JPH07289922A - 放射性排水処理用樹脂 - Google Patents

放射性排水処理用樹脂

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JPH07289922A
JPH07289922A JP7042106A JP4210695A JPH07289922A JP H07289922 A JPH07289922 A JP H07289922A JP 7042106 A JP7042106 A JP 7042106A JP 4210695 A JP4210695 A JP 4210695A JP H07289922 A JPH07289922 A JP H07289922A
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JP
Japan
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group
resin
general formula
carbon atoms
structural unit
Prior art date
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Application number
JP7042106A
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English (en)
Inventor
Teruo Onozuka
輝夫 小野塚
Manabu Shindo
学 進藤
Hideaki Kiba
秀明 木庭
Hirohisa Kubota
裕久 久保田
Shintaro Sawada
慎太郎 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Electric Power Co Inc
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Tohoku Electric Power Co Inc
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Tohoku Electric Power Co Inc, Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Tohoku Electric Power Co Inc
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 架橋性アニオン交換体であって、下記一般式
(I) 【化1】 (一般式(I)中、Aは直接結合又は炭素数1から4の
直鎖状又は分岐状アルキレン基、Bは炭素数1から8の
直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R1 、R2
3 は同じか又は異なっていてもよい炭素数1から4の
アルキル基、或いはアルカノール基を示し、Xはアンモ
ニウム基に配位した対イオンを示し、ベンゼン環Dは、
アルキル基或いはハロゲン原子で置換されていてもよ
い。)で表わされる構成単位と不飽和炭化水素基含有架
橋性単量体から誘導される構成単位とを含有する放射性
排水処理用樹脂。 【効果】 耐放射線性にすぐれる為、従来のものに比較
し、架橋アニオン交換体を交換すること無く、より長期
間処理を継続することができ、経済性に優れている。ま
た、架橋アニオン交換体の入れ替え頻度を低減できる
為、放射性物質を吸着した架橋アニオン交換体の排出量
を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射性排水の処理に適
したアニオン交換体からなる放射性排水処理用樹脂に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力発電施設における原子炉の復水や
各種廃棄物処理系からの排水あるいは医療機関その他放
射性物質を扱う施設の排水中の放射性物質或いは共存す
る非放射性物質を除去するために合成高分子系イオン交
換樹脂が使用されている。現在、最も汎用されている交
換基としてトリメチルアンモニウム基を有する合成高分
子系のアニオン交換樹脂は放射線に曝されることにより
劣化し、交換能力が低下して樹脂の寿命が短くなる傾向
が有る。しかし、放射性排液の処理に用いたイオン交換
樹脂は放射性物質を吸着して樹脂自身が放射性を帯び易
く、そのまま廃棄することは出来ず、廃棄するにあた
り、放射能漏れを防止する処理が必要である。従って、
放射性排液の処理に使用されるアニオン交換樹脂として
放射線による劣化の少ない寿命の長い樹脂が望まれてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、放射能
による劣化の少ないアニオン交換体の探索を行い、本願
