JP3557194B2 - 固体物質の表面改質方法、表面改質された固体物質および固体物質の表面改質装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体物質の表面改質方法、表面改質された固体物質および固体物質の表面改質装置に関し、特に、接着、印刷、塗装などを容易にした固体物質の表面改質方法、表面改質された固体物質および固体物質の表面改質装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体物質、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレン樹脂等の表面は、疎水性や撥水性であることが多く、他部材の接着、印刷、紫外線塗装等の表面処理が一般に困難である。また、ステンレスやマグネシウム等の金属表面は、金属の中では密着力や表面平滑性が不足しており、紫外線硬化型塗料等を直接的に適用した場合には、塗膜が容易に剥離してしまうという問題点が見られた。さらに、光触媒として、酸化チタンや酸化ジルコニウム等の無機粒子を、高分子物質中に添加することが試みられているが、分散性が乏しく、取り扱いが容易でないという問題が見られた。
そこで、このような固体物質の表面特性を改質する方法として、固体物質の表面にプライマー処理を施したり、溶剤に溶かしたシランカップリング剤やチタンカップリング剤を表面に塗布したりすることが行われている。
しかしながら、所定の改質効果を得るためには、比較的多量のプライマーやシランカップリング剤等を必要とし、しかも処理時間が長くかかるなどの製造工程上の問題点が見られた。
【0003】
そこで、プライマー処理やカップリング剤処理にかわる固体物質の表面特性を改質する方法として、紫外線照射法、コロナ放電処理、プラズマ処理、表面感応基付与法、表面光グラフト法、サンドブラスト法、溶剤処理、クロム酸混液処理などが挙げられる。
例えば、特開平5−68934号公報には、疎水性プラスチックの表面に対し、合成石英製高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射して、塗装の濡れ性及び密着性を向上させる技術が開示されている。また、米国特許No.5098618によれば、混合ガス下で、疎水性プラスチックの表面に対し、185nmおよび254nmの波長を有する紫外線を選択的に照射して、塗装の濡れ性及び密着性を向上させる技術が開示されている。また、特開平10−67869号公報には、濡れ性に乏しいプラスチック表面に、気体を吹き付けながら、高電圧パルスによってコロナ処理を行う方法が開示されている。また、特開平8−109228号公報には、染色性を向上させるために、ポリオレフィン樹脂等の表面に、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、高圧放電処理、紫外線照射等の表面活性化処理を施した後、ビニル単量体をグラフトする方法が開示されている。
しかしながら、これらの表面改質方法では、表面特性の改質が不十分であるばかりか、作業環境が汚染される、危険であるなどの環境上の問題点、水洗や廃液処理などが必要となる等の作業上の問題点、および設備が大規模、高価であるといった経済上の問題点も見られた。
一方、簡便で安価な表面改質方法として、固体物質の表面を火炎処理することも考えられるが、濡れ指数や接触角に代表される表面特性の改質が不十分であるばかりか、効果が長期間持続しないといった問題点が見られた。さらに、特開平9−124810号公報に開示されているように、固体物質の表面を火炎処理する場合、熱変形が生じやすいといった問題点が見られた。
【0004】
そこで、本発明の発明者らは、DE0010019926A1公報に開示されているように、主として金属やガラス製品の固体基体の表面に対し、少なくとも1回の酸化炎処理で該表面を変性する工程と、少なくとも1回のケイ酸化炎処理で該表面を変性する工程と、を含む固体基体表面の変性方法を提案している。かかる固体基体表面の変性方法によれば、固体基体の表面を確実に変性処理することができ、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等を強固に接着できるという効果を得ることができる。
しかしながら、開示された固体基体表面の変性方法は、シラン化合物として、沸点が高いテトラメトキシシラン(沸点:122℃)等のアルコキシシラン化合物を単独使用していたため、このようなアルコキシシラン化合物を多量に空気等と混合する場合に、一部不完全燃焼しやすくなる現象が見られた。また、ケイ酸化炎処理前に、別途酸化炎処理工程を含むため、固体基体表面に対して、より優れた変性効果が得られるものの、その分処理時間が長くかかるという問題が見られた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の発明者らは、鋭意努力した結果、固体物質や金属物質等の表面に対して、特定の沸点を有する改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を吹き付け処理(ケイ酸化炎処理、チタン酸化炎処理、およびアルミニウム酸化炎処理)することにより、従来の問題点を解決するとともに、シラン原子等を含有する改質剤化合物を比較的多量に使用した場合であっても、燃焼しやすくして、酸化炎処理工程を省いた場合であっても、固体物質等の表面改質を均一かつ十分に実施できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、固体物質や金属物質等の固体物質の表面を、効率よく燃焼させた改質剤化合物によって改質し、しかも長時間にわたって、改質効果を持続させることが可能な固体物質の表面改質方法、表面改質された固体物質、および固体物質の表面改質装置をそれぞれ提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、固体物質の表面に対して、シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、全面または部分的に吹き付け処理することを特徴とする固体物質の表面改質方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、改質剤化合物の沸点を所定範囲に制限することにより、改質剤化合物が適度に気化して、空気等の引火性ガスや助燃剤と均一かつ迅速に混合して、完全燃焼しやすくなる。その結果、このような均一に混合した燃料ガスを用いることにより、固体物質の表面改質が均一になったり、長時間にわたって、改質効果を持続させたりすることが容易になる。
また、改質剤化合物の沸点が適当でなく、改質剤化合物と、引火性ガス等が均一に混合されていない場合、貯蔵部はもちろんのこと、バーナー等の先端部においても、改質剤化合物あるいはその架橋物等が堆積し、目つまりを起こすなどの問題点が見られた。
【0007】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、改質剤化合物が、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
