JP2008276889A - 磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法ならびにそれを用いた磁気記録読取装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気記録媒体3は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成するパターン状の被膜で被覆された基体14の表面に、第1の官能基とカップリング反応する被膜で被覆された反応性磁性微粒子42が配列した磁性微粒子層が、カップリング反応により形成される結合を介して1層結合固定され、さらにその上に第1のカップリング反応基と反応する膜化合物の被膜で被覆された磁性微粒子34および反応性磁性微粒子42が交互に結合固定されている。
【選択図】図1
Description
第x番目(xは、1≦m≦nである整数)の前記磁性微粒子層を形成している前記磁性微粒子の表面は、第(x+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、前記磁性微粒子層の第(x−1)層と第x層は、第xの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第xのカップリング反応基と、前記第(x+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(x+1)のカップリング反応基とを有する第xのカップリング剤と、前記第xの官能基と前記第xのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(x+1)の官能基と前記第(x+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されている。
また、基体の表面に磁性微粒子が配列した磁性微粒子層が1層結合固定されているので、磁気記録媒体の剥離強度を高めることができる。
さらに、カップリング反応により形成された結合を介して磁気記録媒体を1層ずつ積層固定することにより磁気記録層を形成するので、磁気記録層の膜厚の厳密な制御を容易に行うことができる。
請求項6記載の磁気記録媒体においては、第1〜第(n+1)の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であるので、基体および磁性微粒子の本来の物性や機能を損なうことがない。
請求項21記載の磁気記録媒体の製造方法においては、第1〜第3の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であるので、基体および磁性微粒子の本来の物性や機能を損なうことがない。
ここで、図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る単層パターンドメディアの断面構造を模式的に表した説明図、図1(b)は同実施の形態に係る積層パターンドメディアの断面構造を模式的に表した説明図、図2(a)は本発明の第2の実施の形態に係る単層パターンドメディアの断面構造を模式的に表した説明図、図2(b)は同実施の形態に係る積層パターンドメディアの断面構造を模式的に表した説明図、図3は、本発明の第1および第2の実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法において、エポキシ化アルミニウム基体を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図3(a)は反応前のアルミニウム基体の断面構造、図3(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたアルミニウム基体の断面構造をそれぞれ表し、図4(a)は同磁気記録媒体の製造方法におけるパターン形成処理を行う工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図4(b)は変形例に係るパターン形成処理を行う工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図、図5は同磁気記録媒体の製造方法において、エポキシ化マグネタイト微粒子を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図5(a)は反応前のマグネタイト微粒子の断面構造、図5(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたマグネタイト微粒子の断面構造をそれぞれ表す。
図1(a)、(b)に示すように、単層パターンドメディア1および積層パターンドメディア3は、反応性アルミニウム基体(反応性基体の一例)41の表面に、エポキシ化マグネタイト微粒子(第1の被覆磁性微粒子の一例)34が配列した磁性微粒子層が1層結合固定されている。図1(b)に示すように、積層パターンドメディア3においては、磁性微粒子層は、反応性アルミニウム基体41側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次積層した磁気記録層を有する。
第2層目の磁性微粒子層を形成している反応性マグネタイト微粒子42の表面は、2−メチルイミダゾール(第3のカップリング剤の一例)のアミノ基(第3のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている。
反応性アルミニウム基体41と第1層目の磁性微粒子層を形成するエポキシ化マグネタイト微粒子34、および第1層目の磁性微粒子層を形成するエポキシ化マグネタイト微粒子34と第2層目の磁性微粒子層を形成する反応性マグネタイト微粒子42との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
なお、図1(b)に示すように、反応性マグネタイト微粒子42は、第1層目のエポキシ化マグネタイト微粒子34の側面にも結合することができるが、図1(b)では、説明のために、実際のパターンの大きさに対して磁性微粒子の大きさを誇張して描写しているので、実際には、それによりパターン形状が損なわれることは殆どない。
工程Aでは、エポキシ基を有する膜化合物をアルミニウム基体11に接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエポキシ化アルミニウム基体14を製造する(図3参照)。
なお、アルミニウム基体11の大きさ、形状および厚さには特に制限はないが、ハードディスクドライブ用プラッタとして用いられる場合には、例えば、8インチ、5インチ、3.5インチ、2.5インチ、1.8インチ、1.3インチ、1インチ、0.85インチのいずれかである円盤状のものが用いられる。
用いることのできるエポキシ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(1)〜(12)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
(2) (CH2OCH)CH2O(CH2)7Si(OCH3)3
(3) (CH2OCH)CH2O(CH2)11Si(OCH3)3
(4) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)2Si(OCH3)3
