JP4614850B2 - 積層ストレッチシュリンクフィルム - Google Patents
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Description
ところが、内容物がトレーから盛り上がるように盛り付けられている場合には、包装後に内容物が移動するとフィルムに緩みが発生する。さらに、包装体を取り扱う際に、内容物が存在しない部分のフィルムを指で押さえてしまった場合、フィルムに「凹み」が生じ、いつまでもフィルムが凹んだ状態のままであったり、凹んだ部分の痕跡が残ってしまうという問題がある。
そのため、トレーの変形を防止することと、包装後の緊迫性および変形復元性の両方を満足するストレッチシュリンクフィルムが求められている。
ところが、これらのフィルムは比較的広い面積の面状の変形に対する変形回復性に効果が見られるものの、手指などのより尖鋭なものでフィルムを押し込み・変形させた場合の「凹み」の変形回復性については完全に解決されているとは言えず、依然、トレーの変形を防止することと、包装後の緊迫性および変形復元性の相反する性能を同時に満足するストレッチシュリンクフィルムが提供されるには至っていない。
しかも、低温シール性やフィルムの走行安定性など自動包装適性や、包装時にトレーの変形が少ないなど包装仕上がりが優れており、また、フィルムの成形加工時の製膜性や延伸安定性、特に、部分的な延伸ムラが発生しないなど均一延伸性に優れた積層ストレッチシュリンクフィルムを提供することを課題とする。
(1)酢酸ビニル含量が10〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる両表面層(A)と、内部層として、密度が870〜910kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる層(B)、および、下記の[1−a]5〜50重量%および[1−b]50〜95重量%を含有する樹脂組成物[1]からなる層(C)を少なくとも一層ずつ有する、少なくとも四層の積層ストレッチシュリンクフィルム。
[1−a]:プロピレンとブテン−1の共重体で、極限粘度[η]が0.3〜10であり、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、さらに、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が1J/g以上の融解ピークを有しておらず、かつ、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークを有していない軟質ポリオレフィン系重合体。
[1−b]:ポリプロピレン系樹脂。
(2)ヤング率が130〜250MPaであり、ヘーズが2.0%以下であり、80℃のグリセリン中における、縦方向および横方向の熱収縮率がいずれも10%以上であることを特徴とする(1)に記載の積層ストレッチシュリンクフィルムが提供される。
さらに、低温シール性やフィルムの走行安定性など自動包装適性や包装時のトレーの変形が少ないなど包装仕上がりが優れており、しかも、包装後のフィルムの張りが良好で、フィルムの成形加工時の製膜性や延伸安定性、特に、均一延伸性に優れた積層ストレッチシュリンクフィルムが得られる。
本発明の積層ストレッチシュリンクフィルムは、両表面層(A)エチレン系重合体からなる両表面層(A)と、内部層として、エチレン−α−オレフィン共重合体からなる層(B)、および軟質ポリオレフィン系共重合体[1−a]5〜50重量%とポリプロピレン系樹脂[1−b]50〜95重量%を含有する樹脂組成物[1]からなる層(C)を少なくとも一層ずつ有する、少なくとも四層である。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記(A)、(B)ならびに(C)層以外の層を配設してもかまわない。例えば、スリッターロスなどの製品化されなかった本発明のフィルムを回収・再生した樹脂組成物からなる層(D)を、例えば(A)/(B)/(D)/(C)/(A)の五層構成になるように配してもかまわない。
防曇剤としては、特に限定されるものではなく、従来、食品用防曇性フィルムに用いられている防曇剤をそのまま使用することができる。例えば、ジグリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンセスキラウレート、ジグリセリンセスキオレート、モノグリセリンモノラウレート、モノグリセリンモノオレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル系の防曇剤、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル系の防曇剤、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル系の防曇剤、更には、ステアリルアルコール、オレインアルコール等のアルキルアルコール系の防曇剤等が好適に用いられる。これらの防曇剤は単独で、或いは、2種類以上混合して使用することもできる。尚、表面層(A)に添加する防曇剤の量としては、防曇剤の種類や内容物の種類、包装後の保管条件にもよるが、表面層(A)の樹脂に対して5000〜30000ppm程度が好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が910kg/m3を超えると、得られたフィルムの柔軟性が低下し、さらに、熱収縮時の収縮力が大きくなるので、ストレッチ包装時や熱収縮時にトレーが変形したり、破損する恐れがあるので好ましくない。また、870kg/m3未満の場合は、エチレン−α−オレフィン共重合体の結晶性が低く、延伸安定性、特に均一延伸性が悪化して生産性が低下すると共に、フィルムの厚み精度が悪くなり自動包装機に供した場合に包装適性が低下したり、フィルムの機械強度が低下し包装時にフィルム破れが発生する恐れがあるので好ましくない。さらに、フィルムに凹みが生じた場合の変形復元性が劣るので好ましくない。
