JP2682357B2 - 圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法およびセラミックス振動子ならびに圧電トランス - Google Patents
圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法およびセラミックス振動子ならびに圧電トランスInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電セラミックスおよ
びセラミックス振動子ならびに圧電トランスに関し、例
えば洗浄機やウェルダー、水中音響機器などのハイパワ
ーを入力する超音波振動子として使用するのに適したセ
ラミックス振動子、ならびに例えば連続着火装置や白黒
テレビ用高圧発生装置などに用いられる高圧電源を得る
のに適した圧電トランスと、これらの素子に用いるのに
適した圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造
方法に関する。
びセラミックス振動子ならびに圧電トランスに関し、例
えば洗浄機やウェルダー、水中音響機器などのハイパワ
ーを入力する超音波振動子として使用するのに適したセ
ラミックス振動子、ならびに例えば連続着火装置や白黒
テレビ用高圧発生装置などに用いられる高圧電源を得る
のに適した圧電トランスと、これらの素子に用いるのに
適した圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電セラミックスは、分極処理により良
好な圧電性を付与できるということ、また、任意の形状
に成形後、焼結するため形状が自由である等の特徴か
ら、テレビ,ビデオ等の振動子や、発振用として、ま
た、洗浄機やウェルダーなどの超音波振動子用に広く使
用され、また、圧電トランスなどの応用が検討されてい
る。
好な圧電性を付与できるということ、また、任意の形状
に成形後、焼結するため形状が自由である等の特徴か
ら、テレビ,ビデオ等の振動子や、発振用として、ま
た、洗浄機やウェルダーなどの超音波振動子用に広く使
用され、また、圧電トランスなどの応用が検討されてい
る。
【0003】この圧電トランスは変圧器に比べて小型・
軽量化が可能で、古くから研究されてきた。代表的な圧
電トランスは長方形の圧電セラミックス板が用いられて
おり、厚み方向に分極された一次側と、長さ方向に分極
された二次側とからなる構造が一般的である。この構造
の圧電トランスに1波長(または1/2波長)共振の共
振周波数の交流電界を加えることにより、低インピーダ
ンスである一次側では電気エネルギが超音波エネルギに
変換され、その後二次側に伝搬されて、高インピーダン
スである二次側に高電圧が発生する。
軽量化が可能で、古くから研究されてきた。代表的な圧
電トランスは長方形の圧電セラミックス板が用いられて
おり、厚み方向に分極された一次側と、長さ方向に分極
された二次側とからなる構造が一般的である。この構造
の圧電トランスに1波長(または1/2波長)共振の共
振周波数の交流電界を加えることにより、低インピーダ
ンスである一次側では電気エネルギが超音波エネルギに
変換され、その後二次側に伝搬されて、高インピーダン
スである二次側に高電圧が発生する。
【0004】また、これらに用いられている圧電セラミ
ックスとしては、図5のSEM写真に示すような圧電セ
ラミックスがある。この結晶粒子径の平均は約5μmの
大きさのものが一般的に用いられている。
ックスとしては、図5のSEM写真に示すような圧電セ
ラミックスがある。この結晶粒子径の平均は約5μmの
大きさのものが一般的に用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、多結晶体で
ある圧電セラミックスは空孔等の欠陥の大小と機械的強
度に相関があることは従来から知られている。また、引
張応力は圧縮応力に比べ約1ケタ小さく、セラミックス
振動子を使用する場合、落下や衝撃により割れやすいの
みならず、ハイパワーで駆動するとその振動の応力で自
己破壊するという問題があった。また、従来の圧電トラ
ンスにおいて、その入力電圧を高くすると大振幅で励振
するため、素子の内部損失の増加による発熱や昇圧比の
低下が起こり、また振動応力による素子の破壊が起こ
り、効率等の電気的な性能劣化のみならず、破壊に到る
という問題があった。
ある圧電セラミックスは空孔等の欠陥の大小と機械的強
度に相関があることは従来から知られている。また、引
張応力は圧縮応力に比べ約1ケタ小さく、セラミックス
振動子を使用する場合、落下や衝撃により割れやすいの
みならず、ハイパワーで駆動するとその振動の応力で自
己破壊するという問題があった。また、従来の圧電トラ
