JP3597507B2 - 微粒子配列体とその製造方法及びこれを用いたデバイス - Google Patents

微粒子配列体とその製造方法及びこれを用いたデバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、微粒子表面に有機コーティング膜を形成させた上で基板表面上に微粒子からなる微粒子配列体とその製造方法及びこれを用いたデバイスに関するものである。また、工業的な応用例として磁性微粒子を基板上に整列して配列し、高密度磁気記録再生に対応した磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、微粒子を利用した半導体素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
微粒子を基板表面に形成させる方法は従来からあった。従来の代表的な形成技術は溶液に分散させた微粒子溶液に基板を浸漬させる方法、基板表面に前記微粒子を滴下し、バーコートする方法、同じく前記微粒子溶液を基板表面に滴下した後に回転塗布して表面に塗布する方法などがある。
【0003】
また、数年前から微粒子表面に有機薄膜を形成する方法が開発されている。特開平1(1989)−309902号公報にはクロロシラン系化合物などを用いた有機材料で微粒子の表面を覆う方法が示され、基板表面に微粒子からなる膜を形成する方法が示されている。また、最近、科学雑誌サイエンス(Science、2000年3月17日号)にも微粒子表面に単分子膜様の膜を形成し、基板表面に形成させたとの報文がある。この方法は、従来の薄膜型磁気記録媒体の結晶粒径制御の限界をうち破り、微粒子の大きさによって磁区制御をしようとする試みとして注目を集めている。
【0004】
また、特開平2(1990)−9196号公報では微粒子のパターン形成方法が開示されている。
【0005】
また、微粒子を利用したトンネル磁気抵抗効果素子も提案されている(Science,vol.290,2000年11月10日号1131頁)。
【0006】
また、半導体素子の分野では、高速動作可能な不揮発メモリとして浮遊ゲートとしてナノ微粒子を用いるドットメモリ素子に対する期待が高まっている(例えば、S.Tiwariら、Applied Physics Letter 68巻1377頁1996年)。ドットメモリ素子においては数nm以下の金属または半導体微粒子が電荷保持に用いられる。
【0007】
しかし、従来の代表的な形成技術である溶液に分散させた微粒子溶液に基板を浸漬させる方法、基板表面に前記微粒子を滴下し、バーコートする方法、同じく前記微粒子溶液を基板表面に滴下した後に回転塗布して表面に塗布する方法のいずれの方法も微粒子径の単位で微粒子の膜厚を制御することができないものであり、微粒子径が小さくなればなるほど基板表面の微粒子の膜厚分布は大きくなるものである。
【0008】
また、前記特開平1(1989)−309902号公報は微粒子表面を単分子膜で覆う基本特許として価値あるものであるが、基板表面に微粒子を固定する方法が開示されておらず、実用面、製造面また耐久性で問題があると推測される。
【0009】
また、報文(Science、2000年3月17日号)によると微粒子からなる膜の厚みを制御する方法が確立されておらず、また前記特許と同様に基板表面に微粒子を置いただけで、基板と微粒子との密着性に問題があり、実用面、製造面また耐久性で大きな問題があると推測される。そこでこのような方法で磁気記録媒体を作成した場合、現実に用いられているHDDドライブの広さ(少なくとも約1平方インチ以上)全面に一様な厚みに微粒子を塗布することは困難であった。
【0010】
また、従来の方法では一種類の微粒子による形成だけであった。しかし、機能性デバイスを実現するためには一種類の微粒子だけでなく、複数の種類の微粒子が必要となる場合がある。従来の技術ではそのような方法の開示はなく、想定もしていなかった。
【0011】
また、前記特開平2(1990)−9196号公報は微粒子のパターンを形成する方法としては一手法が示されており価値あるものであるが、上記特許及び報文と同じように微粒子と基板との結合が開示されておらず、実用面、製造面また耐久性で問題があると推測される。
【0012】
微粒子を用いた磁気抵抗効果素子を形成する場合にも均一な大きさの微粒子の層数を制御して分散させることが重要である。
【0013】
微粒子を用いた半導体素子に応用する場合には、粒径のそろった超微粒子を、トンネル絶縁層上に高密度かつ均一に形成する技術が不可欠である。ところが従来、このことは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、微粒子を基板表面に効率よく固定して、その後の加工を正確に行うことができる微粒子配列体とその製造方法及びこれを用いたデバイスを提供することを目的とする。
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の微粒子配列体は、基板上に微粒子を配列させた構造体であって、前記微粒子の表面には前記微粒子の表面と結合した第1の有機コーティング膜が形成され、前記基板表面には前記基板表面と結合した第2の有機コーティング膜が形成されており、前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子端末に官能基を有する単分子膜であり、前記第1の有機コーティング膜の前記官能基と前記第2の有機コーティング膜の前記官能基との間で結合して、前記基板上に前記微粒子が固定配列されていることを特徴とする。
【0016】
次に本発明の微粒子配列体の製造方法は、基板上に微粒子配列体を製造する方法であって、個々の前記微粒子表面に、分子末端に官能基を有する単分子膜からなる第1の有機コーティング膜を形成し、前記基板表面に、分子末端に官能基を有する単分子膜からなる第2の有機コーティング膜を形成し、前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜とを接触させ、双方の有機コーティング膜の前記官能基間で化学結合を形成させることを特徴とする。
【0017】
次に本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に磁気記録媒体を製造する方法であって、磁性微粒子表面に、分子末端に官能基を有する単分子膜からなる第1の有機コーティング膜を形成し、前記基板表面に、分子末端に官能基を有する単分子膜からなる第2の有機コーティング膜を形成し、前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜とを接触させ、双方の有機コーティング膜の官能基間で化学結合を形成させ、前記磁性微粒子を熱処理して前記磁性微粒子の保磁力を増大させることを特徴とする。
【0020】
次に本発明の磁気抵抗効果素子は、基板表面に前記基板表面と結合した第1の有機コーティング膜を形成し、微粒子の表面に前記微粒子の表面と結合した第2の有機コーティング膜形成されており、前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子端末に官能基を有する単分子膜であり、前記第1の有機コーティング膜の前記官能基と前記第2の有機コーティング膜の前記官能基との間で化学結合して、前記微粒子が固定配列されている微粒子配列体を形成し、前記微粒子に電流を流す少なくとも一対の電極を形成し、外部からの信号磁界によって電極間の電気抵抗を変化させることを特徴とする。
【0021】
次に本発明の磁気抵抗効果型ヘッドは、基板表面に前記基板表面と結合した第1の有機コーティング膜を形成し、微粒子の表面に前記微粒子の表面と結合した第2の有機コーティング膜形成されており、前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子端末に官能基を有する単分子膜であり、前記第1の有機コーティング膜の前記官能基と前記第2の有機コーティング膜の前記官能基との間で化学結合して、前記微粒子が固定配列されている微粒子配列体を形成し、前記微粒子に電流を流す少なくとも一対の電極を形成し、外部からの信号磁界によって電極間の電気抵抗を変化させる磁気抵抗効果素子の外側に、さらに前記信号磁界以外の磁界を前記磁気抵抗効果素子に侵入するのを防ぐためのシールドを備えたことを特徴とする。
【0022】
次に本発明の磁気抵抗効果型ヘッドは、基板表面に前記基板表面と結合した第1の有機コーティング膜を形成し、微粒子の表面に前記微粒子の表面と結合した第2の有機コーティング膜形成されており、前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子端末に官能基を有する単分子膜であり、前記第1の有機コーティング膜の前記官能基と前記第2の有機コーティング膜の前記官能基との間で化学結合して、前記微粒子が固定配列されている微粒子配列体を形成し、前記微粒子に電流を流す少なくとも一対の電極を形成し、外部からの信号磁界によって電極間の電気抵抗を変化させる磁気抵抗効果素子の外側に、さらに前記信号磁界を前記磁気抵抗効果素子に導くためのヨークを備えたことを特徴とする。
【0023】
次に本発明の半導体素子は、半導体基板上に設けられたトンネル障壁層として機能する障壁層と、前記障壁層の表面に前記障壁層と結合した第1の有機コーティング膜を形成し、微粒子の表面に前記微粒子の表面と結合した第2の有機コーティング膜形成されており、前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子端末に官能基を有する単分子膜であり、前記第1の有機コーティング膜の前記官能基前記第2の有機コーティング膜の前記官能基との間で結合して、前記微粒子が固定配列されている微粒子配列体を形成し、前記障壁層および前記微粒子層上に設けられた電気的絶縁体層を備えたことを特徴とする。
【0024】
次に本発明の半導体メモリ素子は、絶縁ゲート半導体(MIS)型トランジスタ構造を有する半導体メモリ素子において、前記MIS型トランジスタ構造のゲート絶縁膜と半導体基板の間に、半導体基板上に設けられたトンネル障壁層として機能する障壁層と、前記障壁層の表面に、前記基板表面と結合した第1の有機コーティング膜を形成し、微粒子の表面に前記微粒子の表面と結合した第2の有機コーティング膜形成されており、前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子端末に官能基を有する単分子膜であり、前記第1の有機コーティング膜の前記官能基と前記第2の有機コーティング膜の前記官能基との間で結合して、前記微粒子が固定配列されている微粒子配列体を形成したことを特徴とする。
【0025】
次に本発明の微粒子の結晶配向性制御方法は、不規則合金からなる微粒子を規則化させる工程において、キュリー温度以上の温度で磁界を印加することにより結晶配向性を制御することを特徴とする。
【0026】
次に本発明の微粒子の配列方法は、表面に有機コーティング膜を形成した微粒子を、前記基板表面に形成された凹凸パターンの凹部内に配列することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
微粒子表面に形成した有機コーティング膜と基板表面の有機コーティング膜間の結合は共有結合、イオン結合、配位結合、分子間力のなかから形成される。そのため微粒子と基板とは固定され、従来の技術で課題であった実用面、製造面及び耐久性の問題が解決できる。さらに、必要に応じて微粒子同士間での結合も行われるので、このときも実用面、製造面及び耐久性の問題も解決される。
【0028】
また、有機コーティング膜が単分子膜である場合は、微粒子の間隔を微細に制御することが可能となる。
【0029】
また、単分子膜をセルフアセンブル膜(自己組織膜)で形成すると、微粒子の材料に応じた有機コーティング膜形成が可能となる。ここで、セルフアセンブル膜(自己組織膜)とは、分子末端にチオール基、クロロシラン基、配位結合基、イソシアネート基、またはアルコキシシラン基等の官能基を有し、基材表面または微粒子表面と共有結合により化学的に固定できる膜をいう。このようなセルフアセンブル膜は、構成する分子と基材または微粒子との間に共有結合が形成されるので、実用面、製造面及び耐久性の問題が解決される。
【0030】
また、微粒子を構成する材質が金属、金属酸化物、両性元素、両性元素酸化物、樹脂またはこれらの複数の複合体もしくは化合物であると、多様な機能性能の要求に応じた基板と結合した微粒子からなる構造物の形成が可能となる。両性元素、両性元素酸化物及び樹脂の具体的物質名は次の基板と同様なものが使用できる。
【0031】
また、基板を構成する材質が金属、金属酸化物、両性元素(例えばアルミニウム、錫、鉛、クロム、亜鉛、珪素など)、両性元素酸化物(酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化珪素など)、樹脂(ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂など)またはこれらの複数材料の複合体(炭化珪素繊維複合樹脂、炭素繊維分散樹脂、ガラスフィラー分散樹脂など)であると、多様な機能性能の要求に応じた基板と結合した微粒子配列体の形成が可能となる。
【0032】
本発明において好適には磁性微粒子を用いる。磁性微粒子とは、磁性元素を含む微粒子をいう。磁性元素とは、周期律表の3d遷移金属または希土類元素であり、例えばFe,Co,Ni等が特に好ましい。
【0033】
エネルギー線は紫外線、遠紫外線、X線、ガンマ線で使用可能であるので、有機コーティング膜を構成する多様な官能基を使用することが可能となる。
【0034】
また、エネルギー線としてプラズマを使うことにより容易に化学反応基を発生させることもでき、有機コーティング膜を構成する多様な官能基を使用することが可能となる。
【0035】
前記微粒子に形成した単分子膜と、基板に形成した単分子膜の結合の一例を図27−28に示したが、下記にも示す。
(1) アミノ基と−ClCO基反応系
(2) 水酸基と−ROSi基反応系
(3) ベンジル基とアミノ基反応系
(4) ベンジル基とフェニル基反応系
(5) アルデヒド基とアミノ基反応系
(6) フェニル基とアルキル基反応系
(7) フェニル基と−ClCO基反応系
(8) ベンジル基とベンゾアルデヒド基反応系
(9) イソシアネート基とアミノ基反応系
(10) イソシアネート基と水酸基反応系
(11) エポキシ基とアミノ基反応系
(12) カルボキシル基と水酸基反応系
(13) 不飽和結合基とハロゲン基反応系
(14) カルボキシル基とアミノ基反応系
図27−28において、R,Rはそれぞれ炭素数1以上30以下のアルキル鎖を主とする基、ただし、RおよびRには基板または微粒子と結合可能な官能基(クロロシラン基、チオール基、イソシアネート基、アルコキシシラン基、配位結合を形成する基)がある。また、当該官能基に不飽和結合、環状基(ベンゼン環、ヘテロ環、シクロ環、単環式炭化水素基、多環式炭化水素基など)、化学合成上必要な結合基(エステル結合基、エーテル結合基、イオウを含む結合基、チッソを含む結合基など)を含む場合がある。RおよびRは同一の基であっても別々の基であってもよい。
【0036】
磁気記録方式は、大きく分けて垂直磁気記録方式および面内磁気記録方式がある。垂直磁気記録方式とは、膜面垂直方向に媒体の磁化を記録する方式であり、面内記録方式とは膜面内ヘッド摺動方向に磁化を記録する方式である。現在、通常面内磁気記録方式が用いられているが、将来的には、垂直磁気記録方式の方が高密度記録に適していると考えられている。本発明の磁気記録媒体は、垂直磁気記録媒体、面内磁気記録媒体のいずれの場合にも用いることができる。
【0037】
本発明の磁気記録媒体の断面図の一例を図19A−Bに示す。図19Aは、垂直記録に用いる媒体の例であり、図19Bは面内記録に用いる例である。図19Aの磁気記録媒体は、非磁性基板204上に直接又は下地層を介して、軟磁性薄膜層203が形成され、更にその上に、直接または適当な下地層を介して磁性微粒子201からなる磁気記録層202が形成されている。磁気記録層202は、例えば3nm以上50nm以下の平均粒子直径の磁性微粒子201と磁性微粒子201を覆う被覆205で形成されている。被覆205は、磁性微粒子201を一定の間隔で配置するのに役立つ。被覆205の材料は本発明で示す有機コーティング膜である。磁性微粒子201の材料としては、一軸結晶磁気異方性定数Kuの大きなFePt,CoPt,FePd,MnAl,Co,Co−Pt,Sm−Co,Fe−Nd−B等の材料がよいが、特にKuが大きく、耐食性等の実用性の両方の観点からはFePt,CoPtのL1層の規則合金が優れている。なお、高密度記録に適した磁性材料については、たとえば、IEEE Transaction on Magnetics, vol.36, No.1, 2000年、第10頁〜にWellerらの解説がある。
【0038】
磁性微粒子201の大きさとしては、高密度記録の観点からは、なるべく小さいのが望ましい。しかしながら、熱揺らぎの観点からはなるべく大きいものがよい。そして、前記したように、Kuが大きい材料ほど粒子の大きさが小さくても、熱揺らぎに対してより磁化が安定である。具体的に磁性微粒子の大きさとしては、少なくとも3nm以上、望ましくは4nm以上の大きさがよく、上限は50nm以下、望ましくは10nm以下、より望ましくは8nm以下である。
【0039】
また、微粒子層の層数であるが、図19A−Bに示すように1層だけ均一に配列されるのが最も望ましいが、均一に配列されていれば、2層、あるいは3層といった複数層微粒子が累積して配列しているものも利用できる。
【0040】
軟磁性薄膜層203の材料としては、低磁歪で、結晶磁気異方性の小さな材料が優れている。結晶質のもの、非晶質のもの、いずれも本発明では使用可能である。具体的には、Ni−Fe,Co−Nb−Zr,Fe−Ta−C,Co−Ta−Zr,Fe−Al−Si等の金属材料あるいはフェライト等の酸化物の材料が適用可能である。軟磁性薄膜層203の膜厚としては、軟磁性膜の飽和を防ぐ観点からある程度の膜厚は必要で、少なくとも100nm以上、望ましくは300nm以上の膜厚が望ましい。また、上限としては、生産性の観点、表面平滑性の点などから1μm以下とするのがよい。
【0041】
基板204としては、アルミ基板、ガラス基板、シリコン基板等の非磁性材料が用いられる。
【0042】
次に図19Aに示す本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。まず、平坦な非磁性基板204上に、直接、又は下地層を介して軟磁性薄膜層203を形成する。軟磁性薄膜層203の形成方法は、液相法(メッキ法)、気相急冷法などの方法がある。この中では気相急冷法がよい。気相急冷法としては、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等があるが、この中では、スパッタリング法が特に有効である。また、超高密度記録においては、媒体の平滑性が重要であるため、作製された軟磁性薄膜の表面をイオンビーム、クラスターイオンビーム等で処理して、平滑性を向上させるのも有効である。
