JP3597400B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,超音波モータに用いる圧電磁器組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,超音波モータ,超音波振動子,圧電トランス,点火栓等に用いられる圧電磁器組成物については,例えば,特公昭39−6277号公報(第1従来例),特開平8−119733号公報(第2従来例)等に示されたチタン酸ジルコン酸鉛を主体とした組成物が知られている。
【0003】
上記第1従来例に示された組成物は,Pb(ZrxTiy)O3,(x+y=1)におけるPbの一部をSrにより置換した化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛に対して,Sb2O3とMnO2を外添加した組成物である。
また,第2従来例に示された組成物は,Pb((Mn1/3Sb2/ 3)xZryTiz)O3,(x+y+z=1)におけるPbをSrにより置換し,かつ,PbとSrの合計原子量を1未満としたものである。
これら従来の圧電磁器組成物は,例えば超音波モータ等に適用した場合には,初期状態において非常に良好な電気特性を示すことが知られている。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の圧電磁器組成物においては,次の問題がある。
即ち,従来の圧電磁器組成物は,上記のごとく初期の電気特性が良好であっても,疲労強度特性が悪く,信頼性に欠けるという問題があった。
この原因は,従来の圧電磁器組成物を緻密に焼成するには約1250℃以上という高温焼成を行うことが必要とされるので結晶粒径が比較的大きくなること,及び,粒界にZrO2微粒子が析出した微構造となることにあると考えられる。
【0005】
また,高温焼成が必要であることにより,工業的製造の安定化があまり容易でなく,製品ばらつきを招いてしまう。
そのため,電気特性の良好性を維持しつつ,信頼性にも優れ,かつ工業生産しやすい圧電磁器組成物の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,従来よりも低温焼成が可能で,かつ,結晶粒径が小さく,疲労強度特性に優れた圧電磁器組成物を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3により表され,かつ正方晶のペロブスカイト構造を有する超音波モータ用の圧電磁器組成物であって,
Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなした場合に,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)が,1.0<M≦1.03であり,
かつ,0.03≦e≦0.05であることを特徴とする圧電磁器組成物にある。
【0008】
本発明において最も注目すべきことは,正方晶のペロブスカイト構造を有すると共に,上記一般式におけるAサイトとBサイトのモル比が上記特定の範囲内にあることである。
【0009】
上記AサイトとBサイトは,上記ペロブスカイト構造における原子の配置によって原子を分類した概念である。本発明においては上記のごとく,Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなす。
そして,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)は1.0<M≦1.03とする。
【0010】
上記モル比が1.0以下の場合には,Bサイトの原子が過剰となり,従来と同様にZrO2微粒子の析出を招くと共に高温焼成が必要となるという問題がある。そのため,上記Mは好ましくは1.01以上がよい。一方,1.03を超える場合には,Pbが過剰となって焼成時の初期焼結が進みすぎ,組織の緻密化が阻害されるという問題がある。
【0011】
また,上記一般式におけるa〜fについては,c+d+e+f=1とした場合の各々の成分比を示している。
【0012】
次に,c+d≧0.92,0.45≦c≦0.55,0.45≦d≦0.55であることが好ましい。これにより,Zr/Ti比を最適な範囲に制限することができ,圧電磁器組成物の電気的特性を良好に維持することができる。一方,上記範囲を一つでも超える場合には,Zr/Ti比が最適範囲から外れて圧電磁器組成物の電気的特性が低下するという問題がある。
【0013】
