JP3124056B2 - ジナフトキノン誘導体を用いた感光体 - Google Patents

ジナフトキノン誘導体を用いた感光体

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JP3124056B2
JP3124056B2 JP03073069A JP7306991A JP3124056B2 JP 3124056 B2 JP3124056 B2 JP 3124056B2 JP 03073069 A JP03073069 A JP 03073069A JP 7306991 A JP7306991 A JP 7306991A JP 3124056 B2 JP3124056 B2 JP 3124056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光体における電荷輸
送材料として好適なジナフトキノン誘導体およびそれを
用いた感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機等の画像形成装置における
感光体として、加工性および経済性に優れ、機能設計の
自由度が大きい有機感光体が広く使用されている。ま
た、感光体を用いて複写画像を形成する場合には、カー
ルソンプロセスが広く利用されている。カールソンプロ
セスは、コロナ放電により感光体を均一に帯電させる帯
電工程と、帯電した感光体に原稿像を露光し、原稿像に
対応した静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像をト
ナーを含有する現像剤で現像し、トナー像を形成する現
像工程と、トナー像を紙等に転写する転写工程と、転写
されたトナー像を定着させる定着工程と、転写工程後、
感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程
とを含んでいる。このカールソンプロセスにおいて、高
品質の画像を形成するには、感光体が帯電特性および感
光特性に優れており、かつ露光後の残留電位が低いこと
が要求される。
【0003】従来より、セレンや硫化カドミウム等の無
機光導電体が感光体材料として公知であるが、これらは
毒性があり、しかも生産コストが高いという欠点があ
る。そこで、これらの無機物質に代えて、種々の有機物
質を用いた、いわゆる有機感光体が提案されている。か
かる有機感光体は、露光により電荷を発生する電荷発生
材料と、発生した電荷を輸送する機能を有する電荷輸送
材料とからなる感光層を有する。
【0004】かかる有機電子写真感光体に望まれる各種
の条件を満足させるためには、これら電荷発生材料と電
荷輸送材料との選択を適切に行う必要がある。電荷輸送
材料としては、従来から種々の物質が研究され、ポリビ
ニルカルバゾール、オキサジアゾール系化合物、ピラゾ
リン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の多くの物質が提
案されている。これらの電荷輸送材料はホール輸送材料
であるため、現在、有機電子写真感光体の主流となって
いる機能分離型感光体では必然的に負帯電プロセスが要
求される。しかしながら、負極性コロナ放電は本質的に
不安定であり、かつオゾン発生による感光体の劣化、使
用環境の汚染等の問題を有している。これらの問題を解
決するには、電荷輸送材料として電子輸送材料を用いた
正帯電で動作する有機電子写真感光体を採用すれば良
く、電子輸送材料としては特開平1−206349号公
報に記載されているジフェノキノン構造を有する化合物
が提案されている。このものは非局在化したπ電子系を
有する電子受容体であり、アニオンラジカル状態が関与
する電子移動反応により電子を輸送することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
下記式(I)で示される置換基で構成された従来のジフ
ェノキノン系化合物では、感光体を構成する結着樹脂と
の相溶性が低く、従って量的に多量のジフェノキノン系
化合物を感光層内に含有させることができないため、充
分な感度が得られないという欠点がある。
【0006】
【化3】
【0007】また、上記ジフェノキノン系化合物は昇華
性を有するため、経時的に感度が低下するおそれもあっ
た。すなわち、ジフェノキノン系化合物の特性は、置換
基のつき方や種類に大きく影響されるものである。本発
明の目的は、電荷輸送材料として好適に使用でき、かつ
昇華性を抑えたジナフトキノン誘導体と、それを用いた
高感度でかつ繰り返し特性に優れた感光体とを提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明のジナ
フトキノン誘導体は、下記一般式(1) :
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5
6 、R7 、R8 、R9 およびR10は同一または異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基
またはハロゲン置換アルキル基を示す。)で表されるこ
とを特徴としている。また、上記の目的を達成するため
の本発明の感光体は、導電性基体上に、上記一般式(1)
で表されるジナフトキノン誘導体を含有する感光層を有
することを特徴としている。
【0011】かかる本発明のジナフトキノン誘導体は、
