JPH11274595A - 圧電セラミックス、積層型圧電セラミックス振動子およびその製造方法 - Google Patents

圧電セラミックス、積層型圧電セラミックス振動子およびその製造方法

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JPH11274595A
JPH11274595A JP7374498A JP7374498A JPH11274595A JP H11274595 A JPH11274595 A JP H11274595A JP 7374498 A JP7374498 A JP 7374498A JP 7374498 A JP7374498 A JP 7374498A JP H11274595 A JPH11274595 A JP H11274595A
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piezoelectric ceramic
laminated
composition
sintering
less
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JP7374498A
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Junichi Watanabe
渡辺  純一
Hiromi Kikuchi
広実 菊池
Hideko Fukushima
英子 福島
Shigeru Sadamura
茂 定村
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/40Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and electrical output, e.g. functioning as transformers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/85Piezoelectric or electrostrictive active materials
    • H10N30/853Ceramic compositions

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼結温度が1100℃前後以下で、結晶組織
が微細かつ均一で、圧電特性や機械的強度に優れた積層
型圧電セラミックス素子と、これに用いるのに適した圧
電セラミックスおよび積層型圧電セラミックス振動子の
製造方法を提供する。 【解決手段】 鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属の
酸化物を主成分とする組成物を焼結した圧電セラミック
スでFeとAgとを含有し、その断面観察像における見
かけの結晶組織の平均結晶粒径が1μm以下であって、
かつ見かけの結晶組織の80面積%以上が1μm以下の
結晶粒径の結晶粒で構成した圧電セラミックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクチュエータや冷
陰極管点灯回路用、小型液晶ディスプレーのバックライ
ト点灯用のインバータ回路部品である積層型圧電トラン
スなどの積層型圧電セラミックス素子と、これに用いる
のに適した圧電セラミックスおよびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶デイスプレイにあっては液
晶自体は発光しないことから液晶表示体の背面や側面に
冷陰極管等の放電管を配置するバックライト方式が主流
となっている。この放電管を駆動するためには、使用す
る放電管の長さや直径にもよるが、通常、数百ボルト以
上の交流の高電圧が要求される。この交流の高電圧を発
生させる方法として圧電トランスを用いたインバータが
特開平5−114492号公報に開示されている。
【0003】圧電トランスは、巻線が不要なことから構
造が非常に簡単となり、小型化、薄型化、低コスト化が
可能である。この圧電トランスの構造と特徴は、例えば
学献社発行の専門誌「エレクトロセラミックス」197
1年7月号の「圧電トランスの特性とその応用」に示さ
れている。
【0004】最も一般的な圧電トランスの構成と動作を
図1を用いて以下に説明する。図1に示すものは195
6年に米国のC.A.Rosenが発表したローゼン型
圧電トランスの説明用模式図である。斜線を施した部分
は特に電極部であることを示す。
【0005】図中の1は例えばPbTiO3−PbZr
3(PZT)の圧電セラミックスである。この圧電ト
ランスの図中左半分の上下面には例えば銀焼き付けによ
り設けられた一対の入力電圧3、4を形成し、右側端面
にも同様の方法で出力電極5を形成する。そして圧電ト
ランスの左半分の駆動部は厚み方向に、右半分の発電部
は長さ方向にそれぞれ矢印に示すように分極処理を施
す。
【0006】上述の圧電トランスの入力電極3、4間
に、圧電セラミックス1の長さ方向の共振周波数と略同
じ周波数の交流電圧を印加するとこの圧電セラミックス
1は長さ方向に強い機械振動を生じ、これにより右半分
の発電部では圧電効果により電荷を生じ、出力電極5と
入力電極の一方、例えば入力電極4との間に出力電圧V
oが生じる。
【0007】上記の構成の圧電トランスで得られる昇圧
比(Vo/Vi)(ここでViは、入力電圧)は、
(1)式のように表される。 (Vo/Vi)=A・k31・k33・QM・L/T (1)式 ここで、k31:横効果の電気機械結合係数、k33:縦効
果の電気機械結合係数、QM:機械的品質係数、L:圧
電トランスの長さ、T:圧電トランスの厚さ、A:定数
である。k31、k33、QMは圧電材料により決定される
材料定数であり、L、Tは素子の寸法形状により決定さ
れる。
【0008】前述のバックライト用に使用される圧電ト
ランスは数100ボルト以上の高い交流高電圧が要求さ
れるため、高い昇圧比が必要とされる。そのためには、
(1)式からわかるように圧電トランス形状の厚さTを
薄くするか、長さLを大きくすることが有効であるが、
