JP4841049B2 - 積層型圧電素子及び圧電トランス - Google Patents

積層型圧電素子及び圧電トランス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部電極と圧電体とを交互に積層してなり、内部電極と圧電体が同時焼成される積層型圧電素子および圧電トランスに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、内部電極と圧電体とを交互に積層した、同時焼成型の積層型圧電素子としては、圧電トランス、圧電アクチュエータ、セラミック共振子あるいはセラミックフィルタ等が広く知られている。
【0003】
この中でも、圧電トランスは、従来から用いられている電磁トランスと比較した場合、(1)巻線を一切用いないので発煙や発火の可能性が少ない、(2)発生する磁界の受渡しにより電力の伝達を行う電磁トランスに対し、機械振動を媒介として正逆の圧電効果により電力の伝達を行うため電磁ノイズの発生がない、(3)弾性的損失が少ない材料を選定することで変換効率の向上が可能である、(4)エネルギー密度の点で弾性エネルギーは磁気エネルギーに比べ1桁以上高い、という特徴があり、近年における電源の小型化や集積化において注目され、一部商品化されている。
【0004】
図3は、圧電トランスとして広く知られているローゼン型圧電トランスを示すもので、板状の圧電磁器2における、図中左半分の上下面に入力電極4、5が形成され、右側端面には出力電極3が形成されている。圧電磁器2は図中左側半分が厚さ方向に分極され、図中右側半分が長さ方向に分極されている。圧電磁器2のうち厚さ方向に分極された部分と入力電極4、5とで電圧入力部2aが構成され、圧電磁器2のうち長さ方向に分極された部分と出力電極3とで電圧出力部2bが構成されている。入力電極4、5間に交流電圧を印加すると、出力電極3から昇圧された電圧が取り出される。
【0005】
このようなローゼン型圧電トランスでは、電圧入力部2aを複数の圧電体と内部電極とからなる積層構造とすることで、昇圧比を高めることが行われている。
【0006】
このように所望の昇圧比又は降圧比を得るためには、積層構造の圧電トランスが必要であり、従来、作製の容易さから、内部電極と圧電体を同時に焼成することが行われている。
【0007】
圧電トランスに用いる圧電磁器には、ハイパワー駆動時に発熱が多くなり、それにより変換効率が低下し、また、昇圧比又は降圧比の低下が生じてしまうため、電気機械結合係数(k31)が大きく、かつ機械的品質係数(Qm)が大きいことが要求される。
【0008】
このような材料系として、Pb(Ti、Zr)O3のBサイトを(Nb1/2Sb1/2)で置換し、0.01〜2.0重量%のMnO2を含有するものや、Pb(Ti、Zr)O3のBサイトを(Sb、Mn)で置換したものが知られている。特に、Pb(Ti、Zr)O3のBサイトを、(Nb2/3Mn1/3)と(Nb1/2Sb1/2)で置換した圧電材料は、電気機械結合係数や機械的品質係数が高い上、抗電界が高く、キュリー温度も高いためハイパワー用磁器材料として有望な組成系であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した圧電材料は、通常、その焼結温度が1260℃以上と高温のため、この圧電材料と同時焼成する電極材料としては、例えばAg/Pd比率が30/70〜40/60となってしまい、Pd含有量が内部電極の全金属量のうち60重量%以上と多く、コストなどの点で不利であるという問題があった。
【0010】
PZTを主成分とする圧電磁器の焼成温度の低温化については、特開平10―231169号公報に記載されているようにMoO3を添加したりすることなどが提案されているが、MoO3の単独添加では液相を形成し粒界拡散により磁器の焼結が促進されるため、一次原料におけるMoO3の分散状態によって磁器粒径の急激な粒成長が起こってしまい、圧電磁器の機械的強度の低下を招いてしまうという問題があった。また、機械的強度が小さい圧電磁器により圧電トランスを形成した場合、共振駆動させた際に強度不足のため破損してしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、電極と圧電体を低温で同時焼成することができるとともに、低温焼成しても、機械的強度が高く、高い出力電力と高い効率が得られる積層型圧電素子及び圧電トランスを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電素子は、内部電極と圧電体とを積層してなり、前記内部電極と前記圧電体が同時焼成される積層型圧電素子であって、前記内部電極がAgを主成分とし、前記内部電極中の全金属中のAg含有量が70重量%以上であるとともに、前記圧電体が、組成式を、Pb[(Nb1/2Sb1/2a(Nb2/3Mn1/3b(Me1/3Fe2/3c(TidZr1-d1-a b c]O3と表したとき、0.01≦a≦0.04、0.03≦b≦0.08、0.01≦c≦0.04、0.48≦d≦0.60、MeはW及び/又はMoを満足することを特徴とする。