発明を達成した。本発明は放射性排水の処理に適した耐
放射線性のアニオン交換体を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、架橋
性アニオン交換体であって、下記一般式(I)
【0005】
【化2】
【0006】(一般式(I)中、Aは直接結合又は炭素
数1から4の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表わし、
Bは炭素数1から8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキ
レン基を表わし、R1 、R2 、R3 は同じか又は異なっ
ていてもよい炭素数1から4のアルキル基、或いはアル
カノール基を示し、Xはアンモニウム基に配位した対イ
オンを示し、ベンゼン環Dは、アルキル基或いはハロゲ
ン原子で置換されていてもよい。)で表わされる構成単
位と不飽和炭化水素基含有架橋性単量体から誘導される
構成単位とを含有することを特徴とする放射性排水処理
用樹脂に存する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
放射性排水処理用樹脂とは、一般式(I)で表わされる
構造単位を含んでいることを特徴とする水不溶性架橋共
重合体であるアニオン交換体である。一般式(I)にお
ける、アルキレン鎖Bの炭素数は、イオン交換基の耐熱
性を発現するために少なくとも1以上であることが必要
である。エチレン鎖である場合には、ホフマン分解(E
2脱離反応)が起こりやすい。従って、更に実用的な耐
熱性を考慮すると、アルキレン鎖はブチレン鎖以上であ
ることが好ましい。しかしながら、アルキレン鎖Bの鎖
長が長くなった場合には、構成単位(I)の分子量が大
きくなるため、アニオン交換体の単位重量当たりのイオ
ン交換容量が減少し、交換容量の減少につながる。それ
故アルキレン鎖Bの炭素数は、8以下であることが好ま
しい。更に好ましくは6以下である。
【0008】アルキレン鎖Bとしては、例えば、メチレ
ン鎖、エチレン鎖、イソプロピレン鎖、ブチレン鎖、オ
クチレン鎖等の直鎖状アルキレン基、分岐状アルキレン
基、連鎖中にシクロヘキシル基、シクロペンチル基を含
有する環状アルキレン基が挙げられる。分岐状アルキレ
ン基のアルキル基は、どこに位置してもよい。好ましく
は直鎖のアルキレン基である。一方、ベンゼン環に結合
しているアルキレン鎖Aは、ベンゼン環の酸化反応を抑
制することにあると考えられる。Aの炭素数が0(直接
結合)であるフェノキシ基の場合、ベンゼン環が酸化さ
れやすく、イオン交換基の脱落につながりやすい。従っ
て、ベンゼン環に結合しているアルキレン鎖Aの鎖長
は、炭素数が1以上であることが好ましい。メチレン鎖
の場合、溶存酸素が存在する条件下では、ベンジル基が
酸化され安息香酸誘導体になることも考えられる。しか
しながら、Bと同様、Aの鎖長が長くなった場合には、
単位重量当たりのイオン交換基の減少につながるため、
アルキレン鎖Aの炭素数は4以下であることが好まし
い。例えば、メチレン鎖、エチレン鎖、イソプロピレン
鎖、ブチレン鎖等の直鎖状アルキレン基、分岐状アルキ
レン基等が挙げられる。分岐状アルキレン基のアルキル
基は、どこに位置していてもよい。
【0009】製造法及び製造コストの点からは、アルキ
レン鎖Aは、メチレン鎖又はエチレン鎖であり、アルキ
レン鎖Bは、n−ブチレン鎖であることが好ましい。こ
こで、イオン交換基に結合したアルキレン鎖Bは耐熱性
を向上させるのに寄与し、ベンゼン環に結合したアルキ
レン鎖Aはベンゼン環の酸化反応を抑制するのに寄与し
ていると推定される。従って、イオン交換体の耐熱性を
発現するために特に重要なのは、イオン交換基に結合し
たアルキレン鎖Bの鎖長である。
【0010】イオン交換基を有するアルコキシアルキレ
ン基は、製造上、多くはスチレン残基のp位に導入され
る。たとえこのアルコキシアルキレン基が、m位あるい
はo位に導入された場合でも、アンモニウム基とベンゼ
ン環の距離が数Å以上であるため、ベンゼン環とポリエ
チレン鎖により立体的な影響は少ない。従って、イオン
交換基を有するアルコキシアルキレン基は、ベンゼン環
のどの位置に置換されていてもよい。
【0011】本発明におけるアニオン交換体は、種々の
製造方法で作ることができる。下記一般式(II)(A
は直接結合又は炭素数1から4の直鎖状又は分岐状アル
キレン基を表わし、Bは炭素数1から8の直鎖状、分岐
状又は環状のアルキレン基を表わし、Zはイオン交換基
に変換し得る官能基を表わす。例えば、塩素、臭素、沃
素等のハロゲン原子又はトシル基等が挙げられる。)で
表わされる前駆体単量体を合成させ、架橋剤及び必要に
応じて第3の単量体成分とともに共重合を行った後、ア
ミンと反応させイオン交換基に変換する方法、
【0012】
【化3】
【0013】一般式(III )で表わされる構造単位を
