JP2017088194A - トップシール用多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールすることができ、且つ輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしにくいトップシール用多層フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】高密度ポリエチレンを含む第1の層、並びに直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第2の層を有し、前記第1の層のゲル分率が5%以上15%未満であり、前記第2の層のゲル分率が0.5%以上5%未満であることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対して用いるトップシール用多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、トップシール用多層フィルム、包装体、及び多層フィルムの使用方法に関するものである。本発明は、特に、食品等を保管、輸送、販売するために、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対して用いる、トップシール用多層フィルムに関するものである。
鮮魚、精肉、惣菜等の食品をトレーに入れ、上から蓋やフィルム等で覆うことによってトレーを包装し、包装したトレーごと販売する方式は、食品の鮮度保持、防塵、飛散漏えい防止、臭気移行防止等の観点から、スーパーマーケットやコンビニ等で多用されている。
従来、食品等を入れたトレーを封緘する場合、コスト面の観点から、一般に樹脂製又は紙製の容器と樹脂製のフィルムやフタ等とが使用されている。例えば、特許文献1には、包装用に用いられるストレッチフィルムが記載されている。
特開2012−188548号公報
しかしながら、特許文献1に記載のストレッチフィルムは、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対するシール強度が十分ではない場合があった。また、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールしても、輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりする場合があった。
このように、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールすることができ、且つ輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしない、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対して用いるトップシール用フィルムは見出されてないのが現状である。
従って、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールすることができ、且つ輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしにくいトップシール用多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、特定の樹脂を含み、ゲル分率が特定範囲の第1の層及び第2の層を有する多層フィルムを用いることで、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールすることができ、且つ輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしにくいトップシール用多層フィルムが得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕高密度ポリエチレンを含む第1の層、並びに直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第2の層を有し、前記第1の層のゲル分率が5%以上15%未満であり、前記第2の層のゲル分率が0.5%以上5%未満であることを特徴とする、トップシール用多層フィルム。
〔2〕ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーの周辺端部を、〔1〕のトップシール用多層フィルムでトップシールすることを特徴とする、トップシール用多層フィルムの使用方法。
〔3〕高密度ポリエチレンを含む原料Aを溶融し、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む原料Bを溶融し、押し出して第1の層及び第2の層を形成することを特徴とする、〔1〕のトップシール用多層フィルムの製造方法。
〔4〕ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーが、〔1〕のトップシール用多層フィルムでトップシールされていることを特徴とする、包装体。
本発明のトップシール用多層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールすることができ、且つ輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしにくいトップシール用多層フィルムを提供することができる。
上記に加え、さらに、良好な包装外観を同時に満足し、特にトレーの高さより被包装物(内容物)の高さが高く、盛り上がった状態でのシール性、耐破れ性、良好な包装外観を同時に満足させるという効果を有する。
また、被包装物が、惣菜等の加工食品もしくは肉類の場合、特に家禽類生肉の場合、トレー周辺端部(外周壁上端部、口縁部の上端部)に水、油、水−油混合物等の挟雑物が付着しやすく、シール性を低下させる原因となる。本発明の多層フィルムによれば、トレー周辺端部に挟雑物が存在しても良好なシール性を発揮し、液漏れが発生しないという効果も有する。