また,0.005≦e≦0.05であることが好ましい。eが0.005未満の場合には圧電定数−d31が低下するという問題があり,一方,0.05を超える場合には圧電定数−d31がやはり低下するという問題がある。
【0014】
また,0.005≦f≦0.03であることが好ましい。fが0.005未満の場合には機械的品質係数Qmが低下するという問題があり,一方,0.05を超える場合には圧電定数−d31が低下するという問題がある。
【0015】
また,b≦0.1であることが好ましい。bが0.1を超える場合にはキュリー温度が低下するため,使用温度が低くなるという問題がある。なお,bの下限値は圧電定数−d31を低下させないために0.03以上であることが好ましい。
【0016】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明の圧電磁器組成物は,正方晶のペロブスカイト構造を有すると共に,一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3における,上記AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)を1.0<M≦1.03という特定の範囲に制限している。そのため,本発明の圧電磁器組成物は,従来よりも低温において緻密に焼成させることができ,かつ,ZrO2微粒子の粒界析出を回避することができる。
【0017】
この理由は次のように考えられる。
即ち,本発明においては,上記AサイトとBサイトのモル比を上記特定範囲に限定している。そのため,少なくともBサイトがAサイトより過剰となることはない。それ故,焼成時においてZrの過剰化が妨げられ,ZrO2の粒界析出を回避することができる。
また,このZrO2析出は焼結を阻害する要因となっていたため,その析出を回避することによって,従来よりも低温の焼成によって緻密な焼結を行うことができる。
【0018】
これに対し,従来の圧電磁器組成物は,上記AサイトとBサイトという概念において検討するとBサイトが過剰気味に構成されている。そのため,Zrの過剰化によってZrO2の生成が促進され,上記種々の不具合が生じていたと考えられる。
【0019】
このように,本発明においては,従来よりも低温において緻密に焼成させることができ,かつ,ZrO2微粒子の粒界析出を回避することができる。そのため,焼成温度の低下による結晶粒径の微細化を図ることができ,これにより疲労強度特性を従来よりも向上させることができる。それ故,本発明の圧電磁器組成物は,従来よりも信頼性の高いものとなる。
また,焼成温度の低下によって工業生産性の向上をも図ることができる。
【0020】
したがって,本発明によれば,従来よりも低温焼成が可能で,かつ,結晶粒径が小さく,疲労強度特性に優れた圧電磁器組成物を提供することができる。
【0021】
次に,請求項2の発明のように,上記圧電磁器組成物は,その平均結晶粒径が1〜3μm,平均曲げ強度が100MPa以上であることが好ましい。平均結晶粒径が1μm未満の場合には圧電定数−d31が低下するという問題があり,一方,3μmを超える場合には強度が低下するという問題がある。
また,平均曲げ強度が100MPa以上であることが好ましい。これにより,例えば超音波モータの使用に適した圧電磁器組成物を得ることができる。
【0022】
また,請求項3の発明のように,上記圧電磁器組成物は,圧電定数−d31が140pm/V以上であり,かつ,機械的品質係数Qmが500以上であることが好ましい。ここで,上記圧電定数−d31及び上記機械的品質係数Qmは,下式(1),(2)により算出される。また,式(1)中のkr,E33 T,S11 Eは式(3),(4),(5)により示される。
【0023】
圧電定数−d31〔pm/V〕=kr{〔(1−σ)/2〕・E33 T・S11 E}1/2・・・・・(1)
機械的品質係数Qm=1/{2π・fr・Zr・C〔1−(fr/fa)2〕}・・・・・(2)
1/kr2=0.395fr/(fa−fr)+0.574・・・・・(3)
E33 T〔F/m〕=C・t/S ・・・・・(4)
1/S11 E〔m2/N〕=ρ{〔2π(1−σ2)1/2/η〕・r・fr}2・・・・・(5)
【0024】
ここで,上式中のσ=0.30,η=2.05である。また上式中のtは試料の厚さ(m),Sは試料の端面面積(m2),CはLCRメータ(YHP−4194A)により測定した1kHz時の静電容量(F),ρは密度(g/cm3),fa,frはそれぞれ反共振及び共振周波数(Hz),Zrは共振インピーダンスであり,これらはいずれも周知の方法で測定される。
【0025】