ンスにおいて、その入力電圧を高くすると大振幅で励振
するため、素子の内部損失の増加による発熱や昇圧比の
低下が起こり、また振動応力による素子の破壊が起こ
り、効率等の電気的な性能劣化のみならず、破壊に到る
という問題があった。
【0006】本発明はこの問題を解決するためになされ
たもので、耐衝撃性、耐振動性に優れた高強度の圧電セ
ラミックスおよびその製造方法と、同様に高強度でハイ
パワー駆動によっても自己破壊しにくいセラミックス振
動子及び高入力に対しても発熱が少なく、高昇圧比が得
られ、かつ高入力に伴う高振幅の振動に対しても機械的
強度が大きい圧電トランスを提供することを目的とす
る。
たもので、耐衝撃性、耐振動性に優れた高強度の圧電セ
ラミックスおよびその製造方法と、同様に高強度でハイ
パワー駆動によっても自己破壊しにくいセラミックス振
動子及び高入力に対しても発熱が少なく、高昇圧比が得
られ、かつ高入力に伴う高振幅の振動に対しても機械的
強度が大きい圧電トランスを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ために、本発明の圧電セラミックスは、PbO,ZrO
2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 なる組成の材料粉体を
焼結することにより形成されているとともに、焼結され
た結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下であることによ
って特徴付けられている。
ために、本発明の圧電セラミックスは、PbO,ZrO
2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 なる組成の材料粉体を
焼結することにより形成されているとともに、焼結され
た結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下であることによ
って特徴付けられている。
【0008】また、この圧電セラミックスを製造する方
法は、PbO,ZrO2およびTiO2を混合して仮焼
した後、焼成することにより形成されるとともに、焼結
された結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下であるジル
コン・チタン酸鉛系セラミックスを製造する方法におい
て、上記ZrO2の比表面積を10m2/g以上とする
とともに、600℃以上650℃以下で仮焼することに
よって特徴付けられている。また、平均粒子径が1μm
以下である結晶粒子からなるとともに、ジルコンとチタ
ンの一部をアンチモンとニオブで置換することによって
得られるジルコン・チタン酸鉛系セラミックスを製造す
る方法においては、アンチモンおよびニオブの原料とし
てコロンバイトを用いることによって特徴付けられてい
る。
法は、PbO,ZrO2およびTiO2を混合して仮焼
した後、焼成することにより形成されるとともに、焼結
された結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下であるジル
コン・チタン酸鉛系セラミックスを製造する方法におい
て、上記ZrO2の比表面積を10m2/g以上とする
とともに、600℃以上650℃以下で仮焼することに
よって特徴付けられている。また、平均粒子径が1μm
以下である結晶粒子からなるとともに、ジルコンとチタ
ンの一部をアンチモンとニオブで置換することによって
得られるジルコン・チタン酸鉛系セラミックスを製造す
る方法においては、アンチモンおよびニオブの原料とし
てコロンバイトを用いることによって特徴付けられてい
る。
【0009】また、本発明のセラミックス振動子は、セ
ラミックスに直接電極を形成した超音波振動子および圧
電セラミックスを金属ブロックで挟み込み、ボルトで締
め付けて一体化した構造のランジュバン型振動子、およ
び、圧電セラミックスに電極を形成して構成したハイパ
ワー入力の超音波振動子において、上記圧電セラミック
スがPbO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 な
る組成の材料粉体を焼結することにより形成されている
とともに、焼結された結晶粒子の粒子径の平均が1μm
以下であることによって特徴付けられている。
ラミックスに直接電極を形成した超音波振動子および圧
電セラミックスを金属ブロックで挟み込み、ボルトで締
め付けて一体化した構造のランジュバン型振動子、およ
び、圧電セラミックスに電極を形成して構成したハイパ
ワー入力の超音波振動子において、上記圧電セラミック
スがPbO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 な