本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、以下詳細に説明する。
〔多層フィルム〕
本発明は、トップシール用多層フィルムに関するものである。本実施形態のトップシール用多層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対して用いるトップシール用多層フィルムであることが好ましい。
本発明のトップシール用多層フィルムは、高密度ポリエチレンを含む第1の層、並びに直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第2の層を有し、上記第1の層のゲル分率が5%以上15%未満であり、上記第2の層のゲル分率が0.5%以上5%未満である。
なお、本明細書において、上記第1の層を「層(1)」と称する場合がある。また、上記第2の層を「層(2)」と称する場合がある。
本実施形態の多層フィルムを使用することにより、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対するトップシール方式による包装が可能となる。また、本実施形態の多層フィルムは、上記第2の層を有することにより、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに対するシール性に優れる。また、上記第1の層を有することにより、シール後の多層フィルムの強度が向上して、輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしにくくなる。また、冷蔵又は冷凍状態での、輸送時や保管時の荷扱いにおいても、同様の効果が得られる。さらに、多層フィルムが押し込まれる等の衝撃等を受けても、緩みやシワが残らずに、多層フィルムがもとの形状に戻りやすいため、包装後の包装外観に優れる。
更に、本実施形態の多層フィルムを用いた包装体は、包装後の保管、輸送工程における、荷扱い等による衝撃に対しても、シールが剥がれにくい良好なシール強度を有する。
また、本実施形態の多層フィルムでトップシールしたトレーは、輸送時や保管時の荷扱いにおいてはシール剥がれを起こしにくいが、人が多層フィルムを剥がす際に加える力としては大きな力を加えることなく剥がすことができる程度のシール強度を有している。そのため、トレーから被包装物を取り出しやすい。
フィルム中にゲル成分が存在すると、熱収縮特性は優れているが、ヒートシール性が低下することが従来技術で知られている(特開平2−99526号公報)。しかし、本実施形態の多層フィルムでは、層(1)におけるゲル分率と、層(2)におけるゲル分率とを特定の範囲とすることにより、シール性、特に水分、油分、肉汁等の挟雑物が存在するポリプロピレン系樹脂を含有するトレーのシール面に対するシール性に優れ、シール後、輸送中、輸送後、保管時等においてシール剥がれが起こりにくい。
トレーに入れる被包装物が、惣菜等の加工食品や肉類の場合、特に家禽類生肉の場合、トレー周辺端部に水、油、又は水−油混合物が付着しやすいため、十分なシール強度が得られない場合がある。
本実施形態の多層フィルムは、トレー周辺端部に挟雑物が存在しても、良好なシール性を発揮し、シール後に液漏れが発生しにくい。
現在、市場、スーパー等では、おでんや揚げ物等の惣菜、家禽類生肉等は、発泡ポリスチレントレーに包装フィルムを、トップシール、又はピローシュリンク包装する形態で市販されている。トレーには、トレーの高さより高い被包装物が入れられ、被包装物がトレーから盛り上がった状態でトップシールされることがある。特に被包装物がトレーから盛り上がった状態では、トレー周辺端部に水や油等が付着しやすいため、トップシールをしても十分なシール強度が得られない場合があった。
本実施形態の多層フィルムでは、トレー周辺端部に挟雑物が存在していても、良好なシール性を発揮し、シール後に液漏れが発生しにくいため、被包装物がトレーから盛り上がった状態のポリプロピレン系樹脂を含有するトレーのトップシール用途にも適している。
本発明において「トップシール」とは、トレー(容器)の周辺端部に蓋材であるフィルムを熱融着、インパルスシール等の手段によりシールすることで被包装物(内容物)を密閉して包装することをいう。
ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーとしては、ポリプロピレン系樹脂を含有する表層を有するトレーが好ましい。特に、ポリプロピレン系樹脂を原料とする発泡トレーが好ましい(詳細は後述)。
本実施形態の多層フィルムは、少なくとも層(1)と層(2)とを有する。本実施形態の多層フィルムは、層(1)が一方の表層であり、層(2)が他方の表層であれば、層(1)及び層(2)以外の他の層が設けられていてもよい。中でも、層(1)と層(2)とからなる2層フィルムが好ましい。
(第1の層)
上記層(1)は、高密度ポリエチレンを含む。上記層(1)に高密度ポリエチレンが含まれることにより、本実施形態の多層フィルムは、熱によって収縮しにくくなり、また、硬くなるため、輸送時や保管時に荷扱いする際に、多層フィルムが破れにくくなる。上記高密度ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、エチレンとα−オレフィン単量体との共重合体が挙げられる。ここで、エチレンとα−オレフィン単量体との上記共重合体における上記α−オレフィン単量体としては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等の炭素数4〜18のα−オレフィン単量体が挙げられる。
中でも、フィルム強度の観点から、オクテン−1が好ましい。ここで、高密度ポリエチレンとは、密度0.940g/cm3以上のポリエチレンをいう。