このような改質剤化合物を使用することにより、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の難接着性固体物質の表面に対しても、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着できるという効果を得ることができる。また、このような改質剤化合物を使用することにより、より長時間にわたって、表面改質効果を持続させることができる。
【0008】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、燃焼ガス中に、沸点が100℃以上のアルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を添加するとともに、当該添加量を、改質剤化合物の全体量を100モル%としたときに、0.01〜50モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように若干沸点が高い化合物であって、アルキルシラン化合物等の改質剤化合物と極めて相溶性に優れた化合物を添加することにより、改質剤化合物の沸点が低いことによる取り扱いの悪さを改良することができるとともに、固体物質に対する表面改質効果をさらに高めることができる。
【0009】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、燃料ガス中の改質剤化合物の含有量を、燃料ガスの全体量を100モル%としたときに、1×10−10〜10モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、仮に下地が導電性固体物質や着色された固体物質等であっても、かかる導電性や着色性等の特性を損なうことなく、任意箇所において表面改質効果を得ることができる。
【0010】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、改質剤化合物を加熱し、気体状態とした後、燃焼させることが好ましい。
このように実施することにより、シラン化合物等の改質剤化合物を比較的多量に使用した場合であっても、引火性ガスと均一に混合した上で燃焼しやすくして、固体物質の表面改質を均一かつ十分に実施することができる。
【0011】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、改質剤化合物を、空気流に混合することにより、燃料ガスとすることが好ましい。
このように実施することにより、シラン化合物等の改質剤化合物を比較的多量に使用した場合であっても、安価な空気流と均一に混合した上で燃焼しやすくして、固体物質の表面改質を均一かつ十分に実施することができる。
【0012】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、改質剤化合物を、キャリアガスを用いて、前記空気流に混合することが好ましい。
このように実施することにより、比較的分子量が大きく、極性基を有することにより移動しづらい改質剤化合物を用いた場合であっても、空気流と均一に混合した上で燃焼しやすくして、固体物質の表面改質を均一かつ十分に実施することができる。
【0013】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、燃料ガスの圧力変化を連続的または断続的にモニターしながら、固体物質の表面に対して、火炎を吹付処理することが好ましい。
このように実施することにより、改質剤化合物の不完全燃焼等を間接的に防止することができ、結果として、固体物質の表面改質を均一かつ十分に実施することができる。
【0014】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、濡れ指数(測定温度25℃)を40〜80dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができる。また、このように実施することにより、より長時間にわたって、表面改質効果を持続させることができる。
【0015】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、火炎温度を500〜1、500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、改質剤化合物の不完全燃焼等を防止することができるとともに、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、固体物質に対して、極めて強固に接着することができる。
また、このような火炎温度であれば、処理時間にも多少影響されるが、固体物質の変形を効果的に防止することができる。
【0016】
また、本発明の固体物質の表面改質方法を実施するにあたり、火炎の処理時間を0.1秒〜100秒の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、改質剤化合物の不完全燃焼等を防止することができるとともに、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、固体物質に対して、極めて迅速に接着することができる。
また、このような処理時間であれば、火炎温度にも多少影響されるが、固体物質の変形を効果的に防止することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様は、シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、全面または部分的に吹き付け処理することにより、濡れ指数(測定温度25℃)を40〜80dyn/cmの範囲内の値とすることを特徴とする表面改質された固体物質(ただし、水酸基を含有するアクリル樹脂を含む水分散性または水性の塗布液を塗布し、乾燥、延伸、更に熱処理を施された塗布層を有する昇華型感熱転写用インキ易接着ポリエステルフィルムを除く。)である。
このように構成することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができる固体物質あるいはそれから得られる成形品を容易に提供することができる。また、このように構成することにより、固体物質において、より長時間にわたって、表面改質効果を持続させることができる。
【0018】
また、本発明の表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質における表面処理前の濡れ指数(測定温度25℃)を20〜45dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、表面活性部分と、表面不活性部分とを選択的に有する固体物質、あるいはそれから得られる成形品を容易に作ることができる。
【0019】
また、本発明の表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つの無機物であることが好ましい。
このように構成することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができる無機物や、高分子物質中に容易に混合分散することができる無機物を提供することができる。
【0020】
また、本発明の表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレンープロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一つのゴム類であることが好ましい。