る組成の材料粉体を焼結することにより形成されている
とともに、焼結された結晶粒子の粒子径の平均が1μm
以下であることによって特徴付けられている。
【0010】さらにまた、本発明の圧電トランスは、P
bO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 なる組成
の材料粉体を焼結することにより形成されているととも
に、焼結された結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下で
ある圧電セラミックスを分極処理を施してなることによ
って特徴付けられている。
bO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 なる組成
の材料粉体を焼結することにより形成されているととも
に、焼結された結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下で
ある圧電セラミックスを分極処理を施してなることによ
って特徴付けられている。
【0011】
【作用】PbO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO
4 なる組成の材料粉体を焼結され、その焼結された結晶
粒子径の平均が1μm以下の圧電セラミックスは、結晶
粒子間が狭いため、その間の空孔が発生しにくい。この
ような圧電セラミックスは、応力が加わっても亀裂等を
生じることがなく、抗折強度および引張り強度が大きく
なる。また、このジルコンとチタンの一部をアンチモン
とニオブで置換したジルコン・チタン酸鉛系セラミック
スを製造する場合、コロンバイトを使用するので、低温
焼結で発生しやすいPbNbO 9 を主成分とするパイロ
クロア相の発生を抑制でき、したがってこうしたパイロ
クロア相による圧電特性の劣化は生じない。
4 なる組成の材料粉体を焼結され、その焼結された結晶
粒子径の平均が1μm以下の圧電セラミックスは、結晶
粒子間が狭いため、その間の空孔が発生しにくい。この
ような圧電セラミックスは、応力が加わっても亀裂等を
生じることがなく、抗折強度および引張り強度が大きく
なる。また、このジルコンとチタンの一部をアンチモン
とニオブで置換したジルコン・チタン酸鉛系セラミック
スを製造する場合、コロンバイトを使用するので、低温
焼結で発生しやすいPbNbO 9 を主成分とするパイロ
クロア相の発生を抑制でき、したがってこうしたパイロ
クロア相による圧電特性の劣化は生じない。
【0012】基本的なPZTセラミックスの焼成は下記
の(1) 式および(2) 式の化学反応式によって示される反
応が同時に進行していると考えられる。 PbO+ZrO2 →PbZrO3 ・・・・(1) PbO+TiO2 →PbTiO3 ・・・・(2) これらを別々に反応させた場合、PbOとZrO2 との
反応は600〜1200℃で、PbOとTiO2 との反
応は500〜850℃で進行し、PbOとZrO2 との
反応が仮焼や焼成温度の決定要因と考えられる。
の(1) 式および(2) 式の化学反応式によって示される反
応が同時に進行していると考えられる。 PbO+ZrO2 →PbZrO3 ・・・・(1) PbO+TiO2 →PbTiO3 ・・・・(2) これらを別々に反応させた場合、PbOとZrO2 との
反応は600〜1200℃で、PbOとTiO2 との反
応は500〜850℃で進行し、PbOとZrO2 との
反応が仮焼や焼成温度の決定要因と考えられる。
【0013】そこで実際にPb(Zr0.5T
i0.5)O3なる組成のPZTセラミックスを作った
場合、表面積3m2/g(粉末が真球と仮定すると平均
粒径0.36μm)である一般的なZrO2を原料に使
用すると、仮焼温度(X線回折で原料のピークがなくな
る温度)は850℃であり、13m2/g(平均粒径
0.11μm)のZrO2を原料に使用すると、仮焼温
度は600℃であった。このことから、粒子径の小さい
ZrO2を使用することにより、仮焼温度を下げること
ができる。従って、仮焼温度を600℃に下げること
で、仮焼時のPbOの蒸発による組成比の変動を生じる
ことがなく、また、軟らかい仮焼粉が得られ、微粉砕が
容易となる。本願発明において仮焼温度を600℃以上
650℃とした点についてさらに詳しく説明すると、仮
焼温度が高温であるほど原料粉体の反応は促進される
が、仮焼工程における原料粉体の反応がすべて終了した
時点の仮焼終了温度と、粉体が膨張して容易に粉砕でき
る温度とを一致させることは、その後の工程で行われる
微粉砕における望ましい条件である。この容易に粉砕で
きる温度が本願発明において設定した仮焼温度、すなわ
ち、600℃以上650℃と一致する。また、低温焼結
