を得た。上記の
ようにして得られた架橋アニオン交換体(以下、「サン
プルD」と称する)の一般性能は、次の通りであった。 交換容量 0.96meq/ml 2.77meq/g 水 分 49.6% なお、中間体である2−(4−ブロモメチルシクロヘキ
シレン)−エチルスチレンは0.25Torr、120
℃の条件で蒸留分取された。
【0038】実施例1 <耐熱試験>上記製造例で得られたサンプルA、B、
C、D及びダイヤイオンSA102(商品名、三菱化成
株式会社製のトリメチルベンジルアンモニウム塩タイプ
のアニオン交換樹脂)の耐熱性比較試験を実施した。ク
ロル型基準で10mlの架橋アニオン交換体をメスシリ
ンダーで計り取り、カラム法によりクロル型を遊離型に
変換した。セントル濾過を行い余分な水分を除去した
後、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液40mlを含
む試験管中に入れた。試験管をオートクレーブ中に配置
した後に、オートクレーブを加温状態にして耐熱性試験
を実施した。100℃で60時間加温した場合の交換容
量の減少は、以下の[表1]に示す通りであった。ただ
し、試験後の交換容量は試験実施前の体積基準で表示し
た。
【0039】
【表1】 サンプル SA102 A B C D ──────────────────────────────────── <試験前> 交換容量(meq/ml) 0.83 0.79 1.10 1.16 0.96 <試験後> 交換容量(meq/ml) 0.72 0.69 1.07 1.14 0.94 残存率(%) 86.7 87.3 97.3 98.3 97.9 体積保持率(%) 80.2 96.0 94.0 95.0 95.8 ────────────────────────────────────
【0040】<製薬・化粧品用水の製造試験>製造例3
で得られたサンプルC100mlをカラムに充填し、水
道水を通液させて化粧品用水を製造した。カラムから導
出された化粧品用水の臭気検査を5人のパネラーにより
実施した。また、比較のために、SA102を使用して
同様に化粧品用水を製造して臭気検査を行なった。臭気
検査の結果、本発明の製薬・化粧品用水製造用の架橋ア
ニオン交換体であるサンプルCの場合、パネラー5人は
いずれも臭気を感じなかったが、SA102の場合は3
人のパネラーが臭気を感じた。
【0041】
【発明の効果】以上説明した本発明の製薬・化粧品用水
製造用架橋アニオン交換体によれば、アミン臭が殆ど残
存しない製薬・化粧品用水を製造することができる。従
って、本発明の工業的価値は顕著である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化学式[化1]で示される4級ア
    ンモニウム基を有する構造単位および不飽和炭化水素基
    含有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、
    且つ、全アニオン交換基の90%以上が上記の4級アン
    モニウム基である架橋アニオン交換体より成ることを特
    徴とする製薬・化粧品用水製造用架橋アニオン交換体。 【化1】 (式中、Rは炭素数3〜18のアルキレン基を表し、当
    該アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化水素を含有し
    ていてもよく、また、アルキル基で置換されていてもよ
    い。そして、R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1〜
    8の炭化水素基またはアルカノール基、X- はアニオン
    を表し、また、ベンゼン環は、アルキル基またはハロゲ
    ン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳香環と縮
    合していてもよい)
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