(5) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)4Si(OCH3)3
(6) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)6Si(OCH3)3
(7) (CH2OCH)CH2O(CH2)3Si(OC2H5)3
(8) (CH2OCH)CH2O(CH2)7Si(OC2H5)3
(9) (CH2OCH)CH2O(CH2)11Si(OC2H5)3
(10) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)2Si(OC2H5)3
(11) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)4Si(OC2H5)3
(12) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)6Si(OC2H5)3
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルキレート類の具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
用いることのできるアミノ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(21)〜(28)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
(22) H2N(CH2)5Si(OCH3)3
(23) H2N(CH2)7Si(OCH3)3
(24) H2N(CH2)9Si(OCH3)3
(25) H2N(CH2)5Si(OC2H5)3
(26) H2N(CH2)5Si(OC2H5)3
(27) H2N(CH2)7Si(OC2H5)3
(28) H2N(CH2)9Si(OC2H5)3
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様の化合物を単独でまたは2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
用いることのできる助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間についてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様であるので、説明を省略する。
また、磁気記録媒体として、フレキシブルディスクや磁気テープを製造する場合には、ポリエチレンやポリエステル等の合成樹脂フィルムまたは紙等の材料を基体材料として用いることができる。
基体材料の表面に水酸基、アミノ基等の活性水素基を有する場合には、アルミニウムの場合と同様に、膜化合物としてアルコキシシラン化合物を用いることができる。この様な基体の具体例としては、ガラス、紙等が挙げられる。合成樹脂を用いる場合には、プラズマ処理等により活性水素基を有する化合物をグラフトする等の処理を行うことにより、アルコキシシラン化合物を用いることができる場合がある。
(以上工程A)
露光に用いるマスクとしては、半導体素子の製造等におけるフォトリソグラフィに用いられるレチクル用材料等の、光を透過せず、少なくとも露光の間は照射光による損傷を受けない任意の材質のものを用いることができる。また、露光は等倍露光でもよく、微細なパターンを形成する場合等には縮小投影露光を用いてもよい。
照射した部分以外への入熱を抑制するため、パルスレーザーを用いるパルスレーザーアブレーション法により、エポキシ化された膜化合物を除去することが好ましい。
レーザー光の強度は、0.1〜0.3J・cm−2であることが好ましい。レーザー光の強度が0.1J・cm−2未満である場合には、十分にエポキシ基を有する膜化合物を除去することができず、0.3J・cm−2を上回る場合には、エポキシ化アルミニウム基体14のガラス部材が除去されるため、いずれも好ましくない。
また、レーザー光の強度が上記範囲内である場合、パルス幅としては5〜50nsが好ましい。
用いることができる光重合開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩等のカチオン性光重合開始剤が挙げられる。光源としては、高圧水銀灯、キセノンランプ等が挙げられる。
(以上工程B)
反応後、生成したエポキシ化マグネタイト微粒子34を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化マグネタイト微粒子34の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化マグネタイト微粒子34の表面に共有結合により固定されていないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化マグネタイト微粒子34に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜33と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、工程D以降の製造工程に特に支障をきたすことはない。
また、本実施の形態においては工程Aと同一のアルコキシシラン化合物を用いているが、異なるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。ただし、工程Dにおいて用いるカップリング剤のカップリング反応基と反応して結合を形成する官能基を有するものでなければならない。
磁性微粒子の直径の好ましい範囲は、磁性微粒子の種類によって異なる場合がある。例えば、Fe−Pt合金の場合、微粒子の好ましい直径の下限値は5nm程度である。
(以上工程C)
膜前駆体の製造には、2−メチルイミダゾールが可溶な任意の溶媒を用いることができるが、価格、室温での揮発性、および毒性等を考慮すると、イソプロピルアルコール、エタノール等の低級アルコール系溶媒が好ましい。
2−メチルイミダゾールの添加量、塗布する溶液の濃度、反応温度および反応時間は、用いる基体および磁性微粒子の種類、形成する磁気記録媒体の膜厚等に応じて適宜調節される。
このようにして得られた反応性アルミニウム基体41の表面にエポキシ化マグネタイト微粒子34の分散液を塗布後加熱し、エポキシ化マグネタイト微粒子34上のエポキシ基と、反応性アルミニウム基体41上の2−メチルイミダゾールに由来するイミノ基とのカップリング反応によりエポキシ化マグネタイト微粒子34を反応性アルミニウム基体41の表面に結合固定し、単層の磁性微粒子層を有する単層パターンドメディア1を製造する。
加熱温度は、50〜200℃が好ましい。加熱温度が50℃未満だと、カップリング反応の進行に長時間を要し、200℃を上回ると、エポキシ基を有する単分子膜23や反応性単分子膜31の分解反応が起こり、均一な単層パターンドメディア1が得られない。
(31) 2−メチルイミダゾール(R2=Me、R4=R5=H)
(32) 2−ウンデシルイミダゾール(R2=C11H23、R4=R5=H)
(33) 2−ペンタデシルイミダゾール(R2=C15H31、R4=R5=H)
(34) 2−メチル−4−エチルイミダゾール(R2=Me、R4=Et、R5=H)