では、パイクロア相が発生しやすくなるが、本願の圧電
セラミックスには、その原料粉体の組成がPbO,Zr
O2,TiO2の他にSbNbO4なるコロンバイトに
よりなるので、このコロンバイトによりそうした弊害を
取り除くことができる。
i0.5)O3なる組成のPZTセラミックスを作った
場合、表面積3m2/g(粉末が真球と仮定すると平均
粒径0.36μm)である一般的なZrO2を原料に使
用すると、仮焼温度(X線回折で原料のピークがなくな
る温度)は850℃であり、13m2/g(平均粒径
0.11μm)のZrO2を原料に使用すると、仮焼温
度は600℃であった。このことから、粒子径の小さい
ZrO2を使用することにより、仮焼温度を下げること
ができる。従って、仮焼温度を600℃に下げること
で、仮焼時のPbOの蒸発による組成比の変動を生じる
ことがなく、また、軟らかい仮焼粉が得られ、微粉砕が
容易となる。本願発明において仮焼温度を600℃以上
650℃とした点についてさらに詳しく説明すると、仮
焼温度が高温であるほど原料粉体の反応は促進される
が、仮焼工程における原料粉体の反応がすべて終了した
時点の仮焼終了温度と、粉体が膨張して容易に粉砕でき
る温度とを一致させることは、その後の工程で行われる
微粉砕における望ましい条件である。この容易に粉砕で
きる温度が本願発明において設定した仮焼温度、すなわ
ち、600℃以上650℃と一致する。また、低温焼結
では、パイクロア相が発生しやすくなるが、本願の圧電
セラミックスには、その原料粉体の組成がPbO,Zr
O2,TiO2の他にSbNbO4なるコロンバイトに
よりなるので、このコロンバイトによりそうした弊害を
取り除くことができる。
【0014】
【0015】また、この圧電セラミックスを用いたセラ
ミックス振動子では、同様に落下や衝撃に強い振動子と
なり、自己破壊が起き難い。さらにまた、上記の圧電セ
ラミックスを用いた圧電トランスでは、許容入力及び機
械的強度が上昇する。
ミックス振動子では、同様に落下や衝撃に強い振動子と
なり、自己破壊が起き難い。さらにまた、上記の圧電セ
ラミックスを用いた圧電トランスでは、許容入力及び機
械的強度が上昇する。
【0016】
【実施例】まず、第1の発明の実施例について説明す
る。図1は本発明実施例で圧電セラミックスの構造を示
すSEM写真である。この図に示すように、圧電セラミ
ックスは小さな結晶の集合体、すなわち、焼結された結
晶粒子からなっており、その結晶粒子の径の平均は1μ
m以下となっている。また、この圧電セラミックスは、
PbO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 なる組
成の材料粉体を焼結することにより形成されている。
る。図1は本発明実施例で圧電セラミックスの構造を示
すSEM写真である。この図に示すように、圧電セラミ
ックスは小さな結晶の集合体、すなわち、焼結された結
晶粒子からなっており、その結晶粒子の径の平均は1μ
m以下となっている。また、この圧電セラミックスは、
PbO,ZrO 2 ,TiO 2 およびSbNbO 4 なる組
成の材料粉体を焼結することにより形成されている。
【0017】このような結晶粒子の径の平均を、1μm
以下とすることにより、その特性を調べた結果、抗折強
度は、従来例に示した結晶粒子径の平均が約5μmの大
きさの圧電セラミックスが780Kg/cm2であるのに対
し、本発明実施例の圧電セラミックス(Fine Grain PZ
T) では、1540Kg/cm2が得られ、機械的な強度は約
2倍であった。
以下とすることにより、その特性を調べた結果、抗折強
度は、従来例に示した結晶粒子径の平均が約5μmの大
きさの圧電セラミックスが780Kg/cm2であるのに対
し、本発明実施例の圧電セラミックス(Fine Grain PZ
T) では、1540Kg/cm2が得られ、機械的な強度は約
2倍であった。
【0018】これは、結晶粒子径を小さくすることによ
り、破壊の原因となる結晶粒子間の空孔が減少したため
と考えられる。但し、結晶粒子径が小さすぎると圧電性
を付加する分極処理の際に、各粒子に電界がかかりにく
く、充分な圧電特性を得ることが出来ないため、結晶粒
子径の平均は0.2〜1μmの範囲が望ましい。
り、破壊の原因となる結晶粒子間の空孔が減少したため
と考えられる。但し、結晶粒子径が小さすぎると圧電性
を付加する分極処理の際に、各粒子に電界がかかりにく
く、充分な圧電特性を得ることが出来ないため、結晶粒
子径の平均は0.2〜1μmの範囲が望ましい。
【0019】また、図3に示すように、入力電力に対す
る品質係数(ΔQ)は、本発明実施例の圧電セラミック
スでは、従来のものに比べ、ほぼ一定の状態を保持し、
変化の少ない高電力特性を示している。従って、本発明