【0013】
このような積層型圧電素子では、圧電体を構成する圧電材料を、1100℃以下で焼成することができ、かつ、1100℃以下で焼成しても十分に緻密化できるため、強度を向上できるとともに、圧電トランスとして用いた場合に、高い磁器密度を有しているため、電気機械結合係数や機械的品質係数が高くなり、高い出力電力、高い効率を得ることができる。
【0014】
また、1100℃以下で焼成できるため、内部電極としてAgと貴金属を用いた場合、Ag含有量を増加して貴金属含有量を低減でき、製造コストを大幅に低減できる。
【0015】
又、本発明では、圧電体を構成するペロブスカイト型結晶粒子の結晶構造が正方晶であり、前記ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.7〜2.0μmであることが望ましい。ペロブスカイト型結晶粒子の結晶構造を正方晶とすることにより強度を向上でき、また、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.7〜2.0μmと小さくすることにより、さらに強度を向上できる。これにより、80MPa以上の磁器強度を有することができる。
【0016】
本発明の圧電トランスは、主面が長方形状の請求項1又は2記載の積層型圧電素子の長さ方向に、電圧入力部、電圧出力部が交互に形成されており、前記電圧入力部に入力側電極、前記電圧出力部に出力側電極がそれぞれ設けられているものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の積層型圧電素子は、圧電体が、組成式を、Pb[(Nb1/2Sb1/2a(Nb2/3Mn1/3b(Me1/3Fe2/3c(TidZr1-d1-a b c]O3と表したとき、0.01≦a≦0.04、0.03≦b≦0.08、0.01≦c≦0.04、0.48≦d≦0.60、MeはW及び/又はMoを満足するものである。
【0018】
ここで、Pb(Ti、Zr)O3のBサイトを置換する(Nb1/2Sb1/2)は、機械的強度を向上させ、圧電トランス用として用いた場合、効率を向上させる効果があるが、(Nb1/2Sb1/2)によるBサイトの置換量aが0.01未満では機械的強度向上効果、効率向上効果が見られず、aが0.04より大きいと、焼成温度が1100℃を越えてしまい、内部電極中のPd等の貴金属が多くなり、Ag含有量が少なくなるからである。(Nb1/2Sb1/2)によるBサイトの置換量aは、低温焼成、及び機械的強度向上、効率向上という点から、0.02〜0.03であることが望ましい。
【0019】
また、Bサイトを置換する(Nb2/3Mn1/3)は、圧電トランスとして用いた場合に、出力電力を向上させる効果があるが、(Nb2/3Mn1/3)によるBサイトの置換量bが0.03未満であれば、出力電力向上効果がなく、bが0.06を超えると、焼結不良を起こし磁器の機械的強度が低下する。(Nb2/3Mn1/3)によるBサイトの置換量bは、出力電力を向上し、焼結性を向上するという点から、0.05〜0.07であることが望ましい。
【0020】
また、Bサイトを置換する(Me1/3Fe2/3)は、低温焼成化に効果的であるが、(Me1/3Fe2/3)によるBサイトの置換量cが0.01未満では、1100℃以下に低温焼成化できず、0.04を超えると磁器の粗大粒成長を引き起こし、磁器の機械的強度が低下する。(Me1/3Fe2/3)によるBサイトの置換量cは、低温焼成及び機械的強度向上という点から、0.02〜0.03であることが望ましい。ここで、MeはMo及び/又はWであるが、特には、(Mo0.50.5)であることが望ましい。さらに、この場合のBサイト置換量cは、0.025〜0.035であることが望ましい。
【0021】
さらに、BサイトのTi/(Ti+Zr)比は、圧電トランスとして用いた場合の出力電力、効率、機械的強度に影響を及ぼすが、Ti/(Ti+Zr)比を示すdが0.48未満である場合、組成相境界(MPB)近傍で結晶構造が菱面体晶となるため機械的強度が低下し、dが0.60を超えた場合、出力電力が低下する。Ti/(Ti+Zr)比を示すdは、機械的強度、出力電力を向上するという点から、0.50〜0.55であることが望ましい。
【0022】
