JPWO2018061368A1 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

電子写真感光体(1)は、導電性基体(2)と、感光層(3)とを備える。感光層(3)は、単層型感光層である。感光層(3)は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、酸無水物とを含む。酸無水物は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される。一般式(1)及び(2)中、Ra、Rb、Rc及びRdは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、第一置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、第二置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は第三置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。一般式(3)中、Xは、メチレン基又は酸素原子を表す。【化1】【化2】【化3】【選択図】図1A

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター、又は複合機)において用いられる。一般に、電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤(より具体的には、正孔輸送剤又は電子輸送剤)、及びこれらを結着させる樹脂(バインダー樹脂)を含有する。例えば、電子写真感光体は、電荷発生剤と電荷輸送剤とを同一の層(感光層)に含有し、電荷発生と電荷輸送との両方の機能を同一の層に備える。このような電子写真感光体は、単層型電子写真感光体と呼ばれる。
特許文献1には、有機光電変換膜が記載されている。有機光電変換膜は、例えば、光センサー、又は太陽電池に使用される。有機光電変換膜は、p型物質層と、n型物質層とを備える。n型物質層は1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物から形成される。
特開2009−290190号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、電子写真感光体によるトナー像の転写性を向上させることは不十分であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー像の転写性に優れる電子写真感光体を提供することである。また、本発明の別の目的は、画像不良を抑制するプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
本発明の電子写真感光体は導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、単層型感光層である。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、酸無水物とを含む。前記酸無水物は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される。
Figure 2018061368
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前記一般式(1)及び前記一般式(2)中、Ra、Rb、Rc及びRdは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、第一置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、第二置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は第三置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。前記第一置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される。前記第二置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される。第三置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される。前記一般式(3)中、Xは、メチレン基又は酸素原子を表す。
本発明のプロセスカートリッジは、上述した電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記像担持体は、上述の電子写真感光体である。前記帯電部は、前記像担持体の表面を帯電する。前記帯電部の帯電極性は、正極性である。前記露光部は、帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記トナー像を前記像担持体から転写体へ転写する。
本発明の電子写真感光体は、トナー像の転写性に優れる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、画像不良を抑制することができる。
第一実施形態に係る電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。 第一実施形態に係る電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。 第一実施形態に係る電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。 第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。 画像不良が発生した画像を示す模式図である。 評価用画像を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数6以上14以下のアリール基は、何ら規定していなければ、それぞれ次の意味である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基又はネオペンチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
<第一実施形態:電子写真感光体>
第一実施形態に係る電子写真感光体(以下、「感光体」と記載することがある)は、トナー像の転写性に優れる。その理由は以下のように推測される。
まず、便宜上、転写性の低下について説明する。電子写真方式の画像形成装置は、例えば、像担持体(感光体)と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。転写部は、トナー像を感光体から転写体へ転写する。この転写部によって実行される転写工程において、感光体の露光領域の表面電位が低下し0V未満となると、感光体から転写体へのトナー像の転写性が低下することがある。このようなトナー像の転写性の低下は、特に高温高湿環境下で発生し易い。
第一実施形態に係る感光体では、感光層は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される酸無水物(以下、それぞれ酸無水物(1)〜(3)と記載することがある)を含む。酸無水物(1)〜(3)は、フタル酸誘導体又は1,8−ナフタレンジカルボン酸誘導体の無水物であって、分子量が比較的小さくかつ非対称構造を有するため、感光層用塗布液の溶媒に溶解し易く、感光層中に分散し易い。第一実施形態に係る感光体では、感光層が適度な電気抵抗を有する傾向にある。その結果、第一実施形態に係る感光体は、表面電位及び静電潜像が安定的に保持され易い。よって、第一実施形態に係る感光体は、トナー像の転写性に優れると考えられる。
