JP3755923B2 - ポリオレフィン系樹脂多層シュリンクフィルム - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂多層シュリンクフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてシュリンク包装用のポリオレフィン系樹脂多層シュリンクフィルムに関するもので、特にストレッチシュリンク包装に適した多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シュリンク包装は、その特長として、被包装物の形状や大きさに依らずまた同時に複数個の製品を迅速且つタイトに包装することができ、得られた包装物は外観が美しく、ディスプレイ効果を発揮し、商品価値を高め、また内容物を衛生的に保ち、視覚による品質確認が容易なことから食品、雑貨等の包装に多用されている。かかる収縮包装には、フィルムに少し余裕をもたせて内容物を一次包装した後、熱風等によりフィルムを熱収縮させる方法や従来のストレッチ包装のようにフィルムをある程度緊張状態で包装し、フィルムの端を被包装物の底部に折り込んで、該折り込み部をフィルム同志の自己密着力または熱融着により一次包装した後、同様に加熱収縮処理を施して局部的なフィルムのタルミやシワを除去するストレッチシュリンク等の方法があり、いずれもタイトで美しい仕上がりが得られる。
【0003】
一方、近年、自動包装機による包装速度の高速化や被包装物の多様化が進み、更には商品としての包装体への要求品質もますます高度なものになってきており、包装用フィルムに対する要求は、高性能化、高機能化の一途を辿っている。特に、ストレッチシュリンク包装においては、フィルムがある程度の緊張状態で押しつけられるような状態で被包装物と接触するため、常にフィルムの破れが問題になる。具体的には、硬いあるいはシャープなエッジを有するトレーや、鋭利な突起を有する被包装物、例えば冷凍エビ(有頭エビを含む)、干し魚、蟹等の包装時にフィルムが破れないだけの耐突き破れ性および耐引き裂き性が要求されている。また同時に、得られた包装体にはフィルムに加わる種々の変形に対して生じる歪み(輸送中の振動、段積みされた特に下段の包装物に加わる荷重や環境温度の変化等による内容物の変形、および指で押したりした場合にフィルムに生じるタルミやシワ、さらには局部的な凹み)が、できるだけ元の状態に速やかに回復するだけの変形回復性を有していることが、商品性という観点から強く望まれている。
【0004】
従来、シュリンク包装用フィルム、特にストレッチシュリンクに適したフィルムとして、特公平2−14898号公報に、両表面層(S層)と、ビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)を含む混合樹脂でなる(B層)、およびポリプロピレン系樹脂からなる層(H層)の少なくとも4層構成からなる、80℃における熱収縮率が20〜50%であるポリオレフィン系樹脂多層フィルムが開示されている。
【0005】
上記公報の記載によれば、表面層(S層)は、多層フィルムの表層にヒートシール性、防曇性、表面光沢性等を発揮させるためのものであり、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(以下、EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(以下、EMMA)等の樹脂の使用が例示されている。また、H層は、主に多層フィルム全体に耐熱性や機械的強度を付与する役割をもち、結晶性のポリプロピレン(以下、PP)やポリブテン−1(以下、PB−1)が例示されている。
【0006】
また、B層は、ビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマーを5〜90重量%を必須成分とする混合組成物層で、この層はフィルムの各強度特性、柔軟性、他層との接着性等を相乗的に改良するのみならず、単体層としては延伸が困難である他の層の延伸性を改良する役割を担っている。そして、その具体例として、ビカット軟化点が60℃以下の軟質エラストマーにエチレン−プロピレン系共重合エラストマー、エチレン−ブテン−1系共重合エラストマ−等のポリオレフィン系エラストマーを用い、これに、EVA、エチレンα−オレフィン共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1系樹脂等を適宜混合した樹脂組成物層が開示されている。そしてこのB層を上記H層に少なくとも1層隣接して配置することによって、多層フィルム全体を30〜80℃の低い温度下で、面積延伸倍率で4〜30倍に延伸する(以下、冷間延伸)ことを可能にし、その結果、耐熱性、収縮性、シール性に優れた高強度フィルムが得られるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記の特公平2−14898号公報に開示されている従来のポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、前述した耐突き破れ性および耐引き裂き性、および変形回復性が市場の要求を満たさないレベルのものであり、また一方で省資源という観点からのフィルムの薄肉化およびリサイクル性も大きな課題となっている。
【0008】
本発明者らは、かかる課題を検討した結果、上記B層に含まれるエチレンα−オレフィン共重合体のB層中の混合比率およびフイルム全体に対する混合率がある範囲にあるとき、従来フィルムが有する優れた諸特性、即ち耐熱性、収縮性、シール性、光学特性、防曇性等を維持した状態で、薄肉でも耐突き破れ性および耐引き裂き性、および変形回復性に優れ、リサイクルも容易なシュリンクフィルムが得られることを見いだした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