上記層(1)における高密度ポリエチレンがエチレン−α−オレフィン共重合体である場合、エチレン−α−オレフィン共重合体(100質量%)中のエチレン含量は、好ましくは40〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは60〜85質量%である。エチレンとα−オレフィンとの重合法は特に限定されないが、マルチサイト触媒、シングルサイト触媒等を使った重合法が挙げられる。透明性が必要な内容物を包装する場合、シングルサイト系触媒で重合されたものを使用すると好ましい。その場合には、GPCによって測定される分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下のものを使用すると、特に得られる多層フィルムの透明性が良好となり好ましい。
上記層(1)全量(100質量%)中に含まれる上記高密度ポリエチレンの含有量としては、輸送時や保管時に荷扱いする際に多層フィルムが破れにくくなる観点から、20質量%以上が好ましく、より好ましくは100質量%である。
上記層(1)における高密度ポリエチレンのMFR(メルトフローレート)は、成形性の観点から、0.1〜10g/10minが好ましい。
なお、本明細書において、MFRは、ISO 1133に準拠して、温度230℃、荷重2.16kg重の条件で測定される値をいう。
(第2の層)
上記層(2)は、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。上記層(2)に、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれることにより、輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなる。
上記層(2)における、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種としては、例えば、エチレンの単独重合体である直鎖状低密度ポリエチレン;エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−へキセン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体の直鎖状低密度ポリエチレン;エチレン酢酸ビニル共重合体;ポリプロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン系エラストマー等のポリプロピレン系樹脂と、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂との混合物;等が挙げられる。輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなるという観点から、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との上記混合物における上記ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレンが好ましい。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体の直鎖状低密度ポリエチレンにおけるα−オレフィンとしては、炭素数4〜18のα−オレフィン単量体が挙げられる。
上記層(2)にエチレン−α−オレフィン共重合体が含まれる場合、エチレン−α−オレフィン共重合体(100質量%)中のエチレン含量は、好ましくは40〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは60〜85質量%である。エチレンとα−オレフィンとの重合法は特に限定されないが、マルチサイト触媒、シングルサイト触媒等を使った重合法が挙げられる。透明性が必要な内容物を包装する場合、シングルサイト系触媒で重合されたものを使用すると好ましい。その場合には、GPCによって測定される分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下のものを使用すると、特に得られる多層フィルムの透明性が良好となり好ましい。
上記直鎖状低密度ポリエチレンの密度としては、輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなるという観点から、0.910〜0.930g/cm3が好ましく、より好ましくは0.915〜0.925g/cm3である。
また、上記直鎖状低密度ポリエチレンのMFRとしては、輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなるという観点から、0.1〜10g/10minが好ましい。
上記エチレン酢酸ビニル共重合体(100質量%)中の酢酸ビニル含有量としては、輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなるという観点から、0質量%超50質量%以下が好ましい。
また、上記エチレン酢酸ビニル共重合体のMFRとしては、輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなるという観点から、0.5〜10g/10minが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との上記混合物としては、輸送時や保管時の荷扱いの際に、シール剥がれを起こしにくくなるという観点から、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の質量比(ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂)が、0超20以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との上記混合物における、上記ポリプロピレン系樹脂の密度としては、0.910g/cm3未満が好ましい。