実装、素子強度の面から、とりうる値には自ずと限界が
あった。
【0009】このような問題点を解決する方法として薄
手の圧電セラミックスを積層し、駆動部側を並列接続す
るような積層型の圧電トランスが例えば特開平07−3
02938号公報に開示されている。このような駆動部
側が積層された積層型圧電トランスの説明用模式図を図
2に示す。なお、斜線を施した部分は特に電極部である
ことを示す。ここで駆動部は、圧電セラミックス1と内
部電極2が交互に積層され、並列に接続された構造とな
っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述の薄手の圧電セラ
ミックス1と内部電極2とを交互に積層した積層型圧電
トランスは、一般的には積層セラミックコンデンサと同
様の製造方法により製造される。すなわち、鉛、ジルコ
ニウム、チタンなどの金属酸化物を主成分とする組成物
からなる仮焼原料粉をシート状に形成し、その表面に内
部電極2となる貴金属ペーストを、例えばスクリーンで
印刷した後、その何枚かを積層、圧着し一体化して、そ
の後焼結される。
【0011】このような積層型圧電トランスの内部電極
2に使用される貴金属は、圧電セラミックスの焼結温度
で酸化されず、かつ溶解しないことが必要であるととも
に工業的に安価であることが望ましく、積層型圧電トラ
ンスにおいても積層セラミックコンデンサと同様に、A
g・Pd合金を内部電極材料として用いるのが一般的で
ある。このAg・Pd合金はPdの融点が1554℃と
高いので、Pdの比率が高い程高温での焼結に耐える一
方、Pdは焼結途中で酸化還元により体積変化し易いと
いう性質から、Pdの比率が高すぎると焼結途中でセラ
ミック素子との剥離(デラミネーション)を発生し易い
という不具合があった。一方、Pdの比率を抑えると融
点が下がるので、必然的に圧電セラミックスの焼結温度
も下げなくてはならない。積層セラミックコンデンサで
は、内部電極材料としてもっぱら重量%の比でAg:P
d=70:30の合金を使用するが、これを積層型圧電
トランスに用いるには、圧電セラミックスを1100℃
前後の温度で焼結しなければならない。しかしながら従
来の圧電セラミックスは、その焼結温度が1250℃前
後であり、従来1100℃前後の温度で焼結可能な圧電
セラミックスはなかった。
【0012】また、従来の圧電セラミックスを用い、内
部電極をAg・Pd合金とした積層体を大気中1100
℃で焼結したところ、内部電極の焼結促進作用によっ
て、圧電セラミックスだけを焼結する場合よりも100
℃も低温で焼結可能であり、圧電特性に優れた積層型圧
電セラミックス振動子を得たとの報告がある(Jpn.J.Ap
pl.Phys.Vol34(1995)p5270-5272)。しかしながら、得ら
れた積層型圧電セラミックス振動子の圧電セラミックス
は、内部電極近傍では結晶が粗大化し、内部電極から離
れた部分では緻密化が不十分で結晶粒径も小さいとうい
う著しく不均一な結晶組織であった。
【0013】このように圧電セラミックスの結晶組織が
不均一であると、結晶粒子間に空孔やクラックが発生し
易く機械的強度が弱くなる。また機械的強度は圧電セラ
ミックスの結晶粒径に依存し結晶粒径に反比例するの
で、内部電極近傍の圧電セラミックスは、内部電極から
離れた部分の圧電セラミックスと比較し脆弱で破壊し易
い。このような従来の圧電セラミックスからなる積層型
圧電セラミックス振動子は、入力電圧を高くするに従
い、内部損失の増加による発熱や昇圧比の低下を招いた
り、分極時や駆動時に機械的破壊を生じるなど実用に耐
えないものであった。
【0014】本発明は上述の問題点を解決するためにな
されたもので、焼結温度が1100℃前後以下であり、
圧電セラミックスの結晶組織が微細かつ均一で、圧電特
性や機械的強度に優れた圧電セラミックスと、これを用
いた積層型圧電セラミックス振動子および製造方法を提
供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め鋭意研究の結果、発明者らは著しく構成を改善した圧
電セラミックス、積層型圧電セラミックス振動子および
製造方法に想到したものである。すなわち第1の発明
は、鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属の酸化物を主
成分とする組成物を焼結した圧電セラミックスであっ
て、当該圧電セラミックスにFeとAgを含有し、該圧
電セラミックスの断面観察像における見かけの結晶組織
の平均結晶粒径が1μm以下であって、かつ見かけの結
晶組織の80面積%以上が1μm以下の結晶粒径の結晶
粒で構成した圧電セラミックスである。
【0016】また第1の発明において、圧電セラミック
スを一般式(Pb1-yy)(ZrzTi1-z)O3(ただ
しMは、Sr、Ba、Caの群からなる少なくとも1
種、かつ0.01≦y≦0.10、0.51≦z≦0.
56)で表される主成分組成に、FeをFe23に換算
して0.05〜1.0重量%含有するとともに、Agを
10〜1000ppm含有する組成とし、空孔率が3%
未満で、前記組成物に占めるPb量を圧電セラミックス
のPbの含有量に対し0.05重量%以上0.3重量%
以下で過剰としている。
【0017】第2の発明は、鉛、ジルコニウム、チタン
などの金属酸化物を主成分とする組成物からなるグリー
ンシートを積層した第1の部分と銀を主成分とする導体
層を前記グリーンシート上に形成したシートを積層した
第2の部分からなる積層体を焼結して形成した積層型圧
電セラミックス振動子であって、前記組成物を焼結した
圧電セラミックスにAgが含有し、該圧電セラミックス
の断面観察像における見かけの結晶組織の平均結晶粒径
が1μm以下であって、かつ見かけの結晶組織の80面
積%以上が1μm以下の結晶粒径の結晶粒で構成した積
層型圧電セラミックス振動子である。
【0018】また第2の発明において、圧電セラミック
スを一般式(Pb1-yy)(ZrzTi1-z)O3(ただ
しMは、Sr、Ba、Caの群からなる少なくとも1
種、かつ0.01≦y≦0.10、0.51≦z≦0.