両表面層(S層)と、ビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)を含む混合樹脂でなる層(B層)、およびポリプロピレン系樹脂からなる層(H層)の少なくとも4層構成でなり、80℃における熱収縮率が20%〜50%であるポリオレフィン系樹脂多層フィルムにおいて、上記B層がビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)5〜40重量%、密度が0.890〜0.925g/cm3 、メルトフローレート(190℃、荷重2.16kgf)が0.2〜3.0g/10分であるエチレンα−オレフィン共重合体(b)をフィルム全体に対する割合が15〜60重量%となるように40〜80重量%、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂(c)5〜55重量%からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂多層シュリンクフィルムである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明が従来技術と相違する点は、ビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)を含む混合樹脂でなる層(B層)の樹脂組成にあり、このB層に、密度とメルトフローレート(以下、MFR)を特定したエチレンα−オレフィン共重合体(b)をフィルム全体に対する特定の使用割合を満たすように、特定量配合し、かつ上記ポリオレフィン系エラストマー(a)と他の特定樹脂群の少なくとも1種の樹脂(c)の配合量を特定した点にある。
【0011】
中でも、このB層に使用する特定かつ特定量のエチレンα−オレフィン共重合体(b)は、安定した冷間延伸性を維持し、従来問題のあった耐突き破れ性および耐引き裂き性、および変形回復性を発現させる上で最も重要なものである。該エチレンα−オレフィン共重合体としては、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等があり、これらはエチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数が3〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単量体との共重合体であるが、引き裂き強度や突き刺し強度等の機械的強度および延伸性の点から、α−オレフィンとしては4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。
【0012】
以上のエチレンα−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒等の従来のマルチサイト触媒を用いて得られる重合体の他に、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒で重合されるものがあり、これらの触媒で得られるものは、分子的(コモノマー分布等)、分子量分布的には、従来の方法で重合されたものに比べ、より均一化されたものである(例えば、重量平均分子量/数平均分子量で表される値が1.5〜3.5のもの、より好ましくは1.5〜3.0のもの)。ここで、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で表され、Mw及びMnは、Waters Associates社製の150型高温GPC装置とPERKIN ELMER社製のFTIRを接続し、カラムとして東ソー社製GMH−H6を2本、昭和電工社製AT−807Sを1本使用して測定されるものであり、溶剤にはトリクロロベンゼン(TCB)を用い、140℃の条件で測定された値である。
【0013】
上記シングルサイト触媒で重合されたエチレンα−オレフィン共重合体には、制御された長鎖分岐を有したものであったり、上記α−オレフィンに加え、極性基を有する単量体やスチレン系モノマー等のその他の単量体が共重合されたものであっても良い。本発明で使用するエチレンα−オレフィン共重合体(b)は、その密度が0.890〜0.925g/cm3 、MFR(190℃、荷重2.16kgf:以下、エチレンα−オレフィン共重合体(b)については同条件)が0.2〜3.0g/10分のものである。
【0014】
本発明でいう密度とは、JIS−K−7112に従って測定される23℃の値である。密度が0.925g/cm3 を越えると他の樹脂との相溶性が低下し、延伸が不安定になったり、透明性が低下し、0.890g/cm3 未満であると、収縮後の変形回復性が低下する。好ましい密度は、0.895〜0.920g/cm3 、より好ましくは0.895g/cm3 以上、0.915g/cm3 未満である。
【0015】
また、本発明におけるMFRは、JIS−K−7210に従って測定される値であるが、該エチレンα−オレフィン共重合体(b)のMFRが0.2g/10分未満では、押出成形時の押出動力が上昇し、押し出された原反の表面平滑性が低下したり、他の樹脂との相溶性が低下して透明性が劣化する場合がある。また、MFRが3.0g/10分を越えると延伸性が低下し、フィルムが得られても変形回復性や引き裂き強度等の機械的特性に劣ったものしか得られない。好ましいMFRは0.3〜2.5g/10分、より好ましくは0.5〜2.2g/10分である。
【0016】