【0043】
このようにして形成した軟磁性薄膜層上に、更に、本発明の微粒子からなる構造物の形成方法に従って有機コーティング膜を形成する。
【0044】
さらに、磁気記録層202の上に保護層206を形成する。保護層206としては、例えば固体保護層としてダイヤモンド状カーボン膜(DLC膜)等を用い、更に必要に応じて液体潤滑剤を塗布する。
【0045】
保護層206形成後または形成前に、より望ましくは、高温、磁界中で磁気記録媒体を熱処理する。特にFePt、CoPt等の系においては、熱処理によって、規則化させることによって、保磁力を生じる。熱処理時の温度は500℃以上望ましくは550℃以上が好ましい。また、温度が高すぎると保磁力が大きくなりすぎる、軟磁性膜の特性が劣化する等の問題が生じることがあるので、高くても700℃以下、望ましくは、650℃以下である。熱処理するときには、膜面垂直方向に少なくとも5kOe以上、望ましくは10kOe以上の磁界を加える。磁界が15kOeを越えると磁界印加装置が大きくなりすぎるので、必要に応じて15kOe以下、望ましくは12kOe以下の磁界にとどめるべきである。この熱処理中の磁界によって、微粒子に特定の方向に磁気異方性を持たせることが可能となる。また、本発明の場合、磁性微粒子の下に、軟磁性下地膜が形成され、この軟磁性膜が外部からの強磁界により膜面垂直方向に磁化され、磁化された軟磁性膜により強い磁界が磁性微粒子に及ぼされるので、磁性微粒子がより強い垂直磁気異方性を持ちやすくなる。また、前記したように比較的厚い軟磁性薄膜層203を用いれば、磁性微粒子201に垂直磁気異方性を付与するのにも有効である。なお、軟磁性薄膜層に異方性を付与するために、熱処理後に更に低温かつ低磁界で熱処理を行って軟磁性膜の異方性を再度つけ直すのも良い。
【0046】
図19Bは面内記録媒体として、本発明の磁気記録媒体を用いる場合の構成例である。面内記録媒体の場合は、垂直磁気記録媒体の場合と異なり、軟磁性下地膜は必要でない。
【0047】
また本発明の磁気抵抗効果素子の一例は、図24に示すように、基板上に一様に分散した磁性微粒子401上にさらに電極402を備えたものである。微粒子401は有機コーティング膜によって被覆されており、微粒子間の間隔は適当に保持されている。この素子において、2つの電極間に適当な電圧を加えると、導電性のある微粒子の島を介して被覆をトンネルした電流が流れる。この電流は、磁性体の磁化の方向によって変化するので、いわゆる磁気抵抗効果が発現する。微粒子の大きさとその分散状態、積層している個数等が一定でないとトンネル抵抗や磁気抵抗変化率がばらつくので、安定した特性の素子を作成することができない。本発明の方法で微粒子の基板上への分散を行えば、微粒子層の膜厚を制御しながら、その分散を制御することができるので、良好な特性の磁気抵抗効果素子を作成可能である。
【0048】
また、本発明の磁気抵抗効果素子を用いて、磁気ヘッドを構成することが可能である。図25に本発明の磁気ヘッドの例としてシールド型磁気ヘッドの例を示す。シールド型ヘッドは、磁気抵抗効果素子411が直接媒体からフラックスを拾う形になっており、感度が高いが、磁気抵抗素子が表面に露出している分、耐摩耗性はヨーク型ヘッドには劣っている。磁気抵抗効果素子411は、下部シールド410と共通シールド413の間に絶縁層を介して挟まれている。412は磁気抵抗素子部に電流を流すためのリード(電極)である。共通シールド413より下の部分は再生ヘッド、上の部分は記録ヘッド部である。414は記録ヘッドの上部磁極であり、下部磁極は再生ヘッドの上部シールドである共通シールド部413が兼ねている。415は記録ヘッドに磁界を発生させるためのコイルであり、416は記録コア幅である。従って、図25は記録部と再生部を兼ね備えたいわゆるマージ型の薄膜ヘッドである。
【0049】
次に、図26は本発明のヨーク型MRヘッドの斜視図である。このヨーク型ヘッドにおいては、下部ヨークを兼ねる基板420上に磁気ギャップ422が形成され、磁気ギャップ422の表面の一部に帯状に磁気抵抗効果素子421が形成されている。この磁気抵抗効果素子421の両端には、電極(リード)425が接続されている。リード425により、磁気抵抗効果素子にはセンス電流が流される。このセンス電流によって磁気抵抗効果素子の抵抗変化が信号電圧変化として取り出される。
【0050】
一対のリード425の間において、磁気抵抗効果素子421の上面には絶縁層(図示せず)を介して、上部フロントヨーク423および上部バックヨーク424が形成されている。上部ヨーク423と上部バックヨーク424とは、磁気抵抗効果素子上において所定の間隔を保持しながら互いに対向するように、磁気ギャップ422から磁気抵抗効果素子421上にかけて形成されている。上部フロントヨーク423および上部バックヨーク424は、記録媒体から流入する信号磁束を効率よく磁気抵抗効果素子421に導くための磁路を形成している。なお図26は図25と異なり再生ヘッド部だけを示している。従って実際の磁気ヘッドにおいては、図26に更に記録ヘッド部もあわせて形成するか、別に記録用のヘッドを用いる。
【0051】
基板420は酸化物磁性体から形成することが好ましい。基板材料としては、ニッケル亜鉛(NiZn)フェライト、マンガン亜鉛(MnZn)フェライトが好適である。磁気ギャップ422としては、二酸化珪素(SiO)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)などからなる非磁性体膜が好ましい。上部フロントヨーク423および上部バックヨーク424としては、ニッケル鉄(NiFe)、コバルト(Co)系アモルファス、センダスト(FeAlSi)などの軟磁性膜が好適である。また軟磁性膜と非磁性膜を積層したものも有効である。リード425は金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)などの金属またはこれらの合金またはこれらの積層体を用いて製造することが好ましい。
【0052】
以上は磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドに用いる場合について説明したが、磁気抵抗効果素子は、スピントランジスターや磁気メモリ(MRAM、Magnetic Random Access Memory)にも応用可能である。
【0053】
本発明の磁気記録再生装置に用いる記録ヘッドとしてはリング型ヘッド、単磁極型ヘッドなどがある。面内記録の場合はリング型ヘッドが、垂直記録の場合は単磁極型ヘッドが優れている。
【0054】
再生ヘッド(磁気ヘッドの再生部)としては、現在磁気抵抗変化を利用したMRヘッド(Magnetoresistive head)が盛んに用いられている。中でも巨大磁気抵抗効果(Giant Magnetoresistance、GMR)を用いたGMRヘッド(スピンバルブヘッドとも呼ばれている)が主流となりつつある。しかしこれも限界に近づきつつあり、100Gbit/inを超える記録密度においてはトンネル効果を利用したTMR(Tunneling Magnetoresistance)ヘッドや、膜面に垂直に電流を流すGMR効果を利用したCPP−GMR(Current Perpendiculer to the Plane)ヘッドが利用される可能性が高い。なお、前記した本発明の磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドは、TMRヘッドの一例である。
【0055】
図20A−Bは、本実施の形態に係る磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置110の平面図および側面図である。
【0056】
ハードディスク装置110は、本実施の形態で説明した磁気記録媒体(この場合は磁気ディスク)116と、ディスクを駆動するディスク駆動モータ112とを備える。単磁極ヘッドのような記録部と、再生部を備える磁気ヘッドは、スライダ120にとりつけられ、スライダを支持するヘッド支持機構130と、ヘッド支持機構130を介して磁気ヘッドをトラッキングするアクチュエータ114を備え、ヘッド支持機構130は、アーム122とサスペンション124とを備える。
【0057】
ディスク駆動モータ112は、ディスク116を所定の速度で回転駆動する。アクチュエータ114は、磁気ヘッドがディスク116の所定のデータトラックにアクセスできるように、磁気ヘッドを保持するスライダ120をディスク116の表面を横切って半径方向に移動させる。アクチュエータ114は、代表的には直線式または回転式のボイスコイルモータである。また、最近は更に磁気ヘッドの位置決め精度を上げるために、たとえばサスペンションも駆動させるような2段アクチュエータも開発されている。本発明はこれらの装置も適用できる。
【0058】
磁気ヘッドを保持するスライダ120は、例えば空気ベアリングスライダである。この場合には、スライダ120は、磁気記録再生装置110の起動・停止動作時にはディスク116の表面と接触する。このとき、ディスクとスライダの間で摩擦が生じるのを防ぐため、停止時にスライダをディスク上外に待避されるいわゆるロード・アンロード機構も実用化されている。磁気記録再生装置110の情報記録再生動作時には、スライダ120は回転するディスク116とスライダ120との間で形成される空気ベアリングによりディスク116の表面上に維持される。スライダ120に保持された磁気ヘッドは、ディスク116に情報を記録再生する。
【0059】
また、半導体素子を作成する場合には、基板としてはSiより構成されることが望ましい。Si基板上には高品質の絶縁膜であるSiO膜を容易に形成できるほか、高度に微細化した半導体プロセスを用いることが可能になる。さらに化合物半導体にも適用できる。
【0060】
また、半導体素子を作成するときの微粒子としては、金属または半導体の微粒子が適している。
【0061】
また、微粒子が金、白金あるいは銀により構成されることにより、容易に高度に粒径を制御したコロイド溶液を作成することができ、粒径のそろった微粒子の形成が可能になる。
【0062】
また、微粒子が合金により構成されることより、粒径のそろった微粒子の形成が容易になる。この好ましい例としては、FePt,CoPt等の合金がある。
【0063】
また、微粒子が白金、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、チタンまたはこれらの合金により構成されることにより、半導体素子のプロセス時の微粒子構成元素の半導体中への拡散を抑制することができ好ましい。
【0064】
また、微粒子がシリコン、SiC,GaAs,ZnSe,ZnS,ZnTe、CdSe,CdS,CdTeにより構成されることにより、半導体素子中に半導体量子ドットとしての機能を有する微粒子を形成することができる利点がある。またこれらの半導体材料の混晶組成を有する半導体材料を用いることで、広い範囲で禁制体幅を制御した微粒子を形成することができる。
【0065】
また微粒子の大きさが0.5nm以上10nm以下の直径の微粒子を用いることにより、量子ドット機能あるいはクーロンブロッケイド機能を高めることができ望ましい。
【0066】
図29は、本発明の磁気記録媒体の断面図の一例である。本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板504上に直接又は下地層を介して、軟磁性薄膜層503が形成され、更にその上に、磁性微粒子1からなる磁気記録層502が形成されている。磁気記録層502は、3nm以上50nm以下の直径の磁性微粒子1と磁性微粒子1を覆う被覆505から成り立っている。被覆505は、磁性微粒子501を一定の間隔で配置するのに役立つ。被覆505の材料は非磁性であれば何でも良い。例えばダイヤモンド状カーボンである。磁性微粒子501の材料としては、一軸結晶磁気異方性定数Kuの大きなFePt,CoPt,FePd,MnAl,Co,Co−Pt,Sm−Co,Fe−Nd−B等の材料がよいが、特にKuが大きく、耐食性等の実用性の両方の観点からはFePt, CoPtのL1層の規則合金が優れている。なお、高密度記録に適した磁性材料については、たとえば、IEEE Transaction on Magnetics, vol.36, No.1, 2000年、第10頁〜にWellerらの解説がある。
【0067】
磁性微粒子501の大きさとしては、高密度記録の観点からは、なるべく小さいのが望ましい。しかしながら、熱揺らぎの観点からはなるべく大きいものがよい。そして、前述したように、Kuが大きい材料ほど粒子の大きさが小さくても、熱揺らぎに対してより磁化が安定である。具体的に磁性微粒子の大きさとしては、少なくとも3nm以上、望ましくは4nm以上の大きさがよく、上限は50nm以下、望ましくは10nm以下、より望ましくは8nm以下がよい。
【0068】
また、微粒子層の層数であるが、図29に示すように1層だけ均一に配列されるのが最も望ましいが、均一に配列されていれば、2層、あるいは3層といった複数層微粒子が配列しているものも利用できる。
【0069】
軟磁性薄膜層503の材料としては、低磁歪で、結晶磁気異方性の小さな材料が優れている。結晶質のもの、非晶質のもの、いずれも本発明では使用可能である。具体的には、Ni−Fe、Co−Nb−Zr, Fe−Ta−C, Co−Ta−Zr, Fe−Al−Si等の金属材料あるいはフェライト等の酸化物の材料が適用可能である。軟磁性薄膜層503の膜厚としては、軟磁性膜の飽和を防ぐ観点からある程度の膜厚は必要で、少なくとも100nm以上、望ましくは300nm以上の膜厚が望ましい。また、上限としては、生産性の観点、表面平滑性の点などから1μm以下とするのがよい。
【0070】
基板504としては、アルミ基板、ガラス基板等の非磁性材料が用いられる。
【0071】
次に本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。
【0072】
まず、図29に示す磁気記録媒体を製造する第1の方法について説明する。平坦な非磁性基板504上に、直接、又は下地層を介して軟磁性薄膜層503を形成する。軟磁性薄膜層503の形成方法は、液相法(メッキ法)、気相急冷法などの方法がある。
【0073】
この中では気相急冷法がよい。気相急冷法としては、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等があるが、この中では、スパッタリング法が特に有効である。
【0074】
また、超高密度記録においては、媒体の平滑性が重要であるため、作製された軟磁性薄膜の表面をイオンビーム、クラスターイオンビーム等で処理して、平滑性を向上させるのも有効である。
【0075】
このようにして形成した軟磁性薄膜層上に、更に、微粒子表面に有機コーティング膜を形成した微粒子を塗布する。有機コーティング膜が単分子膜または単分子膜を出発材料とした重合膜であるので、微粒子の間隔が制御することが可能となる。また、単分子膜が自己組織化膜で、チオール基、クロロシラン基、配位結合基、イソシアート基、アルコキシラン基等の化学反応基を有する分子から形成されるので、微粒子の素材に応じた有機コーティング膜形成が可能となる。
【0076】
微粒子に有機コーティング膜を施す方法としては、たとえば、乾燥雰囲気で非水系不活性溶媒としてヘキサン100mLに末端官能基としてフェニル基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサン溶液を作成し、その後、その溶液に磁性微粒子1を100mg加え、よく攪拌する。半時間後に当該乾燥雰囲気で上記ヘキサン溶媒及び未反応のクロロシラン化合物と磁性微粒子を分離することにより磁性微粒子表面上にクロロシラン化合物からなる単分子膜が形成される。
【0077】
また、エネルギー線を有機コーティング膜に照射することにより、照射された有機コーティング膜に化学反応基を発生させる方法も有効である。
【0078】
また、エネルギー線が紫外線、遠紫外線、X線、ガンマ線で使用可能であるので、有機コーティング膜を構成する多様な官能基を使用することが可能となる。
【0079】
また、エネルギー線としてプラズマを使うことにより容易に化学反応基を発生させることもでき、本方式によっても有機コーティング膜を構成する多様な官能基を使用することが可能となる。
【0080】
通常は、磁気記録層502の上に更に保護層を形成する。保護層としては、固体保護層としてダイヤモンド状カーボン膜(DLC膜)等を用い、更に液体潤滑剤を塗布する場合が多い。
【0081】
また、次に、本発明の微粒子の結晶配向性制御方法について説明する。
【0082】
規則層L1構造を有する化合物としては、FePd,FePt,CoPt,MnAl等の材料がある。このうちFePd,FePt,CoPt等の合金系においては、ほぼ1対1の組成では、室温で規則層が安定層であり、不規則層は準安定層である。一般に、磁気異方性、保磁力などの磁気特性は、結晶構造に敏感であり、規則層か不規則層かによっても磁気特性に影響する。そして、一般には、規則層の方が磁気異方性が大きく、キュリー温度が高いことが多い。しかし、本発明の実施例に示すような、化学合成法や、薄膜合成法、あるいはバルクでも高温から急冷して作成した場合には不規則層が形成される場合が多い。そこで、熱処理(焼き鈍し)によって、不規則層から規則層を得ることが可能であるが、本発明者らは、この熱処理を特別の方法で行うことにより、規則化の配向性を制御することができ、結局磁気異方性の方向を制御できることを見いだした。
【0083】
従来、バルク結晶においては、L1規則層を有するFePd合金で、強磁界を印加しながらキュリー温度以上に加熱して熱処理すると、磁界印加方向に磁気異方性を揃えることができることが知られていた(田中克志、まてりあ、2001年、第40巻、第6号、564頁−567頁)。本発明者らは、FePt,CoPt,FePtの微粒子試料について、キュリー温度以上の温度で、磁界中で熱処理することによって、磁気異方性が制御できることを見いだした。しかも、このときに印加する磁界は、バルクの場合と異なり、バルクの場合よりずっと低い磁界でも、有効であることが分かった。この理由は、通常、バルク結晶においては、不規則→規則変態によって生ずる歪みが、特定のバリアントの成長を阻害するが、3〜50nmといった大きさの微粒子においては、歪みが簡単に緩和されるためと考えられる。
【0084】
表1には、L1規則層を有する合金の、規則化温度と、規則層のキュリー温度(強磁性体が磁気秩序を失う温度)を示す(Klemmerら、Scripta Metallugica et materialia, vol.33, Nos.10/11, pp1793−1805,1995他)。
【0085】
なお、これらの特性は、実際には組成(規則合金の組成はほぼ1:1であるが、これから多少のずれがあっても同じ結晶構造を示す。)によって多少変動するので、表1の数値は目安である。