従来のジフェノキノン系化合物に比べて共役系が広げら
れているため、移動度が向上する。また、ジフェノキノ
ン系化合物に比して、ジナフトキノン誘導体は分子量が
増大しているので、結着樹脂との相溶性が向上する。特
に、置換基としてハロゲン置換アルキル基を使用する
と、昇華性が低く抑えられる。
【0012】前記アルキル基としては、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基等の炭素数1〜6の低級アルキル基があげられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル
基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基があ
げられる。
【0013】ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素があげられる。前記一般式(1) で表されるジ
ナフトキノン誘導体の具体例としては、例えば以下の式
(2) 〜(5) に示すものがあげられる。
【0014】
【化5】
【0015】これらのうち、式(3) の化合物は、トリハ
ロゲン化メチル基であるハロゲン置換アルキル基を置換
基として有するため、感光体を形成する結着樹脂との相
溶性に優れている。また、式(4),(5) の化合物は、置換
基が非対象な位置に置換しているので、同様に結着樹脂
との相溶性に優れている。本発明のジナフトキノン誘導
体は、種々の方法で合成することが可能であり、例え
ば、下記の反応式により得ることができる。
【0016】
【化6】
【0017】(式中、R1 は前記と同じである。)この
反応式は、Meneger らの方法(Meneger et.al., J.Org.
Chem., 50, 3927(1985) ) を用いたものであり、式(a)
で表されるナフトール系化合物を有機溶媒に溶解し、酸
化剤にて酸化することにより、本発明のジナフトキノン
誘導体(1')を得る。
【0018】有機溶媒としては、例えばクロロホルム、
ジクロロメタン等が使用でき、酸化剤としては、例えば
過マンガン酸カリウム等が使用できる。反応は50〜5
5℃の温度で加熱することによって行われる。酸化剤の
使用量は、ナフトール系化合物の1モルに対して4モル
以上が適当である。本発明における感光層は、電荷輸送
材料として、前記一般式(1) で表されるジナフトキノン
誘導体の1種または2種以上を含有する。
【0019】本発明における感光層には、電荷発生材
料、電荷輸送材料である前記一般式(1) で表される化合
物および結着樹脂を混合した単層型と、電荷発生層およ
び電荷輸送層を積層した積層型とがあるが、本発明の感
光層はいずれにも適用可能である。単層型の感光体を得
るには、電荷輸送材料である前記一般式(1) で表される
化合物と電荷発生材料と結着樹脂等とを含有する感光層
を導電性基体上に形成すればよい。
【0020】また、積層型の感光体を得るには、導電性
基体上に、蒸着または、塗布等の手段により電荷発生材
料を含有する電荷発生層を形成し、この電荷発生層上
に、電荷輸送材料である前記一般式(1) で表される化合
物と結着樹脂とを含有する電荷輸送層を形成すればよ
い。また、上記とは逆に、導電性基体上に上記と同様の
電荷輸送層を形成し、次いで蒸着または塗布等の手段に
より電荷発生材料を含有する電荷発生層を形成してもよ
い。さらに、電荷発生層を電荷発生材料と電荷輸送材料
とを結着樹脂中に分散して塗布することにより形成して
もよい。
【0021】電荷発生材料としては、従来より使用され
ているセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、アモル
ファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系化合物、ジスア
ゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、アンサンスロン
系化合物、ペリレン系化合物、インジゴ系化合物、トリ
フェニルメタン系化合物、スレン系化合物、トルイジン
系化合物、ピラゾリン系化合物、ペリレン系化合物、キ
ナクリドン系化合物、ピロロピロール系化合物等があげ
られる。これらの電荷発生材料は、所望の領域に吸収波
長域を有するように、1種または2種以上を混合して使
用することができる。
【0022】電荷輸送材料である前記一般式(1) で表さ
れるジナフトキノン誘導体は、単独で使用する他、従来
公知の他の電荷輸送材料と組み合わせて使用することが
できる。従来公知の電荷輸送材料としては、種々の電子
吸引性化合物、電子供与性化合物を用いることができ
る。上記電子吸引性化合物としては、例えば、2,6−
ジメチル−2′,6′−ジtert−ジブチルジフェノ
キノン等のジフェノキノン誘導体、マロノニトリル、チ
オピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8
−トリニトロチオキサントン、3,4,5,7−テトラ
ニトロ−9−フルオレノン、ジニトロベンゼン、ジニト
ロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラ
キノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水
マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等が例示される。
【0023】また、電子供与性化合物としては、2,5
−ジ(4−メチルアミノフェニル)、1,3,4−オキ
サジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4
−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル
系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系
化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン
化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化
合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合
物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イ
ミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾー
ル系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物が
例示される。
【0024】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上混合して用いられる。なお、ポリビニルカルバゾー
ル等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合には、
結着樹脂は必ずしも必要ではない。上記感光層、電荷発
生層および電荷輸送層における結着樹脂としては、種々
の樹脂を使用することができる。例えばスチレン系重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポ
リエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹
脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポ
リアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹
脂、ケトン樹脂、ホリビニルブチラール樹脂、ポリエー
テル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、そ
の他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレー
ト、ウレタン−アクリレート等の光硬化性樹脂等があげ
られる。これらの結着樹脂は1種または2種以上を混合
して用いることができる。
【0025】また、塗布手段により電荷発生層および電
荷輸送層を形成する場合には、塗布液をつくるために溶
剤が使用される。この溶剤としては、種々の有機溶剤が
使用可能で、例えばメタノール、エタノール、イソプロ
パノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサ
ン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジ
クロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチル
エーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸
メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげら
れる。これらの溶剤は1種または2種以上を混合して用
いることができる。
【0026】また、電荷発生層の感度を向上させるため
に、例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナ
フチレン等の公知の増感剤を上記電荷発生材料と共に使
用してもよい。さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の
分散性、染工性等をよくするために界面活性剤、レベリ
ング剤等を使用してもよい。
【0027】上記導電性基体としては、導電性を有する
種々の材料を使用することができ、例えばアルミニウ
ム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、ク
ロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、イ
ンジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金
属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨ
ウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆
されたガラス等が例示される。
【0028】導電性基体はシート状、ドラム状等のいず
れであってもよく、基体自体が導電性を有するか、ある
いは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導
電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有する
