JP3484734B2 - シリカの除去方法 - Google Patents
シリカの除去方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリカの除去方法に関
するものであり、特に溶液中に存在するケイ酸化合物や
コロイダルシリカを特定の構造を有する架橋アニオン交
換体と接触させ、吸着又は分離するシリカの新規な除去
方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来イオン交換樹脂を用いるシリカ除去
に関する多くの提案がなされている。例えば、特開平4
−244207号、特開平3−80989号、特開平2
−135147号、特開平1−284386号公報等に
記載されているように、現在使用されているシリカ除去
用樹脂としては、性能、化学的安定性、強度及び価格の
点から、強塩基性スチレン系陰イオン交換樹脂が使用さ
れている。強塩基性基のイオン交換基としては、トリメ
チルアミノ基、ヒドロキシメチルジメチルアミノ基、ヒ
ドロキシエチルジメチルアミノ基、ヒドロキシプロピル
ジメチルアミノ基等が用いられている。例えば、市販の
イオン交換樹脂としてはダイヤイオンR SA10A、S
A12A(ダイヤイオンは三菱化成の登録商標)、アン
バーライト RIRA−400(アンバーライトはローム
&ハース社の登録商標)等である。しかしながら、これ
らのスチレン系陰イオン交換樹脂においては、高温領域
においてシリカの保持が弱く、吸着したシリカが容易に
溶出してしまうという欠点があった。 【0003】他方、特開平4−349941号公報に
は、前記一般式(1)で示される4級アンモニウム基を
有する構造単位及び不飽和炭化水素基含有架橋性モノマ
ーから誘導される単位を含有し、かつアニオン交換基の
90%以上を−R−N+ R1 R 2 R3 ・X- で示される
基として有する架橋アニオン交換体が記載されている。
同公報はかかる樹脂が、耐熱性に優れていることを記載
しているが、シリカ除去性能に関しては記載していな
い。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の架橋アニオン交換体を用いることにより、広範囲の温
度において効率よく水中のシリカを除去する方法を提供
することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、下記
式(1)で示される構造単位及び不飽和炭化水素基含有
架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且
つ、全アニオン交換基の90%以上が一般式(1)にお
ける−R−N+ R1 R2 R3 ・X- で示される基である
架橋アニオン交換体とシリカ含有水とを接触させること
を特徴とする水中のシリカの除去方法に存する。 【0006】 【化2】 【0007】(式中、Rは炭素数3〜18のアルキレン
基を表し、該アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化水
素を含有していてもよく、また、アルキル基で置換され
ていてもよく、R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1
〜8の炭化水素基またはアルカノール基を表し、X- は
アニオンを表し、また、ベンゼン環は、アルキル基また
はハロゲン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳
香環と縮合していてもよい。)以下、本発明について詳
細に説明する。本発明のアニオン交換体における前記一
般式(1)で示される構成単位において、Rは炭素数3
〜18のアルキレン基を表し、具体的には、トリメチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等
が挙げられる。アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化
水素を含有していてもよく、また、アルキル基で置換さ
れていてもよい。Rとしては、好ましくは炭素数3〜1
0のアルキレン基である。また、下記式(2)で表され
るようなシクロヘキシレン基等の環状飽和炭化水素基を
介在しているアルキレン基も好ましい。 【0008】 【化3】 【0009】一般式(1)において、R1 、R2 及びR
3 は、それぞれ独立に炭素数1〜8の炭化水素基または
アルカノール基を表す。炭化水素基としては、直鎖状ま
たは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基等が挙げら
れ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、これらのアル
キル基に対応するアルケニル基等が挙げられる。これら
は、例えば、シクロヘキシルメチル基のように、環状炭