56)に、FeをFe23に換算して0.05〜1.0
重量%含有するとともにAgを10〜1000ppm含
有する組成とし、内部電極としてAg・Pd合金を使用
し、その配合比(Ag:Pd)を(60:40)〜(8
0:20)としている。
【0019】第3の発明は、鉛、ジルコニウム、チタン
などの金属酸化物を主成分とする組成物からなるグリー
ンシートを積層した第1の部分と銀を主成分とする導体
層を前記グリーンシート上に形成したシートを積層した
第2の部分からなる積層体を焼結して形成する積層型圧
電セラミックス振動子の製造方法であって、前記組成物
が鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属酸化物を主成分
とする仮焼粉と鉄の酸化物粉からなり、仮焼粉と鉄の酸
化物粉の粒度を1μm未満とする積層型圧電セラミック
ス振動子の製造方法である。
【0020】第4の発明は、前記組成物を鉛、ジルコニ
ウム、チタンなどの金属酸化物を主成分とする仮焼粉と
鉄の酸化物粉と銀の粉末とし、仮焼粉と鉄の酸化物粉の
粒度を1μm未満とする積層型圧電セラミックス振動子
の製造方法である。また第3又は第4の発明において、
焼結における炉内酸素濃度を1%以上としている
【0021】
【発明の実施の形態】本願発明者らは、Ag・Pd合金
の圧電セラミックス焼結促進効果について鋭意研究の結
果、Ag・Pd合金中の特にAgが圧電セラミックスの
焼結促進に寄与すること、積層型圧電セラミックス振動
子においては内部電極に含有するAgと圧電セラミック
スの主組成物Pbとの共融反応によって、実際の融点よ
りも低い温度でAgが液相化し、圧電セラミックスへ拡
散していると知見した。さらに検討を行うなかでAgの
拡散量は前記組成物中のPb量に加え、焼結雰囲気、内
部電極のAg含有量に依存することを見出した。
【0022】前記組成物中のPbはAgの拡散に寄与
し、Agの拡散量はPb量とほぼ線形の正の相関を有す
る。ここで組成物に占めるPb量を、圧電セラミックス
が一般式(Pb1-yy)(ZrzTi1-z)O3(ただし
Mは、Sr、Ba、Caの群からなる少なくとも1種、
かつ0.01≦y≦0.10、0.51≦z≦0.5
6)で表される主成分組成に対し、0.05重量%以上
0.3重量%以下過剰に添加することが好ましい。Pb
量をこのように過剰とすることで、焼結時に飛散し消失
するPbを補填し化学量論的にPbが不足することなく
十分な焼結性が得られる。化学量論的に過剰に添加する
Pb量が0.05重量%未満であると十分な焼結性が得
られず、0.3重量%超であると圧電トランスとしたと
きに昇圧比が低下する。
【0023】また種々検討を行う中で、内部電極から圧
電セラミックス中へ拡散するAgの拡散量は、内部電極
のAg含有量と正の相関を有するとともに、焼結雰囲気
すなわち焼結時の炉内酸素濃度にもほぼ線形の正の相関
があることが判明した。ここで内部電極のAgの含有量
は、(Ag:Pd)比で(80:20)〜(60:4
0)とするのが好ましい。(Ag:Pd)比が(80:
20)超であると圧電セラミックス中のAg含有量が1
000ppmを超え、絶縁抵抗が著しく低下するので好
ましくない。また(60:40)未満では1100℃前
後の温度ではPdの酸化還元反応によりデラミネーショ
ンが生じやすくなる。また圧電セラミックスと内部電極
との濡れ性を損なうことがなくデラミネーションの発生
を無くするためには、炉内酸素濃度を1%以上とするこ
とが好ましい。
【0024】従来の圧電セラミックスでは、内部電極か
らのAg拡散によって圧電セラミックス中にAgが偏在
する。このため内部電極近傍の圧電セラミックスは結晶
が著しく粒成長する一方、内部電極から離れた部分では
焼結が不十分で粒成長が不足し、その結晶組織は極めて
不均一なものであった。しかしながら本願発明者らはA
gの偏析について鋭意研究するなかで、添加物として特
にFeがAgの偏析に対して抑制効果があり、粒成長抑
制に有効であることを見出した。さらに前記組成物を
鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属酸化物を主成分と
した仮焼粉に、鉄の酸化物粉を添加した組成とし、粒度
を1μm未満とした微粉とすることで、圧電セラミック
スの結晶組織が微細かつ均一となることを見出した。ま
た圧電セラミックスにFeを含有させることで、圧電特
性における機械的品質係数QMを高くすることが出来、
FeをFe23に換算して0.05〜1.0重量%相当
含有させることが好ましい。ここでFeの含有量が0.
