JP3566594B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長600nm以下の露光光源を使用して、高解像度の画像を得ることが可能な画像形成方法及びそれに用いる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザー光を露光光源とする電子写真装置としては、レーザープリンターが代表的な製品である。その露光用光源の半導体レーザーには、大部分にAlGaAs/GaAs系の800nm近傍の近赤外領域に発振波長を有するものが使用されている。
近年、電子写真装置による出力画像の画質が向上し、高解像度化が急速に進んでいる。この高解像度の画像を得ることができるように装置上対応させることは、光学的な面からは比較的容易である。すなわち、解像度を向上させるには、レーザービームのスポット径を細く絞り込むとともに、書き込み密度を高くすることにより達成される。
【0003】
ところが、光源として近赤外域に発振波長を持つ半導体レーザーを使用すると、光学系の操作でビーム径を細くしても鮮明なスポット輪郭を得ることが困難であるという問題がある。これは、レーザー光には回折限界が存在することに起因するものであり、避けられない現象である。
前記問題を解決するためには、レーザー光の発振波長自体を短縮することが有効であると考えられる。この理由は、スポット径Dの下限は、レーザー光の発振波長λに正比例していて、次式で求められるからである。
D=1.22λ/NA
式中、NAはレンズ開口数を意味する。
【0004】
発振波長の短い半導体レーザーの開発は着実に進展しており、1990年代初期には、既に650nm付近に発振波長を有する赤色半導体レーザーが実用化されている。また、1995年12月に日亜化学工業(株)により、波長410nmを発振する青紫色半導体レーザーの開発成功が発表され、さらには、松下電器産業(株)により、非線形光学素子を用いたSHG(第2高調波)による波長425nmを発振するレーザーも開発されたことから、発振波長400〜500nm程度の青色系半導体レーザーの実用化が現実のものとなった。 これに関連するものとして、特開平5−19598号公報では、波長400〜500nmの光源を用いた電子写真装置が提案され、また、特開平8−15881号公報では、特定の結晶構造のペリレン顔料を用いて可視半導体レーザーにより露光させる感光体も提案されている。
【0005】
ところが、一般に、電子写真感光体は、その層構成が導電性基体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層されたものであるため、上層に設けた電荷輸送層に用いられている電荷輸送材料が、通常電荷発生材料と同様に480nm以下の波長を吸収するために、照射した光の一部が光導電層の表面で吸収されて光感度を低下させるという問題があった。
この問題を解消するものとして、特開平9−240051号公報には、電荷発生層を電荷輸送層の上層に設けた正帯電型の感光体が提案されている。この感光体は、確かに高感度であり高解像度の潜像を形成できる。
しかし、正帯電型の感光体は、従来より普通に使用されていた負帯電のものと逆の極性になるため、トナーの帯電極性も含めた大きなシステム変更を必要とするか、或いはトナーの極性を変えないで使用するには、現在一般に使用されているイメージライティング方式をバックライティング方式に変更する必要がある。また、このバックライティング方式の場合でも、細線の再現性を確保することは非常に難しいという問題があり、多少の感度低下を伴っても、導電性基体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した従来の層構成の感光体の方が実用性に優れている。
【0006】
また、従来の層構成の電子写真感光体を使用し、実際に600nm以下の波長のレーザー光により潜像を形成した場合に、予期したとおりの解像度の画像が得られないという問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高解像度の画像を得ることが可能な画像形成方法、及び該画像形成方法に用いる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題について、その原因を検討した結果、露光波長によっては露光した光の一部が電荷輸送材料に吸収され、露光した光より長波長の蛍光が、電荷輸送材料から新たに発光していることに起因することが判った。すなわち、電荷輸送材料から蛍光発光が等方的に起こり、かつ、電荷輸送材料が吸収した光よりも長波長の光を発生し、その光が電荷発生層に達し、実質上レーザーのスポットよりもかなり広がって露光が行われていたためである。
【0009】
従来、電荷輸送材料は、600nm以下の波長成分を含むハロゲンランプや、タングステンランプを光源とした複写機にも使用されてきたが、これらの光源は、波長成分が広く分布しているため、電荷輸送材料に吸収されるフォトン(光子)の割合、さらに電荷輸送層で発光する蛍光のフォトン数が実質上無視できる程度であり問題にはならなかった。
しかし、光源として、レーザー光を用いた場合には、波長成分の揃った高強度の光を露光するため、上記のように電荷輸送材料が発する長波長の蛍光が問題となることが判り、上記の電荷輸送材料の発光を抑えることにより前記問題を解決し得ることを見出した。
【0010】
従って、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> 電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層の順に導電性基体表面に設けられた電子写真感光体に、波長が450nm以下の可干渉光を露光して潜像を形成する潜像形成工程を含む画像形成方法であって、電荷輸送層が下記一般式(I)で表される化合物、一般式( III )で表される化合物、一般式(V)で表される化合物、一般式(X)〜一般式( XIII )で表される構造の1種以上を部分構造として有する化合物、又は一般式( XIV )で表される構造を部分構造として有する化合物を少なくとも1種含み、
前記電子写真感光体を露光した場合、電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)と、電荷輸送層で発光する蛍光発光フォトン数(NF)と、が下記式(1)を満たす電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方法。
NF ≦0.75×NA (ただし、N F =N A =0の場合を除く。) (1)
【化10】
一般式(I)において、R 1 〜R 3 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のエーテル基を示す。a、b及びcは、それぞれ1〜3のいずれかである。
【化11】
一般式( III )において、R 8 〜R 11 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜15の置換若しくは未置換のアミノ基を示し、g、h及びiは、それぞれ1〜3のいずれかの整数である。
【化12】
一般式(V)において、Ar 1 は無置換のあるいはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはアミノ基で置換されていてもよいアリール基又は複素環基を示し、Ar 2 及びAr 3 は、それぞれアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示す。
【化13】
一般式(X)〜( XIII )において、Aは下記一般式( VIII )又は一般式( IX )を示し、Bは−O−(Y′−O)m′−又はZ′を示し、Y、Y′、Z及びZ′は、それぞれ2価の炭化水素基を示す。m、m′は1〜5の整数であり、nは0又は1である。pは5〜500の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜3500の整数をそれぞれ示す。ただし、q+rは5〜5000の整数であり、かつ0.3≦q/(q+r)<1である。