有する単量体を、架橋剤等とともに重合する方法が挙げ
られる。一般式(III )中A,B,R1 〜R3 ,D及び
Xは、一般式(I)におけるのと同義である。Xは、イ
オン交換基に配位した対イオンであって、例えば、塩化
物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硫酸イオン、
硝酸イオン、水酸基等が挙げられる。なお、硫酸イオン
のように2価のアニオンである場合は、一般式(I)の
繰り返し単位2分子に対して、1つの対イオンが配位す
る。
【0014】一般式(II)で表わされる前駆体となる重
合性単量体は、幾つかの方法で合成することができる。
クロロメチルスチレン(m及びp体の混合物であっても
よい)を、公知の技術(Polymer,1973,V
ol 14,330−332、Makromol.Ch
em.Rapid Commun.,7,143,19
86)に従って加水分解した後、1,ω−ジハロゲノア
ルカンを反応させる方法、或いは、公知の技術(Bul
l.Chem.Soc.Jpn.,1976,Vol
49,2500、)に従って、クロロメチルスチレンを
塩化水銀の存在下、テトラヒドロフランと反応させ、ω
−ハロゲノアルコキシアルキルスチレンを合成すること
ができる。更に、一般式(II)で表わされる単量体をア
ルキルアミン類でアミノ化し、アンモニウム基を有する
単量体(III )を合成することができる。勿論、一般式
(II)のベンゼン環Dは、アルキル基、或いはハロゲン
で置換されていてもよい。
【0015】本発明におけるアニオン交換体の製造にお
ける共重合体成分は、不飽和炭化水素含有架橋性単量
体、及び必要に応じて用いることができる第3の不飽和
炭化水素含有単量体である。この不飽和炭化水素含有架
橋性単量体は、水不溶性架橋共重合体を製造するために
必要である。この単量体としては、ジビニルベンゼン、
ポリビニルベンゼン、アルキルジビニルベンゼン、ジア
ルキルジビニルベンゼン、エチレングリコール(ポリ)
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、(ポリ)エチレンビス(メタ)アク
リルアミド等が挙げられる。好ましくはジビニルベンゼ
ンである。その含有率が低い場合には、得られるアニオ
ン交換体は高膨潤性重合体となる。一方、含有率が高い
場合には、イオン交換基を有する構成成分(I)の含有
率が低くなるため、イオン交換容量が低下する。従って
本発明のアニオン交換体を製造する際の不飽和炭化水素
含有架橋性単量体の使用量は、アニオン交換体におい
て、不飽和炭化水素含有架橋性単量体から誘導される構
成単位が0.1%〜50モル%程度、好ましくは0.2
%〜25モル%となるように用いられる。
【0016】第3の不飽和炭化水素含有単量体は、アニ
オン交換体の機能を低減させない範囲において用いるこ
とができる。その重合性単量体としては、スチレン、ア
ルキルスチレン、ポリアルキルスチレン、(メタ)アク
リル酸エステル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリ
ル等が挙げられる。第3の不飽和炭化水素含有単量体の
使用量は、アニオン交換体において第3の不飽和炭化水
素含有単量体から誘導される構成単位が0%〜50モル
%、好ましくは0%〜20モル%となるように用いられ
る。
【0017】一般式(I)の構成単位を誘導しうる重合
性単量体の使用量はアニオン交換体において一般式
(I)に示される構成単位が5%〜99.9モル%、好
ましくは10〜99モル%となるように用いられる。こ
の場合、イオン交換容量を大きくするためには、一般式
(I)の含有率はできる限り高いことが好ましい。本発
明のアニオン交換体の有する重量当たりの交換容量(中
性塩交換容量)は、一般式(I)で表わされる構成要素
の分子量によっても異なる。すなわち、アルキレン鎖
A、B及びイオン交換基の置換基Rにより異なるが、一
般に、通常0.2meq/g〜5meq/gの範囲であ
る。(meq/gとは乾燥樹脂重量当たりのミリ当量を
表わす。)更に好ましくは、1.5meq/g〜4.5
meq/gの範囲である。体積当たりのイオン交換容量
は、膨潤度により異なるが、通常、0.3meq/ml
〜1.5meq/mlである。
【0018】重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル
(BPO)、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、アゾビスイソ
ブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名;V−6
5(和光純薬))2,2′−アゾビス(2−メチルプロ
ピオンアミジン)・二塩酸塩(商品名;V−50和光純
薬、水溶性重合開始剤)等のアゾ系重合開始剤等が用い
られる。その含有率は、通常、全単量体に対して、0.