05重量%未満では含有の効果が不十分であり、1.0
重量%超では焼結性が不足する。
【0025】圧電セラミックスの結晶組織を微細かつ均
一にすれば、結晶粒子間に空孔やクラックが発生し難く
抗折強度が強くなる。しかも長時間連続使用しても破壊
し難い、繰り返し応力下での信頼性の高い積層型圧電セ
ラミックス振動子を得ることができる。ここで微細かつ
均一な結晶組織の圧電セラミックスとは、圧電セラミッ
クスの断面観察像における見かけの結晶組織が、平均結
晶粒径1μm以下であって、かつ見かけの結晶組織の8
0面積%以上が1μm以下の結晶粒で構成とされる圧電
セラミックスである。
【0026】圧電セラミックスに含有するAgは、化学
量論的に過剰なPbと共に主相結晶の粒界に存在し、圧
電セラミックスの焼結性の向上に寄与し焼結温度を低下
させるが、圧電セラミックス中のAg含有量が1000
ppmを超えると圧電セラミックスの結晶粒界の3重点
にAgやPb、その他の組成分や不可避不純物からなる
第2相を形成し、絶縁抵抗が著しく低下するため分極が
困難となるので好ましくない。またAgの含有量が10
ppm未満では、圧電セラミックスと内部電極との濡れ
性が悪くデラミネーション(層間剥離)が発生するの
で、圧電セラミックスのAgの含有量は、10〜100
0ppmとするのが好ましい。
【0027】また予め前記組成物にAgを混合し添加し
ておいてもよい。なおAgは融点が低く焼結時に蒸発し
減少するので、これを見越した量のAgを圧電セラミッ
クス組成物に適宜混合する。
【0028】前記圧電セラミックス組成物中のPb原子
の1〜10原子%をSr、BaおよびCaの少なくとも
1種で置換すること、とりわけSrで置換することによ
って横効果の電気機械結合係数や縦効果の電気機械結合
係数および機械的品質係数をさらに高くできる。また、
キュリー温度Tcを下げることができるとともに、分極
を容易にすることができる。なお、置換量が10原子%
を超えるとキュリー温度の低下が著しく積層型の圧電ト
ランスにした際の温度安定性が不足する。
【0029】圧電セラミックスの組成中、(Pb
1-yy)(ZrzTi1-z)O3のzのところを0.51
≦z≦0.56の範囲とすることによって、当該圧電磁
器組成物は横効果の電気機械結合係数や縦効果の電気機
械結合係数が改善され、tanδ(損失)が小さくな
り、ひいては昇圧比が高く、変換効率に優れた積層型圧
電トランスを得ることができるものである。
【0030】なお、上記説明においては各組成成分の効
果と特徴を端的に記述したが、これらの組成成分は単独
でかかる効果や特徴を奏するものではなく、本発明の構
成通りの範囲とすることで、各成分の相乗効果によっ
て、焼結温度が1100℃前後以下で、結晶組織が微細
かつ均一で、圧電特性や機械的強度に優れた積層型圧電
セラミックス素子と、これに用いるのに適した圧電セラ
ミックスおよび積層型圧電セラミックス振動子の製造方
法を得る。かかる知見をもとに発明の実施を行った。
【0031】
【実施例】(実施例1)初めに試料の作成方法について
説明する。酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭
酸ストロンチウムを、圧電セラミックスが(Pb0.95
0.05)(Zr0.52Ti0.48)O3の組成となるととも
に、該Pb量に対し酸化鉛が0.05%重量以上0.3
重量%以下で過剰となるように秤量し、湿式ボールミル
で混合した後、これを乾燥し、解砕し、さらに850℃
で2時間仮焼して仮焼粉を作成した。この解砕粉とFe
23を0.7重量%各々秤量の上ボールミルに投入し、
湿式で粉砕した後、この原料を乾燥して仮焼原料粉を作
成した。なお該仮焼原料粉の粒度は1μm以下となるよ
うボールミルでの粉砕時間により適宜調整している。
【0032】さらにこの仮焼原料粉にバインダーとして
PVBを、可塑剤としてBPBGをそれぞれ4重量%添
加し、エチルアルコールを溶媒として、ボールミルにて
24時間混練した。混練後脱泡と粘度調整を行い、ドク
ターブレード法により130ミクロンのグリーンシート
を作製した。その後、スクリーン印刷法により(Ag:
Pd)=(70:30)のペーストを用いてグリーンシ
ート上に内部電極を印刷し、15層を積層、圧着し、所
定形状に切断して成形体とし、この成形体をアルミナも
しくはマグネシアからなる焼成治具に配列し、これを脱
脂後大気中1100℃で2時間焼成した。さらに入出力
電極を印刷し焼付して、140℃、2kV/mmの分極
電界を印加し分極処理を施して25mm×5mm×2m
mの積層型圧電トランスとした。
【0033】なお、本発明に係る積層型圧電トランスの
圧電セラミックス中のAg含有量は焼結体中のAgの含
有量を定量分析して確認することが必要である。本実施
例においては上記定量分析の手法としてICP発光分析
(Inductively Coupled Plasma Emission Spectros
copy)を採用し、発電部の圧電セラミックスを切り出し