また、上記特定のエチレンα−オレフィン共重合体(b)のB層中に占める比率は、最終的なフィルム全体に対して15〜60重量%となるように、40〜80重量%であることが必要である。B層中に含まれる該エチレンα−オレフィン共重合体(b)のフィルム全体に対する比率が60重量%を越えると延伸性が低下し、一方15重量%未満では目的とする引き裂き強度や突き刺し強度および変形回復性が得られない。フィルム全体に対する好ましい割合は17〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%である。そして、B層中の該エチレンα−オレフィン共重合体(b)の比率が80重量%を越えると延伸性が低下する他、防曇剤等を添加した場合の相溶性に問題があったり、表面層(S層)への防曇剤の移行性が悪くなる傾向がある。また、40重量%未満では、フィルム全体に対する上記特定割合を満たしていても、引き裂き強度等の機械的特性が劣る傾向にあると同時に、特に変形回復性が発揮しずらくなる。このB層中に含まれる該エチレンα−オレフィン共重合体(b)のフィルム全体およびB層の各々に対する使用比率の調整は、フィルムに要求されるその他の特性、例えばシール性や防曇性等も考慮して、層比率を適宜調節することで行なわれる。
【0017】
次に、B層にはビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)を5〜40重量%含む。このポリオレフィン系エラストマー(a)は、B層中の各樹脂成分間の相溶性を向上し、冷間延伸性、フィルムの透明性および各成分の特性を有効に引き出す効果を発揮し、これにより本発明のフィルムの特性を劣化させること無しにB層をリサイクル層として利用することもでき、この点、専用リサイクル層を新たに設ける煩雑さを解消できることは大きな利点である。本発明でいうビカット軟化点は、JIS−K−7206(試験荷重1kg,昇温速度50℃/時間)で測定される値である。
【0018】
該ポリオレフィン系エラストマー(a)の具体例としては、エチレンと炭素数が3〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単量体とのランダム共重合体が挙げられ、α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられ、これにポリエン構造を有する炭化水素、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ノルボルネン系単量体(例えば、エチリデンノルボルネン)等を共重合しても良い。
【0019】
共重合体中のエチレンの含量は、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜85重量%のものである。該ポリオレフィン系エラストマー(a)は、前記エチレンα−オレフィン共重合体(b)と同様、マルチサイト触媒あるいはシングルサイト触媒のいずれで重合されたものでもよく、またシングルサイト触媒で得られたものはその分子量分布の程度、また制御された長鎖分岐を有したもの等をも含むことは前記と同様である。該ポリオレフィン系エラストマー(a)のビカット軟化点は、60℃以下、好ましくは50℃以下のものであるが、その下限は前記した測定法では数値の特定が困難であるが、通常は常温(23℃)で固体状である。また、このポリオレフィン系エラストマー(a)は、単体でも溶融押出加工によってフィルムやペレット形成が可能な程度のものである。
【0020】
また、更にB層には、EVA、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、PP系樹脂、PB−1系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂(c)を5〜55重量%含む。これらの樹脂は、主として、防曇剤の保持、フィルムの硬さや腰の調整、耐熱性等を調整する役割を果たすものであるが、リサイクル性も良いことからB層以外の層に使用するものと同一の樹脂であることがより有効である。上記特定の樹脂群の少なくとも1種の樹脂(c)が55重量%を越えると、他の樹脂(a)および(b)のとり得る比率が本発明の特定比率を下回り、延伸性が悪くなるとともに引き裂き強度や突き刺し強度、変形回復性等が劣化する。一方、5重量%未満の場合は、上記した防曇剤の保持や各種特性の調整が困難となるばかりか、リサイクル効果も失われる。
【0021】
EVAは、主に防曇剤の保持やフィルムに対する柔軟性の付与および隣接する層との層間接着性を高める役割のものであり、酢酸ビニル基含量としては5〜26重量%、MFR(190℃、2.16kgf:以下、EVAについては同条件)が0.3〜10g/10分のものが好ましい。
次に、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体およびエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体は、EVAと同様な役割をもつが、具体的にはエチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下、EMAA)、エチレン−アクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールの成分より選ばれる)共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールの成分より選ばれる)共重合体等が挙げられ、これらは更にその他の成分を加えた3成分以上の多元共重合体(例えば、エチレンと脂肪族不飽和カルボン酸および同エステルより適宜選ばれる3元以上の共重合体等)であっても良い。これらのカルボン酸またはカルボン酸エステル基の含有量は、通常3〜35重量%のものが用いられ、またMFR(190℃、2.16kgf:以下、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体およびエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体については同条件)は、EVAと同様である。
【0022】