化水素基を有していてもよい。また、アルカノール基と
しては、上記のアルキル基、アルケニル基等にヒドロキ
シル基を結合したもの等の各種のアルカノール基が挙げ
られる。 【0010】一般式(1)において、X- としては、ア
ニオンであれば特に限定されない。具体的には、例え
ば、Cl- 、Br- 、I- 等のハロゲンイオン、硫酸イ
オン、NO3 - 、OH- 、p−トルエンスルホン酸イオ
ン等のアニオンが挙げられる。そして、アニオンが硫酸
イオンのように2価である場合は、一般式(1)で表さ
れる構造単位2分子に対してアニオン1分子が結合する
ことになる。 【0011】一般式(1)において、ベンゼン環におけ
る置換基のアルキル基としては、メチル基、エチル基等
が挙げられ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、よう
素等が挙げられる。また、ベンゼン環が他の芳香環と縮
合した例としてはナフタレン環等が挙げられ、ナフタレ
ン環にはアルキル基、ハロゲン原子等の置換基が結合し
ていてもよい。ベンゼン環が置換基を有する場合には、
該置換基としては、メチル基またはエチル基であること
が好ましい。本発明で使用する架橋アニオン交換体にお
いては、全アニオン交換基の90%以上が一般式(1)
における−R−N+ R1 R2 R3 ・X- で示される4級
アンモニウム基であることが必要である。とくにアニオ
ン交換基は、実質的に全量が上記の−R−N+ R1 R2
R3 ・X - で示される4級アンモニウム基であることが
好ましい。 【0012】本発明で用いるアニオン交換体は、例え
ば、前記特開平4−349941号公報に記載されるよ
うに下記一般式(3)で示される前駆体モノマーとジビ
ニルベンゼン等の不飽和炭化水素基含有架橋性モノマー
を共重合し、ついで、公知の方法により該前駆体モノマ
ーの−R−Zの部位にアンモニウム基を導入することに
より製造される。 【0013】 【化4】 【0014】(式中Rは前記一般式(1)における定義
と同じであり、Zはハロゲン原子、トシル基等の置換活
性を有する基を表す。)本発明で使用するアニオン交換
体としては球状が好ましい。該球状のアニオン交換体は
種々の懸濁重合法により得ることができる。 【0015】これらアニオン交換体の平均粒径は、通常
1μm〜10mmであり、好ましくは10μm〜5mm
であり、更に好ましくは100μm〜3mmである。一
般にシリカとよばれるものは、不溶性のものと可溶性の
ものがあり、前者は懸濁性固体状あるいはコロイド状の
ものがあり、後者は、通常天然水中では多くはSi(O
H)3 - として存在し、低濃度・中性領域ではSiO6
(OH)6 2-の形態で存在する。本発明の方法によれ
ば、可溶性シリカは勿論のこと、懸濁性の微粒子状の不
溶性シリカも捕捉、吸着することが可能である。 【0016】シリカの除去方法としては、特に、限定さ
れるものではない。その使用方法は、アニオン交換体を
多塔式装置の一部に組み込む(単床単塔式)又は混合床
として使用する方法、又バッチ式で使用する方法等種々
の使用方法が挙げられる。本発明の方法において用いる
架橋アニオン交換体にあっては、比較的高温の40℃〜
100℃程度の処理水に対しても極めて優れたシリカに
対する吸着保持力を有する。 【0017】本発明の方法で用いたアニオン交換体は、
通常のアニオン交換樹脂と同様、NaOH等の塩基性水
溶液により再生することができる。本発明の方法は、例
えば、通常のボイラー給水の軟水化用として使用される
他、原子力発電所用、火力発電用所用等の純水製造用と
して使用することができる。 【0018】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。 〔製造例1〕 <ω−ハロアルキルスチレンの合成>窒素置換したジエ
チルエーテル中、クロルメチルスチレン100gと金属
マグネシウムとを0℃で3時間かくはんし、マグネシウ
ム複合体とした。次いで、窒素置換テトラヒドロフラン
で溶媒置換した後、0℃で1,3−ジブロモプロパン及
びLi2 CuCl4 を含むテトラヒドロフラン中にマグ
ネシウム複合体を滴下し、0℃で5時間、反応を続け
た。 【0019】蒸留により得られた生成物を分取したとこ
ろ、40Pa、120℃の条件で4−ブロモブチルスチ
レンが得られ、原料クロルメチルスチレンを基準とする
収率は35%であった。4−ブロモブチルスチレンの同
定は、「ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス・ポリ
マー・ケミストリー・エディション、20巻、1982
年、3015ページ」に記載のNMR法により行った。 【0020】<架橋化ω−ハロアルキルスチレンの合成
>上記の4−ブロモブチルスチレン96.4重量部およ
び工業グレードのジビニルベンゼン(純度55%、残り
の主成分はエチルビニルベンゼン)3.6重量部に1.