トナー像の転写性は、画像により評価することができる。また、トナー像の転写性は、転写後の露光領域の感光体の表面電位により評価することができる。これらの評価方法は、実施例で詳細に説明する。ここで、転写後の感光体の表面電位を説明する。感光体の表面電位は、後述する第二実施形態に係る画像形成装置において転写部がトナー像を感光体の表面から転写体へ転写した後、帯電部が次周回の感光体の表面を帯電する前に測定される。次周回とは、画像形成工程における感光体の周回を基準周として感光体の次の画像形成工程の周回を意味する。感光体の表面電位は、正の値であってその絶対値が小さい場合、トナー像の転写性に優れることを示す。感光体の表面電位は、−50V以上であることが好ましく、0V以上であることがより好ましく、0V以上+90V以下であることがより好ましく、0V以上+70V以下であることが更に好ましい。感光体の表面電位が0V以上である場合、正帯電トナーと感光体表面の露光領域との間で静電的引力が作用しにくいため、トナー像は感光体から転写体へ転写し易い。
図1A〜図1Cを参照して、感光体について説明する。図1A〜図1Cは、感光体1の構造を示す概略断面図である。感光体1は、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、単層型感光層である。感光層3は、導電性基体2上に直接又は間接に設けられる。例えば、図1Aに示すように、導電性基体2上に感光層3が直接設けられてもよい。例えば、図1Bに示すように、導電性基体2と感光層3との間に中間層4が設けられてもよい。また、図1A及び図1Bに示すように、感光層3が最外層として露出してもよい。図1Cに示すように、感光層3上に保護層5が備えられてもよい。以下、導電性基体、感光層及び中間層を説明する。また、感光体の製造方法も説明する。
[1.導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体としては、少なくとも表面部が導電性を有する材料(以下、導電性材料と記載することがある)で構成される導電性基体を用いることができる。導電性基体の一例としては、導電性材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができる。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚みは、導電性基体の形状に応じて、適宜選択することができる。
[2.感光層]
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、酸無水物(1)〜(3)の何れか一種とを含む。感光層は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。以下、酸無水物、電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び添加剤を説明する。
(2−1.酸無水物)
酸無水物(1)〜(3)は、それぞれ一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される。
Figure 2018061368
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一般式(1)及び一般式(2)中、Ra、Rb、Rc及びRdは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、第一置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、第二置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は第三置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。第一置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される。第二置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される。第三置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される。一般式(3)中、Xは、メチレン基又は酸素原子を表す。
一般式(1)〜(2)中、Ra〜Rdが表すハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
一般式(1)〜(2)中、Ra〜Rdが表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有してもよい。Ra〜Rdが表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基の置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基である。
一般式(1)〜(2)中、Ra〜Rdが表す炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、置換基を有してもよい。Ra〜Rdが表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基の置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基である。
一般式(1)〜(2)中、Ra〜Rdが表す炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。Ra〜Rdが表す炭素原子数6以上14以下のアリール基の置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される置換基である。
一般式(1)中、Ra及びRbは、水素原子を表し、一般式(2)中、Rc及びRdは、水素原子又はハロゲン原子を表すことが好ましく、水素原子又は塩素原子がより好ましい。
酸無水物の具体例としては、化学式(ADD−1)、化学式(ADD−2)、化学式(ADD−3)、化学式(ADD−4)、化学式(ADD−5)又は化学式(ADD−6)で表される化合物(以下、それぞれ酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018061368
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酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)のうち、酸無水物(ADD−1)又は(ADD−6)が好ましい。酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)のうち、感光体によるトナー像の転写性を更に向上させる観点から、酸無水物(ADD−1)、(ADD−4)又は(ADD−5)が好ましい。
酸無水物(1)〜(3)の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上7.00質量部以下であることがより好ましく、0.02質量部以上4.00質量部以下であることが更に好ましく、0.02質量部以上0.07質量以下であることが特に好ましい。酸無水物の含有量がバインダー樹脂100質量部に対して0.02質量部以上7.00質量部以下であると、感光体は、トナー像の転写性に優れ、かつ感度特性にも優れる。酸無水物の含有量がバインダー樹脂100質量部に対して0.02質量部以上4.00質量部以下であると、感光体は、トナー像の転写性が更に向上する。
(2−2.電荷発生剤)
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(CGM−1)で表される無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−2)で表されるチタニルフタロシアニン、又は酸化チタン以外の金属が配位したフタロシアニン(より具体的には、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン等)が挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型又はY型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 2018061368
