JP3722475B2 - 単層型電子写真感光体、及びそれを使用した画像形成装置 - Google Patents

単層型電子写真感光体、及びそれを使用した画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性に優れた長寿命な単層型有機電子写真感光体(以下、「単層型感光体」と略記する場合がある)と、それを使用した静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等の長寿命な画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の画像形成装置においては、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の感光体が使用されている。その一つはセレンのような無機材料を感光層に用いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層に用いた有機感光体(OPC)である。このうち、有機感光体、無機感光体に比べて製造が容易であるとともに、電荷輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂等の感光体材料の選択肢が多様で、機能設計の自由度が高いことから、近年、広範な研究が進められている。
【0003】
有機感光体には、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層との積層構造からなる、いわゆる積層型感光体と、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一の感光層中に分散させた、いわゆる単層型感光体とがある。これらのうち、広い市場規模を占めているのは積層型感光体である。積層型感光体は導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層を順に設けた負帯電型が主流である。
【0004】
一方、単層型感光体は、層構成が簡単で生産性に優れている、感光層の皮膜欠陥が発生するのを抑制できる、層間の界面が少ないので光学的特性を向上できる、電荷輸送剤として電子輸送剤とホール輸送剤とを併用することにより、一つの感光体を正帯電型、負帯電型の両方に使用できる、といった利点を有するため脚光を浴びつつある。
【0005】
感光体は、その画像形成プロセスにおいて帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電の繰り返し工程の中で使用される。帯電露光により形成された静電潜像は、微粒子状の粉体であるトナーにより現像される。更に現像されたトナーは転写プロセスにおいて紙などの転写材に転写されるが100%のトナーが転写されるのではなく、一部が感光体上に残存する。この残存するトナーを除去しないと繰り返しプロセスにおいて汚れなどのない高品位な画像は得られない。そのため、残存トナーのクリーニングが必要となる。
【0006】
クリーニングプロセスとしては、ファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等を用いたものが代表的であるが、クリーニング精度、装置構成の合理化などの点から、ブレード状樹脂板が直接感光体に接することによりクリーニングを行うブレードクリーニングが選択されるのが一般的である。
【0007】
ブレードクリーニングは、精度が高い一方で、感光体への機械的負荷を上昇させる。すなわち、有機感光体は無機感光体に比較して感光層の硬度が低く、繰返しプロセスの増加とともに摩耗量が増加し、表面電位の低下、感度の悪化等の問題が発生し、高品位な画像を得ることが困難となる。
【0008】
一方、上記の有機感光体を搭載した画像形成装置において、帯電、または転写手段がチャージャー方式の場合、感光体は、コロナ放電により発生したオゾンやNOx等の活性ガスに暴露される。そして、有機感光体の感光層を形成するバインダー樹脂中の感光層構成物質(電荷発生剤や電荷輸送剤、等)が強い酸化作用を受け、感光体の帯電能低下や感度劣化といった電気特性が悪化するという問題が発生し易い。
【0009】
上記に加えて、負帯電積層型感光体は電荷発生剤が電荷輸送層で保護されるのに対して、単層型感光体はオーバーコート層を設けない限り、電荷発生剤が感光層の最表面にも存在する。このため、特に単層型感光体は、画像形成装置内で発生するオゾンやNOx等の活性ガスに電荷発生剤が暴露され易いために電気特性が悪化し易い。
【0010】
電気特性が悪化した有機感光体をそのまま使用すると、印写枚数の増加とともに、画像かぶり、黒帯の発生や、グレー画像が濃くなる、画像文字が太る等の画像不具合が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上より、特に、単層型感光体の場合、印写枚数が多くなってもカブリ等の画像に不具合が発生しない、いわゆる「長寿命」な感光体を設計する場合、単に感光層の耐摩耗性を向上させただけでは、画像形成装置内で発生した活性ガスに暴露され電気特性が悪化した感光層表面部分が、かえって削り取られ難くなり、結果的に「長寿命」な感光体が得られない。
【0012】