0重量部のアゾビスイソブチロニトリルを加え、窒素雰
囲気下、70℃で18時間、懸濁重合を行い、ポリマー
ビーズ(架橋化4−ブロモブチルスチレン)を90%の
収率で得た。 【0021】<架橋アニオン交換体の合成>上記の架橋
化4−ブロモブチルスチレン100重量部をジオキサン
300重量部中に懸濁させてかくはんを行い、2時間膨
潤させた。次いで、ブロモ基に対して3モル等量のトリ
メチルアミンを滴下し、50℃で10時間反応を続け、
架橋アニオン交換体を得た。得られた架橋アニオン交換
体を脱塩水を用いて充分に洗浄した後、塩型をクロル型
に変換した。上記のようにして得られた架橋アニオン交
換体の一般性能は、次の通りであった。 【0022】 【表1】 中性塩分解容量 0.79meq/ml 3.77meq/g 水分 67.4% なお、上記一般性能の測定は、「本田ら編著、イオン交
換樹脂、ひろ川書店、17〜56ページ」に記載の方法
によった。 【0023】〔製造例2〕製造例1の架橋化ω−ハロア
ルキルスチレンの合成において、4−ブロモブチルスチ
レンの使用量を92.7重量部に、工業グレードのジビ
ニルベンゼンの使用量を7.3重量部に変更した以外
は、製造例1と同様な方法により架橋アニオン交換体を
得た。上記のようにして得られた架橋アニオン交換体の
一般性能は、次の通りであった。 【0024】 【表2】 中性塩分解容量 1.10meq/ml 3.65meq/g 水分 54.1% 【0025】〔製造例3〕製造例1のω−ハロアルキル
スチレンの合成において、1,3−ジブロモプロパンの
代わりに、1,6−ジブロモヘキサンを用いた以外は、
製造例2と同様な方法により架橋アニオン交換体を得
た。上記のようにして得られた架橋アニオン交換体の一
般性能は、次の通りであった。 【0026】 【表3】 中性塩分解容量 1.16meq/ml 3.07meq/g 水分 44.1% なお、中間体である7−ブロモヘプチルスチレンは53
Pa、120℃の条件で蒸留分取された。 【0027】〔実施例1〕製造例1で製造した架橋アニ
オン交換体10mlを完全再生し、それを、シリカ(S
iO2 )440mgと硫酸イオン(SO4 2- )310m
gとを溶解した水溶液100mlに入れ、一時間かくは
んした後、アニオン交換体を分離水洗しシリカと硫酸イ
オンを一定量吸着させた。シリカと硫酸イオンの吸着量
を表−1に示す。吸着後のアニオン交換体10mlを2
5℃、75℃及び95℃の各温度の純水100mlにそ
れぞれ浸漬し、70時間浸漬後のシリカと硫酸イオンの
溶出量を測定した。この結果を表−2に示す。なお硫酸
イオンはいずれの場合にも溶出しなかった。 【0028】〔実施例2〕製造例2で製造した架橋アニ
オン交換体10mlを完全再生し、それを、シリカ(S
iO2 )440mgと硫酸イオン(SO4 2- )310m
gとを溶解した水溶液100mlに入れ、一時間かくは
んした後、アニオン交換体を分離水洗しシリカと硫酸イ
オンを一定量吸着させた。シリカと硫酸イオンの吸着量
を表−1に示す。吸着後のアニオン交換体10mlを2
5℃、75℃及び95℃の各温度の純水100mlにそ
れぞれ浸漬し、70時間浸漬後のシリカと硫酸イオンの
溶出量を測定した。この結果を表−2に示す。なお硫酸
イオンはいずれの場合にも溶出しなかった。また、同様
に95℃の純水に対する浸漬を30日間継続した結果、
シリカ溶出量は4mgであった。 【0029】〔実施例3〕製造例3で製造した架橋アニ
オン交換体10mlを完全再生し、それを、シリカ(S
iO2 )440mgと硫酸イオン(SO4 2- )310m
gとを溶解した水溶液100mlに入れ、一時間かくは
んした後、アニオン交換体を分離水洗しシリカと硫酸イ
オンを一定量吸着させた。シリカと硫酸イオンの吸着量
を表−1に示す。吸着後のアニオン交換体10mlを2
5℃、75℃及び95℃の各温度の純水100mlにそ
れぞれ浸漬し、70時間浸漬後のシリカと硫酸イオンの
溶出量を測定した。この結果を表−2に示す。なお硫酸
イオンはいずれの場合にも溶出しなかった。 【0030】〔比較例1〕スチレンとジビニルベンゼン
の共重合体から作られた強塩基性アニオン交換体である
ダイヤイオンSA10A(三菱化成社製)を用い、実施
例1と全く同様にしてシリカと硫酸イオンを一定量吸着
させた。シリカと硫酸イオンの吸着量を表−1に示す。
アニオン交換樹脂10mlを25℃、75℃及び95℃