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無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型結晶、β型結晶又はY型結晶が挙げられる。感光層が酸無水物(1)〜(3)の何れか一種を含む場合、これらの電荷発生剤のうち、フタロシアニン顔料が好ましく、無金属フタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニンが更に好ましい。
所望の領域に吸収波長を有する電荷発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上の電荷発生剤を組み合わせて用いてもよい。更に、例えば、デジタル光学式の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。デジタル光学式の画像形成装置としては、例えば、半導体レーザーのような光源を使用したレーザービームプリンター又はファクシミリが挙げられる。そのため、例えば、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。電荷発生剤は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料又はペリレン系顔料が好適に用いられる。なお、短波長レーザーとしては、例えば、350nm以上550nm以下程度の波長を有するレーザーが挙げられる。
電荷発生剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
(2−3.電子輸送剤)
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、一種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの電子輸送剤のうち、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、一般式(ETM3)、一般式(ETM4)又は一般式(ETM5)で表される化合物(以下、それぞれ電子輸送剤(ETM1)〜(ETM5)と記載することがある)が好ましい。
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一般式(ETM1)〜(ETM5)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、ハロゲン原子を有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子又は1若しくは複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい。
一般式(ETM1)中、R1及びR2が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、2−メチル−2−ブチル基が好ましい。一般式(ETM1)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM1)としては、例えば、化学式(ETM1−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM1−1)と記載することがある)が挙げられる。
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一般式(ETM2)中、R3、R4、R5及びR6が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はtert−ブチル基がより好ましい。一般式(ETM2)中、R3、R4、R5及びR6は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM2)としては、例えば、化学式(ETM2−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM2−1)と記載することがある)が挙げられる。
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一般式(ETM3)中、R7、R8及びR9が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、tert−ブチル基がより好ましい。R7、R8及びR9が表すハロゲン原子は塩素原子が好ましい。一般式(ETM3)中、R7、R8及びR9が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、塩素原子を有するフェニル基がより好ましく、p−クロロフェニル基が更に好ましい。一般式(ETM3)中、R7、R8及びR9は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又はハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM3)としては、例えば、化学式(ETM3−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM3−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018061368
一般式(ETM4)中、R10及びR11が表す1又は複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基は、複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有するフェニル基を表すことがより好ましく、2−エチル−6−メチルフェニル基が更に好ましい。一般式(ETM4)中、R10及びR11は、複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM4)としては、例えば、化学式(ETM4−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM4−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018061368
一般式(ETM5)中、R12が表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、ハロゲン原子を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、4−クロロ−n−ブチル基が更に好ましい。一般式(ETM5)中、R12は、ハロゲン原子を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。電子輸送剤(ETM5)としては、例えば、化学式(ETM5−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM5−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018061368
電子輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
(2−4.正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体;ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、ジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等);オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等);スチリル系化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等);カルバゾール系化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、一種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの正孔輸送剤のうち、一般式(HTM)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018061368
