JP4242013B2 - 防曇性包装用フィルム及びその製造方法 - Google Patents

防曇性包装用フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストレッチ包装用フィルムに関するもので、より詳細には水滴付着による曇りの発生が防止され、しかも加工性や熱安定性にも優れているストレッチ包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
スーパーやコンビニで用いられる業務用ストレッチフィルム(食品を入れた発泡ポリスチレントレーのラッピング)には、従来主としてPVCフィルムが用いられている。ところが、環境上の問題からPVC代替品が求められる昨今、ストレッチ包装用フィルムの分野でもオレフィン系樹脂フィルムへの切り替えが急激に進んでいる。
【0003】
従来、ストレッチ包装用フィルムとして、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル三元共重合体あるいはそのアイオノマーを用いることについても多くの提案がある。
【0004】
特開昭53−134591号公報には、成分が(a)エチレン、(b)不飽和カルボン酸アルキルエステル、(c)不飽和カルボン酸、(d)不飽和カルボン酸金属塩より成る共重合体であり、かつ(a)成分が90〜98モル%、(b)成分が9.7〜2.0モル%、(c)成分が0〜2.5モル%、(d)成分が0.3〜2.5モル%であるエチレン系共重合体から成る包装用フィルムが記載されている。
【0005】
特表平4−506820号公報には、(a)少なくとも50重量%のエチレン、2〜20重量%の、炭素数が3〜8の不飽和カルボン酸、及び2〜20重量%の、アルキル基の炭素数が2〜12の少なくとも1種類のアルキルアクリレートアルキルメタクリレートまたはこれらの混合物から誘導した部分から成り、酸基含有部分の酸基の0〜10%が少なくとも1種類の金属イオンにより中和されている三元ポリマーを少なくとも80%:及び(b)0.1〜2重量%の、少なくとも1種類のソルビタン脂肪酸エステル:を含み、該フィルムの少なくとも一面に、処理面の湿潤張力が40〜50dynes/cmとなるのに十分な程度のコロナ処理を施してあることを特徴とする包装フィルムが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
食品用に使用されているストレッチラップフィルムは、食品が含む水によってフィルム内面に水滴が付着して透明性が損なわれる。それを防ぐためには防曇剤が使用されているが、初期防曇性を出させるためには低分子量タイプの液状防曇剤(グリセリン脂肪酸エステル系など)の使用が不可欠である。
【0007】
ところが、低分子量タイプの液状防曇剤は取扱いが困難であるばかりでなく、熱安定性が乏しく、自ずと加工温度に制約が出てくる。加工性を高めるためには、より高温での加工が要求され、対策が求められていた。
【0008】
本発明の目的は、熱安定性に優れており、高温での加工が可能であり、平滑性、透明性などの外観特性に優れていると共に、フィルム表面の防曇性にも優れている防曇性ストレッチ包装用フィルム及びその製造方法を提供するにある。
本発明の他の目的は、優れた熱安定性、高温での加工性、優れた外観特性及び初期から長期にわたる防曇性を有するオレフィン樹脂系の防曇性ストレッチ包装用フィルム及びその製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、熱可塑性樹脂から成る単層或いは多層のストレッチ包装用フィルムにおいて、防曇剤の含有量が樹脂当たり3重量%以下であり、フィルム表面が火炎処理されていることを特徴とする防曇性ストレッチ包装用フィルムが提供される。
本発明では、フィルム表面が極性火炎処理されていることが好ましく、フィルム形成用の熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、オレフィン系樹脂から成る場合に特に効果が大きい。オレフィン系樹脂の好適な例としては、線状低密度ポリエチレン、エチレンと不飽和カルボン酸及び/またはそのエステルとの共重合体、または前記共重合体のアイオノマー等が例示される。
本発明によればまた、熱可塑性樹脂から成る単層或いは多層フィルムであって、防曇剤の含有量が樹脂当たり3重量%以下であるフィルムを極性火炎処理することを特徴とする防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造方法が提供される。
本発明の方法では、
1.フィルムを裏面から冷却下に極性火炎処理を行うこと、
