JP4891000B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、有機感光体においては、その感光層に含まれる電荷輸送剤が結晶化しやすく、その結果、黒点として、画像形成されるという問題が見られた。
より具体的には、特許文献1において、下記一般式(21)で表されるブタジニエルベンゼンアミン誘導体が開示されている。
また、かかる電荷輸送剤を含んで構成された電子写真感光体を用いて、繰り返し画像形成を行った場合には、感光層における表面特性に起因して、表面に紙粉や現像剤が強固に付着する現象(以降、フィルミングと称する。)が生じやすいという問題が見られた。したがって、かかるフィルミングによって、さらに黒点が発生しやすくなるといった問題が見られた。
すなわち、本発明の目的は、いずれの使用条件下で画像形成を行った場合であっても、黒点発生を効果的に防止した電子写真感光体及びそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
すなわち、正孔輸送剤として、一般式(3)で表されるアミン化合物を用いることによって、感光層における結晶化を効果的に抑制することができる。
また、感光層に対する純水の接触角を所定の範囲とすることによって、感光層表面におけるフィルミングの発生を抑制できるばかりか、結着樹脂と特定の正孔輸送剤との相溶性を向上させて、さらに効果的に特定の正孔輸送剤の結晶化を抑制することができる。
したがって、いずれの使用条件下で画像形成を実施した場合であっても、正孔輸送剤の結晶化及びフィルミングに起因した黒点の発生を有効に防止することができる。
このように構成することにより、感光層表面における接触角の調節が容易になって、感光層表面におけるフィルミングの発生をより効果的に抑制することができるばかりか、結着樹脂と特定の正孔輸送剤との相溶性をさらに向上させることができる。
このように構成することにより、感光層表面における接触角の調節がさらに容易になるとともに、優れた耐久性を得ることができる。
このように構成することにより、感光層表面における接触角の調節がさらに容易になるとともに、優れた耐久性を得ることができる。
このように構成することにより、感光層表面における接触角の調節がさらに容易になるとともに、より優れた耐久性を得ることができる。
このように構成することにより、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂の含有割合が、比較的少量であっても、優れたフィルミング特性や耐久性を得ることができる。
すなわち、本発明の画像形成装置は、所定の電子写真感光体を備えるため、いずれの使用条件下であっても、正孔輸送剤の結晶化及びフィルミングに起因した黒点の発生を有効に防止した高品質な画像を、安定的に形成することができる。
このように構成することにより、黒点の発生を有効に抑制しつつも、画像形成装置を簡略化及び小型化することができる。
このように構成することにより、黒点の発生を有効に抑制しつつも、画像形成効率を向上させることができる。
このように構成することにより、黒点の発生を有効に抑制しつつも、画像形成装置の小型化に資することができる。
第1の実施形態は、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、正孔輸送剤として、一般式(3)で表されるアミン化合物を含むとともに、感光層に対する純水の接触角(測定温度:25℃)を100°以上の値とした電子写真感光体である。
以下、主に単層型電子写真感光体を例にとって、第1の実施形態としての電子写真感光体について、具体的に説明する。
図1(a)に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光層14を設けたものである。
また、かかる感光層は、結着樹脂と、特定の構造を有する正孔輸送剤と、電荷発生剤と、を含むとともに、さらに必要に応じて電子輸送剤、レベリング剤またはシリル基含有化合物等の添加剤を含むことができる。
また、図1(b)に示すように、導電性基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層16が形成されている単層型感光体10´でもよい。
なお、電荷輸送剤として、さらに電子輸送剤を含有させることによって、電荷発生剤と正孔輸送剤との間における電荷輸送効率を、さらに向上させることができる。
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
(1)結着樹脂
(1)−1 撥水性
結着樹脂としては、後述するように、特定の構造を有する正孔輸送剤等の特性と相俟って、感光層表面における純水の接触角を所定の範囲とすることができるものであれば、特に制限されるものではないが、好適に使用される結着樹脂としては、撥水性ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
この理由は、結着樹脂として撥水性ポリカーボネート樹脂を用いることによって、感光層表面における接触角の調節が容易になって、感光層表面におけるフィルミングの発生をより効果的に抑制することができるばかりか、結着樹脂と特定の正孔輸送剤との相溶性をさらに向上させることができるためである。
この理由は、かかる純水に対する接触角が98°未満となると、感光層における接触角の調整が困難になる場合があるためである。一方、撥水性ポリカーボネート樹脂に対する接触角が過度に大きくなると、選択可能な撥水性ポリカーボネート樹脂の種類等が過度に少なくなる場合がある。
したがって、撥水性ポリカーボネート樹脂に対する純水の接触角を98〜120°の範囲内の値とすることがより好ましく、100〜110°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかるポリカーボネート樹脂の純水に対する接触角は、樹脂濃度25%のTHF溶液をアルミニウム基板上にディップコート法にて塗布した後、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して得られる膜厚25μmの樹脂膜を対象とすることができる。そして、かかる樹脂膜の純水に対する接触角を接触角計(協和界面科学社製、FACE−CONTACT−ANGLE METER)を用いて液滴法にて測定することができる。
また、単層型感光層に用いられる溶剤以外の全成分の全体量を100重量部とした時、撥水性ポリカーボネート樹脂の含有割合を、35〜60重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる撥水性ポリカーボネート樹脂の含有割合が、35重量部未満の値となると、感光層における接触角の調整が困難になる場合があり、逆に、かかる撥水性ポリカーボネート樹脂の含有割合が、60重量部を超えると、感光層と、基材との間の密着力が極端に低下する場合があるためである。