このように構成することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができるゴム類あるいはそれから得られるゴム成形品を提供することができる。
また、このような固体物質であれば、火炎温度が500〜1、500℃であって、火炎の処理時間が0.1秒〜100秒の範囲内で噴射条件を適宜調節することにより、固体物質の変形を効果的に防止することができる。
【0021】
また、本発明の表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロクロロエチレン樹脂、およびエチレン−トリフルオロクロロエチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂であることが好ましい。
このように構成することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができる樹脂あるいはそれから得られる樹脂成形品を提供することができる。
また、このような固体物質であれば、火炎温度が500〜1、500℃であって、火炎の処理時間が0.1秒〜100秒の範囲内で噴射条件を適宜調節することにより、固体物質の変形を効果的に防止することができる。
【0022】
また、本発明の表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの熱硬化型樹脂であることが好ましい。
このように構成することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができる耐熱樹脂、あるいはそれから得られる耐熱成形品を提供することができる。
また、このような耐熱性固体物質であれば、火炎温度が500〜1500℃であって、火炎の処理時間が0.1秒〜100秒の範囲内で噴射条件を幅広く調節した場合であっても、固体物質の変形を効果的に防止することができる。
【0023】
また、本発明の別の態様は、シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物を含む燃料ガスを貯蔵するための貯蔵部と、当該燃料ガスを噴射部に移送するための移送部と、燃料ガスの火炎を吹き付けるための噴射部と、を含むことを特徴とする固体物質の表面改質装置である。
このように構成することにより、通常の接着剤はもちろんのこと、印刷用インキや紫外線硬化型塗料等であっても、極めて強固に接着することができる固体物質あるいはそれから得られる成形品を容易に製造することができる。
【0024】
また、本発明の固体物質の表面改質装置を構成するにあたり、貯蔵部に、改質剤化合物を気化させて燃料ガスとするための加熱手段が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、沸点等が多少ばらついたような場合であっても、幅広い種類の改質剤化合物を使用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の固体物質の表面改質方法、表面改質された固体物質および固体物質の表面改質装置に関する実施の形態について具体的に説明する。
【0026】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、沸点が10〜100℃の範囲である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、固体物質の表面に対して、全面または部分的に吹き付け処理することを特徴とする固体物質の表面改質方法である。
【0027】
1.固体物質
第1の実施形態において使用される固体物質は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等が典型的であるが、詳細については、第2の実施形態において説明する。
【0028】
2.燃料ガス
(1)改質剤化合物
▲1▼沸点
改質剤化合物の沸点(大気圧下)を10〜100℃の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる改質剤化合物の沸点が10℃未満の値であっては、揮発性が激しくて、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の沸点が100℃を超えると、空気等の引火性ガスや助燃剤との混合性が著しく低下し、改質剤化合物が不完全燃焼しやすくなって、固体物質の表面改質が不均一になったり、長時間にわたって、改質効果を持続させることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、かかる改質剤化合物の沸点を15〜80℃の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜60℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる改質剤化合物の沸点は、改質剤化合物自体の構造を制限することによっても調整することができるが、その他、比較的沸点が低いアルキルシラン化合物等と、比較的沸点が高いアルコキシラン化合物等とを適宜混合使用することによっても調整することができる。
【0029】
▲2▼種類
また、改質剤化合物の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物等が挙げられる。
また、これらの化合物のうち、アルキルシラン化合物、アルキルチタン化合物、およびアルキルアルミニウム化合物は、一般に沸点が低いものが多く、加熱により容易に気化して、空気等と均一に混合できることから好ましい改質剤化合物である。
このようなアルキルシラン化合物、アルキルチタン化合物およびアルキルアルミニウム化合物の好適例としては、テトラメチルシラン、テトラメチルチタン、テトラメチルアルミニム、テトラエチルシラン、テトラエチルチタン、テトラエチルアルミニム、1,2−ジクロロテトラメチルシラン、1,2−ジクロロテトラメチルチタン、1,2−ジクロロテトラメチルアルミニム、1,2−ジフェニルテトラメチルシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルチタン、1,2−ジフェニルテトラメチルアルミニム、1,2−ジクロロテトラエチルシラン、1,2−ジクロロテトラエチルチタン、1,2−ジクロロテトラエチルアルミニム、1,2−ジフェニルテトラエチルシラン、1,2−ジフェニルテトラエチルチタン、1,2−ジフェニルテトラエチルアルミニム、1,2,3−トリクロロテトラメチルシラン、1,2,3−トリクロロテトラメチルチタン、1,2,3−トリクロロテトラメチルアルミニウム、1,2,3−トリフェニルテトラメチルシラン、1,2,3−トリフェニルテトラメチルチタン、1,2,3−トリフェニルテトラメチルアルミニウム、ジメチルジエチルテトラシラン、ジメチルジエチルテトラチタン、ジメチルジエチルテトラアルミニム等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