実施例の圧電セラミックスは、ハイパワーの入力特性に
優れたものといえる。
る品質係数(ΔQ)は、本発明実施例の圧電セラミック
スでは、従来のものに比べ、ほぼ一定の状態を保持し、
変化の少ない高電力特性を示している。従って、本発明
実施例の圧電セラミックスは、ハイパワーの入力特性に
優れたものといえる。
【0020】さらに、この結晶粒子がファイン化された
本発明実施例の圧電セラミックスは、微細加工がし易
く、また、研磨加工を効果的に行うことができる。次
に、この本発明実施例に示した圧電セラミックスの製造
方法を説明する。
本発明実施例の圧電セラミックスは、微細加工がし易
く、また、研磨加工を効果的に行うことができる。次
に、この本発明実施例に示した圧電セラミックスの製造
方法を説明する。
【0021】まず、Sb2O5 とNb2O3 を等モル量混合し、
坩堝に入れて密封し、1200℃で2時間反応させ、S
bとNbのコロンバイト(SbNbO4 )を作製した。
このSbNbO4 と他の原料であるPb,Ti等を含む
酸化物と比表面積が13m2/gであるZrO2 とを混合
した後、600℃で仮焼する。仮焼粉を粗粉砕した後、
強制攪拌ミルで、微粉砕し、0.2μm程度の粉体と
し、PVAをバインダーとして造粒した後、プレスして
成形する。その後、1050〜1150℃の焼成温度で
焼成する。本発明実施例での仮焼温度および焼成温度は
従来例に比べ、100〜200℃低下し、密度の高い機
械的強度の大きい圧電セラミックスを得ることができ
た。
坩堝に入れて密封し、1200℃で2時間反応させ、S
bとNbのコロンバイト(SbNbO4 )を作製した。
このSbNbO4 と他の原料であるPb,Ti等を含む
酸化物と比表面積が13m2/gであるZrO2 とを混合
した後、600℃で仮焼する。仮焼粉を粗粉砕した後、
強制攪拌ミルで、微粉砕し、0.2μm程度の粉体と
し、PVAをバインダーとして造粒した後、プレスして
成形する。その後、1050〜1150℃の焼成温度で
焼成する。本発明実施例での仮焼温度および焼成温度は
従来例に比べ、100〜200℃低下し、密度の高い機
械的強度の大きい圧電セラミックスを得ることができ
た。
【0022】次に、本発明実施例に示した圧電セラミッ
クスを用いて作製された第4の発明の実施例について、
ランジュバン型振動子を例にとって説明する。図2はそ
のランジュバン型振動子の構成を示す模式図である。図
に示すように、円環状のリアマス1と、その中央部にめ
ねじ部2aを有するフロントマス2との間に、円環状の
負の電極板3a,円環状の圧電セラミックス4b,円環
状の正の電極板3bそして円環状の圧電セラミックス4
aが順に重ね合わされた構成となっている。また、リア
マス1上面と六角ナット6の間には、両面が研磨された
ワッシャ7が挟み込まれている。さらに、両端に有効ね
じ部を有するスタッドボルト5が、六角ナット6,ワッ
シャ7,リアマス1,圧電セラミックス4a,4bおよ
び電極板3a,3bを貫通し、さらにフロントマス2の
盲ねじ部2aにねじ込まれた構造となっている。そし
て、この状態でさらにそのスタッドボルト5を介して六
角ナット6の締め付けにより、リアマス1、電極板3
a,3b、圧電セラミックス4a,4bおよびフロント
マス2が一体化されて形成されている。この振動子に用
いられているリアマス1はステンレスにより形成され、
またフロントマス2はアルミ合金により形成されてい
る。
クスを用いて作製された第4の発明の実施例について、
ランジュバン型振動子を例にとって説明する。図2はそ
のランジュバン型振動子の構成を示す模式図である。図
に示すように、円環状のリアマス1と、その中央部にめ
ねじ部2aを有するフロントマス2との間に、円環状の
負の電極板3a,円環状の圧電セラミックス4b,円環
状の正の電極板3bそして円環状の圧電セラミックス4
aが順に重ね合わされた構成となっている。また、リア
マス1上面と六角ナット6の間には、両面が研磨された
ワッシャ7が挟み込まれている。さらに、両端に有効ね
じ部を有するスタッドボルト5が、六角ナット6,ワッ
シャ7,リアマス1,圧電セラミックス4a,4bおよ
び電極板3a,3bを貫通し、さらにフロントマス2の
盲ねじ部2aにねじ込まれた構造となっている。そし
て、この状態でさらにそのスタッドボルト5を介して六
角ナット6の締め付けにより、リアマス1、電極板3
a,3b、圧電セラミックス4a,4bおよびフロント
マス2が一体化されて形成されている。この振動子に用
いられているリアマス1はステンレスにより形成され、
またフロントマス2はアルミ合金により形成されてい
る。
【0023】このような構成の振動子の圧電セラミック
ス4a,4bは、上述した第1の発明の実施例に示した
圧電セラミックスにより形成されている。
