JP3583705B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に使用される電子写真感光体に関する。より詳細には、ブレードクリーニング手段を有する画像形成装置に使用しても感光層の摩耗量が少なく耐久性に優れ、且つ、感度が良好な電子写真感光体に関する。更には、ブレード鳴き、トナーフィルミングまたはダッシュマークの発生が無く、耐久性にも優れ、且つ、感度が良好な電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の画像形成装置においては、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の感光体が使用されている。その一つはセレンのような無機材料を感光層に用いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層に用いた有機感光体(OPC)である。これらのうち、有機感光体は無機感光体に比べて製造が容易であるとともに、電荷輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂等の感光体材料の選択肢が多様で、機能設計の自由度が高いことから、近年、広範な研究が進められている。
【0003】
有機感光体には、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層との積層構造からなる、いわゆる積層型感光体と、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の感光層中に分散させた、いわゆる単層型感光体とがある。これらのうち、広い市場規模を占めているのは積層型感光体である。
【0004】
一方、単層型感光体は、層構成が簡単で生産性に優れている、感光層の皮膜欠陥が発生するのを抑制できる、層間の界面が少ないので光学的特性を向上できる、電荷輸送剤として電子輸送剤とホール輸送剤とを併用し、前記電荷輸送剤の含有比を変化させること等により、正帯電型または負帯電型の両方に使用できる、といった利点を有するため脚光を浴びつつある。
【0005】
電子写真感光体は、その像形成プロセスにおいて帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電の繰り返し工程の中で使用される。帯電露光により形成された静電潜像は、微粒子状の粉体であるトナーにより現像される。更に現像されたトナーは転写プロセスにおいて紙などの転写材に転写されるが100%のトナーが転写されるのではなく、一部が感光体上に残存する。この残存するトナーを除去しないと繰り返しプロセスにおいて汚れなどのない高品位な画像は得られない。そのため、残存トナーのクリーニングが必要となる。
【0006】
クリーニングプロセスとしては、ファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等を用いたものが代表的であるが、クリーニング精度、装置構成の合理化などの点から、ブレード状樹脂板が直接感光体に接することによりクリーニングを行うブレードクリーニングが選択されるのが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ブレードクリーニングは、感光体表面にブレード状樹脂板が接することにより、感光体表面の残存トナーを除去する。ところが、感光層摩耗量を少なくするため、ブレードが感光体表面を圧接する力(ブレード線圧)を小さくすると、残存トナーがブレードと感光体表面の間の微小な隙間を押圧された状態で潜り抜け、感光体表面周方向に、トナー粒子が潰れた状態で筋状に強固に融着し、クリーニングブレードにより除去不可能な、いわゆる「ダッシュマーク」または「トナーフィルミング」という現象が発生して、当該トナー融着部分の感光体表面電位が大きく低下し、また光が遮断されるため光減衰が起こらず、画像不具合の原因となることが知られている。
【0008】
そこで、前記ダッシュマークやトナーフィルミングを防止するために、ブレード線圧を大きくすると、ブレードが感光体表面を摺擦する時に共鳴音が発生し、いわゆる「ブレード鳴き」という現象が生じることがある。また、ブレード線圧増大とともに、感光体表面への機械的負荷が上昇し、感光層の摩耗量が増加することにより、表面電位の低下、感度の悪化等の問題も発生し、高品位な画像を得ることが困難となる。
【0009】
本発明の目的は、ブレードクリーニングを有する画像形成装置に使用しても、感光層の耐摩耗性が良好で耐久性に優れ、且つ、感度が良好な電子写真感光体を提供することである。更には、ブレード鳴きや、ダッシュマークまたはトナーフィルミングの発生が無く、耐久性にも優れ、且つ、感度が良好な電子写真感光体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤あるいは電荷輸送剤を含有するバインダー樹脂からなる感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を含有し、前記電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、前記電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有することを特徴とする電子写真感光体が、ブレードクリーニングを有する画像形成装置に使用しても感光層の耐摩耗性が良好で耐久性に優れ、且つ、感度が良好であることを見出した。
【0011】
一般式[1];
【化14】
BP
(一般式[1]中、R10、R11は、同一または異なって、水素原子を示す。)
【0012】
更には、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤あるいは電荷輸送剤を含有するバインダー樹脂からなる感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を含有し、前記電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、前記電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有することを特徴とする電子写真感光体が、ブレードクリーニングを有する画像形成装置に使用してもブレード鳴きやダッシュマークまたはトナーフィルミングの発生が無く、耐久性にも優れ、且つ、感度が良好であることを見出した。