上式(1)により得られる圧電定数−d31が140pm/V未満の場合には,超音波モータに適用した場合にモータトルクが低下するという問題がある。
また,上式(2)により得られる機械的品質係数Qmが500未満の場合には超音波モータに適用した場合にモータ回転数が低下するという問題がある。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる圧電磁器組成物につき,図1,図2を用いて説明する。
本例においては,一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3により表され,かつ正方晶のペロブスカイト構造を有する圧電磁器組成物であって,Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなした場合に,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)が,1.0<M≦1.03である圧電磁器組成物を実際に製造し,その特性を比較品と共に評価した。
【0027】
以下,本例の圧電磁器組成物の製造方法及び評価結果を詳説する。
まず,圧電磁器組成物の原料として,酸化鉛(PbO),炭酸ストロンチウム(SrCO3),酸化チタン(TiO2),酸化ジルコニウム(ZrO2),酸化アンチモン(Sb2O3),炭酸マンガン(MnCO3)を準備し,化学式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3の所望のa〜f(表1)が得られるように秤量する。
【0028】
次いで,上記原料に水を媒体として加え,これをボールミルで20時間混合した。得られた混合物を140℃で48時間乾燥し,らいかい後,850℃で2時間仮焼し,さらに,水を媒体としてボールミルで48時間粉砕した。
得られたスラリーにバインダとしてPVAを0.5%加えた後,スプレードライヤで造粒し,100MPaの圧力で金型プレス成形し,直径24.5mm,厚さ2mmの成形体を作製した。
【0029】
この成形体を700℃の大気中において2時間の脱脂を行った後,アルミナの容器内に挿入して密閉し,大気中1140〜1350℃で2時間の焼成を行った。
次いで,得られた焼結体を厚さ1mmにラップ後,両面にAg電極を形成し,さらに,直径を16mmに研削加工した。
【0030】
次に100℃のシリコンオイル中で2kV/mmの直流電圧を20分間印加して分極処理を行った。これにより,種々の組成の圧電磁器組成物を得た。各試料ごとの具体的な組成は,表1に上記a〜fの値を用いて示した。
なお,本例においては,比較のために本発明範囲外の比較品も作製した。そして,試料No.の最初に,本発明品はE,比較品はCの符号をつけて示した。
【0031】
次に,本例においては,圧電磁器組成物の特性を評価するため,1290℃の温度で2時間焼成した各組成物の平均粒径,圧電定数−d31及び結晶相を求めた。これを表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
また,図1には,本発明品の代表として試料E4,E8を,比較品の代表として試料C1,C10,C12を選択し,これらを1200〜1290℃の温度で2時間焼成した時の比重の測定結果を示す。同図は,横軸に焼成温度を,縦軸に焼成比重をとったものである。
また,図2には,本発明品の代表として試料E4を,比較品の代表として試料C13を選択し,これらを温度1140〜1350℃で2時間焼成した時の比重の測定結果を示す。同図も,横軸は焼成温度,縦軸は焼成比重である。
【0034】
上記表1から知られるように,組成式における(a+b)/(c+d+e+f)が1より大きく,かつ正方晶である試料は,平均粒径が3μm以下,圧電定数−d31が140pm/V以上という特性が得られた。
また,機械的品質係数Qmは,全ての試料において500以上という良好な結果となった。
【0035】
また,図1における焼成比重は,比重が高いほど焼結が緻密に行われていることを示している。したがって,同図から知られるように,(a+b)/(c+d+e+f)が1より大きい本発明品(E4,E8)は1200℃で十分に緻密化するが,(a+b)/(c+d+e+f)が1以下の比較品(C10,C12)は1290℃まで焼成温度を上げないと緻密化しない。
【0036】
ただし,(a+b)/(c+d+e+f)が1.04の試料C1の場合には,到達する比重が低下する傾向を示した。このことから,(a+b)/(c+d+e+f)は1.04未満である必要があることがわかる。