上記層(2)全量(100質量%)に対する、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上である。
上記層(1)及び/又は上記層(2)には、さらにその他の樹脂が含まれていてもよい。
上記その他の樹脂としては、ロングラン製膜安定性、及び包装体を輸送する際の耐破れ性能の観点から、エチレン−α−オレフィン共重合体、分岐状低密度ポリエチレン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体と分岐状低密度ポリエチレンの混合物等が挙げられる。上記その他の樹脂における、エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素数が3〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体とのランダム共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。
なお、上記その他の樹脂とは、層(1)においては、上記高密度ポリエチレン以外の樹脂をいい、層(2)においては、上記直鎖状低密度ポリエチレン、上記エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との上記混合物以外の樹脂をいう。
上記層(1)及び/又は上記層(2)には、フィルム破れがなく良好な包装外観が得られるという観点から、さらに、グリセリン、脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、タルク、オレイン酸塩、アミド系滑剤、及び数平均分子量250〜480のミネラルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤が含まれていてもよい。
上記添加剤を含むことにより、本実施形態の多層フィルムに滑性を付与し、包装工程で包装スピードが速い場合に多層フィルムが包装機械の一部に引っかかり、多層フィルムに破れを生じさせることを一層防止する効果がある。又、包装後に、比較的重い包装体を重ねて輸送する際に、多層フィルムとトレーの滑り性を向上させ、輸送時のフィルム破れを防止する効果もある。更には、チューブ状パリソンを形成する際の口開き性を良好とし、機械装置との滑り性を向上させ、製膜安定性を良好とする効果もある。
上記添加剤の含有量は、表層(1)又は表層(2)の全体(100質量%)に対して、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
上記脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ヤシ油脂肪酸、オレイン酸、ヒマワリ油脂肪酸、カプロン酸等が挙げられる。
上記多価アルコール脂肪酸エステルとしては、防曇性、製膜安定性の観点から、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記添加剤として、上記多価アルコール脂肪酸エステルを用いる場合、製膜安定性、防曇性の観点等から、多価アルコール脂肪酸エステルの添加量は、表層(1)又は表層(2)の全体(100質量%)に対して、0.5〜7質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜5質量%である。特に、多層フィルム上に印刷を実施する場合は、インク剥がれの観点より、0.8〜3質量%が好ましい。
上記オレイン酸塩としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸カリウム等が挙げられ、多層フィルムの製膜安定性の観点から、特にオレイン酸ナトリウムが好ましい。
上記アミド系滑剤としては、例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。上記添加剤として、上記アミド系滑剤を用いる場合、透明性、滑性を同時に満足させるという観点から、上記アミド系滑剤の含有量は、表層(1)又は表層(2)の全体(100質量%)に対して、0.1〜2質量%が好ましい。
上記数平均分子量250〜480のミネラルオイルは、数平均分子量が250以上であると製膜安定性に寄与する効果が高く、480以下であると製膜安定性は良好であり、且つシール強度が向上する。
上記添加剤は、製膜条件により最適値が異なるため、必要に応じ、上記物質から選ばれる1種、もしくは2種以上の添加剤を選択できる。
また、本発明の多層フィルム中には、本来の特性を損なわない程度に、酸化防止剤、可塑剤等を添加してもよい。また、本発明の多層フィルム中には、石油系樹脂を含んでも良く、本来の特性を損なわない範囲で、加工助剤として高圧法低密度ポリエチレン等を配合しても良い。上記石油系樹脂として、水添石油系樹脂(商品名「アルコン」、荒川化学工業株式会社製)、水添テルペン樹脂(商品名「クリアロン」、ヤスハラケミカル株式会社製)を使用する場合、含有量としては、収縮性や透明性が良好となる観点から、多層フィルム全体(100質量%)の0.1〜10質量%が好ましい。
上記層(1)のゲル分率は、5%以上15%未満であり、上記層(2)のゲル分率は、0.5%以上5%未満である。
なお、本明細書において、「ゲル分率」とは、下記のゲル分率の測定方法により測定される値を指し、各層に含まれる重合体の架橋度の尺度として用いられる。
(ゲル分率の測定方法)
袋状に折り畳んだ150メッシュのステンレス製金網の中に、多層フィルムから剥ぎ取った測定対象の層100mgを封入し、沸騰させたp−キシレン中で12時間抽出した後に、抽出後の不溶解分として残ったものの質量を、抽出前の初期質量で除した値を、ゲル分率(%)として求める。
ゲル分率(%)=(抽出後の不溶解分の質量/抽出前の質量)×100