例えば、感光層の耐摩耗性を向上させるために、バインダー樹脂として一般的に使用されている下記のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂に代えて、下記のビスフェノールC型(特開1988−148263)またはビスフェノールZC型(特開1990−7059号公報)ポリカーボネート樹脂を主成分として含有する感光体が提案されている。
【0013】
<ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂>
【化14】
Figure 0003722475
【0014】
<ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂>
【化15】
Figure 0003722475
【0015】
<ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂>
【化16】
Figure 0003722475
【0016】
しかしながら、本発明者らは、上記ビスフェノールC型またはビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂を主成分とするバインダー樹脂を使用して単層型感光体を作製し、前記単層型感光体を使用した画像形成装置で印写試験を実施したところ、印写枚数の増加に従い、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を使用した単層型感光体に比べて、耐摩耗性は向上するものの、耐ガス性が悪く画像かぶりが発生し、長寿命な単層型感光体あるいは画像形成装置が得られないことを明らかにした。
【0017】
そこで、本発明の目的は、耐摩耗性が極めて良好で、且つオゾンやNOx等の耐ガス性に優れた「長寿命」な単層型感光体、及びそれを使用した画像形成装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有するバインダー樹脂からなる単層型の感光層を備え、前記バインダー樹脂が一般式[1]で示される共重合ポリカーボネート樹脂と一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂を共に含有し、
一般式[1];
【化17】
Figure 0003722475
(一般式[1]中、R10、R11は同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R12、R13は同一または異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、0<a/(a+b)≦0.4、a+b=100である。)
一般式[2];
【化18】
Figure 0003722475
(一般式[2]中、R20、R21は同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、0<c/(c+d)≦0.4、c+d=100である。)
且つ、一般式[1]で示される共重合ポリカーボネート樹脂と一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂の混合比をx:yとした時、
0.1<bx/10,000<0.5、x+y=100
であることを特徴とする単層型電子写真感光体が、耐摩耗性が極めて良好で、且つオゾンやNOx等の耐ガス性に優れ長寿命であることを見出した。
【0019】
【本発明の作用】
すなわち、本発明に係る単層型感光体は、請求項1記載のように、一般式[1]で示される共重合ポリカーボネート樹脂と一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂を共に含有することを最大の特徴とする。
【0020】
本発明者らの検討では、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂に比べて、下記一般式[1−1]で示されるビフェニル型ポリカーボネート成分は、耐摩耗性、耐ガス性とも良好であるが、溶剤溶解性(例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン等)が極めて悪く感光体の製造が困難であった。
【0021】
また、一般式[1−2]で示されるビスフェノールZC型ポリカーボネート成分は、前述のように、耐摩耗性は良好であるが耐ガス性が悪い。溶剤溶解性はビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂と同様に良好であった。
【0022】
一般式[1−1]:ビフェニル型ポリカーボネート成分
【化19】
Figure 0003722475
【0023】
一般式[1−2]:ビスフェノールZC型ポリカーボネート成分
【化20】
Figure 0003722475
【0024】
本発明者らは、上記事実を総合的に判断して、種々検討した結果、一般式[1]で示される特定共重合比のビフェニル型ポリカーボネートとビスフェノールZC型ポリカーボネートの共重合体と、一般式[2]で示される特定共重合比のビフェニル型ポリカーボネートとビスフェノールZ型ポリカーボネートの共重合体を、特定の重量比でブレンドしたバインダー樹脂が溶剤溶解性に問題無く、且つ、耐摩耗性及び耐ガス性の良好な単層型感光体を得ることに成功した。
【0025】
更に請求項2記載のように、バインダー樹脂の固形分濃度が全固形分濃度に対して、50wt%以上80wt%以下であることが好ましい。