一般式(HTM)中、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。p、q、v及びwは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。m及びnは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(HTM)中、R21及びR25は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、p及びvは、1を表し、q、w、m及びnは0を表すことが好ましい。
正孔輸送剤の具体例としては、化学式(HTM−1)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018061368
正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
(2−5.バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他の架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル酸樹脂又はウレタン−アクリル酸共重合体が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、一種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのバインダー樹脂の中では、ポリカーボネート樹脂が好ましい。バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂であると、加工性、機械的強度、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られ易い。感光体によるトナー像の転写性を向上させ易いことから、ポリカーボネート樹脂のなかでは、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールCZ型ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂が好ましく、化学式(Z)で表されるポリカーボネート樹脂がより好ましい。化学式(Z)中、繰り返し単位の添え字は、樹脂中の繰り返し単位の総モル数に対する、添え字が付された繰り返し単位のモル分率を示す。
Figure 2018061368
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。また、バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
(2−6.添加剤)
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
[3.中間層]
中間層は、例えば、無機粒子と、樹脂(中間層用樹脂)とを含有する。中間層4の存在により、電流リークの発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持すると考えられる。また、中間層4の存在により、感光体1を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛等)の粒子又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる樹脂である限り、特に限定されない。
中間層は、感光体の電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
[4.感光体の製造方法]
図1を参照して、感光体1の製造方法について説明する。感光体1の製造方法は、感光層形成工程を含む。以下、感光層形成工程を説明する。
(4−1.感光層形成工程)
感光層形成工程では、導電性基体2上に感光層形成用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)を塗布して、塗布した塗布液の溶媒の少なくとも一部を除去して、感光層3を形成する。感光層形成工程は、例えば、塗布液調製工程と、塗布工程と、乾燥工程とを含む。以下、塗布液調製工程、塗布工程及び乾燥工程を説明する。
(4−1−1.塗布液調製工程)
塗布液調製工程では、塗布液を調製する。塗布液は、酸無水物(1)〜(3)の何れか一種と、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを少なくとも含む。塗布液には、必要に応じて、添加剤を含ませてもよい。塗布液は、例えば、酸無水物(1)〜(3)の何れか一種と、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、添加剤とを、溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。
塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できれば、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの溶剤のうち、非ハロゲン溶剤が好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に溶解又は分散することにより調製される。混合、溶解又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散器を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
(4−1−2.塗布工程)
塗布工程では、塗布液を導電性基体2上に塗布する。塗布液を塗布する方法としては、例えば、導電性基体2上に均一に塗布液を塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
感光層3の厚さを所望の値に調整し易いことから、塗布液を塗布する方法としては、ディップコート法が好ましい。塗布工程がディップコート法によって行われる場合、塗布工程では、導電性基体2を、塗布液に浸漬する。続いて、浸漬した導電性基体2を塗布液から引き上げる。これにより、導電性基体2に塗布液が塗布され、塗布膜が形成される。
(4−1−3.乾燥工程)
乾燥工程では、塗布膜に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する。塗布膜に含まれる溶剤を除去する方法としては、塗布膜中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に制限されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体1の製造方法は、必要に応じて、中間層4を形成する工程、及び保護層5を形成する工程の一方又は両方を更に含んでいてもよい。中間層4を形成する工程及び保護層5を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<第二実施形態:画像形成装置>