上記層(1)のゲル分率が5%以上15%未満であることにより、上記層(1)が外側となるようにトレーを覆った場合に、多層フィルム表面の摩耗性及び耐熱性を向上させることができ、また、包装時の溶断カット性の低下を抑制することができる。
上記層(1)のゲル分率は、摩耗性及び耐熱性を一層向上させる観点から、6%以上が好ましく、より好ましくは7%以上である。また、溶断カット性の低下を抑制する観点から、14%以下が好ましく、より好ましくは13%以下である。
上記層(2)のゲル分率が0.5%以上5%未満であることにより、上記層(2)が、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをトップシールする際にシーラント層として機能し、且つポリプロピレン系樹脂を含有するトレーとのシール性を高めることができる。
上記層(2)のゲル分率は、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーとのシール性を一層高める観点から、1%以上が好ましく、より好ましくは1.5%以上である。また、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーとのシール性を一層高める観点から、4%以下が好ましく、より好ましくは3.9%以下である。
本実施形態の多層フィルム全体のゲル分率は、多層フィルムの延伸性や耐熱性の観点から、5%以上が好ましく、より好ましくは15%以上である。また、50%以下が好ましく、より好ましくは45%以下である。
本実施形態の多層フィルムの厚さは、70μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。厚さを70μm以下とすることで、ロングラン包装において、包装機械にかけてフィルムカット刃で多層フィルムを切断する際にフィルムカット刃が損傷しにくくなる。また、多層フィルムが破れにくくなる観点から、多層フィルムの厚さを5μm以上とすることが好ましく、8μm以上とすることがより好ましい。
本実施形態の多層フィルムの引張弾性率は、包装後、保管、及び輸送後のフィルムの回復性の観点、及び特に被包装物がトレーから盛り上がった状態でトップシールする際のシール性の観点より、任意の方向(具体的には、MD方向及び/又はTD方向)に40〜1000MPaが好ましく、より好ましくは45〜900MPa、さらに好ましくは50〜800MPaである。
なお、上記引張弾性率は、JIS K7127に準拠して測定した、2%弾性率(歪みを2%とした際の応力から算出する弾性率)で数値化された値である
本実施形態の多層フィルムの95℃における熱収縮率は、包装後に多層フィルム表面にシワ発生が発生しにくくなる観点、及び特に被包装物がトレーから盛り上がった状態でトップシールする際のシール性の観点より、5〜75%であることが好ましく、より好ましくは5〜60%、さらに好ましくは8〜50%である。
多層フィルムを用いてトップシール包装をする際、例えば多層フィルムのシワ等を除去し、外観を良好とするために、包装後に95℃前後の熱をかけることがある。このため、95℃における多層フィルムの熱収縮率は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態の多層フィルムを用いてトップシール後に、多層フィルムが盛り上がった状態とは、トレーに入っている被包装物の高さが、当該トレーの高さより高い状態でトップシールされた包装形態を指す。本発明の多層フィルムは、被包装物の高さが当該トレーの高さより高くなっても、有用に使用できる。本実施形態の多層フィルムは、特に5mm以上の盛り上がり(被包装物の高さがトレー内側高さよりも5mm以上大きい場合)にも有効であり、更には10mm以上の盛り上がり状態でも有用に使用できる。内容物が生肉の場合では、20mm以上の盛り上がり状態でも有用に使用できる。なお、被包装物の盛り上がりは、シール性の観点から、100mm以下であることが好ましい。
〔多層フィルムの使用方法〕
本発明の多層フィルムの使用方法は、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーの周辺端部(外周壁の上端部、口縁部の上端部)を、上記多層フィルムでトップシールする方法である。
本実施形態の使用方法におけるポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーとしては、後述のトレーが挙げられる。また、本実施形態の使用方法における上記多層フィルムとしては、上述の本発明の多層フィルムが挙げられる。
本実施形態の使用方法は、シール性の観点から、ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーの周辺端部と、本実施形態の多層フィルムの層(2)とが向かい合うようにしてトップシールされることが好ましい。また、本実施形態の使用方法は、ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーの外周壁上端の全周囲が、上記多層フィルムでシールされることが好ましい。
本実施形態の使用方法において、上記多層フィルムをトレーにトップシールする際の条件としては、例えば、シール温度100〜170℃、シール時間0.1〜10秒が挙げられる。
〔多層フィルムの製造方法〕
次に、本発明の多層フィルムの製造方法の例を説明する。
本発明の多層フィルムの製造方法は、高密度ポリエチレンを含む原料Aを溶融し、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む原料Bを溶融し、押し出して第1の層及び第2の層を形成することを特徴とする。
ここで、原料Aは第1の層を形成する原料であり、原料Bは、第2の層を形成する原料である。原料Aは、高密度ポリエチレンを少なくとも含む。また原料Bは、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。原料A及び/又は原料Bには、さらに上記その他の樹脂、上記添加剤等が含まれていてもよい。