耐摩耗性向上のためには電荷輸送剤の固形分濃度を減少させ、バインダー樹脂の固形分濃度を増大させることが理想的であるが、特に、本発明の単層型感光体のように、電気特性(特に感度)の向上のために、感光層にホール輸送剤と電子輸送剤の両方を含有させる場合、電荷輸送剤の含有量は大きくなる場合が多い。
【0026】で、結果的に耐摩耗性の良好な単層型感光体が得られる。
そこで、電荷輸送剤の固形分濃度を減少させても感度の悪化を最小限に抑えるため、請求項3記載のように、ホールの輸送能力の高いホール輸送剤を使用することにより、感度が良好で、結果的に耐摩耗性の良好な単層型感光体が得られる。
【0027】
一方、請求項4記載のように、本発明の単層型感光体は、耐摩耗性、耐ガス性が極めて良好であるため、感光体ドラム廻りに、少なくとも帯電手段、露光手段、転写手段、及びブレードによるクリーニング手段を有し、前記帯電手段または転写手段の少なくとも1つがチャージャー方式であるような画像形成装置しても、印写枚数の増加にともなう感光体の電気特性の悪化が少なく、画像不具合も無い。
【0028】
【発明の実施形態】
次に、本発明に係る単層型感光体ドラム及びそれを使用した画像形成装置について詳細に説明する。
【0029】
<バインダー樹脂>本発明の単層型感光体は、前述のように、一般式[1]で示される特定共重合比のビフェニル型ポリカーボネートとビスフェノールZC型ポリカーボネートの共重合体と、一般式[2]で示される特定共重合比のビフェニル型ポリカーボネートとビスフェノールZ型ポリカーボネートの共重合体を、特定の重量比でブレンドしたバインダー樹脂を含有する。
【0030】
一般式[1]及び一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂のビフェニル型ポリカーボネート成分の重量比(一般式[1]中のa、一般式[2]中のc)は40wt%以下である必要があり、25wt%以下であることが更に好ましい。ビフェニル型ポリカーボネート成分の重量比が40wt%を越えると溶剤溶解性は極端に悪くなる。
【0031】
また、一般式[1]及び一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂のブレンド比(x:y)は、
0.1<bx/10,000<0.5、x+y=100
である必要がある。これは本発明者らが、種々の検討を行なった結果、一般式[1]及び一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂のうち、一般式[1]で示される共重合ポリカーボネート樹脂中のビスフェノールZC型ポリカーボネート成分の重量比(一般式[1]中のb)が、10wt%より大きく50wt%未満である場合に、耐摩耗性と耐ガス性を両立させることを見出し、前記関係式を得たのである。
【0032】
すなわち、
0.1<bx/[(a+b)x+(c+d)y]<0.5
ここで、a+b=c+d=x+y=100であるから、
∴0.1<bx/10,000<0.5
となる。
【0033】
ビスフェノールZC型ポリカーボネート成分の重量比(bx/10,000)が増加するに従い、前述のように感光層の耐摩耗性は良好となるが耐ガス性が悪くなり、0.1以下では耐摩耗性が、0.5以上では耐ガス性が悪化し、実使用が不可能となる。
【0034】
本発明の単層型感光体は、少なくとも、一般式[1]及び一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂を共に含有すればよく、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤の分散性、溶解性の改善や、導電性基体との接着性向上のために、他に従来から感光層に使用されている種々の樹脂をブレンドして使用することができる。
【0035】
例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。また、これらのバインダー樹脂は単独、または2種以上を共重合またはブレンドして使用できる。
【0036】
上記のように、他の従来公知のバインダー樹脂とブレンドして用いる場合は、耐摩耗性や耐ガス性に悪影響を及ぼさない範囲で使用することは言うまでもない。
【0037】
一般式[1]及び一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂、及び上記全てのバインダー樹脂の重量平均分子量は、10,000〜500,000、更には30,000〜200,000が好ましい。
【0038】
本発明の単層型感光体は、バインダー樹脂の固形分濃度が全固形分濃度に対して、50wt%以上80wt%以下であることが好ましい。バインダー樹脂の固形分濃度が増加するにともない、耐摩耗性は向上するが感度は悪化する。このため前述のように、電荷輸送剤の種類を適宣選択する必要がある。
【0039】
<電子輸送剤>本発明の単層型感光体には、従来公知の電子輸送剤を単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
従来公知の他の電子輸送剤としては、例えば、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の、電子受容性を有する種々の化合物が挙げられる。