2.極性火炎処理をガス中に過剰酸素を混入した酸化炎を用いて行うこと、
3.極性火炎処理を、火炎とフィルムとの間に電界が印加されている条件下に行うこと、
4.フィルムの極性火炎処理を、フィルムを熱及び電気に対して伝導性を有するロールで支持し、過剰空気を混入した酸化炎に当接乃至近接させることにより行うこと、
が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のストレッチ包装用フィルムにおいては、フィルムの加工性や平滑性の低下の原因となる防曇剤の含有量を樹脂当たり3重量%以下、特に1重量%以下に低減させ、しかもフィルム表面を火炎処理、特に極性火炎処理に付したことが特徴である。
防曇剤の使用量を上記範囲に低減させ、火炎処理を行うことにより、熱安定性に優れており、高温での加工が可能であり、平滑性、透明性などの外観特性に優れていると共に、フィルム表面の防曇性にも優れているストレッチ包装用フィルムを提供することが可能となる。
本発明の防曇性ストレッチ包装用フィルムにおいて、火炎処理は初期防曇性に有効に寄与すると共に、防曇性の持続性にも役立っている。しかしながら、少量の防曇剤を含有させると、樹脂中の防曇剤が次第に表面に移行して、防曇性の持続性に役立つようになる。
このような見地から、防曇剤は樹脂当たり0.1重量%以上、特に0.3重量%以上の量で含有させることが望ましい。勿論、後述する実施例に示すとおり、本発明では、樹脂中に防曇剤を全く含有させない場合にも、優れた効果が奏されるものである。
【0011】
初期防曇性に優れている低分子量の液状防曇剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル系防曇剤は、樹脂に防曇性を付与するという目的には適しているとしても、フィルムへの加工時に樹脂と反応して、経時的にゲルを形成する傾向があり、またフィルムにゲルやブツが混入することにより、フィルムの平滑性や透明性が低下するという傾向が認められる(後述する比較例7〜9参照)。
一方、上記防曇剤を本発明で規定した範囲内で含有させた樹脂フィルムは、フィルムへの加工性やフィルムの外観的特性には優れているものの、フィルム表面の濡れ性が不十分であって、防曇性に欠けている(後述する比較例1〜6参照)。
【0012】
本発明では、防曇剤の含有量が一定基準値以下に抑制されたフィルムを、火炎処理、特に極性火炎処理に付することが、優れた加工性や外観特性を保持しながら防曇性を向上させるために重要である(後述する実施例1乃至6参照)。
【0013】
本発明に用いる火炎処理では、酸化炎を利用してフィルム表面の親水化を行うものであり、具体的には、過剰空気を混入したガスの酸化炎をフィルム表面に当接乃至近接させて、フィルム表面を酸化し、親水性の面を形成させるものである。
この火炎処理では、フィルム表面が火炎の高温に曝されるので、フィルムの裏面から冷却することが好ましい。
この火炎処理では、火炎から放出される大量のイオンを、遊離酸素と共に、フィルム表面の活性化乃至親水性化に利用するため、初期から高い防曇性が得られ、しかも防曇性の持続性にも優れているという利点が達成されるのである。
上記イオンの内でも、防曇性付与に特に有効に作用するのは水酸基イオンであり、極性火炎処理では、火炎及びフィルム間に電界が形成されている条件下に火炎処理を行うのがよい。これにより火炎から放出される水酸基イオン等の陰イオンをフィルム表面に効率よく当てることが可能となり、優れた防曇性が達成される。
【0014】
本発明に用いる好適な方法では、フィルムを熱及び電気に対して伝導性を有するロールで支持し、過剰空気を混入した酸化炎に当接乃至近接させることにより火炎処理を行う。
この方法では、火炎処理されつつあるフィルムをその場で有効に冷却すると共に、火炎とフィルムとの間に火炎から発生するイオンをフィルムに指向させるための電界の形成も有効に行われ、効率のよい防曇処理と、作業性の向上とが達成されるものである。
【0015】
一般に、フィルムの濡れ性を向上させるための処理としては、種々の方法が知られており、火炎処理の他に、例えば化学処理、プライマー処理、コロナ放電処理、オゾン処理、紫外線照射、プラズマ加工等が知られている。しかしながら、本発明においては、これらの処理手段の中でも火炎処理を選択することが、前述した作用からみて重要なのである。
しかも、火炎処理以外の処理法は、効果及びその持続性、環境汚染、作業性、生産性、コストなどの点で何れも満足できるものではない。
【0016】
例えば、これらの処理手段の内、コロナ放電処理はフィルムの濡れ性向上のための処理に最も広く利用されている処理システムであるが、操作がシンプルであるという利点を有する反面、次の欠点を有している。