本実施形態の多層フィルムの製造方法としては、例えば、シングルバブルインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法、テンター法等によって、延伸製膜されるが、収縮性の観点から、シングルバブルインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法が好ましく、ダブルバブルインフレーション法がより好ましい。
具体的には、数種の押出機械にて上記層(1)、上記層(2)、及びその他の層ごとに使用原料を溶融させ、各溶融樹脂をスクリーンチェンジャー、ポリマーパイプを通過させた後、各溶融樹脂を環状ダイスに導き、環状ダイス内部で各層となる溶融樹脂を順次もしくは同時に積層し、環状ダイスより積層した樹脂を共に環状に押出し、チューブ状の未延伸原反(チューブ状パリソン)を得る。次に、得られたチューブ状パリソンを、下記の方法にて冷却する。
チューブ状パリソンの冷却方法としては、例えば、チューブ状パリソンの外側から水を冷却媒体として用いて冷却する方法や、チューブ状パリソンの外側から水を冷却媒体として用いて冷却を行うと共に、更にチューブ状パリソンの内側を、表面をブラスト処理し粗くした冷却マンドレル(マンドレル内部は水で通水される)に沿わせることで、チューブ状パリソンの内外両側より冷却を行い、チューブ状パリソンを急冷固化する方法が挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよい。
冷却マンドレルを設置する位置は、チューブ状パリソンの厚み制御を行う上で重要である。操作性及び厚み制御の観点より、上記の環状ダイスの環状ダイ面より10〜70mm離れた位置に冷却マンドレルの端部が位置することが好ましく、より好ましくは20〜60mmの位置である。冷却マンドレルの長さは操作性、冷却能力の観点より、150〜300mmとすることが好ましい。冷却マンドレルの直径は、操作性、冷却能力の観点より上記の環状ダイスの環状ダイリップ直径の1.0〜1.7倍とすることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.35倍である。
チューブ状パリソンの冷却途中、又は冷却固化後に、製造室内の温度によってはグリセリン、脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、オレイン酸塩、シリコン系滑剤及び数平均分子量250〜480のミネラルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をチューブ状パリソンの内側に塗布することが好ましい。塗布方法は、チューブ状パリソンの内側もしくは外側より当該物質を噴霧して塗布する方法や、チューブ状パリソン内部に当該物質液を入れておき、ロールでしごきながら一定量塗布する方法等が挙げられる。噴霧方法を用いる場合は、内側より塗布する方法が、操作上簡易であり好ましい。
次に、冷却固化したチューブ状パリソンを延伸機内に誘導し、延伸開始点を70〜200℃の間で加熱しながら、速度差を設けたニップロール間でエアー注入を行うことで延伸を行う。延伸安定性の観点より、流れ方向(MD)及び幅方向(TD)の各々の方向に対して、延伸倍率が好ましくは1.5〜10倍、より好ましくは2〜8倍となるよう延伸を行う。尚、延伸開始点とは、バブルの内圧によりパリソンのTD方向が膨らみ始める位置を指す。
延伸開始温度を70〜200℃とし、延伸倍率をMD及びTD方向のいずれの方向に対しても1.5〜10倍となるよう制御することにより、任意の方向に対して、引張弾性率が40〜1000MPa、95℃における熱収縮率5〜75%の多層フィルムが得られやすい。
ロングラン製膜安定性、シール性、特に挟雑物シール性、耐熱性の観点より、チューブ状パリソンに対して電子線による架橋処理を行っても良い。電子線架橋処理は延伸前、延伸後どちらの工程で行っても良いが、比較的小型の架橋処理装置を使用できるため延伸前に行うことが好ましい。
本実施形態の多層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーをシールすることができ、且つ輸送時や保管時に荷扱いする際に、フィルムが破れたり、シールが剥がれたりしにくいという観点から、上記層(1)のゲル分率が5%以上15%未満、上記層(2)のゲル分率が0.5%以上5%未満となるように、15〜150kGyで電子線照射されることが好ましく、25〜120kGyで電子線照射されることがより好ましい。
ゲル成分を作り出すためには多層フィルム中に架橋剤を添加し化学的に架橋点を作り出す方法もあるが、この場合、押出機中で架橋反応が開始し、押出性能が低下する場合もある。そのため、押出後のチューブ状パリソン、もしくは延伸後のフィルムに上記の電子線処理を行い、ゲル成分を作製することが好ましい。
電子線照射は、チューブ状パリソンに対して全透過としてもよい。特に、油、肉汁等の挟雑物が多いシール面に対するシール強度に優れるという観点から、電子線をチューブ状パリソンの層(2)側より照射することが好ましい。層(2)側より照射することにより、層(2)中のゲル分率を制御しやすくなり、シール時の挟雑物シール性を一層向上させることができる。
延伸後の多層フィルムにコロナ処理、オゾン処理、火炎処理等の表面処理を行うと、印刷用途にも適した多層フィルムが得られるため好ましい。得られた多層フィルムは所定のサイズにスリット加工してもよい。
〔包装体〕
本発明の包装体は、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーが、上述の多層フィルムでトップシールされている。
ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレー中に含まれるポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリプロピレン系エラストマー等が挙げられる。中でも、ポリプロピレンが好ましい。特に、ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレー中に含まれる樹脂は、ポリプロピレン系樹脂のみであることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂を原料とする発泡トレーが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーには、顔料、リサイクル原料、熱可塑性樹脂等が含まれていてもよい。ここで、上記リサイクル原料とは、フィルム製造工程上、もしくは包装工程上生じるフィルムロス部分に対し裁断処理、もしくはペレット化等の処理を実施し、再び使用できる様に処理された材料のことをいう。
本実施形態の包装体における上記多層フィルムとしては、上述の本発明の多層フィルムが挙げられる。
本実施形態の包装体は、ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーの周辺端部(外周壁の上端部、口縁部の上端部)が本実施形態の多層フィルムでトップシールされていることが好ましい。
本実施形態の包装体は、シール性の観点から、ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーの周辺端部と、本実施形態の多層フィルムの層(2)とが向かい合うようにしてシールされていることが好ましい。また、本実施形態の包装体は、ポリプロピレン系樹脂を含有する上記トレーの外周壁上端の全周囲が、上記多層フィルムでシールされていることが好ましい。
本実施形態の包装体の製造方法としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーに、上述の多層フィルムをトップシールする方法等が挙げられる。
上記多層フィルムをトレーにトップシールする際の条件としては、例えば、シール温度100〜170℃、シール時間0.1〜5秒が挙げられる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本発明における各物性の測定は、下記の方法にて行った。
(1)弾性率
弾性率は、JIS K7127に準じ求めた。
(2)ゲル分率
袋状に折り畳んだ150メッシュのステンレス製金網の中に、多層フィルム、多層フィルムから剥がした層(1)、又は多層フィルムから剥がした層(2)100mgを封入し、沸騰させたp−キシレン中で、12時間抽出した後の不溶解分として残ったものの質量を測定し、抽出前の初期質量で除した値をゲル分率とした。
ゲル分率(%)=(抽出後の不溶解分の質量/抽出前の質量)×100
(3)熱収縮率
熱収縮率は、100mm角の多層フィルムを、95℃に設定したエアーオーブン式高温槽に入れ、1分間熱処理を行った後の多層フィルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値の百分比で表した。なお、熱収縮率は、得られた多層フィルムについてTD方向に任意の3箇所を設定し、各個所の熱収縮率を上記方法にて求め、それらの平均値を多層フィルムの熱収縮率とした。
(4)包装外観
縦方向220mm、横方向160mm、高さ20mmの発泡ポリプロピレン製トレーの中央部に、被包装物(縦100mm、横50mm、高さ50mmの木片の上部に、縦100mm、横50mm、高さ20mmの発泡ポリスチレンを配置したもの)を配置し、トレー周辺端部に鶏肉汁をガーゼで1回塗る操作を行った後、実施例及び比較例の各多層フィルムを用いて、層(2)側をシール面として、170℃でトップシール包装を行い、包装体を得た。この後、横方向の周辺端部の中央部より包装フィルムの中心に向かって20mmの場所の多層フィルムを直径10mmの木片で約20mm押し込み、押し込みをやめてから5分後、緩み・シワの発生状況を評価した。評価基準は、下記の通りとした。
(評価基準)
○(良好):押し込み跡が完全に回復し、緩み・シワが全く認められない状態。
△(普通):押し込み跡が若干残り、緩み・シワが若干認められる状態。
×(不良):約10mm程度の押し込み跡が強く残り、その部分及び周辺部に緩み・シワが多数存在する状態。
(5)挟雑物シール性
(4)と同様にして包装体を作製し、水を入れた容器に包装体を入れ、包装体を水中で押さえながら中蓋をし、包装体を水中に浸した。更にその容器に蓋をし、蓋をした容器を300mmHgまで減圧し、包装体内部に水が入っていくか否かで挟雑物シール性を評価した。評価基準は、下記の通りとした。
(評価基準)
○(良好):トレー周辺端部全面でシール性が良好であり、包装体内部に水が全く入っていなかった。
×(不良):トレー周辺端部の一部に穴が空く、もしくはシール不良の個所があり、包装体内部へ水が入った。
(6)耐破れ性
縦方向200mm、横方向150mm、高さ20mmの発泡ポリプロピレン製トレーに、内容物として天ぷら5枚を入れ、トレーの周辺端部に天ぷら油を塗る操作を行った上で、実施例及び比較例の各多層フィルムを、層(2)側をシール面として、170℃でトップシール包装を行った。
また、同一形状の別の発泡ポリプロピレン製トレーに、内容物として約300gの鶏肉を入れ、トレー周辺端部に鶏肉油−水混合液体(トレーパックで市販されている鶏肉のドリップ液と水を1:1の割合で混合したもの)をガーゼで塗る操作を行った上で、実施例及び比較例の各多層フィルムを、層(2)側をシール面として、170℃でトップシール包装を行った。
上記のいずれにおいても、トレー上端から内容物の最高位置までは約20mmであり、多層フィルムが盛り上がっていた状態であった。