次に、PP系樹脂はフィルムの硬さや腰を高めたり、耐熱性を上げる等の役割をもつものであり、ホモのPP、プロピレン含量が70重量%以上のプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンの他、炭素数4〜8のもの)の1種または2種以上との共重合体であって、チーグラー・ナッタ触媒のような従来の触媒で重合されたもの以外に、前述のメタロセン系触媒等で重合されたシンジオタクチックPPやアイソタクチックPP等も含まれ、更に50重量%程度までの高濃度のゴム成分を均一微分散したものであっても良く、これらのうち少なくとも1種が用いられる。上記PP系樹脂のMFR(230℃、2.16kgf:以下、PP系樹脂については同条件)は、通常0.1〜10g/10分のものである。
【0023】
また、PB−1系樹脂は、フィルムの硬さや腰の調整の他、PP系樹脂との相溶性が特に優れるため、好ましくはPP系樹脂と併用されるものである。PB−1系樹脂としては、ブテン−1含量70モル%以上の結晶性で他の単量体(エチレン、プロピレンの他、炭素数5〜8のオレフィン系)の1種または2種以上との共重合体をも含む高分子量のものが用いられる。このものは、液状およびワックス状の分子量のものとは異なり、MFR(190℃、2.16kgf:以下、PB−1系樹脂については同条件)が、通常0.1〜10g/10分のものである。好ましいPB−1系樹脂としては、ビカット軟化点が40〜100℃の共重合体である。
【0024】
以上の特定樹脂群は、目的に応じて適宜、その種類と配合比率を変えて使用できるが、使用形態として最も好ましいのは、EVA、PP系樹脂およびPB−1系樹脂をB層以外の他の層にも使用し、リサイクルとしてB層に添加し、必要に応じて各未使用原料も加えて所定の比率に調節することである。この場合には、他の樹脂成分であるポリオレフィン系エラストマー(a)とエチレンα−オレフィン共重合体(b)も同時にリサイクルされることになるが、所定比率に満たない部分は各未使用原料を更に加えて調整すれば良い。
【0025】
該B層には、本発明の特定樹脂である(a)、(b)、(c)のB層中での各重量比率が、本発明で特定する数値内において、その本来の特性を損なわない範囲内で必要に応じて別の樹脂を混合してもよい。混合する樹脂の例としては、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、前記特定樹脂(b)とは異なるエチレンα−オレフィン共重合体、スチレン−共役ジエン共重合体(ブロック、ランダム)および該共重合体の少なくとも一部を水添したもの、またこれら樹脂を酸変性等により改質したもの、結晶性1,2−ポリブタジエン、水添ポリジシクロペンタジエン、水添ポリペルテン等の石油樹脂が挙げられる。
【0026】
次に、B層以外の両表面層(S層)とPP系樹脂からなる層(H層)について説明する。
S層は、ヒートシールや密着等による包装体としての気密性を確保するとともに、透明性や光沢の他、添加剤としての防曇剤、帯電防止剤、滑剤等を内部添加法によりブリードさせて、フィルムとして必要な表面特性を発揮する層である。この層に用いられる樹脂としては、前記のB層に用いる特定樹脂(a)、同(b)を含む密度が0.885〜0.930g/cm3 、MFRが0.2〜10g/10分であるエチレンα−オレフィン共重合体、および(c)に用いられる樹脂と同様の樹脂の中から少なくとも1種用いられる。
【0027】
また、H層は主としてフィルムに耐熱性、腰や剛性、更に寸法安定性を付与するための層であり、前記(c)に用いられるPP系樹脂の中から少なくとも1種用いられる。
上記S層およびH層には、50重量%未満の範囲で別の樹脂を混合しても良く、混合する樹脂の例としては、同様に前記したPB−1系樹脂、水添ポリジシクロペンタジエン、水添ポリテルペン等の石油樹脂、結晶性1,2−ポリブタジエン、スチレン−共役ジエン共重合体(ブロック、ランダム)および該共重合体の少なくとも一部を水添したもの等が挙げられるが、特にH層に関しては、好ましくはPP系樹脂の実用的な耐熱性や透明性を低下させることなく硬さの調整(柔軟化)が容易であるPB−1系樹脂が好ましい。
【0028】
次に、本発明の多層フィルムは、ヒートシール性や機械的強度、変形回復性、耐熱性等より、全層に占める各層の厚み比率は、S層が10〜60%、B層が20〜80%、そしてH層が5〜60%の範囲のものであり、また多層フィルムの厚みは、通常5〜60μm、好ましくは6〜40μm、特に本発明の効果がより一層発揮されるのは、7〜20μmの薄肉の領域である。
【0029】
本発明のフィルムは、表層を形成するS層および内部層であるB層、H層の合計少なくとも4層から構成されるが、層の配置としては、例えば4層の場合:S/B/H/S、5層の場合:S/B/H/B/S、S/H/B/H/S、7層の場合:S/B/H/B/H/B/S、S/H/B/H/B/H/S等が挙げられるが、S層と同一の樹脂層を、更に内部層として使用することも可能である。他に、6層、8層およびそれ以上の層からも構成することができる。
【0030】
また、本発明のフィルムには、その本来の特性を損なわない範囲で、さらに内部層として、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体を使用したガスバリヤー層、また必要に応じて更に加えて接着性樹脂よりなる接着層を設けても良い。
更に、本発明のフィルムは、80℃における熱収縮率がタテ、ヨコの少なくとも一方向の値で20〜50%である。この値が20%未満では、基本的に低温収縮性に乏しく、包装時シュリンク後のフィット性が不十分になり、包装後にシワやタルミが発生する原因となる。また、50%を越えると、保管、流通過程において寸法収縮を生じ易いといった問題がある(特に巾方向が問題となるが、ロール状の巻き物の場合、巻き芯部と外側表面での巾寸法の差も問題となる)。
【0031】