処理の効果が2乃至3時間程度の短時間で失われ、防曇性といった効果の持続性が要求される用途には未だ適用することができない。また、人体や装置にとって有害なオゾンが発生し、これを除去するための設備が必要となる。更に、処理に際してフィルムにピンホールが発生する危険性がある。
これに対して、本発明の火炎処理では、これらの不利益がなく、しかもガスの燃焼エネルギーという化学的エネルギーを利用するので、効率が高く、処理速度も大きいという利点を有するものである。
【0017】
[火炎処理]
本発明の火炎処理に用いる装置の一例を示す図1において、金属製ロール1と火炎バーナー2とが離隔して対面する関係で配置されている。
金属製ロール1は駆動軸3を中心として駆動回転可能に設けられている。金属製ロール1は中空で、内部には供給パイプ11及び排出パイプ12を通して冷却水のような冷却媒体4が供給循環されてロール表面13の温度を所定の温度に維持できるようになっている。
【0018】
処理すべきストレッチ包装用フィルム5は、ロール表面13に密着するように供給され、ロール表面13に支持されて、図1のロールの左側に位置する火炎処理域に搬送され、火炎処理を終了したフィルム51はロールから剥離されて、巻き取り装置(図示せず)により巻き取られて、製品となる。
尚、ロール1のフィルム供給位置には、例えばゴム製のニップロール15が設けられていて、ロール表面13とフィルム5との間に空気が入るのを防止して、ロール表面13とフィルム5との密着性を高めるようにしている。
【0019】
金属製ロール1は接地14されており、一方火炎バーナー2は直流電源21の陰極側に接続されていて、火炎6とフィルム5との間に電界を形成可能となっている。
火炎バーナー2には、過剰酸素或いは過剰空気を混入した燃料ガスが供給され、これに着火することにより火炎6が形成される。形成される火炎6では燃料の燃焼、分解により、イオンが形成され、上記電界のもとでフィルム5の親水性化が有効に行われる。
【0020】
極性火炎処理は、図1に示す外部電界を用いる代わりに、電荷誘導による自己電界を利用して行うこともできる。
この例を示す図2において、装置の基本的構成は図1の場合と同様であるが、図2の火炎バーナー2は外部電源には接続されていない。
図2の装置においても、火炎6に形成されるイオン、例えば水酸基イオン等のマイナスイオンに対応して、接地されているロール表面13には、反対電荷であるプラスが誘導され、これらの間の電界でフィルム5表面へのイオン注入が生じる。
【0021】
火炎の生成に用いる燃料ガスとしては、全ての燃料ガス、例えばメタン、プロパン、ブタン、液化天然ガス(LNG)、液化プロパンガス(LPG)等を用いることができ、これらの燃料ガスは酸素過剰の状態で酸素或いは空気と混合され、火炎の形成に用いられる。
加工に必要な熱及びイオン並びにラジカル等の活性化のための種は燃焼によって全て供給され、処理後には二酸化炭素及び水蒸気が形成されるのみで、環境汚染のもととなる残留物は何も残らない。
【0022】
火炎の温度は、特に制限されないが、一般に1000乃至2500℃の温度から、フィルムの種類によって適切な温度を選択するのがよい。
また、火炎と処理すべきフィルムとの間隔も、要求される処理の程度によって相違するが、一般に1乃至40mmの範囲から適切な間隔を選ぶのがよい。
更に、フィルムの冷却の程度も、フィルムを構成する樹脂の種類や速度によっても相違するが、処理後のフィルムのロール出口での温度が20乃至50℃程度の温度になっていることが好ましい。
また、フィルムの処理速度は、通常80乃至120m/分程度の速度とすることができる。
【0023】
火炎バーナー及び冷却ロール間に印加するバイアス電圧は特に限定されない。というのは、図2に示したように、外部電源を用いない場合にも、極性火炎処理が有効に行われるからである。また、電源としては、図1の直流電源の代わりに交流電源や、直流と交流とを重畳した電源を用いることもできる。更に、火炎バーナーを直接電源に接続する代わりに、火炎バーナーの周囲或いは前方にグリッド電極を配置し、このグリッドを電源に接続してもよい。
【0024】
本発明に用いる火炎処理装置は、イタリアのエセッチ(esseCI)社から入手することができる。
【0025】
[フィルム基材]
本発明は、従来ストレッチ包装に用いられているフィルム基材に等しく適用でき、溶融押し出し可能で製膜可能な熱可塑性樹脂の延伸フィルムに適用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。