【化14】
前記一般式( VIII )及び一般式( IX )においてR 17 〜R 22 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。y及びzは、それぞれ0又は1である。Uは置換又は未置換のアリール基を示し、Tは炭素数1〜10の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。
【化15】
一般式( XIV )において、R 23 は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、R 24 及びR 25 は、それぞれ水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。Y 1 は置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。T 1 は枝分かれしてもよい2価の脂肪族基を示し、n 1 は0又は1である。Ar 10 及びAr 11 は、それぞれ置換若しくは未置換のアリール基を示す。tは5〜5000の 整数である。
【0011】
<2> 前記電子写真感光体の表面における解像度が、400dpi以上であることを特徴とする前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記電子写真感光体のプロセススピードが、40mm/sec.以上であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の画像形成方法である。
<4> 前記露光の出力が、1mW以上であることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<5> 前記可干渉光が、固体半導体レーザー光であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0014】
<6> 前記電荷輸送層が、前記一般式 (III)で表されるトリフェニルメタン化合物を含み、かつ、前記一般式(I)で表される化合物、下記一般式( II )及び一般式( IV )で表される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする前記<1>に記載の画像形成方法である。
【化16】
一般式( II )において、R 1 〜R 3 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のエーテル基を示す。a、b及びcは、それぞれ1〜3のいずれかである。Xは、下記構造式の中から選択される構造の少なくとも1種である。
【化17】
前記構造式において、R 4 〜R 7 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基を示し、d、e及びfは、それぞれ1〜5のいずれかの整数である。
【化18】
一般式( IV )において、R 12 〜R 14 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のエーテル基を示し、j、k及びlは、それぞれ1〜3のいずれかの整数である。
【0018】
<7> 少なくとも、露光光源と、電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層が導電性基体表面に設けられた電子写真感光体と、を有し、前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする画像形成装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像形成方法及び画像形成装置を説明する。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像形成工程を含み、必要により、現像工程、転写工程、定着工程等のその他の工程を含む。
本発明における前記潜像形成工程は、電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層の順に導電性基体表面に設けられた電子写真感光体に、波長が450nm以下の可干渉光を露光して潜像を形成する工程である。
【0020】
前記電子写真感光体は、電荷輸送層が前記一般式(I)で表される化合物、一般式( III )で表される化合物、一般式(V)で表される化合物、一般式(X)〜一般式( XIII )で表される構造の1種以上を部分構造として有する化合物、又は一般式( XIV )で表される構造を部分構造として有する化合物を少なくとも1種含み、露光した場合、前記電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)と、前記電荷輸送層で蛍光発光する蛍光発光フォトン数(NF)と、が下記式(1)を満たすものが用いられる。
NF ≦0.75×NA (ただし、N F =N A =0の場合を除く。) (1)
前記N F は、より高解像度の画像を得る観点から、NF≦0.5×NAを満たすように行われるのが好ましく、NF≦0.3×NAを満たすように行われるのがより好ましい。
【0021】
前記電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)と、前記電荷輸送層で発光する蛍光発光フォトン数(NF)と、が前記式(1)を満たさない場合には、発振波長が600nm以下の短波長のレーザー光によって露光しても、電荷輸送材料から発生する長波長の蛍光発光光の影響が大きくなるため、実質上レーザーのスポットよりもかなり広がって露光が行われてしまい、所望の高解像度の画像を得ることができない。
一方、前記電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)と、前記電荷輸送層で発光する蛍光発光フォトン数(NF)と、が前記式(1)を満たす場合には、電荷輸送材料から、より長波長の蛍光発光光が発生しても、実質的に潜像解像度には殆ど影響しないため、所望の高解像度の画像を得ることが可能となる。
【0022】
ここで、前記電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)及び前記電荷輸送層で蛍光発光する蛍光発光フォトン数(NF)は、発光測定装置(装置名:日立Fluorescence Spectoro Photometer850、日立製作所(株)製)を用いて、以下のように求めた。
【0023】
先ず、前記電荷発生層に照射される、電荷輸送層からの発光量を見積るために、蛍光量子収率によって、それぞれの電荷輸送層の蛍光強度を定量化した。
【0024】
ここで、蛍光量子収率としては、絶対蛍光量子収率の測定は困難であるため、蛍光標準物質を基準とする相対蛍光量子収率を用いた。
前記測定装置の出力及び蛍光量子収率には、次の式(A)の関係がある。
NF =K×A/100×φ (A)
式(A)において、NFは蛍光発光フォトン数、φは物質の蛍光量子収率、Kは装置関数、Aは光吸収率である。
【0025】
前記装置関数Kとは、蛍光発光フォトン数(NF)以外に、蛍光発光を検知する装置の感度・発光の見込み角等が加わった装置に固有の値である。装置関数Kは、蛍光量子収率φが既知の物質を標準として光吸収が既知の試料を作製し、その蛍光発光フォトン数(NF)を求めて得ることができる。
この値が決まれば、未知物質の蛍光量子収率φは、その測定試料の光吸収率Aと蛍光発光フォトン数(NF)とを測定し、その値をもとに、次の式(B)から既知物質を基準とした蛍光量子収率φを求めることができる。
φ=NF /(K×A/100) (B)
また、蛍光量子収率φは、吸収フォトン数(NA)に対する蛍光発光フォトン数(NF)の割合であるため、K×A/100を吸収フォトン数(NA)とした。
【0026】
前記測定試料は、電荷輸送材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液をスライドガラス上に塗布し、これを一定時間加熱乾燥させたものを用いた。
測定に際し、先ず、蛍光標準物質であるアントラセン(純度99.5%、東京化成社製)の1×10−6Mのエタノール溶液を調製し、分光光度計(U−4000型、日立製作所社製)で光吸収率(%)を求めた。