【0013】
一般式[2];
【化15】
(一般式[2]中、X20、X21、X22は、同一または異なって−(CH2)n−で、nは1〜6の整数を示し、R20、R21、R22、R23は、水素原子を示し、mは0〜200の数値を示す。)
【0014】
【本発明の作用】
請求項1に記載のように、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤あるいは電荷輸送剤を含有するバインダー樹脂からなる感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位と一般式[3]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
一般式[3];
【化16】
(一般式[3]中、R30、R31は、同一または異なって、水素原子を示す。)
【0015】
一般式[1]で示される繰返し構造単位は、分子の剛直性が高く感光層の耐摩耗性向上に極めて有効であり、また、一般式[2]で示される繰返し構造単位は、主鎖にシロキサン結合を有するため、感光層の耐摩耗性向上に効果があるとともに、特に、感光層表面に対するクリーニングブレードの摩擦係数を低減させる作用を示す。また感光層の表面エネルギーを低下させるためトナーの融着も起こり難い。
【0016】
すなわち、バインダー樹脂が、一般式[1]または一般式[2]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有すると、ブレードクリーニングを有する画像形成装置に使用しても、感光層の耐摩耗性向上、ブレード鳴き発生防止、トナーフィルミングまたはダッシュマーク発生防止に極めて有効な作用を示すのである。
【0017】
更に本発明の電子写真感光体は、電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有することを特徴とする。
【0018】
前記電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%未満で、且つ、前記ホール輸送剤の移動度が5×10−6cm2/V/sec未満であると、実使用上、十分な感光体感度が得られない。特に、感光体ドラムの周速度の速い高速画像形成装置への搭載が困難となる。
【0019】
【発明の実施形態】
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤および電荷輸送剤を含有するバインダー樹脂からなる単層型の感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位と一般式[3]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、前記電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、前記電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10-6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有する単層型感光体であり、感光体の帯電極性については、正負いずれにも使用可能である。
【0020】
以下、本発明の電子写真感光体の構成材料について詳細に説明する。
【0021】
[バインダー樹脂]本発明の電子写真感光体に使用されるバインダー樹脂は、般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位と一般式[3]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有する。
【0022】
また、本発明の電子写真感光体に使用されるバインダー樹脂は、少なくとも般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位と一般式[3]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有すればよく、他に、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
【0023】
例えば、ビスフェノールZ型、ビスフェノールZC型、ビスフェノールC型、ビスフェノールA型等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂を始め、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0024】
上記のバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。
【0025】
請求項1記載のように、前記バインダー樹脂が、一般式[1]および一般式[2]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂以外に、特に、一般式[3]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を含有する場合に、感光体の感度向上に極めて有効である。
一般式[3]:
【化16】
(一般式[3]中、R30、R31は、同一または異なって、水素原子を示す。)
【0026】
一般式[3];
【化16】
(一般式[3]中、R30、R31は、同一または異なって、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0027】