【0041】
<ホール輸送剤>本発明の単層型感光体には、従来公知のホール輸送剤を単独または2種以上を混合して使用することができるが、特に、一般式[11]で示される化合物を含有することが好ましい。
【0042】
従来公知の他のホール輸送剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。
【0043】
<電荷発生剤>本発明の単層型感光体に使用される電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料等の、従来公知の電荷発生剤が挙げられる。
【0044】
上記例示の電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、単独または2種以上を混合して使用できる。
【0045】
上記例示の電荷発生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、請求項6記載のように、例えば無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシニン等のフタロシニン系顔料が好適に使用される。なお、上記フタロシアニン系顔料の結晶型については特に限定されず、種々のものを使用できる。
【0046】
前記例の電荷発生剤は、全バインダー樹脂重量に対して0.1〜20wt%、更には0.5〜15wt%含有させることが好ましい。
【0047】
本発明の単層型感光体の感光層膜厚は5〜100μm、更には10〜50μm程度が好ましい。
【0048】
感光層には、前述の各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル補足剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0049】
支持体と感光層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。
【0050】
感光層が形成される支持体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0051】
支持体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、支持体自体が導電性を有するか、あるいは支持体の表面が導電性を有していればよい。また、支持体は使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
【0052】
感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダー樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシエーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0053】
上記分散液を作製するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独で、または2種以上混合して用いられる。
【0054】
さらに、電荷発生剤、電荷輸送剤等の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために、界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0055】
【発明の実施形態】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0056】
<実施例、比較例>電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニンを3.5重量部、ホール輸送剤としてHTM−1を60重量部、電子輸送剤としてETM−1を30重量部、バインダー樹脂として、重量平均分子量80,000のポリカーボネート(Resin−1)と重量平均分子量80,000のポリカーボネート(Resin−2)のブレンド樹脂、または、重量平均分子量80,000のポリカーボネート(Resin−1)樹脂単独、または、重量平均分子量80,000のポリカーボネート(Resin−2)樹脂単独、それぞれ100重量部をテトラヒドロフラン750重量部とともにボールミル中で20時間分散あるいは溶解させ、単層型感光層用塗布液を調合した。そして、この塗布液を、支持体としてのアルミニウム素管上にディップコート法にて塗布し、130℃、35分間の熱風乾燥を行い、膜厚26μmの単一感光層を有する単層型感光体を作製した。
【0057】
<HTM−1>
【化21】
Figure 0003722475
【0058】
<ETM−1>
【化22】
Figure 0003722475
【0059】
<Resin−1>
【化23】
Figure 0003722475
【0060】
<Resin−2>
【化24】
Figure 0003722475
【0061】
上記各実施例、比較例の単層型感光体について、以下の評価試験を実施した。
【0062】
<耐摩耗性評価試験>