ものが好ましい。積層型感光体において、電荷発生層を
構成する電荷発生材料と結着樹脂とは、種々の割合で使
用することができるが、結着樹脂100部(重量部、以
下同じ)に対して、電荷発生材料5〜500部、特に1
0〜250部の割合で用いるのが好ましい。また、電荷
発生層は、適宜の膜厚を有していてもよいが、0.01
〜5μm、特に0.1〜3μm程度に形成されるのが好
ましい。
【0029】電荷輸送層を構成する上記一般式(1) で表
されるジナフトキノン誘導体(電荷輸送材料)と前記結
着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化
しない範囲で、種々の割合で使用することができるが、
光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送でき
るように、結着樹脂100部に対して、上記一般式(1)
で表されるジナフトキノン誘導体を25〜200部、特
に50〜150部の割合で用いるのが好ましい。また、
電荷輸送層は、2〜100μm、特に5〜30μm程度
に形成されるのが好ましい。
【0030】単層型の感光体においては、結着樹脂10
0部に対して電荷発生材料は2〜20部、特に3〜15
部、上記一般式(1) で表されるジナフトキノン誘導体
(電荷輸送材料)は40〜200部、特に50〜150
部であるのが適当である。また、単層型の感光層の厚さ
は10〜50μm、特に15〜30μm程度であるのが
好ましい。
【0031】単層型電子写真用感光体にあっては、上記
導電性基体と感光層との間に、また、積層型感光体にあ
っては、上記導電性基体と電荷発生層との間や、導電性
基体と電荷輸送層との間および電荷発生層と電荷輸送層
との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が
形成されていてもよく、感光体の表面には、保護層が形
成されていてもよい。
【0032】上記電荷発生層および電荷輸送層を、塗布
の方法により形成する場合には、電荷発生材料等と結着
樹脂等を公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミ
ル、アトライタ、ペイントシェーカーあるいは超音波分
散器等を用いて分散混合して塗布液を調製し、これを公
知の手段により塗布、乾燥すればよい。なお、上述した
ように、電荷発生層は上記電荷発生材料を蒸着すること
により形成してもよい。
【0033】なお、本発明の化合物(1) の異性体である
下記構造式のジナフトキノン及びその誘導体も同様の用
途に使用しうるものである。
【0034】
【化7】
【0035】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
詳細に説明する。実施例1 <前記式(2) で表されるジナフトキノン誘導体の合成>
Meneger et.al., J.Org.Chem., 50 3927 (1985)に記載
の方法に従って、反応を行わせた。すなわち、2−te
rt−ブチル−1−ナフトール4.81g(24mmo
l)をクロロホルム50mlに溶解させ、さらにそこに
酸化剤として過マンガン酸カリウム15g(96mmo
l)を加えて縣濁させ、51℃で2時間攪拌した。つい
で、反応混合物から不純物をろ別した後、溶媒を留去し
て反応混合物(赤褐色固体)を得た。ついで、この反応
混合物をエタノール可溶分と不溶分とに分け、前者をエ
タノールから再結晶化し、60℃で減圧乾燥して、上記
式(2) で表されるジナフトキノン誘導体(以下、ジナフ
トキノン誘導体2)を得た。
【0036】このジナフトキノン誘導体2は紫褐色針状
結晶であり、収量は7.90g、収率は83%であっ
た。また、同誘導体2の元素分析を行ったところ、以下
のような結果が得られた。 元素分析値:C28282 として 計算値(%)C84.82 H7.12 実測値(%)C84.59 H6.97実施例2 <前記式(3) で表されるジナフトキノン誘導体の合成>
2−tert−ブチル−1−ナフトールの代わりに、2
−トリフルオロメチル−1−ナフトールを5.09g
(24mmol)用いた他は、上記実施例1と同様にし
て、上記式(3) で表されるジナフトキノン誘導体(以
下、ジナフトキノン誘導体3)を得た。
【0037】このジナフトキノン誘導体3は紫褐色針状
結晶であり、収量は7.09g、収率は70.3%であ
った。また、同誘導体3の元素分析を行ったところ、以
下のような結果が得られた。 元素分析値:C28102 6 として 計算値(%)C62.87.H2.40 実測値(%)C62.80 H2.30実施例3 <前記式(4) で表されるジナフトキノン誘導体の合成>
α−ナフトール2.16g(15mmol)と、2−t
ert−ブチル−1−ナフトール3.00g(15mm
ol)とを、クロロホルム65mlに溶解させ、さらに
そこに酸化剤として過マンガン酸カリウム19g(12
0mmol)を加えて縣濁させ、51℃で2時間攪拌し
た。ついで、反応混合物から不純物をろ別した後、溶媒
を留去して反応混合物を得た。ついで、この反応混合物
をエタノール可溶分と不溶分とに分け、前者をエタノー
ルから再結晶化し、さらにカラムクロマトグラフィーな
精製して、上記式(4) で表されるジナフトキノン誘導体
(以下、ジナフトキノン誘導体4)を得た。