ス4a,4bは、上述した第1の発明の実施例に示した
圧電セラミックスにより形成されている。
【0024】このランジュバン型振動子では、圧電セラ
ミックスに電界が加わることにより生じる振動が金属ブ
ロックとの機械的接触によって伝わり、全体として共振
を起こすメカニズムであることから、圧電セラミックス
と金属との接合面の密着性は重要な要素となっている
が、上述したように本発明実施例の圧電セラミックスは
結晶粒子の粒子径が1μm以下にファイン化されてお
り、その研磨を精巧に行うことができ、密着化を図るこ
とができる。
ミックスに電界が加わることにより生じる振動が金属ブ
ロックとの機械的接触によって伝わり、全体として共振
を起こすメカニズムであることから、圧電セラミックス
と金属との接合面の密着性は重要な要素となっている
が、上述したように本発明実施例の圧電セラミックスは
結晶粒子の粒子径が1μm以下にファイン化されてお
り、その研磨を精巧に行うことができ、密着化を図るこ
とができる。
【0025】さらに、用いた圧電セラミックスは結晶粒
子間が狭いため、その間の空孔が発生しにくく、従っ
て、抗折強度が高く、しかもハイパワーの駆動を可能と
する。さらにまた、本発明実施例に示した圧電セラミッ
クスを用いて作製された第5の発明の実施例の圧電トラ
ンスについて説明する。
子間が狭いため、その間の空孔が発生しにくく、従っ
て、抗折強度が高く、しかもハイパワーの駆動を可能と
する。さらにまた、本発明実施例に示した圧電セラミッ
クスを用いて作製された第5の発明の実施例の圧電トラ
ンスについて説明する。
【0026】図4はその圧電トランスの構成を示す模式
図である。図に示すように、圧電トランスは本発明実施
例の圧電セラミックスからなり、その形状は長方形板状
である。この圧電トランスの片側半分には厚み方向に一
対の電極を、他の半分には長さ方向の端面に電極が設置
され、前者に対し厚み方向に、また、後者に対し長さ方
向にそれぞれ所定の電界を印加することによって分極処
理がなされ、作製されたものである。このように圧電ト
ランスは厚み方向の電極部分すなわち、駆動部41と、
他の部分すなわち、発電部42からなる電気−機械−電
気変換素子であり、負荷抵抗が小さい場合、1kVの出
力電圧を得るためには、実用上の寸法および圧電材料定
数から通常数V〜数十Vの高入力を必要としている。本
発明の圧電トランスでは、従来の材料を使用したものに
比べ、上記したような高入力に対しても品質係数の劣化
が少ないため、発熱が少なく、また高い昇圧比が得ら
れ、しかも高入力に伴う高振幅の振動に対しても機械的
強度が大きいため、破壊することもない。
図である。図に示すように、圧電トランスは本発明実施
例の圧電セラミックスからなり、その形状は長方形板状
である。この圧電トランスの片側半分には厚み方向に一
対の電極を、他の半分には長さ方向の端面に電極が設置
され、前者に対し厚み方向に、また、後者に対し長さ方
向にそれぞれ所定の電界を印加することによって分極処
理がなされ、作製されたものである。このように圧電ト
ランスは厚み方向の電極部分すなわち、駆動部41と、
他の部分すなわち、発電部42からなる電気−機械−電
気変換素子であり、負荷抵抗が小さい場合、1kVの出
力電圧を得るためには、実用上の寸法および圧電材料定
数から通常数V〜数十Vの高入力を必要としている。本
発明の圧電トランスでは、従来の材料を使用したものに
比べ、上記したような高入力に対しても品質係数の劣化
が少ないため、発熱が少なく、また高い昇圧比が得ら
れ、しかも高入力に伴う高振幅の振動に対しても機械的
強度が大きいため、破壊することもない。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明の圧電
セラミックスによれば、PbO,ZrO 2 ,TiO 2 お
よびSbNbO 4 なる組成の材料粉体を焼結することに
より形成されているとともに、焼結された結晶粒子の粒
子径の平均が1μm以下である構成としたので、耐衝撃
性、耐振動性に優れた高強度の圧電セラミックスを得る
ことができ、また、このSbNbO 4 なるコロンバイト
により、低温焼結で発生しやすいパイロクロア相の発生
が抑制されるので、こうしたパイロクロア相による圧電
特性の劣化のない圧電セラミックスを得ることができ
る。
セラミックスによれば、PbO,ZrO 2 ,TiO 2 お
よびSbNbO 4 なる組成の材料粉体を焼結することに
より形成されているとともに、焼結された結晶粒子の粒
子径の平均が1μm以下である構成としたので、耐衝撃
性、耐振動性に優れた高強度の圧電セラミックスを得る
ことができ、また、このSbNbO 4 なるコロンバイト
により、低温焼結で発生しやすいパイロクロア相の発生