次に、上記の発光測定装置を用いて、種々の波長における発光スペクトルを測定し、各々のスペクトルを波数単位に変換した後に波数に対して積分し、蛍光発光フォトン数(NF)を求めた。
【0027】
前記可干渉光の波長は、600nm以下であり、480nm以下が好ましく、450nm以下がより好ましい。
前記可干渉光が、600nmを超える場合には、レーザービームのスポット径を細くしても、鮮明なスポット輪郭を得ることができないため、高解像度の画像を得ることができない。
尚、前記可干渉光の波長の下限値としては、特に制限はないが、350nm程度である。
【0028】
前記可干渉光としては、ガスレーザーに対して著しく小型化できる点で、半導体レーザー光が好ましい。該半導体レーザー光は、特に、480nm以下、更には、450nm以下の波長とすれば、極めて高解像度の画像を得ることが可能となるため有効である。
前記半導体レーザー光としては、多量子井戸構造の固体(窒化ガリウム系等)半導体レーザーや、非線形光学素子により短波長化したもの等が挙げられる。本発明においては、より低出力のレーザーでよいこと等から、発振波長が600nm以下の固体半導体レーザー光が特に好ましい。
【0029】
前記露光の際、前記電子写真感光体表面における解像度としては、400dpi以上が好ましく、600dpi以上がより好ましく、1200dpi以上が特に好ましい。
前記解像度が、400dpi未満の場合には、高解像度の画質を得ることができないことがある。一方、前記解像度が、400dpi以上の場合には、高解像度の画像を得ることができ、更に、600dpi以上、1200dpi以上の解像度とすることにより、より解像度の高い画像を好適に得ることができる。
【0030】
前記露光の出力としては、1mW以上が好ましく、3mW以上がより好ましく、5mW以上が特に好ましい。特に、前記非線形光学素子を用いる場合には、露光の出力が高いことが必要となる。
前記露光の出力が、1mW未満の場合には、電子写真感光体の感度の点や、光学系のロス等の点で好ましくないことがある。
【0031】
[電子写真感光体]
前記電子写真用感光体は、感光層が導電性基体表面に設けられたものである。
−導電性基体−
前記導電性基体としては、導電性を有する基板であれば、特に制限がないが、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス鋼、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布するか、蒸着するか或いはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
これらの導電性基体は、必要に応じて、画質に影響を与えない範囲で、表面陽極酸化被膜処理、熱水酸化処理や薬品処理、着色処理等又は砂目立て等の乱反射処理等の表面処理等が行われていてもよい。
【0032】
−感光層−
前記感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層を含み、必要に応じてその他の層を含む。
【0033】
−−電荷発生層−−
前記電荷発生層は、少なくとも、電荷発生材料を有し、必要に応じて結着樹脂等のその他の成分を含有してなる。
【0034】
前記電荷発生材料としては、例えば、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、レーキ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリフェニルメタン系顔料等の種々の有機顔料や、アズレニウム系染料、スクエアリウム系染料、ピリリウム系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染料等の種々の染料や、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の種々の無機材料が挙げられる。これらの中でも、感度、電気的安定性、照射光に対する光化学的安定性の点で、芳香族縮合環系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料等が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセン樹脂、ポリビニルピレン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
これらの中でも、特に、ポリビニルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、フェノキシ樹脂、又は、変性エーテル型ポリエステル樹脂等が好ましい。これらの樹脂を用いれば、前記顔料等の電荷発生材料の分散性がより良好となり、電荷発生層を形成するための後述の分散塗布液が、長期に亘って凝集せず安定化するため、均一な電荷発生層を形成することができる。その結果、電気特性に優れた電子写真感光体を得ることが可能となるため、画質欠陥の少ない画像を得ることが可能となる。
但し、通常の状態で層形成できる樹脂であれば、これらに限定されるものではない。
【0037】
前記電荷発生材料と、前記結着樹脂との配合比としては、体積比(電荷発生材料:結着樹脂)で、5:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0038】
前記結着樹脂以外のその他の成分としては、酸化防止剤、光安定化剤等の安定剤等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。前記光安定化剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記電荷発生層の形成方法としては、例えば、前記電荷発生材料を、前記導電性基体表面に真空蒸着により形成する方法や、特定の有機溶剤中に、前記結着樹脂及び前記電荷発生材料を分散させた電荷発生層形成用塗布液を、前記導電性基体表面に塗布して形成する方法等が挙げられる。
【0040】
前記分散塗布液に用いられる特定の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常使用される有機溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記塗布には、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の塗布方法が適用される。
【0042】
前記電荷発生層の厚みとしては、通常0.01〜5μmであり、0.1〜2.0μmが好ましい。
前記厚みが、0.01μm未満の場合には、電荷発生層を均一に形成できないことがある一方、5μmを超える場合には、電子写真特性が著しく低下することがある。
【0043】
−−電荷輸送層−−
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送材料を有し、必要に応じて結着樹脂等のその他の成分を含有してなる。
【0044】
前記電荷輸送材料としては、前記露光の際、波長が450nm以下の種々の可干渉光に対応して、前記電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)と、前記電荷輸送層で発光する蛍光発光フォトン数(NF)と、が前記式(1)を満たし得るような材料が好ましい。このような電荷輸送材料としては、以下の低分子化合物、高分子化合物等が挙げられる。
【0045】
前記低分子化合物としては、前記の一般式(I)、一般式( III )及び一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
前記高分子化合物としては、前記一般式(X)ないし一般式( XIV )で表されるものが挙げられる。