1%〜5重量%である。重合温度は、重合開始剤の半減
期温度、含有率、単量体の種類等により異なるが、通常
は、40℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃で
使用される。重合開始は、1時間〜30時間、好ましく
は、1時間〜15時間である。
【0019】これらの重合反応において、必要に応じ
て、上記各単量体成分に溶解する溶媒を添加していても
よい。これらの単量体に対して貧溶媒であるトルエン、
ヘキサン等非極性有機溶媒を添加し共重合を行った場合
には、多孔性構造を有するアニオン交換体が得られる。
一方、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の良
溶媒を添加した場合には、膨潤性のアニオン交換体が得
られる。これら溶媒の種類、添加量等により生成する多
孔性担体の物理構造が異なり、これらの溶媒を制御する
ことにより、目的とする多孔性担体を得ることができ
る。その他、例えば、溶媒として、水、メタノール、エ
タノール、アセトン等の溶媒、又はこれらの溶媒の混合
溶液が使用される。その添加量は、全単量体成分に対し
て、0%〜100重量%の範囲である。
【0020】一般式(II)及び下記一般式(IV)のZを
アンモニウム基−NR123 に変換する方法は、公
知の方法に従って行うことができる。
【0021】
【化4】
【0022】(式(IV)中、A,B,Zは前述と同義で
ある)Zが、ハロゲン原子の場合、適切な溶媒の存在
化、3級アミンを反応させアンモニウム基に変換するこ
とができる。Zがトシル基の場合にも同様に、上記反応
によりアンモニウム基に変換することができる。上記の
アンモニウム基を導入する際、樹脂を膨潤させるため、
溶媒を添加するのが一般的である。用いられる溶媒とし
ては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコ
ール類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類、ジクロロ
メタン、1,2−ジクロロエタン等の塩素系炭化水素
類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類、その他ジメチルホルムアミド、アセ
トニトリル等の溶媒が単独、又は混合溶液として用いら
れる。反応温度は、反応様式、官能基の種類、溶媒等に
より異なるが、通常は、20℃〜100℃である。一般
式(III )で表わされる重合性単量体を、架橋剤ととも
に重合することによりアニオン交換体を得ることもでき
る。
【0023】上記単量体は、一般式(II)で表わされる
重合性単量体と同様にして上記架橋性単量体と共重合す
ることができる。この場合、イオン交換基を有する単量
体を架橋剤とともに共重合するため、上記のように重合
後、アミノ化反応等を行わなくてもよい。その後、公知
の方法によって対イオンを各種のアニオン形に変換し、
本発明のアニオン交換体が得られる。
【0024】一般式(I)のベンゼン環は、イオン交換
基を有するアルコキシアルキレン基以外に、アルキル基
或いはハロゲン原子で置換されていてもよい。アルキル
基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、ハロゲ
ンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素等が挙げられ
る。イオン交換基を構成するアルキル基R1 ,R2 ,R
3 は、炭素数1から4のアルキル基、或いはヒドロキシ
エチル基等のアルカノール基である。この場合も、単位
重量当たりの交換容量の低下をできる限り少なくするた
め、メチル基であることが好ましい。
【0025】本発明におけるアニオン交換体は公知の方