これは、一般式[1]または一般式[2]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂は、感光層の耐摩耗性または表面潤滑性向上に有効ではあるが、共にテトラヒドロフラン等の感光層塗工液溶媒に対する溶解性が低いため、電荷輸送剤との相溶性にも劣る傾向がある。これに対して、一般式[3]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂は、前記塗工液溶媒に対する溶解性が高く、電荷輸送剤との相溶性が良好である。このため、一般式[3]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を併用することにより電荷輸送剤が、バインダー樹脂中において分子分散し易くなり、感度が向上すると考えられる。
【0028】
上記のように、バインダー樹脂と電荷輸送剤との相溶性が電気特性に大きな影響を及ぼす理由としては、通常、電荷輸送剤やバインダー樹脂は、塗工液中に均一溶解し分子分散しているが、バインダー樹脂の溶解性や、バインダー樹脂と電荷輸送剤との相溶性が悪いと、前記分子が凝集し、電荷の授受効率が低下して感度が悪化するためと推測される。
【0029】
特に、単層型感光体においては、電荷輸送剤として、ホール輸送剤と電子輸送剤を併用して含有させることが好ましく、バインダー樹脂に対する電荷輸送剤総量の含有比が大きくなる。更には、電荷発生剤も電荷輸送剤と同一感光層中に粒子分散して存在している。すなわち、単層型感光体においては、積層型感光体と比較して、バインダー樹脂中に分散または溶解している材料が多く、塗工液溶媒に対するバインダー樹脂の溶解性、またはバインダー樹脂と電荷輸送剤との相溶性が、感光体電気特性に及ぼす影響は非常に大きくなる。
【0030】
また、請求項4または5記載のように、バインダー樹脂総量に対して、一般式[1]で示される繰返し構造単位を10〜50mol%含有し、一般式[2]で示される繰返し構造単位を0.05〜10mol%含有することが好ましい。一般式[1]で示される繰返し構造単位の含有量が50mol%より多くなると、前記のように塗工液溶媒に対するバインダー樹脂の溶解性が低下、または電荷輸送剤との相溶性が低下するため感度が悪化し、10mol%より少ないと耐摩耗性に効果が無い。また、一般式[2]で示される繰返し構造単位の含有量が10mol%より多くなると、前記と同様の理由により、感光体の感度が悪くなる傾向があり、0.05mol%より少ないと感光層の表面潤滑性向上に効果が無い。
【0031】
本発明の電子写真感光体に使用されるバインダー樹脂の重量平均分子量は10,000〜400,000、更には30,000〜200,000が好ましい。
【0032】
[電荷発生剤]
本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上であれば任意の材料を使用することができる。ただし、電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有する場合はこの限りでは無い。
【0033】
<電荷発生効率の測定>積層型感光体の量子効率は、電荷発生層での電荷発生効率、及び電荷発生層から電荷輸送層への注入効率から、電荷輸送層移動中の電荷の損失を除くことにより決定されるが、電荷輸送剤として好適な化合物を使用することにより、非常に低電場である場合と入斜光密度が大きい場合を除き、電荷注入効率、あるいは電荷移動層輸送中の電子の損失も無視可能である。しかし、入斜光密度が大きい場合はキャリア移動が律速となるため、入斜光強度は0.5〜4.0μW/cm2が好ましい。
【0034】
上記より、本発明において電荷発生効率は、下記の積層型感光体の表面電位の光減衰速度から量子効率(φ)を測定することで、式(1)より求めた。なお、入射光強度は2.5μW/cm2、電界強度は5×105V/cmとした。
数式[1]:φ=C/(e・l)|dV/dt|
(数式[1]中、C:感光体の静電容量、e:電子の素電荷、l:単位時間当りの入射光量子数、V:表面電位、t:時間を示す。)
【0035】
<電荷発生効率測定用積層型感光体サンプルの作製>電荷発生剤とポリビニルブチラール[積水化学(株)社製エスレックBH5](重量比1:1)をテトラヒドロフラン中にて超音波分散させ電荷発生層用塗布液を作製、アルミニウム素管上にブレードコーティングし、110℃、20分間の熱風乾燥を行ない、膜厚0.5μmの電荷発生層を作製した。次いで、特定のテトラフェニレンジアミン誘導体と重量平均分子量40,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(重量比1:1)をテトラヒドロフラン中にて超音波分散させ電荷輸送層用塗布液を作製、前記電荷発生層上にブレードコーティングし、110℃、40分間の熱風乾燥を行ない、膜厚25μmの電荷発生効率測定用積層型感光体サンプルを作製した。
【0036】
本発明の電子写真感光体に使用される電化発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の、従来公知の電荷発生剤が挙げられる。前記例示の電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独または2種以上をブレンドして使用できる。
【0037】
上記例示の電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニン(電荷発生効率25%)、Y型チタニルフタロシアニン(電荷発生効率75%)、α型チタニルフタロシアニン(電荷発生効率50%)、V型ヒドロキシガリウムフタロシニン(電荷発生効率55%)等のフタロシニン系顔料が最も好適に使用される。なお、上記フタロシアニン系顔料の結晶型については特に限定されず、種々のものを使用できる。
【0038】
[電荷輸送剤]
本発明の電子写真感光体に使用される電荷輸送剤としては、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有する限り、他に従来公知のホール輸送剤または電子輸送剤を使用することができる。ただし、電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上であればこの限りでは無い。