これらのうち、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン系化合物としては、蛍光を発し難い点で、フェニル基と共役した不飽和結合又は芳香環を有しない化合物が好ましく、重原子効果により効果的に蛍光発光の量子収率を低下することが可能な点で、窒素原子に直結した芳香環以外に、少なくとも1以上のハロゲン原子を有する化合物がより好ましい。また、これらを含むポリマーを用いるのも好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記電荷輸送材料の中でも、モビリティ、安定性及び光に対する透明性の点で、一般式(I)及び一般式( III )で表される化合物が好ましく、下記一般式(I)及び一般式( III )で表される各種化合物が特に好ましい。また、一般式( II )、一般式( IV )、一般式( VI )及び一般式( VII )で表される化合物を参考例とし挙げる。
【0048】
【化21】
一般式(I)又は(II)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のエーテル基を示す。a、b及びcは、それぞれ1〜3のいずれかである。Xは、下記構造式の中から選択される構造の少なくとも1種である。
【0049】
【化22】
前記構造式において、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基を示し、d、e及びfは、それぞれ1〜5のいずれかである。
【0050】
前記一般式(I)で表されるトリフェニルアミン化合物の具体例を、各置換基を特定することにより下記表1に示す。尚、本明細書において、表中の化合物の具体例を、「化合物No.」で示すことがある。
【0051】
【表1】
【0052】
前記一般式(II)で表されるトリフェニルアミン化合物の具体例を、各置換基を特定することにより下記表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【化23】
一般式(III)において、R8〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜15の置換若しくは未置換のアミノ基を示し、g、h及びiは、それぞれ1〜3のいずれかである。
【0055】
前記一般式(III)で表されるトリフェニルメタン化合物の具体例を、各置換基を特定することにより表3〜表5に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【化24】
一般式(IV)において、R12〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数7〜15の置換若しくは未置換のアラルキル基、炭素数6〜15の置換若しくは未置換のアリール基、炭素数1〜5の置換若しくは未置換のエーテル基を示し、j、k及びlは、それぞれ1〜3の整数である。
【0060】
前記一般式(IV)で表されるベンジジン化合物の具体例を各置換基を特定することにより表6〜表8に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【化25】
一般式(V)において、Ar1は無置換のあるいはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはアミノ基で置換されていてもよいアリール基又は複素環基を示し、Ar2及びAr3は、それぞれアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示す。
【0065】
前記一般式(V)で表される化合物の具体例を各置換基を特定することにより表9〜表11に示す。
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
【化26】
一般式(VI)において、R15及びR16は、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。R15とR16とは、結合して環を形成してもよい。Ar4は、アリーレン基又は複素環基を示し、Ar5及びAr6は、それぞれアルキル基、アリール基又は複素環基を示す。
【0069】
前記一般式(VI)で表される化合物の具体例を各置換基を特定することにより表12〜表14に示す。
【表12】
【0070】
【表13】
【0071】
【表14】
【0072】
【化27】
一般式(VII)において、Ar7はアリーレン基又は複素環基を示し、Ar8 及びAr9は、それぞれアルキル基、アリール基又は複素環基を示す。
【0073】
前記一般式(VII) で表される化合物の具体例を各置換基を特定することにより表15に示す。
【0074】
【表15】
【0075】
【化28】
一般式(VIII)又は(IX)において、R17〜R22は、それぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。y及びzは、それぞれ0又は1である。Uは置換又は未置換のアリール基を示し、Tは炭素数1〜10の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、以下の具体例が挙げられる。
【0076】
【化29】
【0077】
【化30】
【0078】
前記一般式(VIII)で表される構造(部分構造)の具体例を、各置換基を特定することにより表16〜表21に示す。
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
【表18】
【0081】
【表19】
【0082】
【表20】
【0083】
【表21】
【0084】
前記一般式(IX)で表される構造(部分構造)の具体例を、各置換基を特定することにより表22〜表26に示す。
【表22】
【0085】
【表23】
【0086】
【表24】
【0087】
【表25】
【0088】
【表26】
【0089】
【化31】
一般式(X)〜(XIII)において、Aは前記一般式(VIII)又は一般式(IX)を示し、Bは−O−(Y′−O)m′−又はZ′を示し、Y、Y′、Z及びZ′は、それぞれ2価の炭化水素基を示す。m、m′は1〜5の整数であり、nは0又は1である。pは5〜500の整数、qは1〜5000の整数、rは1〜3500の整数をそれぞれ示す。ただし、q+rは5〜5000の整数であり、かつ0.3≦q/(q+r)<1である。
【0090】
前記一般式(X)で表される構造を有する化合物の具体例を各置換基等を特定することにより表27に示す。
【表27】
【0091】
前記一般式(XI)で表される構造を有する化合物の具体例を各置換基等を特定することにより表28に示す。
【表28】
【0092】
前記一般式(XII)で表される構造を有する化合物の具体例を各置換基等を特定することにより表29に示す。
【表29】
【0093】
前記一般式(XIII)で表される構造を有する化合物の具体例を各置換基等を特定することにより表30〜表32に示す。
【表30】
【0094】
【表31】
【0095】
【表32】
尚、表27〜表32のおける重合度(p,q,r)は、GPC測定(スチレン換算)により得たおおよその値である。
【0096】
【化32】
一般式(XIV)において、R23は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、R24及びR25は、それぞれ水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。Y1は置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。T1は枝分かれしてもよい2価の脂肪族基を示し、n1は0又は1である。Ar10及びAr11は、それぞれ置換若しくは未置換のアリール基を示す。tは5〜5000の整数である。
【0097】
前記一般式(XIV)で表される構造を有する化合物の具体例を各置換基等を特定することにより表33〜表38に示す。
尚、表33〜表38における重合度(t)は、GPC測定(スチレン換算)により得たおおよその値である。
【0098】
【表33】
【0099】
【表34】
【0100】
【表35】
【0101】
【表36】
【0102】
【表37】
【0103】
【表38】
【0104】