さらに、このようなアルキルシラン化合物、アルキルチタン化合物およびアルキルアルミニウム化合物のうち、テトラメチルシラン、テトラメチルチタン、テトラメチルアルミニム、テトラエチルシラン、テトラエチルチタン、およびテトラエチルアルミニムは、特に沸点が低く、空気等と容易に混合することから好ましい改質剤化合物であり、1,2−ジクロロテトラメチルシラン等のハロゲン化シラン化合物は、表面改質効果が特に優れていることから好ましい改質剤化合物である。
また、上述した化合物のうち、アルコキシシラン化合物、アルコキシチタン化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物は、そのエステル構造に起因して、一般に沸点が高いものが多いものの、その沸点が10〜100℃の範囲内である限り、固体物質に対してより優れた表面改質効果を発揮できることから好ましい改質剤化合物である。
【0030】
▲3▼平均分子量
また、改質剤化合物の平均分子量を、マススペクトル測定において、50〜1、000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる改質剤化合物の平均分子量が50未満となると、揮発性が高くて、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の平均分子量が1、000を超えると、加熱により気化して、空気等と容易に混合することが困難となる場合があるためである。
したがって、改質剤化合物の平均分子量を、マススペクトル測定において、60〜500の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜200の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
▲4▼密度
また、改質剤化合物の液体状態での密度を、0.3〜0.9g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる改質剤化合物の密度が0.3g/cm3未満となると、取り扱いが困難となったり、エアゾール缶に収容したりすることが困難となる場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の密度が0.9g/cm3を超えると、気化しずらくなるとともに、エアゾール缶に収容した場合に、空気等と完全に分離した状態となる場合があるためである。
したがって、改質剤化合物の密度を0.4〜0.8g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜0.7g/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0032】
▲5▼添加量
また、改質剤化合物の添加量を、燃焼ガスの全体量を100モル%としたときに、1×10−10〜10モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる改質剤化合物の添加量が1×10−10モル%未満の値になると、固体物質に対する改質効果が発現しない場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の添加量が10モル%を超えると、改質剤化合物と空気等との混合性が低下し、それにつれて改質剤化合物が不完全燃焼する場合があるためである。
したがって、改質剤化合物の添加量を、燃焼ガスの全体量を100モル%としたときに、1×10−9〜5モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、1×10−8〜1モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0033】
(2)引火性ガス
また、火炎温度の制御が容易にできることから、燃焼ガス中に、通常、引火性ガスを添加することが好ましい。このような引火性ガスとして、プロパンガスや天然ガス等の炭化水素ガス、あるいは、水素、酸素、空気等の引火性ガスが挙げられる。なお、燃焼ガスをエアゾール缶に入れて使用する場合には、このような引火性ガスとして、プロパンガスおよび圧縮空気等を使用することが好ましい。また、このような引火性ガスの含有量を、燃焼ガスの全体量を100モル%としたときに、80〜99.9モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる引火性ガスの含有量が80モル%未満の値になると、改質剤化合物と空気等との混合性が低下し、それにつれて改質剤化合物が不完全燃焼する場合があるためである。一方、かかる改質剤化合物の添加量が99.9モル%を超えると、固体物質に対する改質効果が発現しない場合があるためである。
したがって、改質剤化合物の添加量を、燃焼ガスの全体量を100モル%としたときに、85〜99モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜99モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0034】
(3)キャリアガス
また、燃焼ガス中に、改質剤化合物を均一に混合するために、キャリアガスを添加することも好ましい。すなわち、改質剤化合物と、キャリアガスとを予め混合し、次いで、空気流等の引火性ガスに混合することが好ましい。
この理由は、かかるキャリアガスを添加することにより、比較的分子量が大きく、移動しづらい改質剤化合物を用いた場合であっても、空気流と均一に混合することができるためである。すなわち、キャリアガスを添加することにより、改質剤化合物を燃焼しやすくして、固体物質の表面改質を均一かつ十分に実施することができるためである。
なお、このような好ましいキャリアガスとして、引火性ガスと同種のガスを使用することが好ましく、例えば、空気や酸素、あるいはプロパンガスや天然ガス等の炭化水素を挙げることができる。
【0035】
(4)添加物
▲1▼種類
また、燃焼ガス中に、沸点が100℃以上のアルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、改質補助剤として添加することが好ましい。
この理由は、このように若干沸点が高い化合物であっても、アルキルシラン化合物等の改質剤化合物と極めて相溶性に優れた改質補助剤を添加することにより、改質剤化合物の沸点が低いことによる燃料ガスの取り扱いの悪さを改良することができるとともに、固体物質に対する表面改質効果をさらに高めることができるためである。
【0036】
▲2▼添加量
また、改質剤化合物の全体量を100モル%としたときに、改質補助剤の添加量を0.01〜50モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる改質補助剤の添加量が0.01モル%未満の値になると、改質補助剤の添加効果が発現しない場合があるためである。一方、かかる改質補助剤の添加量が50モル%を超えると、燃焼ガスの不完全燃焼が生じる場合があるためである。
したがって、改質剤化合物の全体量を100モル%としたときに、改質補助剤の添加量を0.1〜30モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜20モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
3.火炎
(1)温度