【0039】
<移動度の測定>上記ホール輸送剤の移動度は常温下、通常のTOF(Time Of Flight)法により測定した。電界強度は5×105V/cmとした。測定サンプルは、バインダー樹脂(重量平均分子量40,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)固形分を含める全固形分濃度に対して、40wt%の電荷輸送剤濃度で溶解させ、基材上に塗布し80℃、30分間の熱処理を行い作製した。サンプル膜厚は7μmとした。
【0040】
(ホール輸送剤)本発明の電子写真感光体に使用可能なホール輸送剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が使用可能である。
【0041】
請求項6記載のように、一般式[4]、[5]、[6]または[7]で示される化合物がホール輸送剤として最も好適に使用される。
前記ホール輸送剤は、ホール輸送能が大きく、且つ、本発明の電子写真感光体に使用されるバインダー樹脂との相溶性が極めて良好で、感光体の感度向上に有効である。
特に、電子輸送剤とホール輸送剤を共に含有する単層型感光体の場合に、前記ホール輸送剤使用により感度向上が著しい。
【0042】
一般式[4];
【化17】
(一般式[4]中、R40、R41、R42及びR43は同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン原子を示し、m、n、p及びqは同一または異なって0〜3の整数を示す。R44及びR45は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。また、−X−は
【化18】
または
【化19】
を示す。)
【0043】
一般式[5];
【化20】
(一般式[5]中、R50、R52は、同一または異なって置換基を有してもよいアルキル基を示し、R51、R53は、同一または異なって水素原子または、置換基を有してもよいアルキル基を示す。)
【0044】
一般式[6];
【化21】
(一般式[6]中、R60、R61、R62、R63及びR64は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
【0045】
一般式[7];
【化22】
(一般式[7]中、R70、R71、R72、R73及びR74は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基を示す。a、b、c及びdは同一または異なって0〜5の整数を示し、eは0〜4の整数を示す。なお、a、b、cまたはdが2以上のとき、各R70、R71、R72、R73及びR74は異なっていてもよい。)
【0046】
本発明において、上記ホール輸送剤は1種のみを使用するほか、2種以上をブレンドして使用してもよい。特に、単層型感光体においては、感光層中に電子輸送剤とホール輸送剤を混合して含有させることが好ましい。
【0047】
(電子輸送剤)本発明の電子写真感光体に使用可能な電子輸送剤としては、例えば、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の、電子受容性を有する種々の化合物が挙げられる。
【0048】
請求項11記載のように、一般式[8]、[9]、[10]または[11]で示される化合物が電子輸送剤として最も好適に使用される。前記電子輸送剤は、電子輸送能が大きく、且つ、本発明の電子写真感光体に使用されるバインダー樹脂との相溶性が極めて良好で、感光体の感度向上に有効である。特に、電子輸送剤とホール輸送剤を共に含有する単層型感光体の場合に、前記電子輸送剤使用により感度向上が著しい。
【0049】
一般式[8]:
【化23】
(一般式[8]中、R80、R81は、同一または異なって置換基を有してもよいアルキル基を示す。)
【0050】
一般式[9]:
【化24】
(一般式[9]中、R90、R91は、同一または異なって置換基を有してもよい1価の炭化水素基を示す。)
【0051】
一般式[10]:
【化25】
(一般式[10]中、R100はハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を示し、R101は置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基、または基:−O−R101aを示す。R101aは置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を示す。)
【0052】
一般式[11]:
【化26】
(一般式[11]中、R110、R111、R112、R113は、同一または異なって置換基を有してもよいアルキル基を示す。)
【0053】
本発明において、上記例の電子輸送剤は1種のみを使用する他、2種以上をブレンドして使用してもよい。特に、単層型感光体においては、感光層中に電子輸送剤とホール輸送剤を混合して含有させることが好ましい。
【0054】
感光層が単一層構造の場合、感光層の膜厚は5〜100μm、更には10〜50μm程度が好ましい。電荷発生剤は全バインダー樹脂重量に対して0.1〜50wt%、更には0.5〜30wt%含有させることが好ましい。
【0055】
感光層が積層構造の場合は、電荷発生層の膜厚は0.01〜5μm、更には0.1〜3μm程度が好ましく、電荷輸送層の膜厚は2〜100μm、更には5〜50μm程度が好ましい。電荷発生層には電荷発生材料を全バインダー樹脂重量に対して1〜500wt%、更には10〜300wt%含有させることが好ましい。
【0056】
また、請求項5記載のように、本発明の電子写真感光体の電荷輸送剤の固形分濃度は全固形分濃度の30wt%以上50wt%以下であることが好ましい。
【0057】
一般的に、電荷輸送剤の含有量が増加すると、感光層の耐摩耗性は低下することが知られている。このため、耐摩耗性向上のためには電荷輸送剤の固形分濃度を減少させることが理想的であるが、特に、単層型感光体においては、帯電繰返し安定性や感度向上のために、積層型感光体とは異なり、感光層に電子輸送剤とホール輸送剤の両方を含有させることが好ましく、電荷輸送剤の固形分濃度は全固形分濃度に対して50wt%より大きくなることが多い。