【0086】
【表1】
Figure 0003597507
【0087】
微粒子を規則化させるときの最適の温度は、ほぼキュリー温度(Tc)以上の温度がよい。より望ましくはTc+10℃以上がより適当である。また上限としては、Tc+200℃まで、望ましくはTc+100℃以下より望ましくはキュリー温度Tc+50℃以下とするのがよい。
【0088】
また、印加する磁界としては、1kOe以上、望ましくは5kOe以上、より望ましくは10kOe以上が望ましい。あまり磁界が高いと設備上実施困難となるので20kOe以下、望ましくは15kOe以下とするのがよい。
【0089】
本発明の磁気記録媒体の製造方法において、熱処理工程においては、上記微粒子の結晶配向性制御方法と同様にして、キュリー温度以上の温度で磁界中で熱処理するのが望ましい。
【0090】
また、膜面に垂直方向に磁界を印加することにより、膜面垂直方向に磁気異方性を有する媒体の作成が可能になる。
【0091】
また、本発明の第2または第5の磁気記録媒体の製造方法の場合、磁性微粒子1の下に、軟磁性下地膜が形成され、この軟磁性膜が、外部からの強磁界により膜面垂直方向に磁化され、磁化された軟磁性膜により強い磁界が磁性微粒子1に及ぼされるので、より弱い磁界で磁性微粒子がより強い垂直磁気異方性を持ちやすくなる。また、前述したように比較的厚い軟磁性薄膜層3を用いれば、磁性微粒子1に垂直磁気異方性を付与するのにも有効である。なお、軟磁性薄膜層に適当な異方性を付与するために、熱処理後に更に低温かつ低磁界で熱処理を行って軟磁性膜の異方性を再度つけ直すのも良い。
【0092】
本発明の磁気記録媒体に記録する磁気ヘッドは、図32に示すような単磁極ヘッドを用いるのが望ましい。単磁極ヘッド520は、コイル522に電流510を流すことにより、軟磁性体からなる磁極521から磁界(磁束)511が発生する。単磁極ヘッド520から発生する磁界は、従来のリングヘッドと異なり、磁気記録層502において、磁界の膜面垂直方向の成分が強く、本発明の磁気記録媒体には適している。このとき、磁気記録層が垂直磁気異方性を有すれば、より効果的に磁気記録再生を行うことができる。また、磁束511は、磁極521からでて、磁気記録層502を通り、軟磁性薄膜層503を流れることになる。
【0093】
単磁極ヘッドは開磁路構造のため、これを改善するために、図33に示すようなリターンヨーク523を設けたタイプの単磁極ヘッドも提案されている。この場合、リターンヨーク523の断面積は磁極521に比べて広く磁束密度は小さくなるので、リターンヨークが記録層の磁化を書き換える可能性は小さい。リターンヨークを用いた単磁極ヘッドを用いることにより、より有効に本発明の磁気記録媒体に磁気記録できるようになる。
【0094】
再生ヘッド(磁気ヘッドの再生部)としては、現在磁気抵抗変化を利用したMRヘッド(Magnetoresistive head)が盛んに用いられている。中でも巨大磁気抵抗効果(Giant Magnetoresistance、GMR)を用いたGMRヘッド(スピンバルブヘッドとも呼ばれている)が主流となりつつある。しかしこれも限界に近づきつつあり、100Gbit/inを超える記録密度においてはトンネル効果を利用したTMR(Tunneling Magnetoresistance)ヘッドや、膜面に垂直に電流を流すGMR効果を利用したCPP−GMR(Current Perpendiculer to the Plane)ヘッドが利用される可能性が高い。
【0095】
本発明では、通常のリソグラフィー手法を用いて、基板に凹凸を形成する。凹凸が形成された基板上に、有機コーティング膜を付着した微粒子を塗布する。このとき、特に、凹部(形成された凹凸の溝の部分)の状態を模式的に図34A−Bに示す。図34Aは基板を上から見た図であり、I−I線で切った側面図が図34Bである。リソグラフィーで形成される溝の幅はせいぜい数10nm、通常100nm以上であり、ここで想定している微粒子(1〜50nm)に比べて十分大きいため、もっと多数の微粒子が1個の溝に収容される。また、有機コーティング膜602の役割は、微粒子601に付着して、微粒子同士の間隔を一定に保ったり、基板と微粒子の距離を一定に保つ役割がある。この有機コーティング膜の作用を溝の側面に対しても利用すれば、微粒子が図34A−Bに示すようなある大きさの溝に収容された場合、適当な条件を選べば、微粒子が側面から一定間隔に並ぶようになる。つまり、溝の側面に沿って微粒子を配列することが可能となる。
【0096】
ここで用いられる微粒子の大きさは、1nm〜50nm程度の大きさである。より望ましくは3nmから10nm程度のものがよい。現在、リソグラフィーの技術によって作成できる溝の大きさは前記したように通常の方法では、100nm程度である。本発明の方法は、中程度の微細加工をリソグラフィーを用いた方法、更に詳細なナノメータースケールの微粒子の配列を、微粒子の自己組織化で実現するものである。従って、微粒子の粒径がほとんどリソグラフィーの線幅(凹凸部の周期、溝の幅、長さに相当)と等しくなる状態でも、本発明は有効であるが、本来の意味が無くなる。一般的には凹凸の周期が微粒子の直径の5倍以上、より望ましくは10倍以上で効果的である。逆に凹凸の周期が微粒子の直径に対して大きすぎると、凹凸に沿った微粒子の配列が困難となる。従って、凹凸の周期は微粒子の直径の1000倍以下、望ましくは100倍以下、最も望ましくは30倍以下とする。
【0097】
形成される溝の深さとしては少なくとも微粒子の直径の1/3以上の深さを有するものが望ましい。これ以下の深さしかないと、溝にそって微粒子を配列させる能力が低下する。より望ましくは微粒子の直径以上の深さがよい。また、溝の深さの上限としては微粒子を溝の中に配列させる都合上、微粒子の直径の10倍以下、望ましくは5倍以下、用途によっては2倍以下とする。たとえば、磁気記録媒体に用いる場合には、あまり深いと、突部がヘッドの先端に衝突する等問題を発生する確率が高くなるので、微粒子の直径以下程度に押さえるのが望ましい。
【0098】
つまり、従来の微粒子の配列方法では、自己組織化を利用しても、微粒子の配列方向を制御する事は困難であったが、本発明の方法では、自己組織化の方法にリソグラフィーの方法を組み合わせることにより、これが可能になる。
【0099】
リソグラフィー手法によって、凹凸を形成する手法は、目的の形状を形成できるものであれば特に限定されないが、一例を図36A−Dに示す。
【0100】
図36Aでは、まず有機レジスト膜621を基板620上に形成した後、形成したいパターンに従って作成したマスクを用いて露光して、レジストの一部を感光させる。これによってレジストの感光部または非感光部を取り除くと図36Bのようなレジストパターンが形成される。その後更に、例えば、Au膜622を所定の膜厚蒸着し(図36C)、残存レジストパターンを除去すると、Au膜よりなる突部が形成される(図36D)。このようにして微細な凹部が形成できるので、この中に図34A−Bに示すようにコーティング膜602を有する微粒子601を配列する。
【0101】
通常、このような基板の前処理、基板への有機コーティング膜の形成は、凹部だけに形成されていてもよい。図36のような手法による凹凸の形成の場合、突部はAu膜、凹部は元の基板材料であり、材料が異なるので、凹部だけに選択的に反応する有機コーティング膜の形成を行う等の処理により、微粒子を凹部だけに形成することができる。
【0102】
一方、目的によっては凹凸部ともに同じ材料で形成し、基板への有機コーティング膜の形成も、凹凸部両方ともに形成することも可能である。この場合は、凹部のみならず凸部にも微粒子が配列することになる。凸部における微粒子の配列は、凹部ほどではないが、この場合にもある程度パターンの形状に沿ったものになる。この原因は今のところはっきりしていないが、微粒子に付着した有機コーティング膜に対する相互作用が凸部の端部と中央部では異なるためと考えられる。
【0103】
凹凸部を同じ材料で構成するためには、たとえば、図3の方法では基板上にレジストを塗布する前にAu層を形成しておけば、凹部も凸部もAu層とすることができる。
【0104】
微粒子としては、金属、半導体、金属酸化物等がある。金属にはAu,Ag,Pt等の貴金属等やその合金等、種種ある。
【0105】
基板としては、平滑な表面性をもつものであれば、半導体、金属、ガラス基板等特に限定されない。具体的にはSi、GaAs、Al、アルティック基板等種種のものが利用可能である。
【0106】
この微粒子の作製方法を用いて、ハードディスク装置に用いる磁気記録媒体を製造する場合には、リソグラフィーによるパターニング方法は、図35に示すように、ディスク基板610の円周上に円周に沿って、凹凸パターン611を形成するのがよい。この後で、微粒子を基板上に分散させることにより、円周に沿って微粒子を配列させることができる。なお、図35においてはリソグラフィーによって形成された溝が3筋だけ記載されているが、実際の磁気ディスクにおいては、基板としては1インチ、1.8インチ,2.5インチ,3.5インチの直径の基板が用いられ、そこに前記のリソグラフィーの限界を考慮して100nm以上の間隔で凹凸を形成する。
【0107】
以上のようにして作成した凹凸部に形成する磁気記録媒体の構成の一例を図29に示す。図29では、非磁性基板504上に直接又は下地層を介して、軟磁性薄膜層503が形成され、更にその上に、磁性微粒子501からなる磁気記録層502が形成されている。磁気記録層502は、3nm以上50nm以下の直径の磁性微粒子501と磁性微粒子501を覆う被覆502から成り立っている。被覆502は、磁性微粒子501を一定の間隔で配置するのに役立つ。被覆502は有機コーティング膜である。磁性微粒子501の材料としては、一軸結晶磁気異方性定数Kuの大きなFePt,CoPt,FePd,MnAl,Co,Co−Pt,Sm−Co,Fe−Nd−B等の材料がよいが、特にKuが大きく、耐食性等の実用性の両方の観点からはFePt,CoPtのL1層の規則合金が優れている。磁性微粒子501の大きさとしては、高密度記録の観点からは、なるべく小さいのが望ましい。しかしながら、熱揺らぎの観点からはなるべく大きいものがよい。そして、前記したように、Kuが大きい材料ほど粒子の大きさが小さくても、熱揺らぎに対してより磁化が安定である。具体的に磁性微粒子の大きさとしては、少なくとも3nm以上、望ましくは4nm以上の大きさがよく、上限は50nm以下、望ましくは10nm以下、より望ましくは8nm以下である。
【0108】
また、微粒子層の層数は、1層だけ均一に配列されるのが最も望ましいが、均一に配列されていれば、2層、あるいは3層といった複数層微粒子が配列しているものも利用できる。
【0109】
軟磁性薄膜層503は、低磁歪で、結晶磁気異方性の小さな材料が優れている。結晶質のもの、非晶質のもの、いずれも本発明では使用可能である。具体的には、Ni−Fe、Co−Nb−Zr,Fe−Ta−C,Co−Ta−Zr,Fe−Al−Si等の金属材料あるいはフェライト等の酸化物の材料が適用可能である。軟磁性薄膜層503の膜厚としては、軟磁性膜の飽和を防ぐ観点からある程度の膜厚は必要で、少なくとも100nm以上、望ましくは300nm以上の膜厚が望ましい。また、上限としては、生産性の観点、表面平滑性の点などから1μm以下とするのがよい。
【0110】
基板504としては、アルミ基板、ガラス基板等の非磁性材料が用いられる。
【0111】
通常は、磁気記録層502の上に更に保護層を形成する。保護層としては、固体保護層としてダイヤモンド状カーボン膜(DLC膜)等を用い、更に液体潤滑剤を塗布する場合が多い。
【0112】
以上のようにして作製した磁気記録媒体に、より望ましくは、高温で磁気記録媒体を熱処理する。特にFePt、CoPt等の系においては、熱処理によって、規則化させることによって、保磁力を生じる。熱処理時の温度は500℃以上望ましくは550℃以上である。また、温度が高すぎると保磁力が大きくなりすぎる、軟磁性膜の特性が劣化する等の問題が生じることがあるので、高くても700℃以下、望ましくは、600℃以下とするのがよい。熱処理するときには、膜面垂直方向に少なくとも5kOe以上、望ましくは10kOe以上の磁界を加えるのが望ましい。磁界が15kOe以上であると磁界印加装置が大きくなりすぎるので、必要に応じて15kOe以下、望ましくは12kOe以下の磁界にとどめるべきである。この熱処理中の磁界によって、微粒子に特定の方向に磁気異方性を持たせることが可能となる。また、本発明の場合、磁性微粒子501の下に、軟磁性下地膜が形成され、この軟磁性膜が、外部からの強磁界により膜面垂直方向に磁化され、磁化された軟磁性膜により強い磁界が磁性微粒子501に及ぼされるので、磁性微粒子がより強い垂直磁気異方性を持ちやすくなる。また、前記したように比較的厚い軟磁性薄膜層503を用いれば、磁性微粒子501に垂直磁気異方性を付与するのにも有効である。なお、軟磁性薄膜層に適当な異方性を付与するために、熱処理後に更に低温かつ低磁界で熱処理を行って軟磁性膜の異方性を再度つけ直すのも良い。
【0113】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について図面を用いて説明する。
【0114】
(実施例1)
本実施例について図1A−C、図2A−C及び図3A−Bを用いて説明する。
【0115】
乾燥雰囲気下で、非水系不活性溶媒であるヘキサン100mLに末端官能基としてフェニル基を有するクロロシラン化合物(ベンジルトリクロロシラン(C−CH−SiCl))を加えて0.01mol/Lのヘキサン溶液を作成した。次にその溶液に磁性微粒子(平均粒子直径5nmのFe0.52Pt0.48(組成は原子比率))1を100mg加え、よく攪拌した。半時間後に当該乾燥雰囲気で乾燥クロロホルムに浸漬して洗浄し、上記ヘキサン溶媒及び未反応のクロロシラン化合物を分離した。この操作により磁性微粒子1の表面上に存在する水酸基(−OH)と前記クロロシラン化合物との間で次の化学式(1)のような脱塩化水素反応がおこり、単分子膜2が形成できた(図1A−C)。
【0116】
−CH−SiCl + HO−微粒子 → C−CH−Si(−O−)微粒子 (1)
図1Aは磁性微粒子1の断面図であり、図1Bは磁性微粒子1の表面が単分子膜2で覆われている断面図であり、図1Cは図1BのAの部分拡大断面図である。
【0117】
一方、シリコン基板3に対しても単分子膜を形成した。まず、乾燥雰囲気下でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLに末端官能基としてCHCl基を有するクロロシラン化合物(クロロメチルフェニルエチルトリクロロシラン(CHCl−C−(CH−SiCl))を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気下でこの溶液20mLを採り、シリコン基板3を上記溶液に浸漬し、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記基板を取り出し、乾燥雰囲気で上記基板を乾燥クロロホルムに浸漬して洗浄を行った。その後、上記基板3を取り出した。
【0118】
この操作によりシリコン基板3の表面上に存在する水酸基(−OH)と前記クロロシラン化合物との間で次の化学式(2)のような脱塩化水素反応がおこり、単分子膜4が形成できた(図2A−C)。
【0119】
CHCl−C−(CH−SiCl + HO−基材 → CHCl−C−(CH−Si(−O−)基材 (2)
図2Aはシリコン基板3の断面図であり、図2Bはシリコン基板3の表面が単分子膜4で覆われている断面図であり、図2Cは図2BのBの部分拡大断面図である。
【0120】
次に、上記基板表面に上記磁性微粒子を保持する操作を行った。上記単分子膜形成を終えた磁性微粒子をクロロホルムに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はクロロホルム50mLに対して100mgとした。上記基板を入れたマイクロ反応容器を油浴に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記クロロホルム溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記クロロホルム溶液で濡れた状態にした。さらに塩化アルミニウムをごく少量加えて、攪拌子によりよく撹拌した。次いで油浴の温度を上げて、120℃程度に設定し、加熱した。基板上のクロロホルムはすぐに気化するのでそれを抑えるためマイクロ反応容器に冷却管を取り付けてクロロホルム溶液の減少を抑えた。1時間後、基板上には磁性微粒子が残り、磁性微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士が化学反応(脱塩化水素反応)した。この反応は基板表面に形成された単分子膜の官能基と磁性微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してのみ行われ、磁性微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士では反応が起きず、反応後に基板をヘキサンで洗うことにより未反応の磁性微粒子は基板から洗い落とした。基板上には脱塩化水素反応が起きた磁性微粒子が化学結合5を含む分子2,4で固定された(図3A)。
【0121】
以上の操作により、基板3表面上に微粒子配列体6が形成できた(図3B)。反応後は高解像度電子顕微鏡によりシリコン基板上に微粒子からなる層が形成されていることを確認した。またクロロホルム、アセトンの溶剤により微粒子の膜がシリコン基板から剥離しないことも上記の高解像度電子顕微鏡により確認した。なお、後述する実施例の評価も上記と同様の手法にて実施し、確認を行った。
【0122】
次に、上記方法を用いて図19Aに示す磁気記録媒体を形成した。基板204としてはシリコン基板を用い、基板上に軟磁性薄膜層203として膜厚300nmのFe−Ta−C膜をスパッタ法で形成した。この膜の飽和磁束密度Bsは約1.6T、保磁力Hcは0.5Oe、透磁率μは1000である。次に、前記した単分子膜を形成した磁性微粒子202として平均粒子直径5nmのFe0.52Pt0.48(組成は原子比率)微粒子からなる磁気記録層202を形成した。このとき、磁気記録層202は直接、軟磁性層203の上に形成してもよいが、単分子膜の付着性をさらに改善するために、適当な下地層を形成した上に形成するのもよい。この場合の下地層としては、SiO等の膜が好適である。この下地層の膜厚は少なくとも2nm程度は厚みがないと効果がないが、厚すぎると磁気特性に悪い影響を与えるので10nm以下より望ましくは5nm以下とするべきである。また単分子膜は、形成後は磁性微粒子の間隔を好適に制御する被覆層205としての役割を果たす。さらに、磁気記録層202の上にカーボン系の保護膜206を形成した。このような図19Aに示す構成の磁気記録媒体のFePt微粒子の磁気特性を出すために600℃で約1時間熱処理した。このようにして作成した本実施例の磁気記録媒体の保磁力を測定したところ5kOeであり、高密度磁気記録媒体として好適な値を示した。また、電子顕微鏡で観察すると、磁気記録層202は微粒子201が基板表面上に均一な厚みと間隔を保持して分散しており、高密度磁気記録に好適な磁気記録媒体が得られた。