また,図2からは,本発明品(E4)は1140℃以下の低温でも十分な緻密化が可能であることがわかる。これに対し,比較品(C13)は,本発明品に適した焼成温度(1140〜1200℃)では,非常に低い緻密化しかなされないことがわかる。
【0037】
実施形態例2
本例においては,実施形態例1における本発明品E4(表1)と同じ組成物を実施形態例1と同じ工程で造粒品とした後,100MPaの圧力で金型プレス成形し,外径φ80mm,内径φ50mm,厚さ20mmの成形体を得た。
次いで,この成形体を大気中700℃で2時間の脱脂を行った後,アルミナの容器に入れて密閉し,1200℃で2時間の焼成を行った。
【0038】
得られた焼結体の内周を研削加工した後,スライス,ラップ加工し,外径φ60mm,内径φ45mm,厚さ0.5mmのリングを作製した。さらに,このリングを長さ15mmに切断し強度測定用試料とした。
また,同様に表1に示す比較品C12の組成物を1290℃で2時間の焼成を行い,上記と同様のサイズの強度測定用試料を作製した。
【0039】
次に,これらの試料を各々15個用い(n=15),支点間距離10mmの3点曲げ破壊試験を実施した。
その結果,本発明品E4は平均強度131MPa,比較品C8は127MPaであり,両者とも超音波モータとして好ましい100MPa以上の値となった。
従って,本発明品は従来品と同等の初期強度を有することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,圧電磁器組成物の焼成温度と焼成比重との関係を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,圧電磁器組成物の焼成温度と焼成比重との関係を示す説明図。
【符号の説明】
E4,E8...本発明品,
C1,C10,C12,C13...比較品,
【技術分野】
本発明は,超音波モータに用いる圧電磁器組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,超音波モータ,超音波振動子,圧電トランス,点火栓等に用いられる圧電磁器組成物については,例えば,特公昭39−6277号公報(第1従来例),特開平8−119733号公報(第2従来例)等に示されたチタン酸ジルコン酸鉛を主体とした組成物が知られている。
【0003】
上記第1従来例に示された組成物は,Pb(ZrxTiy)O3,(x+y=1)におけるPbの一部をSrにより置換した化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛に対して,Sb2O3とMnO2を外添加した組成物である。
また,第2従来例に示された組成物は,Pb((Mn1/3Sb2/ 3)xZryTiz)O3,(x+y+z=1)におけるPbをSrにより置換し,かつ,PbとSrの合計原子量を1未満としたものである。
これら従来の圧電磁器組成物は,例えば超音波モータ等に適用した場合には,初期状態において非常に良好な電気特性を示すことが知られている。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の圧電磁器組成物においては,次の問題がある。
即ち,従来の圧電磁器組成物は,上記のごとく初期の電気特性が良好であっても,疲労強度特性が悪く,信頼性に欠けるという問題があった。
この原因は,従来の圧電磁器組成物を緻密に焼成するには約1250℃以上という高温焼成を行うことが必要とされるので結晶粒径が比較的大きくなること,及び,粒界にZrO2微粒子が析出した微構造となることにあると考えられる。
【0005】
また,高温焼成が必要であることにより,工業的製造の安定化があまり容易でなく,製品ばらつきを招いてしまう。
そのため,電気特性の良好性を維持しつつ,信頼性にも優れ,かつ工業生産しやすい圧電磁器組成物の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,従来よりも低温焼成が可能で,かつ,結晶粒径が小さく,疲労強度特性に優れた圧電磁器組成物を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3により表され,かつ正方晶のペロブスカイト構造を有する超音波モータ用の圧電磁器組成物であって,
Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなした場合に,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)が,1.0<M≦1.03であり,