【0058】
しかしながら、電荷発生効率の大きい電荷発生剤や、ホールまたは電子輸送能が大きい任意の電荷輸送剤を使用することにより、全固形分濃度に対して30wt%以上50wt%以下の少ない固形分濃度でも、単層型感光体においても十分な感度が得られる。
【0059】
前述のように、電荷発生効率の大きい電荷発生剤としては、各種チタニルフタロシアニンやガリウムフタロシアニンが、電荷輸送能が大きい電荷輸送剤としては、ホール輸送剤として、例えば、一般式[4]、[5]、[6]または[7]で示される化合物、電子輸送剤として、例えば、一般式[8]、[9]、[10]または[11]で示される化合物や、下記のアゾキノン誘導体やスチルベンキノン誘導体が挙げられる。
【0060】
アゾキノン誘導体
【化27】
【0061】
スチルベンキノン誘導体
【化28】
【0062】
すなわち、図1、2に示すように、本発明の電子写真感光体においては、使用する電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を使用することにより、ホール輸送剤の含有量が少なくても高感度を維持することが可能である。
【0063】
一方、図3に示すように、一般式[1]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を使用すると、特に、電荷輸送剤含有量の少ない場合において、感光層摩耗量が少なく耐摩耗性向上が著しい。
【0064】
以上より、本発明の電子写真感光体においては、一般式[1]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂、及び、電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、前記電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を使用することにより、電荷輸送剤の固形分濃度を全固形分濃度の50wt%以下にすることが可能で、耐摩耗性が良好で高感度な電子写真感光体を得ることができる。
【0065】
感光層には、前述の各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル補足剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。支持体と感光層、あるいは積層された層間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。
【0066】
感光層が形成される支持体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0067】
支持体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、支持体自体が導電性を有するか、あるいは支持体の表面が導電性を有していればよい。また、支持体は使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
【0068】
感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシエーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0069】
上記分散液を作製するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独で、または2種以上混合して用いられる。
【0070】
さらに、電荷発生剤、電荷輸送剤等の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために、界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0071】
【発明の実施形態】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0072】
[単層型実施例33〜48]単層型感光体
電荷発生剤として、電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率25%のX型無金属フタロシアニン(CGM−1)3.5重量部、電子輸送剤(ETM−1〜−4)35重量部、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10-6cm2/V/sec以上のホール輸送剤(HTM−1〜−4)55重量部、バインダー樹脂として、重量平均分子量100,000の、一般式[1]で示される繰返し構造単位と、一般式[2]で示される繰返し構造単位と、ビスフェノールZ型ポリカーボネートとの共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−2、モル共重合比a:b:c=20.0:0.1:79.9)を100重量部を、テトラヒドロフラン700重量部とともにボールミル中で24時間分散あるいは溶解させ、単層型感光層用塗布液を調合した(全固形分濃度に対する電荷輸送剤の固形分濃度:46.5wt%)。
そして、この塗布液を、支持体としてのアルミニウム素管上にディップコート法にて塗布し、110℃、30分間の熱風乾燥を行い、膜厚28.5μmの単一感光層を有する単層型感光体を作製した。
【0073】
[単層型参考例17〜32]単層型感光体
電荷発生剤として電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率75%のY型チタニルフタロシアニン(CGM−2)3.5重量部、電子輸送剤としてETM−5〜−8(35重量部)、ホール輸送剤として、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10-6cm2/V/sec以上のHTM−5〜−8(55重量部)、バインダー樹脂として、重量平均分子量100,000の、一般式[1]で示される繰返し構造単位とビスフェノールZ型ポリカーボネートとの共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−1、モル共重合比a:b=20.0:80.0)を100重量部を使用した以外は、単層型実施例33〜48と同様にして単層型感光体を作製した。