圧電体を構成するペロブスカイト型結晶粒子の結晶構造は正方晶であり、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径は0.7〜2μmであることが望ましい。ペロブスカイト型結晶粒子の結晶構造を正方晶とすることにより強度を向上でき、また、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.7〜2μmと小さくすることにより、さらに強度を向上できる。これにより、磁器強度を80MPa以上にすることができる。
【0023】
このような圧電材料では、1100℃以下で焼成でき、このような低温で焼成しても十分に緻密化でき、機械的強度を向上でき、圧電トランスとして用いた場合に、出力電力及び効率を向上できる。1100℃以下で焼成しても良好な特性を維持できるため、内部電極として、全金属中のAg含有量を70重量%以上とすることができ、高価なPt等の貴金属使用量を低減できる。
【0024】
本発明の積層型圧電素子を圧電トランスとして用いた場合を、図1に示す。圧電トランスは、主面が長さL、幅Wの長方形状の圧電基板21に、その長さ方向に、第1電圧入力部A、電圧出力部B、第2電圧入力部Cが順次形成されている。
【0025】
これらの第1電圧入力部A、電圧出力部B、第2電圧入力部Cにおける圧電基板21の上側の主面には、入力側電極22a、出力側電極24a、入力側電極23aがそれぞれ形成されており、これらの電極22a、23a、24aは、圧電基板21の長さ方向に所定間隔を置いて形成されている。また、圧電基板21の下側の主面には、入力側電極22b、出力側電極24h、入力側電極23bが、圧電基板21の長さ方向に所定間隔を置いてそれぞれ形成されている。
【0026】
電圧出力部B2における圧電基板21の内部には、出力側電極24b〜24gが形成されている。出力側電極24a〜24hは同一寸法とされ、入力側電極23a、23bは同一寸法とされている。入力側電極22a、23a、出力側電極24aが圧電基板21の上側の主面において同一平面上に設けられ、入力側電極22b、23b、出力側電極24hが圧電基板21の下側の主面において同一平面上に設けられている。尚、図1の出力側電極については一部のみ符号を付した。
出力側電極24a〜24hは一対の外部電極25b1、25b2により交互に接続されている。
【0027】
そして、本発明の圧電トランスは、圧電体の間に出力側電極24b〜24gを介装して構成されており、出力側電極24b〜24gがAgとPdからなり、AgとPdの合量に対するAg量が70重量%以上とされ、圧電体が、上記組成から構成されている。
【0028】
このような圧電トランスは、先ず、圧電体を形成するグリーンシートを作製する。出発原料として、PbO、TiO2、ZrO2、Nb25、Sb23、MnO2、WO3、MoO3、Fe23の各粉末を所定の割合で秤量し、湿式混合する。所定の時間混合した後スラリーを排出し、乾燥後整粒を行い、Al23製坩堝等に投入し、800〜950の温度で3〜5時間仮焼し、仮焼粉を得る。
【0029】
この粉末を所定の粉体粒径となるよう湿式粉砕し、乾燥後整粒を行い粉砕粉体を得る。得られた粉砕物にバインダー、可塑剤を添加し、有機溶剤中に分散させスラリーを作製する。得られたスラリーを用いてドクターブレード法により厚み100〜180μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0030】
このグリーンシートの片面に、所定の比率で配合されたAg/Pdペーストを所定の形状となるようスクリーン印刷する。印刷されたグリーンシートを積層し、これを熱間プレス等により圧着し一体化させ、400〜500℃で加熱により脱脂を行った後、1000〜1100℃の温度で2〜6時間焼成することによって積層体磁器を得る。
【0031】
この積層体磁器の両主面に銀とガラスを主成分とする電極ペーストをスクリーン印刷して焼き付けたり、蒸着後所望の形状にエッチングしたりして、表面の入力側電極、出力側電極を形成し、また、積層体の側面に導電性ペーストを塗布して内部電極との接続を行い、外部電極を形成する。
【0032】
次に、得られた積層体の両主面に形成された入力側電極及び出力側電極に、それぞれ80〜200℃の絶縁性オイル中で1.0〜3.0kV/mmの直流電界を10〜60min印加し分極処理を行い、圧電トランスを得る。
【0033】
また、本発明の圧電トランスの圧電磁器においては、原料粉末などに微少量含まれるRbやHf、Si、Al、積層体の内部電極から磁器内部に拡散するAgなどの不可避不純物が混入したり、共振周波数の温度安定性を向上させるために、PbのサイトをBa、Sr等のアルカリ土類金属若しくはLa、Nd等の希土類金属で4モル%以下置換したりする場合があるが、特性に影響のない範囲であれば何ら差し支えない。
【0034】