【0123】
(実施例2)
本実施例について図4A−C、図5A−C及び図6A−Bを用いて説明する。
【0124】
乾燥雰囲気下で、ブチルアルコール100mLに水酸基を末端官能基に有するチオール化合物(4−メルカプト−1−ブタノール(HS−(CH−OH))を加えて0.01mol/Lのブチルアルコール溶液を作成した。次にその溶液に平均粒子直径5nmのPt微粒子10を100mg加え、よく攪拌した。半時間後に当該乾燥雰囲気で上記ブチルアルコールおよび未反応のチオール化合物とPt微粒子を分離して、Pt微粒子表面上に上記チオール化合物からなる単分子膜11を形成した(図4A−C)。
【0125】
図4AはPt微粒子10の断面図であり、図4BはPt微粒子10の表面が単分子膜11で覆われている断面図であり、図4Cは図4BのCの部分拡大断面図である。
【0126】
一方、耐熱性ガラス基板12に対しても単分子膜形成処理を行った。乾燥雰囲気下でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLにエポキシ基を末端に有するクロロシラン化合物(5,6−エポキシヘキシルトリクロロシラン(CHOCH−(CH−SiCl))を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気でこの溶液20mLを採り、上記基板12を上記溶液に浸漬し、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記基板12を取り出し、乾燥雰囲気で上記基板をクロロホルムに浸漬して洗浄を行った。その後、基板を取り出した。基板表面上には上記クロロシラン化合物からなる単分子膜13が形成された(図5A−C)。
【0127】
図5Aは基板12の断面図であり、図5Bは基板12の表面が単分子膜13で覆われている断面図であり、図5Cは図5BのDの部分拡大断面図である。
【0128】
次に、上記基板表面に上記貴金属微粒子を保持する操作を行った。上記単分子膜形成を終えた貴金属微粒子をブチルアルコールに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はヘキサン50mLに対して100mgとした。上記基板をホットプレート上に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記ブチルアルコール溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記ブチルアルコール溶液で濡れた状態にした。次いでホットプレートの温度を上げて、150℃程度に設定し、加熱した。基板上のブチルアルコールはすぐに気化し、基板上には貴金属微粒子が残り、貴金属微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士の化学反応が行われた。この反応は基板表面に形成された単分子膜の官能基と貴金属微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してだけ行われ、貴金属微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士では反応が起きず、反応後に基板をブチルアルコールで洗うことにより未反応の貴金属微粒子を基板から洗い落とすことができた。図6Aには、基板上にエポキシ開環反応が起き、化学結合14を含む分子11,13で固定されている例を示す。
【0129】
以上の操作により、基板12表面上に微粒子配列体15が形成できた(図6B)。
【0130】
(実施例3)
本実施例について図7A−C、図8A−C及び図9A−Bを用いて説明する。
【0131】
エチルアルコールを溶媒にして末端にアミノ基を有するメトキシシラン化合物(4−アミノブチルトリメトキシシラン(NH−(CH−Si(OCH)の0.01モル溶液を作成した。この溶液50mLに磁性Co微粒子20を10mgを加えて、緩やかに攪拌し、つぎに反応促進のため1M塩化水素水を1mL加えてさらに攪拌した。半時間後に固液分離を行って、平均粒子直径9nmの磁性Co微粒子を取り出し、エチルアルコール100mL中に当該磁性Co微粒子約10mgを入れて、緩やかに攪拌して洗浄した。その後、再び固液分離を行って磁性微粒子を取り出した。次に当該磁性微粒子を120℃に設定した加熱装置に入れて、半時間静置した。これらの操作によって磁性微粒子表面にメトキシシラン化合物からなる単分子膜21が形成された(図7A−C)。
【0132】
図7Aは磁性微粒子20の断面図であり、図7Bは磁性微粒子20の表面が単分子膜21で覆われている断面図であり、図7Cは図7BのEの部分拡大断面図である。
【0133】
一方、シリコン基材22の表面にも同様の処理を行い、単分子膜を形成した。エチルアルコールを溶媒にして末端にカルボキシル基を官能基として有するメトキシシラン化合物(10−カルボキシ−1−デカントリメトキシシラン(COOH−(CH10−Si(OCH))の0.01モル溶液を作成した。この溶液50mLをシャーレに採り、その溶液に塩化水素水を1mL加えた後に、2cm×3cmのシリコン基板22を浸漬し、約1時間静地した。次にシリコン基板を溶液から取り出し、エチルアルコールで数度基板表面を洗った。基板表面に乾燥窒素ガスを当てて基板表面を乾燥し、その後、120℃に維持したベーク装置に当該基板を入れて、半時間静地した。これらの操作を経てシリコン基板表面にメトキシシラン化合物からなる単分子膜23が形成された(図8A−C)。
【0134】
図8Aはシリコン基板22の断面図であり、図8Bは同基板22の表面が単分子膜23で覆われている断面図であり、図8Cは図8BのFの部分拡大断面図である。
【0135】
次に、上記磁性微粒子約10mgをエチルアルコール10mLに加えて上記単分子膜形成を終えた磁性微粒子をエチルアルコールに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよい。上記基板をホットプレート上に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記エチルアルコール溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記エチルアルコール溶液で濡れた状態にした。次いでホットプレートの温度を上げて、150℃程度に設定し、加熱した。基板上のエチルアルコールはすぐに気化し、基板上には磁性微粒子が残り、磁性微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士の脱水反応が行われた。この反応は基板表面に形成された単分子膜の官能基と磁性微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してだけ行われ、磁性微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士では反応が起きず、反応後に基板をエチルアルコールで洗うことにより未反応の磁性微粒子は基板から洗い落とすことができ、基板上には反応が起きた磁性微粒子が化学結合24で固定された。図9Aには、基板上に脱水反応が起き、アミド結合(−NHCO−)24を含む分子21,23で固定されている例を示す。
【0136】
以上の操作により、基板22表面上に微粒子配列体25が形成できた(図9B)。
【0137】
(実施例4)
本実施例について図10A−Bを用いて説明する。
【0138】
実施例2に示すように、水酸基を末端官能基として有するチオール化合物からなる単分子膜31を第1の磁性Co微粒子30(平均粒子直径9nm)の表面上に形成し、上記第1の磁性微粒子を保持する基板32に対してもエポキシ基を末端官能基として有するクロロシラン化合物からなる単分子膜33を形成し、その後、上記基板表面に上記第1の磁性微粒子を保持する化学結合反応の操作を行い、上記第1の磁性微粒子は基板表面上で化学結合34を形成し、第1の微粒子配列体35を形成した(図10A)。
【0139】
つぎに、乾燥雰囲気でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLにエポキシ基を末端官能基として有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気でこの溶液20mLを採り、第2の磁性Fe0.5Pt0.5微粒子(平均粒子直径5nm)36に上記溶液を接触させて、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記第2の微粒子の接触を終え、乾燥雰囲気で上記微粒子をクロロホルムに接触させて洗浄を行った。その後、上記微粒子を取り出した。一連の操作を終えて上記第2の微粒子の表面上には上記クロロシラン化合物からなる単分子膜37が形成された。
【0140】
次に、前記の基板32の表面に磁性微粒子30を保持する操作を行った基板に新たに第2の磁性微粒子39を接触させる操作を行った。上記単分子膜形成を終えた第2の磁性微粒子をブチルアルコールに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はヘキサン50mLに対して100mgとした。上記基板をホットプレート上に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記ブチルアルコール溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記ブチルアルコール溶液で濡れた状態にした。次いでホットプレートの温度を上げて150℃程度に設定し、加熱した。基板上のブチルアルコールはすぐに気化し、基板上には第2の磁性微粒子が残り、先に基板上に形成された第1の微粒子31と今回単分子膜の処理を行った第2の微粒子36の表面に形成された単分子膜の官能基同士の化学反応が行われた。この反応は2種類の磁性微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してだけ行われ、第2の磁性微粒子表面に形成された単分子膜の官能基と基板に形成されている単分子膜間では反応が起きず、反応後に基板をブチルアルコールで洗うことにより未反応の磁性微粒子は基板から洗い落とすことができた。第1の微粒子31と第2の微粒子36は、化学結合38で固定された。その結果、基板32の表面に、第1の微粒子配列体35と第2の微粒子配列体39は一体化して固定された(図10B)。
【0141】
(実施例5)
本実施例について図11を用いて説明する。
【0142】
実施例4に示す基板32に形成した単分子膜が微粒子表面に形成されている第1の微粒子配列体35(微粒子:平均粒子直径9nmの磁性Co微粒子)を用いて、実施例4で形成された第2の微粒子配列体39(微粒子:平均粒子直径5nmの磁性Fe0.5Pt0.5微粒子)の上に、第3の微粒子配列体40(微粒子:平均粒子直径6nmのSi微粒子)を形成した。
【0143】
操作方法は実施例4に示す条件と同じにした。その結果、実施例4に示した第2の微粒子配列体39の上に第3の微粒子配列体40を固定して形成することができた。
【0144】
同様の一連の操作を繰り返すことにより任意の累積数の微粒子からなる配列体を形成できる。
【0145】
また、異種の材料に微粒子配列体を累積させることも、本実施例を応用することにより可能である。
【0146】
(実施例6)
本実施例について図12を用いて説明する。
【0147】
末端にハロゲン基(本実施例では臭素)を有するクロロシラン化合物(14−ブロモテトラデシルトリクロロシラン(Br−(CH14−SiCl))をシリコーンオイルに約1重量%の濃度になるように溶かした。この溶液100mLに対してシリコン系無機微粒子50を10g入れてよく攪拌したところ、シリコン無機微粒子(平均粒子直径3nmのSi微粒子)の表面でクロロシラン系材料が脱塩化水素反応を起こして、シリコン系無機微粒子の表面にクロロシラン系材料からなる単分子膜51が形成された。反応を終えた上記溶液から未反応クロロシラン系材料を含むシリコーンオイルを除き、さらに数度、多量のクロロホルムを加えてシリコン系微粒子を洗浄し、最後に反応を終えたシリコン系無機微粒子を得た。
【0148】
また、上記微粒子を置く基板となるガラス板52にも同様に不飽和結合基を有するクロロシラン化合物(15−ヘキサデセニルトリクロロシラン(CH=CH−(CH15−SiCl))のシリコーンオイル溶液を作成し、この溶液にガラス板を接触させ、反応後のガラス板をクロロホルムで洗浄して、表面に単分子膜53が形成されたガラス板を得た。
【0149】
上記の単分子膜が形成されたガラス基板にエネルギー線としてX線を照射した。X線照射によりガラス基板上の単分子膜の不飽和結合基は励起され、反応活性部位に変化した。直ちに上記単分子膜が形成されているシリコン系無機微粒子を基板表面に接触させたところガラス基板上の単分子膜とシリコン系無機微粒子表面の単分子膜が化学結合54を生じ、ガラス基板上にシリコン系無機微粒子が固定された。この化学結合は微粒子間では生じず、結果としてガラス基板上には微粒子からなる構造物のみを形成することができた。
【0150】
このエネルギー線照射を繰り返し行うことにより任意の微粒子からなる構造物を形成できることが可能になる。
【0151】
(実施例7)
本実施例について図13A−Dを用いて説明する。
【0152】
実施例1と同様に乾燥雰囲気で非水系不活性溶媒としてヘキサン100mLに末端官能基としてフェニル基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサン溶液を作成した。次にその溶液に磁性Fe0.5Pt0.5微粒子(平均粒子直径4nm)60を100mgを加え、よく攪拌した。半時間後に当該乾燥雰囲気で上記ヘキサン溶媒及び未反応のクロロシラン化合物と磁性微粒子を分離した。この操作により磁性微粒子表面上に上記クロロシラン化合物からなる単分子膜61が形成された(図13A)。
【0153】
一方、上記磁性微粒子を保持する基板62に対しても実施例1と同様の単分子膜形成操作を行い、末端官能基としてCHCl基を有する単分子膜を形成した。乾燥雰囲気でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLに末端官能基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気でこの溶液20mLを採り、上記基板を上記溶液に浸漬し、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記基板を取り出し、乾燥雰囲気で上記基板をクロロホルムに浸漬して洗浄を行った。その後、基板を取り出した。基板表面上には上記クロロシラン化合物からなる単分子膜63が形成された(図13B)。
【0154】
次に、基板を金属マスク65を介して500W高圧紫外線ランプ64下に置き、紫外線を照射した。30秒の照射により紫外線が照射された部分の基板上単分子膜は除去され、金属マスク65で覆われたところだけに単分子膜66が残った(図13C)。
【0155】
次に、実施例1と同じく上記基板表面に上記磁性微粒子を保持する操作を行った。上記単分子膜形成を終えた磁性微粒子をクロロホルムに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はクロロホルム50mLに対して100mgとした。上記基板を入れたシャーレをホットプレート上に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記クロロホルム溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記クロロホルム溶液で濡れた状態にした。さらに塩化アルミニウムをごく少量加えて、よく撹拌した。次いでホットプレートの温度を上げて、約120℃に設定し、加熱した。基板上のクロロホルムはすぐに気化するのでシャーレでふたをしてクロロホルムの減少を抑えた。1時間後、基板上には磁性微粒子が残り、磁性微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士の化学反応が行われた。この反応は基板表面に金属マスクを介して形成された単分子膜の官能基と磁性微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してのみ行われ、磁性微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士および紫外線照射された基板部分では反応が起きず、反応後に基板をヘキサンで洗うことにより未反応の磁性微粒子は基板から洗い落とすことが出来、基板上には反応が起きた磁性微粒子が化学結合67で固定された。この磁性微粒子は結果として基板表面上の金属マスクで覆われていた部分にのみに微粒子が配列した構造体を形成した(図13D)。
【0156】
(実施例8)
本実施例について図14を用いて説明する。
【0157】
実施例7でパターン形成された微粒子配列体70の基板に新たなクロロシラン材料を用いて微粒子からなる構造物が形成されなかった部分にのみ新たな単分子膜71を形成した。ヘキサデカンとクロロホルムの体積比4対1の混合液に濃度1%の末端二重結合のクロロシラン化合物(18−ノナデセニルトリクロロシラン((CH=CH−(CH18−SiCl))の溶液を作成した。この溶液に先のパターン化された微粒子からなる構造物構造の基板を浸漬した。半時間後基板を取り出し、クロロホルムで洗浄を行った。以上の操作により実施例7で紫外線を照射することによって実施例7で単分子膜が除去された箇所に再度末端二重結合を有する単分子膜が形成された。なお、すでに微粒子のパターンが形成されている部分の微粒子表面や基板上には新たな単分子膜の形成は認められなかった。よって選択的な単分子膜形成がなされた。
【0158】
ついで、上記基板に過マンガン酸カリウム水溶液を用いて単分子膜構成分子末端の二重結合の酸化処理を行った。約10時間の浸漬によって、二重結合部分はCOOH基に変化した。
【0159】
微粒子には貴金属微粒子(平均粒子直径4nmのAu微粒子)72を用いた。末端アミノ基のチオール化合物(8−アミノ−1−オクタンチオール(NH−(CH−SH))をエチルアルコールに溶かし、そこに貴金属微粒子を入れ、24時間撹拌することにより貴金属微粒子表面にチオール化合物による単分子膜73を形成した。
【0160】
上記基板と上記貴金属微粒子を用いて微粒子の基板上への固定操作を実施した。ヘキサンに単分子膜を形成した貴金属微粒子を分散し、その液を基板に滴下し、120℃で加熱処理した。この処理により貴金属微粒子の有機コーティング膜と基板表面の有機コーティング膜は化学結合74を形成し、新たに貴金属粒子からなる構造物75が基板62に固定された。