の各温度の純水100mlに浸漬し、70時間浸漬後の
シリカと硫酸イオンの溶出量を測定した。この結果を表
−2に示す。なお硫酸イオンはいずれの場合にも溶出し
なかった。また、同様に95℃の純水に対する浸漬を3
0日間継続した結果、シリカ溶出量が17mgであっ
た。 【0031】 【表4】 【0032】 【表5】 【0033】以上のように、本発明の製造例で得られる
架橋アニオン交換体は、従来知られている架橋アニオン
交換体に比較し、シリカに対する吸着保持力が広い温度
範囲において大きいことが明らかである。 【0034】 【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の方法に比
較し、広範囲の温度において効率よく水中のシリカを除
去することができる。
するものであり、特に溶液中に存在するケイ酸化合物や
コロイダルシリカを特定の構造を有する架橋アニオン交
換体と接触させ、吸着又は分離するシリカの新規な除去
方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来イオン交換樹脂を用いるシリカ除去
に関する多くの提案がなされている。例えば、特開平4
−244207号、特開平3−80989号、特開平2
−135147号、特開平1−284386号公報等に
記載されているように、現在使用されているシリカ除去
用樹脂としては、性能、化学的安定性、強度及び価格の
点から、強塩基性スチレン系陰イオン交換樹脂が使用さ
れている。強塩基性基のイオン交換基としては、トリメ
チルアミノ基、ヒドロキシメチルジメチルアミノ基、ヒ
ドロキシエチルジメチルアミノ基、ヒドロキシプロピル
ジメチルアミノ基等が用いられている。例えば、市販の
イオン交換樹脂としてはダイヤイオンR SA10A、S
A12A(ダイヤイオンは三菱化成の登録商標)、アン
バーライト RIRA−400(アンバーライトはローム
&ハース社の登録商標)等である。しかしながら、これ
らのスチレン系陰イオン交換樹脂においては、高温領域
においてシリカの保持が弱く、吸着したシリカが容易に
溶出してしまうという欠点があった。 【0003】他方、特開平4−349941号公報に
は、前記一般式(1)で示される4級アンモニウム基を
有する構造単位及び不飽和炭化水素基含有架橋性モノマ
ーから誘導される単位を含有し、かつアニオン交換基の
90%以上を−R−N+ R1 R 2 R3 ・X- で示される
基として有する架橋アニオン交換体が記載されている。
同公報はかかる樹脂が、耐熱性に優れていることを記載
しているが、シリカ除去性能に関しては記載していな
い。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の架橋アニオン交換体を用いることにより、広範囲の温
度において効率よく水中のシリカを除去する方法を提供
することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、下記
式(1)で示される構造単位及び不飽和炭化水素基含有
架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且
つ、全アニオン交換基の90%以上が一般式(1)にお
ける−R−N+ R1 R2 R3 ・X- で示される基である
架橋アニオン交換体とシリカ含有水とを接触させること
を特徴とする水中のシリカの除去方法に存する。 【0006】 【化2】 【0007】(式中、Rは炭素数3〜18のアルキレン
基を表し、該アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化水
素を含有していてもよく、また、アルキル基で置換され
ていてもよく、R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1
〜8の炭化水素基またはアルカノール基を表し、X- は
アニオンを表し、また、ベンゼン環は、アルキル基また
はハロゲン原子で置換されていてもよく、更に、他の芳
香環と縮合していてもよい。)以下、本発明について詳
細に説明する。本発明のアニオン交換体における前記一
般式(1)で示される構成単位において、Rは炭素数3
〜18のアルキレン基を表し、具体的には、トリメチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等