以下、図2を参照して第二実施形態に係る画像形成装置について説明する。図2は、第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。第二実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成ユニット40(例えば、画像形成ユニット40a)を備える。画像形成ユニット40は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、第一実施形態に係る感光体である。帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光して、像担持体30の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、トナー像を像担持体30から転写体へ転写する。以上、第二実施形態に係る画像形成装置100の概要を記載した。
第二実施形態に係る画像形成装置100は、画像不良を抑制することができる。このような画像不良としては、例えば、トナー像の転写性の低下及び感度特性の低下のうち少なくとも1つに起因する画像不良が挙げられる。画像不良の一例として、トナー像の転写性の低下に起因する画像不良について説明する。
上述のようにトナー像の転写性の低下が発生すると、像担持体30上に転写体に転写しきれなかったトナーが残留する。残留したトナーは、画像形成工程での像担持体の周を基準周として次周回で形成される画像に転写されることがある。このような像担持体30の基準周の画像を反映した画像が形成される画像不良が、転写性の低下に起因する画像不良である。
図2と図3とを参照して、画像不良が発生した画像を更に説明する。図3は、画像不良が発生した画像を示す模式図である。画像120は、領域102、領域104及び領域106を有する。領域102、領域104及び領域106は、それぞれ像担持体30の1周分に相当する領域である。領域102の画像108は長方形のソリッド画像(画像濃度100%)を含む。領域104及び領域106は、それぞれ設計画像上、全面白紙画像(画像濃度0%)を含む。記録媒体の搬送される方向a(搬送方向a)に沿って、はじめに領域102の画像108を形成し、その後、領域104の白紙画像を形成し、最後に領域106の白紙画像を形成する。領域104の白紙画像は、像担持体30の次周回1周分に相当する画像であり、画像108を形成する像担持体30の1周目を基準として2周目の像担持体30の1周分に相当する画像である。領域106の白紙画像は、像担持体30の次々周回1周分に相当する画像であり、画像108を形成する像担持体30の1周目を基準として3周目の像担持体30の1周分に相当する画像である。
領域104の領域110の白紙画像は、像担持体30の2周目における画像108に対応する画像である。領域106の領域112の白紙画像は、感光体の3周目における画像108に対応する画像である。この場合において、画像108を反映した画像が、画像不良として領域110及び/又は領域112に形成される。このように像担持体30によるトナー像の転写性の低下に起因する画像不良は、像担持体30の周長を単位とする周期で発生する。画像108を反映した画像は、記録媒体の両端部に形成され易い。これは、記録媒体の両端部への押圧力が比較的強いことが理由と考えられる。ここで、記録媒体の両端部とは、例えば、記録媒体の領域110における垂直方向bの両端部(領域110L及び領域110R)であり、領域112における垂直方向bの両端部(領域112L及び領域112R)である。
第二実施形態に係る画像形成装置100が画像不良を抑制する理由は、以下のように推測される。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、トナー像の転写性に優れる。また、第一実施形態に係る感光体は、感度特性も優れる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、画像不良を抑制することができる。
以下、図2に戻って画像形成装置100の各部について詳細に説明する。画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は、例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えば、タンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、転写体は記録媒体Pである。通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体が転写バイアスの影響を受けやすいため、通常、転写メモリーが発生し易い。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は感度特性も優れるため、転写メモリーの発生を抑制することもできる。よって、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備えると、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制できると考えられる。なお、画像形成装置100は、中間転写方式も採用できる。画像形成装置100が中間転写方式を採用する場合、転写体は、中間転写体(例えば、中間転写ベルト又は中間転写ドラム)である。
画像形成装置100は、接触現像方式を採用することができる。接触現像方式を採用する画像形成装置100では、現像部46が像担持体30の表面と接触しながら静電潜像をトナー像として現像する。第二実施形態に係る画像形成装置100は、接触現像方式を採用したとしても、像担持体30によるトナー像の転写性の低下に起因する画像不良の発生を抑制できる。
画像形成装置100は、帯電部42として帯電ローラーを備えることができる。像担持体30の表面を帯電するときに、帯電ローラーは像担持体30の表面と接触する。すなわち、画像形成装置は、通常、帯電ローラーを備える画像形成装置では、転写メモリーが発生し易い。しかし、画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は感度特性も優れるため、転写メモリーの発生を抑制することもできる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、帯電部42として帯電ローラーを備える場合であっても、転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
画像形成装置100は、いわゆるブレードクリーナーレス方式を採用することができる。ブレードクリーナーレス方式を採用する画像形成装置100では、現像部46は、像担持体30の表面を清掃する。具体的には、現像部46は、残留成分を除去することができる。このような画像形成装置100では、クリーニング部(例えば、クリーニングブレード)によって像担持体30の表面の残留成分が掻き取られない。そのため、ブレードクリーナーレス方式を採用する画像形成装置100では、通常、像担持体30の表面に残留成分が残り易い。しかし、第一実施形態の感光体は、トナーの転写性に優れる。従って、このような感光体を備える画像形成装置100は、ブレードクリーナーレス方式を採用したとしても、感光体の表面に残留成分、特に記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が残り難い。その結果、画像形成装置100は、画像不良の発生を抑制することができる。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
図2を参照して既に説明したように、画像形成ユニット40は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40は、その中央位置に、像担持体30を備える。像担持体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。像担持体30の周囲には、帯電部42を基準として像担持体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とが設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部又は除電部(不図示)が更に備えられてもよい。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42は、帯電ローラーである。帯電ローラーは、像担持体30の表面と接触しながら像担持体30の表面を帯電する。帯電部の帯電極性は正極性である。帯電部42は、非接触方式又は接触方式の帯電部である。非接触方式の帯電部42としては、例えば、コロトロン帯電器、又はスコロトロン帯電器が挙げられる。接触方式の帯電部42としては、例えば、帯電ローラー又は帯電ブラシが挙げられる。