炭素数4〜20のα−オレフィンとして直鎖状および分岐状のα−オレフィンが含まれる。具体的には、直鎖状のα−オレフィンとしては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などが例示され、分岐状のα−オレフィンとしては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセンなどを例示することができる。
炭素数が6以上になる組合せとしては、例えば、プロピレンとブテン−1の二種のオレフィンを選択した場合には炭素数の合計は7になり、エチレンとプロピレン、ブテン−1の三種のオレフィンを選択した場合には炭素数の合計は9になる。
本発明における極限粘度[η]とは、135℃テトラリン中でウベローデ粘度計を用いて測定したものである。
そのため、ポリプロピレン系樹脂[1−b]は、ホモのポリプロピレンであっても、プロピレンと一種類あるいは二種類の他のα−オレフィンと共重合した共重合ポリプロピレンであってもかまわないが、フィルムの耐熱性の点から(C)層に占めるホモのポリプロピレンの割合が20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。
また、(B)層および/または(C)層には、スリッターロスなどの製品化されなかった本発明のフィルムを回収・再生した樹脂組成物を配合することも可能である。尚、本発明のフィルムは主として食品包装用途に用いられることから、食品と直接接触する両表面層(A)には、再生した樹脂組成物を配合しないことが好ましい。
(A)層の厚さが15%未満では、両表面に均等な厚さの層を設けた場合各層の厚さがフィルム全体の7.5%となり、シール性が劣ることとなる。一方、50%を超えると(B)および(C)層の厚さが必然的に減少し、延伸安定性が劣ることとなる。
(B)層の厚さが20%未満では、フィルムの延伸安定性や緊迫性、機械強度が劣ることとなる。
(C)層の厚さが15%未満では、変形復元性および耐熱性が劣る。一方、50%を超えると得られたフィルムが柔軟になり過ぎ、トレー包装した際のフィルムの緊迫性や機械強度が劣ることとなる。
即ち、複数の押出機と多層ダイを用いて積層未延伸原反を製膜する。製膜方法としてはインフレーション方式とTダイ方式が一般的であり、両者共に用いることができる。勿論、前者のインフレーション方式による場合には、多層サーキュラーダイを、後者のTダイ方式の場合には、多層Tダイを用いる。
次いで、共押出しされた積層未延伸原反を延伸処理する。延伸方法としては、インフレーション方式とテンター方式とがあり、両者共に用いることができる。しかし、縦方向と横方向の熱収縮のバランスを持たせるためには、インフレーション法式による同時二軸延伸法が好ましい。勿論、インフレーション法式により同時二軸延伸処理を行うためには、積層未延伸原反は多層サーキュラーダイを用いてチューブ状に形成する必要がある。
PSPトレー C−47(中央化学(株)製、幅:140mm、長さ:212mm、高さ:26mm)を、トレーラップ自動包装機STC−IIB(大森機械工業(株)製)を用いてストレッチシュリンク包装する。なお、熱風トンネルの温度は100℃に設定した。次に、得られた包装物上面の中央付近のフィルムを柄のついた直径20mmの球でトレー底面にフィルムが接するまで押込み、その状態で5秒間保持した後球を持上げる。
フィルムに出来た凹み跡が1分以内になくなるものを◎、3分以内のものを〇、10分以内のものを△、10分を越えるものを×とした。
PSPトレー C−47(中央化学(株)製、幅:140mm、長さ:212mm、高さ:26mm)を、トレーラップ自動包装機STC−IIB(大森機械工業(株)製)を用いてストレッチシュリンク包装する。なお、熱風トンネルの温度は100℃に設定した。その際、包装前のトレーの幅(Wa)と包装後のトレーの幅(Wb)を測定し、トレーの変形を下記の式を用いて算出する。
トレーの変形(mm)=Wa(包装前のトレーの幅)−Wb(包装後のトレーの幅)
トレーの変形が5mm未満のものを〇、5〜10mmのものを△、10mmを越えるものを×とした。
フィルムを裁断して、縦方向(長手方向)、横方向ともに100mmの正方形の試験片を作成する。この試験片を80℃に設定したグリセリン中に10秒間浸漬した後、試験片の縦方向および横方向の寸法(L)を測定して下記の式を用いて収縮率を算出する。
収縮率(%)=100×(100−L)/100
[L:所定温度に設定されたグリセリン中に10秒間浸漬した後の試験片の長さ(mm)]
ASTM D 1003に準拠して、日本電色工業(株)製 曇度計NDH2000にて測定する。
ASTM D 882に準拠して、引張速度5mm/minで1%伸び時の引張弾性率を測定する。