て分析した。分析箇所は積層型圧電トランスの発電領域
の長手方向端面から18〜19mmの部位である。また
焼結後の圧電セラミックスの組成についても、前記部位
を測定個所とし分析を行った。
【0034】抗折強度は、前記手順で作製し分極処理を
施した25mm×5mm×2mmの積層型圧電トランス
を試験片とし三点曲げ強度試験により、支点間距離12
mm、加重速度0.1mm/minの条件で積層型圧電
トランスの積層方向から荷重を加え破断点から算出し
た。圧電トランスとして高い昇圧比を得るには大きな変
位に耐えうる強度が必要であり、その抗折強度は10k
gf/mm2以上が望ましく、これを評価の基準値とし
た。
【0035】またDC100Vで積層型圧電トランスの
入力側絶縁抵抗を測定評価した。なお絶縁抵抗は100
MΩ以上が望ましく、これを評価の基準値とした。
【0036】また断面観察像における見かけの結晶組織
の平均結晶粒径および1μm以下の結晶粒径の結晶粒が
単位面積当たりに占める割合(面積%)は、圧電セラミ
ックスの破面を鏡面研磨し、塩酸でエッチングを施して
結晶粒子を見易くしたものを、SEMで5000倍にて
撮影し、このSEM写真からルーゼックス社の画像処理
解析装置ルーゼックスFSを用いて2×3インチの範囲
で結晶粒径を測定し、統計処理することで平均結晶粒径
と粒径の分布を求め評価した。
【0037】(比較例1)まず酸化鉛、酸化チタン、酸
化ジルコニウム、炭酸ストロンチウムを、圧電セラミッ
クスが(Pb0.95Sr0.05)(Zr0.52Ti0.48)O3
の組成となるとともに、該Pb量に対し酸化鉛が0重量
%、0.35重量%過剰となるように秤量した。他は実
施例1と同様なのでその説明を省く。以上によって得た
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1において試料のNo.2〜4は本発明
に係る実施例であり、試料のNo.1、5は比較例であ
って、実施例と区別するために試料番号に()を付し
た。以下、比較例この実施例と比較例とを対比しながら
説明する。表1中のNo.1から5の試料は組成物中の
Pb量を、圧電セラミックスのPb量に対し、0重量%
から0.35重量%過剰とした積層型圧電トランスであ
る。Pb量を0.05重量%から0.3重量%過剰とし
たNo.2から4の試料では、空孔率は1.4〜1.7
%と充分な焼結性が得られ、変換効率は92〜93%と
高い値となり、抗折強度も13.0〜14.1kgf/
mm2と、ともに高く良好な特性を示した。一方Pbを
過剰添加しないNo.1の試料では空孔率が3.2%と
十分な焼結性が得られず、機械的強度が劣化した。また
Pb量を0.35重量%過剰としたNo.5の試料では
絶縁抵抗が劣化した。
【0040】(実施例2)まず圧電セラミックスが、
(Pb1.0-ySry)(Zr0.52Ti0.48)O3でy=
0.01、0.09の組成となるように各出発原料の粉
末である酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸
ストロンチウムを所定量秤量した。他は実施例1と同様
なのでその説明を省く。
【0041】(比較例2)まず圧電セラミックスが、
(Pb1.0-ySry)(Zr0.52Ti0.48)O3でy=
0.11の組成となるように各出発原料の粉末である酸
化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸ストロンチ
ウムを所定量秤量した。他は実施例2と同様なのでその
説明を省く。以上によって得た結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2中のNo.1から4の試料は、Pbの
一部を置換するSrの置換量を1.0から11.0原子
%置換したものであって、置換するSrの置換量が1.
0から9.0原子%であるNo.1〜3の試料では、と
もに良好な変換効率が得られ、その他の諸特性も高く良
好な特性を示した。またキュリー温度(Tc)はそれぞ
れ345〜260℃で、置換量の増加とともに低温度側
にシフトしていることがわかる。一方Srの置換量が1
1.0原子%であるNo.4の試料では、キュリー温度
(Tc)が235℃まで下がり、積層型圧電トランスと
しての高温での信頼性に問題を生じ実用的でない。一
方、Srの置換量が1.0原子%未満では傾向を見る限
り、変換効率が不充分となる。
【0044】(実施例3)まず圧電セラミックスが、
(Pb0.950Sr0.05)(ZrzTi1-z)O3でz=0.
51〜0.56の組成となるように各出発原料の粉末で
ある酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸スト
ロンチウムを所定量秤量した。他は実施例1と同様なの
でその説明を省く。
【0045】(比較例3)まず圧電セラミックスが、
(Pb0.950Sr0.05)(ZrzTi1-z)O3でz=0.