本発明の多層フィルムの各樹脂層には、それぞれその本来の特性を損なわない範囲で、防曇剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機フィラー等を添加しても良く、またフィルムの表面にショ糖エステル、各種シリコーンエマルジョン、シリコーンオイル、各種界面活性剤、高級脂肪酸金属塩、およびポリビニルアルコール等の公知の表面改質用高分子等を必要に応じて適宜溶媒で希釈してコーティングしても良い。
【0032】
次に、本発明の多層シュリンクフィルムの製法の一例について述べる。まず各層(S、B、H層および必要に応じて用いられるその他の層)を構成する樹脂をそれぞれの押出機で溶融して、多層ダイで共押出し急冷固化して多層フィルム原反を得る。押出法は、多層のTダイ法、多層のサーキュラー法等を用いることができるが、好ましくは後者が良い。このようにして得た多層フィルム原反を30〜80℃に加熱して延伸を行なう。延伸方法としては、ロール延伸法、テンター法、インフレ法(ダブルバブル法を含む)等があるが、同時二軸延伸で製膜される方法が好ましい。また、延伸は少なくとも1方向に面積延伸倍率で4〜30倍に延伸されるが、この延伸倍率は用途により必要な熱収縮率等に応じて適宜選択される。また、必要に応じ、後処理、例えば寸法安定性のためのヒートセット、コロナ処理、プラズマ処理の他、他種フィルム等とのラミネーションが行なわれても良い。
【0033】
更に、本発明のフィルムは、その少なくとも一つの層が架橋されていてもよく、架橋処理は電子線、γ線、紫外線等のエネルギー線照射やパーオキサイドの利用等の従来公知の方法が用いられる。
【0034】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を実施例にて更に詳しく説明する。なお、本発明で用いた測定評価方法および使用した樹脂は、以下の通りである。
(1)延伸製膜安定性
所定の方法において加熱延伸を行なった際のフィルムの連続製膜安定性(インフレ法においては、バブルの連続製膜安定性)および出来上がったフィルムの厚み斑については以下の基準にしたがい評価した。ここで、フィルムの厚み斑は、ダイヤルゲージを用いてフィルムの全幅(ヨコ)方向に、等間隔で最低25点、および流れ(タテ)方向に5cm間隔で最低25点、合計50点以上の厚みを測定し、まずその平均値を算出する。次に、最大値と最小値の差の1/2の値を、先に算出した平均値に対する百分率で表し、これに±の符号をつけて表示するものとする。
【0035】
◎:フィルム(インフレ法においては延伸バブル)の延伸開始位置がほぼ一定で、延伸パターンが極めて安定しており(延伸バブルの場合は、揺れがほとんどない)、連続安定性が良好。
○:延伸パターンに若干の変動が見られ、フィルムの厚み斑が±15%以内。
△:延伸開始位置に変動があり、または延伸パターンが不安定。
【0036】
×:フィルム切れ、バブルのパンクが多発。あるいは、延伸ができても延伸開始位置の変動が大きく、厚み斑が±25%を越える。
(2)熱収縮率
100mm角のフィルム試料を所定の温度に設定したエアーオーブン式恒温槽に入れ、自由に収縮する状態で10分間処理した後、フィルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値の百分比で表した。1軸延伸の場合は延伸方向の値、2軸延伸の場合には、タテ、ヨコ両方向について各々測定した。
【0037】
(3)引き裂き強度
JIS−P−8116に準じて、軽荷重引き裂き試験機(東洋精機製)を用いて、タテ方向とヨコ方向各々について測定した。なお、ここでの測定の読みは、目盛りの20〜60の範囲になるように測定を行なうが、測定レンジによって測定値に差がある場合は、高い方の値を採用した。
【0038】
(4)突き刺し強度
農林規格第10条に準じて、フィルムを内寸法で125mm×125mmの木枠に固定し、その中心部に直径1.0mm、先端形状0.5mmRの針を50±5mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定し、その値を突き刺し強度とした。
【0039】
(5)防曇性
製膜後3日経過したフィルムを更に23℃のエアーオーブン式恒温槽に24時間入れた後、そのフィルムを用いて、20℃の水が入ったビーカーを覆って密封し、5℃の冷蔵庫で1時間放置後、フィルムに付着した水の状態を以下の基準で目視判定して評価した。
【0040】
5:鏡面状に水膜が形成され、曇りが全くなく透明なもの。
4:やや斑のある水膜であるが、内容物の確認にはほとんど支障がないもの。
3:広がった水滴が付着しているが、内容物の確認は可能であり、実用上支障がないもの。
2:小さい水滴が付着しており、内容物の形状が分かる程度で、細部の確認が困難なもの。
【0041】
1:白く曇り、内容物の存在が確認できないもの。
(6)変形回復性
中がくり貫かれた状態の外寸法が180×180mmの木枠をフィルム支持台とし、該支持台の中心部に外寸法が82×82mmの升状の木型を該支持台の各辺が平行を保たれるようにして、該支持台の下側から外支持台の上面より15mm突き出させ、この状態でフィルムを該升状の木型に上から覆い被せ、このフィルムの端をフィルム支持台のへりに両面テープで固定した。この際、フィルムの張りは最小限で、かつタルミが生じないように注意深く固定した。次いで、この状態のままで90℃の熱風トンネルを3秒間通過させ、フィルムをシュリンクさせた。トンネル通過後、室温(約23℃)で3分放置後にフィルム支持台から升状の木型を抜き取り、その10分後に該支持台に固定されているフィルムの表面の状態を観察した。タルミやシワまたは局部的な凹みがほとんどなく商品性に優れるものを◎、タルミやシワ、または局部的な凹みがわずかに認められるが商品性に問題のないものを○、明らかにタルミやシワ、局部的な凹みが残っており、商品性に問題のあるものを×とし、○と×の中間レベルのものを△とした。
【0042】
(7)収縮後HAZE
90℃、3秒の条件で熱風トンネルを通過させたフィルムを面積で30%収縮させたものを用いて、ASTM−D−1003−52に準じて測定した。
(8)実施例および比較例において使用した樹脂