したがって、撥水性ポリカーボネート樹脂の含有割合を、単層型感光層に用いられる結着樹脂全体量を100重量部に対して、35〜60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜55重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明の単層型感光層に用いられる撥水性ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を10,000〜60,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる粘度平均分子量を有する撥水性ポリカーボネート樹脂を用いることにより、耐久性に優れた感光体を提供することができるためである。
なお、撥水性ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計によって、極限粘度[η]を求め、Schnellの式によって、[η]=1.23×10-4M0.83より算出することができる。なお、[η]は、20℃で、塩化メチレン溶液を溶媒として、濃度(C)が6.0g/dm3となるようにポリカーボネート樹脂を溶解させて得られたポリカーボネート樹脂溶液から測定することができる。
また、撥水性ポリカーボネート樹脂が、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
この理由は、かかる構造を有するポリカーボネート樹脂であることにより、感光層における接触角の調整が容易になるばかりか、さらに優れた耐久性を得ることができるためである。
この理由は、かかる構造を有するポリカーボネート樹脂を所定量含むことにより、感光層における接触角の調整が容易になるとともに、さらに優れた耐久性を得ることができるためである。
なお、かかるモル比は、例えば、NMRによって算出することができる。
また、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂が、感光層の表面に不均一に存在していることが好ましい。より具体的には、感光層の内部や裏面と比較して、表面において多く存在していることが好ましい。
この理由は、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂が、感光層の表面に不均一に存在していることにより、比較的少量の含有割合であっても、優れたフィルミング特性や耐久性を得ることができるためである。
なお、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂が不均一に存在しているか否かについては、NMRやFT−IRチャートで算出して、比較しても良いし、あるいは、XPM等による元素分析を行なうことによっても可能である。
また、本発明に用いられる撥水性ポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記構造式(4)〜(6)のポリカーボネート樹脂(Resin−1〜3)が挙げられる。
(2)−1 種類
また、本発明に用いられる正孔輸送剤としては、上述した一般式(3)で表されるアミン化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、正孔輸送剤として、一般式(3)で表されるアミン化合物を用いることによって、感光層における結晶化を効果的に抑制することができるためである。
また、後述するように、感光層表面に対する純水の接触角を所定の範囲とすることによって、結着樹脂と特定の構造を有する正孔輸送剤との相溶性を向上させて、さらに効果的に特定の正孔輸送剤の結晶化を抑制することができるためである。
したがって、いずれの使用条件下で画像形成を実施した場合であっても、正孔輸送剤の結晶化及びフィルミングに起因した黒点の発生を有効に防止することができるのである。
すなわち、従来の正孔輸送剤では、分子構造における対称性及び平面性を向上させることによって、その正孔輸送能を向上させることができるものの、結晶化が生じやすくなるといった問題が見られた。
一方、一般式(3)で表されるアミン化合物であれば、所定の対称性及び平面性を有し、優れた正孔輸送能を備えつつも、比較的結晶化が生じにくいという特性を有している。
よって、後述するように、感光層表面に対する純水の接触角を所定の範囲とすることによって、結着樹脂と特定の構造を有する正孔輸送剤との相溶性を向上させて、さらに効果的に特定の正孔輸送剤の結晶化を抑制することができるのである。
また、一般式(3)で表される正孔輸送剤の具体例としては、下記式(9)で表される化合物(HTM−3)を挙げることができる。
また、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂の添加量を考慮して定めることが好ましい。より具体的には、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる特定の正孔輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、かかる正孔輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)−1 種類
本発明に用いられる電子輸送剤としては、従来公知の他の電子輸送剤を用いることができる。
例えば、ジフェノキノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの電子輸送剤の具体例として、下記式(10)〜(13)で表わされる化合物(ETM−A〜ETM−D)が挙げられる。
また、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、かかる全ETM/全HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかる全ETM/全HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)−1 種類
また、本発明の単層型電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
また、これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(14)〜(17)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、感光層には、上述した各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
また、単層型感光体における感光層の厚さは、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下する場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、感光層に対する純水の接触角(測定温度:25℃)を100°以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、感光層表面に対する純水の接触角を所定の範囲とすることによって、感光層表面におけるフィルミングの発生を抑制できるばかりか、結着樹脂と上述した特定の構造を有する正孔輸送剤との相溶性を向上させて、さらに効果的に特定の正孔輸送剤の結晶化を抑制することができるためである。