50、0.57の組成となるように各出発原料の粉末で
ある酸化鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭酸スト
ロンチウムを所定量秤量した。他は実施例3と同様なの
でその説明を省く。以上によって得た結果を表3に示
す。
【0046】
【表3】
【0047】表3中のNo.1から5の試料は、圧電セ
ラミックス中のZrを50から57原子%とした積層型
圧電トランスである。Zrが51〜56原子%であるN
o.2、4の試料では、変換効率が高く、その他の諸特
性も良好な特性を示した。一方、Zrが50原子%であ
るNo.1の試料及び、Zrが57原子%であるNo.
5の試料では変換効率が89、88%と劣化し圧電トラ
ンスとして特性が不十分である。
【0048】(実施例4)まず圧電セラミックスが、
(Pb0.950Sr0.05)(Zr0.52Ti0.48)O3の組成
となるように各出発原料の粉末である酸化鉛、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、炭酸ストロンチウムを所定量秤
量し、湿式ボールミルで混合した後、これを乾燥し、解
砕し、さらに850℃で2時間仮焼して仮焼粉を作成し
た。この解砕粉とFe23を0.1〜0.9重量%各々
秤量の上ボールミルに投入し、湿式で粉砕した後、この
原料を乾燥して仮焼原料粉を作成した。なお該仮焼原料
粉の粒度は1μm以下となるようボールミルでの粉砕時
間により適宜調整している。他は実施例1と同様なので
その説明を省く。
【0049】(比較例4)実施例4と同様の手順で準備
した仮焼粉を湿式で粉砕した後、この原料を乾燥してF
eを含有しない仮焼原料粉を作製した。また同様の手順
で準備したと仮焼粉とFe23とを1.1重量%各々秤
量の上ボールミルに投入し、湿式で粉砕した後、この原
料を乾燥してFeをFe23に換算して1.1重量%含
有する仮焼原料粉を作製した。なお該仮焼原料粉の粒度
は1μm以下となるようボールミルでの粉砕時間により
適宜調整している。他は実施例4と同様なのでその説明
を省く。以上によって得た結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】表4中のNo.1から6の試料は、圧電セ
ラミックス中のFeをFe23に換算して0〜1.1重
量%含有する積層型圧電トランスである。Fe23添加
量が0.1〜0.9重量%であるNo.2〜5の試料で
は良好な変換効率で、その他の諸特性も高く良好な特性
を示した。その結晶組織は平均結晶粒径が0.76μ
m、粒径1μm以下の比率が84%と均一で微細な組織
であった。一方、Fe23を添加しないNo.1の試料
の、断面観察像における見かけの結晶組織は実施例のも
のと比較し粒成長が著しく、平均結晶粒径は3μmであ
った。実施例と比較し約4倍もの平均結晶粒径となり変
換効率及び抗折強度が著しく劣化した。またFe23
加量が1.1wt%のNo.6の試料は、空孔率が3.
1%と大きくなり充分な焼結性が得られず、抗折強度も
劣化した。
【0052】(実施例5)実施例4と同様の手順で作製
した仮焼粉とFe23を0.7重量%各々秤量の上ボー
ルミルに投入し、湿式で粉砕した後、この原料を乾燥し
て仮焼原料粉を作成した。この仮焼原料粉を用い実施例
1と同様の手順で作製した成形体をアルミナもしくはマ
グネシアからなる焼成治具に配列し、これを脱脂後11
00℃で2時間焼成した。焼結は焼結雰囲気を精度よく
制御可能なバッチ炉にて行い、焼結時の炉内酸素濃度を
1〜100%となるようN2で置換することにより適宜
調整している。他は実施例1と同様なのでその説明を省
く。
【0053】(比較例5)成形体をアルミナもしくはマ
グネシアからなる焼成治具に配列し、これを脱脂後11
00℃で2時間焼成した。焼結は焼結雰囲気を精度よく
制御可能なバッチ炉にて行い、焼結雰囲気をN2雰囲気
(炉内酸素濃度0%)としている。他は実施例5と同様
なのでその説明を省く。以上によって得た結果を表5に
示す。
【0054】
【表5】
【0055】表5中のNo.1から6の試料は、圧電セ
ラミックスが、(Pb0.95Sr0.05)(Zr0.52Ti
0.48)O3にFeをFe23に換算して0.7重量%含
有する組成となるようにした組成物を炉内酸素濃度0〜
100%で焼結した積層型圧電トランスである。焼結時
の炉内酸素濃度が1〜100%であるNo.2から6の
試料は、空孔率が1.6〜2.4%と十分な焼結性が得
られ、その他の諸特性も高く良好な特性を示した。一方
炉内酸素濃度が0%(N2で全置換)であるNo.1の
試料は、デラミネーションが発生し評価することが出来
なかった。また、圧電セラミックス中のAgの含有量は
炉内酸素濃度が0〜100%と増すにつれ3〜560p
pmと増加した。
【0056】(実施例6)まず圧電セミックスが、(P
0.950Sr0.05)(Zr0.52Ti0.48)O3の組成とな
るように各出発原料の粉末である酸化鉛、酸化チタン、
酸化ジルコニウム、炭酸ストロンチウムを所定量秤量
し、湿式ボールミルで混合した後、これを乾燥し、解砕
し、さらに850℃で2時間仮焼して仮焼粉を作成し
た。この解砕粉とFe23を0.7重量%各々秤量の上
ボールミルに投入し、湿式で粉砕した後、この原料を乾