EVA1:エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量=15重量%、MFR=2.2g/10分)
EM1:エチレン−アクリル酸メチル共重合体(アクリル酸メチル含量=9重量%、MFR=3.0g/10分)
EA1:エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含量=6.5重量%、MFR=3.5g/10分)
ER1:エチレン−プロピレン共重合体(プロピレン含量=15モル%、エチリデンノルボルネン含量=3重量%、密度=0.880g/cm3 、MFR(190℃、2.16kgf)=0.4g/10分、ビカット軟化 点≦40℃)
ER2:エチレン−オクテン−1共重合体(シングルサイト触媒で重合されたものでオクテン−1含量=25重量%、密度=0.868g/cm3 、MFR(190℃、2.16kgf)=0.5g/10分、Mw/Mn==2.7、ビカット軟化点≦40℃)
VL1:エチレンα−オレフィン共重合体(シングルサイト触媒で重合された長鎖分岐を有するもの、α−オレフィン=オクテン−1、密度=0.895g/cm3 、MFR=1.6g/10分)
LL1:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.912g/cm3 、MFR=2.0g/10分)
LL2:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.912g/cm3 、MFR=0.8g/10分)
LL3:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=オクテン−1、密度=0.912g/cm3 、MFR=1.0g/10分)
LL4:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.917g/cm3 、MFR=1.8g/10分)
LL5:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.920g/cm3 、MFR=1.0g/10分)
LL6:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=4−メチル−ペンテン−1、密度=0.935g/cm3 、MFR=2.1g/10分)LL7:エチレンα−オレフィン共重合体(α−オレフィン=ヘキセン−1、密度=0.917g/cm3 、MFR=3.5g/10分)
PP1:ポリプロピレン系樹脂(アイソタクチックポリプロピレン(ホモポリマー)、MFR=4.0g/10分、融点(DSC法最高融解ピーク温度)=160℃)
PP2:ポリプロピレン系樹脂(エチレンとブテン−1をコモノマーとする共重合体、MFR=5.0g/10分、融点131℃)
PP3:ポリプロピレン系樹脂(メタロセン系触媒により重合されたシンジオタクチックポリプロピレン、Mw/Mn=2.1、MFR=2.5g/10分、融点149℃)
PB1:ポリブテン−1系樹脂(プロピレンをコモノマーとする共重合体、MFR=1.0g/10分、ビカット軟化点=59℃)
【0043】
【実施例1】
エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA1に、ジグリセリンモノラウレートを1.5重量%含めたものを両表面層とし、またB層にポリオレフィン系エラストマーER1を7重量%、エチレンα−オレフィン共重合体LL1を50重量%(対全層比率27.5重量%)、EVA1を27重量%、ポリプロピレン系樹脂PP1を11重量%およびポリブテン−1系樹脂PB1を5重量%混合した樹脂組成物に、ジグリセリンモノラウレート33重量%とグリセリンモノラウレート67重量%の混合物を2重量%配合したものを用いた。更に、H層としてポリプロピレン系樹脂PP1を70重量%とポリブテン−1系樹脂PB1を30重量%の混合樹脂を用いて、層配置がS/B/H/B/Sの5層になるように環状5層ダイを用いて押出した後、冷水にて急冷固化して折り幅230mm、厚み約90μmの各層とも均一な厚み精度のチューブ状原反を作製した。この際、チューブ内部には、6%オレイン酸ナトリウム水溶液を封入し、ニップロールでしごくことにより内面コーティングを施した。各層の厚み比率はチューブの外側から、10%/27.5%/25%/27.5%/10%になるように調整した。
【0044】
次いで、この原反を2対の差動ニップロール間に通し、約50℃に加熱した後、内部に空気を圧入してバブルを形成させて連続延伸を行い、20℃の冷風を吹き付けてバブルを折畳み、延伸倍率でタテ3.2倍、ヨコ2.8倍に同時二軸延伸した厚み10μmのフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表1に示すが、フィルムの延伸製膜安定性は極めて良好(◎)であり、引き裂き強度(タテ29g、ヨコ13g)、突き刺し強度(340g)に優れ、またシュリンク後の透明性、変形回復性(◎)も良好で、防曇性も5点満点中の4〜5点のレベルであり、実用性を十分満たすフィルムであった。
【0045】
このフィルムで、被包装物に体長約10cmの冷凍エビが7尾3列(計21尾)入った発泡ポリスチレンのトレーを用い、突き上げ式包装機A−18K(フジパックシステム)に簡易熱風シュリンクトンネル(100℃、約0.5秒の条件)を取り付けて、40パック/分の速度で包装を行なった。全部で85パックの包装を行なったが、破れの発生はなく、包装体の上面フィルムを指で押し込んだときの回復性も良好であった。
【0046】
【実施例2】