すなわち、感光層表面に対する純水の接触角を所定の範囲とすることによって、感光層表面に残留した紙粉や現像剤を、クリーニング手段によって除去することが容易となり、フィルミングの発生を効果的に抑制することができるためである。
また、正孔輸送剤の項において上述したように、感光層表面に対する純水の接触角を所定の範囲とすることによって、特定の正孔輸送剤の結晶化を、さらに向上させることができる。
したがって、いずれの使用条件下で画像形成を実施した場合であっても、正孔輸送剤の結晶化及びフィルミングに起因した黒点の発生を有効に防止することができる。
なお、感光層に対する接触角が過度に大きくなると、選択可能な撥水性ポリカーボネート樹脂の種類等が過度に少なくなる場合がある。
したがって、感光層に対する純水の接触角を102〜120°の範囲内の値とすることがより好ましく、103〜110°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、感光層表面における純水の接触角の測定方法は、後の実施例1において詳述する。
かかる図2から容易に理解できるように、感光層に対する接触角が100°以上の値になると、黒点発生数が安定的に60(個/A4紙)以下の値を維持することができるようになる。よって、感光層に対する接触角を、100°以上の値に制御することにより、黒点発生を効果的に抑制できることがわかる。
単層型電子写真感光体の製造方法としては、特に制限されるものではないが、以下のような手順で実施することができる。
まず、溶剤に特定の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂、添加剤等を含有させて塗布液を作成する。このようにして得られた塗布液を、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて導電性基材(アルミニウム素管)上に塗布する。
その後、例えば100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、所定膜厚の感光層を有する単層型電子写真感光体を得ることができる。
なお、分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4-ジオキサン、等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。このとき、さらに、電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
この中間層を形成するにあたり、結着樹脂、必要に応じて添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を適当な分散媒とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して塗布液を調整し、これを公知の手段、例えばブレード法、浸漬法、スプレー法により塗布して、熱処理を施し中間層を形成する。
また、添加剤は製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する等の目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することができる。
次いで、得られた塗布液を、公知の製造方法に準じて、例えば、支持基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて塗布することができる。
その後、基体上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、図3に示すように、電荷発生剤を含む電荷発生層24と、電荷輸送剤及び結着樹脂を含む電荷輸送層22と、からなる積層型の感光層20であることも好ましい。
この積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製することができる。
また、上述した構造とは逆に、図3(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図3(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
また、単層型感光体の場合と同様に、基体上に中間層25を形成することも好ましい。
この積層型感光層20において、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層については、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmの厚さであり、電荷輸送層については、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜50μmの厚さである。
第2の実施形態は、第1の実施形態としての電子写真感光体を備えるとともに、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段をそれぞれ配置することを特徴とした画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態としての画像形成装置について説明する。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット33において、光源33aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子33bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である感光体ドラム41が備えられており、さらに、この感光体ドラム41の周囲には、帯電器42、露光器43、現像器44、及び転写ローラ45が、感光体ドラム41の回転方向に沿って配置されている。
この静電潜像に基づき、現像器44によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。
なお、感光体ドラム41として、第1の実施形態で説明した電子写真感光体を用いることを特徴とする。
通常、このようなクリーナーレスシステムの画像形成装置であれば、紙粉及びシリカ等を完全に回収することが難しく、感光体に紙粉及びシリカの付着が比較的多くなる場合があり、黒点及び黒筋が発生しやすいという問題が生じやすくなる。一方、本発明の画像形成装置によれば、所定の電子写真感光体を搭載しているため、現像手段が現像同時クリーニング方式であっても、フィルミングの発生を効果的に防ぐことができる。したがって、黒点の発生を有効に抑制しつつも、画像形成装置を簡略化及び小型化することができる。
このようなドラム回転速度にすることにより、搬送経路における紙への負荷が大きくなり、そのため紙粉が発生しやすくなる。そのため、感光体への紙粉の付着が多くなり、画像に黒点及び黒筋等が発生しやすくなるという問題が生じる。一方、かかる画像形成装置は、所定の電子写真感光体を搭載しているため、黒点の発生を有効に抑制しつつも、画像形成効率を向上させることができる。