が抑制されるので、こうしたパイロクロア相による圧電
特性の劣化のない圧電セラミックスを得ることができ
る。
【0028】また、第2の発明の圧電セラミックスの製
造方法によれば、原料の一部であるZrO2の比表面積
を10m2/g以上とし、600℃以上650℃以下で
仮焼するようにしたので、仮焼時のPbOの蒸発による
組成比の変動が生じることなく、軟らかい仮焼粉を得る
ことができる。この結果、その後の工程における微粉砕
が容易となる。
造方法によれば、原料の一部であるZrO2の比表面積
を10m2/g以上とし、600℃以上650℃以下で
仮焼するようにしたので、仮焼時のPbOの蒸発による
組成比の変動が生じることなく、軟らかい仮焼粉を得る
ことができる。この結果、その後の工程における微粉砕
が容易となる。
【0029】さらに、第3の発明の圧電セラミックスの
製造方法によればSb−Nb系ジルコン・チタン酸鉛セ
ラミックスの原料としてコロンバイトを用いるようにし
たので、パイロクロア相の発生を防ぐことができ、圧電
特性の劣化を防ぐことができる。
製造方法によればSb−Nb系ジルコン・チタン酸鉛セ
ラミックスの原料としてコロンバイトを用いるようにし
たので、パイロクロア相の発生を防ぐことができ、圧電
特性の劣化を防ぐことができる。
【0030】さらにまた、本発明のセラミックス振動子
によれば、第1の発明の圧電セラミックスを用いた構造
のセラミックス振動子としたので、同様に耐衝撃性、耐
振動性に優れた振動子が得られ、しかも、従来に比べ、
ハイパワーの駆動が可能となる。
によれば、第1の発明の圧電セラミックスを用いた構造
のセラミックス振動子としたので、同様に耐衝撃性、耐
振動性に優れた振動子が得られ、しかも、従来に比べ、
ハイパワーの駆動が可能となる。
【0031】また、本発明の圧電トランスによれば、第
1の発明の圧電セラミックスを用いた構造の圧電トラン
スとしたので、高入力に対しても低発熱、高昇圧比が得
られ、しかも破壊のない高信頼性を有する圧電トランス
を実現できる。
1の発明の圧電セラミックスを用いた構造の圧電トラン
スとしたので、高入力に対しても低発熱、高昇圧比が得
られ、しかも破壊のない高信頼性を有する圧電トランス
を実現できる。
【図1】第1の発明の圧電セラミックスの粒子構造を示
すSEM写真
すSEM写真
【図2】第4の発明の実施例を説明する図
【図3】第1の発明の実施例の特性を説明する図
【図4】第5の発明の実施例を説明する図
【図5】従来の圧電セラミックスの粒子構造を示すSE
M写真
M写真
1…リアマス 2…フロントマス 3a,3b…電極板 4a,4b…圧電セラミックス 5…スタッドボルト 6…六角ナット 7…ワッシャ 41…駆動部 42…発電部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−89200(JP,A) 特開 平2−6334(JP,A) 特開 平2−137283(JP,A) 特開 平3−257882(JP,A) 特開 平5−17216(JP,A) 実開 昭56−39793(JP,U)
Claims (6)
- 【請求項1】 PbO,ZrO2,TiO2およびSb
NbO4なる組成の材料粉体を焼結することにより形成
されているとともに、焼結された結晶粒子の粒子径の平
均が1μm以下であることを特徴とする圧電セラミック
ス。 - 【請求項2】 PbO,ZrO2およびTiO2を混合
して仮焼した後、焼成することにより形成されるととも
に、焼結された結晶粒子の粒子径の平均が1μm以下で
あるジルコン・チタン酸鉛系セラミックスを製造する方
法において、上記ZrO2の比表面積を10m2/g以
上とするとともに、600℃以上650℃以下で仮焼す
ることを特徴とする圧電セラミックスの製造方法。 - 【請求項3】 平均粒子径が1μm以下である結晶粒子
からなるとともに、ジルコンとチタンの一部をアンチモ
ンとニオブで置換することによって得られるジルコン・
チタン酸鉛系セラミックスを製造する方法において、上
記アンチモンおよびニオブの原料としてコロンバイト
(SbNbO4)を用いることを特徴とする圧電セラミ
ックスの製造方法。 - 【請求項4】 圧電セラミックスを金属ブロックで挟み
込み、ボルトで締め付けて一体化した構造のランジュバ
ン型振動子において、上記圧電セラミックスが請求項1
に記載の圧電セラミックスであることを特徴とするセラ
ミックス振動子。 - 【請求項5】 圧電セラミックスに電極を形成して構成
したハイパワー入力の超音波振動子において、上記圧電
セラミックスが請求項1に記載の圧電セラミックスであ
ることを特徴とするセラミックス振動子。 - 【請求項6】 請求項1に記載の圧電セラミックスに分