各実施例、比較例の単層型感光体を、帯電手段がチャージャー方式で、ブレードによるクリーニング手段を有するデジタル複写機(京セラミタ株式会社製「Creage7340」)に搭載し、A4横サイズ紙、50万枚の印写試験を実施し、印写試験前後の感光層の膜厚を測定し、膜厚変化量を算出した。膜厚変化量が小さいほど耐摩耗性が良好であることを示し、4.0μmを下回る場合を可、4.0μm以上を不可とした。
【0063】
<耐オゾン性評価試験>
各実施例、比較例の単層型感光体の表面電位をデジタル複写機(京セラミタ株式会社製「Creage7340」)を使用して測定し、次いで、前記単層型感光体を、暗所にてオゾン濃度15ppmの雰囲気中に、常温にて8時間暴露させ、暴露直後の表面電位を同様にして測定した。(初期表面電位)−(暴露直後の表面電位)=ΔV0とし、ΔV0が小さいほど感光体の耐オゾン性は良好で、65V以下を可、65Vを上回る場合を不可とした。
【0064】
表1に評価結果を示した。また、全バインダー樹脂中のビスフェノールZC型ポリカーボネート成分の割合(bx/10,000)と、摩耗量及びΔV0との関係を、それぞれ図1、図2に示した。
【0065】
【表1】
Figure 0003722475
【0066】
表1、図1、図2より、ビスフェノールZC型ポリカーボネート成分の割合(bx/10,000)が増加するに従い、耐摩耗性は向上し、耐ガス性は悪化した。
【0067】
また、比較例5に示すように、Resin−1において、ビフェニル型ポリカーボネート成分の重量比が40wt%を上回ると、溶剤に対して一部不溶となり感光体の作製が不可能であった。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有するバインダー樹脂からなる単層型の感光層を備え、前記バインダー樹脂が、一般式[1]で示される特定共重合比のビフェニル型ポリカーボネートとビスフェノールZC型ポリカーボネートの共重合体と、一般式[2]で示される特定共重合比のビフェニル型ポリカーボネートとビスフェノールZ型ポリカーボネートの共重合体を、特定の重量比でブレンドしたバインダー樹脂が溶剤溶解性に問題無く、且つ、耐摩耗性及び耐ガス性の良好な単層型感光体を得ることが可能であった。
【0069】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例で作製した単層型感光体のバインダー樹脂中におけるビスフェノールZC型ポリカーボネート成分の割合と、摩耗量との関係を示すグラフである。
【図2】実施例、比較例で作製した単層型感光体のバインダー樹脂中におけるビスフェノールZC型ポリカーボネート成分の割合と、ΔV0との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有するバインダー樹脂からなる単層型の感光層を備え、前記バインダー樹脂が一般式[1]で示される共重合ポリカーボネート樹脂と一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂を共に含有し、
    一般式[1];
    Figure 0003722475
    (一般式[1]中、R10、R11は同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R12、R13は同一または異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、0<a/(a+b)≦0.4、a+b=100である。)
    一般式[2];
    Figure 0003722475
    (一般式[2]中、R20、R21は同一または異なって水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、0<c/(c+d)≦0.4、c+d=100である。)
    且つ、一般式[1]で示される共重合ポリカーボネート樹脂と一般式[2]で示される共重合ポリカーボネート樹脂の混合比をx:yとした時、
    0.1<bx/10,000<0.5、x+y=100
    であることを特徴とする単層型電子写真感光体。
  2. 前記バインダー樹脂の固形分濃度が、全固形分濃度に対して、50wt%以上80wt%以下であることを特徴とする請求項1記載の単層型電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送剤が、ホール輸送剤として一般式[11]で示される化合物を含有することを特徴とする請求項1または2記載の単層型電子写真感光体。
    一般式[11];
    Figure 0003722475
    (一般式[11]中、R110、R111、R112及びR113は同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン原子を示し、m、n、p及びqは同一または異なって0〜3の整数を示す。
    また、−X−は
    Figure 0003722475
    または
    Figure 0003722475
    を示す。)
  4. 感光体ドラム廻りに、少なくとも帯電手段、露光手段、転写手段、及びブレードによるクリーニング手段を有し、前記帯電手段または転写手段の少なくとも1つがチャージャー方式であり、且つ、前記感光体ドラムが請求項1、2または3記載の単層型電子写真感光体ドラムであることを特徴とする画像形成装置。
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