この理由は、ドラム直径が10mm未満となると、感光層の導電性基材から剥がれやすくなる場合があるためであり、逆に、ドラムの直径が30mmを超えると、画像形成装置の小型化が難しくなる場合があるためである。
したがって、感光体に用いられているドラムの直径を12〜25mmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜24mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
1.電子写真感光体の作成
容器内に、電荷発生剤として、式(14)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を4重量部と、正孔輸送剤として式(7)で表されるスチルベン誘導体(HTM−1)を50重量部と、電子輸送剤として式(10)で表されるナフトキノン誘導体(ETM−A)を30重量部と、結着樹脂として式(4)で表される粘度平均分子量が30,000のポリカーボネート樹脂(Resin−1)を100重量部と、溶媒としてテトラヒドロフランを800重量部と、を収容した。
次いで、ボールミルにて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、長さ254mm、直径16mmの基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する単層型電子写真感光体を得た。
(1)電子写真感光体の感光層における接触角測定
得られた電子写真感光体の感光層の純水に対する接触角(測定温度:25℃)を、接触角計(協和界面科学社製、FACE−CONTACT−ANGLE METER)を用いて液滴法にて測定した。得られた結果を表1に示す。
次いで、得られた電子写真感光体を、プリンタ(京セラミタ製、DP−560)に装着し、40℃、90%Rhの環境条件で、A4紙(富士ゼロックス製上質PPC用紙)を5000枚連続印刷した。その後、6時間放置した後、A4紙の白紙原稿を印字して、そのA4紙上に発生した黒点の発生数を計数するとともに、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:A4紙1枚あたりに黒点の発生が50個未満である。
○:A4紙1枚あたりに黒点の発生が50個以上、80個未満である。
△:A4紙1枚あたりに黒点の発生が80個以上、100個未満である。
×:A4紙1枚あたりに黒点の発生が100個以上である。
参考例2〜3においては、表1に示すように、参考例1で使用した結着樹脂(Reisn−1)のかわりに、式(5)〜(6)で表される粘度平均分子量がそれぞれ30,000である結着樹脂(Resin−2〜3)をそれぞれ用いたほかは、参考例1と同様に単層型感光体を作成して評価した。得られた結果は表1に示す。
参考例4、実施例5においては、表1に示すように、参考例1で使用した正孔輸送剤(HTM−1)のかわりに、式(8)〜(9)で表される化合物(HTM−2〜3)をそれぞれ用いたほかは、参考例1と同様に単層型感光体を作成して評価した。得られた結果は表1に示す。
比較例1〜3においては、表1に示すように、参考例1で使用した結着樹脂(Reisn−1)のかわりに、下記式(18)〜(20)で表される粘度平均分子量がそれぞれ30,000である結着樹脂(Resin−4〜6)をそれぞれ用いたほかは、参考例1と同様に単層型感光体を作成して評価した。得られた結果は表1に示す。
したがって、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における低コスト化、高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
12:導電性基体
14:感光層
16:バリア層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
30:複写機
31:画像形成ユニット
31a:画像形成部
31b:給紙部
32:排紙ユニット
33:画像読取ユニット
33a:光源
33b:光学素子
34:原稿給送ユニット
34a:原稿載置トレイ
34b:原稿給送機構
34c:原稿排出トレイ
41:感光体ドラム
42:帯電器
43:露光源
44:現像器
45:転写ローラ
Claims (10)
- 結着樹脂と、正孔輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光層を備えた電子写真感光体であって、
前記正孔輸送剤として、下記一般式(3)で表されるアミン化合物を含むとともに、
前記感光層に対する純水の接触角(測定温度:25℃)を100°以上の値とすることを特徴とする電子写真感光体。
(一般式(3)中、R 1 〜R 12 は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のフェノキシ基、または置換または非置換の炭素数6〜30のアラルキル基であり、m1、m2、n1、n2は、0または1であり、m1+n1は、1または2であり、m2+n2は、1または2である。) - 前記結着樹脂が、撥水性ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記撥水性ポリカーボネート樹脂に対する純水の接触角(測定温度:25℃)を98°以上の値とすることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記撥水性ポリカーボネート樹脂として、シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の電子写真感光体。
- 前記シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂の全体量を100mol%とした場合、シロキサン構造を有する単位の含有割合を0.1〜20mol%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記シロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂が、前記感光層の表面に不均一に存在していることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段をそれぞれ配置することを特徴とする画像形成装置。
- 前記現像手段が、現像同時クリーニング方式であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置において、電子写真感光体のドラム回転速度を100mm/sec以上の値とすることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置において、電子写真感光体のドラム直径を10〜30mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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