【0026】
フィルム形成用の熱可塑性樹脂は、上述したものの単独或いは2種以上の組合せであってよいが、オレフィン系樹脂から成るものを少なくとも表面層として含む場合に特に効果が大きい。
オレフィン系樹脂の好適な例としては、線状低密度ポリエチレン、エチレンと不飽和カルボン酸或いは更にそのエステルとの共重合体、または前記共重合体のアイオノマー等が例示される。
【0027】
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)としては、エチレンと炭素数3〜20、特に3〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が880〜945kg/m、特に900〜930kg/mのものが使用される。α- オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。
線状低密度ポリエチレンは、加工性とフィルム物性との見地から、メルトフローレート(JIS K6760)が0.05〜100g/10分、特に0.1〜30g/10分の範囲にあるものが好適である。
線状低密度ポリエチレンは、チーグラー型触媒を用いて重合されたものでもよいが、メタロセン触媒を用いて重合されたものが好ましい。
【0028】
エチレンと不飽和カルボン酸或いは更にそのエステルとの共重合体としては、不飽和カルボン酸の含有量が0.1〜25重量%、特に2〜20重量%、不飽和カルボン酸エステルの含有量が0〜30重量%、特に1〜20重量%のものが使用される。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が好適である。
共重合体に所望により共重合される不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エステルが好適であり、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチルなどを例示することができる。
これらのエチレン系共重合体は、加工性とフィルム物性との見地から、メルトフローレート(JIS K6760)が0.05〜100g/10分、特に0.1〜30g/10分の範囲にあるものが好適である。
【0029】
アイオノマーとしては、上記二元共重合体或いは三元共重合体を金属イオンで中和したものが使用され、金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛等が使用される。
金属による中和度は、0.1乃至95%、特に0.2乃至90%の範囲にあるものが好適である。
アイオノマーは、加工性とフィルム物性との見地から、メルトフローレート(JIS K6760)が0.01〜30g/10分、特に0.5〜20g/10分の範囲にあるものが好適である。
【0030】
本発明に用いるフィルム形成用樹脂には、必要により、水分の存在にかかわらず内容物の透視性を向上させるための防曇剤や、フィルムに粘着性を付与するための粘着剤を配合することができる。
【0031】
防曇剤としては、それ自体公知の任意の防曇剤、例えば、グリセリン脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ジ乃至ポリグリセリン脂肪酸エステル系、エチレンオキサイド付加物系などの防曇剤を挙げることができるが、勿論上に例示したものに限定されない。
防曇剤の含有量は、前述した上限を超えない範囲とすべきである。
【0032】
粘着剤としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族/芳香族共重合炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、合成テルペン系炭化水素樹脂、テルペン系炭化水素樹脂、クマロンインデン系炭化水素樹脂、低分子量スチレン系樹脂、ロジン系炭化水素樹脂或いはこれらの組み合わせを挙げることができるが、勿論上に例示したものに限定されない。
粘着剤は、フィルム形成用樹脂100重量部当たり0.1乃至15重量部、特に0.1乃至10重量部の量で配合することができる。
【0033】
本発明で用いるフィルム形成用樹脂には、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0034】
本発明は、単層或いは多層の樹脂フィルムに適用することができる。