また、火炎の温度を500〜1、500℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる火炎の温度が500℃未満の値になると、改質剤化合物の不完全燃焼を有効に防止することが困難になる場合があるためである。一方、かかる火炎の温度が1、500℃を超えると、表面改質する対象の固体物質が、熱変形したり、熱劣化したりする場合があり、使用可能な固体物質の種類が過度に制限される場合があるためである。
したがって、火炎の温度を550〜1、200℃の範囲内の値とすることが好ましく、600〜900℃未満の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる火炎の温度は、使用する燃焼ガスの種類や、燃焼ガスの流量、あるいは、燃焼ガスに添加する改質剤化合物の種類や量によって、適宜調節することができる。
【0038】
(2)処理時間
また、火炎の処理時間(噴射時間)を0.1秒〜100秒の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる火炎の処理時間が0.1秒未満の値になると、改質剤化合物による改質効果が均一に発現しない場合があるためである。一方、かかる火炎の処理時間が100秒を超えると、表面改質する対象の固体物質が、熱変形したり、熱劣化したりする場合があり、使用可能な固体物質の種類が過度に制限される場合があるためである。
したがって、火炎の処理時間を0.3〜30秒の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜20秒の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0039】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、沸点が10〜100℃の範囲である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、全面または部分的に吹き付け処理することにより、濡れ指数(測定温度25℃)を40〜80dyn/cmの範囲内の値とすることを特徴とする表面改質された固体物質である。
【0040】
1.固体物質
(1)ゴム
また、表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレンープロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一つのゴム類が挙げられる。
これらのゴム類のうち、特に接触角が大きく、濡れ指数が小さいシリコーンゴム、フッ素ゴム、オレフィンゴム、エチレン−プロピレンゴムに対して、本発明の表面改質を実施することにより、優れた改質効果を発現することができる。したがって、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等からなる防汚性ゴムや防汚性カバーの表面に、数字や文字等を用意に印刷することが可能となる。
【0041】
(2)樹脂
また、表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、ポリエチレン樹脂(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、低圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高圧法線状低密度ポリエチレン、超固体量ポリエチレン、架橋ポリエチレン)、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロクロロエチレン樹脂、およびエチレン−トリフルオロクロロエチレン共重合体等が挙げられる。
これらの樹脂のうち、特に接触角が大きく、濡れ指数が小さいポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等に対して本発明の表面改質を実施することにより、優れた改質効果を発揮することができる。したがって、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂からなるフィルム、あるいはポリエステル樹脂からなる容器上に、文字や模様を印刷したり、ポリカーボネート樹脂からなるコンパクトディスク基板上に、アルミニウムの反射膜を強固に接着したり、さらには、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる防汚材料上に、数字や文字等を用意に印刷することが可能となる。
【0042】
(3)熱硬化型樹脂
また、表面改質された固体物質を構成するにあたり、固体物質が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等の熱硬化型樹脂が挙げられる。これらの熱硬化型樹脂のうち、例えば、エポキシ樹脂である場合、本発明の表面改質を実施することにより、半導体封止用樹脂におけるレーザーマーキングを用意に実施することができる。
【0043】
(4)金属材料
また、表面改質された固体物質を構成するにあたり、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、ニッケル、クロム、タングステン、金、銅、鉄、銀、亜鉛、スズ、鉛等の一種単独または二種以上の金属材料の組み合わせが好ましい。
例えば、アルミニウムは軽量金属として多用されているが、表面に酸化膜を形成しやすく、紫外線硬化型塗料等を直接適用しても容易に剥離してしまうという問題が見られた。そこで、アルミニウム表面に対してケイ酸化炎処理等を施すことにより、紫外線硬化型塗料等を直接適用しても剥離することを有効に防止することができるようになった。
また、マグネシウムはリサイクル可能な金属部材として、パ−ソナルコンピューター等の筐体に近年多用されているが、表面の平滑性が乏しいことから、紫外線硬化型塗料等を直接適用しても容易に剥離してしまうという問題が見られた。そこで、マグネシウム表面に対してケイ酸化炎処理等を施すことにより、紫外線硬化型塗料等を直接適用した場合であっても、剥離することを有効に防止することができ、カラー化マグネシウム板等を提供できるようになった。
さらに、従来、半導体素子における金バンプや半田バンプを、フィルムキャリアや回路基板に電気接続した場合、高温高湿条件で、界面剥離が生じるという問題が見られた。そこで、金バンプや半田バンプにケイ酸化炎処理等を施すことにより、あるいは、フィルムキャリアや回路基板の導体部分に対してケイ酸化炎処理等を施すことにより、これらの界面剥離を有効に防止することができるようになった。
なお、ケイ酸化炎処理等とは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む火炎を用いた処理であって、基材の炎熱分解によって、基材の全部または一部に、酸化ケイ素層、酸化チタン層あるいは酸化アルミナ層を形成することができる火炎処理のことである。
【0044】
(5)無機フィラー
固体物質を構成する添加剤として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、石灰、ゼオライト、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、半田、ガラス、セラミック等の一種単独または二種以上の組み合わせからなる無機フィラーを添加することも好ましい。