法に準じて製造され、種々の形状に成形することができ
る。球状のアニオン交換体は、水/油型又は油/水型の
懸濁重合により製造される。上記で示した単量体成分を
用い重合開始剤の存在下、浴比が1対2から6の範囲と
なるよう懸濁重合を行うことが好ましい。本発明におけ
るアニオン交換体の平均粒子径は100μm〜2mmの
範囲が好ましい。その後、必要に応じて、懸濁重合後粉
砕し粉末状、溶液重合により塊状或いは粉末状、その他
繊維状、膜状等種々の形状に成形することもできる。
【0026】本発明に係わるアニオン交換樹脂を用いて
放射性排水を処理する方法は特に限定されるものではな
く、公知の方法が採用される。即ち、被処理液の性質及
び処理水の要求性能等に応じ、アニオン交換樹脂単独で
あるいはカチオン交換樹脂と組み合わせ、あるいはカチ
オン交換樹脂との混床で用いられる。なお、本発明方法
は排水のみならず、原子炉循環水のような各種の放射能
を帯びた水の処理にも使用される。
【0027】
〔製造例−1〕
(4−ブロモブトキシメチルスチレンの合成)300m
lの4ツ口フラスコに水酸化ナトリウム20g(0.5
mol)、水20mlを加え、撹拌し均一溶液とした。
溶液温度を室温に戻した後、ヒドロキシメチルスチレン
(m体、及びp体の混合物)13.42g(0.1mo
l)、1,4−ジブロモブタン32.39g(0.15
mol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド3.2
2g(0.01mol)をトルエン100mlに溶解
し、添加した。この混合溶液を激しく撹拌しながら、4
0℃で6時間反応させた。反応後、溶液を分離し、水で
充分洗浄した。この有機相に硫酸マグネシウムを加え乾
燥した後、トルエンを減圧下で留去して得た溶液をDP
PH(ジフェニルピクリル−2−ヒドラジル)存在下で
真空蒸留(bp 125〜128℃/16Pa)して、
無色透明溶液を得た。得られた溶液は、下記のNMR及
びIR吸収を有することによって4−ブロモブトキシメ
チルスチレンの構造を確認した。収量は15.0g、収
率は56%であった。
【0028】1H−NMRは日本電子製 EX−270
(270MHz、溶媒は全てCDCl3 を用いて測定し
た。TMS基準 δ;ppm。尚本化合物は、m体とp
体の混合物であるため、結合定数は算出できない。)、
赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)は島津製作所
製 FT−IR 4000を用いた。(( )内、b
r.は線幅が広い Sh.は鋭い Str.は大きな吸
収 med.は中程度の吸収であることを示す。)
【0029】1H−NMR;7.15−7.36(m:
芳香族水素)、6.61−6.73(m:ビニル基のα
位水素)、5.67−5.76(m:ビニル基のβ位水
素、5.17−5.23(m:ビニル基のβ位水素)、
4.42と4.41(s:ベンジル位のメチレン鎖)、
3.33−3.45(m:Brのα位とδ位のメチレン
鎖)、1.85−1.96(m:Brのβ位のメチレン
鎖)、1.64−1.74(m:Brのγ位のメチレン
鎖)。
【0030】IRスペクトル(NaCl法)2950
(sh.),2860(sh.),1630(s
h.),1440(med.),1360(me
d.),1250(med.),1110(st
r.),990(str.),910(str.),8
30(med.),800(med.),720(me
d.)。
【0031】〔実施例−1〕窒素ガス導入管、冷却管を
備えた500mlの4ツ口フラスコに脱塩水200m
l、2%ポリビニルアルコール水溶液50mlを加え、
窒素を導入し、溶存酸素を除去した。一方、4−ブロモ
ブトキシメチルスチレン46.4g、ジビニルベンゼン
1.72g(工業用;純度56%)、及びAIBN0.