燥して仮焼原料粉を作成した。なお該仮焼原料粉の粒度
は1μm以下となるようボールミルでの粉砕時間により
適宜調整している。他は実施例1と同様なのでその説明
を省く。
【0057】(比較例6)実施例6と同様の手順で作製
したを仮焼粉とFe23を0.7重量%各々秤量の上ボ
ールミルに投入し、粒度が1μm以上となるようボール
ミルで湿式で粉砕した後、この原料を乾燥して仮焼原料
粉を作成した。また、前記実施例で作製した仮焼原料粉
の粒度が1μm未満の仮焼原料粉と比較例6で作製した
仮焼原料粉の粒度が1μm以上の仮焼原料粉を1:1の
割合で混合した仮焼原料粉も作製した。他は実施例6と
同様なのでその説明を省く。以上によって得た結果を表
6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】表6中のNo.1〜5の試料は、仮焼原料
粉の粒度を0.31〜1.25μmおよび粒度が0.3
1μmの仮焼原料粉と1.25μmの仮焼原料粉とを
1:1の割合で混合した試料である。仮焼原料粉の粒度
が0.31〜0.82μmであるNo1〜3の試料で
は、良好な変換効率で、その他の諸特性も高く良好な特
性を示した。また圧電セラミックスの平均結晶粒径が1
μm以下であるとともに粒径1μm以下の比率が80%
以上であって、空孔率も小さく優れた抗折強度が得られ
た。一方、仮焼原料粉の粒度が1.25μmであるN
o.4の試料は、圧電セラミックスの平均結晶粒径が1
μm超であるとともに粒径1μm以下の比率が20%程
度であって、抗折強度、効率が低く圧電トランスとして
性能が著しく劣る。さらに、粒度1.25μmと0.3
1μmの仮焼原料粉を混合したNo.5の試料では、圧
電セラミックスの平均結晶粒径は1μm以内であるもの
の粒径1μm以下の比率が70%程度であって抗折強度
が著しく低下した。
【0060】(実施例7)実施例6と同様の手順で作製
したグリーンシートに、スクリーン印刷法により(A
g:Pd)が(60:40)〜(80:20)のペース
トを用いてグリーンシート上に内部電極を印刷し、15
層を積層、圧着し、所定形状に切断して成形体とした。
他は実施例1と同様なのでその説明を省く。
【0061】(比較例7)内部電極を(Ag:Pd)が
(50:50)、(90:10)のペーストを用いてい
る。その他は実施例7と同様なのでその説明を省く。以
上によって得た結果を表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】表7中のNo.1〜4の試料は、内部電極
を(Ag:Pd)を(50:50)〜(90:10)な
るAg・Pdペーストで形成し、炉内酸素濃度21%
(大気中)で焼結した積層型圧電トランスである。Ag
含有量はAg・Pdペースト中のAg比率が多くなるに
従い増加する。(Ag:Pd)=(50:50)である
No.1の試料は1050℃の焼結温度では内部電極が
焼結出来ずデラミネーションが発生した。また(Ag:
Pd)=(90:10)の試料では、Ag含有量が10
00ppmを超え絶縁抵抗が著しく劣化し分極が出来な
かった。
【0064】(実施例8)圧電セラミックスが、(Pb
0.950Sr0.05)(Zr0.52Ti0.48)O3の組成となる
ように各出発原料の粉末である酸化鉛、酸化チタン、酸
化ジルコニウム、炭酸ストロンチウムを所定量秤量し、
湿式ボールミルで混合した後、これを乾燥し、解砕し、
さらに850℃で2時間仮焼して仮焼粉を作成した。こ
の解砕粉とFe23を0.7重量%、Ag粉を所定量各
々秤量の上ボールミルに投入し、湿式で粉砕した後、こ
の原料を乾燥してAgを含有する仮焼原料粉を作成し
た。なお該仮焼原料粉において、前記仮焼粉と鉄の酸化
物粉の粒度は1μm以下となるようにしている。他は実
施例1と同様なのでその説明を省く。なお、Agは焼結
時に相当量が蒸発、飛散し、その残量は焼成温度や焼成
雰囲気、焼成時間等によって変わる。従って圧電セラミ
ックス中のAg含有量はAg添加量と一致しない。
【0065】
【表8】
【0066】表8中のNo.1〜2の試料は、圧電セラ
ミックスが(Pb0.950Sr0.05)(Zr0.52
0.48)O3でFeをFe23に換算して0.7重量%
含有するようにした組成物に、さらにAgを0.05w
t%、0.1wt%添加した組成物から得られた試料で
ある。どちらの試料でも圧電セラミックスの結晶組織は
微細かつ均一で、積層型圧電トランスとして優れた特性
が得られた。
【0067】なお、これら実施例においてローゼン型の
積層型圧電トランスについて記載したが、本願発明は特
にこれに限定されるものではなく、積層技術によってな
る他の積層型圧電セラミック振動子においても本発明の
効果が変わらないことは言うまでもない。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、焼
結温度が1100℃前後以下であり、圧電セラミックス
の結晶組織が微細かつ均一で、圧電特性や機械的強度に
優れた積層型圧電セラミックス素子と、これに用いるの
に適した圧電セラミックスおよび積層型圧電セラミック
ス振動子の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローゼン型圧電トランスの構造を説明するため