このように無機フィラーを添加することにより、無機フィラーの種類によって、固体物質の機械的強度、耐熱性、導電性あるいは電気絶縁性等の物理特性を向上させることができる。そればかりか、このように無機フィラーを添加することにより、無機フィラー自体の表面も優先的に改質されるため、結果として、固体物質単体の場合よりも、表面改質効果をさらに発現することが可能である。
なお、固体物質に対して、無機フィラーを添加する場合、全体量に対して、その添加量を0.01〜80重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜50重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜30重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0045】
(6)形態
被処理物である固体物質の形態は特に制限されるものではないが、例えば、板状、シート状、フィルム状、テープ状、短冊状、パネル状、紐状などの平面構造を有するものであってもよいが、筒状、柱状、球状、ブロック状、チューブ状、パイプ状、凹凸状、膜状、繊維状、織物状、束状等の三次元構造を有するものであっても良い。例えば、繊維状のガラスやカーボンファイバーに対して、ケイ酸化炎処理等を施すことにより、表面改質をして、活性化することができ、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等のマトリクス樹脂中に均一に分散することができる。したがって、FRPやCFRPにおいて、優れた機械的強度や耐熱性等を得ることができる。
【0046】
また、このような被処理物の形態として、このような固体物質からなる構造体と、金属部品、セラミック部品、ガラス部品、紙部品、木部品等と組み合わせた複合構造体であることも好ましい。例えば、金属管やセラミック管の内面に、ケイ酸化炎処理等を施すことにより、表面改質をして、活性化することができ、樹脂ライナーが極めて強固に積層されたパイプを得ることができる。
また、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、あるいはCRT等における基板としてのガラス基板やプラスッチク基板の全面または一部に、ケイ酸化炎処理等を施すことにより、カラーフィルター、偏向板、光散乱板、ブラックマトリクス板、反射防止膜、帯電防止膜等の有機フィルムを極めて均一かつ強固に積層することができる。
【0047】
2.燃料ガス
第1の実施形態において説明したのと同様の改質剤化合物や引火性ガスを使用することができるため、ここでの説明は省略する。
【0048】
3.火炎
また、第1の実施形態において説明したのと同様の火炎における温度や処理時間を使用することができるため、ここでの説明は省略する。
【0049】
4.濡れ指数(表面エネルギー)
(1)表面改質後
また、表面改質された固体物質において、濡れ指数(測定温度25℃)を40〜80dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる固体物質の濡れ指数が45dyn/cm未満の値になると、接着、印刷、塗装などを容易に実施することが困難となる場合があるためである。一方、かかる固体物質の濡れ指数が80dyn/cmを超えると、過度に表面処理を実施することになり、固体物質を熱劣化させる場合があるためである。したがって、表面改質された固体物質において、濡れ指数を45〜75dyn/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜70dyn/cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0050】
(2)表面改質前
また、表面改質前(表面処理前)の固体物質において、濡れ指数(測定温度25℃)を20〜45dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる固体物質の濡れ指数が20dyn/cm未満の値になると、長時間にわたって表面処理を実施することになり、固体物質を熱劣化させる場合があるためである。一方、かかる固体物質の濡れ指数が45dyn/cmを超えると、火炎によって効率的に表面処理することが困難となる場合があるためである。例えば、改質処理前におけるポリエチレン樹脂の濡れ指数は、約40dyn/cmであって、ケイ酸化炎処理の温度等にもよるが、約1秒程度のケイ酸化炎処理によって、濡れ指数を60dyn/cm以上の値に高めることができる。したがって、表面改質前(表面処理前)の固体物質において、濡れ指数(測定温度25℃)を25〜38dyn/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、28〜36dyn/cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0051】
5.接触角
(1)表面改質後
また、表面改質された固体物質において、水を用いて測定される接触角(測定温度25℃)を0.1〜30°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる固体物質の接触角が0.1°未満の値になると、過度に表面処理を実施することになり、固体物質を熱劣化させる場合があるためである。一方、かかる固体物質の接触角が30°を超えると、接着、印刷、塗装などを容易に実施することが困難となる場合があるためである。
したがって、表面改質された固体物質において、水を用いて測定される接触角(測定温度25℃)を0.5〜20°の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、表1に、25℃の基準液を用いて測定した表面処理前の固体物質の濡れ指数(dyn/cm)と、表面処理後(0.5秒間)の固体物質の濡れ指数の測定例を示す。
【0052】
(2)表面改質前
また、表面改質前(表面処理前)の固体物質において、水を用いて測定される接触角(測定温度25℃)を50〜120°の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる固体物質の接触角が50°未満の値になると、火炎によって効率的に表面処理することが困難となる場合があるためである。一方、かかる固体物質の接触角が120°を超えると、長時間にわたって表面処理を実施することになり、固体物質を熱劣化させる場合があるためである。例えば、改質処理前におけるポリテトラフロオロエチレン樹脂の接触角は、約108°であって、ケイ酸化炎処理の温度等にもよるものの、約1秒程度のケイ酸化炎処理によって、接触角を約20°未満の値に低下させることができる。
したがって、表面改質前(表面処理前)の固体物質において、水を用いて測定される接触角を60〜110°の範囲内の値とすることがより好ましく、80〜100°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0053】
[第3の実施の形態]
第3の実施形態は、図1に示すように、シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物14を貯蔵するための貯蔵タンク12と、燃料ガスを移送するための移送部24と、燃料ガスの火炎34を吹き付けるための噴射部32と、を含む固体物質の表面改質装置10である。