が挙げられる。アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化
水素を含有していてもよく、また、アルキル基で置換さ
れていてもよい。Rとしては、好ましくは炭素数3〜1
0のアルキレン基である。また、下記式(2)で表され
るようなシクロヘキシレン基等の環状飽和炭化水素基を
介在しているアルキレン基も好ましい。 【0008】 【化3】 【0009】一般式(1)において、R1 、R2 及びR
3 は、それぞれ独立に炭素数1〜8の炭化水素基または
アルカノール基を表す。炭化水素基としては、直鎖状ま
たは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基等が挙げら
れ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、これらのアル
キル基に対応するアルケニル基等が挙げられる。これら
は、例えば、シクロヘキシルメチル基のように、環状炭
化水素基を有していてもよい。また、アルカノール基と
しては、上記のアルキル基、アルケニル基等にヒドロキ
シル基を結合したもの等の各種のアルカノール基が挙げ
られる。 【0010】一般式(1)において、X- としては、ア
ニオンであれば特に限定されない。具体的には、例え
ば、Cl- 、Br- 、I- 等のハロゲンイオン、硫酸イ
オン、NO3 - 、OH- 、p−トルエンスルホン酸イオ
ン等のアニオンが挙げられる。そして、アニオンが硫酸
イオンのように2価である場合は、一般式(1)で表さ
れる構造単位2分子に対してアニオン1分子が結合する
ことになる。 【0011】一般式(1)において、ベンゼン環におけ
る置換基のアルキル基としては、メチル基、エチル基等
が挙げられ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、よう
素等が挙げられる。また、ベンゼン環が他の芳香環と縮
合した例としてはナフタレン環等が挙げられ、ナフタレ
ン環にはアルキル基、ハロゲン原子等の置換基が結合し
ていてもよい。ベンゼン環が置換基を有する場合には、
該置換基としては、メチル基またはエチル基であること
が好ましい。本発明で使用する架橋アニオン交換体にお
いては、全アニオン交換基の90%以上が一般式(1)
における−R−N+ R1 R2 R3 ・X- で示される4級
アンモニウム基であることが必要である。とくにアニオ
ン交換基は、実質的に全量が上記の−R−N+ R1 R2
R3 ・X - で示される4級アンモニウム基であることが
好ましい。 【0012】本発明で用いるアニオン交換体は、例え
ば、前記特開平4−349941号公報に記載されるよ
うに下記一般式(3)で示される前駆体モノマーとジビ
ニルベンゼン等の不飽和炭化水素基含有架橋性モノマー
を共重合し、ついで、公知の方法により該前駆体モノマ
ーの−R−Zの部位にアンモニウム基を導入することに
より製造される。 【0013】 【化4】 【0014】(式中Rは前記一般式(1)における定義
と同じであり、Zはハロゲン原子、トシル基等の置換活
性を有する基を表す。)本発明で使用するアニオン交換
体としては球状が好ましい。該球状のアニオン交換体は
種々の懸濁重合法により得ることができる。 【0015】これらアニオン交換体の平均粒径は、通常
1μm〜10mmであり、好ましくは10μm〜5mm
であり、更に好ましくは100μm〜3mmである。一
般にシリカとよばれるものは、不溶性のものと可溶性の
ものがあり、前者は懸濁性固体状あるいはコロイド状の
ものがあり、後者は、通常天然水中では多くはSi(O
H)3 - として存在し、低濃度・中性領域ではSiO6
(OH)6 2-の形態で存在する。本発明の方法によれ
ば、可溶性シリカは勿論のこと、懸濁性の微粒子状の不
溶性シリカも捕捉、吸着することが可能である。 【0016】シリカの除去方法としては、特に、限定さ
れるものではない。その使用方法は、アニオン交換体を
多塔式装置の一部に組み込む(単床単塔式)又は混合床
として使用する方法、又バッチ式で使用する方法等種々
の使用方法が挙げられる。本発明の方法において用いる
架橋アニオン交換体にあっては、比較的高温の40℃〜
100℃程度の処理水に対しても極めて優れたシリカに