4gを溶解したモノマー相を調製し、水相と同様、溶存
酸素を除去した。モノマー溶液をフラスコに入れ、15
0rpmで撹拌し、モノマーの液滴を形成した。室温で
30分撹拌後、70℃に昇温し、70℃で18時間撹拌
した。重合後、ポリマーを取り出し、樹脂を水洗後、メ
タノールで3回洗浄した。重合収率は93%で、仕込み
架橋度4モル%の淡黄色透明球状の樹脂を得た。
【0032】冷却管を備えた500mlの4ツ口フラス
コに、上記樹脂を入れ、1,4−ジオキサン500ml
を加え、室温で撹拌した。この溶液に30%トリメチル
アミン水溶液200mlを加え、50℃で10時間反応
を行ってトリメチルアンモニウム基を導入した。反応
後、ポリマーを取り出し、充分水洗した。このアニオン
交換樹脂の対イオンを臭化物イオンから塩化物イオン
(Cl形)に変換するため、樹脂量に対して10倍量の
4重量%塩化ナトリウム水溶液を通液した。Cl形の樹
脂の下記性能を測定した。なお平均粒子径は750μm
であった。
【0033】
【表1】 中性塩分解容量 3.42 meq/g 中性塩分解容量 0.832meq/ml 水分含有率 57.0 % 膨潤度 4.11 ml/g
【0034】実施例−1で得られたアニオン交換樹脂の
IRスペクトルは下記の通りであった。 (KBr法)(対イオンXは、Cl形である)3450
(br.),2950(sh.),2870(s
h.),1640(br.),1480(str.),
1360(med.),1110(str.),970
(med.),910(med.),800(me
d.)。 (KBr法)(対イオンXは、OH形である)3400
(br.),2950(sh.),2870(s
h.),1650(br.),1480(str.),
1450(str.),1370(med.),109
0(str.),970(med.),910(me
d.),790(med.)。
【0035】〔実施例−2〕4−ブロモブトキシメチル
スチレンを44.7g、ジビニルベンゼン(工業用)を
2.60gとした以外は実施例−1と同様に反応を行
い、仕込み架橋度6モル%、平均粒子径730μmのア
ニオン交換樹脂を得た。重合収率は91%であった。
【0036】
【表2】 中性塩分解容量 3.21 meq/g 中性塩分解容量 0.919meq/ml 水分含有率 51.0 % 膨潤度 3.49 ml/g
【0037】〔試験例1〕実施例−2で製造した架橋ア
ニオン交換体の放射線照射による性能劣化量の測定を行
った。各アニオン交換体は再生によりOH型に調製し
た。調製量は70mlとした。更に、付着水分を吸引ろ
過で取り除いた後、200mlのステンレス製の角型の
容器に並べて立てて入れ、同じくステンレス製の平らな
蓋をして密封した。これと全く同じものをそれぞれ3組
作成しサンプルとした。この角型容器の上部より60Co
ガンマ線を各サンプルに均一に照射した。60Coガンマ
線の照射量は角型容器ごとに103 Gy、104 Gy、
105 Gy、106 Gyとした。照射後のサンプルは、
それぞれOH型に完全再生した後、塩化ナトリウム溶液
を通してCl型とし、中性塩分解容量を測定し、ガンマ
線照射前の中性塩分解容量との比から中性塩分解容量保
持率を算出した。結果を表−1に示す。
【0038】〔比較例−1〕スチレンとジビニルベンゼ
ンの共重合体由来の強塩基性アニオン交換体であるダイ
ヤイオンSA10A(三菱化成社製)を用い、実施例−
2と全く同様にして再生によりOH型に調製しガンマ線
照射実験を行った。照射後のサンプルはOH型に完全再
生した後、塩化ナトリウム溶液を通してCl型として実
施例−2と同様に中性塩分解容量保持率を算出した。結
果を表−1に示す。
【0039】
【表3】
【0040】以上のように、実施例で得られる架橋アニ
オン交換体は、放射線照射に対して従来知られている架
橋アニオン交換体に比較し、中性塩分解容量の低下が少
ないことが明らかであり、本発明におけるアニオン交換
体が放射性排水の処理に優れていることが明らかであ
る。
【0041】〔試験例2〕 (脱塩試験)実施例2で製造した架橋アニオン交換体を
用いて試験を行った。実施例2のアニオン交換体に10
倍量の4%塩化ナトリウム水溶液を通液し対イオンをC
l形とした後、450mlをはかりとった。これを、内
径30mm長さ1000mmの円筒形カラムに充填し、
1350mlの1N−水酸化ナトリウム水溶液を通液し
た。この後、脱塩水を2700mlを50分かけて通水
し、下記組成の水溶液を再生形カチオン交換樹脂100
0mlに接触させた後通液して、カラム出口で電気伝導