帯電部42が印加する電圧としては、特に制限されないが、例えば、直流電圧、交流電圧、又は交流電流に直流電流を重畳した重畳電圧が挙げられる。直流電圧のみを印加する帯電部42は、帯電部が交流電圧を印加する場合又は帯電部が直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を印加する場合に比べ、以下に示す優位性がある。帯電部42が直流電圧のみを印加すると、像担持体30に印加される電圧値が一定であるため、像担持体30の表面を一様に一定電位まで帯電させ易い。また、帯電部42が直流電圧のみを印加すると、感光層の磨耗量が減少する傾向がある。その結果、好適な画像を形成することができる。
帯電部42が印加する電圧が直流電圧である場合、通常、交流電圧に比べ、転写メモリーが発生し易い傾向にある。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30として第一実施形態に係る感光体を備える。第一実施形態に係る感光体は、転写メモリーの発生を抑制することもできる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30と接触して直流電圧を印加する帯電部42を備えても、転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光する。これにより、像担持体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、像担持体30の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。現像部46は、像担持体30と接触しながら静電潜像をトナー像として現像することができる。また、現像部46は、像担持体30の表面を清掃することができる。
現像部46が像担持体30の表面を効率的に清掃するためには、以下に示す条件(a)及び条件(b)を満たすことが好ましい。
条件(a):接触現像方式を採用し、像担持体30と現像部46との間に周速(回転速度)差が設けられる。
条件(b):像担持体30の表面電位と、現像バイアスの電位とが以下の数式(b−1)及び数式(b−2)を満たす。
0(V)<現像バイアスの電位(V)<像担持体30の未露光領域の表面電位(V)・・・(b−1)
現像バイアスの電位(V)>像担持体30の露光領域の表面電位(V)>0(V)・・・(b−2)
条件(a)に示す接触現像方式を採用し、像担持体30と現像部46との間に周速差が設けられていると、像担持体30の表面は現像部46と接触し、像担持体30の表面の付着成分が現像部46との摩擦により除去される。現像部46の周速は、像担持体30の周速よりも速いことが好ましい。
条件(b)では、現像方式が反転現像方式である場合を想定している。帯電極性が正極性である像担持体30の電気特性を向上させるためには、トナーの帯電極性と、像担持体30の未露光領域の表面電位と、像担持体30の露光領域の表面電位と、現像バイアスの電位とが何れも正極性であることが好ましい。なお、像担持体30の未露光領域の表面電位と、露光領域の表面電位とは、転写部48が像担持体30から記録媒体Pへトナー像を転写した後、画像形成する像担持体30の周を基準周とした場合、帯電部42が基準周の次周回の像担持体30の表面を帯電する前に測定される。
条件(b)の数式(b−1)を満たすと、像担持体30に残留したトナー(以下、残留トナーと記載することがある)と像担持体30の未露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ大きくなる。このため、像担持体30の未露光領域の残留トナーは、像担持体30の表面から現像部46へと移動し、回収される。
条件(b)の数式(b−2)を満たすと、残留トナーと像担持体30の露光領域との間に作用する静電的斥力が、残留トナーと現像部46との間に作用する静電的斥力に比べ小さくなる。このため、像担持体30の露光領域の残留トナーは、像担持体30の表面に保持される。像担持体30の露光領域に保持されたトナーは、そのまま画像形成に使用される。
転写ベルト50は、像担持体30と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、像担持体30の表面から記録媒体Pへ転写する。像担持体30から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、像担持体30は記録媒体Pと接触している。転写部48は、例えば、転写ローラーが挙げられる。
定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
<第三実施形態:プロセスカートリッジ>
第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、第一実施形態に係る感光体を備える。引き続き、図2を参照して、第三実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
プロセスカートリッジは、ユニット化された部分を含む。ユニット化された部分は、像担持体30を含む。ユニット化された部分は、像担持体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46、及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを含んでもよい。プロセスカートリッジは、例えば、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジには、除電器(不図示)が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、像担持体30の感度特性等が劣化した場合に、像担持体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
[1.感光体の材料]
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。第一実施形態で説明した酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)を準備した。第一実施形態で説明した電荷発生剤(CGM−1)を準備した。電荷発生剤(CGM−1)は、化学式(CGM−1)で表される無金属フタロシアニンであった。電荷発生剤(CGM−1)の結晶構造はX型であった。第一実施形態で説明した正孔輸送剤(HTM−1)を準備した。第一実施形態で説明した電子輸送剤(ETM1−1)〜(ETM5−1)を準備した。バインダー樹脂として、ポリカーボネート樹脂(Z)を準備した。ポリカーボネート樹脂(Z)は、第一実施形態で説明した化学式(Z)で表されるポリカーボネート樹脂であった。
[2.感光体の製造]
準備した感光体の感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−21)及び感光体(B−1)〜(B−5)を製造した。
(2−1.感光体(A−1)の製造)
感光層形成工程を行った。まず、塗布液を調製した。酸無水物(ADD−1)1.00質量部と、電荷発生剤(CGM−1)2質量部と、正孔輸送剤(HTM−1)60質量部と、電子輸送剤(ETM1−1)35質量部と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Z)100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部とを容器内に投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して分散し、塗布液を得た。