以上のように構成された圧電トランスは、1100℃以下の焼成温度において、圧電磁器自体が高強度となり、緻密体であるため圧電定数が向上し、出力電力及び変換効率を向上でき、優れた電気的特性と高い機械的強度を同時に得ることができる。
【0035】
尚、本発明では、液相を形成し易いWやMoは、単独で添加するのではなく、所定のFeを加えて合成し、Pb(Me1/3Fe2/3)O3等の複合化合物としてBサイトへ置換することが、液相形成を抑制するという点から、望ましいが、素原料を秤量してボールミル等で混合する際、的確なスラリー条件を設定することでWやMoの酸化物が均一に分散されていれば良い。
【0036】
【実施例】
実施例1
まず、出発原料として、Pb34、ZrO2、TiO2、Sb23、Nb25及びMnO2、MoO3,WO3、Fe23を用意し、Pb[(Nb1/2Sb1/2a(Nb2/3Mn1/3b(Me1/3Fe2/3c(TidZr1-d1-a b c]O3と表したとき、a、b、c、d、Meが表1を満足するように、上記原料を秤量し、24時間湿式混合した。
尚、表1中ではMeの構成がMe=Mo0.50.5の場合、50モル%Mo,50モル%W、Me=Mo0.250.75の場合、25モル%Mo,75モル%Wのように表記した。
【0037】
次いで、上述の各混合物を、それぞれ、排出、乾燥して、950℃の温度で3時間、仮焼した。当該仮焼物を再びボールミルで粉砕し、D50が0.7μm,D90が1.3μmの粒度分布で、比表面積が2.0cm2/gを有する粉砕粉体を得た。
【0038】
得られた粉砕粉体にバインダー、可塑剤を添加し、有機溶剤中に分散させスラリーを作製する。得られたスラリーを用いてドクターブレード法により厚み180μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0039】
このグリーンシートの片面に、配合比70/30のAg/Pdペースト(Ag含有量が70重量%)を図1に示す出力側電極の位置にスクリーン印刷した。Ag/Pdペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、これを熱間プレスにより圧着し一体化させ、400〜500℃で加熱により脱脂を行った後、1100℃の温度で3時間焼成することによって積層体磁器を得た。得られた積層体磁器の嵩密度をアルキメデス法により求めた。
【0040】
続いて、得られた積層体磁器の両主面に、Agを主成分としガラスフリットを5重量%含有する電極ペーストをスクリーン印刷し、焼き付けて、表面に入力側電極、出力側電極を形成し、積層部分の側面に導電性ペーストを塗布し、焼き付けて内部の入力側電極、出力側電極との接続を行い、外部電極を形成し、図1に示したような圧電トランスを作製した。作製した圧電トランスの形状は、長さ42mm×幅33mm×厚み3.0mm、電圧入力部と電圧出力部の間隔は1.2mm、電圧入力部及び電圧出力部の長さはともに13.2mm、電圧出力部の圧電体の総数は7層とした。
【0041】
次に、積層体の両主面に形成された入力側電極、出力側電極に、それぞれ200℃のシリコンオイル中で1.1kV/mmの直流電界を30分印加し分極処理を行い、入力側電極と出力側電極にそれぞれリード線をハンダ付けし、図3に示すような同時焼成型積層圧電トランスを得た。
【0042】
測定回路は、図2に示すように、圧電トランスの第1電圧入力部A、第2電圧入力部C、電圧出力部Bとして、この電圧出力部Bに負荷抵抗RLとして10Ωを接続した。入力電圧として振幅70.7Vの正弦波に70.7Vのオフセット電圧を加えたものを直流電源から増幅器を介して第1電圧入力部A、第2電圧入力部Cの入力側電極に印加した。この時、入力側電極に投入される電流Iin、電圧Vin及び電圧出力部Bの出力側電極から出力される電圧Vout、電流Ioutを測定した。出力電力Pout、変換効率ηは以下の式から算出した。
out=Vout×Iout (単位:W)
η=(Vout×Iout)÷(Vin×Iin)×100 (単位:%)
また、強度試験(3点曲げ強度)を行うため、長さ30mm×幅4mm×厚み3mmになるように加工した。この試験片をJIS(R1601)に従い抗折強度試験を行った。なお、試験片は、上記した内部電極を有する積層体作製工程に従って作製した。また、磁器破断面を電子顕微鏡にて観察し、インターセプト法にてペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径を求めた。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004841049
【0044】