実施例1で得られたフィルムを細片化して押出機を通してリサイクルペレットを作製した。このペレットを実施例1のB層に40重量%配合し、最終的に実施例1のB層の樹脂組成と同じになるように、必要な未使用樹脂成分を添加した。その他は実施例1と同条件にしてフィルムを延伸製膜した。得られたフィルムを用いて、更に3回、上記と同様なリサイクルの操作を繰り返した。各種評価は最後に得られたフィルムについて評価し、その結果を表1に示す。延伸製膜安定性および引き裂き強度、突き刺し強度、シュリンク後の透明性、変形回復性も実施例1で得たフィルムとほとんど同等の性能を有しており、リサイクル適性に優れるものであった。
【0047】
【比較例1】
本発明の効果を従来技術と比較するために、特公平2−14898号公報の開示技術に従って、B層の樹脂組成をポリオレフィン系エラストマーER1を20重量%、エチレンα−オレフィン共重合体LL1を30重量%、EVA1を35重量%、ポリプロピレン系樹脂PP1を15重量%混合したもの(特公平2−14898号公報の実施例2のRun No.9のベース層樹脂組成に対応しており、本発明と異なる点は、特定のエチレンα−オレフィン共重合体のB層中での混合比率である(対全層比率は16.5重量%))を使用した以外は実施例1と同様にして延伸製膜を行なった。結果を同様に表1に示した。その結果、延伸製膜安定性は良好なものの、引き裂き強度、突き刺し強度および変形回復性が極めて劣るものであった。
【0048】
このフィルムを用いて、実施例1と同一条件で冷凍エビの包装を行なったところ、50パック中、破れが13パックに発生し(破れ発生率:26%)、包装ロスが多く、再包装作業の増加等、極めて強度的に問題のあるフィルムであった。また、破れがなかった包装体も、指での押し込み回復が悪く、商品性に劣るものであった。
【0049】
【比較例2】
比較例1と同様に、B層中での特定のエチレンα−オレフィン共重合体の混合比率が本発明の範囲外のものとして、B層中の樹脂組成をER1を5重量%、LL1を90重量%およびPP1を5重量%とした以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行なったところ、延伸製膜安定性は不良(×〜△)であり、採取したフィルム小片の防曇性を評価したところ、5点満点中の2〜3点とやや実用面で問題のあるレベルのものであった。
【0050】
【比較例3】
層構成比率をS/B/H/B/S=20%/12.5%/35%/12.5%/20%に変えて、B層中のLL1の対全層比率を12.5%に低下させた以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行なった(実施例1のB層中のLL1の対全層比率は27.5%)。延伸製膜安定性は比較的良好なものの、比較例1と同様引き裂き強度、突き刺し強度および変形回復性が極めて劣るものであった。
【0051】
【比較例4】
B層の樹脂組成として、ER1を7重量%、LL1を80重量%、EVA1を13重量%の混合樹脂とし、層構成比率をS/B/H/B/S=7.5%/40%/5%/40%/7.5%に変えて、B層中のLL1の対全層比率を64%にアップさせた以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行なったところ、延伸は極めて困難(×)であった。
【0052】
【比較例5〜6】
本発明の技術的範囲をより明確にするため、B層に使用するエチレンα−オレフィン共重合体として、密度が範囲外であるLL6(密度0.935g/cm3 )をLL1から変更した以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行い、これを比較例5とし、また同じくB層に使用するエチレンα−オレフィン共重合体のMFRが範囲外であるLL7(MFR=3.5)をLL1から変更した以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行なったものを比較例6とした。比較例5は延伸そのものが困難であり、長尺のフィルムが得られず、比較例6は延伸は可能であったが安定性に欠け(延伸製膜安定性△)、得られたフィルムも引き裂き強度、突き刺し強度および変形回復性も劣るものであった。
【0053】
【実施例3】
B層のポリオレフィン系エラストマーをER1からER2に変更した以外は、実施例1と同様に延伸製膜を行なった。表2に示すように延伸性は良好であり、引き裂き強度、突き刺し強度および変形回復性も実施例1と同様、優れるものであった。
【0054】
【実施例4】
B層にポリオレフィン系エラストマーER2を6重量%、エチレンα−オレフィン共重合体LL2を70重量%、EVA1を10重量%、ポリプロピレン系樹脂PP1を10重量%およびポリブテン−1系樹脂PB1を4重量%混合した樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様に延伸製膜を行なった。(B層中のLL2の対全層比率は38.5重量%)結果を表2に示す。
【0055】
【実施例5】
S層とH層は実施例1と同じ樹脂を用い、B層にポリオレフィン系エラストマーER2を14重量%、エチレンα−オレフィン共重合体LL1を45重量%、EVA1を25重量%、ポリプロピレン系樹脂PP1を11重量%およびポリブテン−1系樹脂PB1を5重量%混合した樹脂組成物を用いて、層構成比がS/B/H/B/S=10%/20%/40%/20%/10%となるように原反を作製し、以下同様に実施例1と同様に延伸を行なった。この際、S層およびB層には、防曇剤としてジグリセリンモノラウレート33重量%とグリセリンモノラウレート67重量%の混合物をそれぞれ2重量%配合した。(B層中のLL1の対全層比率は18重量%)結果を表3に示す。
【0056】
【実施例6】
EM1に、ジグリセリンモノラウレートを1.5重量%含めたものを両表面層とし、またB層にポリオレフィン系エラストマーER2を10重量%、エチレンα−オレフィン共重合体VL1を75重量%(対全層比率52.5重量%)、EM1を15重量%混合した樹脂組成物に、ジグリセリンモノラウレート33重量%とグリセリンモノラウレート67重量%の混合物を2重量%配合したものを用いた。
【0057】