【0038】このジナフトキノン誘導体4は暗褐色針状
結晶であり、収量は1.03g、収率は20.2%であ
った。また、同誘導体4の元素分析を行ったところ、以
下のような結果が得られた。 元素分析値:C24192 として 計算値(%)C84.68.H5.92 実測値(%)C84.73 H5.83実施例5 <前記式(5) で表されるジナフトキノン誘導体の合成>
2−tert−ブチル−1−ナフトールの代わりに、2
−トリフルオロメチル−1−ナフトールを3.18g
(15mmol)用いた他は、上記実施例3と同様にし
て、上記式(5) で表されるジナフトキノン誘導体(以
下、ジナフトキノン誘導体5)を得た。
【0039】このジナフトキノン誘導体5は紫褐色針状
結晶であり、収量は0.94g、収率は17.8%であ
った。また、同誘導体5の元素分析を行ったところ、以
下のような結果が得られた。 元素分析値:C27102 3 として 計算値(%)C71.59.H3.15 実測値(%)C71.67 H3.32実施例6〜9および比較例1(積層型感光体) 電荷発生材料としての無金属フタロシアニン(X型H2
Pc)1部、ポリビニルブチラール樹脂1部(電荷発生
材料:樹脂=1:1)、テトラヒドロフラン120部
を、ジルコニアビーズを用いたペイントシェーカーにて
2時間分散させた。得られた分散液をアルミニウムシー
ト上にワイヤーバーを用いて塗工し、100℃で1時間
乾燥し、0.5μmの電荷発生層を得た。
【0040】この電荷発生層上に電子輸送材料75部、
ポリカーボネート樹脂100部(電子輸送材料:樹脂=
0.75:1)を所定量のトルエンに溶解した溶液をワ
イヤーバーにて塗工し、100℃で1時間乾燥し、22
μmの電荷輸送層を形成し、感光体を得た。実施例6〜
9で使用した電荷輸送材料は、表1および表2において
前述の具体例で示した誘導体の番号で示した。
【0041】比較例1(積層型感光体) 電荷輸送材料として、前記式(I) の公知化合物を樹脂1
00部に対して30部の割合で用いた他は、上記実施例
と同様にして積層型感光体を得た。実施例10〜13および比較例2(単層型感光体) メタルフリーフタロシアニン1部、ポリカーボネート樹
脂100部、テトラヒドロフラン500部、ホール輸送
材料としてのN,N,N’,N’−テトラキス(3−メ
チルフェニル)−1,3−ジアミノベンゼン50部およ
び電子輸送材料40部からなる分散液を、アルマイト加
工を施したアルミニウムシリンダ上に塗布し、乾燥させ
て、膜厚が20μmの感光層を形成し、感光体を得た。
このとき使用した電子輸送材料は、表1および表2にお
いて、前記実施例と同様にそれぞれの化学構造式の番号
で表した。
【0042】(評価試験)各実施例および比較例で得た
感光体の表面電位、残留電位、および半減露光量(E
1/2 )を川口電気社製の「EPA8100」にて測定し
た。光源としてはキセノンランプを用い、モノクロメー
タで650nm、10μW/cm2 の光を取り出し、感
光体に照射した。
【0043】測定条件は以下の通りである。 光:650nm、10μW/cm2 暗減衰:1sec 光減衰:10sec 表面電位:(±)700V付近となるように流れ込み電
流値を調整した。
【0044】残留電位測定:露光開始後5秒後に測定開
始した。 積層型感光体(実施例6〜9および比較例1)の試験結
果を表1に、単層型感光体(実施例10〜13および比
較例2)の試験結果を表2にそれぞれ示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】これらの試験結果から、各実施例6〜13
の感光体は、比較例1,2の感光体に比べて感度が著し
く改善されていることがわかる。
【0048】
【発明の効果】以上のように、この発明のジナフトキノ
ン誘導体は高い電子受容性を有し、電荷輸送材料として
好適に使用できる。また、このジナフトキノン誘導体を
電荷輸送材料として用いることにより、光安定性に優
れ、高感度でかつ繰り返し特性に優れた感光体を得るこ
とができる。
フロントページの続き (56)参考文献 Chem.Ber.Vol.121,N o.11,p2045−7(1988) Org.Prep.Prosed.I nt.Vol.14,No6,p418−24 (1982) Chemosphere Vol. 9,No2,p99−103(1980) J.Electroanal.Che m.Iterfacial Elect rochem.Vol.35,p405−14 (1972) Bull.Natl.Inst.Sc i.India Vol.31,p167− 78(1965) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/06 376 C07C 49/697 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に、下記一般式(1)で表わ
    されるジナフトキノン誘導体を含有する感光層を有する
    ことを特徴とする感光体。 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
    9およびR10は同一または異なって、水素原子、ハロゲ
    ン原子、アルキル基、アリ−ル基またはハロゲン置換ア
    ルキル基を示す。)
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