前記結着樹脂としては、特に制限はないが、電気絶縁性のフィルム形成が可能な高分子重合体が好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも、前記電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度に優れている点で、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂等が特に好ましい。
【0105】
前記結着樹脂以外のその他の成分としては、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤が挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。
前記光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0106】
前記電荷輸送層の形成方法としては、例えば、特定の有機溶剤中に、前記結着樹脂及び前記電荷輸送材料を分散させた電荷輸送層形成用塗布液を、前記電荷発生層表面に塗布して形成する方法等が挙げられる。
【0107】
前記有機溶媒としては、用いる電荷輸送材料の種類によって異なるが、適宜選択して最適なものを用いるのが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0108】
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(電荷輸送材料:結着樹脂)としては、2:10〜10:2が好ましく、モビリティー、強度の点から3:10〜10:8の範囲がより好ましい。
【0109】
電荷輸送層の厚みとしては、通常5〜50μmであり、10〜40μmが好ましい。
前記厚みが、5μm未満の場合には、帯電が困難になる一方、50μmを超える場合には、電子写真特性が著しく低下することがある。
【0110】
−その他の層−
前記その他の層としては、例えば、前記電荷発生層と前記導電性基体との間に設けられる公知の下引き層や、前記電荷輸送層の上に設けられる、公知の保護層等が挙げられる。
【0111】
前記下引き層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0112】
前記結着樹脂には、更に、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子を混合してもよい。
【0113】
前記下引き層を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が採用される。下引き層の厚みとしては、通常0.01〜10μm程度であり、0.05〜2μmが好ましい。
【0114】
−電子写真感光体−
前記電子写真感光体としては、従来より普通に使用されていた感光体のシステム変更が不用である等の点で、導電性基体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に順次積層された従来の層構成の電子写真感光体の方が、実用性に優れている。
【0115】
図2〜5は、いずれも、前記電子写真感光体の表面近傍の一例を示す拡大断面図である。
図2において、電子写真感光体20aは、導電性基体13aの上に、電荷発生層11a及び電荷輸送層12aが設けられてなる。
図3において、電子写真感光体20bは、導電性基体13bの上に、下引き層14b、電荷発生層11b、及び、電荷輸送層12bが設けられてなる。
図4において、電子写真感光体20cは、導電性基体13cの上に、電荷発生層11c、電荷輸送層12c、保護層15cが設けられてなる。
図5において、電子写真感光体20dは、導電性基体13dの上に、下引き層14d、電荷発生層11d、電荷輸送層12d及び保護層15dが設けられてなる。
【0116】
以上説明した電子写真感光体に、波長が600nm以下の可干渉光を露光することにより、潜像形成工程において、好適に、高解像度の潜像を形成することが可能となる。
【0117】
本発明の画像形成方法において、前記その他の工程としては、画像形成方法における公知の工程、例えば、現像剤担持体表面に形成された現像剤の層により前記潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程、該トナー画像を転写体表面に転写する転写工程、転写された画像を定着させる定着工程の外、クリーニング工程等が好適に挙げられる。これら各工程は、従来公知のものをいずれも適用することができる。
【0118】
以上より、本発明の画像形成方法によれば、高解像度の画像を得ることができる。
【0119】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、少なくとも、露光光源と、電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層が導電性基体表面に設けられた電子写真感光体と、を有し、必要に応じてその他の部材を有する。
【0120】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1において、画像形成装置10は、電子写真感光体としての感光体ドラム9の周りに、帯電器1と、露光光源2と、現像器3と、転写用ロール4と、除電用光源5と、クリーニングブレード6と、が順次配設され、更に、定着用ロール7と、用紙8とが配設されている。
【0121】
帯電器1としては、コロトロン、スコロトロン、帯電ローラー等の帯電器として公知のものが好適に用いられる。
露光光源2としては、波長が600nm以下の可干渉光を発振する光源であれば、特に制限はなく、公知の露光光源が好適に用いられる。
前記可干渉光としては、[露光]の項で既に述べた可干渉光が好適である。
【0122】
現像器3としては、現像器として公知のものが好適に用いられる。また、用いられる現像剤としては、トナー径が10μm以下のものが好ましく、さらにトナー径が8μm以下、6μm以下のものを使用することにより、顕著な効果が現れる。
また、トナー径としては、かぶり等の発生を抑える点から、通常3μm以上が好ましい。
【0123】
感光体ドラム9は、[電子写真感光体]の項で既に述べた電子写真感光体の構成からなる。即ち、導電性材料からなる円筒部材(導電性基体)表面に前記感光層が設けられてなる。
【0124】
電子写真感光体としての感光体ドラム9は、図示しない駆動手段によって矢印方向に回転駆動される。
電子写真感光体としての感光体ドラム9のプロセススピードとは、電子写真感光体表面の線速度をいい、一般的には、画像形成装置全体の搬送速度と同意義である。
前記感光体ドラム9(電子写真感光体)のプロセススピードとしては、40mm/sec.以上が好ましく、70mm/sec.以上、100mm/sec.以上、150mm/sec.以上、更には、200mm/sec.以上とプロセススピードが高くなる程好ましい。
【0125】
従来の長波長の半導体レーザーにおいて、ポリゴンミラーの大きさを変えずにビーム径を小さくするためには、ポリゴンミラーの面数を減らす必要があった。また、高解像度、かつ、高プロセススピードを実現するためには、ポリゴンミラーを更に高速回転する必要があった。
しかし、本発明の画像形成装置においては、上記のように短波長のレーザー光を露光に用いることができるため、ビーム径を小さくするためにポリゴンミラーの大きさ、面数を変える必要がなく、高解像度、かつ、高プロセススピードを実現するためには、ポリゴンミラーの回転速度をそれに応じて大きくするのみでよい。
したがって、より短波長のレーザーを用いることにより、好適に、高プロセススピードを実現することが可能である。
【0126】
以上より、本発明の画像形成装置には、短波長のレーザー光を光源として用いることができるため、レーザービームのスポットの拡散は、従来の半導体レーザーに比べて低減され、極めて高解像度の潜像の形成が実現する。
特に、解像度が400dpi以上、特に、600dpi、1200dpi以上において顕著な効果が現われる。
【0127】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
尚、実施例中、「部」はいずれも「重量部」を意味する。
【0128】
(参考例1)