対する吸着保持力を有する。 【0017】本発明の方法で用いたアニオン交換体は、
通常のアニオン交換樹脂と同様、NaOH等の塩基性水
溶液により再生することができる。本発明の方法は、例
えば、通常のボイラー給水の軟水化用として使用される
他、原子力発電所用、火力発電用所用等の純水製造用と
して使用することができる。 【0018】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。 〔製造例1〕 <ω−ハロアルキルスチレンの合成>窒素置換したジエ
チルエーテル中、クロルメチルスチレン100gと金属
マグネシウムとを0℃で3時間かくはんし、マグネシウ
ム複合体とした。次いで、窒素置換テトラヒドロフラン
で溶媒置換した後、0℃で1,3−ジブロモプロパン及
びLi2 CuCl4 を含むテトラヒドロフラン中にマグ
ネシウム複合体を滴下し、0℃で5時間、反応を続け
た。 【0019】蒸留により得られた生成物を分取したとこ
ろ、40Pa、120℃の条件で4−ブロモブチルスチ
レンが得られ、原料クロルメチルスチレンを基準とする
収率は35%であった。4−ブロモブチルスチレンの同
定は、「ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス・ポリ
マー・ケミストリー・エディション、20巻、1982
年、3015ページ」に記載のNMR法により行った。 【0020】<架橋化ω−ハロアルキルスチレンの合成
>上記の4−ブロモブチルスチレン96.4重量部およ
び工業グレードのジビニルベンゼン(純度55%、残り
の主成分はエチルビニルベンゼン)3.6重量部に1.
0重量部のアゾビスイソブチロニトリルを加え、窒素雰
囲気下、70℃で18時間、懸濁重合を行い、ポリマー
ビーズ(架橋化4−ブロモブチルスチレン)を90%の
収率で得た。 【0021】<架橋アニオン交換体の合成>上記の架橋
化4−ブロモブチルスチレン100重量部をジオキサン
300重量部中に懸濁させてかくはんを行い、2時間膨
潤させた。次いで、ブロモ基に対して3モル等量のトリ
メチルアミンを滴下し、50℃で10時間反応を続け、
架橋アニオン交換体を得た。得られた架橋アニオン交換
体を脱塩水を用いて充分に洗浄した後、塩型をクロル型
に変換した。上記のようにして得られた架橋アニオン交
換体の一般性能は、次の通りであった。 【0022】 【表1】 中性塩分解容量 0.79meq/ml 3.77meq/g 水分 67.4% なお、上記一般性能の測定は、「本田ら編著、イオン交
換樹脂、ひろ川書店、17〜56ページ」に記載の方法
によった。 【0023】〔製造例2〕製造例1の架橋化ω−ハロア
ルキルスチレンの合成において、4−ブロモブチルスチ
レンの使用量を92.7重量部に、工業グレードのジビ
ニルベンゼンの使用量を7.3重量部に変更した以外
は、製造例1と同様な方法により架橋アニオン交換体を
得た。上記のようにして得られた架橋アニオン交換体の
一般性能は、次の通りであった。 【0024】 【表2】 中性塩分解容量 1.10meq/ml 3.65meq/g 水分 54.1% 【0025】〔製造例3〕製造例1のω−ハロアルキル
スチレンの合成において、1,3−ジブロモプロパンの
代わりに、1,6−ジブロモヘキサンを用いた以外は、
製造例2と同様な方法により架橋アニオン交換体を得
た。上記のようにして得られた架橋アニオン交換体の一
般性能は、次の通りであった。 【0026】 【表3】 中性塩分解容量 1.16meq/ml 3.07meq/g 水分 44.1% なお、中間体である7−ブロモヘプチルスチレンは53
Pa、120℃の条件で蒸留分取された。 【0027】〔実施例1〕製造例1で製造した架橋アニ
オン交換体10mlを完全再生し、それを、シリカ(S
iO2 )440mgと硫酸イオン(SO4 2- )310m
gとを溶解した水溶液100mlに入れ、一時間かくは
んした後、アニオン交換体を分離水洗しシリカと硫酸イ
オンを一定量吸着させた。シリカと硫酸イオンの吸着量
を表−1に示す。吸着後のアニオン交換体10mlを2
5℃、75℃及び95℃の各温度の純水100mlにそ
れぞれ浸漬し、70時間浸漬後のシリカと硫酸イオンの
溶出量を測定した。この結果を表−2に示す。なお硫酸
イオンはいずれの場合にも溶出しなかった。 【0028】〔実施例2〕製造例2で製造した架橋アニ
オン交換体10mlを完全再生し、それを、シリカ(S