度を測定した。 試験水 ナトリウムイオン 210ppm カルシウムイオン 140ppm シリカ 87.5ppm 硫酸イオン 210ppm 塩素イオン 140ppm (各濃度は、炭酸カルシウム換算) 結果 処理水の電気伝導度は、定常で0.3μS/
cmを示し、1.0μS/cmに達するまで実施例2の
イオン交換体1000mlあたり試験水103リッター
を脱塩することができた。
【0042】
【発明の効果】本発明の放射性排水処理用樹脂は、耐放
射線性にすぐれる為、従来のものに比較し、架橋アニオ
ン交換体を交換すること無く、より長期間処理を継続す
ることができ、経済性に優れている。また、架橋アニオ
ン交換体の入れ替え頻度を低減できる為、放射性物質を
吸着した架橋アニオン交換体の排出量を低減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21F 9/12 512 C (72)発明者 木庭 秀明 神奈川県横浜市栄区小山台二丁目8番26号 (72)発明者 久保田 裕久 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 澤田 慎太郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋性アニオン交換体であって、下記一
    般式(I) 【化1】 (一般式(I)中、Aは直接結合又は炭素数1から4の
    直鎖状又は分岐状アルキレン基を表わし、Bは炭素数1
    から8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表わ
    し、R1 、R2 、R3 は同じか又は異なっていてもよい
    炭素数1から4のアルキル基、或いはアルカノール基を
    示し、Xはアンモニウム基に配位した対イオンを示し、
    ベンゼン環Dは、アルキル基或いはハロゲン原子で置換
    されていてもよい。)で表わされる構成単位と不飽和炭
    化水素基含有架橋性単量体から誘導される構成単位とを
    含有することを特徴とする放射性排水処理用樹脂。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示される構成単位を5〜
    99.9モル%、不飽和炭化水素基含有架橋性単量体か
    ら誘導される構成単位を50〜0.1モル%及び前記構
    成単位とは異なる不飽和炭化水素基含有単量体を0〜5
    0モル%含有することを特徴とする請求項1に記載の放
    射性排水処理用樹脂。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aが炭素数1から2のアルキレン基であり、Bが炭素数
    1から6のアルキレン基であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の放射性排水処理用樹脂。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aが炭素数1から2のアルキレン基であり、Bが炭素数
    4から6の直鎖アルキレン基であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の放射性排水処理用樹脂。
  5. 【請求項5】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aがメチレン基であり、Bが炭素数4から6の直鎖アル
    キレン基であり、R1 、R2 、R3 がメチル基であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性排水処理
    用樹脂。
  6. 【請求項6】 一般式(I)で表わされる構成単位中、
    Aがメチレン基であり、Bがn−ブチレン基であること
    を特徴とする請求項3に記載の放射性排水処理用樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07289921A (ja) * 1994-03-01 1995-11-07 Mitsubishi Chem Corp アニオン交換体

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JPH07289921A (ja) * 1994-03-01 1995-11-07 Mitsubishi Chem Corp アニオン交換体

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