【0161】
(実施例9)
本実施例について図15を用いて説明する。
【0162】
実施例5で形成した3層構造の微粒子配列体が形成された基板80に金属マスクを介して電子線を照射した。その後、上記基板を四塩化炭素に浸漬したところ電子線を照射した部分の微粒子配列体は除去され、電子線が照射されなかったところのみ微粒子からなる構造物が残り、基板上に微粒子からなる構造物のパターン81が形成された。
【0163】
(実施例10)
本実施例について図16を用いて説明する。
【0164】
実施例6で用いた末端にハロゲン基(本実施例では臭素)を有するクロロシラン系材料をシリコーンオイルに約1重量%の濃度になるように溶かした。この溶液100mLに対して磁性微粒子を10g入れてよく攪拌したところ、磁性微粒子の表面でクロロシラン系材料が脱塩化水素反応をおこして、磁性微粒子の表面にクロロシラン系材料からなる単分子膜が形成された。反応を終えた上記溶液から未反応クロロシラン系材料を含むシリコーンオイルを除き、さらに数度、多量のクロロホルムを加えて磁性微粒子を洗浄し、最後に反応を終えた磁性微粒子を得た。
【0165】
また、上記微粒子を配列させる基板として、直径1インチのディスク状のガラス基板を用い、この基板上にも同様に不飽和結合基を有するクロロシラン系材料のシリコーンオイル溶液を作成し、この溶液にガラス基板を接触させ、反応後のガラス基板をクロロホルムで洗浄して、表面に単分子膜が形成されたガラス基板を得た。
【0166】
上記の単分子膜が形成されたガラス基板90にエネルギー線としてX線を照射した。この際、第1のX線の照射部分91は図16に示すようにディスクの中心を共有する同心円の円周上に沿う形とした。X線照射によりガラス基板上の単分子膜の不飽和結合基は励起され、反応活性部位に変化した。直ちに上記単分子膜が形成されている磁性微粒子(平均粒子直径5nmのFe0.52Pt0.48(組成は原子比率))を基板表面に接触させたところガラス基板上の単分子膜と磁性微粒子表面の単分子膜が化学結合を生じ、ガラス基板上に磁性微粒子が固定された。また、磁性微粒子は、完全ではないが、X線照射された円周部の形状に沿って配列する傾向が見られた。
【0167】
次に、前記X線とほぼ同様のエネルギー密度のX線を、前記ガラス基板の全面に照射した。この結果、前記微粒子が付着した部分91は、微粒子がマスクとなり変化はなかった。一方、先ほど微粒子が付着していない部分(すなわちX線の2次照射部92)では、X線照射によりガラス基板上の単分子膜の不飽和結合基は励起され、反応活性部位に変化した。直ちに上記単分子膜が形成されている磁性微粒子を基板表面に接触させたところガラス基板上の単分子膜と磁性微粒子表面の単分子膜が化学結合を生じ、磁性微粒子が固定された。このとき、磁性微粒子間には化学結合は生じていないが、その配列はすでに配列していた91部分の影響を受け、92の部位も円周に沿って配列する傾向が見られた。
【0168】
なお、図16で第1のエネルギー線を照射する部位91の幅としては、配列させる微粒子の直径の5倍以上40倍以下程度がよい。より具体的に言えば、微粒子の平均直径が5nmから10nm程度の時には、エネルギー照射部の幅は、50nm以上200nm以下、より望ましくは100nm以上150nm以下とするのがよい。この理由は、あまり幅が小さいと照射幅を制御するのが不可能または困難であるし、線幅が広いと、微粒子が秩序を保って配列しにくくなるからである。
【0169】
以上のように、本実施例によれば、ディスクの円周に沿って微粒子が配列する傾向が見られ、磁気記録媒体等に応用する際、より有効に磁気記録再生を行うことができる。
【0170】
実際に、以上のような、微粒子の作成方法を用いて、磁気記録媒体を作成した。図19Aに示すように、シリコンディスク基板204上に、まず軟磁性層203として、膜厚300nmのFe−Ta−C膜をスパッタ法で形成した。この膜の飽和磁束密度Bsは約1.6T、保磁力Hcは0.5Oe、透磁率μは1000である。次に、この軟磁性膜上に、上記方法で、平均粒子直径5nmのFe0.52Pt0.48(組成は原子比率)微粒子からなる磁気記録層を形成した。このプロセスをさらに具体的に説明すると、まず、軟磁性膜上に、直接または単分子膜の付着性を改善するために有用な下地膜(たとえば厚み10nm以下のSiO膜)を介して不飽和結合基を有するクロロシラン系材料を用いて、単分子膜層を形成し、次に選択的X線照射を利用して図16に示すような円周に沿った微粒子の配列を実現させた。
【0171】
さらに、保護層206として、プラズマCVD法を用いて、厚み約5nmのDLC膜を形成した。次にこの試料を膜面垂直方向に約10kOeの磁界を印加して、真空中570℃の温度で約1時間熱処理した。このような高温の熱処理により、有機コーティング膜は、構造が変化すると考えられるが、図19A−Bに示すような磁性微粒子の被覆として作用して、磁性粒子間の間隔を保つ役割には大きな変化は無かった。この後室温で、磁気ディスクの表面に更に液体の潤滑剤を保護層として塗布して、図19A−Bに示す本実施例の磁気記録媒体を作成した。
【0172】
次に、上記本実施例で得られた磁気記録媒体を、図20A−Bに示す磁気記録再生装置を用いて評価した。この場合、記録ヘッドには単磁極ヘッドを用い、再生にはGMRヘッドを用いた。再生ヘッドのシールドギャップ長は0.1μmのものを使った。媒体の高密度記録特性を評価するために、50kFCI(Flux change per inch、1インチ当たりの磁化反転数)から数百kFCIまで記録周波数を変化させて、再生出力を検出し、再生出力が50kFCIの時の再生出力の半分になる出力半減記録密度(D50)を求めた。
【0173】
この結果、上記本実施例の磁気記録媒体は400kFCIであり、高記録密度の記録が可能であることが確認できた。
【0174】
(実施例11)
本実施例について図17を用いて説明する。
【0175】
実施例10と同様にして、末端にハロゲン基(本実施例では臭素)を有するクロロシラン系材料からなる単分子膜を、磁性微粒子表面に形成した。
【0176】
また、上記微粒子を置く基板となる単結晶シリコン基板にも同様に不飽和結合基を有するクロロシラン系材料のシリコーンオイル溶液を作成し、この溶液にシリコン基板を接触させ、反応後のシリコン基板をクロロホルムで洗浄して、表面に単分子膜が形成されたシリコン基板を得た。
【0177】
上記の単分子膜が形成されたシリコン基板の図17の斜線部分95にエネルギー線としてX線を照射した。X線照射によりシリコン基板上の95部分の単分子膜の不飽和結合基は励起され、反応活性部位に変化した。直ちに上記単分子膜が形成されている磁性微粒子を基板表面に接触させたところシリコン基板上の単分子膜と磁性微粒子表面の単分子膜が化学結合を生じ、シリコン基板上に磁性微粒子が固定された。この化学結合は微粒子間では生じず、結果としてシリコン基板上の斜線部分95のみに微粒子からなる構造物を形成することが出来た。
【0178】
次に、斜線部の構造物の微粒子とは異なる微粒子の表面に単分子膜を構成した。末端にハロゲン基(本実施例では臭素)を有するクロロシラン系材料をシリコーンオイルに約1重量%の濃度になるように溶かした。この溶液100mLに対してシリコン系無機微粒子を10g入れてよく攪拌したところ、シリコン無機微粒子(平均粒子直径5nmのSi微粒子)の表面でクロロシラン系材料が脱塩化水素反応を起こして、シリコン系無機微粒子の表面にクロロシラン系材料からなる単分子膜が形成された。反応を終えた上記溶液から未反応クロロシラン系材料を含むシリコーンオイルを除き、さらに数度、多量のクロロホルムを加えてシリコン系微粒子を洗浄し、最後に反応を終えたシリコン系無機微粒子を得た。
【0179】
次に、磁性微粒子を図17のパターンに形成したシリコン基板の全面にエネルギー線としてX線を照射した。この結果、前記磁性微粒子が付着した部分は、微粒子がマスクとなり変化はなかった。一方、前記微粒子が付着していない部分(すなわちX線の2次照射部96)では、X線照射によりガラス基板上の単分子膜の不飽和結合基は励起され、反応活性部位に変化した。直ちに上記単分子膜が形成されている磁性微粒子を基板表面に接触させたところガラス基板上の単分子膜とシリコン系無機微粒子表面の単分子膜が化学結合を生じ、シリコン系無機微粒子が固定された。こうして、磁性微粒子の固定された部分と、シリコン微粒子の固定された部分からなる構造物が形成された。このような図17に示すようなパターニングされた磁性体の構造体の形成方法は、パターンドメディア(パターン化された磁気記録媒体)の形成方法の一つといえる。パターンドメディアは将来の高密度磁気記録を実現する一つの方法として期待されている(例えば、R.L. Whiteら、IEEE Transactions on Magnetics., vol.33, No.1 1997, p990)。パターンドメディアを形成する際、96部の周りの部分を空隙にしておくと、磁気ヘッドにより記録再生をする際、構造部95のエッジの部分に磁気ヘッドが衝突するなどして、媒体を傷つける可能性がある。そこで本実施例のように、X線の2次照射部96を非磁性の微粒子で埋めるなどして、表面の凹凸を和らげておくことは重要な技術である。
【0180】
(実施例12)
本実施例について図18を用いて説明する。
【0181】
実施例7と同様の操作で、末端官能基としてフェニル基を有するクロロシラン化合物からなる単分子膜を磁性微粒子表面に形成した。
【0182】
次に、上記微粒子を保持する基板として、直径1インチのシリコンディスクを用い、前記ディスク(基板)に対しても実施例7と同様の単分子膜形成操作を行い、末端官能基としてCHCl基を有する単分子膜を基板上に形成した。
【0183】
次に、図18に示すように、エネルギー照射部101に、エネルギー線として電子線を照射した。エネルギー線の照射された部分の単分子膜は基板(ディスク)100上から除去され、電子線を照射されていない部分102の部分だけに単分子膜が残った。
【0184】
次に、実施例7と同じく上記基板表面に上記磁性微粒子を保持する操作を行った。その結果、図18の電子線を照射されていない部分102にのみに磁性微粒子(平均粒子直径6nmのCo0.5Pt0.5微粒子)を配列させることができた。また、磁性微粒子は、完全ではないが、エネルギー線が照射された部分とされない部分の境界線である円周部の形状に沿って配列する傾向が見られた。
【0185】
次に、末端官能基としてCHCl基を有する単分子膜を基板上に形成した上記操作をもう一度行い、図18のエネルギー線照射部分に、いったん取り除かれた単分子膜と同じ単分子膜を再び形成した。
【0186】
次に、前記磁性微粒子を単分子膜上に保持する操作を前記と全く同様にして行った。その結果、図18の102の部分に磁性微粒子が配列した。このとき、すでに微粒子のパターンが形成されていた101の部分の影響を受け、円周方向に微粒子が配列する傾向が見られた。また、すでに微粒子のパターンが形成されているところの微粒子上には新たに微粒子が形成されることはなかった。
【0187】
なお、図18でエネルギー線を照射する部位101の幅としては、配列させる微粒子の直径の5倍以上40倍以下程度がよい。より具体的に言えば、微粒子の大きさが5nmから10nm程度の時には、エネルギー照射部の幅は、50nm以上200nm以下、より望ましくは100nm以上150nm以下とするのがよい。この理由は、あまり幅が小さいと照射幅を制御するのが不可能または困難であるし、線幅が広いと、微粒子が秩序を保って配列しにくくなるからである。
【0188】
以上のように、本実施例によれば、ディスクの円周に沿って微粒子が配列する傾向が見られ、磁気記録媒体等に応用する際、より有効に磁気記録再生を行うことができる。
【0189】
次に、以上のように作成した微粒子からなる構造物の表面に保護層としてDLC膜を形成して、図19Bに示す磁気記録媒体を形成した。このとき微粒子としては、平均粒子直径6nmのCo0.5Pt0.5微粒子を用いた。この磁気記録媒体を、1.33×10−3Pa(1×10−5Torr)以下の真空中で650℃の温度に1時間保持したところ、Co0.5Pt0.5微粒子の規則化が進み、面内方向の保磁力が約8kOeであり、大きな保磁力が得られた。また、熱処理温度、熱処理時間を変化させることにより、保磁力の大きさを調整することが可能だった。従って、この媒体は将来の50Gbit/in以上の高密度記録に適した媒体として利用できる。
【0190】
(実施例13)
本発明の半導体素子の構成の一例を、図21に示す。半導体基板としてp型シリコン基板301上に、トンネル障壁層302としてシリコンの酸窒化膜が設けられ、このトンネル障壁層上に有機コーティング膜を用いて微粒子303としてシリコン微粒子が構成されている。前記障壁層302および微粒子303上に絶縁体層として膜厚5〜20nmのSiO膜304が設けられ、最上部には上部電極としてn型多結晶シリコン層305が設けられている。
【0191】
以下、上記の半導体構造の作成例について述べる。まず窒素酸化物の存在下でp型半導体基板301を800℃で酸窒化して、表面に2〜3nmのトンネル酸窒化膜302を形成した。次に実施例1と同様の方法を用いて前記トンネル酸窒化膜302表面にSi微粒子を固定した。具体的には、まず、3〜5nmの粒径のSi微粒子の表面にクロロシラン化合物からなる単分子膜を形成した(図1B−C)。一方、トンネル酸窒化膜302上にもクロロシラン化合物からなる単分子膜(図2B−Cの4に相当)を形成した。次に、Si微粒子とトンネル絶縁膜302の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士を化学反応させることにより、Si微粒子303をトンネル酸窒化膜302上に固定した(図3A−B)。この状態を走査型電子顕微鏡を用いてSi微粒子の分散状態を観察したところ、Si微粒子は均一に配列され、重なり無く分散しており、面内密度として2×1012particles/cm−2の高密度の分散状態が得られていた。
【0192】
次に、残留有機物や炭化物が、次に形成するSiO層304の特性を劣化させるおそれがあるため、この対策として、酸素プラズマ処理(600W、60℃、10分の条件)を行った。この処理により、表面の不要な有機物を酸化除去できた。
【0193】
次に、CVD装置により膜厚20nmのSiO膜304を形成し、さらにn型ポリシリコン電極305を形成した。
【0194】
以下に本構造の機能を説明する。この構造では金属あるいは半導体の微粒子303は絶縁体中に埋め込まれ、周囲から絶縁されている。しかし上部の電極305に十分大きな電圧を印加すると微粒子303と半導体301の表面の間に電位差が発生し、トンネル障壁302を介したトンネル過程により微粒子中に電荷が注入される。外部電界を除去すると、蓄積された電荷は微粒子の電位を変化させるので、注入時とは逆方向のトンネル過程で電荷を放出しようとする力が働く。しかしトンネル過程は微粒子と半導体間の電位差に大きく依存し、さらに微粒子が十分小さければ量子効果やクーロンブロッケイド効果が働くので、トンネル障壁の膜厚や微粒子の粒径および分散状態を適切に制御すると長期間微粒子中に電荷を保持することができる。また上部電極305に注入時と逆方向に電圧を印加することで微粒子中の電荷を放出させることもできる。以上のように本構造は微粒子中への電荷を注入・保持・放出させる機能を有するが、この機能を十分発揮させるには微粒子の分散状態を精密に制御する必要がある。従来の、たとえばCVD法によるシリコン微結晶形成などでは作成された微粒子の大きさにばらつきがあり、また微粒子の分散状態が均一でなく、さらに微粒子の面内密度を向上させようとすると微粒子の大きさが増大したり微粒子同士が接触してしまうなどの問題があり信頼性の高い素子を作成することが困難であった。たとえば周囲より粒径の大きな微粒子があったり複数の微粒子が接触したりすると、局所的に電荷が集中したり電荷が保持できずリークしたりする。また微粒子の面内密度が低いと蓄積される電荷量が不十分になってしまう。
【0195】
本実施例の半導体素子では、微粒子の大きさ、分散状態を良好に制御することができるので、従来にない信頼性の高い微粒子への電荷注入、保持、消去の手段が提供される。
【0196】
なお、本実施例では微粒子としてSi微粒子を用いたが、同様に他の半導体や金属で構成される微粒子を用いることもできる。
【0197】
また、トンネル障壁層としてシリコン酸窒化膜を用いたが、同様にSiO等ほかの絶縁体材料や半導体材料を用いることができる。
【0198】
(実施例14)
図22に本発明の一例の半導体メモリ素子の断面構造図を示す。半導体基板としてのp型シリコン基板311中にはソース領域あるいはドレイン領域として機能するn型伝導領域316が設けられており、ソース/ドレイン電極としての金属電極317、ゲート絶縁膜としてのSiOゲート絶縁層314、ゲート電極としてのn型多結晶シリコン層315と併せてMIS型トランジスタ構造が形成されている。また前記MISトランジスター構造のゲート絶縁膜314と半導体基板311の間に、半導体基板上に設けられたトンネル障壁層として機能するシリコン酸化膜層312と、前記障壁層の表面に実施例1、13と同様の方法で固定された粒径3nmのFe0.5Pt0.5微粒子313が設けられた構造を有している。
【0199】
微粒子層313の形成方法は、まず、3nmの粒径のFePt微粒子の表面にクロロシラン化合物からなる単分子膜を形成する一方(図1B−C)、トンネル酸化膜312上にもクロロシラン化合物からなる単分子膜(図2B−C)を形成した。次に、FePt微粒子とトンネル絶縁膜312の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士を化学反応させることにより、FePt微粒子313をトンネル酸化膜上に固定した(図3A−B)。この状態で走査型電子顕微鏡を用いてFePt微粒子の分散状態を観察したところ、FePt微粒子は均一に重なり無く分散しており、面内密度として5×1012particles/cm−2の高密度の分散状態が得られていた。
【0200】
なお、本実施例においても、実施例13と同様に、微粒子表面の残留有機物や炭化物がSiO膜の特性を劣化させるのを防ぐため、必要に応じて、微粒子体形成後、酸素プラズマ処理等により、表面の有機物を酸化・除去する工程を設けるのも有効である。
【0201】
本実施例14でも、実施例13と同様の原理により微粒子への電荷の注入・保持・放出を効率よく制御できる。さらに、本実施例14では電荷を保持する微粒子が絶縁ゲート半導体(MIS:metal insulator semiconductor)トランジスター構造のゲート領域に形成されていることにより、微粒子中に電荷が保持されている状態と電荷が無い状態とではMISトランジスター特性の閾値電圧が変化する。これにより、低電圧・高速かつ信頼性の高い不揮発性の半導体メモリ素子として動作する。さらに周辺回路なしで単一素子により基本的なメモリ動作が実現されるので高密度の集積化が可能である。
【0202】