更に、H層としてPP2を用いて、層配置がS/B/H/B/Sの5層になるように環状5層ダイを用いて押出した後、冷水にて急冷固化して折り幅230mm、厚み約100μmの各層とも均一な厚み精度のチューブ状原反を作製した。この際、チューブ内部には、6%オレイン酸ナトリウム水溶液を封入し、ニップロールでしごくことにより内面コーティングを施した。各層の厚み比率は、チューブの外側から、10%/35%/10%/35%/10%になるように調整した。以下、実施例1と同様に、延伸倍率でタテ3.3倍、ヨコ2.5倍に同時二軸延伸した厚み12μmのフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表3に示す。
【0058】
【実施例7】
B層に用いたエチレンα−オレフィン共重合体をLL3、H層のポリプロピレン系樹脂をPP3に変更した以外は、実施例1と同様にしてチューブ状原反を作製し、以下、実施例1と同様に、延伸倍率でタテ3.3倍、ヨコ3.4倍に同時二軸延伸した厚み8μmのフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表3に示すが、10μmを下回る薄肉のフィルムでも、引き裂き強度、突き刺し強度および変形回復性に優れるものであった。
【0059】
【実施例8】
EA1に、ジグリセリンモノラウレートを2重量%含めたものを両表面層とし、またB層にポリオレフィン系エラストマーER2を20重量%、エチレンα−オレフィン共重合体LL4を50重量%(対全層比率25重量%)、EA1を15重量%、PP2を10重量%およびPB1を5重量%混合した樹脂組成物にジグリセリンモノオレエート33重量%とグリセリンモノラウレート67重量%の混合物を2重量%配合したものを用いた。
【0060】
更に、H層としてポリプロピレン系樹脂PP2を85重量%とPB1を15重量%の混合樹脂を用いて、層配置がS/B/H/B/Sの5層になるように環状5層ダイを用いて押出した後、冷水にて急冷固化して折り幅230mm、厚み約90μmの各層とも均一な厚み精度のチューブ状原反を作製した。この際、チューブ内部には、6%オレイン酸ナトリウム水溶液を封入し、ニップロールでしごくことにより内面コーティングを施した。各層の厚み比率はチューブの外側から、15%/25%/20%/25%/15%になるように調整した。以下、実施例1と同様に延伸を行い、厚み10μmのフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表3に示す。
【0061】
【実施例9】
B層の樹脂組成をポリオレフィン系エラストマーER1を30重量%、エチレンα−オレフィン共重合体LL5を40重量%(対全層比率22重量%)、EVA1を19重量%、PP1を8重量%およびPB1を3重量%とした以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行なった。結果を表3に示す。
【0062】
【実施例10】
S層にVL1、B層に実施例3と同じ樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして延伸製膜を行ない、厚み10μmのフィルムを得た。結果を表4に示す。
【0063】
【実施例11】
S層、B層、H層の各層に実施例1と同じ樹脂、添加剤を用い、環状7層ダイにて層配置がS/B/H/B/H/B/Sで、厚み比率が10%/20%/12.5%/15%/12.5%/20%/10%の厚み約90μmの7層構成のチューブ状原反を得た。内面コーティングを含め、以下実施例1と同様に延伸製膜を行なった。結果を表4に示すが、フィルムの延伸製膜安定性は良好であり、引き裂き強度、突き刺し強度の他、変形回復性にも優れるものであった。
【0064】
【表1】
Figure 0003755923
【0065】
【表2】
Figure 0003755923
【0066】
【表3】
Figure 0003755923
【0067】
【表4】
Figure 0003755923
【0068】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、少なくとも4層で、かつ80℃における熱収縮率が20〜50%である従来のフィルムが有する耐熱性、収縮性、シール性、光学特性、防曇性等を維持したまま、薄肉でも従来問題のあった耐引き裂き性、耐突き破れ性、変形回復性が格段に向上した性能を発揮する。また、リサイクル適性も良好であり、省資源といった面でも大きな効果が得られるものである。
【0069】
本発明のフィルムは、ストレッチシュリンク以外の種々の収縮包装用途への使用が可能であることはもちろん、家庭用、業務用ラップフィルム等の各種包装材料の用途にも使用可能である。

Claims (1)

  1. 両表面層(S層)と、ビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)を含む混合樹脂でなる層(B層)、およびポリプロピレン系樹脂からなる層(H層)の少なくとも4層構成でなり、80℃における熱収縮率が20%〜50%であるポリオレフィン系樹脂多層フィルムにおいて、上記B層がビカット軟化点が60℃以下のポリオレフィン系エラストマー(a)5〜40重量%、密度が0.890〜0.925g/cm3 、メルトフローレート(190℃、荷重2.16kgf)が0.2〜3.0g/10分であるエチレンα−オレフィン共重合体(b)をフィルム全体に対する割合が15〜60重量%となるように40〜80重量%、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂(c)5〜55重量%からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂多層シュリンクフィルム。
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