かつ,0.03≦e≦0.05であることを特徴とする圧電磁器組成物にある。
【0008】
本発明において最も注目すべきことは,正方晶のペロブスカイト構造を有すると共に,上記一般式におけるAサイトとBサイトのモル比が上記特定の範囲内にあることである。
【0009】
上記AサイトとBサイトは,上記ペロブスカイト構造における原子の配置によって原子を分類した概念である。本発明においては上記のごとく,Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなす。
そして,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)は1.0<M≦1.03とする。
【0010】
上記モル比が1.0以下の場合には,Bサイトの原子が過剰となり,従来と同様にZrO2微粒子の析出を招くと共に高温焼成が必要となるという問題がある。そのため,上記Mは好ましくは1.01以上がよい。一方,1.03を超える場合には,Pbが過剰となって焼成時の初期焼結が進みすぎ,組織の緻密化が阻害されるという問題がある。
【0011】
また,上記一般式におけるa〜fについては,c+d+e+f=1とした場合の各々の成分比を示している。
【0012】
次に,c+d≧0.92,0.45≦c≦0.55,0.45≦d≦0.55であることが好ましい。これにより,Zr/Ti比を最適な範囲に制限することができ,圧電磁器組成物の電気的特性を良好に維持することができる。一方,上記範囲を一つでも超える場合には,Zr/Ti比が最適範囲から外れて圧電磁器組成物の電気的特性が低下するという問題がある。
【0013】
また,0.005≦e≦0.05であることが好ましい。eが0.005未満の場合には圧電定数−d31が低下するという問題があり,一方,0.05を超える場合には圧電定数−d31がやはり低下するという問題がある。
【0014】
また,0.005≦f≦0.03であることが好ましい。fが0.005未満の場合には機械的品質係数Qmが低下するという問題があり,一方,0.05を超える場合には圧電定数−d31が低下するという問題がある。
【0015】
また,b≦0.1であることが好ましい。bが0.1を超える場合にはキュリー温度が低下するため,使用温度が低くなるという問題がある。なお,bの下限値は圧電定数−d31を低下させないために0.03以上であることが好ましい。
【0016】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明の圧電磁器組成物は,正方晶のペロブスカイト構造を有すると共に,一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3における,上記AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)を1.0<M≦1.03という特定の範囲に制限している。そのため,本発明の圧電磁器組成物は,従来よりも低温において緻密に焼成させることができ,かつ,ZrO2微粒子の粒界析出を回避することができる。
【0017】
この理由は次のように考えられる。
即ち,本発明においては,上記AサイトとBサイトのモル比を上記特定範囲に限定している。そのため,少なくともBサイトがAサイトより過剰となることはない。それ故,焼成時においてZrの過剰化が妨げられ,ZrO2の粒界析出を回避することができる。
また,このZrO2析出は焼結を阻害する要因となっていたため,その析出を回避することによって,従来よりも低温の焼成によって緻密な焼結を行うことができる。
【0018】
これに対し,従来の圧電磁器組成物は,上記AサイトとBサイトという概念において検討するとBサイトが過剰気味に構成されている。そのため,Zrの過剰化によってZrO2の生成が促進され,上記種々の不具合が生じていたと考えられる。
【0019】
このように,本発明においては,従来よりも低温において緻密に焼成させることができ,かつ,ZrO2微粒子の粒界析出を回避することができる。そのため,焼成温度の低下による結晶粒径の微細化を図ることができ,これにより疲労強度特性を従来よりも向上させることができる。それ故,本発明の圧電磁器組成物は,従来よりも信頼性の高いものとなる。
また,焼成温度の低下によって工業生産性の向上をも図ることができる。
【0020】
したがって,本発明によれば,従来よりも低温焼成が可能で,かつ,結晶粒径が小さく,疲労強度特性に優れた圧電磁器組成物を提供することができる。
【0021】