【0054】
1.貯蔵タンク
図1に示すように、加熱手段16を有する改質剤化合物14を貯蔵するための第1の貯蔵タンク12と、圧縮空気等の引火性ガスを貯蔵するための第2の貯蔵タンク(図示せず)と、を備えることが好ましい。この例では、第1の貯蔵タンク12の下方に、ヒータや伝熱線、あるいは熱交換器に接続した加熱板等から加熱手段16を備えてあり、常温、常圧状態では液状の改質剤化合物14を気化することが好ましい。
そして、固体物質を表面処理する際には、加熱手段16によって、第1の貯蔵タンク12内の改質剤化合物14を所定温度に加熱し、気化させた状態で、引火性ガス(空気等)と混合し、燃焼ガスとすることが好ましい。
なお、燃焼ガス中における改質剤化合物の含有量は極めて重要であるため、当該改質剤化合物の含有量を間接的に制御すべく、第1の貯蔵タンク12に圧力計(または液面のレベル計)18を設けて、改質剤化合物の蒸気圧(または改質剤化合物量)をモニタ−することが好ましい。
【0055】
2.移送部
移送部は、通常、管構造であって、図1に示すように、第1の貯蔵タンク12から移送されてきた改質剤化合物14および第2の貯蔵タンク(図示せず)から移送されてきた引火性ガス(空気)とを均一に混合し、燃焼ガスにするための混合室22を備えるとともに、流量を制御するための弁や流量計、あるいは燃焼ガスの圧力を制御するための圧力計28を備えていることが好ましい。
また、改質剤化合物および引火性ガスを均一に混合した上で、流量を厳格に制御できるように、混合室22に混合ポンプや、滞留時間を長くするための邪魔板等を備えることも好ましい。
【0056】
3.噴射部
(1)構成
噴射部は、図1に示すように、移送部24を経て送られてきた燃焼ガスを燃やし、得られた火炎34を、被処理物である固体物質に吹き付けるためのバーナー32を備えることが好ましい。かかるバーナーの種類も特に制限されるものでないが、例えば、予混合型バーナー、拡散型バーナー、部分予混合型バーナー、噴霧バーナー、蒸発バーナー、微粉炭バーナー等のいずれであっても良い。また、バーナーの形態についても特に制限されるものでなく、例えば、図1に示すように、先端部に向かって拡大し、全体として扇型の構成であっても良く、あるいは、図4に示すように、概ね長方形であって、噴射口64が横方向に配列されたバーナーであっても良い。
【0057】
(2)配置
噴射部の配置、すなわち、バーナーの配置は、被処理物である固体物質の表面改質の容易さ等を考慮して決定することが好ましい。
例えば、図2に示すように、円形または楕円形に沿って配置することも好ましいし、図4に示すように、被処理物である固体物質の両側に近接して配置することも好ましい。
また、図5(a)に示すように、被処理物である固体物質の片側に所定距離だけ離して配置することも好ましいし、図5(b)に示すように、被処理物である固体物質の両側にそれぞれ所定距離だけ離して配置することも好ましい。さらに図6に示すように被処理物である固体物質の周囲に円周上に配置することも好ましい。
【0058】
4.形態
(1)据付型
固体物質の表面改質装置の形態としては、例えば、図1に示すように、貯蔵タンク12と、燃料ガスを移送するための移送部24と、燃料ガスから得られる火炎を吹き付けるための噴射部32と、を据え付けた状態で備えることが好ましい。そして、図2に示すような回転テーブル36上の固定治具38に載置した状態で、被処理物である固体物質の位置を適宜変えながら、しかも固定治具38によって自転させながら、噴射部32から火炎34を吹き付けることが好ましい。
このような据付型の表面改質装置10であれば、大量にしかも効率的に、被処理物である固体物質の表面改質を実施することができる。
【0059】
(2)携帯型
また、固体物質の表面改質装置42を、図3に示すように携帯型とすることも好ましい。すなわち、点線で囲まれた領域に示されるように、カートリッジ式の貯蔵タンク46と、配管パイプ47と、流量計や圧力計を備えたボックス44を用意し、さらに配管パイプ47の先端部にバーナー32を備えることが好ましい。このように構成すると、ボックス44を適宜移動させることによって、戸外に置かれた被処理物や、大面積、大容量の被処理物に対しても、容易に表面処理を実施することが可能となる。
なお、ボックス44の持ち運びが容易にできるように、ボックス44の上部に取手や片紐を付けたり、あるいはボックス44の総重量を20kg以下の値とすることが好ましい。
【0060】
【実施例】
[実施例1]
1.固体物質の表面改質
厚さ2mmのシリコーンゴム(硬度80)からなるシートを準備した。このシリコーンゴムシートに対して、図3に示す携帯型の表面改質装置を用いて、ケイ酸化炎処理を0.5秒間実施した。
なお、燃料ガスとして、沸点27℃のテトラメチルシランを0.0001モル%、沸点122℃のテトラメトキシシランを0.00001モル%、残りが圧縮空気であるカートリッジ入りの混合ガスを用いた。
【0061】
2.固体物質の評価
(1)濡れ指数
表面改質されたシリコーンゴムシートの濡れ指数を、標準液を用いて測定した。また、表面改質前のシリコーンゴムシートの濡れ指数を同様に測定した。
【0062】
(2)UV塗装性
エポキシアクリレート系の紫外線硬化型塗料を、表面改質されたシリコーンゴムシート上にスクリーン印刷した後、紫外線照射装置により300mJ/cm2の紫外線を照射し、以下の基準で評価した。
また、表面改質前のシリコーンゴムシートのUV塗装性を同様に測定した。
◎:100個の碁盤目試験(JIS基準)で、全く剥がれが無い。
○:100個の碁盤目試験(JIS基準)で、剥がれ数は1〜2個である。
△:100個の碁盤目試験(JIS基準)で、剥がれ数は3〜10個である。
×:100個の碁盤目試験(JIS基準)で、剥がれ数は11個以上である。
【0063】
[実施例2〜7]
実施例2〜7では、表1に示すように、被処理物である固体物質の種類およびケイ酸化炎処理時間を変えて、実施例1と同様に、表面改質された固体物質の評価を行った。
【0064】
[比較例1]
実施例1におけるテトラメチルシランおよびテトラメトキシシランと、圧縮空気とからなる混合ガスの代わりに、沸点122℃のテトラメトキシシラン単体と、圧縮空気とからなる混合ガスを用いたほかは、実施例1と同様に、固体物質の表面改質および固体物質の評価を行った。
【0065】
【表1】
【0066】
[実施例8〜9および比較例2]
実施例8では、実施例1と同様に、ケイ酸化炎処理を実施した後、放置時間を2weekおよび4weekに変えて、濡れ指数およびUV塗装性をそれぞれ評価した。
また、実施例9では、実施例1におけるテトラメチルシランおよびテトラメトキシシランと、圧縮空気とからなる混合ガスの代わりに、テトラメチルシランと、圧縮空気とからなる混合ガスを使用したほかは、実施例1と同様に、ケイ酸化炎処理を実施した後、放置時間を2weekおよび4weekに変えて、濡れ指数およびUV塗装性をそれぞれ評価した。
また、比較例2では、ケイ酸化炎処理の代わりに、コロナ処理を実施し、濡れ指数およびUV塗装性をそれぞれ評価した。
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】