上記にて得られた2種類の包装体を、それぞれダンボール箱内に3段重ねになるように配置し、約200kmの距離をトラック輸送し、輸送後、1mの高さからダンボール箱を2回落とし、シールの状態、多層フィルムの破れ、多層フィルムに発生するシワの状態、包装体内から包装体外への液体の漏れの状態を目視で確認し、耐破れ性を評価した。評価基準は、下記の通りとした。
(評価基準)
○(良好):いずれの包装体にも、トレー周辺端部のシール剥がれ、多層フィルム破れ、多層フィルムのシワ、液体の漏れは見られなかった。
×(不良):いずれか一つ以上の包装体に、トレー周辺端部のシール剥がれ、多層フィルム破れ、多層フィルムのシワ、液体の漏れが見られた。
[実施例及び比較例において使用した樹脂]
HD1:高密度ポリエチレン(商品名「クレオレックスQT6015」、旭化成ケミカルズ株式会社製、エチレンのホモポリマー、メルトフローレート:1.0g/10min、密度:0.958g/cm3
HD2:高密度ポリエチレン(商品名「サンテックHD S3600」、旭化成ケミカルズ株式会社製、エチレンのホモポリマー、メルトフローレート:1.0g/10min、密度:0.954g/cm3
HD3:高密度ポリエチレン(商品名「サンテックHD J240」、旭化成ケミカルズ株式会社製、エチレンのホモポリマー、メルトフローレート:5.5g/10min、密度:0.966g/cm3
PP1:リアクターTPO(商品名「プライムTPO E−2900」、株式会社プライムポリマー製、メルトフローレート:2.5g/10min、密度:0.88g/cm3
PP2:エチレン−プロピレン−ブテン共重合体(商品名「アドシル5C37F」、サンアロマー株式会社製、メルトフローレート:5.5g/10min、密度:0.88g/cm3
LL1:エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(商品名「dowlex2032」、ダウ・ケミカル日本株式会社製、マルチサイト触媒にて重合されたもの、α−オレフィン:1−オクテン、メルトフローレート:2.0g/10min、密度:0.926g/cm3
LL2:エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(商品名「ユメリット1520F」、宇部丸善ポリエチレン株式会社製、α−オレフィン:4−メチル−1−ペンテン、メルトフローレート:2.0g/10min、密度:0.915g/cm3
LL3:エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(商品名「エボリューSP1028」、株式会社プライムポリマー製、α−オレフィン:1−へキセン、メルトフローレート:2.2g/10min、密度:0.910g/cm3
EVA1:エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:15質量%、メルトフローレート:1.0g/10min)
EVA2:エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:6質量%、メルトフローレート:2.5g/10min)
[実施例1〜7、比較例1]
3台の押出機を使用し、層(1)用の押出機、層(2)用の押出機それぞれに、表1に記載の樹脂を投入し、ダイ内接着型環状ダイを用いて、2層構造のチューブ状パリソンを押出した。
得られたチューブ状パリソンを、冷却媒体を水としてチューブ状パリソン外側から冷却すると共に、内部を水で通水した表面をブラスト処理し粗くした冷却マンドレルにチューブ状パリソン内側を沿わせることでパリソン内側からも冷却を行い、チューブ状パリソンの内外両側より冷却固化を行うことで、幅180mm、厚み400μmのチューブ状パリソンを作成した。このチューブ状パリソンを電子線照射装置に誘導し、層(2)側から電子線を照射し、吸収線量として80kGyになるようにして、架橋処理を行った。
架橋処理後のパリソンを延伸機内に誘導して再加熱を行い、2対の差動ニップロール間に通して、エアー注入によりバブルを形成した。延縦方向に5倍、横方向に4倍の倍率となるようにそれぞれ延伸を行って、厚さ約20μmの2層フィルムを得た。
巻取機にて2層フィルムを巻き取る際、両端をカットしながら、幅535mmのサイズに切り出して、巻取機の2つの巻取り軸に装着した紙管に200mずつ巻き取り、2層フィルムの巻回体を得た。
結果を表1に示す。
Figure 2017088194
本発明の多層フィルムは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの店頭で容器にトップシールすることにより、弁当や惣菜を完成させることが可能となり、利便性が向上する。

Claims (4)

  1. 高密度ポリエチレンを含む第1の層、並びに
    直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第2の層を有し、
    前記第1の層のゲル分率が5%以上15%未満であり、前記第2の層のゲル分率が0.5%以上5%未満であることを特徴とする、トップシール用多層フィルム。
  2. ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーの周辺端部を、請求項1に記載のトップシール用多層フィルムでトップシールすることを特徴とする、トップシール用多層フィルムの使用方法。
  3. 高密度ポリエチレンを含む原料Aを溶融し、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む原料Bを溶融し、押し出して第1の層及び第2の層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のトップシール用多層フィルムの製造方法。
  4. ポリプロピレン系樹脂を含有するトレーが、請求項1に記載のトップシール用多層フィルムでトップシールされていることを特徴とする、包装体。
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