の斜視図である。
【図2】積層型圧電トランスの構造を説明するための斜
視図である。
【符号の説明】
1 圧電セラミックス 2 内部電極 3、4 入力電極 5 出力電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定村 茂 鳥取県鳥取市南栄町70番地2号日立金属株 式会社鳥取工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属の
    酸化物を主成分とする組成物を焼結した圧電セラミック
    スであって、当該圧電セラミックスにFeとAgを含有
    し、該圧電セラミックスの断面観察像における見かけの
    結晶組織の平均結晶粒径が1μm以下であって、かつ見
    かけの結晶組織の80面積%以上が1μm以下の結晶粒
    径の結晶粒で構成されていることを特徴とする圧電セラ
    ミックス。
  2. 【請求項2】 圧電セラミックスが一般式(Pb
    1-yy)(ZrzTi1-z)O3(ただしMは、Sr、B
    a、Caの群からなる少なくとも1種、かつ0.01≦
    y≦0.10、0.51≦z≦0.56)で表される主
    成分組成に、FeをFe23に換算して0.05〜1.
    0重量%含有するとともにAgを10〜1000ppm
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の圧電セラ
    ミックス。
  3. 【請求項3】 前記組成物に占めるPb量を圧電セラミ
    ックスのPbの含有量に対し、0.05重量%以上0.
    3重量%以下で過剰としたことを特徴とする請求項2に
    記載の圧電セラミックス。
  4. 【請求項4】 圧電セラミックスの空孔率が3%未満で
    あることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載の圧電セラミックス。
  5. 【請求項5】 鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属酸
    化物を主成分とする組成物からなるグリーンシートを積
    層した第1の部分と銀を主成分とする導体層を前記グリ
    ーンシート上に形成したシートを積層した第2の部分か
    らなる積層体を焼結して形成した積層型圧電セラミック
    ス振動子であって、前記組成物を焼結した圧電セラミッ
    クスにFeとAgを含有し、該圧電セラミックスの断面
    観察像における見かけの結晶組織の平均結晶粒径が1μ
    m以下であって、かつ見かけの結晶組織の80面積%以
    上が1μm以下の結晶粒径の結晶粒で構成されているこ
    とを特徴とする積層型圧電セラミックス振動子。
  6. 【請求項6】 圧電セラミックスが一般式(Pb
    1-yy)(ZrzTi1-z)O3(ただしMは、Sr、B
    a、Caの群からなる少なくとも1種、かつ0.01≦
    y≦0.10、0.51≦z≦0.56)に、FeをF
    23に換算して0.05〜1.0重量%含有するとと
    もにAgを10〜1000ppm含有することを特徴と
    する請求項5に記載の積層型圧電セラミックス振動子。
  7. 【請求項7】 銀を主成分とする導体層がAg・Pd合
    金であって、AgとPdとの配合比(Ag:Pd)が
    (60:40)〜(80:20)であることを特徴とす
    る請求項5又は6に記載の積層型圧電セラミックス振動
    子。
  8. 【請求項8】 鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属酸
    化物を主成分とする組成物からなるグリーンシートを積
    層した第1の部分と銀を主成分とする導体層を前記グリ
    ーンシート上に形成したシートを積層した第2の部分か
    らなる積層体を焼結して形成する積層型圧電セラミック
    ス振動子の製造方法であって、前記組成物が鉛、ジルコ
    ニウム、チタンなどの金属酸化物を主成分とする仮焼粉
    と鉄の酸化物粉からなり、仮焼粉と鉄の酸化物粉の粒度
    を1μm未満とすることを特徴とする積層型圧電セラミ
    ックス振動子の製造方法。
  9. 【請求項9】 鉛、ジルコニウム、チタンなどの金属酸
    化物を主成分とする組成物からなるグリーンシートを積
    層した第1の部分と銀を主成分とする導体層を前記グリ
    ーンシート上に形成したシートを積層した第2の部分か
    らなる積層体を焼結して形成する積層型圧電セラミック
    ス振動子の製造方法であって、前記組成物が鉛、ジルコ
    ニウム、チタンなどの金属酸化物を主成分とする仮焼粉
    と鉄の酸化物粉と銀の粉末からなり、仮焼粉と鉄の酸化
    物粉の粒度を1μm未満とすることを特徴とする積層型
    圧電セラミックス振動子の製造方法。
  10. 【請求項10】 焼結における炉内酸素濃度を1%以上
    とすることを特徴とする請求項8又は9に記載の積層型
    圧電セラミックス振動子の製造方法。
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