多層樹脂フィルムの層構成としては、例えば、二層或いは三層以上の構成のものが挙げられ、例えばエチレン系樹脂層とそれ以外のオレフィン系樹脂層とからなるものや、耐湿性樹脂からなる内外層とガスバリアー性樹脂の中間層とからなるものなどが挙げられる。耐湿性の樹脂としては、前述したオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂が挙げられ、一方、ガスバリアー性樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体やポリアミド樹脂などが挙げられる。内外層と中間層との間に接着性がない場合には、これら樹脂層の間に無水マレイン酸グラフトオレフィン系樹脂のような酸変性オレフィン系樹脂を接着剤層として介在させることができる。
【0035】
本発明の処理に用いるフィルムは、前記樹脂を溶融押出により製膜し、この製膜工程で或いは製膜後に延伸することにより製造することができる。製膜には、Tダイ法や、インフレーション法が用いられる。
【0036】
Tダイ法では、押出機で樹脂を溶融混練した後、Tダイを通して薄膜状に押し出し、この薄膜をキャスティングロールと接触させてフィルムに固化させ、固化されたフィルムを巻き取り装置で巻き取る。
【0037】
熱可塑性樹脂の押出は、重合体の種類によっても相違するが、一般的にいって、熱可塑性樹脂の溶融温度(Tm)を基準として、Tm+50℃乃至Tm+150℃の温度で行うのがよい。尚、熱可塑性樹脂の溶融温度とは、一義的に明確な融点を示すものについては融点を意味し、明確な融点を示さないものについてはビカット法による軟化点を意味するものである。
【0038】
Tダイは、押出機から供給される溶融樹脂をフィルム幅に広げるためのものであり、その流路形態からコートハンガータイプやストレートマニホールド型のものが使用される。
キャスティングロールは、Tダイから押し出された高温の溶融樹脂を冷却固化させるものであり、内部に水を通すことにより、フィルムを強制冷却するようになっている。
【0039】
Tダイ法では、製膜後のフィルムを高速度で巻き取ることにより縦方向に延伸する。巻き取り速度は、一般に50乃至400m/分の範囲にあることが好ましい。
【0040】
インフレーション法では、押出機で樹脂を溶融混練し、この溶融樹脂をクロスヘッド及び環状ダイを通して、円筒状に押し出すと共に、この円筒状膜内に空気を導入し加圧して膨張させ、ダイから押し出された溶融樹脂を冷却固化し、冷却固化された円筒状フィルムを一定の速度で引き取りながら平らに折り畳み、引き取られたフィルムを巻き取る。
【0041】
環状ダイとしては、溶融樹脂をリング状に分散させる方式によって、スパイラルダイ方式とスパイダー方式とが知られており、これらは何れもフィルムの製造に用いることができる。
インフレーション製膜法では、空気で冷却する空冷インフレーション法と、水で冷却する水冷インフレーション法とが知られており、これらの何れもが使用可能である。
【0042】
フィルム製膜時の膨張比(ブローアップレシオ、BUR=D/D、D=環状ダイから押し出されたときの溶融樹脂膜の径、D=円筒状フィルムの径)は、樹脂の種類や、要求される横延伸の比率によっても相違するが、一般に1.0乃至6.0、特に1.5乃至5.0の範囲にあるのが望ましい。
一方、インフレーション法における引き取り速度は、一般に10乃至200m/分の範囲にあるのが望ましい。
【0043】
多層樹脂フィルム成形では、前述したTダイ製膜法やインフレーション製膜法において、多層フィルムを構成する樹脂の種類に応じた数の押出機を使用し、押し出された樹脂流を多層多重ダイ内で合流させて共押出することにより、多層樹脂フィルムを製造することができる。
【0044】
本発明によるストレッチ包装用フィルムは、用途によっても相違するが、一般に5乃至20μm、特に7乃至18μmの厚みで用いることができる。
【0045】
【実施例】
本発明を以下の例により具体的に説明するが、本発明は以下の例により何等限定されるものではない。
【0046】
1.原料
(1)エチレン・メタクリル酸共重合体
メタクリル酸含量 10.5重量%
MFR 8g/10分
(2)アイオノマー
ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体
(メタクリル酸含量=10重量%、アクリル酸イソブチル含量=10重量%)
金属種 亜鉛
イオン化度 70%
MFR 1.1g/10分
(3)メタロセン触媒を利用したLLDPE
三井化学株式会社製 エポリューSP2520
MFR 1.9g/10分
密度 925kg/m
【0047】
2.加工方法
以下のフィルムを使用してフレーム処理加工を行った。
・Tダイ法
押出機 65mmφ押出機(L/D=32)
スクリュー フルフライトタイプ
ダイ コートハンガータイプ(900mm幅)