次に,請求項2の発明のように,上記圧電磁器組成物は,その平均結晶粒径が1〜3μm,平均曲げ強度が100MPa以上であることが好ましい。平均結晶粒径が1μm未満の場合には圧電定数−d31が低下するという問題があり,一方,3μmを超える場合には強度が低下するという問題がある。
また,平均曲げ強度が100MPa以上であることが好ましい。これにより,例えば超音波モータの使用に適した圧電磁器組成物を得ることができる。
【0022】
また,請求項3の発明のように,上記圧電磁器組成物は,圧電定数−d31が140pm/V以上であり,かつ,機械的品質係数Qmが500以上であることが好ましい。ここで,上記圧電定数−d31及び上記機械的品質係数Qmは,下式(1),(2)により算出される。また,式(1)中のkr,E33 T,S11 Eは式(3),(4),(5)により示される。
【0023】
圧電定数−d31〔pm/V〕=kr{〔(1−σ)/2〕・E33 T・S11 E}1/2・・・・・(1)
機械的品質係数Qm=1/{2π・fr・Zr・C〔1−(fr/fa)2〕}・・・・・(2)
1/kr2=0.395fr/(fa−fr)+0.574・・・・・(3)
E33 T〔F/m〕=C・t/S ・・・・・(4)
1/S11 E〔m2/N〕=ρ{〔2π(1−σ2)1/2/η〕・r・fr}2・・・・・(5)
【0024】
ここで,上式中のσ=0.30,η=2.05である。また上式中のtは試料の厚さ(m),Sは試料の端面面積(m2),CはLCRメータ(YHP−4194A)により測定した1kHz時の静電容量(F),ρは密度(g/cm3),fa,frはそれぞれ反共振及び共振周波数(Hz),Zrは共振インピーダンスであり,これらはいずれも周知の方法で測定される。
【0025】
上式(1)により得られる圧電定数−d31が140pm/V未満の場合には,超音波モータに適用した場合にモータトルクが低下するという問題がある。
また,上式(2)により得られる機械的品質係数Qmが500未満の場合には超音波モータに適用した場合にモータ回転数が低下するという問題がある。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる圧電磁器組成物につき,図1,図2を用いて説明する。
本例においては,一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3により表され,かつ正方晶のペロブスカイト構造を有する圧電磁器組成物であって,Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなした場合に,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)が,1.0<M≦1.03である圧電磁器組成物を実際に製造し,その特性を比較品と共に評価した。
【0027】
以下,本例の圧電磁器組成物の製造方法及び評価結果を詳説する。
まず,圧電磁器組成物の原料として,酸化鉛(PbO),炭酸ストロンチウム(SrCO3),酸化チタン(TiO2),酸化ジルコニウム(ZrO2),酸化アンチモン(Sb2O3),炭酸マンガン(MnCO3)を準備し,化学式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3の所望のa〜f(表1)が得られるように秤量する。
【0028】
次いで,上記原料に水を媒体として加え,これをボールミルで20時間混合した。得られた混合物を140℃で48時間乾燥し,らいかい後,850℃で2時間仮焼し,さらに,水を媒体としてボールミルで48時間粉砕した。
得られたスラリーにバインダとしてPVAを0.5%加えた後,スプレードライヤで造粒し,100MPaの圧力で金型プレス成形し,直径24.5mm,厚さ2mmの成形体を作製した。
【0029】
この成形体を700℃の大気中において2時間の脱脂を行った後,アルミナの容器内に挿入して密閉し,大気中1140〜1350℃で2時間の焼成を行った。
次いで,得られた焼結体を厚さ1mmにラップ後,両面にAg電極を形成し,さらに,直径を16mmに研削加工した。
【0030】
次に100℃のシリコンオイル中で2kV/mmの直流電圧を20分間印加して分極処理を行った。これにより,種々の組成の圧電磁器組成物を得た。各試料ごとの具体的な組成は,表1に上記a〜fの値を用いて示した。
なお,本例においては,比較のために本発明範囲外の比較品も作製した。そして,試料No.の最初に,本発明品はE,比較品はCの符号をつけて示した。
【0031】