[電子写真感光体の作製]
−下引き層の形成−
板状のアルミニウム基体(導電性基体)に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガノチックスZC540、マツモト製薬社製)10部及びシラン化合物(商品名:A1110、日本ユニカー社製)1部と、i−プロパノール40部及びブタノール20部からなる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分間加熱乾燥して、下引き層(厚み:0.1μm)を形成した。
【0129】
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料としてジブロモアントアントロン顔料8部、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:VMCH、ユニオンカーバイド社製)2部及びブタノール100部の混合物を、ガラスビーズと共にサンドミルで1時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液を得、これを上記下引き層の上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃において10分間加熱乾燥して、電荷発生層(厚み:約1μm)を形成した。
【0130】
−電荷輸送層の形成−
次に、電荷輸送材料として前記例示化合物(化合物No.66)6部及びビスフェノール(Z)ポリカーボネート9部をモノクロロベンゼン85部に溶解させて得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記の電荷発生層上に塗布し、115℃において60分間加熱乾燥し、電荷輸送層(厚み:約20μm)を形成した。
以上のようにして板状アルミニウム基体上に感光層が設けられた電子写真感光体を作製した。
【0131】
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
得られた電子写真感光体を、コロナ放電により暗所で−400Vに帯電した後、色素レーザー(波長410nm)により、幅40μmの直線状のマスクを通して潜像を形成した。
その後、潜像解析装置(「電子写真学会誌」第32巻、第4号、62(1993)に記載されているSFMを応用して作製したもの)を用い、得られた潜像と直角方向にスキャンさせることにより、潜像の解析を行った。
潜像の幅は、露光中心の電位減衰率の20分の1の電位減衰率になった位置間の幅とした。その潜像の幅は47μmであった。
【0132】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
上記の電荷輸送層の形成に用いた電荷輸送層形成用塗布液を、スライドガラス上に塗布し、115℃において60分間加熱乾燥させ、蛍光測定用試料を得た。前述の発光測定装置(装置名:日立Fluorescence Spectoro Photometer850、日立製作所(株)製)を用い、前述と同様にして電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)とを求めたところ、レーザー(波長410nm)に対応する吸収フォトン数(NA)は3.56×103 であり、蛍光発光フォトン数(NF)は1.63×103であり、前記式(1)の関係を満たしていた。
【0133】
(比較例1)
[電子写真感光体の作製]
参考例1の[電子写真感光体の作製]と同様にして電子写真感光体を作製した。
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
参考例1の<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>において、レーザー(波長410nm)を、レーザー(波長403nm)に代えた外は、参考例1と同様にして潜像を形成し、解析を行ったところ、潜像の幅は78μmであった。
【0134】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出したところ、レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)は1.77×104であり、蛍光発光フォトン数(NF)は1.41×104 であって、式(1)の関係を満たしていなかった。
【0135】
(比較例2)
[電子写真感光体の作製]
参考例1の[電子写真感光体の作製]において、前記例示化合物(化合物No.66)を、下記構造式で表される化合物に代えた外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0136】
【化33】
【0137】
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
参考例1の<潜像の形成及び解析>において、レーザー(波長410nm)を、レーザー(波長403nm)に代えた外は、参考例1と同様にして潜像を形成し、解析を行ったところ、潜像の幅は76μmであった。
【0138】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出したところ、レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)は1.44×104であり、蛍光発光フォトン数(NF)は1.10×104 であり、前記式(1)の関係を満たしていなかった。
【0139】
(実施例1〜28、参考例2〜31)
[電子写真感光体の作製]
参考例1の[電子写真感光体の作製]において、前記例示化合物(化合物No.66)を、下記表39から表40の「電荷輸送材料」の欄に示す各化合物(それぞれ「化合物No.」で示す。)に代えた外は、参考例1と同様にして各電子写真感光体を作製した。
【0140】
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
参考例1の<潜像の形成及び解析(解像度の評価)において、レーザー(波長410nm)を、下記表39から表40の「波長(nm)」の欄に示す波長のレーザーに代えた外は、参考例1と同様にして潜像を形成し、解析を行った。それぞれの潜像の幅(静電潜像の解像度)(μm)を表39及び40に示す。
【0141】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。表39から表40の「波長(nm)」の欄に示すそれぞれの波長のレーザーに対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表39及び表40に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表39及び表40に示す。
【0142】
【表39】
【0143】
【表40】
【0144】
(実施例29)
[電子写真感光体の作製]
参考例1の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.66)6部を、前記例示化合物(化合物No.48)3部および前記例示化合物(化合物No.66)3部に代えた外は、参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0145】
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
得られた電子写真感光体について、参考例1と同様にして、潜像の形成、解析を行った。潜像の幅は48μmであった。
【0146】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長410nm)に対応する吸収フォトン数(NA)は3.88×103であり、蛍光発光フォトン数(NF)は1.72×103 であり、前記式(1)の関係を満たしていた。
【0147】
(実施例30)
[電子写真感光体の作製]
参考例1の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.66)6部を、前記例示化合物(化合物No.63)3部および前記例示化合物(化合物No.66)3部に代えた外は、参考例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0148】