・ポリエチレン系樹脂
EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体):日本ユニカー(株)製 NUC3758(酢酸ビニル含量:15%、密度:940kg/m3、融点:96℃)
・エチレン−α−オレフィン共重合体
LL1:住友化学(株)製 エクセレン(登録商標)FX CX2001 (密度:898kg/m3)
LL2:住友化学(株)製 エクセレン(登録商標)FX CX3007 (密度:891kg/m3)
LL3:住友化学(株)製 スミカセン(登録商標)E FV401 (密度:902kg/m3)
LL4:住友化学(株)製 スミカセン(登録商標)E FV201 (密度:915kg/m3)
・[1−a]と[1−b]を含有する樹脂組成物
PO1:住友化学(株)製 タフセレン(登録商標) T3732〔[1−a]成分:プロピレン−ブテン−1共重合体(極限粘度[η]=2.3、分子量分布(Mw/Mn)=2.2、融点:なし、結晶化温度:なし、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が1J/g以上の融解ピーク、および、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークを有していない)50重量%と[1−b]成分:プロピレンとエチレンのランダム共重合体(エチレン含量:5重量%、密度:890kg/m3、融点:135℃)50重量%の樹脂組成物〕
・ポリプロピレン系樹脂
PP1:住友化学(株)製 ノーブレン(登録商標) WF836DG (ホモ−ポリプロピレン、密度:890kg/m3、融点:162℃)
PP2:住友化学(株)製 ノーブレン(登録商標) FS3611 (エチレン−プロピレンランダム共重合体、密度:890kg/m3、融点:134℃)
三台の一軸押出機と三種五層のサーキュラーダイを用いて、表1および2に示した原料配合で、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の順に五層に積層し未延伸原反を得た。次いで、インフレーション方式によって同時二軸延伸を行い、厚さ12μmの積層ストレッチシュリンクフィルムを得た。尚、表1および表2には記載していないが、実施例1〜5および比較例1〜2の両表面層(A)には、両表面層(A)に使用したエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して防曇剤としてジグリセリンモノオレートを15000ppm添加した。
また、得られたストレッチシュリンクフィルムの評価結果を表3に示す。なお、表3には記載していないが、実施例1〜5および比較例1〜2の防曇性はいずれも良好であった。
(C)層として、PP1とPP2(エチレン−プロピレンランダム共重合体、融点:134℃、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が1J/g以上の融解ピーク、および、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークを有する)を使用し、[1−a]の軟質ポリオレフィン系共重合体を使用していない比較例1では、透明性や収縮率は良好であったが、復元時間も一分を超えており変形復元性が劣っていた。また、ヤング率が縦方向および横方向共に250MPaを超え、包装後のトレーの変形が大きかった。
比較例2は、(C)層中の[1−a]の軟質ポリオレフィン系共重合体の割合は25重量%であるが、(B)層のエチレン−α−オレフィン共重合体として密度が910kg/m3を超えるLL4を使用しており、透明性や収縮率、変形復元性は良好であったが、ヤング率が縦方向および横方向共に250MPaを超え、包装後のトレーの変形が大きかった。
Claims (2)
- 酢酸ビニル含量が10〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる両表面層(A)と、内部層として、密度が870〜910kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる層(B)、および、下記の[1−a]5〜50重量%および[1−b]50〜95重量%を含有する樹脂組成物[1]からなる層(C)を少なくとも一層ずつ有する、少なくとも四層の積層ストレッチシュリンクフィルム。
[1−a]:プロピレンとブテン−1の共重体で、極限粘度[η]が0.3〜10であり、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、さらに、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が1J/g以上の融解ピークを有しておらず、かつ、結晶化熱量が1J/g以上の結晶化ピークを有していない軟質ポリオレフィン系重合体。
[1−b]:ポリプロピレン系樹脂。 - ヤング率が130〜250MPaであり、ヘーズが2.0%以下であり、80℃のグリセリン中における縦方向および横方向の熱収縮率がいずれも10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層ストレッチシュリンクフィルム。
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