(35) 2−フェニルイミダゾール(R2=Ph、R4=R5=H)
(36) 2−フェニル−4−エチルイミダゾール(R2=Ph、R4=Et、R5=H)
(37) 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(R2=Ph、R4=Me、R5=CH2OH)
(38) 2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール(R2=Ph、R4=R5=CH2OH)
なお、Me、Et、およびPhは、それぞれメチル基、エチル基、およびフェニル基を表す。
これらのジイソシアネート化合物の添加量は、2−メチルイミダゾールの場合と同様、エポキシ化マグネタイト微粒子の5〜15重量%が好ましい。この場合、膜前駆体の製造に用いることのできる溶媒としては、キシレン等の芳香族有機溶媒が挙げられる。
また、イミノ基やアミノ基を有する膜化合物を用いる場合には、架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の2または3以上のエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。
(以上工程D)
用いられる2−メチルイミダゾール溶液の濃度、反応条件等は、溶液を塗布するのではなく、エポキシ化マグネタイト微粒子34を溶液中に分散させて加熱することを除くと、工程Dにおける反応性アルミニウム基体41の調製の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。他に用いることのできるカップリング剤についても、工程Dにおける反応性アルミニウム基体41の調製の場合と同様である。
(以上工程E)
また、工程Gでは、工程Fで結合固定された反応性マグネタイト微粒子42の磁性微粒子層の表面にエポキシ化マグネタイト微粒子34を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化マグネタイト微粒子34を反応性マグネタイト微粒子42の磁性微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかったエポキシ化マグネタイト微粒子34を除去する。
工程F、Gにおける反応条件については、工程Eと同様であるので、詳しい説明を省略する。
(以上工程FおよびG)
なお、本実施の形態においてはエポキシ化アルミニウム基体を用いたが、工程AおよびBを省略して普通のアルミニウム基体を基体として用いてもよい。
また、フレキシブルディスクや磁気テープの製造の際には、基体の熱変形や燃焼を防止するため、加熱温度は、例えば、50〜100℃が好ましい。
図2(a)、(b)に示すように、単層パターンドメディア2および積層パターンドメディア4は、エポキシ化アルミニウム基体14の表面に、反応性マグネタイト微粒子42(第1の反応性磁性微粒子の一例)が配列した磁性微粒子層が1層結合固定されている。図2(b)に示すように、積層パターンドメディア4においては、磁性微粒子層は、エポキシ化アルミニウム基体14側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次積層している。
1層目の磁性微粒子層を形成している反応性マグネタイト微粒子42の表面は、2−メチルイミダゾールのアミノ基とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている。
エポキシ化アルミニウム基体14と第1層目の磁性微粒子層を形成する反応性マグネタイト微粒子42、および奇数層目の磁性微粒子層を形成する反応性マグネタイト微粒子42と偶数層目の磁性微粒子層を形成するエポキシ化マグネタイト微粒子34との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
なお、図2(b)に示すように、エポキシ化マグネタイト微粒子34は、奇数層目の反応性マグネタイト微粒子42の側面にも結合することができるが、図2(b)では、説明のために、実際のパターンの大きさに対して磁性微粒子の大きさを誇張して描写しているので、それによりパターン形状が損なわれることはない。
アルミニウム基体を用意し、洗浄後よく乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化8、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。この方法により、エポキシ化アルミニウム基体を調製できた。
その後、クロロホルムで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
実施例1で調製したエポキシ化アルミニウム基体に、形成されるパターン部分を覆うマスク(ラインアンドスペース0.5μm)を介してKrFエキシマレーザー(波長248nm、パルス幅10ns、レーザー強度0.15J/cm2)を照射し、パターン部分以外の部分を被覆するエポキシ基を有する単分子膜を、レーザーアブレーションにより除去した。この方法により、パターン形成されたエポキシ化アルミニウム基体を調製できた。
平均粒径が30nmの無水のマグネタイト微粒子を用意し、よく乾燥した。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化8)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
その後、トリクレンで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
実施例2で調製したパターン形成されたエポキシ化アルミニウム基体の表面に、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液を塗布し、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して、パターン状の反応性アルミニウム基体が得られた。その後、エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去できた。
実施例3で調製したエポキシ化マグネタイト微粒子を、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液中に分散して、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性マグネタイト微粒子が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去できた。
実施例4で調製した反応性アルミニウム基体の表面に、実施例3で調製したエポキシ化マグネタイト微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化マグネタイト微粒子を除去した。
このようにして得られた、磁性微粒子層が1層積層した磁気記録媒体の表面に、実施例5で調製した反応性マグネタイト微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性マグネタイト微粒子を除去すると、2層の磁性微粒子層が積層した磁気記録媒体が得られた。
実施例2で調製したパターン形成されたエポキシ化アルミニウム基体の表面に、実施例5で調製した反応性マグネタイト微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性マグネタイト微粒子を除去した。