本実施例14では微粒子としてFePt合金微粒子を用いたが、同様に半導体や他の金属材料を用いることもできる。
【0203】
また、図22に示すドットメモリー素子は、ゲート下全面に微粒子を配置しているが、実際にメモリ動作に作用するのは、ソース端の部分だけである。そこで図23Aに示すように、本発明の実施例6,7,9,20,21に示したような微粒子構造のパターニング方法を用いて、微粒子をソース端だけに配置するようにするのがより望ましい。図22の構造では、ゲート下の微粒子全部に電荷注入するために多くの電子が必要であるが、図23Aの構造では、電荷注入のための微粒子の個数が減り、更なる低消費電力化が可能になる。また、このような構造を更に発展させて図23Bに示すように、微粒子をソースドレイン端の両端に配置し、ソースとドレインを切り替えて用いれば、2ビット/セルのメモリーも可能となり、メモリーの高密度化が容易になる。このような構造の作成にも本発明の微粒子構造のパターニング方法が有効である。
【0204】
以上は、微粒子層を1層トンネル障壁層の上に形成した場合について説明したが、図23Cに示すように、微粒子層は2層、あるいは2層以上形成してもよい。また、この2層は異なる大きさや材料の微粒子を用いる場合、あるいは2層の間にさらに適当な絶縁膜を形成するのも有効である。図23Cのような構成で、例えば、上層の微粒子が直径5nmのもの、下層の微粒子として直径2nmのものを用いれば、大幅な電荷保持時間の伸長が可能である。また、この場合も単層の微粒子層の場合と同様に図23Dに示すように両ソース端に微粒子を配置すれば、メモリの多値化が可能となる。
【0205】
本実施例13、14では、半導体基板としてp型シリコン基板を用いたが、本発明ではこのほかにn型シリコン基板、GaAs基板等他の半導体材料を用いた基板を用いることもできる。
【0206】
また、本実施例13,14では絶縁層としてSiOを用いているが、窒化珪素、酸窒化珪素、アルミナ、酸化セリウム,ZnS,ZnO等他の絶縁体材料を用いることもできる。
【0207】
また、本発明では半導体基板を用いているが、絶縁体、金属、その他種種の材料の基板を用いたり、あるいは前記基板に半導体層を形成したものを用いることもできる。
【0208】
(実施例15)
図24に示すような磁気抵抗効果素子を本発明の微粒子からなる構造物の形成方法を用いて形成した。
【0209】
まず、実施例1と全く同様の方法を用いて、クロロシラン系の単分子膜を利用して、磁性微粒子を基板上に均一に分散させた。基板として表面を熱酸化したシリコン基板を、微粒子として直径10nmのCo0.9Fe0.1微粒子を、また単分子膜としてはクロロシラン系のものを用いた。
【0210】
次に、リソグラフィーの方法を用いてCr/Au/Crからなる電極402を構成した。このとき一対の電極の先端の距離は0.08μm程度になるようにした。
【0211】
このような素子の電気抵抗を測定しながら、約100Oeの磁界を電流とは垂直方向にかけたところ、電気抵抗が約20%低下した。
【0212】
このような電気抵抗の変化は電極402から電極へ島状の金属微粒子を伝いながら単分子膜間はトンネル電流として流れる電流が、微粒子401の磁化方向によって変化することを意味している。このトンネル抵抗や抵抗変化率を左右するのは微粒子の大きさ、配列の秩序によるものであり、本実施例の方法で微粒子の配列を制御することにより、優れた磁気抵抗特性が得られる。
【0213】
このような磁気抵抗効果素子を用いて、図25あるいは図26に示すような磁気ヘッドを作成することが可能である。
【0214】
(実施例16)
基板504として、直径2.5インチのガラス基板を用い、気相急冷法と、化学的な方法を組み合わせ、図29に示す磁気記録媒体を作製した。
【0215】
第1に、ガラス基板4上に、軟磁性薄膜層3として、Ni−Fe膜を直流スパッタリング法にて形成した。まず、成膜室を1.33×10−3Pa(1×10−5Torr)以下に排気した後、スパッタガスとしてArガスを2.66×10−1Pa(2mTorr)となるまで導入した。ターゲットしては直径3インチのNi0.8Fe0.2合金(組成は原子%)ターゲットを用い、ターゲットパワーは100Wとした。軟磁性薄膜層の膜厚は500nmとした。この軟磁性膜の飽和磁束密度Bsは1T、保磁力Hcは0.3Oe、透磁率μは1000であった。
【0216】
第2に、軟磁性薄膜層503を形成したガラス基板504を大気に出し、溶液に基板を浸漬する事により、実施例1(図2C)に示すクロロシラン化合物からなる単分子膜を軟磁性薄膜503表面上に形成した。より詳細には、乾燥雰囲気でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLに末端官能基としてCHCl基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気でこの溶液20mLを採り、基板504を上記溶液に浸漬し、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記基板を取り出し、乾燥雰囲気で上記基板をクロロホルムに浸漬して洗浄を行った。その後、上記基板504を取り出した。軟磁性薄膜層503表面には上記クロロシラン化合物からなる単分子膜が形成された。
【0217】
第3に、単分子膜を表面に形成した直径約5nmのFe0.52Pt0.48合金微粒子を、前記単分子膜を形成した軟磁性薄膜上に塗布した。まず、実施例1(図1C)に示すようにFePt微粒子501上の単分子膜を形成した。すなわち、乾燥雰囲気で非水系不活性溶媒としてヘキサン100mLに末端官能基として実施例1に示すフェニル基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサン溶液を作成した。次にその溶液にFePt微粒子501を100mg加え、よく攪拌した。半時間後に当該乾燥雰囲気で上記ヘキサン溶媒及び未反応のクロロシラン化合物と磁性微粒子を分離した。次に図3A−Bに示すように上記軟磁性薄膜503表面に上記磁性微粒子501を保持する操作を行った。上記単分子膜形成を終えた磁性微粒子をクロロホルムに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はクロロホルム50mLに対して100mgとした。上記基板を入れたマイクロ反応容器を油浴に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記クロロホルム溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記クロロホルム溶液で濡れた状態にした。さらに塩化アルミニウムをごく少量加えて、攪拌子によりよく撹拌した。次いで油浴の温度を上げて、120℃程度に設定し、加熱した。基板上のクロロホルムはすぐに気化するのでそれを抑えるためマイクロ反応容器に冷却管を取り付けてクロロホルム溶液の減少を抑えた。1時間後、基板上には磁性微粒子が残り、磁性微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士の化学反応が行われた。この反応は基板表面に形成された単分子膜の官能基と磁性微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してのみ行われ、磁性微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士では反応が起きず、反応後に基板をヘキサンで洗うことにより未反応の磁性微粒子は基板から洗い落とすことが出来、基板上には反応が起きた磁性微粒子が化学結合で固定された。この磁性微粒子は結果として基板表面上に微粒子配列体を形成した(図3A−B)。
【0218】
次に前記微粒子配列体を、磁界中熱処理装置により、高温、高磁界中で熱処理し、磁気記録層に垂直磁気異方性を示した。このとき、試料の雰囲気は不活性ガス窒素1気圧の中に満たし、磁界として10kOeの磁界を膜面に垂直方向に印加した。磁界を印加したまま、約30分あたり100℃の速度で昇温し、約570℃の温度に3時間保ち、昇温時と同じ速度で冷却した。以上のような高温熱処理過程を経ると、図3A−Bに示すような構造は維持されず、単分子膜は炭化してしまうと考えられるが、これらは図29の505に示すようなある種の被覆として存在し、微粒子間の距離を一定に保つべく残存すると考えられる。この後、更に軟磁性膜の異方性を面内にするために、膜面内で回転する100Oeの磁界中に試料をおき、200℃の温度に3時間保持した。502はダイヤモンド状カーボン層である。
【0219】
また、比較のために、図29の軟磁性薄膜層のないものも、その他は上記実施例16−1と全く同様の方法で媒体を作製した(実施例16−2)。
【0220】
また、実施例16−1と同じ方法でかつ、第4の工程で磁界を印加しないで作製したものも作製した(実施例16−3)。
【0221】
また、実施例16−1と同じ方法でかつ、上記第2の工程を省略したものも作製した(実施例16−4)。
【0222】
また、図29の軟磁性薄膜層もなく、第4の工程で磁界を印加しないで熱処理したものも作製した(比較例A)。
【0223】
このようにして作製した磁気記録媒体の磁気特性をSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)により評価した。室温で、磁化曲線を書かせ、その角形比S(残留磁化Mrと飽和磁化Msとの比Mr/Ms)を求めた。また、磁界印加方向を垂直方向に書かせた場合Sと面内方向S//の2方向について求め、その比S/S//を求めた。その結果、本発明の実施例16−1および16−4はS/S//の値が約5と良好な垂直磁気異方性を示す垂直磁気記録媒体が形成されていたが、実施例16−2ではS/S//の値が約3とまずまずであった。また、熱処理中に磁界を印加しなかった試料、実施例16−3および比較例Aは、異方性がほぼ等方的であり、S/S//の値がほぼ1であり、垂直異方性を示す試料は作成できなかった。
【0224】
次に、以上のように作成した試料をプラズマCVD装置に挿入して、保護層としてダイヤモンド状カーボン膜を約8nm形成した。
【0225】
次に、上記本発明の磁気記録媒体を、図20A−Bに示す磁気記録再生装置を用いて評価した。この場合、記録ヘッドには図32に示すような単磁極ヘッドを用い、再生にはGMRヘッドを用いた。再生ヘッドのシールドギャップ長は0.1μmのものを使った。媒体の高密度記録特性を評価するために、50kFCI(Flux change per inch、1インチ当たりの磁化反転数)から数百kFCIまで記録周波数を変化させて、再生出力を検出し、再生出力が50kFCIの時の再生出力の半分になる出力半減記録密度(D50)を求めた。
【0226】
この結果、実施例16−1のD50は380kFCIと非常に高記録密度の記録が可能であることが確認できた。また、実施例16−4の場合は300kFCIであった。この場合、微粒子の分散が不均一な部分があるらしく、出力が不安定であった。これに対して、実施例16−2の場合は、250kFCI、実施例16−3は、240kFCI、比較例Aは180kFCIであった。
【0227】
(実施例17)
2.5インチのガラス基板504上に、図29の構成の磁気記録媒体を形成した。軟磁性薄膜層503としてFe−Ta−C膜を前述と同じスパッタ法で形成した。この膜のBsは約1.6T、Hc=0.5Oe、μ=1000である。膜厚は300nmとした。
【0228】
次に、微粒子として約9nmの直径のCo微粒子を用い、Co微粒子表面に実施例3(図7C)に示す末端にアミノ基を官能基として有するメトキシシラン化合物からなる単分子膜を形成した。
【0229】
次に、軟磁性薄膜層の形成されたガラス基板の試料の表面に、実施例3(図8C)に示す末端にカルボキシル基を官能基として有するメトキシシラン化合物からなる単分子膜を形成した。
【0230】
次に、単分子膜の形成された微粒子を、単分子膜の形成された軟磁性薄膜上に塗布して、官能基同士を反応させて、微粒子を軟磁性膜上に配列した。
【0231】
また、比較のために、他は全く同じで軟磁性薄膜層503の無い媒体も作製した(比較例B)。
【0232】
このようにして作製した、図29に示す磁気記録媒体を実施例16と同様の磁気記録再生装置で評価した。その結果、比較例Bの出力半減記録密度D50が160kFCIであったのに対して、本実施例17は310kFCIと非常に高い値を示した。
【0233】
(実施例18)
実施例16と同様の方法を用いて、有機コーティングを有する直径約5nmのFe0.5Pt0.5合金微粒子を形成した。
【0234】
この微粒子を非磁性基板として有機コーティング膜を施さないSi基板を選び、Si基板上に塗布した。なお、本実施例では、非磁性基板上に塗布したが、非磁性基板ではなく、磁性基板を用いたり、非磁性基板上に軟磁性膜を形成してから、微粒子を塗布する。
【0235】
次に、膜面垂直方向に磁界を印加しながら、熱処理を行うことにより、FePt微粒子の規則化を行った。その後、室温にて、膜面垂直方向および膜面内に磁界を印可して磁化測定を行い、それぞれの方向での保磁力(HcおよびHc//)を求めた。このときの熱処理条件と、磁気特性の関連を表2に示す。
【0236】
【表2】
Figure 0003597507
【0237】
結晶学的な配向性を考慮した場合、本来はX線回折等により、規則層のa軸、c軸の方向を明らかにした方がより直接的な配向性の評価ができる。しかし、本発明の実施例の場合には、ナノメータオーダーの微粒子からなる試料であるので、それぞれの微粒子においては単結晶であっても、微粒子の集合体としてみると結晶軸の方向は分散していると考えられるので、このような評価は困難である。
【0238】
本実施例の場合、結晶が規則化すると、特定の方向の磁気異方性が増大し、保磁力Hcも大きくなると考えられる。そこで、配向度を評価する代わりに、磁場印加方向とそれと垂直方向の保磁力(この場合は膜面垂直方向と膜面内方向)とその比を目安として、結晶配向性の目安とした。
【0239】
また、磁気記録媒体として考えれば、膜面垂直方向に記録再生する場合、膜面垂直方向に異方性がある(膜面垂直方向の保磁力が大きい)のは好ましいと言える。
【0240】
表2で熱処理温度の増大とともに保磁力が増大するのは、規則化の進展によるものと考える。表2より明らかなように、比較例A〜Dに比べて、本発明の実施例16−1〜6は、Hc/Hc//>1.5と大きくなっており、この温度範囲の熱処理が配向方向の制御に有効なのは明らかである。また、1kOeで熱処理したグループで比較すると、実施例16−1,2に示すように、FePt合金のキュリー温度(Tc=480℃)か、その直上の温度で熱処理したものが、Hc/Hc//>5となっており、もっとも配向方向の制御には優れている。ただし、更により高温の熱処理を行った実施例18−3〜5の方がHcが大きくなっているが、これはより規則化が進んでいるためと考えられる。
【0241】
また、次に、磁界の大きさ依存性についてみると、表2から、Hc/Hc//>2以上の値を得るためには、少なくとも1kOe以上の磁界が必要であることが分かる。磁界が大きいほどHc/Hc//の値は大きくなる傾向にあるが、10kOe以上はほぼ飽和していることが分かる。生産性を考えると20kOe以下にするのが望ましい。
【0242】
以上で、本発明の粒子の結晶配向性制御方法の有効性が示された。
【0243】
以上の説明より、同じ方法で、磁気記録媒体を作成すれば、膜面に強い垂直磁気異方性を有し、垂直方向の十分な保磁力を有する、優れた記録媒体が作成できるのは明らかである。
【0244】
(実施例19)
実施例18と全く同様の方法で、FePt微粒子を合成し、それを膜面垂直方向に磁界を印可しながら熱処理を行った。なお、この際、熱処理温度は実施例16−2と同じく500℃、印加磁界は1kOeとした。また、実施例18と同様に膜の配向性を評価するために、磁化測定を行った。その結果を表3に示す。
【0245】
【表3】
Figure 0003597507
【0246】
表2の解釈と同様に、この場合、Hcが大きくなることは、FePt合金の規則化の進展と対応していると考えられる。また、Hcが大きくなっている方向は、その方向にFePt膜のc軸の方向が向いていることに対応していると考えられる。
【0247】
表3より、この条件で熱処理を行った場合、微粒子の大きさは、配向性制御に決定的に大きな影響を及ぼすことは明らかである。すなわち、微粒子の大きさが80nm以上では、Hc/Hc//<2となり、垂直方向の配向性制御は不十分であるが、微粒子の直径が50nm以下の場合には、Hc/Hc//>2となり、膜面垂直方向のc軸配向性が得られていると考えられる。更に、微粒子の直径が20nm以下の場合にはHc/Hc//>4の値が得られ、結晶配向性がより望ましいものが得られる。なお、このように、微少な微粒子を用いた場合に、規則化の際、特定の方向にc軸が配向しやすい原因は、粒子の大きさが小さいと規則化に伴う格子歪みを緩和しやすく、磁界によって与えられる低エネルギーの状態が実現され易いためと考えられる。
【0248】
以上述べたように、結晶粒径が3〜50nmの微粒子を用いれば、膜面垂直方向の良好な結晶配向性が得られ、垂直磁気異方性の大きな磁気記録媒体が作成可能である。
【0249】
(実施例20)
基板として、Si基板を用いて、まず第1のステップとして基板上に凹凸を形成した。凹凸の作製方法は、図36A−Dに示すような方法で行った。すなわち、まずSi基板620上に厚さ0.6μmのレジスト621を塗布し(図36A)、フォトリソグラフィーによって所望のレジストパターン(図36B)を形成した。次に、Cu膜をMBE(Molecular Beem Epitaxixy,分子線エピタキシー)法で約20nmの膜厚になるように形成した(図36C)。最後に、レジストパターン621を有機溶剤またはアッシングによって除去して、(図36D)に示すパターンを形成した。このとき形成した溝は、深さがCu膜の膜厚で約20nm、幅と長さがともに0.2μmの大きさである。
【0250】
次に、平均粒子径4nmの貴金属Au微粒子に有機コーティング膜を被覆する操作を行った。実施例2(図4C)に示すように、乾燥雰囲気でブチルアルコール100mLに水酸基を末端官能基として有するチオール化合物を加えて0.01mol/Lのブチルアルコール溶液を作成した。次にその溶液に貴金属微粒子として直径5nmのAu微粒子100mgを加え、よく攪拌した。半時間後に当該乾燥雰囲気で上記ブチルアルコールおよび未反応のチオール化合物と貴金属微粒子を分離して、貴金属微粒子表面上に上記チオール化合物からなる単分子膜が形成された。
【0251】