【0075】
[単層型比較例1〜4]単層型感光体
バインダー樹脂として、重量平均分子量100,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(Resin−3)100重量部を使用した以外は、単層型実施例33〜36と同様にして単層型感光体を作製した。
【0076】
[単層型比較例5、6]単層型感光体
電荷発生剤として、電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率40%未満のCGM−1(3.5重量部)、ホール輸送剤として、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10-6cm2/V/sec未満のHTM−9、−10(55重量部)を使用した以外は、単層型実施例33〜36と同様にして単層型感光体を作製した。
【0079】
上記実施例、比較例で使用した化合物の構造を以下に示した。また、表1に、電界強度5×105V/cmにおける、各電荷発生剤の電荷発生効率、及び各ホール輸送剤の移動度の一覧を示した。
【0080】
【表1】
【0081】
[CGM−1] 電荷発生効率:25%
【化29】
【0082】
[CGM−2] 電荷発生効率:75%
【化30】
【0083】
[ETM−1]
【化31】
【0084】
[ETM−2]
【化32】
【0085】
[ETM−3]
【化33】
【0086】
[ETM−4]
【化34】
【0087】
[ETM−5]
【化35】
【0088】
[ETM−6]
【化36】
【0089】
[ETM−7]
【化37】
【0090】
[ETM−8]
【化38】
【0091】
[HTM−1] 移動度:4.08×10−5cm2/V/sec
【化39】
【0092】
[HTM−2] 移動度:5.03×10−5cm2/V/sec
【化40】
【0093】
[HTM−3] 移動度:5.99×10−6cm2/V/sec
【化41】
【0094】
[HTM−4] 移動度:6.30×10−6cm2/V/sec
【化42】
【0095】
[HTM−5] 移動度:1.30×10−5cm2/V/sec
【化43】
【0096】
[HTM−6] 移動度:2.00×10−5cm2/V/sec
【化44】
【0097】
[HTM−7] 移動度:5.10×10−6cm2/V/sec
【化45】
【0098】
[HTM−8] 移動度:5.30×10−6cm2/V/sec
【化46】
【0099】
[HTM−9] 移動度:1.60×10−6cm2/V/sec
【化47】
【0100】
[HTM−10]移動度:4.89×10−6cm2/V/sec
【化48】
【0101】
[Resin−1]
【化49】
【0102】
[Resin−2]
【化50】
【0103】
[Resin−3]
【化51】
【0104】
上記各実施例、比較例の感光体について、耐摩耗性、ドラム鳴き、トナーフィルミング/ダッシュマーク、電気特性の評価を下記の試験により実施した。
【0105】
[耐摩耗性評価促進試験]
上記各実施例、比較例の電子写真感光体を、ブレードクリーニング手段を有する複写機(京セラミタ株式会社製「Creage8331」)に搭載し、画像形成を行わず(トナー現像無し、通紙無し)、感光体ドラムにクリーニングブレードを圧接した状態(ブレード線圧1.9g/mm)で、75時間連続回転させた。そして、試験前後の感光層の膜厚を測定し、膜厚変化量を算出した。膜厚変化量が小さいほど耐摩耗性が良好であることを示す。膜厚変化量については3.0μm以下を可、3.0μmより大きい場合を不可とした。
【0106】
[ドラム鳴き評価促進試験]
前記耐摩耗性評価試験において、ブレード線圧を6g/mmに高めて設定し、感光体ドラムにクリーニングブレードを圧接した状態で8時間の連続回転を同様にして実施し、ドラム鳴きの発生の有無を調査した。
【0107】
[トナーフィルミング/ダッシュマーク評価促進試験]
上記耐摩耗性評価試験において、トナー現像を実施し、ブレード線圧を4.5g/mmに高めて設定し、感光体ドラムにクリーニングブレードを圧接した状態で24時間の連続回転を同様にして実施し、感光層表面を目視にて観察し、ドラム周方向の筋状のトナー融着(トナーフィルミングまたはダッシュマーク)の発生の有無を調査した。
【0108】
[感度評価試験]
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、印写試験前の各実施例、比較例の感光体表面に印加電圧を加えて、その表面を+700V(単層型感光体の場合)または−700V(積層型感光体の場合)に帯電させた。そして、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、1.0μJ/cm2)を露光し、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位を残留電位(VL)として測定した。VLが低いほど、感光体は高感度である。VLの絶対値が120V以下の場合を可、120Vより大きい場合を不可とした。
【0109】
表1〜5に、上記評価試験結果を示した。
【0111】
【表3】
【0112】
<単層型感光体評価試験結果>
【表4】
【0113】
<単層型感光体評価試験結果>
【表5】
【0117】
また、表5より、電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%未満の電荷発生剤と、移動度が5×10−6cm2/V/sec未満のホール輸送剤を併用した場合(単層型比較例5、6)、VLの絶対値が120Vより大きくなり感度が悪化した。
【0118】