このようにして得られた、磁性微粒子層が1層積層した磁気記録媒体の表面に、実施例3で調製したエポキシ化マグネタイト微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化マグネタイト微粒子を除去すると、2層の磁性微粒子層が積層した磁気記録媒体が得られた。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(化9、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、および酢酸(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン−ジメチルホルムアミド混合溶媒(1:1v/v)に溶解した反応液を用いて、実施例1および実施例3と同様の処理を行い、アミノ化アルミニウム基体および粒径が約100nmのアミノ化マグネタイト微粒子を調製した。
アミノ化アルミニウム基体について、実施例2と同様の処理を行い、パターン形成されたアミノ化アルミニウム基体を調製した。
また、カップリング剤として、p−フェニレンジイソシアネートを用いて、実施例4および実施例5と同様の処理を行い、カップリング反応基としてイソシアネート基を有する反応性アルミニウム基体および反応性マグネタイト微粒子を調製した。
これらの原料を用いて、実施例6および実施例7と同様の処理を行うと、1層(膜厚100nm)または2層(膜厚200nm)のマグネタイト微粒子層が積層した磁気記録媒体が得られた。
Claims (28)
- 基体の表面のパターン部分にのみ磁性微粒子が選択的に配列した磁性微粒子層が1層結合固定された磁気記録媒体であって、
前記基体の表面の少なくとも前記パターン部分は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
前記磁性微粒子の表面は、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
前記磁性微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1および前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して前記基体の表面のパターン部分にのみ選択的に固定された磁気記録層を有することを特徴とする磁気記録媒体。 - 請求項1記載の磁気記録媒体において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、前記第1および第2の膜化合物の形成する被膜の一方または双方が単分子膜であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基体の表面のパターン部分にのみ、磁性微粒子が配列した磁性微粒子層が前記被覆された基体側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した磁気記録層を有し、
第x番目(xは、1≦m≦nである整数)の前記磁性微粒子層を形成している前記磁性微粒子の表面は、第(x+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
前記磁性微粒子層の第(x−1)層と第x層は、第xの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第xのカップリング反応基と、前記第(x+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(x+1)のカップリング反応基とを有する第xのカップリング剤と、前記第xの官能基と前記第xのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(x+1)の官能基と前記第(x+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されていることを特徴とする磁気記録媒体。 - 請求項4記載の磁気記録媒体において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物、ならびに前記第1〜第nのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 請求項4および5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CH2CH(OH)結合であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物を含む溶液を前記基体の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記基体の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記基体の表面が被覆された被覆基体を調製する工程Aと、
前記パターン部分にのみ前記第1の官能基を残すパターン形成処理を行う工程Bと、
分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物を含む溶液を磁性微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記磁性微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記磁性微粒子の表面が被覆された第1の被覆磁性微粒子を調製する工程Cと、
前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆基体および前記第1の被覆磁性微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆磁性微粒子からなる1層の前記磁性微粒子層を、前記被覆基体の表面に結合固定し、次いで、前記被覆基体の表面に固定されなかった前記第1の被覆磁性微粒子を除去する工程Dとを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 