次に、前記した凹凸に加工したSi基板603に対しても実施例2(図5C)に示す単分子膜形成操作を行った。乾燥雰囲気でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLにエポキシ基を末端官能基に有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気でこの溶液20mLを採り、上記基板を上記溶液に浸漬し、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記基板を取り出し、乾燥雰囲気で上記基板をクロロホルムに浸漬して洗浄を行った。その後、基板を取り出した。基板表面上には上記クロロシラン化合物からなる単分子膜が形成された。クロロシラン系単分子膜は、Cu,Auなどの貴金属とは反応しにくく、Si基板と反応する特性があるので、前記凹凸基板のSiが表面に出た部分にだけ形成される。すなわち、凹部にだけ単分子膜が形成された。
【0252】
次に、上記基板表面に上記Au微粒子を保持する操作を行った。上記単分子膜形成を終えたAu微粒子をブチルアルコールに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はヘキサン50mLに対して100mgとした。上記基板をホットプレート上に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記ブチルアルコール溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記ブチルアルコール溶液で濡れた状態にした。次いでホットプレートの温度を上げて、150℃程度に設定し、加熱した。基板上のブチルアルコールはすぐに気化し、基板上には貴金属微粒子が残り、貴金属微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士の化学反応が行われた。この反応は基板表面に形成された単分子膜の官能基と貴金属微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してだけ行われ、貴金属微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士では反応が起きず、反応後に基板をブチルアルコールで洗うことにより未反応の貴金属微粒子は基板から洗い落とすことが出来、基板上には反応が起きた貴金属微粒子が化学結合で固定された。この貴金属微粒子は結果として基板表面上に微粒子配列体が形成できた(図34A−B)。
【0253】
このようにして形成した凹凸基板上のAu微粒子の配列を、高分解能SEM(Scanning Electron Microscopy:走査型電子顕微鏡)を用いて観察した。その結果、凹部に関しては、図34A−Bに示すような凹部の境界に沿った配列が実現していることが分かった。
【0254】
また、以上の実施例20では、微粒子と基板の双方に単分子膜を形成する場合を説明したが、微粒子のみに単分子膜を形成する場合にも、図34A−Bに示す凹凸の形成は有効である。この場合、微粒子層の層数の制御は困難となるが、微粒子の自己組織化により有効に利用でき、凹部形状に沿った微粒子の配列が可能になる。
【0255】
(実施例21)
図35の基板ディスク610として、オリフラのない直径2.5インチのSi基板を用い、磁気記録媒体用に磁性微粒子の分散を行った。
【0256】
まず、Si基板610上に、軟磁性薄膜層として、Ni−Fe膜を直流スパッタリング法にて形成した。まず、成膜室を1.33×10−3Pa(1×10−5Torr)以下に排気した後、スパッタガスとしてArガスを2.66×10−1Pa(2mTorr)となるまで導入した。ターゲットしては直径3インチのNi0.8Fe0.2合金(組成は原子組成比)ターゲットを用い、ターゲットパワーは100Wとした。軟磁性薄膜層の膜厚は500nmとした。この軟磁性膜の飽和磁束密度Bsは1T、保磁力Hcは0.3Oe、透磁率μは1000であった。
【0257】
次に、上記Ni−Fe膜を形成したSi基板に対して、図35に示すような微細加工を施した。このときの凹凸の作製方法は実施例20と同様の方法で、つまり、図36A−Dに示す方法で作成した。ただし、この場合形成する凸部は前記軟磁性層と全く同じものを形成した。従って、凹部も凸部もNi−Fe合金で形成されていることになる。この場合の溝の深さは約3nm、溝の幅は300nm、溝と溝の間隔は200nmとなるようにした。
【0258】
次に、このように成膜・加工されたSi基板を、溶液に浸漬することにより、実施例1に示すようにクロロシラン化合物からなる単分子膜を基板表面上に形成した。より詳細には、乾燥雰囲気でヘキサデカンとクロロホルムの容積比4対1の溶媒を作成し、当該溶媒100mLに末端官能基としてCHCl基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサデカン/クロロホルム混合溶液を作成した。乾燥雰囲気でこの溶液20mLを採り、基板32を上記溶液に浸漬し、緩やかに攪拌した。半時間後に同じく乾燥雰囲気で上記混合溶液から上記基板を取り出し、乾燥雰囲気で上記基板をクロロホルムに浸漬して洗浄を行った。その後、上記基板を取り出した。軟磁性薄膜層表面には上記クロロシラン化合物からなる単分子膜が形成された。得られた単分子膜は、図2Cに示すとおりである。
【0259】
次に、単分子膜を表面に形成した直径約5nmのFe52Pt48合金微粒子を、前記単分子膜を形成した基板上に塗布した。まず、図1Cに示すようにFePt微粒子上の単分子膜を作製した。すなわち、乾燥雰囲気で非水系不活性溶媒としてヘキサン100mLに末端官能基としてフェニル基を有するクロロシラン化合物を加えて0.01mol/Lのヘキサン溶液を作成した。次にその溶液にFePt微粒子を100mg加え、よく攪拌した。半時間後に当該乾燥雰囲気で上記ヘキサン溶媒及び未反応のクロロシラン化合物と磁性微粒子を分離した。次に、図1Cに示すように、上記軟磁性薄膜表面に上記磁性微粒子を保持する操作を行った。上記単分子膜形成を終えた磁性微粒子をクロロホルムに分散させた液を調整した。その濃度は適宜でよく、本実施例の場合はクロロホルム50mLに対して100mgとした。上記基板を入れたマイクロ反応容器を油浴に置き、上記基板上にスポイトを用いて上記クロロホルム溶液を数箇所滴下して、基板表面が上記クロロホルム溶液で濡れた状態にした。さらに塩化アルミニウムをごく少量加えて、攪拌子によりよく撹拌した。次いで油浴の温度を上げて、120℃程度に設定し、加熱した。基板上のクロロホルムはすぐに気化するのでそれを抑えるためマイクロ反応容器に冷却管を取り付けてクロロホルム溶液の減少を抑えた。1時間後、基板上には磁性微粒子が残り、磁性微粒子と基板の双方の表面に形成された単分子膜の官能基同士の化学反応が行われた。この反応は基板表面に形成された単分子膜の官能基と磁性微粒子表面に形成された単分子膜表面の官能基に対してのみ行われ、磁性微粒子表面に形成された単分子膜の官能基同士では反応が起きず、反応後に基板をヘキサンで洗うことにより未反応の磁性微粒子は基板から洗い落とすことが出来、基板上には反応が起きた磁性微粒子が化学結合で固定された。この磁性微粒子は結果として基板表面上に微粒子配列体を形成した(図34B)。
【0260】
次に、以上のようにして作製された微粒子配列体を、磁界中熱処理装置により、高温で熱処理した。このとき、試料の雰囲気は不活性ガス窒素1気圧の中に満たし、磁界として10kOeの磁界を膜面に垂直方向に印加した。磁界を印加したまま、約30分あたり100℃の速度で昇温し、約570℃の温度に3時間保ち、昇温時と同じ速度で冷却した。以上のような高温熱処理過程を経験すると、図34Bに示すような構造は維持されず、単分子膜602は炭化してしまうと考えられるが、ある種の被覆として存在し、微粒子間の距離を一定に保つべく残存すると考えられる。この後、更に軟磁性膜の異方性を面内にするために、膜面内で回転する100Oeの磁界中に試料をおき、200℃の温度に3時間保持した。
【0261】
このようにして作製した磁気記録媒体の磁気特性をSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)により評価した。室温で、膜面と垂直方向に磁界を印加して磁化曲線を書かせ、保磁力Hcおよび角形比S(残留磁化Mrと飽和磁化Msとの比Mr/Ms)を求めた。その結果、本発明の磁気記録媒体は、Hcが5kOe、Sが0.9とほぼ磁気記録媒体として必要な特性を満足していた。
【0262】
次に作成した試料におけるFe−Pt微粒子の配列の様子を高分解能SEMを用いて観察した。その結果、この試料においては、図35に示す円周上の溝に沿って、微粒子が配列しているところが観察された。この状態は溝の部分では非常に規則的であったが、凸部においては溝の部分に比べて規則性は劣るものの円周に沿った微粒子の配列は実現していた。
【0263】
次に、図20A−Bに示すような磁気記録再生システムを想定し、ただし、現状では実現されていないトラック幅30nmとし、アクチュエーターもこれに追随できるとして、記録再生特性のシミュレーションを行った。この場合、記録ヘッドとしてはリターンパスを含む単磁極ヘッド、再生ヘッドとしてはGMRヘッドを想定した。そして、本実施例の磁気記録媒体を、図35のようなパターニングを全く行わない他は全く同様な方法で作成した磁気記録媒体(従来例)とS/N比を比較した。その結果、本発明の磁気記録媒体は従来例と比較して400kFCIの周波数でS/N比が約6dB高かった。
【0264】
なお、本実施例の媒体においては、凹凸部で3nmの段差があるが、この段差は今回の検討では問題にならなかった。また、凹部と凸部の記録再生特性は、凸部の方が悪くなる可能性があるので、なるべく凹部の面積の割合を大きくするべきである。更に高密度記録の将来を考えると、凹部と凸部にそれぞれ最適な記録密度、記録法を用いることも有効である。また、この段差を利用した記録再生方法も考えられる。
【0265】
以上示したように、本実施例では、ナノメータスケールの微粒子を所定の位置に配列することが可能となる。また、これを利用すれば、高記録密度を可能にする磁気記録媒体が得られ、高密度磁気記録再生装置を実現することが可能となる。
(実施例15の後半部〜実施例16の前までを下記に移動)
なお、基板に形成する有機コーティング膜と微粒子に形成する有機コーティング膜の材料の系統を同じにする必要はなく、それぞれの材質などに合わせて適宜選択すればよい。
【0266】
なお、実施例では磁性微粒子の例を多く示してあるが、何も磁性微粒子に限る必要はなく、光学的、誘電的、電気的、量子的、強度的な性能を必要とする場合はそれに代わる材料であっても良い。
【0267】
なお、実施例では熱工程を明記していない例もあるが、磁性的性質を出すために後工程で熱処理を施してもよい。
【0268】
なお、本実施例では基材および微粒子表面上に形成する有機コーティング膜の材料としてクロロシラン基を有する材料を例示し、基材及び微粒子と有機コーティング膜材料との結合形態が共有結合の場合を示した。この結合は上記例示以外にイオン結合、配位結合、分子間力であってもよい。しかし、その結合形態の違いによって基材及び微粒子と有機コーティング膜との結合力は異なり、共有結合が最もその結合力は強くなり、耐久性に富むと予想される。
【0269】
なお、本実施例ではクロロシラン基を有する有機コーティング膜材料を使用したが、この材料以外にチオール基、イソシアネート基、アルコキシシラン基、または配位結合を形成する基(カルボキシル基、カルボニル基、アセチル基、アミノ基、イミノ基、水酸基、チオール基等の配位可能な非共有電子対を有する官能基を複数個含み、かつ当該官能基の炭素数は1から3程度の距離内に位置する有機化合物、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジエチルアミン、チオ尿素、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミノ2酢酸、ニトリル3酢酸、エチレンジアミン4酢酸、キノリン−8−カルボン酸、キナルジン酸、オルトアミノ安息香酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸とそれらの誘導体等)であっても良い。
【0270】
なお、本実施例では微粒子として磁性微粒子、貴金属微粒子を例示したが、プラスチックビーズ、ガラスビーズ、金属微粒子表面をガラスコートした複合微粒子、ガラスビーズ表面を金属コートした複合微粒子、プラスチックビーズ表面を金属コートした複合微粒子、金属微粒子表面を有機物コートした複合微粒子などにも適合可能である。また、必要に応じて有機コーティング膜を形成する前にガスプラズマ処理、オゾン処理、コロナ放電処理などの前処理を施すことも可能である。
【0271】
なお、本実施例では磁性微粒子がその集合体としてデバイスを構成する事例を示したが、個々の磁性微粒子が個別に機能を発現する仕組みのでデバイスであってもよく、光−光変換デバイス、光−電気変換デバイス、電気−光変換デバイスなど微粒子が集合体としてまたは個々の微粒子が独立して機能を発現するようなデバイスにも適用可能である。
【0272】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では基板上への微粒子の固定を可能となり、生産性、耐久性、実用性で大幅な向上が期待できる。さらに、今後必要となる機能の特定などを実現するパターン形成も実現可能となり、これらの効果により、その工業的価値は大なるものである。代表例として、本発明の方法で磁気ディスクを形成すれば、磁性微粒子の層厚と、配列パターンを制御したものを作成でき、高密度記録再生の可能な媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A−Cは本発明の実施例1における磁性微粒子と単分子膜の模式断面図。
【図2】A−Cは本発明の実施例1における基板と単分子膜の模式断面図。
【図3】A−Bは本発明の実施例1における磁性微粒子と単分子膜と基板の単分子膜とが共有結合した模式断面図。
【図4】A−Cは本発明の実施例2における微粒子と単分子膜の模式断面図。
【図5】A−Cは本発明の実施例2における基板と単分子膜の模式断面図。
【図6】A−Bは本発明の実施例2における微粒子と単分子膜と基板の単分子膜とが共有結合した模式断面図。
【図7】A−Cは本発明の実施例3における微粒子と単分子膜の模式断面図。
【図8】A−Cは本発明の実施例3における基板と単分子膜の模式断面図。
【図9】A−Bは本発明の実施例3における磁性微粒子と単分子膜と基板の単分子膜とが共有結合した模式断面図。
【図10】A−Bは本発明の実施例4における微粒子配列体の模式断面図。
【図11】本発明の実施例5における微粒子配列体の模式断面図。
【図12】本発明の実施例6における微粒子配列体の模式断面図。
【図13】A−Dは本発明の実施例7における微粒子配列構造体の模式工程断面図。
【図14】本発明の実施例8における微粒子配列体の模式断面図。
【図15】本発明の実施例9における累積した微粒子配列体をエネルギー照射によりパターニングした模式断面図。
【図16】本発明の実施例10における円周状にエネルギー照射してパターニングした模式断面図。
【図17】本発明の実施例11における矩形状にエネルギー照射してパターニングした模式断面図。
【図18】本発明の実施例12における円周状にエネルギー照射してパターニングした模式断面図。
【図19】Aは本発明の実施例12における磁気記録媒体の断面図の一例(垂直記録方式の場合)を示す断面図、Bは本発明の同実施例の面内記録方式の場合を示す断面図。
【図20】Aは本発明の一実施例の磁気記録再生装置を示す模式平面図、Bは同断面図。
【図21】本発明の実施例13における半導体素子の断面図。
【図22】本発明の実施例14におけるメモリ素子の断面図。
【図23】A〜Dは本発明の実施例14におけるメモリ素子の断面図。
【図24】本発明の実施例15における磁気抵抗効果素子の模式平面図。
【図25】同、シールド型磁気ヘッドの概略斜視図。
【図26】同、ヨーク型磁気ヘッドの概略斜視図。
【図27】本発明で使用することが可能な基板表面の単分子膜と微粒子表面の単分子膜の結合の一例を示す化学式。
【図28】本発明で使用することが可能な基板表面の単分子膜と微粒子表面の単分子膜の結合の一例を示す化学式。
【図29】本発明の一実施例の磁気記録媒体の断面模式図。
【図30】従来の磁気記録媒体およびヘッドの断面模式図。
【図31】従来の磁気記録媒体およびヘッドの断面模式図。
【図32】本発明の一実施例の磁気記録媒体およびヘッドの断面模式図。
【図33】本発明の別の実施例の磁気記録媒体およびヘッドの断面模式図。
【図34】A−Bは本発明の実施例20及び21における微粒子の配列方法の一例を示す図。
【図35】本発明の実施例21における微粒子の配列方法における凹凸の形成例を示す図。
【図36】A−Dは本発明の実施例20及び21における微粒子の形成方法における凹凸の形成方法の一例を示す図。
【符号の説明】
1,10,20,30,36,50,60,72 微粒子
2,4,11,13,21,23,31,33,37,51,53,61,63,66,71,73 単分子膜
3,12,22,32,52,62,80 基板
5,14,24,34,38,54,67,74 化学結合
6,15,25,35,39,40,70,75 微粒子配列体
64 高圧紫外線ランプ
65 金属マスク
81 微粒子からなる構造物のパターン

Claims (40)

  1. 基板上に微粒子配列体を製造する方法であって、
    個々の前記微粒子表面に、分子末端に第1および第2の官能基を有する第1の有機コーティング膜を接触させ、前記第1の官能基と前記微粒子表面との間で化学結合を生じさせ、前記微粒子表面に前記第1の有機コーティング膜からなる単分子膜を形成し、
    前記基板表面に、分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有する第2の有機コーティング膜を接触させ、前記第3の官能基と前記基板表面との間で共有結合を生じさせ、前記基板表面に前記第2の有機コーティング膜からなる単分子膜を形成し、
    前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜とを接触させ、
    前記第2の官能基同士では反応を生じさせずに、
    前記第2および第4の官能基間で化学結合を生じさせることを特徴とする微粒子配列体の製造方法。
  2. 前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜との間で結合を形成させる方法が、
    基板上に形成された第2の有機コーティング膜にエネルギー線を照射することにより照射部分の有機コーティング膜に化学反応基を形成し、
    その後、第1の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させる請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  3. 前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させる方法が、
    前記基板上に形成された第2の有機コーティング膜にエネルギー線を照射し、