次に,本例においては,圧電磁器組成物の特性を評価するため,1290℃の温度で2時間焼成した各組成物の平均粒径,圧電定数−d31及び結晶相を求めた。これを表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
また,図1には,本発明品の代表として試料E4,E8を,比較品の代表として試料C1,C10,C12を選択し,これらを1200〜1290℃の温度で2時間焼成した時の比重の測定結果を示す。同図は,横軸に焼成温度を,縦軸に焼成比重をとったものである。
また,図2には,本発明品の代表として試料E4を,比較品の代表として試料C13を選択し,これらを温度1140〜1350℃で2時間焼成した時の比重の測定結果を示す。同図も,横軸は焼成温度,縦軸は焼成比重である。
【0034】
上記表1から知られるように,組成式における(a+b)/(c+d+e+f)が1より大きく,かつ正方晶である試料は,平均粒径が3μm以下,圧電定数−d31が140pm/V以上という特性が得られた。
また,機械的品質係数Qmは,全ての試料において500以上という良好な結果となった。
【0035】
また,図1における焼成比重は,比重が高いほど焼結が緻密に行われていることを示している。したがって,同図から知られるように,(a+b)/(c+d+e+f)が1より大きい本発明品(E4,E8)は1200℃で十分に緻密化するが,(a+b)/(c+d+e+f)が1以下の比較品(C10,C12)は1290℃まで焼成温度を上げないと緻密化しない。
【0036】
ただし,(a+b)/(c+d+e+f)が1.04の試料C1の場合には,到達する比重が低下する傾向を示した。このことから,(a+b)/(c+d+e+f)は1.04未満である必要があることがわかる。
また,図2からは,本発明品(E4)は1140℃以下の低温でも十分な緻密化が可能であることがわかる。これに対し,比較品(C13)は,本発明品に適した焼成温度(1140〜1200℃)では,非常に低い緻密化しかなされないことがわかる。
【0037】
実施形態例2
本例においては,実施形態例1における本発明品E4(表1)と同じ組成物を実施形態例1と同じ工程で造粒品とした後,100MPaの圧力で金型プレス成形し,外径φ80mm,内径φ50mm,厚さ20mmの成形体を得た。
次いで,この成形体を大気中700℃で2時間の脱脂を行った後,アルミナの容器に入れて密閉し,1200℃で2時間の焼成を行った。
【0038】
得られた焼結体の内周を研削加工した後,スライス,ラップ加工し,外径φ60mm,内径φ45mm,厚さ0.5mmのリングを作製した。さらに,このリングを長さ15mmに切断し強度測定用試料とした。
また,同様に表1に示す比較品C12の組成物を1290℃で2時間の焼成を行い,上記と同様のサイズの強度測定用試料を作製した。
【0039】
次に,これらの試料を各々15個用い(n=15),支点間距離10mmの3点曲げ破壊試験を実施した。
その結果,本発明品E4は平均強度131MPa,比較品C8は127MPaであり,両者とも超音波モータとして好ましい100MPa以上の値となった。
従って,本発明品は従来品と同等の初期強度を有することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,圧電磁器組成物の焼成温度と焼成比重との関係を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,圧電磁器組成物の焼成温度と焼成比重との関係を示す説明図。
【符号の説明】
E4,E8...本発明品,
C1,C10,C12,C13...比較品,
Claims (3)
- 一般式PbaSrb(ZrcTidSbeMnf)O3により表され,かつ正方晶のペロブスカイト構造を有する超音波モータ用の圧電磁器組成物であって,
Pb,SrをAサイト,Zr,Ti,Mn,SbをBサイトとみなした場合に,AサイトとBサイトのモル比M=(a+b)/(c+d+e+f)が,1.0<M≦1.03であり,
かつ,0.03≦e≦0.05であることを特徴とする圧電磁器組成物。 - 請求項1において,上記圧電磁器組成物は,その平均結晶粒径が1〜3μm,平均曲げ強度が100MPa以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1又は2において,上記圧電磁器組成物は,圧電定数−d31が140pm/V以上であり,かつ,機械的品質係数Qmが500以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
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