表4の全実施例より、バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を含有し、電界強度5×105V/cmにおける電荷発生剤の電荷発生効率が40%以上、または、電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10−6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有する単層型感光体が、感光層摩耗量が3.0μm以下で、且つ、VLの絶対値が120V以下となり、耐摩耗性と感度が良好で、しかも、ドラム鳴きの発生、及びトナー融着の発生も無かった。
【0119】
しかし、バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂を含有しない場合(表4、単層型比較例1〜4)は、感光層摩耗量が3.0μmより大きくなり、またドラム鳴きの発生、及びトナー融着の発生があった。
【0121】
導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤および電荷輸送剤を含有するバインダー樹脂からなる単層型の感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位と一般式[3]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、前記電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上、または、前記電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10-6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有することを特徴とする電子写真感光体が、ブレードクリーニングを有する画像形成装置に使用してもブレード鳴きやトナー融着の発生が無く、耐久性にも優れ、且つ、感度が良好であった。
【0122】
【図面の簡単な説明】
【図1】電荷発生剤(電荷発生効率:25%、4重量部)、電子輸送剤(40重量部)、ホール輸送剤(移動度:4×10−6cm2/V/secと5×10− 5cm2/V/secの2種類、40〜80重量部)、バインダー樹脂(100重量部)から構成される単層型感光体の感度と、ホール輸送剤含有量との模式的関係を示すグラフである。
【図2】電荷発生剤(電荷発生効率:25%と75%の2種類、4重量部)、電子輸送剤(40重量部)、ホール輸送剤(移動度:4×10−6cm2/V/sec、40〜80重量部)、バインダー樹脂(100重量部)から構成される単層型感光体の感度と、ホール輸送剤含有量との模式的関係を示すグラフである。
【図3】電荷発生剤(4重量部)、電子輸送剤とホール輸送剤(80〜150重量部)、バインダー樹脂(一般式[1]で示される繰返し構造単位のポリカーボネート樹脂とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂の2種類、100重量部)から構成される単層型感光体の摩耗量と、ホール輸送剤と電子輸送剤の固形分濃度との模式的関係を示すグラフである。
Claims (7)
- 導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤および電荷輸送剤を含有するバインダー樹脂からなる単層型の感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される繰返し構造単位と一般式[2]で示される繰返し構造単位と一般式[3]で示される繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、前記電荷発生剤の電界強度5×105V/cmにおける電荷発生効率が40%以上および前記電荷輸送剤が、電界強度5×105V/cmにおける移動度が5×10-6cm2/V/sec以上のホール輸送剤を含有することを特徴とする電子写真感光体。
一般式[1];
一般式[2];
一般式[3];
- 前記バインダー樹脂総量に対して、一般式[1]で示される繰返し構造単位を10〜50mol%含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂総量に対して、一般式[2]で示される繰返し構造単位を0.05〜10mol%含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤が、オキソチタニルフタロシニン系顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至3記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送剤の固形分濃度が全固形分濃度の30wt%以上50wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送剤が、一般式[4]、[5]、[6]または[7]で示されるホール輸送剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の電子写真感光体。
一般式[4];
R44及びR45は同一または異なって水素原子またはアルキル基を示す。
また、−X−は
一般式[5];
一般式[6];
一般式[7];
a、b、c及びdは同一または異なって0〜5の整数を示し、eは0〜4の整数を示す。
なお、a、b、cまたはdが2以上のとき、各R70、R71、R72、R73及びR74は異なっていてもよい。) - 前記電荷輸送剤が、一般式[8]、[9]、[10]または[11]で示される電子輸送剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の電子写真感光体。
一般式[8];
一般式[9];
一般式[10];
R101aは置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を示す。)
一般式[11];
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