iO2 )440mgと硫酸イオン(SO4 2- )310m
gとを溶解した水溶液100mlに入れ、一時間かくは
んした後、アニオン交換体を分離水洗しシリカと硫酸イ
オンを一定量吸着させた。シリカと硫酸イオンの吸着量
を表−1に示す。吸着後のアニオン交換体10mlを2
5℃、75℃及び95℃の各温度の純水100mlにそ
れぞれ浸漬し、70時間浸漬後のシリカと硫酸イオンの
溶出量を測定した。この結果を表−2に示す。なお硫酸
イオンはいずれの場合にも溶出しなかった。また、同様
に95℃の純水に対する浸漬を30日間継続した結果、
シリカ溶出量は4mgであった。 【0029】〔実施例3〕製造例3で製造した架橋アニ
オン交換体10mlを完全再生し、それを、シリカ(S
iO2 )440mgと硫酸イオン(SO4 2- )310m
gとを溶解した水溶液100mlに入れ、一時間かくは
んした後、アニオン交換体を分離水洗しシリカと硫酸イ
オンを一定量吸着させた。シリカと硫酸イオンの吸着量
を表−1に示す。吸着後のアニオン交換体10mlを2
5℃、75℃及び95℃の各温度の純水100mlにそ
れぞれ浸漬し、70時間浸漬後のシリカと硫酸イオンの
溶出量を測定した。この結果を表−2に示す。なお硫酸
イオンはいずれの場合にも溶出しなかった。 【0030】〔比較例1〕スチレンとジビニルベンゼン
の共重合体から作られた強塩基性アニオン交換体である
ダイヤイオンSA10A(三菱化成社製)を用い、実施
例1と全く同様にしてシリカと硫酸イオンを一定量吸着
させた。シリカと硫酸イオンの吸着量を表−1に示す。
アニオン交換樹脂10mlを25℃、75℃及び95℃
の各温度の純水100mlに浸漬し、70時間浸漬後の
シリカと硫酸イオンの溶出量を測定した。この結果を表
−2に示す。なお硫酸イオンはいずれの場合にも溶出し
なかった。また、同様に95℃の純水に対する浸漬を3
0日間継続した結果、シリカ溶出量が17mgであっ
た。 【0031】 【表4】 【0032】 【表5】 【0033】以上のように、本発明の製造例で得られる
架橋アニオン交換体は、従来知られている架橋アニオン
交換体に比較し、シリカに対する吸着保持力が広い温度
範囲において大きいことが明らかである。 【0034】 【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の方法に比
較し、広範囲の温度において効率よく水中のシリカを除
去することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 木庭 秀明
神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地
三菱化成株式会社総合研究所内
(72)発明者 青▲崎▲ 義宗
福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1
号 三菱化成株式会社黒崎工場開発研究
所内
(56)参考文献 特開 平3−30839(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C02F 1/42
B01J 41/14
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式(1)で示される構造単位及
び不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される
構造単位を含有し、且つ、全アニオン交換基の90%以
上が一般式(1)における−R−N+ R1 R2 R3 ・X
- で示される基である架橋アニオン交換体とシリカ含有
水とを接触させることを特徴とする水中のシリカの除去
方法。 【化1】 (式中、Rは炭素数3〜18のアルキレン基を表し、該
アルキレン基は、その連鎖中に環状炭化水素を含有して
いてもよく、また、アルキル基で置換されていてもよ
く、R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1〜8の炭化
水素基またはアルカノール基を表し、X- はアニオンを
表し、また、ベンゼン環は、アルキル基またはハロゲン
原子で置換されていてもよく、更に、他の芳香環と縮合
していてもよい。)
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