本発明の試料では、1100℃で焼成したにも拘わらず、出力電力Poutが20W以上、効率が80%以上、抗折強度が80MPa以上であり、通常焼成温度より100℃以上低温で焼成しても高い電気特性と高い機械的強度を兼ね備えるものであることが分かる。
【0045】
特に、Me1/3Fe2/3を添加しない比較例の試料No.1の場合、1100℃で焼成しても相対密度が90%で、抗折強度が50MPaであったものが、本発明範囲内である例えば、試料No.4では90MPaと飛躍的に向上することが分かる。また、比較例である試料No.1では出力電力が8Wで効率65%であった電気特性が、試料No.4においては出力電力30W、効率85%に、また試料No.20においては出力電力32W、効率85%に向上した。また、Me部をMoとWで複合置換することで出力電力32.5W、効率90%の電気特性が得られた。
【0046】
一方、本発明の範囲外である試料No.1、2、10では、緻密化が進まず、出力電力及び効率が低く、抗折強度も65MPa以下と低い。また、試料No.6、7、11の場合、圧電定数の向上効果が少なかったり、所定の量を超えた置換で圧電定数の低下を招くことで、出力電力、効率が低いものとなる。さらに、試料No.14では、緻密化が進まず抗折強度が低い。また、試料No.15では、組成相境界近傍で、抗折強度が低く、試料No.19では圧電定数が低く、出力電力が低い。
【0047】
実施例2
まず、Pb34、MoO3,WO3、Fe23をPb{(Mo0.50.51/3Fe2/3}O3の組成になるよう秤量、湿式混合し原料(以下PMWF原料と称する)を作製する。得られたPMWF原料を950℃で3時間仮焼し、PMWF仮焼粉体を得る。得られたPMWF仮焼原料とPb34、ZrO2、TiO2、Sb23、Nb25及びMnO2を以下の組成となるよう秤量し原料を得た。
Pb[(Nb1/2Sb1/20.02(Nb2/3Mn1/30.06{(Mo0.50.51/3Fe2/30.02(Ti0.50Zr0.500.90]O3
圧電トランスの作製及び電気特性の評価、抗折試験等の工程条件、試料寸法等は実施例1に従った。
【0048】
PMWF仮焼原料を用いた場合、磁器密度は7.8g/cm3、磁器粒径は1.5μm、出力電力は33W、効率90%、抗折強度は105MPaであった。
表1の試料No.25と比較して、抗折強度が10%向上した。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の積層型圧電素子は、圧電体を構成する圧電材料を、1100℃以下で焼成することができ、かつ、1100℃以下で焼成しても十分に緻密化できるため、強度を向上できるとともに、圧電トランスとして用いた場合に、高い磁器密度を有しているため、電気機械結合係数や機械的品質係数が高くなり、高い出力電力、高い効率を得ることができるとともに、内部電極材料としてAg含有量を増加でき、安価な圧電トランスを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電トランスを示す斜視図である。
【図2】圧電トランスの測定回路を示す説明図である。
【図3】従来の圧電トランスを示す斜視図である。
【符号の説明】
A、C・・・電圧入力部
B・・・電圧出力部
22a、22b、23a、23b・・・入力側電極
24a〜24h・・・出力側電極

Claims (3)

  1. 内部電極と圧電体とを積層してなり、前記内部電極と前記圧電体が同時焼成される積層型圧電素子であって、前記内部電極がAgを主成分とし、前記内部電極中の全金属中のAg含有量が70重量%以上であるとともに、前記圧電体が、組成式を、Pb[(Nb1/2Sb1/2a(Nb2/3Mn1/3b(Me1/3Fe2/3c(TidZr1-d1-a b c]O3と表したとき、
    0.01≦a≦0.04
    0.03≦b≦0.08
    0.01≦c≦0.04
    0.48≦d≦0.60
    MeはW及び/又はMo
    を満足することを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 圧電体を構成するペロブスカイト型結晶粒子の結晶構造が正方晶であり、前記ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.7〜2μmであることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
  3. 主面が長方形状の請求項1又は2記載の積層型圧電素子の長さ方向に、電圧入力部、電圧出力部が交互に形成されており、前記電圧入力部に入力側電極、前記電圧出力部に出力側電極がそれぞれ設けられていることを特徴とする圧電トランス。
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