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
得られた電子写真感光体を、参考例1と同様にして、潜像の形成、解析を行った。潜像の幅は48μmであった。
【0149】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長410nm)に対応する吸収フォトン数は3.90×103であり、蛍光発光フォトン数は1.78×103であり、前記式(1)の関係を満たしていた。
【0150】
(実施例31)
[電子写真感光体の作製]
参考例1の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.66)6部及びビスフェノール(Z)ポリカーボネート9部を、前記例示化合物(化合物X−1)5部に代え、モノクロロベンゼン85部を29部に変え、加熱乾燥の温度(115℃)を120℃に変えた外は、参考例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0151】
<潜像の形成及び解析>
得られた電子写真感光体を、参考例1と同様に、潜像の形成、解析を行った。潜像の幅は47μmであった。
【0152】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長410nm)に対応する吸収フォトン数は3.10×103であり、蛍光発光フォトン数は0.81×103であり、前記式(1)の関係を満たしていた。
【0153】
(実施例32〜50)
[電子写真感光体の作製]
実施例31の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物X−1)を、下記表41の「電荷輸送材料」の欄に示す化合物(それぞれ「化合物No.」で示す。)に代えた外は、実施例31と同様にして各電子写真感光体を作製した。
【0154】
<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>
実施例31の<潜像の形成及び解析(解像度の評価)>において、レーザー(波長410nm)を、下記表41の「波長(nm)」の欄に示す波長のレーザーに代えた外は、実施例と同様にして潜像を形成し、解析を行った。それぞれの潜像の幅(静電潜像の解像度)(μm)を表41に示す。
【0155】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
実施例31の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出し、評価した。表41の「波長(nm)」の欄に示すそれぞれの波長のレーザーに対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表41に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表41に示す。
【0156】
【表41】
【0157】
(実施例51)
[電子写真感光体の作製]
−下引き層の形成−
ホーニング処理を施したアルミニウムパイプ(導電性基体)に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガノチックスZC540、松本製薬社製)100部及びシラン化合物(商品名:A1110、日本ユニカー社製)1部と、i−プロパノール40部及びブタノール20部からなる溶液を、浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分間加熱乾燥して、下引き層(厚み:0.5μm)を形成した。
【0158】
−電荷発生層の形成−
参考例1の−電荷発生層の形成−と同様にして、前記下引き層上に、電荷発生層を形成した。
【0159】
−電荷輸送層の形成−
次に、電荷輸送材料として前記例示化合物(化合物No.9)2部及びポリカーボネート樹脂3部をモノクロロベンゼン29部に溶解させて得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記の電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、120℃において1時間加熱乾燥し、電荷輸送層(厚み:20μm)を形成した。
以上のようにしてアルミニウムパイプ上に感光層が設けられた電子写真感光体を作製した。
【0160】
<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>
得られた電子写真感光体を、色素レーザー(波長403nm)を用いた画像形成装置(解像度:400dpi)に搭載し、常温常湿(20℃、40RH)環境下、グリッド電圧−400Vのスコロトロン帯電器で帯電させ、露光(出力:5mW)して放電を行うプロセス(電子写真感光体のプロセススピード:40mm/sec.)によって印字テストを実施し、画像を得た。
得られた画像について、細線のボケを目視により観察し、「○:ボケあり」「×:ボケなし」の基準によって評価した。結果を表42に示す。
【0161】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表42に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表42に示す。
【0162】
(実施例52)
[電子写真感光体の作製]
実施例51の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.9)を、前記例示化合物(化合物No.3)に代えた外は、実施例51と同様にして電子写真感光体を作製した。
<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>
実施例51における<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>と同様にして、得られた画像について、細線のボケを目視により観察し、同様にして評価した。結果を表42に示す。
【0163】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表42に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表42に示す。
【0164】
(実施例53)
[電子写真感光体の作製]
実施例51の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.9)を、前記例示化合物(化合物No.8)に代えた外は、実施例51と同様にして電子写真感光体を作製した。
<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>
実施例51における<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>と同様にして、得られた画像について、細線のボケを目視により観察し、同様にして評価した。結果を表42に示す。
【0165】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表42に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表42に示す。
【0166】
(実施例54)
[電子写真感光体の作製]
実施例51の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.9)2部及びポリカーボネート樹脂3部を、例示化合物(X−1)5部に代えた外は、実施例51と同様にして電荷輸送層を形成し、アルミニウムパイプ上に感光体が設けられた電子写真感光体を作製した。
【0167】
<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>