極処理を施してなる圧電トランス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33567992A JP2682357B2 (ja) | 1992-08-12 | 1992-12-16 | 圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法およびセラミックス振動子ならびに圧電トランス |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-214928 | 1992-08-12 | ||
JP21492892 | 1992-08-12 | ||
JP33567992A JP2682357B2 (ja) | 1992-08-12 | 1992-12-16 | 圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法およびセラミックス振動子ならびに圧電トランス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06112542A JPH06112542A (ja) | 1994-04-22 |
JP2682357B2 true JP2682357B2 (ja) | 1997-11-26 |
Family
ID=26520593
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33567992A Expired - Fee Related JP2682357B2 (ja) | 1992-08-12 | 1992-12-16 | 圧電セラミックスおよび圧電セラミックスの製造方法およびセラミックス振動子ならびに圧電トランス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2682357B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH098376A (ja) * | 1995-06-22 | 1997-01-10 | Nec Corp | 圧電トランス及びその製造方法 |
KR100314762B1 (ko) | 1998-02-27 | 2002-01-09 | 사토 히로시 | 압전세라믹 및 압전장치 |
JPH11274595A (ja) | 1998-03-23 | 1999-10-08 | Hitachi Metals Ltd | 圧電セラミックス、積層型圧電セラミックス振動子およびその製造方法 |
JP3874229B2 (ja) | 1999-07-02 | 2007-01-31 | Tdk株式会社 | 圧電セラミックスおよびこれを用いた圧電デバイス |
JP2004002069A (ja) * | 2002-05-30 | 2004-01-08 | Tdk Corp | 圧電磁器の製造方法および圧電素子の製造方法 |
CN114773057B (zh) * | 2022-05-25 | 2023-05-02 | 国网智能电网研究院有限公司 | 压电陶瓷及用于变压器局部放电检测的接触式超声传感器 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5519073B2 (ja) * | 1972-12-28 | 1980-05-23 | ||
JPS5915196Y2 (ja) * | 1979-09-01 | 1984-05-04 | 日本特殊陶業株式会社 | ランジユバン型振動子 |
JPH026334A (ja) * | 1988-06-22 | 1990-01-10 | Murata Mfg Co Ltd | チタン酸ジルコン酸鉛薄膜の製造方法 |
JPH02137283A (ja) * | 1988-11-17 | 1990-05-25 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | セラミック圧電素子及び圧電セラミックスの分極処理方法 |
JP2596626B2 (ja) * | 1990-03-07 | 1997-04-02 | 積水化成品工業株式会社 | PbTiO3固溶体の製造方法 |
JPH0517216A (ja) * | 1991-07-08 | 1993-01-26 | Murata Mfg Co Ltd | 圧電セラミツクス |
-
1992
- 1992-12-16 JP JP33567992A patent/JP2682357B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH06112542A (ja) | 1994-04-22 |
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