請求項9記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程Dを磁場中で行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9および10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程Bにおける前記パターン形成処理は、レーザーアブレーション法を用いて前記パターン部分以外の前記第1の膜化合物の被膜を除去することにより行われることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9および10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、工程Bにおける前記パターン形成処理は、前記エネルギー線の照射により前記パターン部分以外の前記第1の官能基を他の官能基に変換することにより行われることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程Dでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆基体の表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性基体を調製し、次いで、該反応性基体の表面に前記第1の被覆磁性微粒子を接触させ、該反応性基体の表面に前記第1の被覆磁性微粒子を固定することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程Dでは、まず、前記第1の被覆磁性微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する第1の反応性磁性微粒子を調製し、次いで、該第1の反応性磁性微粒子の表面を前記被覆基体と接触させ、該被覆基体の表面に前記第1の反応性磁性微粒子を固定することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜15のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程Aおよび前記工程Cにおいて、未反応の前記第1および第2の膜化合物は洗浄除去され、前記基体および前記第1の磁性微粒子の表面上で前記第1および第2の膜化合物がそれぞれ形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項13記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記基体上には、前記磁性微粒子層が前記基体側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した磁気記録層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液を前記磁性微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記磁性微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で表面が被覆された第2の被覆磁性微粒子を被覆し、次いで、前記第2の被覆磁性微粒子の表面に、前記第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する第2の反応性磁性微粒子を調製する工程Eと、
前記磁気記録媒体の表層に位置する前記第1の被覆磁性微粒子の磁性微粒子層の表面に前記第2の反応性磁性微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の反応性磁性微粒子を前記第1の被覆磁性微粒子の磁性微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の反応性磁性微粒子を除去する工程Fと、
前記磁気記録媒体の表層に位置する前記第2の反応磁性微粒子の磁性微粒子層の表面に前記第1の被覆磁性微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆磁性微粒子を前記第2の反応性磁性微粒子の磁性微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の被覆磁性微粒子を除去する工程Gと、
前記工程FおよびGをこの順序で繰返し行い、n層の前記磁性微粒子層からなる前記磁気記録層を形成する工程Hとをさらに有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 請求項14記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記基体上には、前記磁性微粒子層が前記基体側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した磁気記録層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記第3の膜化合物を含む溶液を前記磁性微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記磁性微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記磁性微粒子の表面が被覆された第2の被膜磁性微粒子を調製する工程Eと、
前記第1の反応性磁性微粒子の磁性微粒子層の表面に前記第2の被覆磁性微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の被覆磁性微粒子を前記第1の反応性磁性微粒子の磁性微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の被覆磁性微粒子を除去する工程Fと、
前記第2の被覆磁性微粒子の磁性微粒子層の表面に前記第1の反応性磁性微粒子を接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の反応性磁性微粒子を前記第2の被覆磁性微粒子の磁性微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の反応性磁性微粒子を除去する工程Gと、
前記工程FおよびGをこの順序で繰返し行い、n層の前記磁性微粒子層からなる前記磁気記録層を形成する工程Hとをさらに有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 請求項17および18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程F〜Hを磁場中で行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項17〜19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項17〜20のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記工程Eにおいて、未反応の前記第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第2の被覆磁性微粒子の表面上で前記第3の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜16および22のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項17〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項17〜21、および24のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜25のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CH2CH(OH)結合であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項9〜25のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体を用いた磁気記録読取装置。
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