次に、ディップコート法を用いて、導電性基体上に塗布液を塗布し、導電性基体上に塗布膜を形成した。導電性基体は、直径160mm、長さ365mm、厚さ2mmのアルミニウム製であった。詳しくは、導電性基体を塗布液に浸漬させた。次いで、浸漬した導電性基体を塗布液から引き上げた。これにより、導電性基体に塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。
次に、塗布膜を形成した導電性基体を、100℃で40分間、熱風により乾燥させた。これにより、塗布膜に含有される溶剤(テトラヒドロフラン)を除去した。その結果、導電性基体上に、感光層が形成された。これにより、感光体(A−1)が得られた。
(2−2.感光体(A−2)〜(A−21)及び感光体(B−1)〜(B−5)の製造)
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−21)及び感光体(B−1)〜(B−5)を製造した。酸無水物(ADD−1)1.00質量部及び電子輸送剤(ETM−1)の代わりに、それぞれ表1に示す種類の酸無水物、酸無水物の含有量及び種類の電子輸送剤を用いた。そのようにして感光体(A−2)〜(A−21)及び感光体(B−1)〜(B−5)をそれぞれ得た。
表1は感光体(A−1)〜(A−21)及び感光体(B−1)〜(B−5)の構成を示す。表1中、欄「ETMの種類」のETM1−1〜ETM5−1は、それぞれ電子輸送剤(ETM1−1)〜(ETM5−1)を示す。欄「酸無水物の種類」のADD−1〜ADD−6は、それぞれ酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)を示す。欄「酸無水物の含有量」は、バインダー樹脂100質量部に対する酸無水物の含有量(質量部)を示す。
[3.評価方法]
(3−1.感光体の感度特性の評価:感光体の露光後電位の測定)
感光体の感度特性は、感光体の露光後電位を測定して評価した。感光体の露光後電位の測定は、表面電位計(Monroe Electronics社製「MODEL244」)を用いた。表面電位プローブ(Monroe Electronics社製「MODEL1017AE」)を現像部の位置に設置した。すなわち、帯電工程及び露光工程後の露光領域における感光体の表面電位を測定した。得られた表面電位を露光後電位とした。感光体の露光後電位は、温度23℃、湿度50%RH、帯電電位+600V、露光波長780nm及び露光量1.2μJ/cm2の条件で測定された。得られた露光後電位から評価基準に基づいて感光体の感度特性を評価した。表1に感光体の露光後電位を示す。
(感度特性の評価基準)
評価A(良い):感光体の露光後電位が+140V未満である。
評価B(普通):感光体の露光後電位が+140V以上+160V未満である。
評価C(悪い):感光体の露光後電位が+160V以上である。
(3−2.感光体によるトナー像の転写性の評価:感光体の表面電位の測定)
感光体によるトナー像の転写性は、感光体の表面電位を測定して評価した。表面電位計(Monroe Electronics社製「MODEL244」)を用いた。表面電位プローブ(Monroe Electronics社製「MODEL1017AS」)を転写後の位置に設置した。すなわち、転写工程後の露光領域における感光体の表面電位(単位:V)を測定した。感光体の表面電位は、温度23℃、湿度50%RH、ドラム線速165mm/秒、グリッド電圧600V、流れ込み電流300μAの条件で測定された。表1に感光体の表面電位を示す。
(3−3.感光体によるトナー像の転写性評価:画像評価)
感光体を評価機に搭載した。評価機として、プリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1300D」、半導体レーザーによる乾式電子写真方式のプリンター)を使用した。評価機は、帯電ローラーを帯電部として備えていた。帯電ローラーには直流電圧が印加されていた。評価機は、直接転写方式の転写部(転写ローラー)を備えていた。評価機は、接触現像方式の現像部を備えていた。転写性評価には、用紙として、京セラドキュメントソリューションズ株式会社販売「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4(A4サイズ)」を使用した。転写性評価には、トナーとして、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TK−131」を使用した。転写性評価の測定は、高温高湿(温度:32.5℃、湿度:80%RH)環境下で行われた。
感光体を搭載した評価機とトナーとを用いて、用紙に評価用画像を形成した。評価用画像の詳細は、図4を参照して後述する。画像形成条件を、線速165mm/秒に設定した。転写ローラーが感光体に印加する電流を、−25μAに設定した。
次いで、得られた画像を目視で確認し、領域210及び領域212に画像208に対応した画像の有無を確認した。得られた目視による観察結果から、下記の基準に従い感光体によるトナー像の転写性を評価した。A(非常に良い)及びB(良い)を合格とした。表1にトナー像の転写性の評価結果を示す。
図4を参照して、評価用画像を説明する。図4は、評価用画像を示す模式図である。評価用画像200は、領域202、領域204及び領域206を含む。領域202は、像担持体30の1周分に相当する領域である。領域202の画像208は、ソリッド画像(画像濃度100%)を含む。このソリッド画像は、長方形の形状を有していた。領域204及び領域206は、それぞれ像担持体30の1周分に相当する領域であり、いずれも白紙画像(画像濃度0%)からなる。搬送方向aに沿ってはじめに領域202の画像208を形成し、その後、領域204及び領域206の白紙画像を形成した。領域204の白紙画像は、画像208を形成した周を基準として2周目に形成された画像である。領域210は、領域204における画像208に対応する領域である。領域206の白紙画像は、画像108を形成した周を基準として3周目に形成された画像である。領域212は、領域206における画像208に対応する領域である。
(転写性の評価基準)
評価A(非常に良い):画像208に対応した画像が領域210及び領域212に確認されなかった。
評価B(良い):画像208に対応した画像が領域210の垂直方向bの両端部にわずかに確認された。画像208に対応した画像が領域212に確認されなかった。
評価C(悪い):画像208に対応した画像が領域210の垂直方向bの両端部に明確に確認された。画像208に対応した画像が領域212に確認されなかった。
Figure 2018061368
表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−21)では、感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、酸無水物とを含む。酸無水物は、酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)のうちの何れか一種である。酸無水物(ADD−1)〜(ADD−6)は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される。感光体(A−1)〜(A−21)では、感光体によるトナー像の転写性の評価結果はいずれも評価A(良い)である。
表1に示すように、感光体(B−1)〜(B−5)では、感光層はいずれも一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される酸無水物を含まない。感光体(B−1)〜(B−5)では、感光体によるトナー像の転写性の評価結果はいずれも評価C(悪い)である。
以上から、感光体(A−1)〜(A−21)は、感光体(B−1)〜(B−5)に比べ、トナー像の転写性に優れることが明らかである。