得られた電子写真用感光体を、実施例51における<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>と同様に印字テストを実施し、画像を得、細線のボケを観察し、評価した。結果を表42に示す。
【0168】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表42に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表42に示す。
【0169】
(比較例3)
[電子写真感光体の作製]
実施例51の−電荷輸送層の形成−において、前記例示化合物(化合物No.9)を、前記例示化合物(化合物No.66)に代えた外は、実施例51と同様にして電荷輸送層を形成し、アルミニウムパイプ上に感光体が設けられた電子写真感光体を作製した。
【0170】
<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>
得られた電子写真用感光体を、実施例51における<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>と同様に印字テストを実施し、画像を得、細線のボケを観察し、評価した。結果を表42に示す。
【0171】
<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>
参考例1の<電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)と蛍光発光フォトン数(NF)の算出>と同様にして算出した。レーザー(波長403nm)に対応する吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)を表42に示す。
また、吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)が前記式(1)の関係を満たす場合を「○」、満たさない場合を「×」として評価し、表42に示す。
【0172】
【表42】
【0173】
(実施例55〜58、比較例4)
表43の「電子写真感光体」の欄に示された「実施例No.」又は「比較例No.」に対応する上記実施例又は比較例中、[電子写真感光体の作製]で得られた電子写真感光体を用い、実施例51の<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>において、画像形成装置(解像度:400dpi)の電子写真感光体のプロセススピードを、40mm/sec.、100mm/sec.、及び、150mm/sec.の各数値に設定した外は、実施例51と同様にして印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価を行った。結果を表43に示す。
【0174】
【表43】
【0175】
(実施例59〜62、比較例5)
表44の「電子写真感光体」の欄に示された「実施例No.」又は「比較例No.」に対応する上記実施例又は比較例中、[電子写真感光体の作製]で得られた電子写真感光体を用い、実施例51の<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>において、画像形成装置(解像度:400dpi)の露光の出力を、1mW、3mW、及び、5mWの各数値に設定した外は、実施例51と同様にして、印字テストを実施し、画像を得て評価を行い、実施例51と同様にしてして印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価を行った。結果を表44に示す。
【0176】
【表44】
【0177】
(実施例63)
実施例51の[電子写真感光体の作製]で作製した電子写真感光体を用い、<印字テスト及び画像(細線のボケ)の評価>において、色素レーザー(波長403nm)を、固体半導体レーザー(波長400nm)に代えた外は、実施例51と同様にして印字テストを実施し、画像を得て細線のボケの評価を行ったところ、細線は、非常にシャープでボケは全く観察されず、非常に優れた画像であった。
また、実施例51と同様にして、電荷輸送層の吸収フォトン数(NA)及び蛍光発光フォトン数(NF)の算出を行ったところ、固体半導体レーザー(波長400nm)に対応する吸収フォトン数(NA)は2.55×103であり、蛍光発光フォトン数(NF)は0.60×103であり、前記式(1)の関係を満たしていた。
【0178】
【発明の効果】
本発明によれば、高解像度の画像を得ることが可能な画像形成方法、及び該画像形成方法に用いる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に用いる電子写真感光体の表面近傍の一例を示す拡大断面図である。
【図3】本発明に用いる電子写真感光体の表面近傍の他の一例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明に用いる電子写真感光体の表面近傍の他の一例を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に用いる電子写真感光体の表面近傍の他の一例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:帯電器
2:露光光源
3:現像器
4:転写用ロール
5:除電用光源
6:クリーニングブレード
7:定着用ロール
8:用紙
9:感光体ドラム
10:画像形成装置
11a、11b、11c、11d:電荷発生層
12a、12b、12c、12d:電荷輸送層
13a、13b、13c、13d:導電性基体
14b、14d:下引き層
15c、15d:保護層
Claims (7)
- 電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層の順に導電性基体表面に設けられた電子写真感光体に、波長が450nm以下の可干渉光を露光して潜像を形成する潜像形成工程を含む画像形成方法であって、電荷輸送層が下記一般式(I)で表される化合物、一般式( III )で表される化合物、一般式(V)で表される化合物、一般式(X)〜一般式( XIII )で表される構造の1種以上を部分構造として有する化合物、又は一般式( XIV )で表される構造を部分構造として有する化合物を少なくとも1種含み、
前記電子写真感光体を露光した場合、電荷輸送層に吸収される吸収フォトン数(NA)と、電荷輸送層で発光する蛍光発光フォトン数(NF)と、が下記式(1)を満たす電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方法。
NF ≦0.75×NA (ただし、N F =N A =0の場合を除く。) (1)
- 前記電子写真感光体の表面における解像度が、400dpi以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記電子写真感光体のプロセススピードが、40mm/sec.以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記露光の出力が、1mW以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記可干渉光が、固体半導体レーザー光であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記電荷輸送層が、前記一般式 (III)で表されるトリフェニルメタン化合物を含み、かつ、前記一般式(I)で表される化合物、下記一般式( II )及び一般式( IV )で表される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 少なくとも、露光光源と、電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層が導電性基体表面に設けられた電子写真感光体と、を有し、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする画像形成装置。
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