加工温度 樹脂温度を240℃に設定した。
フィルム厚み 12μm
引き取り速度 250m/分
【0048】
3.評価方法及び結果
加工時の成形性について以下の項目について評価を行った。その結果を表1乃至3に示す。
(1)防曇剤との反応性
加工時、ゲルが発生しないかどうかを調べた。
○:ゲルは全く発生しなかった。
×:ゲルが経時的に発生した。
(2)フィルムの外観
加工時のフィルムの外観の良否について調べた。
○:フィルムの平滑性が保持されていた。
×:ゲル、プツによってフィルム表面に凹凸が発生した。
(3)防曇性
フィルムの濡れ張力を測定し、濡れの良否について調べた。
○:フィルム表面が十分に濡れることが確認された。
×:濡れ張力が低い(約30ダイン/cm)ため、濡れが不十分であった。
【0049】
以下の表中、
E/MAA は、エチレン・メタクリル酸共重合体、
Io は、アイオノマー、
mPE は、メタロセン触媒を利用したLLDPE、
をそれぞれ表す。
また、防曇剤として、ジグリセリンオレート(理研ビタミン製、O−71DE)を使用した。
【0050】
【表1】
Figure 0004242013
【0051】
【表2】
Figure 0004242013
【0052】
【表3】
Figure 0004242013
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、防曇剤の含有量を樹脂当たり3重量%以下とし、フィルム表面を火炎処理、好適には極性火炎処理することにより、熱安定性に優れており、高温での加工が可能であり、平滑性、透明性などの外観特性に優れていると共に、フィルム表面の防曇性にも優れている防曇性ストレッチ包装用フィルムを提供することができる。
かくして、本発明のストレッチ包装用フィルムは、樹脂製トレイ等に載置乃至充填された魚介類、精肉、野菜、果物、惣采などを包装するためのフィルムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造に用いる装置の一例の概略配置図である。
【図2】本発明の防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造に用いる装置の他の例の概略配置図である。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂から成る単層或いは多層のストレッチ包装用フィルムにおいて、防曇剤の含有量が樹脂当たり3重量%以下であり、フィルム表面が極性火炎処理されていることを特徴とする防曇性ストレッチ包装用フィルム。
  2. 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂から成ることを特徴とする請求項1記載の防曇性ストレッチ包装用フィルム。
  3. オレフィン系樹脂が線状低密度ポリエチレン、エチレンと不飽和カルボン酸及び/またはそのエステルとの共重合体、または前記共重合体のアイオノマーであることを特徴とする請求項に記載の防曇性ストレッチ包装用フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂から成る単層或いは多層フィルムであって、防曇剤の含有量が樹脂当たり3重量%以下であるフィルムを極性火炎処理することを特徴とする防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造方法。
  5. フィルムを裏面から冷却下に極性火炎処理を行うことを特徴とする請求項に記載の防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造方法。
  6. 極性火炎処理を、ガス中に過剰酸素を混入した酸化炎を用いて行うことを特徴とする請求項またはに記載の防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造方法。
  7. 極性火炎処理を、火炎とフィルムとの間に電界が印加されている条件下に行うことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造方法。
  8. フィルムの極性火炎処理を、フィルムを熱及び電気に対して伝導性を有するロールで支持し、過剰空気を混入した酸化炎に当接乃至近接させることにより行うことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の防曇性ストレッチ包装用フィルムの製造方法。
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