    前記照射部分の有機コーティング膜を除去することにより、前記基板表面の残余部分の有機コーティング膜と微粒子表面の第1の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させる請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  4. 前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜との間で結合を形成させる方法が、
    前記基板表面に形成された第2の有機コーティング膜にエネルギー線を部分的に照射して、照射部分の有機コーティング膜に化学反応基を形成して微粒子表面の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させ、エネルギー線照射部分にのみ微粒子を配列させ、
    その後、エネルギー線を照射しなかった部分に新たなエネルギー線を照射し、照射部分の有機コーティング膜に化学反応基を形成し、
    当初形成された微粒子配列体を構成する微粒子とは別種の微粒子を前記基板表面に接触させて微粒子表面の第1の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させる請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  5. 前記微粒子表面の第1の有機コーティング膜と前記基板表面の第2の有機コーティング膜との間で結合を形成させる方法が、
    前記第2の有機コーティング膜に第1のエネルギー線を照射することにより照射部分の有機コーティング膜に化学反応基を形成し、前記第1の有機コーティング膜との間で化学結合を形成してエネルギー線照射部分に微粒子配列体を形成した後、
    前記第1のエネルギー線を照射しなかった部分に第2のエネルギー線を照射し、照射部分の有機コーティング膜に化学反応基を形成し、当初形成された微粒子配列体を構造する微粒子とは同種の微粒子を基板表面に接触させて微粒子表面の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させることにより、第1のエネルギー照射部分の二次元的な形状に起因した微粒子配列体を得る請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  6. 前記基板としてディスク状の基板を用い、ディスクの中心を共有する同心円の円周状に沿って前記有機コーティング膜に前記第1のエネルギー線を照射することにより、前記円周に沿って前記微粒子を配列する請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  7. 前記微粒子表面の第1の有機コーティング膜と前記基板表面の第2の有機コーティング膜との間で結合を形成させる方法が、
    前記基板表面に形成された第2の有機コーティング膜にエネルギー線を照射して照射部分の有機コーティング膜を除去し、前記基板表面の残余部分の第2の有機コーティング膜と第1の有機コーティング膜との間で化学結合を形成してエネルギー線非照射部分に微粒子からなる構造物を形成した後、
    再度前記基板表面に有機コーティングからなる構造物を形成し、新たに基板表面に形成された有機コーティング膜と当初形成された微粒子層の構成微粒子とは別種の微粒子を基板表面に接触させて微粒子表面の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させる請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  8. 前記微粒子表面の第1の有機コーティング膜と前記基板表面の第2の有機コーティング膜との間で結合を形成させる方法が、
    前記基板表面に形成された第2の有機コーティング膜にエネルギー線を照射して照射部分の有機コーティング膜を除去することにより基板表面の残余部分の有機コーティング膜と微粒子表面の第1の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させてエネルギー線非照射部分に微粒子配列体を形成した後、
    再度基板表面に有機コーティング膜からなる構造物を形成し、新たに基板表面に形成された有機コーティング膜と当初形成された微粒子層の構成微粒子と同種の微粒子を基板表面に接触させて微粒子表面の有機コーティング膜との間で化学結合を形成させることにより、エネルギー照射部分の二次元的な形状に起因した微粒子配列体を得る請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  9. 前記微粒子表面に形成した第1の有機コーティング膜の第2の官能基と基板表面の第2の有機コーティング膜の第4の官能基との間の化学結合が共有結合、イオン結合、配位結合及び分子間力から選ばれる少なくとも一つの結合である請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  10. 前記単分子膜がセルフアセンブル膜であって、かつチオール基、クロロシラン基、配位結合基、イソシアネート基及びアルコキシシラン基から選ばれる少なくとも一つの反応基を含む分子で形成されている請求項1に記載の微粒子配列体の製造方法。
  11. 前記エネルギー線が紫外線、遠紫外線、X線、ガンマ線、電子線及び励起されたプラズマから選ばれる少なくとも一つである請求項2に記載の微粒子配列体の製造方法。
  12. 基板上に微粒子を配列させた構造体であって、
    前記微粒子の表面には前記微粒子の表面と結合した第1の有機コーティング膜が形成され、前記第1の有機コーティング膜は分子末端に第1および第2の官能基を有する単分子膜であり、前記第1の官能基が前記微粒子表面と結合しており、
    前記基板表面には前記基板表面と結合した第2の有機コーティング膜が形成され、前記第2の有機コーティング膜は分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有する単分子膜であり、前記第3の官能基が前記基板表面と結合しており、
    前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子末端に官能基を有する単分子膜であり、
    前記第2の官能基同士は反応せずに、
    前記第2の官能基と前記第4の官能基との間で化学結合して、前記基板上に前記微粒子が固定配列されていることを特徴とする微粒子配列体。
  13. 前記微粒子の配列が、単層であるセルフアセンブル(self assemble)膜である請求項12に記載の微粒子配列体。
  14. 前記微粒子の配列が、累積層であり、前記微粒子どうしが結合して固定されている請求項12に記載の微粒子配列体。
  15. 前記微粒子の平均直径が、0.5nm以上50nm以下の範囲である請求項12に記載の微粒子配列体。
  16. 前記微粒子表面の第1の有機コーティング膜及び前記基板表面の第2の有機コーティング膜のうち、少なくとも一方はセルフアッセンブル膜である請求項12に記載の微粒子配列体。
  17. 前記微粒子が、前記基板表面にパターニングされて配列されている請求項12に記載の微粒子配列体。
  18. 前記微粒子が、前記基板表面に形成された凹凸パターンの凹部内に配列されている請求項12に記載の微粒子配列体。
  19. 前記凹部の幅が、前記微粒子の平均直径の5倍以上30倍以下である請求項18に記載の微粒子配列体。
  20. 前記微粒子表面の第1の有機コーティング膜の第2の官能基と前記基板表面の第2の有機コーティング膜の第4の官能基との間の化学結合が、共有結合、イオン結合、配位結合及び分子間力結合から選ばれる少なくとも一つの結合である請求項12に記載の微粒子配列体。
  21. 微粒子が金属、金属酸化物、半導体、両性元素、両性元素酸化物及び樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項12に記載の微粒子配列体。
  22. 前記微粒子が、磁性微粒子である請求項12に記載の微粒子配列体。
  23. 基板を構成する材質が金属、金属酸化物、半導体、両性元素、両性元素酸化物及び樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項12に記載の微粒子配列体。
  24. 基板上に磁気記録媒体を製造する方法であって、
    基板上に、気相急冷法により軟磁性薄膜層を形成し、
    磁性微粒子表面に、分子末端に第1および第2の官能基を有する第1の有機コーティング膜を接触させ、前記第1の官能基と前記微粒子表面との間で化学結合を生じさせ、前記微粒子表面に前記第1の有機コーティング膜からなる単分子膜を形成し、
    前記薄膜層表面に、分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有する第2の有機コーティング膜を接触させ、前記第3の官能基と前記薄膜層表面との間で化学結合を生じさせ、前記薄膜層表面に前記第2の有機コーティング膜からなる単分子膜を形成し、
    前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜とを接触させ、前記第2の官能基同士では反応を生じさせずに、前記第2および第4の官能基の間で化学結合を生じさせることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  25. 前記磁性微粒子層の表面に、さらに保護層を形成する請求項24に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  26. 磁性微粒子層の粒子が、3nm以上50nm以下の直径の微粒子である請求項24に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  27. 前記磁性微粒子はFePt合金及びCoPt合金から選ばれる少なくとも一つの合金である請求項24に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  28. 基板上に磁気記録媒体を製造する方法であって、
    磁性微粒子表面に分子末端に第1および第2の官能基を有する第1の有機コーティング膜を接触させ、前記第1の官能基と前記磁性微粒子表面との間で化学結合を生じさせ、
    前記基板表面に分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有する第2の有機コーティング膜を接触させ、前記第3の官能基と前記基板表面との間で化学結合を生じさせ、
    前記第1の有機コーティング膜と前記第2の有機コーティング膜とを接触させ、前記第2の官能基同士では反応を生じさせずに、前記第2および第4の官能基の間で化学結合を形成させ、前記基板上に前記磁性微粒子からなる磁性微粒子層を形成し、
    前記磁性微粒子を熱処理して前記磁性微粒子の保磁力を増大させることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  29. 前記基板表面に第2の有機コーティング膜を形成する前工程として、さらに基板上に、気相急冷法による軟磁性薄膜層を形成する請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  30. 前記磁性微粒子層の表面に、さらに保護層を形成する請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  31. 前記磁性微粒子層の粒子が、3nm以上50nm以下の直径の微粒子である請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  32. 前記磁性微粒子はFePt合金及びCoPt合金から選ばれる少なくとも一つの合金である請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  33. 前記磁性微粒子の熱処理において、
    磁性微粒子に磁界を印加して行うことを特徴とする請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  34. 前記磁界は1kOe以上である請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  35. 前記微粒子はL10構造である請求項28に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  36. 基板上に微粒子を配列させた磁気抵抗効果素子であって、
    前記微粒子の表面には前記微粒子の表面と結合した第1の有機コーティング膜が形成され、前記第1の有機コーティング膜は分子末端に第1および第2の官能基を有し、前記第1の官能基が前記微粒子表面と結合しており、
    前記基板表面には前記基板表面と結合した第2の有機コーティング膜が形成され、前記第2の有機コーティング膜は分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有し、前記第3の官能基が前記基板表面と結合しており、
    前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子末端に官能基を有する単分子膜であり、
    前記第2の官能基同士では反応を生じさせずに、前記第2の官能基と前記第4の官能基との間で化学結合して、前記基板上に前記微粒子が固定配列されており、
    前記微粒子に電流を流す少なくとも一対の電極を形成し、外部からの信号磁界によって電極間の電気抵抗を変化させる磁気抵抗効果素子。
  37. 外部からの信号磁界によって電極間の電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子と、前記信号磁界以外の磁界を前記磁気抵抗効果素子に侵入するのを防ぐためのシールドを備えた磁気抵抗ヘッドであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、
    微粒子が固定配列されている微粒子配列体と、
    前記微粒子に電流を流す少なくとも一対の電極とを有し、
    前記微粒子配列体は、
    前記微粒子の表面には前記微粒子の表面と結合した第1の有機コーティング膜が形成され、前記第1の有機コーティング膜は分子末端に第1および第2の官能基を有し、前記第1の官能基が前記微粒子表面と結合しており、
    前記基板表面には前記基板表面と結合した第2の有機コーティング膜が形成され、前記第2の有機コーティング膜は分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有し、前記第3の官能基が前記基板表面と結合しており、
    前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子末端に官能基を有する単分子膜であり、
    前記第2の官能基同士では反応を生じずに、前記第2の官能基と前記第4の官能基との間で化学結合して、前記基板上に前記微粒子が固定配列されていることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。
  38. 外部からの信号磁界によって電極間の電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子と、前記信号磁界を前記磁気抵抗効果素子に導くためのヨークを備えた磁気抵抗ヘッドであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、
    微粒子が固定配列されている微粒子配列体と、
    前記微粒子に電流を流す少なくとも一対の電極とを有し、
    前記微粒子配列体は、
    前記微粒子の表面には前記微粒子の表面と結合した第1の有機コーティング膜が形成され、前記第1の有機コーティング膜は分子末端に第1および第2の官能基を有し、前記第1の官能基が前記微粒子表面と結合しており、
    前記基板表面には前記基板表面と結合した第2の有機コーティング膜が形成され、前記第2の有機コーティング膜は分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有し、前記第3の官能基が前記基板表面と結合しており、
    前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子末端に官能基を有する単分子膜であり、
    前記第2の官能基同士では反応を生じずに、前記第2の官能基と前記第4の官能基との間で化学結合して、前記基板上に前記微粒子が固定配列されていることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。
  39. 半導体基板上に設けられたトンネル障壁層として機能する障壁層と、前記障壁層の表面に前記障壁層と結合した分子末端に第3の官能基、および前記第2の官能基と異なる第4の官能基を有する単分子膜である第2の有機コーティング膜を接触させ、前記障壁層の表面と前記第3の官能基が化学結合しており、
    微粒子の表面に前記微粒子の表面と結合した分子末端に第1および第2の官能基を有する単分子膜である第1の有機コーティング膜を接触させ、前記微粒子と前記第1の官能基が化学結合しており、
    前記第1及び第2の有機コーティング膜はともに分子末端に官能基を有する単分子膜であり、
    前記第2の官能基同士では反応を生じずに、前記第2の官能基と前記第4の官能基との間で化学結合して、前記微粒子が固定配列されている微粒子配列体を形成し、
    前記障壁層および前記微粒子層上に設けられた電気的絶縁体層を備えた半導体素子。
  40. 絶縁ゲート半導体(MIS)型トランジスタ構造を有する半導体メモリ素子において、前記MIS型トランジスタ構造のゲート絶縁膜と半導体基板の間に、半導体基板上に設けられたトンネル障壁層として機能する障壁層と、前記障壁層の表面に、微粒子配列体が固定配列されており、
    微粒子の表面には前記微粒子の表面と結合した第1の有機コーティング膜が形成され、前記第1の有機コーティング膜は分子末端に第1および第2の官能基を有する単分子膜であり、前記第1の官能基が前記微粒子表面と結合しており、
    前記障壁層表面には前記障壁層表面と結合した第2の有機コーティング膜が形成され、前記第2の有機コーティング膜は分子末端に第3の官能基と、前記第2の官能基と異なる第4の官能基とを有する単分子膜であり、前記第3の官能基が前記障壁層表面と結合しており、
    前記第2の官能基同士では反応を生じずに、前記第2の官能基と前記第4の官能基との間で化学結合して、前記障壁層上に前記微粒子が固定配列されている半導体メモリ素子。
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