以上の説明の通り、本発明の固体物質の表面改質方法によれば、沸点が10〜100℃の改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を固体物質に吹き付けることによって、接着、印刷、塗装などを容易にした表面改質された固体物質が得られるようになった。
また、本発明の表面改質された固体物質、例えば、難接着性材料の代表であるシリコーンゴムやフッ素ゴム、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂、あるいはステンレスやマグネシウム等の金属であっても、従来、不可能であった接着、印刷、塗装などが容易にできるようになった。したがって、防汚性ゴム、撥水性ゴム、クッションゴム、シーリングゴム等の用途はもちろんのこと、これらの難接着性材料からなる各種スイッチ、カバー、レバー、車両用バンパー、電気部品筐体、電子部品筐体、容器、フィルム、テープ等の表面に、接着、印刷、塗装などが容易にできるようになった。
さらに、本発明の固体物質の表面改質装置によれば、特定の燃料ガスを貯蔵するための貯蔵部と、当該燃料ガスを噴射部に移送するための移送部と、燃料ガスの火炎を吹き付けるための噴射部と、を含むことにより、接着、印刷、塗装などを容易にした固体物質が効率的に得られるようになった。
【0069】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面改質装置の構造を説明するために供する図である。
【図2】本発明の表面改質装置による火炎の吹き付け方法を説明するために供する図である。
【図3】本発明の携帯型の表面改質装置の構造を説明するために供する図である。
【図4】火炎の吹き付け方を説明するために供する図である(その1)。
【図5】火炎の吹き付け方を説明するために供する図である(その2)。
【図6】火炎の吹き付け方を説明するために供する図である(その3)。
【0070】
【符号の説明】
10:表面改質装置(据え付け型)
12:貯蔵部(貯蔵タンク)
14:改質剤化合物
16:加熱手段
18:圧力計
22:混合室
24:移送部
28:圧力計
32:噴射部(バーナー)
34:炎
42:表面改質装置(携帯型)
Claims (19)
- シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、固体物質の表面に対して、全面または部分的に吹き付け処理することを特徴とする固体物質の表面改質方法。
- 前記改質剤化合物が、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記改質剤化合物に、沸点が100℃以上のアルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を添加するとともに、当該添加量を、改質剤化合物の全体量を100モル%としたときに、0.01〜50モル%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記燃料ガス中の改質剤化合物の含有量を、燃料ガスの全体量を100モル%としたときに、1×10−10〜10モル%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記改質剤化合物を加熱し、気体状態とした後、燃焼させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記改質剤化合物を、空気流に混合することにより、前記燃料ガスとすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記改質剤化合物を、キャリアガスを用いて、前記空気流に混合することを特徴とする請求項6に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記燃料ガスの圧力変化を連続的または断続的にモニターしながら、固体物質の表面に対して、前記火炎を吹き付け処理することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- 濡れ指数(測定温度25℃)を40〜80dyn/cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記火炎の温度を500〜1、500℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- 前記火炎の処理時間を0.1秒〜100秒の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の固体物質の表面改質方法。
- シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物を含む燃料ガスの火炎を、全面または部分的に吹き付け処理することにより、濡れ指数(測定温度25℃)を40〜80dyn/cmの範囲内の値とすることを特徴とする表面改質された固体物質(ただし、水酸基を含有するアクリル樹脂を含む水分散性または水性の塗布液を塗布し、乾燥、延伸、更に熱処理を施された塗布層を有する昇華型感熱転写用インキ易接着ポリエステルフィルムを除く。)。
- 前記固体物質における表面処理前の濡れ指数(測定温度25℃)を20〜45dyn/cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項12に記載の表面改質された固体物質。
- 前記固体物質が、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つの無機物であることを特徴とする請求項12または13に記載の表面改質された固体物質。
- 前記固体物質が、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレンープロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびウレタン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも一つのゴム類であることを特徴とする請求項12または13に記載の表面改質された固体物質。
- 前記固体物質が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロクロロエチレン樹脂、およびエチレン−トリフルオロクロロエチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂であることを特徴とする請求項12または13に記載の表面改質された固体物質。
- 前記固体物質が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの熱硬化型樹脂であることを特徴とする請求項12または13に記載の表面改質された固体物質。
- シラン原子、チタン原子またはアルミニウム原子を含む改質剤化合物であって、それぞれ沸点が10〜100℃である改質剤化合物を含む燃料ガスを貯蔵するための貯蔵部と、当該燃料ガスを噴射部に移送するための移送部と、燃料ガスの火炎を吹き付けるための噴射部と、を含むことを特徴とする固体物質の表面改質装置。
- 前記貯蔵部に、前記改質剤化合物を気化させて燃料ガスとするための加熱手段が設けてあることを特徴とする請求項18に記載の固体物質の表面改質装置。
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