表1に示すように、感光体(A−1)及び(A−15)〜(A−19)では、酸無水物の含有量はバインダー樹脂100質量部に対して0.02質量部以上5.00質量部以下である。感光体(A−1)及び(A−15)〜(A−19)では、トナー像の転写性の評価において表面電位が+55V以上+79V以下であり、感度特性の評価結果は全て評価A(良い)である。
表1に示すように、感光体(A−20)〜(A−21)では、酸無水物の含有量は、それぞれバインダー樹脂100質量部に対して0.01質量部及び10.0質量部である。感光体(A−20)では、表面電位が−34Vである。感光体(A−21)では、感度特性の評価結果が評価B(普通)である。
以上から、感光体(A−1)及び(A−15)〜(A−19)は、感光体(A−20)〜(A−21)に比べ、トナー像の転写性及び感度特性のいずれも優れることが明らかである。
本発明に係る感光体は、電子写真方式の画像形成装置において好適に使用できる。

Claims (14)

  1. 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、単層型感光層であり、
    前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、酸無水物とを含み、
    前記酸無水物は、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される、電子写真感光体。
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    前記一般式(1)及び前記一般式(2)中、
    a、Rb、Rc及びRdは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、第一置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、第二置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は第三置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記第一置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択され、
    前記第二置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択され、
    前記第三置換基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選択され、
    前記一般式(3)中、
    Xは、メチレン基又は酸素原子を表す。
  2. 前記一般式(1)中、Ra及びRbは、水素原子を表し、
    前記一般式(2)中、Rc及びRdは、水素原子又はハロゲン原子を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記酸無水物は、化学式(ADD−1)、化学式(ADD−2)、化学式(ADD−3)、化学式(ADD−4)、化学式(ADD−5)又は化学式(ADD−6)で表される、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
  4. 前記酸無水物の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して0.02質量部以上7.00質量部以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 前記電子輸送剤は、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、一般式(ETM3)、一般式(ETM4)又は一般式(ETM5)で表される、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    前記一般式(ETM1)、前記一般式(ETM2)、前記一般式(ETM3)、前記一般式(ETM4)及び前記一般式(ETM5)中、
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。前記炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、ハロゲン原子を有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、ハロゲン原子又は1若しくは複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい。
  6. 前記一般式(ETM1)中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ETM2)中、R3、R4、R5及びR6は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ETM3)中、R7、R8及びR9は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又はハロゲン原子を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記一般式(ETM4)中、R10及びR11は、複数の炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記一般式(ETM5)中、R12は、ハロゲン原子を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す、請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記電子輸送剤は、化学式(ETM1−1)、化学式(ETM2−1)、化学式(ETM3−1)、化学式(ETM4−1)又は化学式(ETM5−1)で表される、請求項5に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
    Figure 2018061368
  8. 前記正孔輸送剤は、一般式(HTM)で表される、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018061368
    前記一般式(HTM)中、R21、R22、R23、R24、R25及びR26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    p、q、v及びwは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    m及びnは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
  9. 請求項1に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  10. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
    帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記トナー像を前記像担持体から転写体へ転写する転写部と
    を備える画像形成装置であって、
    前記帯電部の帯電極性は、正極性であり、
    前記像担持体は、請求項1に記載の電子写真感光体である、画像形成装置。
  11. 前記現像部は、前記像担持体と接触しながら前記静電潜像を前記トナー像として現像する、請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記現像部は、前記像担持体の前記表面を清掃する、請求項10に記載の画像形成装置。
  13. 前記転写体は、記録媒体である、請求項10に記載の画像形成装置。
  14. 前記帯電部は、帯電ローラーである、請求項10に記載の画像形成装置。
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